特許第6380068号(P6380068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧

特許6380068長尺物の搬送装置および長尺物の製造方法
<>
  • 特許6380068-長尺物の搬送装置および長尺物の製造方法 図000002
  • 特許6380068-長尺物の搬送装置および長尺物の製造方法 図000003
  • 特許6380068-長尺物の搬送装置および長尺物の製造方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380068
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】長尺物の搬送装置および長尺物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/26 20060101AFI20180820BHJP
   B65G 17/32 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B65G17/26 Z
   B65G17/32 C
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-250520(P2014-250520)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-113219(P2016-113219A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162020
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】宇野 哲広
(72)【発明者】
【氏名】古田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】桑名 弘
(72)【発明者】
【氏名】大桃 節也
(72)【発明者】
【氏名】林 均
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−128864(JP,A)
【文献】 実開平02−086679(JP,U)
【文献】 実開昭53−141679(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00−17/48
B65G 15/00−15/28
B65G 15/60−15/64
B65G 47/28−47/31
B07C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿って平行に支持された複数の長尺物を搬送する、長尺物の搬送装置であって、
前記搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部を有するとともに、隣接する当該仕切部間にて各長尺物を保持しつつ、連続的に搬送する無端状の搬送コンベアと、
該搬送コンベアの前記搬送方向の上流側端部において、水平方向、且つ前記搬送方向との直交方向を軸心方向として軸支され、該軸心を中心として放射状に突出する複数の爪部を有するとともに、前記軸心を中心にして間欠的に回転することにより、隣接する前記爪部間にて、上方より供給される長尺物を一本毎に支持しつつ、前記搬送コンベアの前記仕切部間に、長尺物を一本毎に供給する羽根車と、を備え
前記羽根車を、上下移動可能とする第一の昇降手段をさらに備える、
ことを特長とする長尺物の搬送装置。
【請求項2】
搬送方向に沿って平行に支持された複数の長尺物を搬送する、長尺物の搬送装置であって、
前記搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部を有するとともに、隣接する当該仕切部間にて各長尺物を保持しつつ、連続的に搬送する無端状の搬送コンベアと、
該搬送コンベアの前記搬送方向の上流側端部において、水平方向、且つ前記搬送方向との直交方向を軸心方向として軸支され、該軸心を中心として放射状に突出する複数の爪部を有するとともに、前記軸心を中心にして間欠的に回転することにより、隣接する前記爪部間にて、上方より供給される長尺物を一本毎に支持しつつ、前記搬送コンベアの前記仕切部間に、長尺物を一本毎に供給する羽根車と、を備え、
前記搬送コンベアを、上下移動可能とする第二の昇降手段をさらに備える、
ことを特長とする長尺物の搬送装置。
【請求項3】
