特許第6380334号(P6380334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6380334クリーニング装置およびこれを備える画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380334
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】クリーニング装置およびこれを備える画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   G03G21/00 312
   G03G21/00 318
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-214680(P2015-214680)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-83777(P2017-83777A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】冨家 則夫
【審査官】 松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130784(JP,A)
【文献】 特開平03−155588(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0251916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体に接触しつつ回転する研磨ローラーと、
前記研磨ローラーを挟んで前記像担持体の反対側にて前記研磨ローラーの斜め下方に配置され、前記研磨ローラーに接触しつつ回転する規制ローラーと、
前記研磨ローラーおよび前記規制ローラーを回転可能に支持するハウジングと、
前記ハウジングの下部に固定されて上方に延設され、先端部を前記像担持体に接触させて前記像担持体に表面に付着したトナーを掻き取るクリーニングブレードと、
前記研磨ローラーの下方、且つ前記規制ローラーの斜め下方に配置され、軸周りに回転して前記ハウジング内に収容されたトナーを軸方向に搬送する回収スクリューと、を備え、
前記クリーニングブレードの先端部は、前記像担持体と研磨ローラーとの接触部よりも前記研磨ローラーの回転方向下流側、且つ前記接触部よりも下方に位置し、
前記研磨ローラーの表面には、前記像担持体の表面から除去されたトナーによって第1トナー層が形成され、
前記規制ローラーの表面には、回転する前記回収スクリューがまき上げるトナーによって前記第1トナー層の厚みを規制する第2トナー層が形成され、
前記像担持体が前記トナー像を担持している場合に、前記規制ローラーは、通常速度で回転し、
前記像担持体が前記トナー像を担持していない場合に、前記規制ローラーは、前記通常速度よりも低速となる回復速度で回転することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記回復速度は、前記通常速度の1%以上50%以下の回転速度であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記規制ローラーを前記回復速度で回転させる時間は、1秒以上60秒以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記ハウジング内にて前記規制ローラーの下方に設けられ、前記規制ローラーから離脱したトナーを受ける受皿部を更に備え、
前記回収スクリューの最上点は、前記規制ローラーの最下点よりも上方に位置し、
前記受皿部の最上端は、前記回収スクリューの最上点よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記像担持体が担持した前記トナー像をシートに転写する印刷動作を連続して行う場合において、1の前記シートが搬送された後、次の前記シートが搬送されるまでの間に前記
前記規制ローラーを前記回復速度で回転させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれかに記載のクリーニング装置を備えていること特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4に記載のクリーニング装置と、
前記クリーニング装置を制御する制御装置と、備え、
