(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両に搭載される関係上、車載用電子機器には振動が付与され易い。このため、特許文献1に示すように、ケースにフェライトコアを収容する構成では、配線とフェライトコアとの位置ずれが生じたり、フェライトコアが摩耗したりする場合があり得る。
【0005】
これに対して、本発明者らは、樹脂材を用いたモールド成形によって、配線とフェライトコアとを一体化することを見出した。この場合、本発明者らは、以下の課題が生じることを見出した。
【0006】
モールド成形によって配線とフェライトコアとを一体化する場合、例えば流動性を有する樹脂材を型に充填することが考えられる。この場合、樹脂材の固化(硬化)に伴う樹脂材の収縮によってフェライトコアに応力が付与される。すると、逆磁歪効果が発生し、フェライトコアのインピーダンスが低下する。この場合、フェライトコアによる電磁ノイズ低減能力が低下する。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的はモールド成形によって配線とフェライトコアとが一体化された構成において、フェライトコアの電磁ノイズ低減能力の低下を抑制することができる車載用電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する車載用電子機器は、配線と、前記配線からの電磁ノイズを吸収するように前記配線を覆うフェライトコアと、を備え、前記フェライトコアと前記配線とは、樹脂材を用いたモールド成形によって、前記フェライトコアの一部が露出した状態で一体化されていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、モールド成形によって配線とフェライトコアとが一体化されている。この場合、フェライトコアの一部が露出しているため、フェライトコアの全体が樹脂材によって覆われている構成と比較して、フェライトコアに付与される応力が軽減されている。これにより、配線とフェライトコアとの一体化を図りつつ、フェライトコアの電磁ノイズ低減能力の低下を抑制することができる。
【0010】
上記車載用電子機器について、前記樹脂材は、前記フェライトコアを外側から覆う外側樹脂部を有し、前記外側樹脂部には、前記フェライトコアを露出させる開口部が少なくとも1つ形成されているとよい。かかる構成によれば、開口部を介してフェライトコアの一部が露出している。これにより、上述した効果を奏する。
【0011】
上記車載用電子機器について、前記外側樹脂部は、前記配線における前記フェライトコアによって覆われた部分の延設方向に対向配置された2つのベース部と、前記両ベース部を連結する柱状の複数の連結部とを有するとよい。かかる構成によれば、両ベース部及び複数の連結部によって複数の開口部が延設方向に対する周方向に並んで区画される。これにより、より好適にフェライトコアに付与される応力を軽減できる。
【0012】
上記車載用電子機器は、車両に搭載された電動圧縮機に設けられた電動モータを制御するインバータであるとよい。かかる構成によれば、インバータの配線とフェライトコアとが一体化されている。これにより、インバータの配線に生じる電磁ノイズを低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、フェライトコアの電磁ノイズ低減能力の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
車両に搭載された電子機器である車載用電子機器の一実施形態について説明する。本実施形態では、車載用電子機器は、車両に搭載された電動圧縮機に設けられた電動モータを制御するインバータである。電動圧縮機は、例えばカーエアコンのヒートポンプに用いられる。以下、ヒートポンプ及び電動圧縮機の概要について説明した後、車載用電子機器としてのインバータについて説明する。
【0016】
図1に示すように、ヒートポンプ100は、電動圧縮機10と、電動圧縮機10に対して冷媒を供給する外部冷媒回路101とを備えている。外部冷媒回路101は、例えば熱交換器及び膨張弁などを有している。ヒートポンプ100は、電動圧縮機10によって冷媒が圧縮され、且つ、外部冷媒回路101によって冷媒の熱交換及び膨張が行われることによって、車両の室内の冷暖房を行う。
【0017】