搬送方向に沿って平行に支持された複数の長尺物を搬送する、長尺物の搬送装置であって、
前記搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部を有するとともに、隣接する当該仕切部間にて各長尺物を保持しつつ、連続的に搬送する無端状の搬送コンベアと、
該搬送コンベアの前記搬送方向の上流側端部において、水平方向、且つ前記搬送方向との直交方向を軸心方向として軸支され、該軸心を中心として放射状に突出する複数の爪部を有するとともに、前記軸心を中心にして間欠的に回転することにより、隣接する前記爪部間にて、上方より供給される長尺物を一本毎に支持しつつ、前記搬送コンベアの前記仕切部間に、長尺物を一本毎に供給する羽根車と、を備え、
前記羽根車を、上下移動可能とする第一の昇降手段と、
前記搬送コンベアを、上下移動可能とする第二の昇降手段をさらに備える、
ことを特長とする長尺物の搬送装置。
【請求項4】
前記第二の昇降手段は、前記搬送コンベアの搬送方向の下流側端部を支点としつつ、当該搬送方向の上流側端部を上下移動させる、
ことを特長とする、請求項2または請求項3に記載の長尺物の搬送装置。
【請求項5】
搬送方向に沿って平行に支持された複数の長尺物を搬送する、長尺物の搬送装置であって、
前記搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部を有するとともに、隣接する当該仕切部間にて各長尺物を保持しつつ、連続的に搬送する無端状の搬送コンベアと、
該搬送コンベアの前記搬送方向の上流側端部において、水平方向、且つ前記搬送方向との直交方向を軸心方向として軸支され、該軸心を中心として放射状に突出する複数の爪部を有するとともに、前記軸心を中心にして間欠的に回転することにより、隣接する前記爪部間にて、上方より供給される長尺物を一本毎に支持しつつ、前記搬送コンベアの前記仕切部間に、長尺物を一本毎に供給する羽根車と、を備え、
前記搬送コンベアは複数備えられ、搬送される前記長尺物の延出方向の両端部において、平面視にて平行に離間して配置されるとともに、
前記長尺物の延出方向の中央部において、無端状の補助コンベアが、前記搬送コンベアに対して、平面視にて平行に配置され
前記補助コンベアの上端面は、複数の前記搬送コンベア各々の上端面を同時に含む仮想平面からなる搬送面より下方に位置する、
ことを特長とする長尺物の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送コンベア、前記羽根車、および前記補助コンベアは、各々独立して運転可能な駆動源を備える、
ことを特長とする、請求項5に記載の長尺物の搬送装置。
【請求項7】
長尺物を切り出す切断工程と、
切り出された前記長尺物を請求項1からの何れかに記載の搬送装置を用いて加工工程へ搬送する搬送工程と、を備える、
ことを特長とする長尺物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺物の搬送装置、および長尺物の製造方法の技術に関し、より詳しくは、搬送方向に沿って等間隔に配置された複数の仕切部を備える無端状の搬送コンベアにおいて、当該仕切部によって仕切られた間隙に、連続的に供給される長尺物を一本毎に確実に乗移らせることが可能な長尺物の搬送装置、および当該搬送装置を用いた長尺物の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺物の一例として、例えば医療用のアンプルや照明用の蛍光管などに用いられるガラス管は、主としてダンナー法によって生産される。
前記ダンナー法においては、先端部を斜下方に向けつつ軸心を中心にして回転してなるスリーブの外周面に、帯紐状の溶融ガラスが巻き付けられる。スリーブに巻き付けられた溶融ガラスは、徐々に一様な厚みの層となって該スリーブの先端部へと流動する。
そして、スリーブの先端部から圧縮空気が噴出されるとともに、該スリーブの前方には管引機が配設され、該管引機の牽引力によって、溶融ガラスはスリーブの先端部よりガラス管となって引出される。
【0003】
管引機によって引出されたガラス管は、一旦、ガラス管切断装置によって所定長さに粗切断される。
粗切断されたガラス管は、無端状の搬送コンベア(例えば、「特許文献1」を参照)に連続的に供給され、その後、再切・口焼工程、検査工程へと順に搬送される。
