特許第6380060号(P6380060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380060
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20180820BHJP
   H04R 1/34 20060101ALI20180820BHJP
   H04R 3/14 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H04R1/34 310
   H04R3/14
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-243296(P2014-243296)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-105564(P2016-105564A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】片山 真樹
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−17094(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0086415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/34
H04R 3/00
H04R 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される音響信号に応じた音を放音する第1スピーカユニットと、
前記第1スピーカユニットとは異なる放音方向が設定され、前記第1スピーカユニットに比べて口径が大きく、前記第1スピーカユニットに入力される前記音響信号の周波数帯域を含む音響信号が入力される第2スピーカユニットと、
前記第1及び第2スピーカユニットが設けられ、前記第1スピーカユニットの放音方向を受聴位置に向けた第1状態と、前記第2スピーカユニットの放音方向を受聴位置に向けた第2状態との2つの状態で設置可能な筐体と、
前記筐体が前記第1及び第2状態のいずれの状態にあるのかを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1及び第2スピーカユニットに入力する前記音響信号の周波数特性を補正するイコライザ補正手段と、
を備えることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2スピーカユニットの各々から放音された音が、前記受聴位置に到達するまでの空間を伝達する距離の差に起因した遅延を、前記検出手段の検出結果に応じて補正する遅延補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2スピーカユニットのうち、少なくとも一方に入力する前記音響信号の信号レベルを、前記検出手段の検出結果に応じて変更するレベル補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記第1及び第2スピーカユニットに比べて口径が大きく、より低域の音を放音する第3スピーカユニットを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記筐体は、1方向に長く延設された形状をなし、互いに直交する第1面と第2面とを有し、
前記第1スピーカユニットは、前記第1面における、前記筐体の延設方向の両側部分の各々に設けられた一対のスピーカユニットを有し、
前記第2スピーカユニットは、前記第2面における、前記延設方向の両側部分の各々に設けられた一対のスピーカユニットを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、異なる方向を向いたスピーカユニットが設けられたスピーカ装置において、スピーカ装置の姿勢の変更に応じた音質の変化を補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内に配置した複数のスピーカ(例えば、ウーファやツイータなど)を使用して心地よいサラウンド効果をもたらすスピーカシステムが普及している。一方で、スピーカシステムは、受聴者を取り囲むように室内のあちこちにスピーカを配置して、各スピーカを音響ケーブルで接続する必要がある。これに対し、複数の種類のスピーカユニットを、1つの装置に組み込んだ、いわゆる、「サウンドバー」や「オールインワン」のスピーカ装置がある(例えば、特許文献1など)。
【0003】
サウンドバーなどのスピーカ装置は、例えば、テレビに接続して、映像とともに高音質なサウンドを楽しむために使用される。この種のスピーカ装置では、近年のテレビの薄型化や大型化に対応するため、デザイン上の理由や設置スペースの制約などから、スピーカ装置にも薄型化が要求されるようになっている。その結果、スピーカ装置は、薄型化によって、マルチウェイのスピーカユニットを同一面に配置することが困難になっている。
