(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に設けられた複数のタイヤ夫々を識別する識別情報と、該複数のタイヤ夫々の空気圧に係る空気圧情報とを取得する空気圧情報取得部を備え、該空気圧情報取得部が取得した識別情報及び空気圧情報に応じた報知を行う車載報知装置であって、
前記複数のタイヤの装着位置を、各タイヤを識別する識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、
前記車両の車高を取得する車高取得部と、
該車高取得部が取得した車高が所定の高さ以上であるか否かを判定する車高判定部と、
取得された空気圧情報が表す空気圧が所定の閾値以下であるか否かを判定する空気圧閾値判定部と、
前記車高判定部が所定の高さ以上でないと判定した場合、前記空気圧情報取得部が取得した識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶されたタイヤの装着位置、及び前記空気圧情報取得部が取得した該タイヤの空気圧情報に応じた情報を報知し、前記車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、少なくとも前記タイヤの装着位置に応じた情報を報知せず、前記空気圧情報取得部が取得したタイヤの空気圧情報に応じた前記空気圧閾値判定部の判定結果を報知する報知部と
を備える車載報知装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本発明の一態様に係る車載報知装置は、車両に設けられた複数のタイヤ夫々を識別する識別情報と、該複数のタイヤ夫々の空気圧に係る空気圧情報とを取得する空気圧情報取得部を備え、該空気圧情報取得部が取得した識別情報及び空気圧情報に応じた報知を行う車載報知装置であって、前記複数のタイヤの装着位置を、各タイヤを識別する識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、前記車両の車高を取得する車高取得部と、該車高取得部が取得した車高が所定の高さ以上であるか否かを判定する車高判定部と、前記車高判定部が所定の高さ以上でないと判定した場合、前記空気圧情報取得部が取得した識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶されたタイヤの装着位置、及び前記空気圧情報取得部が取得した該タイヤの空気圧情報に応じた情報を報知し、前記車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、少なくとも前記タイヤの装着位置に応じた情報を報知しない報知部とを備える。
【0014】
本願にあっては、記憶部は、複数のタイヤの装着位置を、各タイヤを識別する識別情報に対応付けて記憶する。車高取得部は車高の高さを取得する。車高判定部は、車高取得部が取得した車高が所定の高さ以上であるか否かを判定する。報知部は、車高判定部が所定の高さ以上でないと判定した場合、取得された識別情報に対応付けて記憶部に記憶されたタイヤの装着位置と、取得された当該タイヤの空気圧情報に応じた情報を報知する。従って、車載報知装置は、取得した車高に基づいてタイヤが交換されたか否かを判定することができ、車両に設けられた複数のタイヤの何れかが交換されたか否かにより報知態様を変えることができる。車載報知装置は、何れのタイヤも交換されていない場合には、タイヤの装着位置及び当該タイヤの空気圧に応じた情報を報知し、何れかのタイヤの交換が行われた場合には、例えば、装着位置毎の報知を行わないことで報知の誤りを防止することができる。また、車載報知装置は、ヘッドライトの光軸調整に係る制御、エアサスペンションの圧力制御等に使用される車高センサ等の一般的な車両に搭載される車高を検知可能な構成を用いることができ、構成に際してのコストの増加を抑制することができる。
【0015】
(2)前記報知部は、前記車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、前記空気圧情報取得部が取得したタイヤの空気圧情報に応じた情報を報知するようにしてある構成が好ましい。
