(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る振動発生装置10について、
図1A〜
図1Cを参照して説明する。振動発生装置10は、例えば、デットボルト式の錠前を有する玄関扉が閉じられた場合に、デットボルトaとラッチボルトbとが内挿される空間を覆うトロヨケ(ストライクボックス)cに設けられる。デットボルトaとラッチボルトbとトロヨケcは、金属から構成される。
【0010】
振動発生装置10は、操作者の特定の操作によって、特定の動きが生じた場合に特定の振動を発生する。本実施の形態では、操作者の錠前を施錠する操作(施錠操作)によって、錠前のデッドボルトaは開錠位置(第1位置)から施錠位置(第2位置)に変位する(施錠動作)。すなわち、デッドボルトaはトロヨケcの方向へ(開錠位置から施錠位置に)前進する。
本実施の形態において、振動発生装置10は、デットボルトaが開錠位置から施錠位置に変位した場合に、開錠位置から施錠位置への変位によるエネルギを用いて、所定の特定周波数の振動を発生する。振動発生装置10は、
図1Aに示すように、当接部11と、支持台12と、当接振動部13と、を備える。
【0011】
当接部11は、トロヨケcの内面に接続される。当接部11は、施錠動作によってデットボルトaが開錠位置から施錠位置に変位した場合に、デットボルトaに突き当たる。当接部11は、デットボルトaの変位によるエネルギをトロヨケcに伝達させるために、剛性の高い部材で形成されることが好ましい。また、当接部11は、所定の特定周波数の振動を容易に発生させるために、特定周波数から外れた周波数領域のエネルギを減衰させるダンパなどを有してもよい。
【0012】
支持台12は、
図1B、
図1Cに示すように、円環形状を有する。支持台12は、当接振動部13を支持する。支持台12は、トロヨケcの外面に接続される。支持台12は、例えば、板厚が0.1mm、外周直径が22.0mm、内周直径が20.0mmの金属、永久磁石などから構成される。
【0013】
当接振動部13は、円形状を有する。当接振動部13は、支持台12のトロヨケcが接続された面に対向する面に接続される。つまり、当接振動部13は、支持台12を介してトロヨケcに取り付けられる。当接振動部13は、例えば、板厚が0.1mm、直径が22.0mmの円盤状のりん青銅から構成される。この構成により、当接振動部13は、当接部11にデットボルトaが突き当たった場合に伝達されるエネルギを用いて、所定の固有振動周波数(特定周波数、例えば、550Hz)の振動を発生する。すなわち、当接振動部13は、当接部11にデットボルトaが突き当たった場合に、突き当たったことによる加振と共振して、所定の固有振動周波数の振動を発生する。当接振動部13がデットボルトaと点接触するように、当接振動部13のデットボルトaと接触する面は曲面状に形成されることが好ましい。なお、当接振動部13は、支持台12と一体に形成されてもよい。
【0014】
施錠動作によってデットボルトaが開錠位置から施錠位置に変位する場合、デットボルトaが当接部11に突き当たる。この場合、当接部11とトロヨケcに、インパルス加振が発生する。当接振動部13は、このインパルス加振と共振することによって、例えば、550Hz(特定周波数)の振動を発生する。
【0015】
当接振動部13が発生する振動を測定することによって、玄関扉への施錠操作を判別できる。例えば、当接振動部13が発生する振動を振動計によって測定する。測定された振動のデータは、振動計からコンピュータへ出力される。コンピュータは、測定された当接振動部13が発生する振動が、例えば、530Hz〜570Hzの周波数を有し、所定の振幅を超えた場合に、施錠されたと判別する。これにより、コンピュータによる玄関扉の施錠操作の判別ができる。
【0016】
本実施の形態において、デットボルトaと当接部11が突き当たること以外(例えば、玄関扉へのノック)で発生した加振によって、当接振動部13が振動した場合、当接振動部13は加振と共振しない。この場合、当接振動部13は、例えば、530Hz〜570Hzの周波数範囲を外れた周波数を有する振動や、530Hz〜570Hzの周波数を有するものの振幅が小さい振動を発生する。
【0017】
このように、本実施の形態では、当接振動部13は、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に発生するインパルス加振と共振するので、振動発生装置10は、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に、特定の振動(所定の周波数を有し、所定の振幅を超える振動)を発生できる。言い換えれば、振動発生装置10は、デットボルトaが当接部11に突き当たること以外では、特定の振動を発生しない。したがって、振動発生装置10は、施錠操作(動作)が行われたことにより発生した振動か、施錠以外の操作(動作)により発生した振動かの判別を容易にする。
【0018】
また、当接振動部13の固有振動周波数と、デットボルトaと当接部11とが突き当たったことによるエネルギが当接振動部13に伝搬される経路の共振周波数との差が、所定の範囲(例えば±20Hz)内であることが好ましい。すなわち、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に、当接振動部13が、当接部11から当接振動部13までの伝搬経路における振動と共振することが好ましい。これにより、振動発生装置10では、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に、例えば530Hz〜570Hzの周波数を有する振動が励振される。
