(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、画像形成装置10及びこの画像形成装置10に適用されるトナー容器41について説明する。以下の説明では、画像形成装置10が設置された状態を基準として上下方向D1を定義する。また、画像形成装置10に対してトナー容器41が挿入される側を手前側(正面側)として前後方向D2を定義する。また、画像形成装置10を手前側(正面側)から見て左右方向D3を定義する。
【0011】
[画像形成装置]
画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えた装置であり、例えば、カラープリンターである。画像形成装置10は、トナーを含む現像剤を用いて、シート部材である印刷用紙に画像を印刷する。画像形成装置10の具体例は、例えばプリンターや複写機、ファクシミリ、又は、これらの各機能を備えた複合機である。また、画像形成装置10は、カラー画像を形成可能なものであるが、トナー容器41を用いるものであれば、モノクロの画像を形成可能に構成されたものであってもよい。
【0012】
図1に示されるように、画像形成装置10は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置10は、複数の画像形成部1〜4と、中間転写ユニット5と、露光装置14と、二次転写装置15と、定着装置16と、トナー補給装置40(本発明のトナー補給部の一例)と、ベルトクリーニング装置6と、廃トナー回収装置78と、タッチパネルや液晶表示部などを有する操作表示部9と、制御部8と、給紙トレイ17と、排紙トレイ18とを備えている。これらの構成要素は、画像形成装置10の外部フレーム(不図示)や内部フレームなどを構成する筐体11に取り付けられている。
【0013】
画像形成部1〜4は、並設された複数の感光体ドラム21それぞれに色の異なるトナー像を所謂電子写真方式によって形成する。前記トナー像は、走行中(移動中)の中間転写ベルト5Aに順次重ね合わさるように転写される。
図1に示される例では、中間転写ベルト5Aの移動方向(矢印19方向)の下流側から順に、ブラック用の画像形成部1、イエロー用の画像形成部2、シアン用の画像形成部3、及びマゼンタ用の画像形成部4がその順番で一列に配置されている。
【0014】
画像形成部1〜4それぞれは、中間転写ベルト5Aの下側に設けられている。画像形成部1〜4それぞれは、トナー像を担持する感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、一次転写装置24等を備えている。感光体ドラム21の表面は帯電装置22によって帯電され、露光装置14によって帯電された感光体ドラム21の表面が露光走査される。これにより、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。現像装置23は、前記静電潜像をトナーによって現像する。そして、一次転写装置24によって、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト5Aに転写される。
【0015】
中間転写ユニット5は、中間転写ベルト5Aと、駆動ローラー7Aと、従動ローラー7Bとを有する。中間転写ベルト5Aは、複数色(本実施形態では4色)のトナー像からなるトナー像を担持する。中間転写ベルト5Aは、駆動ローラー7A及び従動ローラー7Bによって回転駆動可能に支持されることにより、その表面が各感光体ドラム21の表面に接しながら移動可能となる。中間転写ベルト5Aが回転駆動されると、その表面が感光体ドラム21と一次転写装置24との間を通過する。その際に、複数の感光体ドラム21に担持された各色のトナー像が重ね合わさるように順に中間転写ベルト5Aに転写される。
【0016】
中間転写ユニット5の上方にトナー補給装置40が設けられている。トナー補給装置40は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41を着脱可能に構成されている。トナー補給装置40の構成については後述する。
【0017】