【0016】
本願にあっては、報知部は、車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、空気圧情報取得部が取得したタイヤの空気圧情報に応じた情報を報知する。従って、車載報知装置は、何れかのタイヤの交換が行われた場合であっても、装着位置毎の報知を行わずに取得した空気圧に応じた情報を報知することができるため、利便性が向上する。
【0017】
(3)取得された空気圧情報が表す空気圧が所定の閾値以下であるか否かを判定する空気圧閾値判定部を更に備え、前記報知部は、前記車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、前記空気圧閾値判定部の判定結果を報知するようにしてある構成が好ましい。
【0018】
本願にあっては、空気圧閾値判定部は、取得された空気圧情報が表す空気圧が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。報知部は、車高判定部が所定の高さ以上であると判定した場合、空気圧閾値判定部の判定結果を報知する。従って、車載報知装置は、例えば複数のタイヤの何れかが交換された場合にタイヤの装着位置毎に、当該タイヤの空気圧に応じた情報を報知しないことにより、報知の誤りを防止することができる。また、使用者は車両のタイヤが交換された場合であっても少なくとも何れかのタイヤの空気圧が低下していることを知ることができる。そのため、使用者の利便性を向上することができる。
【0019】
(4)前記車高取得部は、反復的に前記車両の車高を取得するようにしてあり、前記車高判定部は、前記車高取得部が反復的に取得した車高が所定時間又は所定回数以上継続して前記所定の高さ以上であるか否かを判定するようにしてある構成が好ましい。
【0020】
本願にあっては、車高取得部は、反復的に車両の車高を取得する。車高判定部は、車高取得部が反復的に取得した車高が所定時間又は所定回数以上継続して所定の高さ以上であるか否かを判定する。従って、車載報知装置は、車高の高さが継続して所定の高さ以上高い場合に、タイヤの交換が
行われたと判定することで、より精度よくタイヤの交換が行われたか否かを判定することができる。
【0021】
(5)本願の一態様に係る報知システムは、上述の車載報知装置と、車両に設けられた複数のタイヤホイールに各配され、対応するタイヤの空気圧を検出し、検出した空気圧を含む空気圧情報、及び該タイヤを識別する識別情報を送信する複数の送信装置とを備え、前記空気圧情報取得部は、前記複数の送信装置から各送信された空気圧情報及び識別情報を取得するようにしてある。
【0022】
本願にあっては、複数の送信装置は、車両に設けられた複数のタイヤに各設けられており、設けられたタイヤの空気圧を検出する。また、複数の送信装置は、検出した空気圧を含む空気圧情報及びタイヤを識別する識別情報を送信する。上述の車載報知装置は、複数の送信装置から各送信された空気圧情報及び識別情報を取得する。従って、車載報知装置は、車両に設けられた複数のタイヤの何れかが交換されたか否かにより報知態様を変えることができる。車載報知装置は、何れのタイヤも交換されていない場合には、タイヤの装着位置及び当該タイヤの空気圧に応じた情報を報知し、何れかのタイヤの交換が行われた場合には、例えば、装着位置毎の報知を行わないことで報知の誤りを防止することができる。また、車載報知装置は、ヘッドライトの光軸調整に係る制御、エアサスペンションの圧力制御等に使用される車高センサ等の一般的な車両に搭載される車高を検知可能な構成を用いることができ、構成に際してのコストの増加を抑制することができる。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る車載報知装置及び報知システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0024】
