(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
感光体の表面の潤滑性を向上するためにトナーを過剰に供給してしまうと、トナーに含まれる研磨剤がブレードをすり抜ける量が多くなり、感光体の表面に付着して、感光体を汚染してしまうこととなる。また、放電生成物の発生についても、できるだけ効率的に抑制することが望ましい。したがって、画像形成装置において画質の向上を図るためには、より正確な画像形成条件の設定が必要となる。すなわち、ブレードの負荷の軽減をより適切に行うためには、実際の感光体の表面状態、例えば、実際の感光体の表面粗さに合わせて、適切な帯電バイアス電圧値を設定したり、潤滑剤としてのトナーの供給のタイミングを設定する必要がある。
【0009】
ここで、画像形成装置の使用状況毎に、厳密に感光体の表面粗さを測定することは困難である。したがって、昨今は、画像形成装置の耐久枚数、すなわち、現在までに形成した画像形成の枚数や駆動時間の総計から推測して、感光体の表面粗さの値に換算しているに過ぎない。そうすると、実際の表面粗さとは異なる表面粗さの設定で画像形成条件を設定することとなり、精度よく画質の向上が図れないこととなる。上記した特許文献1〜3に開示の技術では、対応することができない。
【0010】
この発明の目的は、画質を向上させた画像形成装置を提供することである。
【0011】
この発明の他の目的は、精度よく画像形成装置用感光体の表面粗さを検出することができる画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは、耐久に伴う感光体の表面の平滑化のメカニズムについて、鋭意検討した。そして、感光体の表面速度と中間転写体の表面速度との間の所定の線速差において、初期と耐久後で中間転写体の駆動トルクに差が生じることを見出し、本願発明を構成するに至った。
【0013】
すなわち、この発明の一の局面においては、画像形成装置は、感光体と、露光部と、帯電バイアス印加部と、現像部と、中間転写体と、二次転写ローラーと、線速差調整部と、初期駆動トルク測定部と、耐久後駆動トルク測定部と、表面粗さ導出部と、画像形成条件設定部とを備える。露光部は、感光体の表面に静電潜像を形成する際に感光体に露光する。帯電バイアス印加部は、静電潜像を形成する際に感光体に当接または近接した帯電部材に帯電バイアスを印加する。現像部は、感光体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナーによる可視画像を形成する。中間転写体は、無端状であって、一方方向に回転し、現像部によって形成された可視画像を一次転写される。二次転写ローラーは、中間転写体上に一次転写された可視画像を用紙に二次転写する。線速差調整部は、感光体の表面速度と中間転写体の表面速度との間の線速差を調整する。初期駆動トルク測定部は、現像部によってトナーによる可視画像を形成する前の初期の段階で、線速差調整部により感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第一の状態、線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第二の状態、および線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第三の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する。耐久後駆動トルク測定部は、現像部によってトナーによる可視画像を所定数形成した後の耐久後の段階で、線速差調整部により感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第四の状態、線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第五の状態、および線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第六の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する。表面粗さ導出部は、第二の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
1、第三の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
2、第五の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
1、第六の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
2とすると、変化率C=(A
2−A
1)/(B
2−B
1)の値に基づいて、感光体の表面粗さを導出する。画像形成条件設定部は、表面粗さ導出部により導出された感光体の表面粗さを基に、画像形成条件を設定する。
【0014】
この発明の他の局面においては、画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法は、画像形成装置用感光体と、画像形成装置用感光体の表面に静電潜像を形成する際に
画像形成装置用感光体に露光する露光部と、静電潜像を形成する際に
画像形成装置用感光体に当接または近接した帯電部材に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加部と、画像形成装置用感光体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナーによる可視画像を形成する現像部と、現像部によって形成された可視画像を一次転写される中間転写体と、中間転写体上に一次転写された可視画像を用紙に二次転写する二次転写ローラーと、
画像形成装置用感光体の表面速度と中間転写体の表面速度との間の線速差を調整する線速差調整部とを備える画像形成装置に備えられる画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法である。画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法は、現像部によってトナーによる可視画像を形成する前の初期の段階で、線速差調整部により