二次転写装置15は、中間転写ベルト5Aに転写されたトナー像を給紙トレイ17から搬送されてきた印刷用紙に転写する。トナー像が転写された印刷用紙は、図示しない搬送部によって定着装置16に搬送される。定着装置16は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとを有する。定着装置16は、トナー像が転写された印刷シートに対して熱と圧力を加えながら搬送する。これにより、トナー像が溶融して印刷シートに定着される。トナー像が定着された印刷シートは、更に下流側へ搬送されて、中間転写ユニット5の上方に配置されたトレイ状の排紙トレイ18に排出されて保持される。
【0018】
ベルトクリーニング装置6は、中間転写ベルト5Aの表面に残存した廃トナーを除去して回収し、回収した廃トナーを廃トナー回収装置78に搬送する。ベルトクリーニング装置6は、中間転写ユニット5の前方側に配置されている。ベルトクリーニング装置6は、クリーニング部材であるクリーニングローラー25、スクリュー部材26、及びトナーボックス27を備えている。クリーニングローラー25は、従動ローラー7Bと対向するように配置されており、その表面が中間転写ベルト5Aに接触している。クリーニングローラー25の前後方向D2の長さは、中間転写ベルト5Aとほぼ同じである。クリーニングローラー25は、トナーボックス27内で回転可能に支持されている。クリーニングローラー25の支軸に回転駆動力が入力されることによってクリーニングローラー25が回転する。
【0019】
クリーニングローラー25は、中間転写ベルト5Aに接触した状態で回転されることにより、二次転写装置15による転写後に中間転写ベルト5Aの表面に残留したトナーを取り除く。以下、クリーニングローラー25によって取り除かれたトナーを「廃トナー」と称する。前記廃トナーは、重力の作用又はクリーニングローラー25の回転力によってトナーボックス27に取り入れられて回収される。トナーボックス27に回収された廃トナーは、スクリュー部材26により搬送される。トナーボックス27の底面の後端部側に排出口(不図示)が形成されている。スクリュー部材26が回転されることにより、前記廃トナーがトナーボックス27内を前記排出口へ向けて搬送される。
【0020】
廃トナー回収装置78は、トナーボックス27の下側に設けられている。廃トナー回収装置78は、廃トナー容器79を着脱可能に構成されている。ベルトクリーニング装置6の前記排出口から廃トナーが排出されると、廃トナー回収装置78に装着された廃トナー容器79内に廃トナーが貯留される。つまり、中間転写ベルト5Aの表面に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置6によって取り除かれた後に廃トナーとして廃トナー容器79に収容される。本実施形態では、廃トナー容器79として、トナー補給装置40で使用された空のトナー容器41を兼用することが可能である。
【0021】
[トナー補給装置]
以下、
図2乃至
図11を参照して、トナー補給装置40について説明する。
図2に示されるように、トナー補給装置40は、トナー容器41と、トナー容器41が装着される容器装着部42とにより構成されている。なお、各図では、筐体11にトナー補給装置40が取り付けられた取付姿勢を基準にして、鉛直方向を上下方向D1とし、筐体11に対するトナー容器41の着脱方向(挿抜方向)を前後方向D2とし、トナー補給装置40の前面から見て水平方向を左右方向D3としている。
【0022】
トナー容器41は、現像装置23に補給するためのトナーを収容する。本実施形態では、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41がトナー補給装置40に設けられている。なお、ブラック用のトナー容器41は、他の色のトナー容器41に比べて外径が大きく形成されているが、この点を除き、全てのトナー容器41は同じ構成である。以下、特筆しない限り、ブラック用のトナー容器41について説明する。
【0023】
トナー容器41は、前後方向D2に長い形状に形成されている。トナー容器41は、容器本体52、駆動伝達部55、カバー部材56などを有する。容器本体52の内部はトナーを収容可能な収容空間である。容器本体52の内部にトナーが収容されている。容器本体52は、一方側(後方側)にトナーの流出入が可能な開口部51(
図5参照)を有している。開口部51は、トナー補給装置40に対するトナー容器41の挿入方向D21側(後方側)の端部に形成されている。内部に収容されたトナーは、開口部51から外部に流出可能である。容器本体52は、他方側(前方側)が閉塞された円筒形状に形成されている。