【0019】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る振動発生装置20について、
図2A〜
図2Cを参照して説明する。振動発生装置20は、
図2Aに示すように、実施の形態1における支持台12に代えて矩形支持台22を備える。また、振動発生装置20は、実施の形態1における当接振動部13に代えて、矩形当接振動部23を備える。本実施の形態では、実施の形態1における振動発生装置10と同一の構成、同一の処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0020】
矩形支持台22は、
図2B、
図2Cに示すように、矩形形状を有する。矩形支持台22は、矩形当接振動部23を支持する。矩形支持台22は、トロヨケcの外面に接続される。矩形支持台22は、実施の形態1の支持台12と同様、金属または永久磁石から構成される。例えば、矩形支持台22の板厚は0.1mmである。また、矩形支持台22の長手方向における外形寸法Laは30.0mmである。矩形支持台22の長手方向における内形寸法は28.0mmである。さらに、矩形支持台22の短手方向における外形寸法Lbは10.0mmである。矩形支持台22の短手方向における内形寸法は8.0mmである。
【0021】
矩形当接振動部23は、矩形形状を有する。矩形当接振動部23は、
図2Aに示すように、矩形支持台22に接続される。例えば、矩形当接振動部23の板厚は0.1mmである。また、矩形当接振動部23の長手方向の寸法Laは30.0mmである。さらに、矩形当接振動部23の短手方向の寸法Lbは10.0mmである。矩形当接振動部23は、実施の形態1の当接振動部13と同様、りん青銅から構成される。この構成により、矩形当接振動部23は、当接部11にデットボルトaが突き当たった場合に伝達されるエネルギを用いて、所定の固有振動周波数(例えば、550Hz)の振動を発生する。すなわち、矩形当接振動部23は、当接部11にデットボルトaが突き当たった場合に、突き当たったことによる加振と共振して、所定の固有振動周波数の振動を発生する。なお、矩形当接振動部23は、矩形支持台22と一体に形成されてもよい。
【0022】
施錠動作によってデットボルトaが開錠位置から施錠位置に変位する場合、デットボルトaが当接部11に突き当たる。この場合、当接部11とトロヨケcに、インパルス加振が発生する。矩形当接振動部23は、このインパルス加振と共振することによって、例えば550Hzの振動を発生する。ここで、デットボルトaが当接部11に突き当たること以外(例えば、玄関扉へのノック)で発生した加振によって、矩形当接振動部23が振動した場合、矩形当接振動部23は、加振と共振しない。したがって、矩形当接振動部23は、例えば、530Hz〜570Hzの周波数範囲を外れた周波数を有する振動や、530Hz〜570Hzの周波数を有するものの振幅が小さい振動を発生する。
【0023】
このように、本実施の形態では、矩形当接振動部23は、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に発生するインパルス加振と共振するので、振動発生装置20は、デットボルトaが当接部11に突き当たった場合に、特定の振動(所定の周波数を有し、所定の振幅を超える振動)を発生できる。したがって、振動発生装置20は、施錠操作(動作)が行われたことにより発生した振動か、施錠以外の操作(動作)により発生した振動かの判別を容易にする。
【0024】
なお、
図1A〜
図1Cと
図2A〜
図2Cでは、当接振動部13、矩形当接振動部23は、トロヨケcにおいて当接部11に対向する位置に接続されるが、当接振動部13、矩形当接振動部23の位置はこれに限定されない。当接振動部13、矩形当接振動部23は、トロヨケcの上下面や側面に接続されてもよい。また、当接振動部13、矩形当接振動部23は、トロヨケcの内面のデットボルトaと接触しない位置に接続されてもよい。
【0025】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る振動発生装置30について、
図3A、
図3Bを参照して説明する。振動発生装置30は、実施の形態1、2と同様に、玄関扉に設けられたデットボルトaとラッチボルトbとが内挿される空間を覆うトロヨケ(ストライクボックス)cに設けられる。
【0026】
振動発生装置30は、操作者の特定の操作によって、特定の動きが生じた場合に、特定の振動を発生する。本実施の形態では、操作者の錠前を開錠する操作(開錠操作)によって、錠前のデッドボルトaは施錠位置(第2位置)から開錠位置(第1位置)に変位する(開錠動作)。すなわち、デッドボルトaはトロヨケcの反対方向へ(施錠位置から開錠位置に)後退する。
具体的には、振動発生装置30は、デットボルトaが施錠位置から開錠位置に変位した場合に、デッドボルトaが施錠位置から開錠位置へ変位すること(開錠動作)によるエネルギを用いて、所定の特定周波数の振動を発生する。
【0027】
振動発生装置30は、
図3A、
図3Bに示すように、弾丸状当接部31と、可動板32と、巻きばね33と、固定板34と、締結具35と、を備える。弾丸状当接部31は、トロヨケcに形成された貫通穴に、内挿された弾丸状の磁石である。デットボルトaが施錠位置に位置する(施錠状態)場合、弾丸状当接部31は、
図3Aに示すように、デットボルトaに突き当たった状態である。
【0028】
可動板32は、弾丸状当接部31の軸心に垂直に、デットボルトaに突き当たる弾丸状当接部31の先端と反対の面に接続される。
【0029】
巻きばね33は、弾丸状当接部31を内挿した状態で、一方の端が可動板32に、他方の端がトロヨケcの外面に固定される。巻きばね33は、デットボルトaと弾丸状当接部31とが突き当たった状態において、弾丸状当接部31に付勢力(復元力)を作用させる。
