特許第6380043号(P6380043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000002
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000003
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000004
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000005
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000006
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000007
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000008
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000009
  • 特許6380043-蓄電モジュール 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380043
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20180820BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01G11/74
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-236740(P2014-236740)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-100210(P2016-100210A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
(72)【発明者】
【氏名】平光 宏臣
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221804(JP,A)
【文献】 特開2014−135162(JP,A)
【文献】 特開2014−135163(JP,A)
【文献】 特開2011−210480(JP,A)
【文献】 特開2014−002988(JP,A)
【文献】 特開2002−358945(JP,A)
【文献】 特開2013−054823(JP,A)
【文献】 特開2012−119295(JP,A)
【文献】 特開2011−228302(JP,A)
【文献】 特開2014−078372(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/073443(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/145542(WO,A1)
【文献】 特開2007−073510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/30
H01G 11/72
H01G 11/74
H01G 11/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側縁から突出する正極および負極のリード端子を有する蓄電素子を複数積層してなる蓄電素子群と、前記リード端子に接合され前記蓄電素子を電気的に接続する接続部材と、を備え、
正極リード端子と負極リード端子とは相違する金属材料からなり、
前記接続部材は、前記正極リード端子に接続されるとともに前記正極リード端子と同じ金属材料からなる第1金属部と、前記負極リード端子に接続されるとともに前記負極リード端子と同じ金属材料からなる第2金属部と、を接合してなり、
前記第1金属部および前記第2金属部は、それぞれ、前記リード端子と接合される端子接合部と、前記第1金属部と前記第2金属部とが接合される部材接合部とを有し、
前記端子接合部と前記部材接合部とは、交差する方向に配されており、
前記部材接合部は、前記端子接合部の長手方向における一対の側縁のうち一方の側縁に連なって形成されており、
前記第1金属部と前記第2金属部のそれぞれの前記端子接合部には、前記リード端子が2つ以上接合されている蓄電モジュール。
【請求項2】
絶縁材料からなり、前記接続部材を保持する保持部材を備え、
前記接続部材には前記保持部材に固定される固定部が前記端子接合部に対して交差する方向に配されるとともに前記端子接合部よりも前記端子接合部の長手方向外側に突出して設けられている請求項1に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電素子を積層してなる蓄電モジュールにおいては、隣り合う蓄電素子のリード端子同士を超音波溶接により接続することがある。このような場合、蓄電モジュールに、溶接治具を挿入する隙間を確保する必要があるため、蓄電素子の積層数が制限されたり、全体として大型化することがある。
【0003】