【0024】
容器本体52の後方側の端部は前記挿入方向D21へ向けて先細り形状に形成されている。容器本体52の前記挿入方向D21側の後端部に開口部51が設けられている。開口部51は、断面円形状に形成されている。容器本体52は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET樹脂)などの合成樹脂として、ブロー成形法又はインジェクション成形法によって形成される。
【0025】
容器本体52は、内面に螺旋形状の山形リブ53(
図3参照)が形成されている。山形リブ53は容器本体52の内面から容器本体52の中心へ向けて突出している。この山形リブ53は、容器本体52内のトナーを開口部51(
図5参照)側へ搬送する役割を担う。
【0026】
図4に示されるように、容器本体52の開口部51側には、駆動伝達部55が装着されている。駆動伝達部55は、容器本体52に固定されている。駆動伝達部55は、周面にギヤ54が形成された環状の部材である。駆動伝達部55は、容器本体52において開口部51側の端部に嵌め入れられて、その外周面に固定されている。駆動伝達部55は、モーターなどの駆動源から回転駆動力を受けて、トナー容器41に回転駆動力を伝達する。
【0027】
容器本体52において、駆動伝達部55よりも前記挿入方向D21側(後方側)にカバー部材56が設けられている。カバー部材56は、開口部51を覆うものであり、容器本体52の前記挿入方向D21側の端部に取り付けられている。カバー部材56は、熱可塑性を有する合成樹脂を射出成形などによって形成したものであり、合成樹脂製品である。
【0028】
カバー部材56は、容器本体52に取り付けられた状態で、開口部51(
図5参照)が挿入される円筒形状の収容フレーム58を有する。
図5に示されるように、収容フレーム58の内部に開口部51が挿入されており、これにより、開口部51が覆われる。収容フレーム58は、開口部51を周方向に回動可能に支持している。このため、収容フレーム58に開口部51が挿入された状態で、容器本体52が周方向に回動可能である。トナー容器41が容器装着部42に装着されると、カバー部材56は、後述の装着部80と被装着部90との係合によって、トナー容器41の周方向に固定される。したがって、トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、カバー部材56は、容器本体52の開口部51側を前記周方向に回動可能に支持する。カバー部材56の前方側の端部56Aは、駆動伝達部55の後端部55A(
図5参照)を外側から遊嵌している。このため、トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、ギヤ54に回転駆動力が伝達されると、容器本体52は、その回転駆動力によって矢印D11(
図4参照)に示す回転方向へ回転する。つまり、トナー容器41は、現像装置23にトナーを供給可能な状態で、その長手方向を回転中心として回転する。このようにトナー容器41の容器本体52が回転することによって、山形リブ53により押されつつトナーが開口部51側(後方側)へ搬送される。
【0029】
カバー部材56は、トナー排出口74(
図5参照)を有する。トナー排出口74は、容器本体52に収容されたトナーを外側へ排出するためのものであり、カバー部材56の外周壁に設けられている。トナー排出口74は、
図5において、カバー部材56の下側に設けられている。具体的に、トナー排出口74は、カバー部材56の外周壁を貫通する矩形状の貫通孔である。
図5に示されるように、カバー部材56の内部には、開口部51とトナー排出口74との間にトナー流通路75(本発明の案内路の一例)が形成されている。トナー容器41がトナー排出口74を下側にして容器装着部42(
図2参照)に装着されると、容器本体52の開口部51からトナー流通路75に移動したトナーは、トナー流通路75を通って下方へ案内されて、トナー排出口74に達する。そして、トナー排出口74が開放されている場合はトナー排出口74から下方外側へトナーが排出される。これにより、トナーが現像装置23に補給される。一方、トナー排出口74が閉塞されていた場合、トナーは排出されず、トナー流通路75がトナーで満たされた状態となる。