【0030】
固定板34は、皿状の金属板から構成される。固定板34は、弾丸状当接部31と可動板32の変位を制限する。
【0031】
締結具35は、固定板34の一方の端をトロヨケcに固定する。なお、固定板34の他方の端は固定されないので、デットボルトaが弾丸状当接部31に強い力で突き当たった場合、可動板32に伝わった力を、固定板34によって逃がすことができる。ただし、固定板34は、一方の端のみを固定されるものに限定されず、固定板34は両端がトロヨケcに固定されてもよい。
【0032】
図3Aに示すデットボルトaと弾丸状当接部31とが突き当たった状態(施錠状態)において開錠操作が行われた場合、開錠操作によって、デットボルトaは、
図3Bに示すように、施錠位置から開錠位置へ変位する。すなわち、デットボルトaは、弾丸状当接部31から遠ざかる方向に変位する。デットボルトaの変位によって、弾丸状当接部31とデットボルトaとの磁石による吸引力よりも、巻きばね33の付勢力(復元力)が大きくなった場合、弾丸状当接部31は、デットボルトaから離れる。そして、巻きばね33の付勢力(弾性エネルギ)により巻きばね33は伸縮する。巻きばね33の伸縮が、弾丸状当接部31を所定の周波数(系の固有振動周波数、例えば、100Hz)で振動させる。
【0033】
この弾丸状当接部31が発生する振動を測定することによって、玄関扉への開錠操作を検出できる。例えば、弾丸状当接振動部31が発生する振動を振動計によって測定する。測定された振動のデータは、振動計からコンピュータへ出力される。コンピュータは、測定された弾丸状当接部31が発生する振動が、例えば、90Hz〜110Hzの周波数を有し、所定の振幅を超えた場合に、開錠されたと判別する。これにより、コンピュータによる玄関扉の開錠操作の判別ができる。
【0034】
このように、デットボルトaと弾丸状当接部31とが離れた場合に、巻きばね33に蓄えられた弾性エネルギを用いて、巻きばね33を伸縮させることによって、振動発生装置30は、特定の振動(所定の周波数を有し、所定の振幅を超える振動)を発生できる。言い換えれば、振動発生装置30は、デットボルトaと弾丸状当接部31とが離れた場合以外では、特定の振動を発生しない。したがって、振動発生装置30は、開錠操作(動作)が行われたことにより発生した振動か、開錠以外の操作(動作)により発生した振動かの判別を容易にする。
【0035】
なお、本実施の形態において、デットボルトaが施錠状態の場合、巻きばね33は自然状態よりも縮められた状態であっても、自然状態よりも伸ばされた状態であってもよい。
【0036】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る振動発生装置40について、
図4A、
図4Bを参照して説明する。振動発生装置40は、実施の形態3の振動発生装置30と同様に、玄関扉に設けられたデットボルトaとラッチボルトbとが内挿される空間を覆うトロヨケ(ストライクボックス)cに設けられる。
【0037】
振動発生装置40は、操作者の特定の操作によって、特定の動きが生じた場合に、特定の振動を発生する。具体的には、振動発生装置40は、実施の形態3の振動発生装置30と同様に、デットボルトaが施錠位置から開錠位置に変位した場合に、デッドボルトaが施錠位置から開錠位置へ変位すること(開錠動作)によるエネルギを用いて、所定の特定周波数の振動を発生する。
【0038】
振動発生装置40は、
図4A、
図4Bに示すように、棒当接部41と、可動板42と、逆巻きばね43と、ケース44と、を備える。棒当接部41は、トロヨケcに形成された貫通穴(デットボルトaの変位方向に水平な面に形成された貫通穴)に内挿された棒状の磁石である。デットボルトaが施錠位置に位置する(施錠状態)場合、棒当接部41は、
図4Aに示すように、棒状の磁石の吸引力によりデットボルトaに突き当たった状態である。
【0039】
可動板42は、棒当接部41の軸心に垂直に、デットボルトaに突き当たる棒当接部41の端部と反対の面に接続される。
【0040】
逆巻きばね43は、棒当接部41を内挿した状態で、一方の端が可動板42に、他方の端がトロヨケcの外面に固定される。逆巻きばね43は、デットボルトaと棒当接部41が突き当たった状態において、棒当接部41に付勢力(復元力)を作用させる。すなわち、逆巻きばね43は、棒当接部41の磁石の吸引力によって、棒当接部41がデットボルトaと突き当たった状態において、自然状態よりも縮められた状態になる。
【0041】
ケース44は、釜形状を有するプラスチック板である。ケース44は、
図4Bに示すように、棒当接部41とデットボルトaとが離れた場合に、可動板42の変位を制限する。
【0042】
図4Aに示す棒当接部41とデットボルトaとが突き当たった状態(施錠状態)において開錠操作が行われた場合、開錠操作によって、デットボルトaは、
図4Bに示すように、施錠位置から開錠位置へ変位する。デットボルトaの変位によって、デットボルトaと棒当接部41とが離れ、逆巻きばね43は、縮められた状態から通常状態(伸びた状態)に戻る。すなわち、振動発生装置40は、デットボルトaと棒当接部41とが離れた場合に、逆巻きばね43に蓄えられた弾性エネルギを用いて、逆巻きばね43を伸縮させることによって、棒当接部41を、所定の特定周波数(系の固有振動周波数、例えば、100Hz)で振動させる。
【0043】
この棒当接部41が発生する振動を測定することによって、玄関扉への開錠操作を判別できる。例えば、棒当接部41が発生する振動を振動計によって測定する。測定された振動のデータは、振動計からコンピュータへ出力される。コンピュータは、測定された棒当接部41が発生する振動が、例えば、90Hz〜110Hzの周波数を有し、所定の振幅を超えた場合に、開錠されたと判別する。これにより、コンピュータによる玄関扉の開錠操作の判別ができる。