画像形成装置用感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第一の状態、線速差調整部により所定の線速差を
画像形成装置用感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第二の状態、および線速差調整部により所定の線速差を
画像形成装置用感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第三の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する工程と、現像部によってトナーによる可視画像を所定数形成した後の耐久後の段階で、線速差調整部により
画像形成装置用感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第四の状態、線速差調整部により所定の線速差を
画像形成装置用感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第五の状態、および線速差調整部により所定の線速差を
画像形成装置用感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第六の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する工程と、第二の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
1、第三の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
2、第五の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
1、第六の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
2、とすると、変化率C=(A
2−A
1)/(B
2−B
1)の値に基づいて、
画像形成装置用感光体の表面粗さを導出する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
このような画像形成装置によると、導出される感光体の表面粗さの精度が高いため、より正確に画像形成条件を設定することができる。したがって、画質の向上を図ることができる。
【0016】
また、このような画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法によると、導出される感光体の表面粗さの精度を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置を複合機に適用した場合の複合機11を示す図である。
図2は、
図1に示す複合機11の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1および
図2を参照して、複合機11は、制御部12と、操作部13と、画像読み取り部14と、画像形成部15と、用紙セット部19と、排出トレイ30と、記憶部としてのハードディスク16と、ファクシミリ通信部17と、ネットワーク25と接続するためのネットワークインターフェース部18とを備える。
【0020】
制御部12は、複合機11全体の制御を行う。操作部13は、複合機11側から発信する情報やユーザーの入力内容を表示する表示画面21を含む。操作部13は、印刷部数や階調等の画像形成の条件や電源のオンまたはオフを入力させる。画像読み取り部14は、セット位置にセットされた原稿を読み取り位置に搬送する原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)22を含む。画像読み取り部14は、ADF22または不図示の載置台上にセットされた原稿の画像を読み取る。用紙セット部19は、手差しで用紙をセットする手差しトレイ28やサイズの異なる複数枚の用紙を収納可能な給紙カセット群29を含む。画像形成部15は、画像読み取り部14により読み取られた画像データやネットワーク25を介して送信された画像データを基に、搬送されてきた用紙に画像を形成する。画像形成部15により画像を形成された用紙は、排出トレイ30に排出される。ハードディスク16には、受信した画像データや入力された画像形成条件のデータ等が記憶される。ファクシミリ通信部17は、公衆回線24に接続されており、ファクシミリ送信やファクシミリ受信を行う。
【0021】
なお、複合機11は、画像データの書き出しや読み出しを行うDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を備えるが、これらについては、図示および説明を省略する。また、
図2中の矢印は、制御信号や制御、画像に関するデータの流れを示している。なお、
図1に示すように、この実施形態においては、給紙カセット群29は、3つの給紙カセット23a、23b、23cから構成されている。
【0022】
複合機11は、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを用いて画像形成部15において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、複合機11は、ネットワークインターフェース部18を通じて、ネットワーク25に接続されたコンピューター26a、26b、26cから送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成して用紙に印刷することにより、プリンターとして作動する。すなわち、画像形成部15は、要求された画像を印刷する印刷部として作動する。複合機11は、ファクシミリ通信部17を通じて、公衆回線24から送信された画像データを用いて、DRAMを介して画像形成部15において画像を形成することにより、また、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを、ファクシミリ通信部17を通じて公衆回線24に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。複合機11は、画像処理に関し、複写機能、プリンター機能、ファクシミリ機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、詳細に設定可能な機能を有する。