そして、検査工程を経たガラス管は、搬送コンベアより離脱され、所定本数毎に包装されて出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−128864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した無端状の搬送コンベアにおいては、搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部が備えられている。複数のガラス管は、これらの仕切部によって仕切られた複数の間隙内に支持された状態で、各々個別に略並行に、その軸心方向に対して直交方向へ搬送される。
こうして、前記搬送コンベアは、搬送途中のガラス管同士が互いに接触し、ガラス管の表面に傷や欠損等が生じるのを防止する構成となっている。
【0006】
ここで、粗切断されたガラス管の、前記搬送コンベアへの乗移りについては、従来から、主に当該搬送コンベアの上方より行われていた。
そのため、例えば、上方より供給されたガラス管が、搬送コンベア上に着地した直後に跳ね上がり、所望の間隙に載置できない場合や、意図せず他の間隙に入り込んだりする場合があった。このような場合、前記ガラス管は、搬送方向に対して斜方向に載置され、或いは複数のガラス管が同じ1つの間隙に載置される等して、ガラス管同士の接触を誘発し、ガラス管の表面に傷や欠損等を生じさせる可能性があった。
【0007】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、例えばガラス管等の長尺物を、搬送方向に沿って等間隔に配置された複数の仕切部を備える無端状の搬送コンベアによって搬送する、長尺物の搬送装置であって、当該仕切部によって仕切られた間隙に対して、連続的に供給される長尺物を一本毎に確実に乗移らせることが可能な長尺物の搬送装置、および当該搬送装置を用いた長尺物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明における長尺物の搬送装置は、搬送方向に沿って平行に支持された複数の長尺物を搬送する、長尺物の搬送装置であって、前記搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部を有するとともに、隣接する当該仕切部間にて各長尺物を保持しつつ、連続的に搬送する無端状の搬送コンベアと、該搬送コンベアの前記搬送方向の上流側端部において、水平方向、且つ前記搬送方向との直交方向を軸心方向として軸支され、該軸心を中心として放射状に突出する複数の爪部を有するとともに、前記軸心を中心にして間欠的に回転することにより、隣接する前記爪部間にて、上方より供給される長尺物を一本毎に支持しつつ、前記搬送コンベアの前記仕切部間に、長尺物を一本毎に供給する羽根車と、を備えることを特長とする。
【0010】
このように、本発明における長尺物の搬送装置においては、間欠的な回転動作を行う羽根車によって、連続的に供給される複数の長尺物を一本毎に一旦支持するとともに、その後の当該羽根車の所定の位相角分の回転動作によって、搬送コンベアの仕切部間に長尺物を一本毎に確実に供給することが可能である。
従って、例えば、搬送コンベアへの乗移りの際において、長尺物が搬送コンベア上に着地した直後に跳ね上がり、所望の仕切り部間に載置されなかったり、或いは、意図せず他の仕切部間に入り込んで、搬送方向に対して斜方向に載置されたりするようなこともなく、長尺物同士の接触を回避し、長尺物の表面に傷や欠損等を生じるのを防止することができる。
【0011】
また、本発明における長尺物の搬送装置においては、前記羽根車を、上下移動可能とする第一の昇降手段をさらに備えることを特長とする。
【0012】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、例えば、長尺物の両端部側に二基の羽根車が各々配置されるような場合において、細長比の大きな(即ち、細長い)長尺物のように、撓みの影響によって、一端部が羽根車に着地するタイミングと、他端部が羽根車に着地するタイミングとの間にズレが生じ、これらの羽根車に対して、脱落や不安定な保持姿勢となり易いものであっても、各羽根車の上下位置の微調整を単独で行うことによって、このようなタイミングのズレによる悪影響を防止することができる。
【0013】
また、本発明における長尺物の搬送装置においては、前記搬送コンベアを、上下移動可能とする第二の昇降手段をさらに備えることを特長とする。