前記制御装置は、シートには転写されない前記トナー像を前記像担持体に担持させ、その前記トナー像を前記クリーニング装置に回収させることで前記受皿部に前記トナーを強制的に送り込むトナー積載動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のクリーニング装置は、感光体ドラムに当接して回転するクリーニングローラー(研磨ローラー)と、クリーニングローラーに当接して回転するトナー層厚規制ローラーと、を備えている。クリーニングローラーは、感光体ドラムの表面から除去したトナーを保持する。クリーニングローラーの表面およびトナー層厚規制ローラーの表面には、各々トナー層が形成される。トナー層厚規制ローラーは、クリーニングローラー上に形成されたトナー層の厚みを均一にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−137859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の画像形成装置には、印刷速度の高速化が求められている。このため、感光体ドラム、クリーニングローラーおよびトナー層厚規制ローラーは、それぞれ、高速で回転することになる。しかしながら、クリーニングローラーおよびトナー層厚規制ローラーの高速回転に伴って遠心力が増加するため、クリーニングローラーとトナー層厚規制ローラーとの表面からトナーが離脱することとなる。トナー層厚規制ローラー上のトナー層が減少すると、クリーニングローラー上の残留トナーが過剰に掻き落とされる。このため、クリーニングローラー上のトナー層が不均一な厚みになり、感光体ドラムを適切に研磨することができなかった。研磨が不十分な感光体ドラムで画像形成を行うと、画像流れ等の不具合が生じていた。
【0006】
本発明は上記した課題を解決すべく、研磨ローラーと規制ローラーとの表面に形成されるトナー層の厚さを安定させるクリーニング装置およびこれを備える画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、トナー像を担持する像担持体に接触しつつ回転する研磨ローラーと、前記研磨ローラーに接触しつつ回転する規制ローラーと、を備え、前記研磨ローラーの表面には、前記像担持体の表面から除去されたトナーによって第1トナー層が形成され、前記規制ローラーの表面には、前記トナーによって前記第1トナー層の厚みを規制する第2トナー層が形成され、前記像担持体が前記トナー像を担持している場合に、前記規制ローラーは、通常速度で回転し、前記像担持体が前記トナー像を担持していない場合に、前記規制ローラーは、前記通常速度よりも低速となる回復速度で回転する。
【0008】
この構成によれば、通常速度よりも低速に設定された回復速度で規制ローラーを回転させることで、規制ローラーに働く遠心力を小さくすることができる。したがって、第2トナー層を構成するトナーが規制ローラーから離脱(飛散)することが防止される。また、回復速度で規制ローラーを回転させることで、規制ローラーにトナーが抱え込まれ、第2トナー層は適切な厚さに回復する。これにより、規制ローラー上の第2トナー層が適切な厚さに維持され、研磨ローラー上の第1トナー層の厚さを均一に調整することができる。
【0009】
この場合、前記回復速度は、前記通常速度の1%以上50%以下の回転速度であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、回復速度を通常速度の1〜50%の範囲に設定することで、研磨ローラーおよび規制ローラーの摩耗を抑制することができ、長期間に亘って安定的に各トナー層の厚さを調節することができる。
【0011】
この場合、前記規制ローラーを前記回復速度で回転させる時間は、1秒以上60秒以下であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、規制ローラーを回復速度で回転させる時間を1〜60秒の範囲に設定することで、研磨ローラーおよび規制ローラーの各トナー層を十分に回復させることができる。
【0013】
この場合、前記研磨ローラーおよび前記規制ローラーを回転可能に支持するハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記規制ローラーから離脱したトナーを受ける受皿部と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、受皿部には、規制ローラーから離脱したトナーが降り積もる。規制ローラーを回復速度で回転させると、受皿部に積もったトナーが規制ローラーに保持される。これにより、第2トナー層を効率良く回復させることができる。
【0015】
上記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載のクリーニング装置を備えている。
【0016】
また、上記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、請求項4に記載のクリーニング装置と、前記クリーニング装置を制御する制御装置と、備え、前記制御装置は、前記受皿部に前記トナーを強制的に送り込むトナー積載動作を実行する。
【0017】