図1は、本実施形態における報知システムの構成例を示す模式図である。報知システムは、車両Cに設けられた車載報知装置1と、車両Cに設けられたタイヤ3を装着してあるタイヤホイール夫々に取り付けられた送信装置2とを備える。本実施形態の報知システムでは、車載報知装置1が各送信装置2と無線通信を行うことにより、各タイヤ3の空気圧を取得し、取得した空気圧に応じた報知を行う。車載報知装置1は、例えば車両Cの運転席下部に配されたECU(Electronic Control Unit)等の車載装置であり、LF(Low Frequency)帯の電波により空気圧情報を要求する要求信号を各送信装置2に送信する。送信装置2は、車載報知装置1の要求信号に応じて、取り付けられたタイヤホイールに装着されるタイヤ3の空気圧を検出し、検出した空気圧及び後述の装置IDをUHF帯(Ultra High Frequency)帯の電波により車載報知装置1に送信する。なおLF帯及びUHF帯は無線通信を行う際に用いる電波帯域の一例であり、必ずしもこれに限定されない。
【0025】
図2は、送信装置2の構成を示すブロック図である。送信装置2は制御部21を備える。制御部21は各構成部の動作を制御するCPU21aを備える。CPU21aは、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU等により構成される。またCPU21aには、バスを介して、記憶部21b、一時記憶部21c、入出力I/F21d、通信I/F21eが接続されている。CPU21aは記憶部21bに記憶されている後述の制御プログラムを読み出し、各部を制御する。ここで、送信装置2は、図示しない電池を備え、当該電池からの電力により動作する。
【0026】
記憶部21bは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部21bには、CPU21aが処理を行うための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、送信装置2が車載報知装置1と通信を行うときの処理内容と、各部を制御するときの処理内容とが記述されたコンピュータプログラムである。また、記憶部21bには送信装置2を識別する装置IDが記憶されている。ここで、本実施形態における送信装置2は、各タイヤ3に固有に設けられており、装置IDは、タイヤ3を識別する情報でもある。
【0027】
一時記憶部21cは、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリである。一時記憶部21cは、CPU21aが制御プログラムによる処理を行うことによって生ずる各種データを一時記憶する。
【0028】
入出力I/F21dには、圧力センサ22が接続されている。圧力センサ22は、例えばダイヤフラムを備え、圧力の大きさによって変化するダイヤフラムの変形量に基づき、タイヤ3の絶対圧(空気圧)を検出する。絶対圧は、絶対真空を基準にした圧力の大きさである。なお、本実施の形態において、圧力センサ22が検出する空気圧は、絶対圧であることを説明したが、ゲージ圧、所定の基準圧に対する圧力の大きさを示す差圧を検出する構成としてもよい。所定の基準圧は、例えばタイヤ3の状態が点検を必要としない状態における空気圧の範囲の中央値、下限値、又は上限値等である。
圧力センサ22は、入出力I/F21dを介して検出したタイヤ3の空気圧をCPU21aに出力する。CPU21aは、制御プログラムを実行することにより、タイヤ3の空気圧と、記憶部21bに記憶されている装置IDとを含む信号を生成する。
【0029】
通信I/F21eには、RF送信アンテナ25が接続された送信部23と、LF受信アンテナ26が接続された受信部24が接続されている。送信部23は、CPU21aが生成した信号をUHF帯の周波数帯の信号に変調し、変調した信号をRF送信アンテナ25から送信する。受信部24は、車載報知装置1からLF帯の電波を用いて送信された要求信号を、LF受信アンテナ26を介して受信し、受信した信号をCPU21aへ出力する。
【0030】
図3は、車載報知装置1の構成を示すブロック図である。車載報知装置1は制御部11を備え、制御部11は各構成部の動作を制御するCPU11aを備える。CPU11aは、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU等により構成される。またCPU11aには、バスを介して、記憶部11b、一時記憶部11c、通信I/F11d、計時部11e、及び入出力I/F11fが接続されている。CPU11aは記憶部11bに記憶されている後述の制御プログラムを読み出し、各部を制御する。