【0014】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、羽根車の上下移動に追従して、搬送コンベアを上下移動することにより、羽根車と、搬送コンベアとの相対的な位置関係を維持することができ、羽根車と搬送コンベアとの間における、長尺物の乗移りの安定化を図ることができる。
【0015】
また、本発明における長尺物の搬送装置において、前記第二の昇降手段は、前記搬送コンベアの搬送方向の下流側端部を支点としつつ、当該搬送方向の上流側端部を上下移動させることを特長とする。
【0016】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、例えば、長尺物の両端部側に二基の搬送コンベアが各々配置されるような場合において、各々の搬送コンベアの上流側端部の上下位置が、互いに相違する場合であっても、各々の搬送コンベアの下流側端部の上下位置は、常に一致することとなる。
従って、二基の搬送コンベアにおいて、搬送方向の上流側端部に供給された直後の長尺物の姿勢が、何れか一方側に傾斜した状態であったとしても、搬送方向の下流側端部に近付くにつれて、徐々に水平姿勢に規制されることとなり、長尺物を安定して搬送することができる。
【0017】
また、本発明における長尺物の搬送装置においては、前記搬送コンベアを複数備え、前記搬送コンベアは、搬送される前記長尺物の延出方向の両端部において、平面視にて平行に離間して配置されるとともに、前記長尺物の延出方向の中央部において、無端状の補助コンベアが、前記搬送コンベアに対して、平面視にて平行に配置されることを特長とする。
【0018】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、例えば、羽根車から搬送コンベアへの乗移り時、または搬送コンベアによる搬送時などにおいて、補助コンベアによって長尺物の延出方向の中央部を下方より支持し、撓みによる悪影響を防止することができる。
【0019】
また、本発明における長尺物の搬送装置において、前記補助コンベアの上端面は、複数の前記搬送コンベア各々の上端面を同時に含む仮想平面からなる搬送面より下方に位置することを特長とする。
【0020】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、羽根車から搬送コンベアへの長尺物の乗移り時、または搬送コンベアによる長尺物の搬送時などにおいて、搬送コンベア上に着地する以前に補助コンベアによって上方に突き上げられ、長尺物の姿勢が不安定になることはない。
また、この際、長尺物に撓みが発生して大きく跳ね上がろうとしても、補助コンベアベルトの上面において長尺物を下方より支持することにより、撓みの発生を防ぎ、長尺物の跳ね上がりを防止することができる。
【0021】
また、本発明における長尺物の搬送装置において、前記搬送コンベア、前記羽根車、および前記補助コンベアは、各々独立して運転可能な駆動源を備えることを特長とする。
【0022】
このような構成からなる本発明における長尺物の搬送装置によれば、例えば、搬送される長尺物の仕様変更や、搬送コンベアの定期的なメンテナンスなどのために、搬送装置全体の運転を一旦停止し、羽根車の位相調整等を行う場合であっても、搬送コンベア、羽根車、および補助コンベアの駆動源は、各々単独に運転可能であるため、各々の位相等を容易に微調整できる。
【0023】
また、本発明における長尺物の製造方法においては、長尺物を切り出す切断工程と、切り出された前記長尺物を請求項1から7の何れかに記載の搬送装置を用いて加工工程へ搬送する搬送工程と、を備えることを特長とする。
【0024】
このように、本発明における長尺物の製造方法においては、切断行程にて切り出された複数の長尺物を、間欠的な回転動作を行う羽根車によって一本毎に一旦支持し、その後の搬送行程にて、当該羽根車を所定の位相角分回転させて、搬送コンベアの仕切部間に長尺物を一本毎に確実に供給することが可能である。
従って、例えば、搬送コンベアへの乗移りの際において、長尺物が搬送コンベア上に着地した直後に跳ね上がり、所望の仕切り部間に載置されなかったり、或いは、意図せず他の仕切部間に入り込んで、搬送方向に対して斜方向に載置されたりするようなこともなく、長尺物同士の接触を回避し、長尺物の表面に傷や欠損等を生じるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明における長尺物の搬送装置、および長尺物の製造方法によれば、搬送方向に沿って等間隔に配置された複数の仕切部を備える無端状の搬送コンベアにおいて、当該仕切部によって仕切られた間隙に対して、連続的に供給される長尺物を一本毎に確実に乗移らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る長尺物の搬送装置の全体的な構成を示した平面図。