【0023】
この発明の一実施形態に係る複合機11を含む画像形成システム27は、上記した構成の複合機11と、ネットワーク25を介して複合機11に接続される複数のコンピューター26a、26b、26cとを備える。この実施形態においては、複数のコンピューター26a〜26cについては、3台示している。各コンピューター26a〜26cはそれぞれ、複合機11に対して、ネットワーク25を介して印刷要求を行って印刷をすることができる。
【0024】
次に、複合機11に備えられる画像形成部15の構成について、さらに詳細に説明する。
図3は、複合機11に備えられる画像形成部15を示す図である。
【0025】
図1〜
図3を参照して、画像形成部15は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各4色にそれぞれ対応する第一の作像ユニット41a、第二の作像ユニット41b、第三の作像ユニット41c、および第四の作像ユニット41dを含む作像器31と、露光部としてのLSU(Laser Scanner Unit)32と、中間転写体としての転写ベルト33と、各作像ユニット41a〜41dに対応して設けられる四つの一次転写ローラー34a、34b、34c、34dを含む一次転写ユニット35と、二次転写ローラー36と、現像バイアス印加部37と、帯電バイアス印加部38とを備える。LSU32については、一点鎖線で概略的に示している。なお、複合機11は、いわゆる四連タンデム形式の画像形成部15を備えることとなる。また、複合機11は、転写ベルト33上に一次転写されたトナーによる可視画像のうちのトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサー51を備える。
図3においては、トナー濃度検出センサー51は、二点鎖線で概略的に示している。
【0026】
イエローの可視画像を形成する第一の作像ユニット41aは、その表面に静電潜像が形成される第一の感光体42a、第一の感光体42aにイエローの現像剤を供給する第一の現像ローラー43a、第一の感光体42aを帯電させる第一の帯電ローラー44a、および第一の感光体42aをクリーニングする第一のクリーニング部45aを含む。マゼンタの可視画像を形成する第二の作像ユニット41bは、その表面に静電潜像が形成される第二の感光体42b、第二の感光体42bにマゼンタの現像剤を供給する第二の現像ローラー43b、第二の感光体42bを帯電させる第二の帯電ローラー44b、および第二の感光体42bをクリーニングする第二のクリーニング部45bを含む。シアンの可視画像を形成する第三の作像ユニット41cは、その表面に静電潜像が形成される第三の感光体42c、第三の感光体42cにシアンの現像剤を供給する第三の現像ローラー43c、第三の感光体42cを帯電させる第三の帯電ローラー44c、および第三の感光体42cをクリーニングする第三のクリーニング部45cを含む。ブラックの可視画像を形成する第四の作像ユニット41dは、その表面に静電潜像が形成される第四の感光体42d、第四の感光体42dにブラックの現像剤を供給する第四の現像ローラー43d、第四の感光体42dを帯電させる第四の帯電ローラー44d、および第四の感光体42dをクリーニングする第四のクリーニング部45dを含む。なお、各クリーニング部45a〜45dには、いずれも図示しないクリーニングブレードおよび感光体の表面を研磨する研磨ローラーが含まれている。また、供給される現像剤に含まれるトナー中には、外添剤として、酸化チタン(TiO
2)が含まれている。この酸化チタンについては、金属粒子であり、感光体42a〜42dを研磨する研磨粒子でもある。なお、感光体42a〜42dの初期の表面粗さRaとしては、20nm〜100nmのものが好適に用いられる。
【0027】
現像バイアス印加部37は、現像部としての第一〜第四の現像ローラー43a〜43dに、それぞれ現像バイアス電圧を印加する。帯電バイアス印加部38は、第一〜第四の帯電ローラー44a〜44dに、それぞれ帯電バイアス電圧を印加する。ここで、帯電バイアス印加部38は、第一〜第四の感光体42a〜42dにそれぞれ当接または近接した帯電部材としての第一〜第四の帯電ローラー44a〜44dに、帯電バイアスとして、AC(Alternating Current(交流))電圧+DC(Dorect Current(直流))電圧を印加する。
【0028】
第一〜第四の作像ユニット41a〜41dは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に、
図3中の矢印D
1の方向で示す転写ベルト33の回転方向の上流側から配置されている。すなわち、上流側から第一の作像ユニット41a、第二の作像ユニット41b、第三の作像ユニット41c、第四の作像ユニット41dの順に配置されている。最下流側に第四の作像ユニット41dが配置される。
【0029】
第一〜第四の帯電ローラー44a〜44dはそれぞれ、第一〜第四の感光体42a〜42dを所定の電位に帯電させる。LSU32は、画像読み取り部14によって読み取った画像を基に、第一〜第四の感光体42a〜42dに対して、各色の成分の光に応じて露光する。露光された各色の成分の光を基に、第一〜第四の感光体42a〜42d上にそれぞれ静電潜像が形成される。第一〜第四の感光体42a〜42d上に形成された静電潜像に第一〜第四の現像ローラー43a〜43dからそれぞれ各色の現像剤、具体的には、トナーが供給される。各色のトナーが第一〜第四の感光体42a〜42d上にそれぞれ供給されて、第一〜第四の感光体42a〜42d上にそれぞれ各色のトナーによる可視画像を形成される。このようにして第一〜第四の感光体42a〜42d上に形成されたトナーによる可視画像は、転写ベルト33に一次転写される。
【0030】