【0031】
記憶部11bは、EEPROM、フラッシュメモリ等の情報の書き換えが可能な不揮発性メモリである。記憶部11bには、CPU11aが処理を行うための制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、要求信号の生成等の複数の送信装置2と通信を行うときの処理内容と、各部を制御するときの処理内容とが記憶されたコンピュータプログラムである。また、記憶部11bには、対応テーブル12が記憶されている。対応テーブル12は、複数のタイヤ3夫々の装着位置と、各タイヤ3に配された送信装置2の装置IDとの対応関係が記憶されたテーブルであり、後述する。
【0032】
一時記憶部11cは、SRAM、DRAM等のメモリである。一時記憶部11cは、CPU11aが制御プログラムによる処理を行うことによって生ずる各種データを一時記憶する。
【0033】
通信I/F11dには、LF送信アンテナ18に接続された送信部13及びRF受信アンテナ19に接続された受信部14が接続されている。送信部13は、CPU11aが生成した要求信号をLF帯の周波数
帯の信号に変調し、変調した信号をLF送信アンテナ18から送信する。受信部14は、複数の送信装置2夫々からUHF帯の電波を用いて送信された信号を、RF受信アンテナ19を介して受信し、受信した信号をCPU11aへ出力する。なお、LF送信アンテナ18は、車載報知装置1に1本設けられていてもよいし、各タイヤ3に近接する位置に複数本設けられていてもよい。
【0034】
計時部11eは、例えばタイマ、リアルタイムクロック等により構成され、CPU11aの制御に従って計時を開始し、計時結果をCPU11aに与える。
【0035】
入出力I/F11fには、報知部15、車高センサ16、及び車速センサ17が接続されている。報知部15は例えば、運転席正面のインストルメントパネルに設けられた警告灯、カーナビゲーションの表示画面、車載スピーカ等であり、複数のタイヤ3の空気圧に係る情報を報知する。CPU11aは、車高センサ16から取得する後述の情報に基づいて、報知部15の報知態様を切り替える。報知
部15の報知態様の詳細については、後述する。
【0036】
車高センサ16は例えば、車両Cの各タイヤホイールのサスペンションに設けられ、当該サスペンションの伸縮量に応じた電圧をCPU11aに出力する。車高センサ16は、車両Cに設けられたヘッドライトの光軸調整に係る制御に使用され、当該サスペンションがエアサスペンションであった場合には圧力制御に使用される。CPU11aは、当該電圧に基づいて、車両Cの車高を検出する。このとき、CPU11aは、制御プログラムを実行することにより、車高取得部として機能する。なお、車高センサ16は、車両Cの車高に係る情報をCPU11a
に出力する構成であればよく、車両Cの車高を直接検出し、検出した車高の情報をCPU11aに出力するようにしてもよいし、サスペンションの伸縮量以外の車高に係る情報をCPU11aに出力するようにしてもよい。
【0037】
車速センサ17は例えば、車両Cの車軸に設けられ、当該車軸の回転に応じたパルス信号をCPU11aに出力する。CPU11aは、当該パルス信号に基づいて車両Cの
車速を検出する。なお、車速センサ17は、車両Cの車速又は車輪速等の車速に係る情報をCPU11aに出力可能な構成であればどのようなものが用いられてもよい。
【0038】
図4は、対応テーブル12の具体例を示す説明図である。対応テーブル12には、装置ID毎に、各装置IDが識別するタイヤ3の装着位置が記憶されている。例えば、
図4中の対応テーブル12において、装置ID1により識別されるタイヤ3は車両Cの右前に設けられている。同様に、装置ID2により識別されるタイヤ3は車両Cの右後ろに設けられ、装置ID3により識別されるタイヤ3は車両Cの左前に設けられ、装置ID4により識別されるタイヤ3は車両Cの左後ろに設けられている。なお、対応テーブル12は、装置IDと当該装置IDに識別されるタイヤ3の装着位置とが対応付けて記憶部11bに記憶することができれば、記憶される際のデータ構造は問わない。