上記問題を解決する手法としては、リード端子同士をレーザー溶接により接合する方法がある。しかしながら、例えば、アルミニウム製の正極端子と銅製の負極端子とを接合する場合のように、2つの電極端子を構成する金属材料が相違する場合、レーザー溶接による接合が困難である。
【0004】
そこで、接続される電極端子を構成する金属材料が相違する場合には、正極端子と同種の金属材料からなる第1の金属材と、負極端子と同種の金属材料からなる第2の金属材とを圧接して得られるクラッド材をバスバーとして用いることが考えられた(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−210482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バスバーを構成するクラッド材が、第1の金属材と第2の金属材とが並列している構成である場合、異種金属が重なる重複領域が存在する。異種金属の重複領域と電極端子とをレーザー溶接した場合、合金相が形成されて、端子とバスバーとの接合部が非常に脆くなるおそれがあるため、積層間隔の狭いラミネートタイプの蓄電素子を接続するバスバーに適用することが難しかった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、限られたスペースで、相違する金属材料からなるリード端子間を電気的に接続可能とした蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、側縁から突出する正極および負極のリード端子を有する蓄電素子を複数積層してなる蓄電素子群と、前記リード端子に接合され前記蓄電素子を電気的に接続する接続部材と、を備え、正極リード端子と負極リード端子とは相違する金属材料からなり、前記接続部材は、前記正極リード端子に接続されるとともに前記正極リード端子と同じ金属材料からなる第1金属部と、前記負極リード端子に接続されるとともに前記負極リード端子と同じ金属材料からなる第2金属部と、を接合してなり、前記第1金属部および前記第2金属部は、それぞれ、前記リード端子と接合される端子接合部と、前記第1金属部と前記第2金属部とが接合される部材接合部とを有し、前記端子接合部と前記部材接合部とは、交差する方向に配されており、前記部材接合部は、前記端子接合部の長手方向における一対の側縁のうち一方の側縁に連なって形成されており、前記第1金属部と前記第2金属部のそれぞれの前記端子接合部には、前記リード端子が2つ以上接合されている蓄電モジュールである。
【0009】
本発明において、接続部材は正極リード端子と同じ金属材料からなる第1金属部と、負極リード端子と同じ金属材料からなる第2金属部と、を接合してなる。接続部材において、第1金属部および第2金属部は、それぞれ、リード端子と接合される端子接合部と、第1金属部と第2金属部とが接合される部材接合部とを有し、端子接合部と部材接合部とは、交差する方向に配されている。
【0010】
したがって本発明によれば、接続部材において、二つの金属部同士が接合される部材接合部と、リード端子と接合される端子接合部とが交差する方向に配されるので、接続部材にリード端子を接合する際に異種金属が重なる領域にリード端子が接合されることがない。その結果、本発明によれば、端子接合部の全域にリード端子を溶接することができるので、限られたスペースで、相違する金属材料からなるリード端子間を電気的に接続可能とした蓄電モジュールを提供することができる。
【0011】
さらに本発明によれば、正極リード端子が同じ金属材料からなる第1金属部に接合され、かつ負極リード端子が同じ金属材料からなる第2金属部に接合されるので、接合部分において異種金属の接触による腐食が発生しにくい。
【0012】
本発明は以下の構成としてもよい。
絶縁材料からなり、前記接続部材を保持する保持部材を備え、前記接続部材には前記保持部材に固定される固定部が前記端子接合部に対して交差する方向に配されるとともに前記端子接合部よりも前記端子接合部の長手方向外側に突出して設けられていてもよい。
このような構成とすると、接続部材において、保持部材に固定される固定部が、リード端子と接合される端子接合部に対して交差する方向で、かつ、端子接合部よりも外側に突出して配されるので、接続部材にリード端子を接合する作業の際に固定部が作業の妨げにはならない。また、上記構成によれば、接続部材を絶縁材料からなる保持部材に保持させたうえで、リード端子が接合されるので、接続部材とリード端子との接合作業を行いやすい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、限られたスペースで、相違する金属材料からなるリード端子間を電気的に接続可能とした蓄電モジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の蓄電モジュールを正面側から表した斜視図
図2】蓄電モジュールの背面図
図3】蓄電素子群に接続部材を取り付けた様子を背面側から示した斜視図
図4】蓄電素子群に接続部材を接合した様子を示す側面図
図5】蓄電素子群に保持部材を取り付けた様子を示す側面図
図6】接続部材が取り付けられた保持部材の斜視図
図7】接続部材が取り付けられた保持部材の正面図
図8図7のA−A線における断面図