図2】同じく、長尺物の搬送装置を示した側面図。
図3】同じく、長尺物の搬送装置を示した図であって、図2中の矢印Xの方向から見た断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0028】
[搬送装置1の構成]
先ず、本発明を具現化する長尺物の搬送装置1の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1乃至図3に示した矢印の方向によって、搬送装置1の上下方向、前後方向、および左右方向を規定して記述する。
また、図1および図2においては、矢印Aの方向をガラス管Gの搬送方向と規定して説明する。
【0029】
本実施形態における搬送装置1は、例えば、医療用のアンプルや照明用の蛍光管などに用いられるガラス管Gの製造工程において、連続的に供給される複数の粗切断後のガラス管G・G・・・を搬送方向(矢印Aの方向)に沿って平行に支持しつつ、後工程である再切・口焼工程、検査工程へと順に搬送するための装置である。
なお、搬送装置1によって搬送される被搬送物は、本実施形態のガラス管Gに限定されるものではなく、例えば、長尺物である管状物や棒状物、柱状物等であれば、何れのものであってもよい。
【0030】
搬送装置1は、図1に示すように、主に、搬送コンベア10、乗移り装置20、および補助コンベア30などにより構成される。
搬送コンベア10は、複数のガラス管G・G・・・を一本毎に保持しつつ、搬送方向(矢印Aの方向)に向かって連続的に搬送するためのものである。
【0031】
搬送コンベア10は、主駆動プーリー11、主従動プーリー12、主コンベアベルト13、および第一駆動モータ14などにより構成される。
主駆動プーリー11および主従動プーリー12は、軸心方向を水平方向としつつ、互いに搬送方向に対向して軸支される。
また、これらの主駆動プーリー11および主従動プーリー12の間には、無端状の主コンベアベルト13が巻回される。
【0032】
そして、図2に示すように、主コンベアベルト13の外周面には、複数の仕切部13a・13a・・・が、等間隔に配設される。
換言すると、主駆動プーリー11および主従動プーリー12の間において、主コンベアベルト13が巻回されることにより、搬送コンベア10は、搬送方向に沿って等間隔に配置される複数の仕切部13a・13a・・・を有することとなる。
【0033】
ここで、図1に示すように、主駆動プーリー11は、搬送コンベア10の駆動源として設けられる第一駆動モータ14と駆動連結されており、第一駆動モータ14によって、主駆動プーリー11が軸心を中心にして回転されることにより、主コンベアベルト13が、主駆動プーリー11および主従動プーリー12の間にて回転される。
この際、主コンベアベルト13の回転方向としては、通常、主コンベアベルト13の上面(外周面の上側領域)に位置する複数の仕切部13a・13a・・・が、搬送方向に向かって移動する方向に設定されている。
【0034】
このような構成からなる搬送コンベア10・10は、複数(例えば、本実施形態においては二基)備えられ、搬送方向との直交方向に離間しつつ、互いに平行に配置される。
そして、後述するように、各搬送コンベア10の主コンベアベルト13において、互いに隣接する仕切部13a・13aの間隙によって、ガラス管Gの延出方向の両端部が各々保持される。
これにより、複数のガラス管G・G・・・は、二基の搬送コンベア10・10によって、搬送方向に沿って平行に支持されつつ、当該搬送方向に搬送される。
【0035】
なお、図2に示すように、各搬送コンベア10においては、被搬送物であるガラス管Gのサイズ変更への対応や、後述する羽根車21との取り合い関係の調整などを容易に行うことを目的として、搬送コンベア10の上下移動を可能とする昇降手段として、例えば、既知の電動シリンダー等からなる第一アクチュエーター15が備えられる。
【0036】
次に、乗移り装置20について説明する。
乗移り装置20は、搬送装置1に対して連続的に供給される複数のガラス管G・G・・・を、主コンベアベルト13上の互いに隣接する仕切部13a・13a間に、一本毎に確実に乗移らせるためのものである。
【0037】
乗移り装置20は、各々の搬送コンベア10ごとに設けられ、羽根車21、および第二駆動モータ22などにより構成される。
