特許第6380271号(P6380271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380271
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20180820BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20180820BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G03G21/16 133
   G03G21/16 147
   B41J29/13
   H05K5/03 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-145641(P2015-145641)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-26837(P2017-26837A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】福間 信宏
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−215104(JP,A)
【文献】 特開平09−148759(JP,A)
【文献】 特開2002−290066(JP,A)
【文献】 実開平05−053960(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0175372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/13
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が一側面に形成され、下端部に回動軸とガイド溝が形成された筐体と、
前記回動軸が挿通可能な軸孔と前記ガイド溝に係合可能なボスとが形成され、前記開口部の閉止位置と開放位置との間を、前記回動軸を支点として回動可能に前記筐体に支持されたカバーと、を備え、
前記ガイド溝は、前記回動軸を中心とした円弧状の円弧部と、該円弧部から斜め下方に傾斜する傾斜部と、を有し、
前記軸孔は、手前側斜め上方に傾斜した長孔状を有しており、
前記筐体と前記カバーとには、前記閉止位置への前記カバーの回動によって係合して前記開放位置への前記カバーの回動を規制し、前記カバーが前記開口部の手前側斜め上方向に持ち上げられることで係合が解除されて前記開放位置への前記カバーの回動を許容する係合部が設けられ
前記カバーが前記閉止位置から前記開放位置へ回動する際には、前記回動軸が前記軸孔に対して相対的に下方向へ案内されると共に前記ボスが前記傾斜部内を上方向に案内された後、前記カバーは前記回動軸を中心に回動し、前記ボスは前記円弧部に沿って案内され、
前記カバーが前記開放位置から前記閉止位置へ回動する際には、前記軸孔が前記回動軸で案内されて斜め下方向に下降し、前記ボスは前記円弧部から前記傾斜部内を下方向に案内されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記カバーの上端部に形成された、下方に突出する係止片と、前記筐体に形成された、前記係止片が嵌合する溝と、によって構成され、
前記カバーを前記閉止位置に回動させることで、前記カバーの自重によって前記係止片が前記溝に嵌合することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係合部によって、前記カバーが前記筐体に対して位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成を行うプロセスユニットが前記開口部を通して前記筐体に着脱されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なカバーを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複合機等の画像形成装置には、画像形成を行うプロセスユニットが備えられており、このようなプロセスユニットは、装置本体に形成された開口部を通して着脱可能に支持されて、メンテナンスや部品の交換等を行うようになっている。開口部が装置本体の前面に形成されている場合、開口部は、筐体に回動可能に支持されたフロントカバーで開閉される。
【0003】
特許文献1に示されるように、フロントカバーが下端部に設けられた支軸を中心として回動するように設けられると、以下のような問題が生じる。フロントカバーはある程度の厚さを有しており、筐体の両側面を覆う側面カバーや、開口部の下方に配置される給紙カセットとの間の隙間は、意匠上できるだけ狭く形成されている。このため、フロントカバーの下端部の回動軌跡が両側面カバーや給紙カセットに干渉して、円滑に回動しない場合がある。また、開口部が装置本体の前面の全域に形成されている場合は、フロントカバーの下端部が、画像形成装置が設置されている設置面と干渉する。
【0004】
そこで、フロントカバーを開く際には、フロントカバーを手前側斜め上方向に持ち上げて側面カバーや給紙カセット、設置面から離間させた後で回動するように構成することで、フロントカバーが側面カバーや給紙カセットと干渉しないように回動できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−345220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなフロントカバーは、ユーザーが容易に取り外せないように、上端部が筐体にビスで締結されている。フロントカバーを開く際にサービスマン等がビスを取り外すと、フロントカバーが、開口部を開放する方向へ少しだけ自重で回動してしまう。本来、フロントカバーは手前側斜め上方向に持ち上げてから回動させる必要があるが、このようにフロントカバーを持ち上げる前に回動してしまった場合、フロントカバーと側面カバーや設置面との干渉に抗して回動させようとしたり、フロントカバーが自重で回動したりすると、支軸に負荷がかかり破損してしまう虞がある。