転写ベルト33は、無端状である。転写ベルト33は、駆動ローラー46a、および従動ローラー46bによって一方向に回転する。転写ベルト33の回転方向は、
図3中の矢印D
1で示される。すなわち、転写ベルト33の回転方向については、第一〜第四の感光体42a〜42dが設けられている下方領域においては、左側から右側に向かう方向、その逆の上方領域においては、右側から左側に向かう方向である。なお、後述する初期駆動トルク測定部56、および耐久後駆動トルク測定部57は、転写ベルト33の回転時において駆動ローラー46aに負荷される駆動トルクを測定する。
【0031】
四つの一次転写ローラー34a〜34dはそれぞれ、転写ベルト33を介して各色の感光体42a〜42dに対向する位置に配置される。一次転写ユニット35によって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の第一〜第四の作像ユニット41a〜41dにより形成されたトナーによる可視画像が転写ベルト33に一次転写される。具体的には、一次転写ローラー34a〜34dのそれぞれに一次転写バイアスが印加されることによって、第一〜第四の作像ユニット41a〜41dにより形成されたトナーによる可視画像が、転写ベルト33の表面に一次転写される。この時に、各色の画像が転写ベルト33に重ねられて、転写ベルト33上にフルカラーの画像が形成される。
【0032】
二次転写ローラー36は、転写ベルト33を介して、従動ローラー46bと対向する位置に設けられる。画像形成部15は、二次転写ローラー36と転写ベルト33の表面とが当接する位置に記録媒体としての用紙を搬送するための用紙搬送路47aを備える。また、画像形成部15は、二次転写された用紙を不図示の定着ユニット側へ搬送するための用紙搬送路47bを備える。給紙カセット23a〜23cが位置する上流側となる用紙搬送路47aから、二次転写ローラー36と転写ベルト33の表面とが当接する位置に用紙が供給される。用紙の搬送のタイミングに合わせて、二次転写ローラー36へのトナーと逆の極性の二次転写バイアスが印加される。二次転写ローラー36への二次転写バイアスの印加により、転写ベルト33の表面上に形成されたトナーによる可視画像が、供給された用紙側に電気的に引き寄せられ、用紙に二次転写される。トナーによる可視画像が転写された用紙は、用紙搬送路47bを利用して図示しない定着ユニットまで搬送される。
【0033】
次に、制御部12の構成について説明する。
図4は、制御部12の構成を示すブロック図である。
図4を参照して、制御部12は、線速差調整部55と、初期駆動トルク測定部56と、耐久後駆動トルク測定部57と、表面粗さ導出部58と、画像形成条件設定部59とを備える。
【0034】
線速差調整部55は、感光体42a〜42dの表面速度と転写ベルト33の表面速度との間の線速差を調整する。すなわち、感光体42a〜42dと転写ベルト33との間に表面速度の線速差を設けたり、感光体42a〜42dの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態、すなわち、同じ速度とするよう調整する。
【0035】
初期駆動トルク測定部56は、現像ローラー43a〜43dによってトナーによる可視画像を形成する前の初期の段階で、線速差調整部55により感光体42a〜42dの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第一の状態、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42a〜42dと転写ベルト33との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第二の状態、および線速差調整部55により所定の線速差を感光体42a〜42dと転写ベルト33との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第三の状態のそれぞれの転写ベルト33の駆動トルクを測定する。初期の段階としては、例えば、未だ画像形成を行っていない段階を示す。なお、放電開始電圧としては、具体的には、例えば、500Vが挙げられる。また、所定の線速差としては、例えば、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものが用いられる。
【0036】
耐久後駆動トルク測定部57は、現像ローラー43a〜43dによってトナーによる可視画像を所定数形成した後の耐久後の段階で、線速差調整部55により感光体42a〜42dの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第四の状態、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42a〜42dと転写ベルト33との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第五の状態、および線速差調整部55により所定の線速差を感光体42a〜42dと転写ベルト33との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44a〜44dにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第六の状態のそれぞれの転写ベルト33の駆動トルクを測定する。
【0037】
表面粗さ導出部58は、第二の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
1、第三の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
2、第五の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
1、第六の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
2とすると、変化率C=(A
2−A
1)/(B
2−B
1)の値に基づいて、感光体42a〜42dの表面粗さを導出する。
【0038】
画像形成条件設定部59は、表面粗さ導出部58により導出された感光体42a〜42dの表面粗さを基に、画像形成条件を設定する。画像形成条件については、後述する。