これらの構成によれば、回復速度で規制ローラーを回転させることで、規制ローラーに働く遠心力が小さくなるため、第2トナー層を構成するトナーが規制ローラーから離脱することが防止される。これにより、規制ローラー上の第2トナー層と研磨ローラー上の第1トナー層との各厚さを安定させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、研磨ローラーと規制ローラーとの表面に形成される各トナー層の厚さを安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの内部構造を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の研磨ローラーの第1トナー層と規制ローラーの回転速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明では、図1および図2の紙面手前側を正面とし、各図に示した方向を基準にする。
【0021】
図1を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1はカラープリンター1の内部構造を模式的に示す断面図である。
【0022】
カラープリンター1は、装置本体2と、給紙カセット3と、排紙トレイ4と、を備えている。給紙カセット3は、略直方体状の装置本体2の下部に着脱可能に設けられている。給紙カセット3内には、枚葉のシートS(の束)が収容されている。排紙トレイ4は、装置本体2の上部に設けられている。なお、記録媒体としてのシートSは、紙製に限らず、樹脂フィルムやOHPシート等であってもよい。
【0023】
また、カラープリンター1は、給紙部10と、画像形成部11と、定着装置12と、制御装置13と、を装置本体2内に備えている。給紙部10は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延びる搬送路14の上流側に設けられている。画像形成部11は、装置本体2の中間部に設けられている。定着装置12は、搬送路14の下流側に設けられている。制御装置13は、カラープリンター1の各構成を統括制御する。
【0024】
画像形成部11は、4つのトナーコンテナ20と、中間転写ベルト21と、4つのドラムユニット22と、光走査装置23と、含んでいる。4つのトナーコンテナ20は、排紙トレイ4の下側に左右方向に並設されている。中間転写ベルト21は、各トナーコンテナ20の下側に配設されている。4つのドラムユニット22は、中間転写ベルト21の下側で左右方向に並設されている。光走査装置23は、各ドラムユニット22の下側に配設されている。
【0025】
4つのトナーコンテナ20は、4色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)のトナー(現像剤)を収容している。なお、トナーは、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤でもよいし、磁性トナーから成る一成分現像剤でもよい。中間転写ベルト21は、図1の矢印方向に周回走行するように左右一対のローラーの間に架設されている。
【0026】
4つのドラムユニット22は、各色のトナーに対応して設けられている。各ドラムユニット22は、感光体ドラム30と、帯電装置31と、現像装置32と、一次転写ローラー33と、クリーニング装置34と、除電装置35と、を含んでいる。なお、4つのドラムユニット22は同様の構成を有しているため、以下、1つのドラムユニット22について説明する。
【0027】
像担持体としての感光体ドラム30は、前後方向に延びる円筒状に形成されている。感光体ドラム30の表面には、例えば、アモルファスシリコンの感光層が含まれている。感光体ドラム30は、中間転写ベルト21の下側表面に接触し、装置本体2に軸支されている。感光体ドラム30は、駆動ギア列40を介して駆動モーター41に接続されている(図2参照)。帯電装置31、現像装置32、一次転写ローラー33、クリーニング装置34および除電装置35は、感光体ドラム30の周囲に転写プロセス順に配置されている。一次転写ローラー33は、中間転写ベルト21を挟んで上側から感光体ドラム30に対向している。中間転写ベルト21の右側には、二次転写ローラー36が圧接して、二次転写ニップ部Nを形成している。
【0028】
制御装置13は、演算処理装置やメモリー等(図示せず)を含んでいる。制御装置13には、駆動モーター41や電源(図示せず)等の各種制御対象が電気的に接続されている。制御装置13は、メモリーに記憶されたプログラム等を演算処理装置に実行させることで各種制御対象を制御する。
【0029】
ここで、カラープリンター1の動作について説明する。制御装置13は、入力された画像データに基づいて、以下のように画像形成処理を実行する。
【0030】
駆動モーター41は、各感光体ドラム30を軸周りに回転させる(図2の矢印参照)。各帯電装置31は、感光体ドラム30の表面を帯電させる。光走査装置23は、各感光体ドラム30に向けて画像データに対応した露光(図1の破線矢印参照)を行い、各感光体ドラム30上に静電潜像を形成する。各現像装置32は、トナーコンテナ20から供給されたトナーによって静電潜像をトナー像に現像する。4つの感光体ドラム30に担持された4色のトナー像は、一次転写バイアスを印加された一次転写ローラー33によって、中間転写ベルト21に順番に一次転写される。これにより、中間転写ベルト21の表面には、フルカラーのトナー像が形成される。