【0004】
特許文献1に開示されるスピーカ装置では、一方向に長い直方体形状の筐体を有し、当該筐体に設けられた複数の面のうち、隣り合う2つの面(文献では、面111,面112)にスピーカユニットが設けられている。2つの面のうち、一方の面には、高い周波数帯域の音響信号を出力するのに最適化されたスピーカユニット(文献では、音響ドライバ191)が取り付けられ、他方の面には、中間の周波数帯域の音響信号を出力するのに最適化されたスピーカユニット(文献では、音響ドライバ192a〜192b)が取り付けられている。スピーカ装置は、通過させる帯域が異なるフィルタ回路がスピーカユニットごとに設けられており、例えば、入力された5.1chの音響信号に対してフィルタリングを行い、最適な周波数帯域に分離した後の音響信号を各スピーカユニットに入力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5582668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したスピーカ装置は、筐体の長手方向を軸方向として90度だけ回転し、縦置きや横置きにして使用される。スピーカ装置は、装置の設置の方向が変更されると、受聴者の方向を向いているスピーカユニットの種類が変更される。このため、装置の設置の方向が変更されることによって、受聴位置における音場を形成する支配的なスピーカユニットが変更される。その結果、スピーカ装置の設置の方向によって、受聴位置における音質が変化してしまうことが問題となる。
【0007】
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものである。口径及び放音方向が異なるスピーカユニットを備えるスピーカ装置において、スピーカ装置の設置の方向を変更したことに起因した受聴位置での音質変化を抑制することが可能なスピーカ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される技術に係るスピーカ装置は、入力される音響信号に応じた音を放音する第1スピーカユニットと、第1スピーカユニットとは異なる放音方向が設定され、第1スピーカユニットに比べて口径が大きく、第1スピーカユニットに入力される音響信号の周波数帯域を含む音響信号が入力される第2スピーカユニットと、第1及び第2スピーカユニットが設けられ、第1スピーカユニットの放音方向を受聴位置に向けた第1状態と、第2スピーカユニットの放音方向を受聴位置に向けた第2状態との2つの状態で設置可能な筐体と、筐体が第1及び第2状態のいずれの状態にあるのかを検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて、第1及び第2スピーカユニットに入力する音響信号の周波数特性を補正するイコライザ補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
当該スピーカ装置では、口径及び放音方向が異なる第1及び第2スピーカユニットを備える。スピーカ装置は、筐体の向きを変えることで、第1及び第2スピーカユニットのいずれかの放音方向を、受聴位置に向けることが可能となっている。イコライザ補正手段は、筐体の向き(第1及び第2状態)を検出する検出手段の検出結果に応じて、第1及び第2スピーカユニットに入力する音響信号の周波数特性を補正する。イコライザ補正手段は、例えば、第1及び第2スピーカユニットの口径の差と、放音方向の違いとに起因した受聴位置での音質の変化を補正するように、周波数特性を変更する。より具体的には、第1及び第2スピーカユニットは、口径が異なるため、得意となる再生帯域が異なる。一般的に、口径の小さい第1スピーカユニットは、より口径が大きい第2スピーカユニットに比べて、高域の再生が得意となる。このため、受聴位置に第1スピーカユニットの放音方向が向けられた第1状態では、第1スピーカユニットによる高域の音声の影響が受聴者に対して大きくなる。当該スピーカ装置では、第1及び第2スピーカユニットに対し、周波数帯域が重複した音響信号が入力される。そこで、イコライザ補正手段は、例えば、第1状態において、受聴位置とは異なる方向に放音方向が設定された第2スピーカユニットから再生される音声の周波数帯域のうち、第1スピーカユニットが得意としない中域の周波数帯域の音声が強調されるように、周波数特性を変更する。これにより、スピーカ装置の設置の方向を変更したことに起因した受聴位置での音質変化を抑制することが可能となる。
【0010】
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、第1及び第2スピーカユニットの各々から放音された音が、受聴位置に到達するまでの空間を伝達する距離の差に起因した遅延を、検出手段の検出結果に応じて補正する遅延補正手段を備える構成としてもよい。
【0011】