なお、ヒートポンプ100は、当該ヒートポンプ100の全体を制御する空調ECU102を備えている。空調ECU102は、車内温度やカーエアコンの設定温度等を把握可能に構成されており、これらのパラメータに基づいて、電動圧縮機10に対してON/OFF指令や回転数指令等といった各種指令を送信する。
【0018】
電動圧縮機10は、外部冷媒回路101から冷媒が吸入される吸入口11aが形成されたハウジング11と、ハウジング11に収容された圧縮部12及び電動モータ13とを備えている。
【0019】
ハウジング11は、全体として略円筒状であって、伝熱性を有する材料(例えばアルミニウム等の金属)で形成されている。ハウジング11には、冷媒が吐出される吐出口11bが形成されている。
【0020】
圧縮部12は、吸入口11aからハウジング11内に吸入された冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を吐出口11bから吐出させるものである。なお、圧縮部12の具体的な構成は、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意である。
【0021】
電動モータ13は、圧縮部12を駆動させるものである。電動モータ13は、例えばハウジング11に対して回転可能に支持された円柱状の回転軸21と、当該回転軸21に対して固定された円筒状のロータ22と、ハウジング11に固定されたステータ23とを有する。回転軸21の軸線方向と、円筒状のハウジング11の軸線方向とは一致している。ステータ23は、円筒状のステータコア24と、当該ステータコア24に形成されたティースに捲回されたコイル25とを有している。ロータ22及びステータ23は、回転軸21の径方向に対向している。
【0022】
図1に示すように、電動圧縮機10は、電動モータ13を駆動させる車載用電子機器としてのインバータ30を備えている。インバータ30は、電子部品が実装された基板31と、基板31が収容されたケース32とを備えている。電動モータ13のコイル25とインバータ30とは図示しないコネクタ等によって接続されている。
【0023】
ケース32は、伝熱性を有する材料(例えばアルミニウム等の金属)で形成されており、板状の第1ケース構成体41と、当該第1ケース構成体41に対して組み付けられた有底筒状の第2ケース構成体42とを有する。ケース32は、固定具(例えばボルト43)によってハウジング11に固定されている。すなわち、本実施形態のインバータ30は、電動圧縮機10に一体化されている。
【0024】
基板31には、電子部品として、例えばパワーモジュール51及び温度センサ52等が実装されている。パワーモジュール51は、基板31に対してハウジング11(詳細には第1ケース構成体41)寄りに配置されている。また、
図2に示すように、基板31には実装配線53が設けられている。実装配線53は、複数の部品を接続するものである。実装配線53を介して信号又は電力が伝送される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、インバータ30は、ケース32の第2ケース構成体42の外面に設けられたコネクタ54と、基板31とコネクタ54とを接続する配線としてのバスバー55とを備えている。バスバー55は、基板31に対してパワーモジュール51とは反対側に配置されている。コネクタ54を介して、外部電源としてのDC電源からインバータ30に電力供給が行われるとともに、空調ECU102とインバータ30とが電気的に接続されている。
【0026】
図2に示すように、バスバー55は屈曲している。詳細には、バスバー55は、基板31から起立した起立部61と、起立部61と連続しているものであって全体として第2ケース構成体42の内面に沿って延びた延設部62とを有している。延設部62の一部は、基板31に向けて凹んでいる。詳細には、延設部62は、第1パーツ62aと、第1パーツ62aよりも基板31寄りに配置された第2パーツ62bと、第1パーツ62aと第2パーツ62bとを接続する接続パーツ62cとを有する。なお、本実施形態では、バスバー55は2本存在する。
【0027】
インバータ30は、バスバー55に生じる電磁ノイズを低減させる構成を備えている。当該構成について以下に説明する。
図2〜
図4に示すように、インバータ30は、バスバー55からの電磁ノイズを吸収するようにバスバー55を覆うフェライトコア71を備えている。フェライトコア71は、バスバー55の電磁ノイズを低減させるものである。フェライトコア71は、バスバー55が挿通可能な挿通孔72が形成された筒状である。本実施形態では、フェライトコア71は、多角筒状、詳細には矩形筒状であり、軸線方向と直交する方向から見て矩形枠状となっている。フェライトコア71は、軸線方向の両端面71a,71b(