【0044】
このように、デットボルトaと棒当接部41とが離れた場合に逆巻きばね43の弾性エネルギを用いて、逆巻きばね43を伸縮させることによって、振動発生装置40は、特定の振動(所定の周波数を有し、所定の振幅を超える振動)を発生できる。言い換えれば、振動発生装置40は、デットボルトaと棒当接部41とが離れた場合以外では、特定の振動を発生しない。したがって、振動発生装置40は、開錠操作(動作)が行われたことにより発生した振動か、開錠以外の操作(動作)により発生した振動かの判別を容易にする。
【0045】
なお、実施の形態3、4では、弾丸状当接部31、棒当接部41を振動させる弾性体は、それぞれ巻きばね33、逆巻きばね43であるが、弾丸状当接部31、棒当接部41を振動させる弾性体は、これらに限定されない。弾丸状当接部31、棒当接部41を振動させる弾性体は、板ばねなどの弾性体でもよい。また、弾丸状当接部31、棒当接部41を振動させる弾性体は、巻きばね33又は逆巻きばね43に板ばねを加えた弾性体でもよい。
【0046】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る振動発生装置50について、
図5A〜
図5Dを参照して説明する。振動発生装置50は、玄関扉に設けられたデットボルトaとラッチボルトbとが内挿される空間を覆うトロヨケ(ストライクボックス)cの内部に設けられる。
【0047】
振動発生装置50は、操作者の特定の操作によって、特定の動きが生じた場合に特定の振動を発生する。具体的には、振動発生装置50は、実施の形態4の振動発生装置40と同様に、デットボルトaが、施錠位置から開錠位置に変位した場合に、デットボルトaが、施錠位置から開錠位置へ変位すること(開錠動作)によるエネルギを用いて、所定の特定周波数の振動を発生する。
【0048】
振動発生装置50は、
図5Aに示すように、当接維持部51と、保持ばね52と、固定具53と、を備える。当接維持部51は弾丸状の磁石である。当接維持部51は保持ばね52によって保持される。当接維持部51はトロヨケcが覆う空間内に配置される。保持ばね52は、固定具53によってトロヨケcに固定される。当接維持部51は、
図5Bに示すように、デットボルトaが施錠位置に位置する(施錠状態)場合に、磁石の吸引力によりデットボルトaに密着する。すなわち、当接維持部51は、デットボルトaとの接触を維持する力を発生する。なお、当接維持部51は、デットボルトaに接触する面に反対の端部が突起形状を有する。したがって、当接維持部51とデットボルト51との吸引力は、当接維持部51とトロヨケcとの吸引力よりも大きい。
【0049】
保持ばね52は、例えば、T字状の板ばねである。保持ばね52の第1の端(
図5Aにおける上端)は、当接維持部51の軸心方向に、垂直に接続される。保持ばね52の第2の端(
図5Aにおける右端)は、固定具53によって、トロヨケcの内面に接続される。保持ばね52の第3の端(
図5Aにおける下端)は、トロヨケcに設けられた穴を通って、トロヨケcの外部に突出する。保持ばね52は、当接維持部51を揺動可能に保持する。なお、保持ばね52は、当接維持部51とトロヨケcとが接触した状態において、自然状態(変形していない状態)であっても、当接維持部51をトロヨケcに押し付けた状態(変形した状態)であってもよい。
【0050】
固定具53は、保持ばね52をトロヨケcの内面に接続する。
【0051】
図5Aに示すように、デットボルトaが開錠位置に位置する(開錠状態)場合、当接維持部51は、トロヨケcと接触する。施錠動作により、デットボルトaが開錠位置から施錠位置へ変位した場合、
図5Bに示すように、当接維持部51は、トロヨケcおよびデットボルトaと接触する。一方、開錠動作により、デットボルトaが施錠位置から開錠位置に変位した場合、
図5Cに示すように、当接維持部51とデットボルトaとの吸引力は、当接維持部51とトロヨケcとの吸引力よりも大きいので、当接維持部51がデットボルトaの変位に追従する。そして、保持ばね52の復元力が、当接維持部51とデットボルトaとの吸引力よりも大きくなり、
図5Dに示すように、当接維持部51がデットボルトaから離れる。デットボルトaから離れた当接維持部51は、保持ばね52の復元力によって振動する。すなわち、振動発生装置50は、当接維持部51がデットボルトaから離れた場合に、保持ばね52に蓄えられた弾性エネルギを用いて、当接維持部51を、所定の特定周波数(系の振動数、例えば、100Hz)で振動させる。
【0052】
この当接維持部51が発生する振動を測定することによって、玄関扉への開錠操作を判別できる。例えば、当接維持部51が発生する振動を振動計によって測定する。測定された振動のデータは、振動計からコンピュータへ出力される。コンピュータは、測定された当接維持部51が発生する振動が、例えば、90Hz〜110Hzの周波数を有し、所定の振幅を超えた場合に、開錠されたと判別する。これにより、コンピュータによる玄関扉の開錠操作の判別ができる。
【0053】
このように、デットボルトaと当接維持部51とが離れた場合に、保持ばね52に蓄えられた弾性エネルギを用いて、保持ばね52を振動させることによって、振動発生装置50は、特定の振動(所定の周波数を有し所定の振幅を超える振動)を発生できる。言い換えれば、振動発生装置50は、デットボルトaと当接維持部51とが離れた場合以外では、特定の振動を発生しない。したがって、振動発生装置50は、開錠操作(動作)が行われたことにより発生した振動か、それ以外の操作(動作)により発生した振動かの判別を容易にする。