ここでいう、空間を伝達する距離とは、例えば、スピーカユニットから放音された音波が、直接的に、あるいは反射等によって間接的に、受聴位置へ到達するまでに空間を伝達する距離をいう。例えば、第1状態では、第2スピーカユニットは、受聴位置とは異なる方向に放音方向が設定され、放音した音が壁や天井等で反射してから受聴位置に到達するため、空間を伝達する距離が第1スピーカユニットに比べて長くなる。第2スピーカユニットから放音される音は、第1スピーカユニットから放音される音に比べて、受聴位置に到達するまでの時間に遅延が生じる。これにより、受聴者は、第2スピーカユニットの音が遅れて聴こえてくることで違和感を感じる虞がある。これに対し、当該スピーカ装置では、第1及び第2スピーカユニットの各々から放音される音の遅延を、遅延補正手段が補正し、受聴位置における音波の位相を揃えることによって、受聴者に対して違和感なく心地よい音を聴かせることが可能となる。
【0012】
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、第1及び第2スピーカユニットのうち、少なくとも一方に入力する音響信号の信号レベルを、検出手段の検出結果に応じて変更するレベル補正手段を備える構成としてもよい。
【0013】
第1及び第2スピーカユニットは、口径が異なることで、再生される音の音圧が異なってくる。このため、第1及び第2状態では、受聴位置を向くスピーカユニットが変更されることで、受聴者の耳に入る音の音圧レベルも変動する。レベル補正手段は、例えば、第1状態において、受聴位置を向く第1スピーカユニットに入力する音響信号のレベルを下げる処理、及び受聴位置とは異なる方向を向く第2スピーカユニットに入力する音響信号のレベルを上げる処理を行う。これにより、スピーカ装置の設置の方向を変えた場合における受聴位置での音圧の変化を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、第1及び第2スピーカユニットに比べて口径が大きく、より低域の音を放音する第3スピーカユニットを備える構成としてもよい。
【0015】
当該スピーカ装置では、例えば、ステレオ(L,R)の2チャンネルに加え、低周波数帯域の成分を多く含む低音域(LFE)チャンネルを有する2.1チャンネルの音響信号を入力した場合に、第3スピーカユニットを活用し低音域チャンネルの音を再生することによって、第1及び第2スピーカユニットだけでは困難な、迫力のある低音や重低音を再生することが可能となる。
【0016】
また、本願に開示される技術に係るスピーカ装置において、筐体は、1方向に長く延設された形状をなし、互いに直交する第1面と第2面とを有し、第1スピーカユニットは、第1面における、筐体の延設方向の両側部分の各々に設けられた一対のスピーカユニットを有し、第2スピーカユニットは、第2面における、延設方向の両側部分の各々に設けられた一対のスピーカユニットを有する構成としてもよい。
【0017】
当該スピーカ装置では、第1及び第2スピーカユニットの各々が有する、延設方向の両側に配置されたスピーカユニットを、例えば、受聴者の左右方向(水平方向)の両側に配置した状態で再生を行うことで、広がり感のある音を受聴者に聴かせることが可能となる。また、当該スピーカ装置では、口径が小さい第1スピーカユニットが第1面に設けられている。このため、第1面は、延設方向と直交する方向の長さを、第1スピーカユニットの口径に合わせて、縮小することが可能となる。つまり、スピーカ装置の薄型化や小型化が可能となる。従って、近年、薄型化が要求されている、いわゆるサウンドバーなどに当該スピーカ装置を適用することは有効である。
【発明の効果】
【0018】
本願に開示される技術によれば、口径及び放音方向が異なるスピーカユニットを備えるスピーカ装置において、スピーカ装置の設置の方向を変更したことに起因した受聴位置での音質変化を抑制することが可能なスピーカ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態のスピーカ装置を、室内のラック上に配置した状態を示す斜視図である。
図2】実施形態のスピーカ装置を、室内の壁に掛けた状態を示す斜視図である。
図3】スピーカ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本願発明の一実施形態であるスピーカ装置10と、当該スピーカ装置10に接続されたテレビ13と、当該スピーカ装置10が載置されたラック15とが設置された部屋200の斜視図を示している。以下の説明では、図1に示すように、部屋200の床201に対して垂直な方向を上下方向、スピーカ装置10から受聴位置210に向かう方向を前方、受聴位置210から見たスピーカ装置10の左右に向かう方向を左右方向として説明する。
【0021】
図1に示すように、テレビ13は、壁203に沿って取り付けられている。ラック15は、テレビ13の下方において、背面が壁203に沿った状態で床201上に配置されている。スピーカ装置10は、ラック15上に載置されており、テレビ13の下方に位置している。スピーカ装置10とテレビ13とは、例えば、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子(図3参照)に接続されたケーブルを介して互いに接続されており、音声と映像とを連動させて再生することが可能となっている。