【0030】
図5に示されるように、カバー部材56にスライド式の開閉部材76が設けられている。開閉部材76は、プレート形状の部材であり、容器本体52の長手方向(前後方向D2)へスライド可能にカバー部材56に支持されている。開閉部材76は、容器装着部42に対するトナー容器41の位置に応じて、トナー排出口74を開閉する。開閉部材76は、トナー容器41が容器装着部42に装着されると、トナー排出口74を開放する。具体的には、トナー容器41が容器装着部42に装着されると、装着動作にともない容器装着部42から押圧力を受けて開閉部材76がトナー排出口74を開放する位置(開放位置)まで移動される。
図5では、開閉部材76が前方側へ移動してトナー排出口74を開放した状態が示されている。トナー容器41が容器装着部42から取り外されると、その取り外し動作にともない開閉部材76は前記開放位置から後方へ移動してトナー排出口74を閉塞する位置(閉塞位置)まで移動されて、トナー排出口74を閉塞する。なお、容器装着部42には、図示しない付勢部材が設けられており、前記開放位置から前記閉塞位置までの開閉部材76の移動は、トナー容器41の取り外し動作にともない前記付勢部材が開閉部材76を相対的に後方へ移動させることにより行われる。
【0031】
また、カバー部材56は、収容フレーム58よりも前記挿入方向D21側に、内部が空洞の円筒状の基部59を有する。この基部59に、後述の装着部80(本発明の装着部の一例)が一体に形成されている。基部59の前記挿入方向D21側の端面59Aには、端面59Aから突出するアーチ状のガイド壁61が設けられている。このガイド壁61によって囲まれた孔60は、後述の収容部44にトナー容器41が装着されたときに、収容部44の奥面46に形成されたバネ座94(
図7参照)に保持された前記コイルバネ(不図示)が挿通される部分である。また、端面59Aの中央に突起93(本発明の係合部の一例)が一体に形成されている。突起93は、収容部44にトナー容器41が装着されたときに、奥面46に設けられた突出ボス92(本発明の被係合部の一例)の孔92Aに係合される。具体的には、突起93は、孔92Aに挿通される。これにより、突起93と突出ボス92との係合によって、収容部44に対してトナー容器41が位置決めされる。なお、収容部44にトナー容器41が装着されたときに前記コイルバネが圧縮されつつ孔60に挿通されるので、この場合、前記コイルバネのバネ力によってトナー容器41が外れないように、不図示のロック機構によって、収容部44における装着位置でトナー容器41はロックされる。
【0032】
図2に示されるように、容器装着部42は、4つの収容部44(44A〜44D)を有する。各収容部44には、予め定められた色のトナー容器41が収容される。最も右端の収容部44Aは、ブラックに対応するトナー容器41が収容される。
図2では、ブラックに対応するトナー容器41の後方側の一部が収容部44に挿入された状態が示されている。収容部44Aの左側に配置された収容部44B,44C,44Dは、それぞれ、イエロー色、シアン色、マゼンタ色に対応するトナー容器41が収容される部分である。
【0033】
画像形成装置10は、各収容部44に異なる色のトナー容器41が装着できないように構成されている。すなわち、装着互換性を有するトナー容器41だけが、それに対応する収容部44に装着可能である。つまり、各収容部44は、装着互換性を有するトナー容器41を択一的に装着可能とするものである。本実施形態では、トナー容器41の前記挿入方向D21の先端部に装着部80が設けられており、また、収容部44の後方側の奥面46(
図7参照)に被装着部90(本発明の被装着部の一例)が設けられている。トナー容器41が収容部44に挿入されて、トナー容器41の装着部80が被装着部90に係合した場合に、トナー容器41の装着が許容される。一方、被装着部90にトナー容器41の装着部80が係合できない場合は、トナー容器41の装着が禁止される。このように被装着部90と装着部80とによる装着互換性を実現する構造は、一般に、非互換性構造と称されている。
【0034】