【0054】
なお、当接維持部51がデットボルトaから離れた場合、当接維持部51は、トロヨケcとの衝突を繰り返した後、トロヨケcに接触した状態で止まる。ただし、本実施の形態の振動発生装置50では、当接維持部51は、トロヨケcと衝突を繰り返さなくともよい。
【0055】
本実施の形態では、保持ばね52はT字状の板ばねであるが、保持ばね52はT字状の板ばねに限定されない。例えば、保持ばね52はL字状の板ばね、又は巻きばねなどでもよい。
【0056】
(実施の形態6)
実施の形態6に係る振動発生装置60について、
図6〜
図16を参照して説明する。振動発生装置60は、玄関扉の錠前に取り付けられる。玄関扉はスチール製である。また、玄関扉の錠前はデットボルトタイプである。玄関扉の寸法は、縦:約1800mm×横:約1000mmである。
【0057】
振動発生装置60は、
図6に示すように、板ばね63、永久磁石64、第1突起部65、第2突起部66から構成される。板ばね63はりん青銅から構成される。永久磁石64はフェライト磁石から構成される。第1突起部65と第2突起部66は磁性材から構成される。板ばね63は、略L字形状で片方をトロヨケcに固定される。永久磁石64は、板ばね63に取り付けられる。また、板ばね63は第1突起部65に対向した領域に穴を有する。
【0058】
なお、板ばね63、永久磁石64、第1突起部65、第2突起部66は、上述の構成に限定されず、種々の材料から構成されてもよい。また、板ばね63、永久磁石64、第1突起部65、第2突起部66の取り付け位置は、
図6に示す位置に限定されない。例えば、板ばね63が左右方向の端部でトロヨケcに固定され、第1突起部65と第2突起部66とが左右方向に並べられてもよい。
【0059】
上記の構成を有する振動発生装置60の動作を、玄関扉に施錠操作がなされた場合について、説明する。
図7〜
図9は施錠操作における振動発生装置60の動作を示す。
【0060】
振動発生装置60の板ばね63は、
図6に示すように、錠前が開錠状態では、第1突起部65と第2突起部66とトロヨケcに接触しない。
施錠操作によって、デットボルトaはトロヨケcの方向に徐々に変位する。デットボルトaとトロヨケcとの距離が所定の距離に達した場合、
図7に示すように、振動発生装置60の永久磁石64が、磁力によってデットボルトaへ吸引されて、永久磁石64とデットボルトaとが接触する。さらにデットボルトaがトロヨケcの方向に変位した場合、
図8に示すように、板ばね63が第2突起部66と接触する。そして、
図9に示すように、デットボルトaが第1突起部65に接触する。
【0061】
上述した一連の振動発生装置60の動作によって、振動発生装置60が発生する振動について、説明する。
図10は、施錠操作がなされた場合に、振動発生装置60が発生する振動の特定周波数での振動波形信号を示す。なお、本実施の形態において、振動波形信号は振動の振幅を表す。
【0062】
一連の振動発生装置60の動作において、振動発生装置60は、永久磁石64とデットボルトaとの接触、第2突起部66と板ばね63との接触、第1突起部65と板ばね63との接触のそれぞれに起因する特定周波数の減衰振動を、発生する。
【0063】
一般に、デットボルトaは所定の位置まで変位すると、錠前のカム機構によって、操作者による加振力(操作)によらず一定の速度で変位する。したがって、板ばね63の寸法(特性)が設定されると、永久磁石64とデットボルトaとの接触に起因する減衰振動の発生から第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動の発生までの時間(
図10における時間Ta1)も設定される。また、第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動の発生から第1突起部65と板ばね63との接触に起因する減衰振動の発生までの時間(
図10における時間Ta2)についても同様に設定される。
【0064】
次に、振動発生装置60の動作を、玄関扉に開錠行為がなされた場合について、説明する。
図11〜
図13は開錠動作における振動発生装置60の動作を示す。
【0065】
開錠操作においては、デットボルトaがトロヨケcから離れる方向に変位する。デットボルトaがトロヨケcから離れる方向に変位した場合、
図11に示すように、板ばね63は、永久磁石64とデットボルトaとの吸引力によってデットボルトaとともに変位する。そして、板ばね63は第1突起部65、第2突起部66の順に、第1突起部65、第2突起部66から離れる。さらにデットボルトaがトロヨケcから所定の距離まで離れた場合、永久磁石64とデットボルトaとの吸引力よりも、板ばね63の復元力のほうが大きくなるので、
図12に示すように、永久磁石64とデットボルトaとが離れる。この場合、板ばね63には寸法(特性)に依存した自由振動が発生して、
図13に示すように、板ばね63は第2突起部66に衝突する。
【0066】
上述した一連の振動発生装置60の動作によって、振動発生装置60が発生する振動について、説明する。
図14は、開錠操作において、振動発生装置60が発生する振動の特定周波数での振動波形信号を示す。
【0067】
一連の振動発生装置60の動作において、振動発生装置60は、板ばね63の自由振動に起因する振動と、板ばね63と第2突起部66との衝突に起因する特定周波数の減衰振動とを発生する。
【0068】
開錠操作においても、施錠操作の場合と同様に、板ばね63の寸法(特性)が設定されることによって、板ばね63の自由振動に起因する振動の発生から板ばね63と第2突起部66の衝突に起因する減衰振動の発生までの時間(
図14における時間Tb)が設定される。
【0069】