【0038】
羽根車21は、図2に示すように、回転軸21a、および回転軸21aを中心として放射状に突出する複数の爪部21b・21b・・・などにより構成される。
また、羽根車21は、搬送コンベア10の搬送方向の上流側(図2中の後方側)の端部において、水平方向、且つ搬送方向との直交方向(図1中の左右方向)を軸心方向として軸支される。
【0039】
そして、図1に示すように、回転軸21aの一端部には、プーリー21cが同軸上に貫設されており、プーリー21cは、羽根車21の動力源として設けられる第二駆動モータ22と、例えば駆動ベルト23等を介して駆動連結される。
これにより、羽根車21は、第二駆動モータ22によって、回転軸21aを中心にして間欠的に回転される。
その結果、後述するように、搬送装置1に対して連続的に供給される複数のガラス管G・G・・・は、羽根車21によって、一旦、隣接する爪部21b・21b間に一本毎に保持され、その後、搬送コンベア10の互いに隣接する仕切部13a・13a間に、一本毎に供給されることとなる。
【0040】
なお、本実施形態における各羽根車21の左右両側には、傾斜ガイド24・24が各々配置されている。
傾斜ガイド24は、例えば矩形状の板部材によって形成され、図2に示すように、上下方向に平面を向けつつ、側面視にて、搬送方向の下流側(前側)に向かって下方に傾斜するとともに、羽根車21の上部と交差するようにして配置される。
【0041】
そして、搬送装置1に供給されるガラス管Gは、傾斜ガイド24の上面の上流側(後側)に一旦載置され、その後、傾斜ガイド24の傾斜面を伝って下流側(後側)へと転がり落ち、羽根車21の互いに隣接する爪部21b・21b間に上方より供給される。
【0042】
ところで、各乗移り装置20においては、羽根車21の上下移動を可能とする昇降手段として、例えば、既知の電動シリンダー等からなる第二アクチュエーター25が備えられる。
これにより、各羽根車21の上下位置の微調整を、各々単独で容易に行うことができるため、例えば、細長比の大きな(即ち、細長い)ガラス管Gのように、撓みの影響によって、一端部が羽根車21に転がり落ちるタイミングと、他端部が羽根車21に転がり落ちるタイミングとの間にズレが生じ(具体的には、ガラス管Gの進行方向側の端部が先に転がり落ち)、これらの羽根車21・21に対して、脱落や不安定な保持姿勢となり易い場合であっても、直ちに各羽根車21の上下位置を微調整し(具体的には、ガラス管Gの進行方向側の端部に位置する羽根車21の高さを下げて)、このようなタイミングのズレによる悪影響を防止することができる。
【0043】
一方、羽根車21と搬送コンベア10との間における、ガラス管Gの安定した乗移りを維持するためには、各羽根車21と、搬送コンベア10の搬送方向の上流側端部との相対的な位置関係を維持する必要があるところ、本実施形態においては、各羽根車21の上下移動に追従し、前述した第一アクチュエーター15によって、搬送コンベア10を上下移動させる構成となっている。
【0044】
具体的には、第一アクチュエーター15は、搬送コンベア10の搬送方向の上流側端部に配置され、該搬送方向の下流側端部に位置する主駆動プーリー11の軸心を支点としつつ、該搬送方向の上流側端部に位置する主従動プーリー12の位置を上下移動可能な構成となっている。
これにより、第二アクチュエーター25による羽根車21の上下移動に追従して、第一アクチュエーター15による主従動プーリー12の上下移動を容易に行うことが可能になり、羽根車21と、搬送コンベア10の搬送方向の上流側端部との相対的な位置関係の維持を図り、羽根車21と搬送コンベア10との間において、ガラス管Gの安定した乗移りを維持することができる。
【0045】
また、搬送コンベア10において、主従動プーリー12(即ち、搬送コンベア10の搬送方向の上流側端部)は、第一アクチュエーター15によって、主駆動プーリー11の軸心を中心にして上下移動されることから、二基の搬送コンベア10・10間の関係において、各々の主従動プーリー12・12の上下位置が、互いに相違する場合であっても、各々の主駆動プーリー11・11の上下位置は、常に一致することとなる。
従って、二基の搬送コンベア10・10において、搬送方向の上流側端部に供給された直後のガラス管Gの姿勢が、何れか一方側に傾斜した状態であったとしても、搬送方向の下流側端部に近付くにつれて、徐々に水平姿勢に規制されることとなり、ガラス管Gを安定して搬送することができる。
【0046】
次に、補助コンベア30について説明する。