【0039】
車載報知装置1は例えば、タイヤ3の何れかが交換されたと判定した後、車両Cが走行を開始した場合に対応テーブル12を更新する。車載報知装置1は例えば、所定時間間隔での車両Cにおけるタイヤホイールの位相差、送信装置2から送信されたUHF帯の電波の受信信号強度等に基づいて対応テーブル12の更新を行う。ここで、タイヤホイールの位相差に基づいて対応テーブル12の更新が行われる一例を、以下に示す。なお、対応テーブル12
の更新は、以下に示す一例以外であってもよいことは言うまでもない。
【0040】
車載報知装置1は車両Cの各タイヤホイールの回転角度に係る情報をABS(Antilock Brake System)に用いられるセンサ等により検出し、検出した情報に基づいて、各タイヤホイールの所定時間間隔での位相差を算出する。また、送信装置2は、回転センサ、加速度センサ等により自身が配されたタイヤホイールの回転角度に係る情報を検出し、検出した情報に基づいて、所定時間間隔での当該タイヤホイールの位相差を算出し、車載報知装置1に当該位相差を送信する。車載報知装置1は、送信装置2から送信された位相差と自身が算出した位相差とを比較し、最も相関のある位相差に対応するタイヤホイール装着位置と当該送信装置2の装置IDとを対応付けて対応テーブル12に記憶する。車載報知装置1は、各送信装置2について位相差の比較を行い、対応する装着位置及び装置IDを対応テーブル12に記憶することで当該対応テーブル12を更新する。
【0041】
ここで、2つのタイヤ3の装着位置が交換された場合、対応テーブル12の更新が行われるまでは、当該対応テーブル12に記憶されたタイヤ3の装着位置及び送信装置2の対応関係と、実際の対応関係とが異なる。
【0042】
以上のように構成された報知システムにおいて、車載報知装置1は車高センサ16を用いて取得した車高に基づいて、タイヤ3の何れかが交換されたか否かを判定し、その判定結果に応じてタイヤ3の空気圧に係る情報の報知部15による報知態様を切り替える。車載報知装置1がタイヤ3の何れも交換されていないと判定したときの報知部15による報知態様の具体例と、車載報知装置1がタイヤ3の何れかが交換されたと判定したときの報知部15による報知態様の具体例とを以下に示す。
【0043】
図5は、報知部15による報知態様の具体例を示す説明図である。
図5A及び
図5Bは、インストルメントパネルに設けられた報知部15の拡大図であり、当該報知部15は、車両Cを模した形状の表示部が設けられ、当該表示部の周辺に空気圧に係る情報を視覚的に表示する。
図5Aは、車載報知装置1がタイヤ3の何れも交換されていないと判定したときの報知部15の報知態様の一例を示している。当該報知態様においては、当該表示部の周辺に各タイヤ3の空気圧の値が表示されており、各値の表示位置は各タイヤ3の装着位置に対応している。具体的には、
図5A中の「32」の表示は、車両Cの右前に設けられたタイヤ3の空気圧の値を表し、「28」の表示は車両Cの左前に設けられたタイヤ3の空気圧の値を表している。同様に、
図5A中の「24」の表示は車両Cの右後ろに設けられたタイヤ3の空気圧の値を表しており、「26」の表示は車両Cの左後ろに設けられたタイヤ3の空気圧を表している。
【0044】
図5Bは、車載報知装置1がタイヤ3の何れかが交換されたと判定したときの報知部15の報知態様の一例を示している。車載報知装置1は、各送信装置2から送信された空気圧の内、何れか一つでもタイヤ3の点検、交換等が必要な低い空気圧があった場合、「The Pressure Low」等の警告メッセージを表示し、タイヤ3の何れかの空気圧が低下していることを報知する。このとき、車載報知装置1は、空気圧が低下しているタイヤ3を識別せずに報知部15にて報知を行う。
【0045】
なお、
図5Aにおいて、一又は複数のタイヤ3の空気圧が低下している場合、対象のタイヤ3の空気圧の値を強調表示し、
図5Bに示したような警告メッセージを表示することで、空気圧が低下しているタイヤ3を識別可能に報知するようにしてもよい。
【0046】