【0031】
一方、給紙カセット3から供給されたシートSは、搬送路14を搬送されて二次転写ニップ部Nを通過する。フルカラーのトナー像は、二次転写バイアスを印加された二次転写ローラー36によってシートSに二次転写される。定着装置12は、シートSにフルカラーのトナー像を定着させる。定着処理後のシートSは、排紙トレイ4に排出される。各クリーニング装置34は、転写後に感光体ドラム30の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。各除電装置35は、除電光を照射して感光体ドラム30の電荷を除去する。
【0032】
次に、図2を参照して、各クリーニング装置34について説明する。図2はクリーニング装置34を模式的に示す断面図である。
【0033】
4つのクリーニング装置34は、対応する感光体ドラム30の右側に配置されている。なお、4つのクリーニング装置34は同様の構成を有しているため、以下、1つのクリーニング装置34について説明する。
【0034】
クリーニング装置34は、ハウジング50と、研磨ローラー51と、規制ローラー52と、クリーニングブレード53と、回収スクリュー54と、を含んでいる。
【0035】
ハウジング50は、前後方向に延びる略箱状に形成されている。ハウジング50の左側面(感光体ドラム30に対向する面)には、開口部50aが形成されている。ハウジング50には、感光体ドラム30の表面から除去された残留トナーが収容される。
【0036】
ハウジング50の下部には、第1収容部50bと、第2収容部50cと、受皿部50dと、が設けられている。第1収容部50bおよび第2収容部50cは、それぞれ、ハウジング50の底面を形成している。第1収容部50bは、開口部50a側(左側)に配置されている。第2収容部50cは、第1収容部50bの右側で第1収容部50bよりも上方に配置されている。受皿部50dは、第2収容部50cから上方に離間した位置に設けられている。第1収容部50b、第2収容部50cおよび受皿部50dは、それぞれ、正面から見て下方に凸となる略円弧状に形成されている。
【0037】
研磨ローラー51は、前後方向に延びる略円筒状に形成されている。研磨ローラー51は、例えば、芯金の表面を導電性発泡のエチレンゴム(硬度:約50〜60度)等で覆って構成されている。研磨ローラー51の外径は、感光体ドラム30の外径よりも小さく形成されている。研磨ローラー51は、軸周りに回転可能にハウジング50に支持されている。研磨ローラー51は、ハウジング50の左上側に配置され、その外周面を開口部50aから露出している。
【0038】
研磨ローラー51は、開口部50aから露出した部分において、トナー像を担持する感光体ドラム30(の表面)に接触しつつ回転する。研磨ローラー51は、感光体ドラム30に従動して回転する(図2の破線矢印参照)。研磨ローラー51の表面には、感光体ドラム30の表面から除去された残留トナーによって第1トナー層R1が形成される。研磨ローラー51(の第1トナー層R1)は、所定の線速比で感光体ドラム30の表面に摺接し、感光体ドラム30の表面に付着した残留トナーを除去する。また、研磨ローラー51は、第1トナー層R1を介して感光体ドラム30の表面を研磨する。
【0039】
規制ローラー52は、前後方向に延びる略円筒状に形成されている。規制ローラー52は、研磨ローラー51よりも柔らかいスポンジ(硬度:約10〜30度)で形成されている。規制ローラー52の外径は、研磨ローラー51の外径よりも小さく形成されている。規制ローラー52は、軸周りに回転可能にハウジング50に支持されている。規制ローラー52は、研磨ローラー51の右下側に配置されている。詳細には、規制ローラー52は、ハウジング50内に設けられた受皿部50dの上方に配置されている。
【0040】
規制ローラー52は、研磨ローラー51(の表面)に接触しつつ回転する。規制ローラー52は、研磨ローラー51に従動して回転する(図2の破線矢印参照)。規制ローラー52の表面には、抱え込まれた残留トナーによって第2トナー層R2が形成される。規制ローラー52(の第2トナー層R2)は、所定の線速比で研磨ローラー51の表面に摺接し、研磨ローラー51の表面に保持された第1トナー層R1の厚みを規制(調整)する。なお、上記した受皿部50dは、規制ローラー52(の表面)から離脱した残留トナーを受け止める。
【0041】
クリーニングブレード53は、前後方向に延びる略矩形板状に形成されている。クリーニングブレード53は、例えば、ポリウレタンゴム等の合成樹脂で形成されている。クリーニングブレード53は、ハウジング50の下部に固定されて上方に延設されている。クリーニングブレード53の先端部(自由端部)は、正面から見て研磨ローラー51の下部と略同じ高さに位置している。クリーニングブレード53の先端部は、感光体ドラム30の回転方向に対してカウンター方向に接触している。クリーニングブレード53は、感光体ドラム30の表面に付着した残留トナーを掻き取る。