したがって、振動発生装置60が発生する特定周波数における振動の発生間隔を測定することによって、玄関扉の施錠操作と開錠操作を判別できる。また、振動発生装置60が発生する特定周波数における振動の発生間隔と振幅とを組み合わせて、操作者の操作を判別することもできる。
【0070】
本実施の形態における振動発生装置60が発生する特定周波数の振動(振動波形信号)を測定することによって、操作者の操作を判別できることを、以下のように、確認した。
【0071】
図15、
図16は、それぞれ施錠操作の判別条件、開錠操作の判別条件を示す。
図15において、閾値Ra1は永久磁石64とデットボルトaとの接触に起因する減衰振動が生じたか否かを判別する(判別J1)ための閾値である。また、閾値Ra2は第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動が生じたか否かを判別する(判別J2)ための閾値である。さらに、閾値Ra3は第1突起部65と板ばね63との接触に起因する減衰振動が生じたか否かを判別する(判別J3)ための閾値である。
【0072】
また、
図15において、時間Ta1は、永久磁石64とデットボルトaの接触から第2突起部66と板ばね63との接触が発生するまでの時間である。すなわち、施錠操作がなされた場合、永久磁石64とデットボルトaとの接触に起因する減衰振動の発生から時間Ta1後に、第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動が発生する。本実施の形態では、時間Ta1の前後5mSの期間において、第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動が生じたか否か判別する(判別J2)。
【0073】
時間Ta2は、第2突起部66と板ばね63との接触から第1突起部65と板ばね63の接触が発生するまでの時間である。すなわち、施錠操作がなされた場合、第2突起部66と板ばね63との接触に起因する減衰振動の発生から時間Ta2後に、第1突起部65と板ばね63との接触に起因する減衰振動が発生する。本実施の形態では、時間Ta2の前後3mSの期間において、第1突起部65と板ばね63との接触に起因する減衰振動が生じたか否か判別する(判別J3)。
本実施の形態では、振動信号が閾値Ra1を越え(判別J1)、判別J2において振動信号が閾値Ra2を越えたと判別され、かつ、判別J3において振動信号が閾値Ra3を越えたと判別された場合に、玄関扉になされた操作が「開錠操作」と判別される。
【0074】
図16において、閾値Rb1は、永久磁石64とデットボルトaとが離れることに起因する板ばね63の自由振動が生じたか否かを判別する(判別J4)ための閾値である。閾値Rb2は、板ばね63と第2突起部66との接触に起因する減衰振動が生じたか否かを判別する(判別J5)ための閾値である。
【0075】
また、時間Tb1は、永久磁石64とデットボルトaとが離れることに起因する板ばね63の自由振動の発生から板ばね63と第2突起部66との接触が発生するまでの時間である。すなわち、開錠操作がなされた場合、永久磁石64とデットボルトaとが離れることに起因する板ばね63の自由振動の発生から時間Tb1後に、板ばね63と第2突起部66との接触に起因する減衰振動が発生する。本実施の形態では、時間Tb1の前後5mSの期間において、板ばね63と第2突起部66との接触に起因する減衰振動が生じたか否か判別する(判別J5)。
【0076】
開錠行為の検出では、振動信号が閾値Rb1を越え(判別J4)、判別J5において振動信号が閾値Rb2を越えたと判別された場合に、玄関扉になされた操作が「開錠操作」と判別される。
【0077】
上記の条件において、本実施の形態における振動発生装置60を設置した玄関扉に、施錠操作と開錠操作とを10回ずつ行った。また、外乱として扉の開閉と、ドアチェーンの開閉とを10回ずつ行った。その結果、外乱が「施錠行為」又は「開錠行為」と判別されることはなかった。また、玄関扉への施錠操作は、すべて、「施錠行為」と判別された。さらに、玄関扉への開錠操作は、すべて、「開錠行為」と判別された。
以上のように、振動発生装置60が発生する振動を測定することによって、容易に、操作者の操作を判別できる。
【0078】
(実施の形態7)
実施の形態7に係る振動発生装置70について、
図17〜
図25を参照して説明する。本実施の形態における振動発生装置70は、
図17に示すように、板ばね73a、73b、永久磁石74a、74b、第1突起部75a、第2突起部76a、固定突起部77、留め具78a、78bから構成される。振動発生装置70は、2組の振動子を有する。1組は、板ばね73a、永久磁石74a、第1突起部75aである。また、他の1組は、板ばね73b、永久磁石74b、第2突起部76aである。板ばね73a、73bはりん青銅から構成される。永久磁石74a、74bはフェライト磁石から構成される。第1突起部75aと第2突起部76aは磁性材から構成される。また、固定突起部77は、鉄などの剛性の高い材料で構成される。さらに、留め具78a、78bは、それぞれ板ばね73a、73bをトロヨケcに固定する。
【0079】
本実施の形態では、板ばね73aの剛性が板ばね73bの剛性よりも大きい。一方、永久磁石74aと永久磁石74bは同一の永久磁石である。ただし、永久磁石74aによる吸引力が永久磁石74bによる吸引力よりも強く、板ばね73aと板ばね73bとが同一の剛性であってもよい。
なお、板ばね73a、73b、永久磁石74a、74b、第1突起部75a、第2突起部76a、固定突起部77は、上記の構成に限定されない。板ばね73a、73b、永久磁石74a、74b、第1突起部75a、第2突起部76a、固定突起部77は、種々の材料から構成されてよい。また、板ばね73a、73bなどの取り付け位置は、