【0022】
スピーカ装置10は、一方向(図中においては左右方向)に長く、上下方向の幅に比べて前後方向の幅が長い直方体形状のケース21を有する。ケース21は、隣り合う面21A,21B(図中においては前面と上面)のうち、面21Aには2つの第1スピーカユニット23が、面21Bには2つの第2スピーカユニット24及び2つの第3スピーカユニット25が取り付けられており、合計で6つのスピーカユニットが取り付けられている。スピーカ装置10は、図1に示すテレビ13の他に、例えば、パソコンや外付けハードディスクなどと接続された音響ケーブルから入力される音楽や、ネットワークなどを経由して入力される音楽をメモリ55(図3参照)に記憶するなどし、内蔵された各スピーカユニット23〜25から再生する。なお、本実施形態のスピーカ装置10は、後述する図2に示すように、ケース21の向きを変更して使用することが可能な装置である。
【0023】
スピーカ装置10は、図1に示す状態において、受聴位置210側を向いた前方の面21Aに、2つの第1スピーカユニット23が取り付けられている。なお、2つの第1スピーカユニット23は、同様の構成となっているが、これらを区別して説明する場合には、図1に示すように符号の後ろにアルファベット、第1スピーカユニット23L(レフト)、第1スピーカユニット23R(ライト)付して説明する。他の第2スピーカユニット24L,24R及び第3スピーカユニット25L,25Rについても同様とする。
【0024】
面21Aは、図1に示す状態では、上下方向及び左右方向に平面が沿った状態となっている。ケース21は、面21Aの左側の端部部分に第1スピーカユニット23Lが取り付けられ、右側の端部部分に第1スピーカユニット23Rが取り付けられている。2つの第1スピーカユニット23L,23Rは、ともに受聴位置210を向いた状態となっている。
【0025】
また、第1スピーカユニット23は、他の第2及び第3スピーカユニット24,25に比べて口径が小さい。ここでいう口径とは、例えば、コーン型の振動板の直径をいう。また、本実施形態の第1及び第2スピーカユニット23,24は、口径は異なるが、フルレンジ用のスピーカとして同様の構成となっている。一般的に、スピーカユニットは、口径が小さいほど高域の再生を得意とし、口径が大きいほど低域の再生を得意とする。このため、第1スピーカユニット23は、第2スピーカユニット24に比べて口径が小さく、より高域の再生を得意とする構造となっている。例えば、第1スピーカユニット23は、可聴域の周波数範囲内において、より高い周波数の音を出力するのに最適化されたツイーターとして機能する。
【0026】
面21Bは、図1に示す状態では上方を向いており、前後方向及び左右方向に平面が沿った状態となっている。ケース21は、面21Bの左側の端部部分に第2スピーカユニット24Lが取り付けられ、右側の端部部分に第2スピーカユニット24Rが取り付けられている。第2スピーカユニット24は、第1スピーカユニット23の向きとは直交する上方を向いた状態となっている。第2スピーカユニット24は、第1スピーカユニット23に比べて口径が大きく、第3スピーカユニット25に比べて口径が小さく、中域の再生を得意とする構造となっている。例えば、第2スピーカユニット24は、可聴域の周波数範囲内において、中間帯域の周波数の音を出力するのに最適化されたウーファとして機能する。
【0027】
また、第3スピーカユニット25は、面21Bに取り付けられている。ケース21は、左右方向において、第2スピーカユニット24Lよりも内側部分に第3スピーカユニット25Lが取り付けられ、第2スピーカユニット24Rよりも内側部分に第3スピーカユニット25Rが取り付けられている。第3スピーカユニット25は、第2スピーカユニット24と同様に、上方を向いた状態となっている。第3スピーカユニット25は、第1及び第2スピーカユニット23,24に比べて口径が大きく、より低域の再生を得意とする構造となっており、サブウーファとして機能する。
【0028】
また、スピーカ装置10は、スピーカ装置10に付属の赤外線リモコン230(図3参照)からの赤外線を受信するための2つの受信部27A,27Bを有する。受信部27Aは、面21Aの左右方向における中央部に設けられている。受信部27Bは、面21Bの左右方向における中央部であって、第3スピーカユニット25に挟まれた後方側の位置に設けられている。図1に示す状態では、受信部27Aが、受聴位置210側(前方)を向いた状態であり、受信部27Bが上方を向いた状態となっている。
【0029】
図2は、スピーカ装置10の設置の方向を変更して設置した状態を示している。図2に示す状態では、スピーカ装置10は、左右方向(ケース21の長手方向)に沿った軸を中心に、面21Bを受聴位置210側に向けるように90度だけ、ケース21の向きを回転した状態となっている。スピーカ装置10は、テレビ13と同様に、図示しない取付部材によって壁203に取り付けられている。スピーカ装置10は、図2に示す状態では、受聴位置210に対して第2及び第3スピーカユニット24,25が向いた状態となっている。また、受信部27A,27Bのうち、受信部27Bが、受聴位置210側を向いた状態となっている。スピーカ装置10は、面21A(図1参照)が下方を向いており、第1スピーカユニット23及び受信部27Aが床201に向いた状態となっている。