一般的な非互換構造は、各色に対応した複数種の非互換部材を必要とする。そのため、例えば、黒色、イエロー色、シアン色、マゼンタ色の4色のトナーを用いる画像形成装置10においては、4タイプの非互換部材を必要とする。各非互換部材を個別に複数用意すると、部品点数が増加する。また、複数の非互換部材を樹脂製の材料を用いて金型で成形する場合は、4種類の金型が必要なため、イニシャルコストの負担が大きい。これに対して、本実施形態では、色の異なる複数のトナー容器41それぞれの装着部80を、各色に共通する形状に形成し、必要に応じて装着部80の一部の要素(非互換キー)を切除することにより、前記互換性構造を実現している。以下、収容部44の被装着部90及びトナー容器41の装着部80の構成について詳細に説明する。
【0035】
図7は、
図2における切断面VII−VIIの断面構造を模式的に示した図である。
図7には、各収容部44における前記挿入方向D21側の奥面46が示されている。各収容部44それぞれに、複数色それぞれに対応した被装着部90(90A〜90B)が設けられている。被装着部90は、各奥面46それぞれに設けられている。被装着部90は、装着互換性を有するトナー容器41に設けられた装着部80と係合される部分である。この被装着部90は、装着部80と係合されることによって収容部44に対するトナー容器41の択一的な装着を可能にする。
【0036】
各被装着部90それぞれは、奥面46において予め定められた8箇所の位置Pk(P1〜P8)(
図7の点線円を参照)のいずれかに突出部91(本発明の第1干渉キーの一例)を有する。突出部91は、奥面46からその面に垂直な方向へ突出する棒状の突出部材である。
図7に示されるように、奥面46の中央に円形の突出ボス92が形成されている。突出ボス92は、奥面46から前方へ突出する円柱状の部材である。突出ボス92の先端面の中央に孔92Aが形成されている。孔92Aは、カバー部材56の端面59Aに設けられた位置決め用の突起93が挿入される部分である。奥面46において突出ボス92の下方に図示しないコイルバネを保持するためのバネ座94が設けられている。バネ座94に前記コイルバネの一端が保持される。バネ座94に保持された前記コイルバネは、トナー容器41が収容部44に装着されたときに、トナー容器41のカバー部材56に形成された孔60に挿入される。位置P1〜P8は、突出ボス92を中心とする円の円周上に定められている。本実施形態では、位置P1〜P8は、4つの奥面46それぞれにおいて同じ位置であり、前記中心点を基準にして等角度間隔を隔てて前記円周上に定められている。
図7に示される例では、奥面46において、バネ座94からCW方向(時計回転方向)に隣接して位置P1が定められており、その位置P1から前記CW方向へ等角度間隔で位置P2〜P8が定められている。なお、位置P8は、バネ座94からCCW方向(半時計回転方向)に隣接した位置である。
図7に示されるように、位置P1〜P8は、突出ボス92の中心を通る鉛直線を基準に左右対象となるように定められている。
【0037】
各奥面46に設けられた各被装着部90それぞれは、4つの突出部91を有する。例えば、黒色のトナー容器41が装着される収容部44Aの奥面46には、被装着部90Aが設けられている。被装着部90Aは、位置P1〜P8のうち、位置P1,P3,P5,P7に突出部91を有する。つまり、被装着部90Aにおいて、位置P1,P3,P5,P7に突出部91が立設している。
【0038】
イエロー色のトナー容器41が装着される収容部44Bの奥面46には、被装着部90Bが設けられている。被装着部90Bは、位置P1,P2,P5,P6に突出部91を有する。つまり、被装着部90Bにおいて、位置P1,P2,P5,P6に突出部91が立設している。
【0039】
シアン色のトナー容器41が装着される収容部44Cの奥面46には、被装着部90Cが設けられている。被装着部90Cは、位置P1〜P3,P7に突出部91を有する。つまり、被装着部90Cにおいて、位置P1〜P3,P7に突出部が立設している。
【0040】
マゼンタ色のトナー容器41が装着される収容部44Dの奥面46には、被装着部90Dが設けられている。被装着部90Dは、位置P1〜P4に突出部91を有する。つまり、被装着部90Dにおいて、位置P1〜P4に突出部91が立設している。
【0041】
本実施形態では、収容部44に装着互換性を有するトナー容器41が挿入されると、被装着部90において、突出部91が設けられていない位置Pkにトナー容器41の装着部80の互換キー81が進入する。そして、互換キー81は、突出部91を有する位置Pkに対応した位置には設けられていないため、互換キー81が突出部91に当接して干渉することはなく、したがって、前記挿入方向D21へのトナー容器41の挿入が制限されることはない。