【0039】
次に、この発明の一実施形態に係る複合機11を用いて、感光体42aの表面粗さを導出する際の処理の内容について説明する。
図5は、この発明の一実施形態に係る複合機11を用いて、感光体42aの表面粗さを導出する場合の処理の内容を示すフローチャートである。なお、感光体42b〜42dの表面粗さの導出については、感光体42aの表面粗さの導出と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0040】
図5を参照して、まず、初期の段階における第一の状態、第二の状態、および第三の状態における転写ベルト33の駆動トルクを測定する(
図5において、ステップS11において、YES、以下、「ステップ」を省略する)。具体的には、初期駆動トルク測定部56は、現像ローラー43aによってトナーによる可視画像を形成する前の初期の段階で、線速差調整部55により感光体42aの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態とする。そして、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加する。このようにして、第一の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをS
0とする。次に、初期駆動トルク測定部56は、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42aと転写ベルト33との間に設ける。この場合、所定の線速差は、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものとする。そして、初期駆動トルク測定部56は、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加する。このようにして、第二の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをS
1とする。次に、初期駆動トルク測定部56は、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42aと転写ベルト33との間に設ける。この場合も、所定の線速差は、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものとする。そして、初期駆動トルク測定部56は、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加する。このようにして、第三の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをS
2とする。
【0041】
図6は、初期の段階における感光体42aと転写ベルト33との線速差と、転写ベルト33の駆動トルクとの関係を示すグラフである。
図6において、縦軸は、転写ベルト33の駆動トルクを示し、横軸は、感光体42aと転写ベルト33との線速差を百分率で示している。また、横軸の百分率において、マイナスの値は、感光体42aの表面速度の方が、転写ベルト33の表面速度よりも遅い場合を示している。破線で示す
図6中の線61aは、帯電バイアスのAC電圧を放電開始電圧の2倍よりも小さく設定した際の初期および耐久後の転写ベルト33の駆動トルクを示している。実線で示す
図6中の線61bは、帯電バイアスのAC電圧を放電開始電圧の2倍以上大きく設定した際の初期の転写ベルト33の駆動トルクを示している。なお、横軸における線速差0の時は、感光体42aの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態であり、この時の駆動トルクの値が、初期の段階におけるいわゆる中立点となる。
【0042】
図6を参照して、初期の段階において、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第二の状態で、転写ベルト33の表面速度に対して感光体42aの表面速度を1.0%遅くした線速差に基づく実際の駆動トルクは、S
1−S
0となる。すなわち、電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した場合において、他の要因を除外して線速差の要因のみに起因する駆動トルクの差は、S
1−S
0で表されることとなる。また、初期の段階において、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第三の状態で、転写ベルト33の表面速度に対して感光体42aの表面速度を1.0%遅くした線速差に基づく実際の駆動トルクは、S
2−S
0となる。すなわち、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した場合において、他の要因を除外して線速差の要因のみに起因する駆動トルクの差は、S
2−S
0で表されることとなる。
【0043】
そして、測定された駆動トルクS
0、S
1、S
2の値を、ハードディスク16に記憶する(S12)。
【0044】
その後、画像形成が順次行われる(S13)。そして、所定のタイミングに達したか否かが判断される(S14)。所定のタイミングとしては、具体的には、例えば、印字枚数や画像形成の枚数が所定の枚数に達したタイミングや、複合機11の駆動時間の総計が、所定の駆動時間に達した耐久後のタイミングである。
【0045】
所定のタイミングに達したと判断されれば(S14において、YES)、耐久後の段階における第四の状態、第五の状態、および第六の状態における転写ベルト33の駆動トルクを測定する(S15)。具体的には、耐久後駆動トルク測定部57は、現像ローラー43aによってトナーによる可視画像を所定数形成した後の耐久後の段階で、線速差調整部55により感光体42aの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態とする。そして、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加する。このようにして、第四の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをT
0とする。次に、耐久後駆動トルク測定部57は、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42aと転写ベルト33との間に設ける。この場合、所定の線速差は、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものとする。そして、耐久後駆動トルク測定部57は、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加する。このようにして、第五の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをT
1とする。次に、耐久後駆動トルク測定部57は、線速差調整部55により所定の線速差を感光体42aと転写ベルト33との間に設ける。この場合も、所定の線速差は、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものとする。そして、耐久後駆動トルク測定部57は、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加する。このようにして、第六の状態とした後に、転写ベルト33の駆動トルクを測定する。この時の駆動トルクをT
2とする。
【0046】
図7は、耐久後の段階における感光体42aと転写ベルト33との線速差と、転写ベルト33の駆動トルクとの関係を示すグラフである。
図7において、縦軸は、転写ベルト33の駆動トルクを示し、横軸は、感光体42aと転写ベルト33との線速差を百分率で示している。破線で示す
図7中の線62aは、帯電バイアス電圧を放電開始電圧の2倍よりも小さく設定した際の初期および耐久後の転写ベルト33の駆動トルクを示している。実線で示す
図7中の線62bは、帯電バイアス電圧を放電開始電圧の2倍以上大きく設定した際の初期の転写ベルト33の駆動トルクを示している。なお、横軸における線速差0の時は、感光体42aの表面速度と転写ベルト33の表面速度とが等しい状態であり、この時の駆動トルクの値が、耐久後の段階におけるいわゆる中立点となる。
【0047】
図7を参照して、耐久後の段階において、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第五の状態で、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くした線速差に基づく実際の駆動トルクは、T
1−T
0となる。すなわち、電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した場合において、他の要因を除外して線速差の要因のみに起因する駆動トルクの差は、T
1−T
0で表されることとなる。また、耐久後の段階において、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第六の状態で、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くした線速差に基づく実際の駆動トルクは、T
2−T
0となる。すなわち、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した場合において、他の要因を除外して線速差の要因のみに起因する駆動トルクの差は、T
2−T
0で表されることとなる。
【0048】
なお、
図8は、初期および耐久後の段階における感光体と転写ベルトとの線速差と、転写ベルトの駆動トルクとの関係を示すグラフである。縦軸、および横軸については、
図6、および
図7に示す場合と同様である。耐久後の段階においては、種々の影響で駆動トルクが全体的に大きくなるので、耐久後の段階における中立点の値は、初期の段階における中立点の値と比較して大きくなる。すなわち、S
0とT
0とを比較すると、T
0の方が大きい。また、帯電バイアス印加部38により帯電ローラー44aにAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した場合においては、感光体42aの表面に付着する放電生成物が非常に少ないため、感光体42aの表面粗さの影響はほとんどなく、T
1−T
0の値は、S
1−S
0の値とほぼ等しくなる傾向がある。
【0049】
次に、表面粗さ導出部58は、感光体42aの表面粗さを導出する(S16)。具体的には、第二の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
1とし、A
1、すなわち、S
1−S
0を算出する。また、第三の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
2とし、A
2、すなわち、S
2−S
0を算出する。第五の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
1とし、B
1、すなわち、T
1−T
0を算出する。また、第六の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
2とし、B
2、すなわち、T
2−T
0を算出する。その後、変化率C=(A
2−A
1)/(B
2−B
1)の値に基づいて、感光体42aの表面粗さを導出する。この変化率Cについては、感光体42aの表面と転写ベルト33の表面との摩擦以外の要因がほぼ除去されたものとなる。具体的には、例えば、表面粗さ導出部58は、変化率Cの値が、所定の値より高いか否かに応じて、感光体42aの表面粗さを導出する。すなわち、段階的な変化率Cの相違に応じた表面粗さとして導出する。
【0050】
その後、導出された感光体42aの表面粗さを基に、画像形成条件設定部59によって画像形成条件を設定する(S17)。具体的には、導出された表面粗さに応じて、画像形成条件として、潤滑剤として供給するトナーのタイミングを調整したり、帯電バイアス印加部38により印加される帯電バイアス電圧値を下げるよう調整する。
【0051】