【0030】
本実施形態のスピーカ装置10は、図1及び図2のいずれの状態においても第1〜第3スピーカユニット23〜25への音響信号の入力を切り替えることなく、すべてのスピーカユニット23〜25から音声を再生する。ここで、第1〜第3スピーカユニット23〜25の各々は、互いに口径が異なり、放音される音の指向性も異なる。スピーカユニットは、一般的に、口径が小さくなるに従って指向性が高くなる。図1に示す状態と、図2に示す状態とでは、このような指向性を有する第1〜第3スピーカユニット23〜25の受聴位置210に対する向きが異なり、受聴位置210における音場を形成する支配的なスピーカユニットが変更されることとなる。例えば、図1に示す状態では、受聴位置210を向いている第1スピーカユニット23Rが、他のスピーカユニット24,25に比べて支配的となり、受聴者220(図3参照)の耳に聴こえる音への影響度が大きくなる。このため、同じ音楽を再生したとしても、図1及び図2の各々の状態で、受聴位置210における音質が変化することが問題となる。そこで、本実施形態のスピーカ装置10では、このような設置方向の違いによる受聴位置210での音質変化を抑制する処理を実施している。これにより、当該スピーカ装置10では、設置方向を変更する場合に、出力するスピーカユニットを切り替えるのではなく、すべてのスピーカユニット23〜25から出力しつつ、音質変化を抑えた音声再生を実現する。
【0031】
図3は、スピーカ装置10の構成を示すブロック図である。図3に示すように、スピーカ装置10は、デコーダ部31と、ポストプロセッシング部33と、D/A変換器35と、電子ボリューム37と、パワーアンプ(電力増幅回路)39と、これらを統括制御するコントローラ41等を有する。デコーダ部31及びポストプロセッシング部33は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)により実現されている。
【0032】
デコーダ部31は、テレビ13の他に、DVDプレーヤー、スーパーオーディオCDプレーヤーなどのデジタルオーディオ機器から音響信号を入力し、例えば、2.1チャンネルのマルチチャンネル信号を出力する。デコーダ部31は、例えば、DIR(Digital Interface Receiver)からのビットストリーム信号、D/A変換器からのマルチチャンネルPCM信号、及びHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子からのマルチチャンネル・ビットストリーム信号を入力し、ドルビーデジタル、DTS(Digital Theater Systems)、AAC(Advanced Audio Coding)などで圧縮されているデータを展開し、レフト(L)チャンネル、ライト(R)チャンネルに加え、低周波数帯域の成分を多く含む低音域(LFE)チャンネルを有する2.1チャンネルの信号を出力する。
【0033】
ポストプロセッシング部33は、4つのハイパスフィルタ43と、2つのローパスフィルタ45と、イコライザ補正部47と、遅延補正部49と、レベル補正部51等を有する。ポストプロセッシング部33は、デコーダ部31から入力されるステレオの2チャンネル(L、R)の信号を、第1及び第2スピーカユニット23,24の各々の左右に対応するハイパスフィルタ43を介してイコライザ補正部47に出力する。ハイパスフィルタ43は、所定のカットオフ周波数以下の周波数帯域の成分を減衰させ、第1及び第2スピーカユニット23,24の再生帯域に対応する帯域成分を選択的に通過させる。ハイパスフィルタ43のカットオフ周波数は、例えば100Hzである。従って、本実施形態のスピーカ装置10では、口径及び放音方向が異なる第1スピーカユニット23と第2スピーカユニット24とに対し、同一の周波数帯域(例えば、中帯域以上)の音響信号が入力される。
【0034】
また、ポストプロセッシング部33は、デコーダ部31から入力される2チャンネル(L、R)の信号と、低音域(LFE)チャンネルの信号とが、第3スピーカユニット25の左右に対応する加算器53に入力される。加算器53は、LFEチャンネルの信号と、Lチャンネルの信号とを加算して、第3スピーカユニット25Lから出力される左出力信号としてローパスフィルタ45に出力する。また、加算器53は、LFEチャンネルの信号と、Rチャンネルの信号とを加算して、第3スピーカユニット25Rから出力される右出力信号としてローパスフィルタ45に出力する。ローパスフィルタ45は、所定のカットオフ周波数以上の周波数帯域の成分を減衰させ、第3スピーカユニット25の再生帯域に対応する帯域成分を選択的にイコライザ補正部47に出力する。
【0035】