図17に示す構成に限定されず、上下方向が反対に取り付けられてもよい。さらに、板ばね73a、73bなどが左右方向に並べられてもよい。
【0080】
上記の構成を有する振動発生装置70の動作を、玄関扉に施錠行為がなされた場合について、説明する。
図17〜
図20は施錠動作における振動発生装置70の動作を示す。
【0081】
振動発生装置70の板ばね73a、73bは、
図17に示すように、錠前が開錠状態では、第1突起部75a、第2突起部76a、トロヨケcに接触しない。
施錠操作によって、デットボルトaはトロヨケcの方向に徐々に変位する。デットボルトaとトロヨケcとの距離が所定の距離に達した場合、
図18に示すように、永久磁石74bが磁力によってデットボルトaへ吸引されて、永久磁石74bとデットボルトaとが接触する。次に、
図19に示すように、永久磁石74aが磁力によってデットボルトaへ吸引され、永久磁石74aとデットボルトaとが接触する。そして、さらにデットボルトaがトロヨケcの方向に変位した場合、
図20に示すように、デットボルトaが固定突起部77に接触する。
【0082】
上述した一連の振動発生装置70の動作によって、振動発生装置70が発生する振動について、説明する。
図21は、施錠操作において振動発生装置70が発生する振動の特定周波数での振動波形信号を示す。
一連の振動発生装置70の動作において、振動発生装置70は、永久磁石74bとデットボルトaとの接触、永久磁石74aとデットボルトaとの接触、デットボルトaと固定突起部77との接触に起因する特定周波数の減衰振動を発生する。
【0083】
一般に、デットボルトaは所定の位置まで変位した場合、錠前のカム機構によって、操作者による加振力(操作)によらず一定の速度で変位する。したがって、板ばね73a、73bの寸法(特性)が設定されると、永久磁石74bとデットボルトaとの接触に起因する減衰振動の発生から永久磁石74aとデットボルトaとの接触に起因する減衰振動の発生までの時間(
図21における時間Tc1)も設定される。また、永久磁石74aとデットボルトaとの接触に起因する減衰振動の発生からデットボルトaと固定突起部77との接触に起因する減衰振動の発生までの時間(
図21における時間Tc2)についても同様に設定される。
【0084】
振動発生装置70の動作を、玄関扉に施錠操作がなされた場合について、説明する。
図22〜24は開錠動作における振動発生装置70の動作を示す。
開錠操作においては、デットボルトaがトロヨケcから離れる方向に変位する。デットボルトaがトロヨケcから離れる方向に変位した場合、
図22に示すように、板ばね73a、73bは、永久磁石74a、74bとデットボルトaとの吸引力によって、デットボルトaとともに変位する。そして、デットボルトaがトロヨケcから所定の距離まで離れた場合、永久磁石74aとデットボルトaとの吸引力よりも、板ばね73aの復元力の方が大きくなるので、
図23に示すように、永久磁石74aがデットボルトaから離れる。この場合、板ばね73aに寸法(特性)に依存した自由振動が発生して、第1突起部75aがトロヨケcに衝突する。さらにデットボルトaがトロヨケcから離れた場合、永久磁石74bとデットボルトaの吸引力よりも、板ばね73bの復元力の方が大きくなるので、
図24に示すように、永久磁石74bがデットボルトaから離れる。この場合も、板ばね73bに寸法(特性)に依存した自由振動が発生して、第2突起部76aがトロヨケcに衝突する。
【0085】
上述した一連の振動発生装置70の動作によって、振動発生装置70が発生する振動について、説明する。
図25は、開錠操作において振動発生装置70が発生する振動の特定周波数での振動波形信号を示す。
【0086】
一連の振動発生装置70の動作において、振動発生装置70は、板ばね73aの自由振動に起因する振動、第1突起部75aとトロヨケcの衝突に起因する減衰振動、板ばね73bの自由振動に起因する振動、第2突起部76aとトロヨケcの衝突に起因する減衰振動を、順に、発生する。
【0087】
一般に、デットボルトaは所定の位置まで変位した場合、錠前のカム機構によって、操作者による加振力(操作)によらず一定の速度で変位する。したがって、板ばね73aの寸法が設定されると、板ばね73aの自由振動の発生から第1突起部75aとトロヨケcの衝突に起因する減衰振動の発生までの時間(
図25における時間Td1)も設定される。また、板ばね73a、73bの寸法(特性)が設定されることによって、第1突起部75aとトロヨケcの衝突に起因する振動の発生から、板ばね73bの自由振動の発生までの時間(
図25における時間Td2)も設定される。さらに、板ばね73bの寸法が設定されると、板ばね73bの自由振動の発生から第2突起部76aとトロヨケcの衝突に起因する減衰振動の発生までの時間(
図25における時間Td3)も設定される。
【0088】
したがって、振動発生装置70が発生する特定周波数における振動の発生間隔を測定することによって、玄関扉の施錠操作、開錠操作を判別できる。また、振動発生装置70が発生する特定周波数における振動の発生間隔と振幅を組み合わせて、操作者の操作を判別することもできる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
【0090】
例えば、施錠動作によって振動を発生する振動発生装置10又は20と、開錠動作によって振動を発生する振動発生装置30、40、50のいずれかとを、組み合わせることによって、振動発生装置を構成してもよい。この組み合わされた振動発生装置は、施錠動作によっても、開錠動作によっても、振動を発生できる。さらに、組み合わされた振動発生装置は、動作(施錠動作と開錠動作)によって、異なる周波数の振動を発生できる。したがって、組み合わされた振動発生装置は、施錠操作より発生した振動か、開錠操作より発生した振動か、これら以外により発生した振動かの判別を容易にする。また、振動発生装置10又は20と、振動発生装置50とを組み合わせる場合には、当接維持部51が弾丸状当接部31を兼ねてもよい。