図9】接続部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。図面においては、複数の同一部材のうち一の部材にのみ符号を付し、他の同一部材については符号を省略する場合がある。以下の説明において、図2における上側を上とし、下側を下とし、図4における右側を前方(正面側)とし左側を後方(背面側)とする。
【0016】
本実施形態の蓄電モジュール10は、側縁から突出するリード端子13を有する蓄電素子12を複数(本実施形態では、24個)積層してなる蓄電素子群11と、蓄電素子12のリード端子13に接合され蓄電素子12間を電気的に接続する接続部材30および接続部材30を保持する保持部材21を有する配線モジュール20と、配線モジュール20を覆うカバー40と、を備える。
【0017】
(カバー40)
蓄電モジュール10は、図1に示すように、蓄電素子群11の正面側と背面側(リード端子13が導出される端部側)に配される絶縁樹脂製のカバー40を備える。蓄電素子群11の正面側のカバー40Aおよび背面側のカバー40Bには、それぞれ、蓄電素子12の状態を検知する検知端子37と図示しない電池コントロールユニット(ECU)等の機器とを電気的に接続するコネクタ50を固定するコネクタ固定部41が、設けられている(図1および図2を参照)。また、正面側のカバー40Aおよび背面側のカバー40Bには、コネクタハウジング51の上端から導出される電線W2を固定する一対の電線固定片42が設けられている。さらに正面側のカバー40Aおよび背面側のカバー40Bには、保持部材21のカバー取付突部24を受け入れるカバー取付孔43が設けられている(図1を参照)。
【0018】
正面側カバー40Aの上端と下端には蓄電素子群11と外部機器(図示せず)とを接続する外部接続バスバー36が導出されるバスバー導出孔44が設けられている。外部機器としては、たとえば、別の蓄電モジュール10やインバータ等があげられる。外部接続バスバー36は、銅又は銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電性の金属材料からなり、外部機器と電気的に接続される接続孔36Aが貫通して設けられている。
【0019】
(蓄電素子12)
蓄電素子群11を構成する蓄電素子12としては、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等、必要に応じて任意の蓄電素子12を用いることができる。本実施形態に係る蓄電素子12としては、二次電池が用いられている。
【0020】
蓄電素子12は、上方から見て略長方形状をなしている。蓄電素子12は、略長方形状をなす一対のラミネートフィルムの側縁を溶着してなる容器14と、容器14の内部に収容された図示しない蓄電要素と、容器14の内部において蓄電要素に接続されると共に、容器14の側縁から外部に導出されるリード端子13と、を備える。
【0021】
(リード端子13)
本実施形態では、容器14の両側縁(前方及び後方の側縁)から、正極および負極のリード端子13(正極リード端子13A,負極リード端子13B)が導出されている。正極リード端子13Aと負極リード端子13Bとは相違する金属材料からなり、本実施形態において、正極リード端子13Aはアルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、負極リード端子13Bは銅または銅合金製である。
【0022】
詳細は後述するが、蓄電素子12は、2個ずつ極性の同じリード端子13が上下に配されるように積層され、接続部材30を介して電気的に接続されることにより並列に接続されている。
【0023】
上端部に配される蓄電素子12の負極リード端子13Bおよび、下端部に配される蓄電素子12の正極リード端子13Aには、それぞれ、外部機器と電気的に接続される外部接続バスバー36が電気的に接続される。
【0024】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は蓄電素子群11に取り付けられて、複数の蓄電素子12を電気的に接続するためのものである。配線モジュール20は、蓄電素子12のリード端子13に接続されて複数の蓄電素子12を電気的に接続する接続部材30と、接続部材30を保持する保持部材21と、を備える。
【0025】
(保持部材21)
接続部材30を保持する保持部材21は絶縁材料からなる。本実施形態では、蓄電素子群11には、複数の保持部材21を連結してなるものが取り付けられる。図5における上端に配される保持部材21には、上から2番目の保持部材21に設けた連結孔22に嵌りこんで連結される連結突部23が設けられている。また図5における下端に配される保持部材21には、下から2段目の保持部材21の連結突部23を受け入れる連結孔22が設けられている。
【0026】
上下の端部に配される保持部材21以外の保持部材21には上方の保持部材21の連結突部23を受け入れる連結孔22と、下方の保持部材21の連結孔22に嵌りこむ連結突部23がそれぞれ設けられている。
【0027】
また、上端に配される保持部材21および下端に配される保持部材21には、カバー40のカバー取付孔43に嵌りこむカバー取付突部24が外側に突出形成されている。
【0028】