イコライザ補正部47は、口径の違いによって得意とする周波数帯域が異なる第1及び第2スピーカユニット23,24の周波数特性の差異を補正する。第1スピーカユニット23は、口径が比較的小さいため、第2スピーカユニット24に比べて高域の音声再生を得意とする。中域の再生は、第2スピーカユニット24によって補われる。
【0036】
また、上述したように、図1及び図2に示す状態では、支配的なスピーカユニットが変更される。例えば、図1に示す状態では、受聴者220の耳に対して第1スピーカユニット23の影響、即ち、より高域の音声の影響が大きくなる。第2スピーカユニット24には、第1スピーカユニット23と同一の周波数帯域の音響信号が入力される。そこで、イコライザ補正部47は、例えば、第2スピーカユニット24に入力される音響信号に対し、第1スピーカユニット23が不得意とする中域の周波数帯域を強調する処理を行う。あるいは、イコライザ補正部47は、例えば、支配的となる第1スピーカユニット23に入力される音響信号に対して、高域の周波数帯域を減衰させる処理を行う。このように、イコライザ補正部47は、第1及び第2スピーカユニット23,24が得意又は不得意とする周波数帯域を、強調又は減衰させることによって、受聴位置210に供給する音声として足りない周波数帯域を補う、あるいは過剰に供給される周波数帯域を抑制する処理を行う。
【0037】
また、イコライザ補正部47は、図2に示す場合には、図1に示す場合とは逆の処理を行う。具体的には、イコライザ補正部47は、例えば、第1スピーカユニット23に入力される音響信号に対して、第2スピーカユニット24が不得意とする高域の周波数帯域を強調する処理を行い、第2スピーカユニット24に入力される音響信号に対して、中域の周波数帯域を減衰させる処理を行う。なお、イコライザ補正部47は、第3スピーカユニット25に入力される音響信号に、第1及び第2スピーカユニット23,24に入力される音響信号の周波数帯域と重複する部分が含まれる場合などには、第3スピーカユニット25に入力される音響信号に対しても同様の処理を実行してもよい。
【0038】
遅延補正部49は、図1及び図2に示す各状態で変化する受聴位置210での音声の遅延を補正する。スピーカ装置10から放音される音は、受聴位置210にいる受聴者220が、前方にある1つの点音源から聴こえているかのように感じられるのが理想的である。しかしながら、例えば、図1に示す状態では、第2及び第3スピーカユニット24,25は、上方を向いており、音がスピーカユニット24,25から受聴位置210まで部屋200内を伝達する距離が、第1スピーカユニット23の音が伝達する距離に比べて長くなる。その結果、第2及び第3スピーカユニット24,25から放音される音は、受聴位置210に到達するまでに遅延が発生する。同様に、図2に示す状態では、第1スピーカユニット23から放音される音は、伝達する距離が長くなるため遅延が発生する。このため、受聴者220は、各スピーカユニット23〜25から同時に放音された音が、異なるタイミングで耳に入ることで、点音源ではなく、複数の音源から音が放音されているという違和感を感じる虞がある。
【0039】
また、第1及び第2スピーカユニット23,24の一方から放音された音と、その音から所定時間だけ遅延した音とが、繰り返し受聴位置210に到達することにより、周波数特性上のピークやディップが周期的に発生する。その結果、例えば、可聴域の特定の周波数帯域の音が強調されたり、消音されたりする虞もある。これに対し、遅延補正部49は、各状態における音の遅延を補正するために、例えば、図1に示す状態では、第2及び第3スピーカユニット24,25から音を放音するタイミングから、第1スピーカユニット23から音を放音するタイミングまでの間に、伝達する距離の差に応じた遅延を付与する。これにより、理想的には、スピーカ装置10の設置の方向を変更したとしても、各スピーカユニット23,24から受聴位置210に到達する音波の位相を揃えて、受聴者220に対し、違和感なく点音源から聴こえている感覚を与えることが可能となる。なお、遅延補正部49は、第3スピーカユニット25に入力される音響信号に対しても同様の処理を実行してもよい。
【0040】
また、第1及び第2スピーカユニット23,24は、互いに口径が異なることによって、再生される音の音圧が異なってくる。このため、図1及び図2に示す各状態では、受聴位置210を向くスピーカユニットが変更されることによって、受聴者220の耳に入る音の音圧レベルも変更される。レベル補正部51は、このような音圧レベルの変化を抑制するための処理を行う。より具体的には、レベル補正部51は、例えば、図1に示す状態では、受聴位置210側を向く第1スピーカユニット23に入力される音響信号のレベルを下げる処理、及び第2スピーカユニット24に入力される音響信号のレベルを上げる処理の少なくとも一方を行う。理想的には、レベル補正部51は、電子ボリューム37のボリューム値evが同一であれば、スピーカ装置10の設置の方向を変更したとしても、受聴位置210における音圧が同一となるように調整を行うことが好ましい。レベル補正部51が調整する音圧レベルは、予めシミュレーションや実測を行うことで設定が可能である。