補助コンベア30は、羽根車21から搬送コンベア10への乗移り時、または搬送コンベア10による搬送時などにおいて、ガラス管Gを下方より支持し、撓みによる悪影響を防止するためのものである。
補助コンベア30は、図1に示すように、補助駆動プーリー31、補助従動プーリー32、補助コンベアベルト33、および第三駆動モータ34などにより構成される。
【0047】
補助駆動プーリー31および補助従動プーリー32は、軸心方向を水平方向としつつ、互いに搬送方向に対向して軸支される。
また、例えば本実施形態においては、補助駆動プーリー31の軸心と、補助従動プーリー32の軸心との離間距離が、前述した搬送コンベア10における主駆動プーリー11の軸心と、主従動プーリー12の軸心との離間距離と、同程度に設定されている。
【0048】
そして、これらの補助駆動プーリー31および補助従動プーリー32の間には、無端状の補助コンベアベルト33が巻回される。
【0049】
ところで、図1に示すように、補助駆動プーリー31は、補助コンベア30の駆動源として設けられる第三駆動モータ34と駆動連結されており、第三駆動モータ34によって、補助駆動プーリー31が軸心を中心にして回転されることにより、補助コンベアベルト33が、補助駆動プーリー31および補助従動プーリー32の間にて回転される。
この際、補助コンベアベルト33の回転方向としては、通常、補助コンベアベルト33の上面(外周面の上側領域)が、搬送方向に向かって移動する方向に設定されている。
【0050】
このような構成からなる補助コンベア30は、前述した二基の搬送コンベア10・10の間において、これらの搬送コンベア10・10に対して、平面視にて平行に配置される。
換言すると、補助コンベア30は、平面視にて、搬送されるガラス管Gの延出方向の中央部に配置され、当該ガラス管Gの中央部を下方より支持する構成となっている。
【0051】
ここで、図3に示すように、補助コンベア30の上端面、即ち補助コンベアベルト33の上面は、二基の搬送コンベア10・10各々の上端面、即ち各々の主コンベアベルト13・13の上面を同時に含む仮想平面Pからなる搬送面の下方に位置するように設定されている。
具体的には、補助コンベアベルト33の上面と、仮想平面Pとの間隙寸法hは、搬送されるガラス管Gの撓み量dに比べて僅かに小さな値となるように設定されている。
【0052】
このような位置に補助コンベア30を配置することにより、例えば、ガラス管Gの、羽根車21から搬送コンベア10への乗移り時、または搬送コンベア10による搬送時などにおいて、搬送コンベア10上に着地する以前に補助コンベア30によって上方に突き上げられ、ガラス管Gの姿勢が不安定になることはなく、また、ガラス管Gに撓みが発生して大きく跳ね上がろうとしても、補助コンベアベルト33の上面においてガラス管Gを下方より支持することにより、撓みの発生を防ぎ、ガラス管Gの跳ね上がりを防止することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態における搬送装置1は、図1に示すように、搬送コンベア10、乗移り装置20(より具体的には、羽根車21)、および補助コンベア30などにより構成されるとともに、これらの搬送コンベア10、乗移り装置20(羽根車21)、および補助コンベア30には、各々単独の駆動源である第一駆動モータ14、第二駆動モータ22、および第三駆動モータ34が備えられている。
そして、これらの駆動源である第一駆動モータ14、第二駆動モータ22、および第三駆動モータ34は、図示せぬ制御装置に電気的に接続され、当該制御装置によって集中制御される一方、各々単独に運転可能な構成となっている。
【0054】
このような構成を有することにより、例えば、搬送されるガラス管Gの仕様変更や、搬送コンベア10の定期的なメンテナンスなどのために、搬送装置1の運転を一旦停止し、乗移り装置20の羽根車21の位相調整等を行う場合であっても、これらの第一駆動モータ14、第二駆動モータ22、および第三駆動モータ34は、各々単独に運転可能であるため、各々容易に微調整を行うことができる。
また、これらの駆動源(第一駆動モータ14、第二駆動モータ22、および第三駆動モータ34)は、制御装置(図示せず)を介して、互いに電気信号による情報のやり取りを行いながら、集中制御されることから、例えば、これらの駆動源の内の何れか一つの運転条件を設定することにより、当該運転条件に基づき、他の駆動源の運転条件についても自動的に設定されるため、搬送装置1全体としての調整作業を容易に行うことができる。