【0042】
図4は、黒色に対応する収容部44Aに挿入される黒色のトナー容器41の先端部を示す。以下、説明の便宜上、黒色のトナー容器41をトナー容器41Aと表記し、それに設けられた装着部80を装着部80Aと表記する。
図4に示されるように、トナー容器41Aの前記挿入方向D21の先端部に装着部80Aが設けられている。黒色のトナー容器41Aに限られず、イエロー色、シアン色、マゼンタ色に対応する各トナー容器41にも装着部80が設けられているが、それぞれの装着部80は、異なる形状に形成されている。以下、各色に対応する装着部80を代表して、
図4を用いて黒色に対応する装着部80Aについて説明する。
【0043】
図4に示されるように、装着部80Aは、トナー容器41Aのカバー部材56に一体に設けられている。カバー部材56は、円筒形状の収容フレーム58よりも前記挿入方向D21側に内部が空洞の筒状の基部59を有している。装着部80Aは、その基部59における前記挿入方向D21側の端面59A(本発明の対向面に相当)に設けられている。装着部80Aは、カバー部材56の成形時に一体に形成される。装着部80Aは、4つの互換キー81を有する。4つの互換キー81それぞれは、黒色に対応する被装着部90Aに係合可能な位置に設けられている。互換キー81は、端面59Aから前記挿入方向D21側(つまり被装着部90A側)へ突出する突出部材であり、断面が円形状の棒状に形成されている。互換キー81は、カバー部材56の成形時に一体に形成される際に、トナー容器41Aの内部に連通可能なように、内部が中空状に形成される。互換キー81の内部は、カバー部材56のトナー流通路75に連通しており、トナー流通路75を通じてトナー容器41Aの内部に連通している。
【0044】
本実施形態では、収容部44Aにトナー容器41Aが挿入されて被装着部90Aと端面59Aとが対向された状態で、被装着部90Aにおいて突出部91が設けられていない位置P2,P4,P6,P8に対応する端面59A上の位置に、互換キー81が設けられている。
【0045】
このように、トナー容器41Aに装着部80Aが設けられているため、トナー容器41Aが、対応する収容部44Aに挿入されると、被装着部90Aにおいて突出部91が設けられていない位置P2,P4,P6,P8に互換キー81が進入する。これにより、互換キー81が突出部91に阻害されることなく、収容部44Aにトナー容器41Aが装着可能となる。言い換えると、トナー容器41Aは、収容部44Aに対して装着互換性を有する。なお、トナー容器41Aが装着部80に装着された状態で、互換キー81と突出部91とがトナー容器41Aの周方向に係合する。そのため、この係合によって、カバー部材56がトナー容器41Aの周方向に固定される。
【0046】
上述した装着部80Aは、以下の要領で形成することができる。すなわち、
図6(A)に示されるように、基部59において、位置P1〜P8に対応する全ての位置に互換キー81と同じ形状の8つの突出部材82(本発明のキー部材の一例)が設けられたカバー部材65を成形する。このカバー部材65は、特定の収容部44に対して装着互換性を有するカバー部材56を形成するためのベースとなるものである。本実施形態では、8つの突出部材82を端面59Aに有する基部59がカバー部材65に一体に形成されている。この基部59は、装着部80Aを形成するためのベース部材となる部分である。カバー部材65は、8つの突出部材82を有する点を除き、カバー部材56と同じ構成であり、カバー部材56と同様に可塑性を有する合成樹脂で成形される。本実施形態では、カバー部材65を基にして、各色それぞれに対応した装着互換性を有する装着部80を有するカバー部材56を形成することができる。
【0047】
具体的には、カバー部材65から黒色に対応するトナー容器41Aに取り付けられるカバー部材56を形成する場合、8つの突出部材82から、収容部44Aの被装着部90Aにおいて突出部91が設けられている位置P1,P3,P5,P7に対応する4つの突出部材82A(本発明の第2干渉キーの一例)を選択し、それら突出部材82A(