各保持部材21には、図6および図8に示すように、接続部材30の固定部33を抜け止めする抜け止め突部25と、接続部材30の固定部33を押さえる押さえ片26とが設けられている。また、各保持部材21には、検知端子37のバレル部39を固定する端子固定部27と、検知端子37に接続される電線W1を導出する電線導出部28と、当該電線W1が配索される電線配索部29とが設けられている。
【0029】
検知端子37は蓄電素子12の電圧等を検知するためのものであって、詳細は図示しないが、接続部材30に取り付けられる取付爪と、電線W1の端末が接続されるバレル部とを有する。
【0030】
(接続部材30)
リード端子13が接続される接続部材30は、図9に示すように、正極リード端子13Aに接続されるとともに正極リード端子13Aと同じ金属材料からなる第1金属部31と、負極リード端子13Bに接続されるとともに負極リード端子13Bと同じ金属材料からなる第2金属部35と、を接合してなる。第1金属部31と第2金属部35とは、たとえば冷間圧接や溶接等公知の方法により接合される。本実施形態において第1金属部31はアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属板材からなり、第2金属部35は銅または銅合金製の金属板材からなる。
【0031】
接続部材30において、第1金属部31および第2金属部35は、それぞれ、リード端子13と接合される端子接合部32と、第1金属部31と第2金属部35とが接合される部材接合部34とを有する。接続部材30の端子接合部32には、検知端子37を取り付ける長方形状の端子取付孔32Bが形成されている。
【0032】
端子接合部32と部材接合部34とは、交差する方向に配されている。詳しくは、部材接合部34は、第1金属部31を構成する金属板材および第2金属部35を構成する金属板材の、長手方向における一対の側縁のうち一方の側縁を略垂直に折り曲げることにより形成される。部材接合部34の接合面34Aは端子接合部32のリード端子13が接合される接合面32Aに対し、概ね垂直となるように設定されている。部材接合部34の長手方向の寸法は、端子接合部32の長手方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0033】
また、接続部材30には保持部材21に固定される固定部33が端子接合部32に対して交差する方向であるとともに、端子接合部32よりも外側に突出して設けられている。詳しくは、固定部33は、第1金属部31を構成する金属板材および第2金属部35を構成する金属板材の長手方向における一側縁のうち、部材接合部34が形成されている側縁とは反対側の側縁を垂直に折り曲げることにより形成されており、接続部材30の4つの角部にそれぞれ設けられている。固定部33は、保持部材21の抜け止め突部25により前後方向の移動が規制されるとともに、保持部材21の押さえ片26により上下方向の移動が規制されることで、保持部材21に固定されている。固定部33は端子接合部32の(長手方向の)端部よりも外側に突出しており、当該突出している部分(突出部33A)が保持部材21により固定されている。
【0034】
蓄電素子群11においては、同じ極性のリード端子13が上下に2つずつ並ぶように蓄電素子12が積層されている。具体的には、蓄電素子群11において、前方のリード端子13は上から順に負極、負極、正極、正極、負極、負極…の順に並んでおり、後方のリード端子13は上から順に、正極、正極、負極、負極、正極、正極…の順に並んでいる。
【0035】
蓄電素子群11の前方において、上から2つの負極リード端子13Bは第2金属部35のみからなる端部接続部材30Aの端子接合部32に接合されており、下から2つの正極リード端子13Aが第2金属部35のみからなる端部接続部材30Aの端子接合部32に接合されている。これら以外のリード端子13は第1金属部31と第2金属部35とを接合してなる接続部材30の端子接合部32に2つずつ接合されている。
【0036】
リード端子13と接続部材30の端子接合部32との溶接方法およびリード端子13と外部接続バスバー36との溶接方法としては、レーザー溶接、超音波溶接等の方法があげられる。
【0037】
(蓄電モジュール10の組み立て方法)
24個の蓄電素子12のリード端子13の端部を略垂直下方に屈曲させておき、上下に隣り合う2つのリード端子13が同極性となるように、積層しておく。図9に示す接続部材30を11個と端部接続部材30Aを2個用意する。
【0038】
接続部材30は、第1金属部31を構成する金属板材と、第2金属部35を構成する金属板材を、所定形状にプレス加工したのち、第1金属部31の部材接合部34と第2金属部35とを接合することにより作製することができる。
【0039】
次に、保持部材21に接続部材30を取り付ける。保持部材21に接続部材30を取り付けると、接続部材30の固定部33は、保持部材21の抜け止め突部25により前後方向の移動が規制されるとともに、保持部材21の押さえ片26により上下方向の移動が規制されることで、保持部材21に固定される。
【0040】
保持部材21に固定された接続部材30の端子取付孔32Bに検知端子37の取付爪を差し込むとともに保持部材21の端子固定部27に検知端子37のバレル部を固定し、電線導出部28から検知端子37に接続された電線W1を導出させると検知端子37が固定される。