以上のように車載報知装置1が空気圧に係る情報の報知態様を切り替えることによって、タイヤ3の何れかが交換された後、対応テーブル12が更新されていない期間であっても、報知の誤りを防止することができる。
【0047】
次に、車載報知装置1がタイヤ3の何れかが交換されているか否かを判定する処理と、空気圧に係る情報の報知態様を切り替える処理とについて説明する。
【0048】
図6は、車両Cの車高に基づいてタイヤ3が交換されたか否かを判定するときにおける車載報知装置1の処理手順を示すフローチャートである。車載報知装置1における制御部11のCPU11aは、車両Cの車高を取得すべきサンプリングタイミングにあるか否かを判定する(ステップS11)。CPU11aは例えば
、車両Cが停車している状態で所定時間が経過する都度、車高を取得すべきサンプリングタイミングにあると判定する。CPU11aは例えば、車速センサ17を用いて車両Cが停車しているか否かを判定する。また、所定時間は、例えば5秒である。
【0049】
車両Cの車高を取得すべきサンプリングタイミングにないと判定した場合(S11:NO)、CPU11aはサンプリングタイミングになるまで処理を待つ。一方、車両Cの車高を取得すべきサンプリングタイミングにあると判定した場合(S11:YES)、CPU11aは、車高センサ16から入力された電圧等から車両Cの車高を取得する(ステップS12)。
【0050】
車高を取得したCPU11aは、取得した車高が所定の高さ以上であるか否かを判定する(ステップS13)。所定の高さは例えば、タイヤ3の何れかを交換するときに車両Cが持ち上げられたときの車高よりも低く、かつ車両Cが走行中等に跳ね上がったときの車高よりも高く設定されている。取得した車高が所定の高さ以上でない、即ち所定の高さよりも低い場合(S13:NO)、CPU11aは計時部11eの計時をリセットする(ステップS14)。CPU11aは例えば、計時のリセットに係るリセット信号を計時部11eに出力する。その後、CPU11aはステップS11に処理を戻す。
【0051】
取得した車高が所定の高さ以上であると判定した場合(S13:YES)、CPU11aは、計時部11eが計時中であるか否かを判定する(ステップS15)。計時部11eが計時中でないと判定した場合(S15:NO)、CPU11aは、計時部11eに計時を開始させ(ステップS16)、その後ステップS11に処理を戻す。
【0052】
計時部11eが計時中であると判定した場合(S15:YES)、当該計時部11eが計時を開始してから所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS17)。所定時間は例えば、少なくとも一つのタイヤ3を交換するのに要する時間であり、一例としては5分である。CPU11aはステップS13〜ステップS17において、制御プログラムを実行することにより、車高判定部として機能する。
【0053】
所定時間を経過していないと判定した場合(S17:NO)、CPU11aは、ステップS11に処理を戻す。一方、所定時間を経過したと判定した場合(S17:YES)、CPU11aは、対応テーブル12をリセットする(ステップS18)。具体的には、CPU11aは、対応テーブル12の内容を消去する。ステップS18における処理は、CPU11aがタイヤ3の何れかが交換されたと判定したことを表す。その後、CPU11aは処理を終える。
【0054】
図7は、タイヤ3の空気圧に係る情報を報知するときにおける車載報知装置1の処理手順を示すフローチャートである。車載報知装置1における制御部11のCPU11aは、要求信号の送信タイミングにあるか否かを判定する(ステップS21)。CPU11aは例えば、車両Cの駆動源が始動している状態で所定時間が経過する都度、要求信号の送信タイミングにあると判定する。所定時間は例えば1秒である。
【0055】
送信タイミングにないと判定した場合(S21:NO)、CPU11aは送信タイミングになるまで待機する。一方、送信タイミングにあると判定した場合(S21:YES)、CPU11aは各送信装置2に要求信号を順次送信する(ステップS22)。
【0056】