このような複合機11によると、導出される感光体42dの表面粗さの精度が高いため、より正確に画像形成条件を設定することができる。したがって、画質の向上を図ることができる。
【0052】
この場合、表面粗さ導出部58は、実際の初期の段階と耐久後の段階との駆動トルクの差に基づいて感光体42aの表面粗さを導出しているため、より正確な感光体42aの表面粗さを導出することができる。
【0053】
なお、参考までに、感光体42aの初期の断面曲線を
図9に示す。また、感光体42aの耐久後、具体的には、620k枚耐久後の断面曲線を
図10に示す。k枚とは、キロ枚、すなわち、1000枚を示す。また、
図9および
図10において、縦軸は、ある面を基準とした表面の高さ(μm)を示し、横軸は、測定範囲(mm)を示す。
図9および
図10において、縦倍率は、×100,000.00とし、横倍率は、×2,000.00としている。
【0054】
図9に示す初期の感光体42aの表面粗さRaは、24nmである。また、
図10に示す耐久後の感光体42aの表面粗さRaは、14nmである。ここで、表面粗さRaについては、いわゆるJIS B0601(2001)に規定されている算術平均粗さを示す。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、表面粗さ導出部58は、変化率Cの値が、所定の値より高いか否かに応じて、感光体42aの表面粗さを導出することとしたが、これに限らず、予め変化率Cと感光体42aの表面粗さとの相関関係を導出して、この相関関係をハードディスク16等に記憶しておき、表面粗さ導出部58は、この相関関係に基づいて、感光体42aの表面粗さを導出するようにしてもよい。
【0056】
また、上記の実施の形態においては、所定の線速差として、転写ベルト33の表面速度に対して、感光体42aの表面速度を1.0%遅くしたものを用いることとしたが、これに限らず、他の線速差の値を用いることとしてもよい。
【0057】
なお、この発明の他の実施形態に係る画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法は、以下の通りである。すなわち、画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法は、画像形成装置用感光体と、画像形成装置用感光体の表面に静電潜像を形成する際に感光体に露光する露光部と、静電潜像を形成する際に感光体に当接または近接した帯電部材に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加部と、画像形成装置用感光体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナーによる可視画像を形成する現像部と、現像部によって形成された可視画像を一次転写される中間転写体と、中間転写体上に一次転写された可視画像を用紙に二次転写する二次転写ローラーと、感光体の表面速度と中間転写体の表面速度との間の線速差を調整する線速差調整部とを備える画像形成装置に備えられる画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法である。画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法は、現像部によってトナーによる可視画像を形成する前の初期の段階で、線速差調整部により感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第一の状態、線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第二の状態、および線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第三の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する工程と、現像部によってトナーによる可視画像を所定数形成した後の耐久後の段階で、線速差調整部により感光体の表面速度と中間転写体の表面速度とが等しい状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第四の状態、線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍未満の帯電バイアスを印加した第五の状態、および線速差調整部により所定の線速差を感光体と中間転写体との間に設けた状態で、帯電バイアス印加部により帯電部材にAC電圧が放電開始電圧の2倍以上の帯電バイアスを印加した第六の状態のそれぞれの中間転写体の駆動トルクを測定する工程と、第二の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
1、第三の状態における駆動トルク値から第一の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をA
2、第五の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
1、第六の状態における駆動トルク値から第四の状態における駆動トルク値を差し引いた差分をB
2、とすると、変化率C=(A
2−A
1)/(B
2−B
1)の値に基づいて、感光体の表面粗さを導出する工程とを備える。
【0058】
このような画像形成装置用感光体の表面粗さの導出方法によると、導出される感光体の表面粗さの精度を高くすることができる。
【0059】
なお、上記の実施の形態においては、四連タンデム形式の画像形成部15を備える複合機11に適用する場合について説明したが、これに限らず、一つの感光体を含む画像形成部15を備える複合機11についても、もちろん適用される。
【0060】
また、上記の実施の形態においては、感光体42a〜42dの材質について、アモルファスシリコン製とすることとしたが、これに限らず、感光体42a〜42dについては、OPC(Organic Photo Conductor(有機感光体))であってもよい。
【0061】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。