【0055】
[搬送装置1の動作手順]
次に、搬送装置1の動作手順について、図1を用いて説明する。
先ず始めに、二基の搬送コンベア10・10と、一基の補助コンベア30とは、互いに同調しながら、同程度の搬送速度によって搬送方向に向かって連続的に回転している。
一方、各搬送コンベア10における乗移り装置20の羽根車21は、各々所定の位相角だけ回転した状態によって停止している。
なお、この際、各羽根車21は、傾斜ガイド24の下流側端部において、互いに隣接する爪部21b・21bの間隙が配置された状態となっている。
【0056】
このような状態において、前工程の切断工程にてガラス管切断装置100によって粗切断され切り出されたガラス管Gは、搬送装置1における搬送方向(矢印Aの方向)の上流側に向かって投入され、複数の傾斜ガイド24・24・・・の上流側端部において、前記搬送方向と直交する姿勢によって載置される。
【0057】
複数の傾斜ガイド24・24・・・上に載置されたガラス管Gは、これらの傾斜ガイド24・24・・・の傾斜面を伝って下流側へと転がり落ちる。
その結果、ガラス管Gは、傾斜ガイド24・24・・・の下流側端部において、各々の羽根車21・21における、互いに隣接する爪部21b・21b間に、上方より同時に供給される。
これにより、ガラス管Gは、羽根車21・21の爪部21b・21b間にて、両端部を介して一本毎に一旦保持される。
【0058】
羽根車21・21の爪部21b・21b間にて、ガラス管Gの両端部が一旦保持された後、各々の搬送コンベア10・10の主コンベアベルト13・13における、互いに隣接する仕切部13a・13aの間隙の位置が所定の位置に到達すると、これらの羽根車21・21は、互いに同調しつつ搬送コンベア10側(搬送方向の下流側)に向かって所定の位相角だけ回転し、その後再び停止する。
このような、羽根車21・21の間欠的な回転動作の結果、ガラス管Gは、これらの羽根車21・21の爪部21b・21b間より搬送コンベア10側へと滑り落ち、各々の主コンベアベルト13・13の仕切部13a・13a間に、上方より供給される。
これにより、ガラス管Gは、主コンベアベルト13・13の仕切部13a・13a間にて、両端部を介して一本毎に保持され、搬送コンベア10・10によって、搬送方向に沿って平行に支持されつつ、当該搬送方向に搬送される。
【0059】
一方、これらの羽根車21・21が、所定の位相角だけ回転した後停止することにより、各傾斜ガイド24の搬送方向の下流側端部においては、再び、各羽根車21の爪部21b・21bの間隙が配置された状態となる。
【0060】
その後、新たに粗切断されたガラス管Gが、再び、搬送装置1における搬送方向の上流側に向かって投入され、前述したように、各々の羽根車21・21の間欠的な回転動作によって、搬送コンベア10へのガラス管Gの乗移りが繰り返される。
【0061】
以上のように、本実施形態における搬送装置1においては、間欠的な回転動作を行う羽根車21によって、連続的に供給される複数のガラス管G・G・・・を、一本毎に一旦保持した後、搬送コンベア10の主コンベアベルト13における、互いに隣接する仕切部13a・13a間に、一本毎に確実に供給することを可能としている。
そして、このような構成からなる搬送装置1を用いて、本実施形態におけるガラス管Gの製造方法は具現化され、ガラス管Gを切り出す切断工程と、搬送装置1を用いて切り出されたガラス管Gを後工程である加工工程へ搬送する搬送工程とを備えて構成される。
【0062】
従って、本実施形態におけるガラス管Gの搬送装置および製造方法によれば、例えば、搬送コンベア10への乗移りの際において、ガラス管Gが搬送コンベア10と当接して跳ね上がり、所望の仕切部13a・13aの間隙に載置されなかったり、或いは、意図せず他の仕切部13a・13aの間隙に入り込んで、搬送方向に対して斜方向に載置されるようなこともなく、ガラス管G・G同士の接触を回避し、ガラス管Gの表面に傷や欠損等を生じるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 搬送装置
10 搬送コンベア
11 主駆動プーリー
13a 仕切部
14 第一駆動モータ
15 第一アクチュエーター(第二の昇降手段)
21 羽根車
21a 回転軸
21b 爪部
22 第二駆動モータ
25 第二アクチュエーター(第一の昇降手段)
30 補助コンベア
34 第三駆動モータ
G ガラス管(長尺物)
P 仮想平面
図1
図2
図3