【0007】
本発明は上記事情を考慮し、カバーを筐体に締結しているビスを取り外した際のカバーの不用意な回動を防ぎ、カバーの支軸の破損を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、開口部が一側面に形成された筐体と、前記開口部の閉止位置と開放位置との間を、下端部を回動支点として回動可能に前記筐体に支持され、前記閉止位置から前記開放位置へ回動する際には、前記開口部の手前側斜め上方向に持ち上げ可能に設けられたカバーと、を備え、前記筐体と前記カバーとには、前記閉止位置への前記カバーの回動によって係合して前記開放位置への前記カバーの回動を規制し、前記カバーが前記開口部の手前側斜め上方向に持ち上げられることで係合が解除されて前記開放位置への前記カバーの回動を許容する係合部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用することにより、カバーが閉止位置に回動した際には、係合部と被係合部との係合によってカバーの開放位置への回動が規制されて、カバーは持ち上げない限り開放位置へ回動することがないので、カバーが閉止位置から不用意に回動することを抑制できる。したがって、カバー回動時に周囲の部材との干渉を避けつつ、回動支点の破損等を防ぐことができる。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記係合部は、前記カバーの上端部に形成された、下方に突出する係止片と、前記筐体に形成された、前記係止片が嵌合する溝と、によって構成され、前記カバーを前記閉止位置に回動させることで、前記カバーの自重によって前記係止片が前記溝に嵌合することを特徴としても良い。
【0011】
このような構成を採用することにより、カバーを開放位置へ回動する際にはカバーを持ち上げる必要があるので、カバーの不用意な回動を確実に抑制できる。一方、カバーを閉止位置に回動した際には、カバーの自重によって係止片が溝に嵌合するので、閉止位置への回動作業のみでカバーを閉止位置に自動的に維持させることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記係合部によって、前記カバーが前記筐体に対して位置決めされることを特徴としても良い。
【0013】
このような構成を採用することにより、簡単な構成によってカバーを周囲のカバーに対して段差や隙間のないように位置決めすることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、画像形成を行うプロセスユニットが前記開口部を通して前記筐体に着脱されることを特徴としても良い。
【0015】
このような構成を採用することにより、メンテナンス等のために開閉される頻度が高いプロセスユニット着脱用の開口部を開閉するカバーの破損を低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバーが閉止位置に回動した際には、係合部と被係合部との係合によってカバーの開放位置への回動が規制されて、カバーは持ち上げない限り開放位置へ回動することがないので、カバーを筐体に締結しているビスを取り外しても、カバーが閉止位置から不用意に回動することを抑制できる。したがって、カバー回動時に周囲の部材との干渉を避けつつ、回動支点の破損等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバーを開放位置に回動した状態を前方から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバーを開放位置に回動した状態を後方から見た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバーの回動軸の周辺を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、上面カバーの溝の周辺を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのフロントカバーの正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのフロントカバーの斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバーの長孔の周辺を示す斜視図である。
図9図9(A)は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターのフロントカバーの係止片を示す斜視図であり、図9(B)は図9(A)のA−A矢視図である。
図10】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバー閉止位置における回動軸の周辺を示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバー回動時の回動軸の周辺を示す側面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバー開放位置における回動軸の周辺を示す側面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバー閉止時の係止片と溝とを示す側面図である。