【0041】
ポストプロセッシング部33の各補正部47,49,51によって処理されたデジタルの音響信号は、D/A変換器35に入力される。D/A変換器35は、デジタルの音響信号を、アナログの音響信号に変換し、アナログ化された音響信号を電子ボリューム37に出力する。電子ボリューム37は、コントローラ41から指示されたボリューム値evで音響信号の電圧レベルを調整する。
【0042】
コントローラ41は、例えば、CPUを主体とする処理回路である。コントローラ41は、ケース21の向きを検出し、検出した向きに応じて、上述した各補正部47,49,51による音響処理の内容を設定等する。スピーカ装置10は、ケース21の向きを検出する検出手段として、スイッチ57(例えば、ディップスイッチ)を備える。スイッチ57は、スピーカ装置10の背面(図1において面21Bと上下方向で対向する面)に設けられている。受聴者220は、スピーカ装置10を設置する向きに応じて、スイッチ57を操作する。これにより、コントローラ41は、スイッチ57のON・OFFによって向きを検出することが可能となる。なお、検出手段は、スイッチ57に限らず、センサ(ジャイロセンサなど)でもよい。この場合、スピーカ装置10は、自動で向きを検出可能となる。
【0043】
また、受信部27A,27Bは、赤外線リモコン230から送られてくる赤外線のコード信号をデコードし、デコードした結果をコントローラ41に出力する。コントローラ41は、受信部27A,27Bから入力されるコード信号に応じて、例えば、電子ボリューム37のボリューム値evを増減させる。これにより、受聴者220は、赤外線リモコン230を操作することにより、再生される音声の音量を変更することが可能となる。なお、コントローラ41は、例えば、デコードされた信号に基づいて、スピーカ装置10の電源のオン・オフの切り替え、音響信号を入力するソースの切り替え、あるいは音響処理の内容(イコライザ補正部47によるイコライジングの設定値など)などの変更を行ってもよい。
【0044】
また、スピーカ装置10が有するメモリ55は、コントローラ41が制御に用いる各種データやプログラムを記憶するものであり、例えば、ポストプロセッシング部33等のDSPで実行されるプログラムが記憶されている。
【0045】
そして、電子ボリューム37は、電圧値を調整した音響信号を、パワーアンプ39に出力する。パワーアンプ39は、入力された音響信号を増幅し、第1〜第3スピーカユニット23〜25に出力する。スピーカ装置10は、例えば、第1スピーカユニット23Lから左出力信号、第1スピーカユニット23Rから右出力信号を出力する。このようにして、スピーカ装置10は、装置の向きに応じた音の再生を実行する。
【0046】
因みに、ケース21は、筐体の一例である。イコライザ補正部47は、イコライザ補正手段の一例である。遅延補正部49は、遅延補正手段の一例である。レベル補正部51は、レベル補正手段の一例である。スイッチ57は、検出手段の一例である。面21Aは、第1面の一例である。面21Bは、第2面の一例である。
【0047】
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)スピーカ装置10は、口径及び放音方向が異なる第1及び第2スピーカユニット23,24が取り付けられている。スピーカ装置10は、図1に示すように第1スピーカユニット23を受聴位置210に向けてラック15上に置かれた状態と、図2に示す第2スピーカユニット24を受聴位置210に向けて壁203に掛けた状態との2つの状態で設置可能となっている。また、スピーカ装置10には、受聴者220が装置の設置向きに応じて操作するスイッチ57が設けられており、コントローラ41がスイッチ57のON・OFFによって向きを検出する。コントローラ41は、ケース21の向きに応じてイコライザ補正部47を制御する。イコライザ補正部47は、各スピーカユニット23,24の口径や放音方向の違いによって受聴位置210で音質が変化しないように、第1及び第2スピーカユニット23,24に入力する音響信号の周波数特性を補正する。これにより、スピーカ装置10の設置の方向を変更したことに起因した受聴位置210での音質変化を抑制することが可能となっている。
【0048】
(2)遅延補正部49は、第1及び第2スピーカユニット23,24の各々から放音される音の遅延を補正し、受聴位置210における音波の位相を揃える。これにより、受聴者220は、違和感なく心地よい音を聴くことが可能となる。
【0049】
(3)レベル補正部51は、第1及び第2スピーカユニット23,24の口径の違いに起因した音圧レベルの変化を抑制するために、例えば、図1に示す状態では、受聴位置210側を向く第1スピーカユニット23に入力される音響信号のレベルを下げる処理等を行う。これにより、スピーカ装置10の設置の方向を変えた場合における受聴位置210での音圧の変化を抑制することが可能となっている。
【0050】