【0091】
また、実施の形態1〜7では、玄関扉(構造物)に固定されるトロヨケcに振動発生装置10、20、30、40、50を設けることによって、振動発生装置10、20、30、40、50が発生する振動の測定や測定機構の配線を容易にできる。ただし、振動発生装置10、20、30、40、50は、例えば、デットボルトaを収納する錠ケースに設けられてもよい。錠ケースにおいては、操作者の施錠操作によってデットボルトaは後退する。また、操作者の開錠操作によってデットボルトaは前進する。したがって、振動発生装置10を錠ケースに設けた場合、振動発生装置10は、操作者の開錠操作によって振動を発生する。例えば、振動発生装置30を錠ケースに設けた場合、振動発生装置30は、操作者の施錠操作によって振動を発生する。
【0092】
本願発明の振動発生装置は、スライド式の窓などに設けられてもよい。この場合、本願発明の振動発生装置は、スライド式の窓などの開閉移動によるエネルギを用いて、所定の特定周波数の振動を発生する。
【0093】
実施の形態6、7では、操作者の操作によって振動発生装置60、70が2回以上、減衰振動を発生するが、操作者の操作によって振動発生装置60、70が一度だけ振動する構成でもよい。この場合、特定の周波数領域における振動信号が所定の閾値を超えるか否かを判別することによって、操作者の操作を判別できる。
【0094】
実施の形態6、7では、振動発生装置60、70はトロヨケcに取り付けられるが、振動発生装置60、70は、例えば、デットボルトaを収容するケース、窓枠、構造物の壁部などに取り付けられてもよい。
【0095】
振動発生装置60は板ばね63を備えるが、板ばね63に代えて、コイルスプリングなどを備えてもよい。また、振動発生装置60は板ばね63に加えて、コイルスプリングなどを備えてもよい。さらに、振動発生装置70は、板ばね73a、73bを備えるが、板ばね73a、73bに代えて、コイルスプリングなどを備えてもよい。振動発生装置70は、板ばね73a、73bに加えて、コイルスプリングなどを備えてもよい。
【0096】
実施の形態3〜5では、突き当たった状態を維持するために、例えば、弾丸状当接部31とデッドボルトaとの間に、磁石による吸引力を作用させるが、磁石による吸引力に代えて、面ファスナーの密着する力などを作用させてもよい。
【0097】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0098】
(付記1)
操作者の操作によって所定の第1位置と所定の第2位置との間を変位する変位対象物と接触する当接部と、
所定の周波数で固有振動する弾性体を有し、前記変位対象物と前記当接部との接触によって伝達される前記変位対象物の変位によるエネルギを用いて、前記弾性体を共振させ、所定の特定周波数の振動を発生する振動発生部と、を備える、
ことを特徴とする振動発生装置。
【0099】
(付記2)
前記振動発生部は、前記変位対象物が前記当接部に突き当たる運動エネルギを用いて前記弾性体を共振させる、
ことを特徴とする付記1に記載の振動発生装置。
【0100】
(付記3)
前記弾性体の固有振動周波数と、前記当接部から前記弾性体に前記運動エネルギが伝搬される経路の固有振動周波数との差が、所定の範囲内である、
ことを特徴とする付記2に記載の振動発生装置。
【0101】
(付記4)
前記当接部と前記変位対象物とが接触した状態を維持する力を発生させる当接維持部を有し、
前記振動発生部は、前記変位対象物が前記当接部から離れる方向に変位した場合に、前記当接維持部の前記当接部と前記変位対象物とが接触した状態を維持する力によって前記弾性体に生じた弾性エネルギを用いて前記弾性体を共振させる、
ことを特徴とする付記1に記載の振動発生装置。
【0102】
(付記5)
前記振動発生部は、前記特定周波数が異なる複数の振動を発生する、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1つに記載の振動発生装置。
【0103】
(付記6)
前記振動発生部は、前記特定周波数の振動を所定の間隔で複数発生する、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1つに記載の振動発生装置。
【0104】
(付記7)
前記変位対象物が錠前機構におけるデットボルトである、
ことを特徴とする付記1乃至6の何れか1つに記載の振動発生装置。
【0105】
(付記8)
前記振動発生部は、前記弾性体の共振に伴って錠前機構のトロヨケを振動させる、
ことを特徴とする付記1乃至7の何れか1つに記載の振動発生装置。
【0106】
(付記9)
前記変位対象物の前記第1位置から前記第2位置への変位による前記弾性体の減衰振動の発生回数と、前記変位対象物の前記第2位置から前記第1位置への変位による前記弾性体の減衰振動の発生回数とが異なる、
ことを特徴とする付記1乃至8の何れか1つに記載の振動発生装置。
【0107】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0108】
本発明は、2012年7月19日に出願された日本国特許出願2012−160817号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2012−160817号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。