図2参照)と、外周面として4つの側面71c〜71f(
図4参照)とを有している。
【0028】
バスバー55とフェライトコア71とは、バスバー55における延設部62の第2パーツ62bが挿通孔72に挿通された状態で、樹脂材80を用いたモールド成形(換言すれば射出成形)によって一体化されている。この場合、第2パーツ62bがフェライトコア71によって覆われており、フェライトコア71の軸線方向と第2パーツ62bの延設方向とが一致している。本実施形態では、第2パーツ62bが「配線におけるフェライトコアによって覆われた部分」に対応する。樹脂材80は例えば熱可塑性樹脂で構成されている。樹脂材80は、絶縁性を有している。
【0029】
図2に示すように、樹脂材80は、挿通孔72に充填された内側樹脂部81と、フェライトコア71を外側から覆う外側樹脂部82とを有している。内側樹脂部81及び外側樹脂部82は、フェライトコア71を保持している。
【0030】
図3に示すように、外側樹脂部82は、フェライトコア71を囲む枠状である。詳細には、フェライトコア71が矩形筒状であることに対応させて、外側樹脂部82は直方体の枠状である。外側樹脂部82は、フェライトコア71の軸線方向に対向配置されたベース部82a,82bを有している。本実施形態の両ベース部82a,82bは、端面71a,71bよりも一回り大きい矩形板状である。
【0031】
図2に示すように、ベース部82a,82bは中央部に凹部82aa,82baを有している。第1ベース部82aの凹部82aaには、フェライトコア71と内側樹脂部81が嵌合されている。つまり、第1ベース部82aは、フェライトコア71の第1端面71aと、互いに対向する側面71c,71dの一部とを覆っている。
【0032】
同様に、第2ベース部82bの凹部82baには、フェライトコア71と内側樹脂部81とが嵌合されており、第2ベース部82bは、フェライトコア71の第2端面71bと、互いに対向する側面71c,71dの一部とを覆っている。
【0033】
外側樹脂部82は、両ベース部82a,82bを連結する柱状の連結部82cを複数有している。連結部82cは、矩形板状のベース部82a,82bの角部同士を連結している。連結部82cは、フェライトコア71の周方向に離間して複数(詳細には4つ)設けられている。
【0034】
図4に示すように、連結部82cには、第2パーツ62bの延設方向に延びる切欠部82caが設けられている。そして、各連結部82cのそれぞれの切欠部82caには、フェライトコア71の角部が嵌合されている。
【0035】
かかる構成においては、
図4に示すように、外側樹脂部82には、フェライトコア71における第2パーツ62bの延設方向と交わる方向の4面のそれぞれ一部を露出させる複数の開口部91〜94が形成されている。詳細には、フェライトコア71における第2パーツ62bの延設方向と交わる方向の4つの側面71c〜71fに対応させて、4つの開口部91〜94が形成されている。複数の開口部91〜94は、両ベース部82a,82b及び連結部82cによって区画されており、フェライトコア71の周方向に連結部82cを挟んで配列されている。フェライトコア71の側面71c〜71fは、開口部91〜94を介して一部露出している。なお、本実施形態では、側面71c〜71fが矩形状であることに対応させて、開口部91〜94は、側面71c〜71fよりも一回り小さい矩形状となっている。以降の説明では、フェライトコア71において外側樹脂部82によって覆われておらず開口部91〜94を介して露出している部分を露出部分73という。
【0036】
図2に示すように、本実施形態では、延設部62の両端を除いた全体が、樹脂材80によって覆われている。詳細には、樹脂材80は、第1パーツ62aを覆う第1樹脂カバー部83と、接続パーツ62cを覆う第2樹脂カバー部84とを備えている。第1樹脂カバー部83、第2樹脂カバー部84、内側樹脂部81及び外側樹脂部82は一体化されている。
【0037】
また、フェライトコア71が一体化された樹脂材80は、フェライトコア71ごとケース32の内面に取り付けられている。例えば、
図2に示すように、樹脂材80は、締結部(例えばネジ85)によって第2ケース構成体42の内面に締結されている。
【0038】