図14】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバーを持ち上げた状態での係止片と溝とを示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、フロントカバー開放位置においてプロセスユニットを引き出した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0019】
図1図3を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1はカラープリンターの筐体を示す斜視図、図2及び図3はフロントカバーを回動させた状態を示す斜視図である。以下の説明における前後方向及び左右方向は、図1に矢印で示す前後方向及び左右方向を示す。
【0020】
図1に示されるように、カラープリンター1は、略矩形箱状の筐体2と、筐体2の外面を覆う外装カバー3と、を備えている。図2に示されるように、筐体2の前面の全域には開口部4が形成されている。外装カバー3は、筐体2の上面を覆う上面カバー6と、前面の開口部4を開閉可能に覆うフロントカバー7と、左右側面を覆う側面カバー8と、後面を覆うリアカバー9と、を有する。フロントカバー7は、筐体2に回動可能に支持されている。
【0021】
筐体2の内部には、給紙カセット10と、給紙カセット10の上方に、4色のトナーを用いて電子写真方式で画像形成を行うプロセスユニット11と、が着脱可能に支持されている。給紙カセット10とプロセスユニット11とは、開口部4を通して着脱されるようになっている。
【0022】
図4を参照して、筐体2に設けられたフロントカバー7の回動軸の周辺の構造について説明する。図4は筐体の右側板の外面前下隅を示す図である。
【0023】
筐体2の左右側板2aには、外面の前下隅に、回動軸13と、ガイド溝14と、がそれぞれ形成されている。回動軸13は、左右側板2aの外面の前下隅の前端に、互いに同軸上を反対方向に延びるように立設されている。ガイド溝14は、左右側板2aの外面の回動軸13よりも後側に形成されて、回動軸13を中心とした円弧状の円弧部14aと、円弧部14aの下端から後方に向かって斜め下方向に延びる傾斜部14bと、を有する。
【0024】
図5図3を参照して、上面カバー6について説明する。図5は、上面カバーの前右隅を示す斜視図である。図3に示されるように、上面カバー6には、上面の中央に排紙トレイ16が形成されている。また、上面カバー6の前左隅と前右隅は湾曲しており、図5に良く示されるように、前縁と左前隅と右前隅とに沿って、外方向に張り出すフランジ部18が形成されている。フランジ部18は、上面カバー6の上面よりも低い段状に形成されている。
【0025】
図5に示されるように、フランジ部18の左前隅と右前隅の後寄りの位置には、左右方向に延びる溝19が形成されている。各溝19は断面形状が矩形状で、フランジ部18の全幅に沿って形成されており、外側の面が開口している。
【0026】
次に、図1図6図9を参照してフロントカバー7について説明する。図6はフロントカバーの正面図(開閉部材は図示省略)、図7はフロントカバーの斜視図、図8はフロントカバーの右枠体の下端部を示す斜視図、図9はフロントカバーの上端部を示す図である。
【0027】
フロントカバー7は、筐体2に対して下端部を中心に回動可能に支持されており、図1に示されるように、筐体2にビスで締結される枠部材21と、枠部材21に対して回動可能に支持された開閉部材22と、を備えている。開閉部材22を枠部材21に対して回動させることで、給紙カセット10の紙詰まり等を処理できるようになっている。
【0028】
枠部材21は、図6図7に示されるように、筐体2の左前隅と右前隅とをそれぞれ覆う左右枠体24と、左右枠体24の上端間に架設された上枠体25と、を有し、左右枠体24の上部と上枠体25との間には、開閉部材22が収容される凹状の中央部26が形成されている。中央部26の下方の左右枠体24間の空間を通して給紙カセット10が着脱されるようになっている。
【0029】
左右枠体24の外側の側面24aは、それぞれ左右側面カバー8と滑らかに連続するように湾曲している。また、左右枠体24には、左右方向に対向する内側の側面24bの下端部の後下隅に、図8に示されるように、平面視三角形状のリブ28が突設されている。各リブ28には、それぞれボス29が同軸上に対向するように立設されている。また、左右枠体24には、内側の側面24bの下端部の前下隅に、後方から前方に向かって斜め上方向に傾斜した長孔状の軸孔30が形成されている。
【0030】
図6及び図7に示されるように、上枠体25には、左右両端部に、筐体2と締結するためのビスが挿通される貫通孔32が開けられている。
【0031】
さらに、図9に示されるように、左右枠体24(図9は左枠体を示す)の上縁には、内側に張り出すフランジ部33が形成されている。各フランジ部33の下面には、後端寄りの位置から下方に突出する係止片34が形成されている。係止片34は、断面形状がL字状であり、左右方向に延びる長辺部34aと、長辺部34aの内端からフランジ部33の内側の縁に沿って後方に延びる短辺部34bと、を有する。短辺部34bの角は斜めに面取りされている。
【0032】
また、図2及び図3に示されるように、左右枠体24の高さ方向の中央付近と、筐体2の左右側板2aとの間はストラップ36で連結されている。フロントカバー7は、ストラップ36が緊張する開放位置まで回動可能となっており、開放位置からの開放方向への回動は規制されている。開放位置におけるフロントカバー7の開口部4に対する回動角度は、60度以上である。
【0033】
上記構成を有するフロントカバー7の回動について、図10図14を参照して説明する。図10図12は、フロントカバーの回動に伴う回動軸と軸孔、及び、ガイド溝とボスとのそれぞれの係合状態を説明する図であり、図13及び図14はフロントカバーの係止片と上面カバーの溝部との係合を示す図である。
【0034】