要求信号を受信した送信装置2は、上述のように自身が配されたタイヤホイールに装着されたタイヤ3の空気圧を検出し、検出した空気圧と自身の装置IDとを車載報知装置1に送信する。
【0057】
CPU11aは、送信した要求信号に応じて送信装置2から送信された空気圧及び装置IDを受信したか否かを判定する(ステップS23)。空気圧及び装置IDを受信していないと判定した場合(S23:NO)、CPU11aは受信するまで待機する。ステップS23において、空気圧及び装置IDを受信する受信部14は、空気圧情報取得部に相当する。
【0058】
空気圧及び装置IDを受信したと判定した場合(S23:YES)、CPU11aは車両Cのタイヤ3の何れかが交換されたか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、CPU11aは、対応テーブル12に内容が記憶されているか否かにより、タイヤ3の何れかが交換されたか否かを判定する。
【0059】
タイヤ3の何れかが交換されたと判定した場合(S24:YES)、CPU11aは、受信した空気圧が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS25)。所定の閾値は、車両Cの走行に際してタイヤ3の空気圧の低下により問題が生じることを防止するためにタイヤ3の交換、点検等が必要な値である。CPU11aはステップS25において制御プログラムを実行することにより、空気圧閾値判定部として機能する。受信した空気圧が所定の閾値以下ではない、即ち当該空気圧が所定の閾値よりも高いと判定した場合(S25:NO)、CPU11aは処理を終える。
【0060】
受信した空気圧が所定の閾値以下であると判定した場合(S25:YES)、CPU11aは、報知部15に警告を報知させる(ステップS26)。報知部15は例えば、上述の
図5Bに示した態様で報知する。その後、CPU11aは処理を終える。
【0061】
一方、ステップS24においてタイヤ3の何れも交換されていないと判定した場合(S24:NO)、CPU11aは受信した装置IDにより識別されるタイヤ3の装着位置を特定する(ステップS27)。具体的には、CPU11aは、記憶部11bに記憶された対応テーブル12に基づいて、受信した装置IDに対応する装着位置を特定する。
【0062】
次いで、CPU11aは、受信した空気圧が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS28)。所定の閾値は、ステップS25にて判定した閾値と同じである。受信した空気圧が所定の閾値以下であると判定した場合(S28:YES)、特定したタイヤ3を識別可能なように、受信した空気圧の値及び当該タイヤ3の空気圧が低下している旨の警告を報知部15に報知させる(ステップS29)。その後、CPU11aは処理を終える。
【0063】
一方、受信した空気圧が所定の閾値よりも高いと判定した場合(S28:NO)、CPU11aは、特定したタイヤ3を識別可能なように、受信した空気圧を報知部15に報知させる(ステップS30)。報知部15は例えば、上述の
図5Aに示した態様で報知する。その後、CPU11aは処理を終える。
【0064】
なお、
図7中のステップS24〜ステップS30までの処理手順は、一の送信装置2から送信された空気圧及び装置IDに基づいて車載報知装置1が行う処理手順である。車載報知装置1は、送信装置2から空気圧及び装置IDを受信する毎に当該処理手順を行う。
【0065】
以上の構成及び処理によって、車載報知装置1は、取得した車両Cの車高に基づいてタイヤ3が交換されたか否かを判定することができ、車両Cに設けられた複数のタイヤ3の何れかが交換されたか否かにより報知態様を変えることができる。本実施形態における車載報知装置1は、何れのタイヤ3も交換されていない場合には、タイヤ3の装着位置及び当該タイヤ3の空気圧に応じた情報を報知し、何れかのタイヤ3の交換が行われた場合には、装着位置毎の報知を行わない。そのため、対応テーブル12が更新されるまでの期間に、対応テーブル12に基づくタイヤ3の装着位置及び送信装置2の対応関係の報知を行わず、報知の誤りを防止することができる。また、車載報知装置1は、ヘッドライトの光軸調整に係る制御、エアサスペンションの圧力制御等に使用される車高センサ16等の一般的な車両に搭載される車高を検知可能な構成を用いることができ、構成に際してのコストの増加を抑制することができる。