【0042】
回収スクリュー54は、前後方向に延びる回転軸に螺旋状のスクリュー羽根を固定して構成されている。回収スクリュー54は、例えば、硬質の合成樹脂で形成されている。回収スクリュー54(回転軸)は、軸周りに回転可能にハウジング50に支持されている。回収スクリュー54は、研磨ローラー51の下方、且つハウジング50の第1収容部50bの上方に配置されている。また、正面から見て、回収スクリュー54の最上点Aは、規制ローラー52の最下点Bよりも上方に位置している。
【0043】
回収スクリュー54は、駆動ギア列40を介して駆動モーター41に接続されている。回収スクリュー54は、感光体ドラム30に連動して回転し、ハウジング50内に収容(第1収容部50b上に蓄積)された残留トナーを軸方向(後方)に搬送する。なお、第1収容部50bの後端部には、ハウジング50内の残留トナーを回収容器(図示せず)に排出するための排出口(図示せず)が開口している。
【0044】
なお、研磨ローラー51および規制ローラー52は、感光体ドラム30に従動して回転していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動モーター41の他に、各ローラー50,51および回収スクリュー54を回転させる他のモーターを1つ以上設けてもよい。
【0045】
ところで、カラープリンター1による画像形成(印刷)速度の高速化に伴って、感光体ドラム30、研磨ローラー51および規制ローラー52は、それぞれ、高速で回転することになる。このため、各ローラー50,51の表面に保持された残留トナーが遠心力によって離脱(飛散)し、各トナー層R1,R2の厚みが不均一になる(薄くなる)場合がある。第2トナー層R2が薄くなると、研磨ローラー51上の第1トナー層R1を均一に規制することができず、感光体ドラム30の表面を適切に研磨することができない虞があった。
【0046】
例えば、図3に示すように、規制ローラー52の回転速度(線速)が約220mm/sec以下である場合、研磨ローラー51の表面に形成された第1トナー層R1は、略一定の厚みに保たれている。これに対し、規制ローラー52の回転速度(線速)が約220mm/sec以上になると、第1トナー層R1の厚みは、当該回転速度の増加に伴って徐々に薄くなる。特に、第1トナー層R1の厚みが40μm以下(規制ローラー52の線速:約350mm/sec)になると、感光体ドラム30の表面を適切に研磨できないことが実験的に確認されている。
【0047】
そこで、本実施形態に係るクリーニング装置34では、第1トナー層R1および第2トナー層R2を回復させる回復動作が実行される。
【0048】
まず、図2を参照して、感光体ドラム30に担持されたトナー像をシートSに転写させる通常動作について説明する。通常動作時において、カラープリンター1の制御装置13は、駆動モーター41を駆動制御して、トナー像を担持した感光体ドラム30を画像形成(印刷)に適した回転速度(線速(例えば230〜450mm/sec程度))で回転させる。すると、研磨ローラー51は、感光体ドラム30に従動して高速で回転する。規制ローラー52は、研磨ローラー51を介して感光体ドラム30に従動して高速回転(例えば100〜350mm/sec程度)する。このように、感光体ドラム30がトナー像を担持している場合に、規制ローラー52は、通常速度V1(通常線速)で回転する。なお、回転速度(通常速度V1および後述の回復速度V2)とは、単位時間当たりの回転距離(外周面の周方向の移動距離)を指す。したがって、感光体ドラム30、研磨ローラー51および規制ローラー52は、それぞれ、外径の大きさに応じて外周の速度(線速)が異なる。
【0049】
次に、通常動作を中止して第1トナー層R1および第2トナー層R2を回復させる回復動作について説明する。なお、「通常動作を中止」とは、例えば、画像形成処理の停止時や連続印刷を行う場合に次のシートSが搬送されるまでの間等であって、感光体ドラム30がトナー像を担持していない場合を指している。
【0050】
制御装置13は、例えば、500枚のシートSに連続して印刷(画像形成)を行った場合等、所定のタイミングで自動的に回復動作を実行する。なお、ユーザーがカラープリンター1の入力装置(タッチパネル等)を操作して回復動作の実行を手動で指示してもよい。
【0051】