図10に示されるように、フロントカバー7の左右枠体24に形成された軸孔30に、筐体2の左右側板2aに形成された回動軸13をそれぞれ挿通させることで、フロントカバー7は回動軸13を中心として回動可能に支持される。さらに、フロントカバー7の左右枠体24に形成されたボス29を、筐体2の左右側板2aに形成されたガイド溝14に係合させる。このように筐体2に装着されたフロントカバー7は、開口部4を閉止する閉止位置において、回動軸13は軸孔30の上端に係止され、ボス29はガイド溝14の下端に係合している。そして、フロントカバー7の上枠体25は、筐体2にビスで締結されている。
【0035】
さらに、図13に示されるように、フロントカバー7のフランジ部33に形成された係止片34は、上面カバー6のフランジ部18に形成された溝19に係合している。これにより、フロントカバー7の開放方向への回動が規制されていると共に、フロントカバー7のフランジ部33が上面カバー6のフランジ部18に乗り上げて、フロントカバー7のフランジ部33と上面カバー6の上面とが段差なく滑らかに連続するようになっている。
【0036】
開口部4を開放する際には、まず、フロントカバー7を筐体2に締結しているビスを取り外す。この状態において、フロントカバー7の係止片34と上面カバー6の溝19とは係合したままであるので、フロントカバー7の開放方向への回動は規制されている。なお、図10に示されるように、フロントカバー7のボス29は、筐体2のガイド溝14の傾斜部14bに係合している。したがって、例えば、フロントカバー7を回動軸13を中心として開放方向へ回動させようとすると、ボス29は傾斜部14bの側面に係止されて、フロントカバー7の回動が規制されるようになっている。
【0037】
そこで、フロントカバー7を、手前側斜め上方向に持ち上げると、図14に示されるように、係止片34が溝19から離間して、フロントカバー7の回動が許容される。さらに、図11に示されるように、回動軸13が軸孔30に対して相対的に下方向へ案内され、ボス29は傾斜部14b内を上方向に案内される。このようにフロントカバー7を手前側斜め上方向に持ち上げることで、フロントカバー7の下端部が左右側面カバー8や設置面から離間し、下端部の回動軌跡が左右側面カバー8や設置面と干渉しないようになる。
【0038】
その後、図12に示されるように、フロントカバー7を開放方向に回動させる。フロントカバー7は側面カバー8や設置面と干渉せずに回動軸13を中心に回動し、ボス29は円弧部14aに沿って案内される。
【0039】
フロントカバー7は、図15に示されるように、ストラップ36が緊張する開放位置まで回動する。この状態でプロセスユニット11を筐体2から引き出すと、プロセスユニット11は前端部がフロントカバー7の上端部で支持されて、ほぼ水平な姿勢に支持される。
【0040】
開口部4を閉止する際は、フロントカバー7を回動軸13を中心として回動させる。フロントカバー7のフランジ部33の係止片34が上面カバー6のフランジ部18の溝19の上方まで回動すると、係止片34は自動的に溝19に嵌まり込む。同時に、フロントカバー7は軸孔30が回動軸13で案内されて後側斜め下方向に下降し、ボス29は円弧部14aから傾斜部14b内を下方向に案内される。この状態において、係止片34と溝19との係合によって、フロントカバー7の開放方向への回動は規制される。最後に、フロントカバー7と筐体2とをビスで締結する。
【0041】
上記説明したように本発明のカラープリンター1においては、フロントカバー7を開放位置に回動させる際に、フロントカバー7を筐体2に締結しているビスを取り外しても、フロントカバー7が不用意に回動することを防止できる。したがって、フロントカバー7を側面カバー8や設置面と干渉することなく回動できると共に、回動軸13の破損などを防止できる。
【0042】
さらに、フロントカバー7を開放位置に回動する際には、フロントカバー7を手前側斜め上方向に持ち上げる作業が必要であるが、フロントカバー7を閉止位置に回動した際には、フロントカバー7の係止片34がフロントカバー7の自重で上面カバー6の溝19に嵌まり込むので、フロントカバー7を回動させる一連の作業で、係止片34を溝19に係合させることができる。
【0043】
また、係止片34と溝19とが係合することで、フロントカバー7の左右枠板24の外側の側面24aは左右側面カバー8と滑らかに連続するようになり、フランジ部33が上面カバー6のフランジ部18に乗り上げて、上面カバー6の上面と滑らかに連続するようになる。したがって、フロントカバー7と側面カバー7及び上面カバー6との間に段差や隙間がなく、見栄えが良くなる。
【0044】
また、フロントカバー7は、開放位置においてプロセスユニット11を支持できるので、プロセスユニット11のメンテナンス作業や交換作業時に、サービスマンにかかる負荷を低減できる。また、引き出されたプロセスユニット11を支持するための別部材が不要であるので、メンテナンス作業や交換作業を効率化できる。
【0045】
さらに、本発明の実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用した場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等のカラープリンター1以外の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。
【0046】
さらに、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 カラープリンター(画像形成装置)
2 筐体
4 開口部
7 フロントカバー(カバー)
11 プロセスユニット
19 溝(係合部)
34 係止片(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15