ここで、外側樹脂部82は、樹脂材80における第1パーツ62aを覆っている第1樹脂カバー部83よりも基板31とは反対側に向けて突出しないようになっている。換言すれば、延設部62のうちフェライトコア71が取り付けられる第2パーツ62bは、フェライトコア71及び外側樹脂部82が第1樹脂カバー部83よりも基板31とは反対側に向けて突出しないように、第1パーツ62aよりも基板31寄りに配置されている。この場合、外側樹脂部82における第2ケース構成体42と対向する面と、両樹脂カバー部83,84における第2ケース構成体42と対向する面とは面一となっており、これらの面が第2ケース構成体42の内面に接触している。
【0039】
図2に示すように、基板31とフェライトコア71とは離間している。本実施形態では、基板31とフェライトコア71との間には第1隙間95が設けられている。このため、フェライトコア71の露出部分73と基板31とが接触しないようになっている。なお、本実施形態では、フェライトコア71を覆う外側樹脂部82も基板31から離間した位置に配置されている。
【0040】
また、
図2に示すように、外側樹脂部82と第2ケース構成体42とは当接している。そして、開口部92によって露出している露出部分73(詳述すると側面71dにおける露出部分73)と第2ケース構成体42との間には、開口部92に対応する第2隙間96が形成されている。
【0041】
次に本実施形態の作用について説明する。
モールド成形によってバスバー55とフェライトコア71とが一体化されている。そして、フェライトコア71の一部は、開口部91〜94を介して露出している。
【0042】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)車載用電子機器としてのインバータ30は、配線としてのバスバー55と、バスバー55からの電磁ノイズを吸収するようにバスバー55を覆うフェライトコア71とを備えている。バスバー55とフェライトコア71とは、樹脂材80を用いたモールド成形によって、フェライトコア71の一部が露出した状態で一体化されている。これにより、振動が付与された場合であってもバスバー55とフェライトコア71との位置ずれ等を抑制することができ、更にフェライトコア71に付与される応力を軽減することを通じてフェライトコア71のインピーダンスの低下を抑制することができる。よって、バスバー55とフェライトコア71とをモールド成形によって一体化することによって生じ得る不都合、詳細には樹脂材80からフェライトコア71に付与される応力に起因するフェライトコア71の電磁ノイズ低減能力の低下を抑制できる。
【0043】
また、フェライトコア71にて熱が発生した場合、当該熱は、フェライトコア71の露出部分73から放出される。これにより、フェライトコア71の放熱性の向上を図ることができる。
【0044】
(2)樹脂材80は、挿通孔72に充填された内側樹脂部81を有している。内側樹脂部81によってバスバー55とフェライトコア71とが一体化されている。更に、樹脂材80は、フェライトコア71を外側から覆う外側樹脂部82を有している。そして、外側樹脂部82には、フェライトコア71を露出させる開口部91〜94が形成されている。これにより、(1)の効果を得ることができる。
【0045】
(3)外側樹脂部82は、フェライトコア71の軸線方向(第2パーツ62bの延設方向)に対向配置された2つのベース部82a,82bと両ベース部82a,82bを連結する柱状の複数の連結部82cとを有し、フェライトコア71を囲む枠状である。そして、両ベース部82a,82b及び複数の連結部82cによって、フェライトコア71の周方向に配列された複数の開口部91〜94が区画されている。これにより、露出部分73の面積の向上を図ることができ、より好適にフェライトコア71に付与される応力を軽減することができる。
【0046】
(4)フェライトコア71が一体化された樹脂材80はフェライトコア71ごとケース32の内面に取り付けられている。そして、フェライトコア71は、基板31から離間して配置されている。これにより、フェライトコア71の一部が露出している場合であっても、フェライトコア71と基板31との接触を抑制することができる。
【0047】
(5)バスバー55における第2ケース構成体42の内面に沿って延びる延設部62の一部は基板31に向けて凹んでいる。つまり、延設部62は、第1パーツ62aと、当該第1パーツ62aよりも基板31寄りに配置された第2パーツ62bとを有している。そして、フェライトコア71は第2パーツ62bに取り付けられている。すなわち、フェライトコア71とバスバー55とは、第2パーツ62bが挿通孔72に挿通された状態で一体化されている。これにより、フェライトコア71及びフェライトコア71を覆っている外側樹脂部82が、第1パーツ62aを覆っている第1樹脂カバー部83よりも突出することを抑制できる。よって、フェライトコア71や外側樹脂部82に対応させて、第2ケース構成体42の一部を突出させる必要がないため、ケース32の大型化を抑制することができる。