(4)スピーカ装置10は、口径の異なるフルレンジの第1及び第2スピーカユニット23,24の他に、低音域再生用のサブウーファとして第3スピーカユニット25を備えている。これにより、スピーカ装置10は、2.1チャンネルの音響信号を入力した場合に、第3スピーカユニット25を活用し低音域チャンネルの音を再生することによって、第1及び第2スピーカユニット23,24だけでは困難な、迫力のある低音や重低音を再生することが可能となっている。
【0051】
(5)スピーカ装置10は、ケース21が延設される左右方向の両側部分に、各スピーカユニット23〜25のレフト側のユニットとライト側のユニットが分散して配置されており、受聴者220に対して左右方向(水平方向)において広がり感のある音を放音するようになっている。また、スピーカ装置10は、3種類のスピーカユニット23〜25のうち、最も口径が小さい第1スピーカユニット23のみが面21Aに設けられ、図1に示すように、面21Aの上下方向(ケース21の長手方向の直交方向)の長さを、当該第1スピーカユニット23の口径に合わせて小さくしている。その結果、スピーカ装置10は、上下方向の幅を狭くして薄型化が可能となっている。
【0052】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、ポストプロセッシング部33は、3つの補正部47,49,51を備えたが、イコライザ補正部47のみで音質の調整を実施する構成でもよい。この場合、他の遅延補正部49及びレベル補正部51に係わる回路部分が不要となる。
また、上記実施形態では、各補正部47,49,51を介して、第3スピーカユニット25に音響信号を入力したが、第3スピーカユニット25に入力する音響信号に対しては補正処理を実施しない構成でもよい。
【0053】
また、スピーカ装置10は、低音域を再生するための第3スピーカユニット25を備えない構成でもよい。
また、3つの補正部47,49,51を、DSPにより対応するプログラムが実行されることで実現する構成としたが、各補正部47,49,51を演算回路等で構成したハードウェアで実装してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、第1及び第2スピーカユニット23,24に対し、同一の周波数帯域(中帯域以上)の音響信号を入力したが、第1及び第2スピーカユニット23,24に入力する音響信号は、全ての帯域が同一でなくとも、一部が重複していてもよい。
また、図1及び図2に示すスピーカ装置10の設置の方向や位置は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、スピーカ装置10を、第1スピーカユニット23が上方(天井側)を向き、第2及び第3スピーカユニット24,25が受聴位置210を向く状態で設置してもよい。この場合、各スピーカユニット23〜25の左右の位置が逆転するため、レフト側のスピーカユニット(第1スピーカユニット23Lなど)と、ライト側のスピーカユニット(第1スピーカユニット23Rなど)とに入力する音響信号を切り替える回路等を、スピーカ装置10に設けてもよい。
【0055】
また、スピーカ装置10は、壁203に沿って配置する必要はなく、壁203から一定の距離だけ離れた位置でもよい。
また、スピーカ装置10の位置を固定する方法は、一例であり、例えば、図1に示す場合において、スピーカ装置10をラック15の上に置かずに、壁203に対して固定してもよい。
また、スピーカ装置10に入力される信号は、2.1chの信号に限らず、ステレオ2chの信号でもよい。この場合、スピーカ装置10は、第1及び第2スピーカユニット23,24で再生できない低域を第3スピーカユニット25に入力する構成でもよい。また、スピーカ装置10に入力される信号は、2.1chを超えるマルチチャンネルの信号でもよい。この場合、受聴者220の後方や上方にスピーカを設置せず、前方に設置した複数のスピーカから後方及び上方のサラウンドチャンネルの音を発生させる、いわゆるバーチャル・サラウンド再生を行う構成を備えてもよい。より具体的には、スピーカ装置10は、例えば、入力される音響信号の後方チャンネルの信号に対し、受聴者220の後方の仮想スピーカ位置に定位させる定位付加処理部と、音響信号の左出力信号及び右出力信号に対し、受聴者220の左耳にスピーカユニットから放音された左出力信号のみを到達させ、受聴者220の右耳にスピーカユニットから放音された右出力信号のみを到達させるクロストーク・キャンセル処理部とを備える構成でもよい。
【0056】
また、上記実施形態におけるスピーカ装置10の各部材の数、形状、位置等は一例であり、適宜変更可能である。例えば、ケース21を、左右方向に長い直方体形状としたが、これに限らず、丸みを帯びた形状、楕円形状、湾曲した形状等の他の形状に適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 スピーカ装置、21 ケース、23 第1スピーカユニット、24 第2スピーカユニット、25 第3スピーカユニット、47 イコライザ補正部、49 遅延補正部、51 レベル補正部、57 スイッチ、210 受聴位置。
図1
図2
図3