【0066】
また、車載報知装置1は、例えば複数のタイヤ3の何れかが交換された場合にタイヤ3の装着位置毎に、当該タイヤ3の空気圧に応じた情報を報知しないことにより、報知の誤りを防止することができる。また、使用者は車両Cのタイヤ3が交換された場合であっても少なくとも何れかのタイヤ3の空気圧が低下していることを知ることができる。そのため、使用者の利便性を向上することができる。
【0067】
また、車載報知装置1は、車高の高さが継続して所定の高さ以上高い場合に、タイヤ3の交換が
行われたと判定することで、より精度よくタイヤ3の交換が行われたか否かを判定することができる。
【0068】
なお、本実施形態において、報知部15は
図5A及び
図5B夫々に示した報知態様により送信装置2から受信した空気圧に応じた情報を報知することを説明したが、その他の報知態様であってもよい。即ち、報知部15は、タイヤ3が交換されていない場合に、タイヤ3の装着位置及び空気圧に応じた情報を報知すれば、表示、音声、振動等を用いて報知してもよい。同様に、報知部15は、タイヤ3が交換された場合に、タイヤ3の装着位置に応じた情報を報知しないようにすれば、表示、音声、振動等を用いて報知してもよい。例えば、報知部15は、タイヤ3が交換された場合、各送信装置2から送信された空気圧の内、最小値のみを表示するようにしてもよいし、複数の空気圧を列挙するように表示してもよい。
【0069】
また、本実施形態において、送信装置2は、車載報知装置1の要求に応じてタイヤ3の空気圧を送信することを説明したが、所定のタイミングでタイヤ3の空気圧を送信するようにしてもよい。所定のタイミングは例えば、タイヤ
3が回転したとき、エンジン始動等の所定時点から1秒等の所定時間が経過する都度等であり、適宜設定し得る。このとき、車載報知装置1の送信部13及びLF送信アンテナ18並びに送信装置2の受信部24及びLF受信アンテナ26の構成は必須ではない。またこのとき、
図7中のステップS21及びステップS22の処理を車載
報知装置1が行うことは必須ではない。
【0070】
また、本実施形態において、車載報知装置1は、送信装置2が検出及び送信した空気圧を受信
することにより、当該空気圧を取得する例を説明したが、他の空気圧に係る情報を取得するようにしてもよい。例えば、送信装置2は自身が検出した空気圧に応じて「高い」、「通常」、「低い」等の空気圧の程度を送信し、車載報知装置1は当該空気圧の程度を受信し、報知するようにしてもよい。
【0071】
また、
図6中のステップS18において、CPU11aは対応テーブル12をリセットすることを示したが、対応テーブル12をリセットする以外の処理によって、タイヤ3の何れかが交換されたことを表してもよい。例えば、CPU11aは、ステップS18にてタイヤ3の何れかがが交換されたことを示す情報を一時記憶部11cに一時記憶する処理を行い、
図7中のステップS24にて一時記憶部11cに当該情報が一時記憶されているか否かを判定するようにしてもよい。つまり、車両Cの車高が所定の高さ以上であることに基づいて、報知部15の報知態様を切り替え可能にすれば、ステップS18においては何れの処理が行われてもよい。
【0072】
更に、車載報知装置1は、
図7中のステップS25及びステップS28において、送信装置2から送信された空気圧が所定の閾値以下であるか否かを判定することにより、対応するタイヤ3の空気圧の低下を判定したが、その他の空気圧の異常を判定してもよい。車載報知装置1は例えば、ステップS25及びステップS28で空気圧が所定の閾値以下ではないと判定した後、当該閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定してもよい。この場合、車載報知装置1は、タイヤ3の点検、交換等が必要な高い空気圧があるか否かを判定している。また、当該第2の閾値以上であると判定した場合、車載報知装置1は例えば、報知部15に「Tire Pressure High」等の警告メッセージを表示させるようにしてもよい。