回復動作時において、制御装置13は、駆動モーター41を駆動制御して、感光体ドラム30を通常動作時よりも低い回転速度(線速)で回転させる。すると、研磨ローラー51も通常動作時よりも低い回転速度で回転する。規制ローラー52は、研磨ローラー51を介して感光体ドラム30に従動して低速回転する。このように、感光体ドラム30がトナー像を担持していない場合に、規制ローラー52は、通常速度V1よりも低速となる回復速度V2(V1>V2)で回転する。この回復速度V2は、通常速度V1の1%以上50%以下の回転速度に設定されている。すなわち、通常速度V1を「1」とした場合に、回復速度V2が「0.01〜0.5」になるように設定されている。この回復動作は、研磨ローラー51が10回転(約2秒経過)するまで継続される。なお、規制ローラー52を回復速度V2で回転させる時間(回復動作の実行時間)は、上記(約2秒)に限らず、1秒以上60秒以下の範囲で設定されていればよい。
【0052】
なお、規制ローラー52を通常速度V1または回復速度V2で回転させるために必要なデータ(駆動モーター41に印加する電圧等)および回復動作の実行時間(または研磨ローラー5等の回転数)等は、制御装置13のメモリーに予め記憶されている。本実施形態では、制御装置13がカラープリンター1を統括制御していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、クリーニング装置34が、規制ローラー52の回転速度を制御する制御部を備えていてもよい。
【0053】
以上説明したクリーニング装置34によれば、通常速度V1よりも低速に設定された回復速度V2で規制ローラー52を回転させることで、規制ローラー52に働く遠心力を小さくすることができる。したがって、第2トナー層R2を構成する残留トナーが規制ローラー52から離脱(飛散)することが防止される。また、受皿部50dには、通常速度V1で回転する規制ローラー52から離脱した残留トナーが降り積もっている。回復動作を実行すると、受皿部50dに積もった残留トナーが、回復速度V2で回転する規制ローラー52に抱え込まれる(保持される)。これにより、第2トナー層R2を効率良く回復させることができる。これにより、規制ローラー52上の第2トナー層R2が適切な厚さに回復し維持され、研磨ローラー51上の第1トナー層R1の厚さを均一に調整することができる。
【0054】
なお、残留トナーは、ハウジング50内に落下し、各収容部50b,50c等に蓄積される。規制ローラー52の下部は、回収スクリュー54の上部にオーバーラップ(図2のギャップG参照)するように配置されている。このため、規制ローラー52は、回転する回収スクリュー54がまき上げる残留トナーを、抱え込む(保持する)ことができる。
【0055】
また、このクリーニング装置34によれば、回復速度V2を通常速度V1の1〜50%の範囲に設定することで、研磨ローラー51および規制ローラー52の摩耗を抑制することができ、長期間に亘って安定的に各トナー層R1,R2の厚さを調節することができる。また、回復動作の実行時間を1〜60秒の範囲に設定することで、研磨ローラー51および規制ローラー52の各トナー層R1,R2を十分に回復させることができる。
【0056】
なお、受皿部50d上の残留トナーの積載量が少ない(低濃度の印字が続いた等)場合、制御装置13は、受皿部50dに残留トナーを強制的に送り込むトナー積載動作を自動的に(またはユーザーの指示によって)実行してもよい。トナー積載動作は、例えば、5000枚のシートSに印刷(画像形成)を行った後に実行される。トナー積載動作では、上記した画像形成処理と略同様に、感光体ドラム30(通常速度V1で回転)上に高濃度(例えば、印字率50〜80%程度)のトナー像を担持させる。なお、制御装置13のメモリーには、このトナー像に対応する高濃度画像が予め記憶されている。このトナー像は、シートSに転写されない。次に、クリーニング装置34が、感光体ドラム30上の高濃度のトナー像を除去(回収)する。これにより、受皿部50d上には、一定量の残留トナーが積載される。このトナー像の現像と除去とは、例えば、10回程度繰り返されることが好ましい。これにより、受皿部50d上の残留トナーが規制ローラー52に抱え込まれ、第2トナー層R2を効率良く回復させることができる。
【0057】
なお、各実施形態の説明では、一例として、本発明をカラープリンター1に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリまたは複合機等に本発明を適用してもよい。
【0058】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るクリーニング装置およびこれを備える画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施態様に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組み合わせが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 カラープリンター(画像形成装置)
13 制御装置
30 感光体ドラム(像担持体)
34 クリーニング装置
50 ハウジング
50d 受皿部
51 研磨ローラー
52 規制ローラー
R1 第1トナー層
R2 第2トナー層
S シート(記録媒体)
図1
図2
図3