【0048】
(6)電動圧縮機10は、冷媒を圧出して吐出する圧縮部12と、圧縮部12を駆動させる電動モータ13とを備えている。インバータ30は、電動モータ13を制御するものである。この場合、インバータ30のバスバー55に電磁ノイズが生じると電動モータ13の制御に支障が生じ得る。これに対して、本実施形態では、フェライトコア71によってインバータ30のバスバー55に生じる電磁ノイズを低減することができる。これにより、電動モータ13を好適に制御することができる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図5及び
図6に示すように、フェライトコア71の軸線方向に対向配置される両ベース部200a,200bにも開口部201a,201bが形成されていてもよい。この場合、両ベース部200a,200bは矩形枠状となる。これにより、フェライトコア71の軸線方向の両端面71a,71bが露出する。つまり、両端面71a,71bにも露出部分73が形成されている。よって、フェライトコア71に付与される応力の更なる軽減を図ることができる。但し、モールド成形を容易に行うことができる観点に着目すれば、開口部201a,201bがない方が好ましい。
【0050】
○ 外側樹脂部82に形成されている開口部の数は任意であり、例えば1つであってもよい。要は、開口部は少なくとも1つ形成されているとよい。また、開口部の具体的な形状は任意である。
【0051】
○ フェライトコア71の挿通孔72に挿通されるバスバー55は2本に限られず任意である。また、配線の具体的な形状は任意であり、帯状であってもよいし、棒状であってもよい。
【0052】
○ 延設部62は、その一部が基板31に向けて凹んでいたが、これに限られず、凹んでいなくてもよい。
○ 樹脂材80は、熱硬化性樹脂で構成されていてもよい。この場合であっても、硬化収縮によって、フェライトコア71に応力が付与されるが、上述した通り、フェライトコア71の一部を露出させることにより、上記応力を軽減することができる。
【0053】
○ フェライトコア71の具体的な形状、及び、外側樹脂部82の具体的な形状は任意である。例えばフェライトコアは円柱状又は楕円柱状でもよい。この場合、外側樹脂部のベース部は、円板状若しくは円環状、又は、楕円状若しくは楕円環状であるとよい。
【0054】
○ 車載用電子機器は、車両に搭載される電動圧縮機10の電動モータ13を制御するインバータ30に限られず、車両に搭載されるものであって、配線及びフェライトコア71を有するものであれば任意である。
【0055】
○ インバータ30は電動圧縮機10に一体化されていたが、これに限られず、別体であってもよい。
○ フェライトコア71が一体化されるバスバー55の接続対象は、基板31とコネクタ54とであったが、接続対象はこれに限られず任意である。つまり、フェライトコア71が取り付けられる配線は、任意である。例えば、基板31上に設けられた実装配線53とフェライトコア71とをモールド成形によって一体化させてもよい。
【0056】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)電子部品が実装された基板と、前記基板が収容されたケースと、を備え、前記樹脂材は、前記フェライトコアごと前記ケースの内面に取り付けられており、前記フェライトコアは、前記基板から離間して配置されている請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の車載用電子機器。
【0057】
(ロ)冷媒を圧縮して吐出する圧縮部と、前記圧縮部を駆動させる電動モータと、前記電動モータを制御するインバータとを備えた電動圧縮機において、前記インバータは、電子部品が実装される基板と、前記基板が収容されるケースと、前記基板と前記ケースに設けられたコネクタとを接続する配線と、前記配線からの電磁ノイズを吸収するように前記配線を覆うフェライトコアと、を備え、前記フェライトコアと前記配線とは、樹脂材を用いたモールド成形によって、前記フェライトコアの一部が露出した状態で一体化されていることを特徴とする電動圧縮機。