【0041】
次に、複数の保持部材21を連結して1枚のプレート状とし検知端子37に接続されている電線W1を保持部材21の電線配索部29に配索し、蓄電素子群11の前方と後方に取り付ける配線モジュール20を作製する。
【0042】
続いて配線モジュール20を蓄電素子群11の前方と後方に配し、リード端子13と接続部材30の端子接合部32とをレーザー溶接等の溶接方法により接合する。このとき前方に取り付ける配線モジュール20には、外部接続バスバー36も接続する。
【0043】
次に、正面側カバー40Aと背面側カバー40Bとを取り付けて、検知端子37に接続された電線W1をコネクタ50を介して外部機器と電気的に接続すると図1に示す蓄電モジュール10が得られる。
【0044】
(本実施形態の作用、効果)
次に、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態において、接続部材30において、二つの金属部31,35(第1金属部31と第2金属部35)同士が接合される部材接合部34と、リード端子13と接合される端子接合部32とが垂直な方向(交差する方向)に配されるので、接続部材30にリード端子13を接合する際に異種金属が重なる領域にリード端子13が接合されることがない。
【0045】
その結果、本実施形態によれば、端子接合部32の全域にリード端子13を溶接することができるので、限られたスペースで、相違する金属材料からなるリード端子13間を電気的に接続可能とした蓄電モジュール10を提供することができる。また、本実施形態によれば、正極リード端子13Aが同じ金属材料からなる第1金属部31に接合され、かつ負極リード端子13Bが同じ金属材料からなる第2金属部35に接合されるので、リード端子13と接続部材30との接合部分において異種金属の接触による腐食が発生しにくい。
【0046】
また、本実施形態において、接続部材30には保持部材21に固定される固定部33が端子接合部32に対して垂直な方向(交差する方向)であるとともに、端子接合部32の端部よりも外側に突出して設けられているから、固定部33は、リード端子13と接合される端子接合部32に対して交差する方向で、かつ、端子接合部32よりも外側に突出して配される。その結果、本実施形態によれば、接続部材30にリード端子13を接合する作業の際に固定部33が作業の妨げにはならない。加えて、本実施形態によれば、接続部材30を保持部材21に保持させたうえで、リード端子13が接合されるので、接続部材30とリード端子13との接合作業を行いやすく作業性に優れる。
【0047】
なお、本実施形態によれば、蓄電素子12を2個ずつ並列接続した蓄電素子群11を備えるので、蓄電素子群11を構成するすべての蓄電素子12を直列に接続する場合よりも、接続部材30の数および保持部材21の数を減らすことができる。
【0048】
<他の実施形態>
本明細書で開示の技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態であってもよい。
(1)上記実施形態では、接続部材30には、端子接合部32に対して垂直な方向であるとともに端子接合部32よりも外側に突出して設けられている固定部33を備える接続部材30を示したが、固定部の構成はこれに限定されない。また、接続部材は、固定部を備えない構成であっても構わない。
(2)上記実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金製の正極リード端子13Aと、銅又は銅合金製の負極リード端子13Bを有する蓄電素子12を示したが、正極リード端子13Aおよび負極リード端子13Bを構成する材料は相違していればよく、上記材料に限定されない。
(3)上記実施形態では、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1金属部31と、銅又は銅合金製の第2金属部35とを接合してなる接続部材30を示したが、第1金属部が正極リード端子と同じ金属材料からなり、第2金属部が負極リード端子と同じ金属材料から構成されているのであればこれに限定されない。
(4)上記実施形態では、24個の蓄電素子12からなる蓄電素子群11を示したが、蓄電素子群を構成する蓄電素子の数は24個未満でも24個より多くてもよい。
(5)上記実施形態では、蓄電素子12を2個ずつ並列に接続したものを示したが、全ての蓄電素子を直列に接続してもよいし、蓄電素子を3個以上並列に接続してもよい。
(6)上記実施形態では蓄電素子12として二次電池を用いる例を示したが、蓄電素子としてキャパシタ、コンデンサ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…蓄電モジュール
11…蓄電素子群
12…蓄電素子
13…リード端子
13A…正極リード端子
13B…負極リード端子
21…保持部材
25…抜け止め突部
26…押さえ片
30…接続部材
30A…端部接続部材
31…第1金属部
32…端子接合部
32A…接合面
33…固定部
33A…突出部
34…部材接合部
34A…接合面
35…第2金属部
40…カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9