図6(A)参照)を切除する。位置P1,P3,P5,P7に対応して端面59Aに形成された4つの突出部材82Aは、トナー容器41Aが収容部44Aに装着される際に、奥面46の位置P1,P3,P5,P7に設けられた突出部91と干渉するものである。そのため、その干渉する4つの突出部材82Aを切除して、干渉しない突出部材82だけを残すことにより、収容部44Aに対するトナー容器41Aの装着が可能となり、突起93と突出ボス92の孔92Aとの係合が可能となる。切除方法は、例えば、超音波カッターで切断する方法、レーザー光線を利用した切断機などで切断する方法が適用可能である。或いは、成形時に突出部材82Aの根本に切り込みを形成しておき、不要な突出部材82Aを折り倒して切除する方法を適用しても良い。切除後に残された突出部材82は、上述した互換キー81となる。
【0048】
このように選択された突出部材82Aは、切除しなければ突出部91に干渉するものである。つまり、突出部材82Aが一つでも装着部80に含むカバー部材56をトナー容器41Aが備えている場合、そのトナー容器41Aが収容部44Aに挿入されたとしても、位置P1,P3,P5,P7に位置する突出部91のいずれかに突出部材82Aが当接する。このため、装着部80の突出部材82Aは、被装着部90Aに係合することができない。もちろん、突出部材82Aがあるため、本来は被装着部90Aに係合可能な他の突出部材82も被装着部90Aに係合できなくなる。このように、突出部材82Aは、被装着部90Aに対する係合を干渉によって阻害する。4つの突出部材82Aが切除されることによって、被装着部90Aと係合可能な装着部80Aが形成される。
【0049】
上述したように、突出部材82Aは、互換キー81と同じ形状であり、内部は中空に形成されている。そのため、
図6(B)に示されるように、突出部材82Aが切除されると、その切除面に開口85が現れる。開口85はトナー流通路75に連通しているため、トナー流通路75のトナーが開口85から外部に漏出する。このため、突出部材82Aが切除された後に、開口85は熱溶着によって閉塞される。
図4には、開口85が熱溶着によって閉塞された閉塞部85Aが示されている。カバー部材65は、熱可塑性を有する合成樹脂製のものであるため、例えば、インパルス溶着機を用いて切断面を熱溶着することによって、開口85の縁部が溶け出して開口85が埋められ、その後の冷却によって開口85が閉塞される。
【0050】
これまでは、黒色に対応するカバー部材56をカバー部材65から形成する例について説明したが、カバー部材65から他の被装着部90に対して装着互換性のある装着部80を有するカバー部材56を形成することも可能である。つまり、カバー部材65の8つの突出部材82のうち、装着互換性を得たい被装着部90において突出部91が設けられている位置に対応する突出部材82を選択的に切除し、突出部91が設けられていない位置に対応する突出部材82を残す。これにより、被装着部90に対して装着互換性のある装着部80を形成することができる。そして、この装着部80を有するカバー部材56が取り付けられたトナー容器41であれば、トナーの色が対応する収容部44に装着可能であり、他の色の収容部44に対しては装着を禁止する非互換を実現することができる。
【0051】
このように、一種類のカバー部材65から多種の装着部80を形成することができるため、成型品としてカバー部材65を用意してさえいれば、トナー容器41の色ごとに異なる形状の装着部80を有するカバー部材56をカバー部材65から容易に作り出すことができる。これにより、個別にカバー部材56を形成する場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。また、カバー部材56を金型で成形する場合は、カバー部材65を成形する金型一つあればよいため、イニシャルコストの負担を抑制することができる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、4つの突出部91を有する被装着部90を例示し、4つの互換キー81を有する装着部80を例示したが、突出部91や互換キー81の数や位置は上述の構成に限られない。また、上述の実施例では、カバー部材56に装着部80を設けた例について説明したが、例えば、トナー容器41がカバー部材56を備えていないものであれば、トナー容器41の容器本体52に装着部80を一体に形成する構成とすることも可能である。