特許第6380376号(P6380376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6380376-非水電解液二次電池 図000015
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380376
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20180820BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20180820BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20180820BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20180820BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20180820BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01M10/0567
   H01M10/052
   H01M10/058
   H01M4/36 E
   H01M4/505
   H01M4/525
【請求項の数】5
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-503064(P2015-503064)
(86)(22)【出願日】2014年2月28日
(86)【国際出願番号】JP2014055172
(87)【国際公開番号】WO2014133163
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-41321(P2013-41321)
(32)【優先日】2013年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】川崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】島貫 伊紀子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 登
【審査官】 赤樫 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/096572(WO,A1)
【文献】 特開2008−153118(JP,A)
【文献】 特開2004−281325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/00− 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極が対向配置された電極素子と、非水電解液と、前記電極素子および前記非水電解液を内包する外装体とを有し、
前記非水電解液が、一般式(1)で表される環状スルホン酸エステルを含み、
前記正極における正極活物質が、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物と、層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物の混合物であり、
前記正極活物質の混合比が、(リチウムマンガン複合酸化物)/(リチウムマンガン複合酸化物+リチウム遷移金属複合化合物)の重量比で、15wt%から50wt%であることを特徴とする非水電解液二次電池。
【化1】
(式(1)中、R、R、一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜5のアルキル基である。Rフッ素で置換されていてもよいメチレン基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のRが水素原子であり、RがC2m+1(m=1〜3)であり、Rが−CH−であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物が、一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液二次電池;
Li(Mn1−αα (2)
(式(2)中、Aは、Li、Mg、Al、Co、Bからなる群より選ばれる1つ、または2つ以上の元素である。αは、0<α≦0.1である。)。
【請求項4】
前記層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物が、一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
LiβMeO (3)
(式(3)中、Meは、Niを必ず含み、かつ、Co、Al、Mn、Mg、Zrからなる群より選ばれる1つ、または2つ以上の元素からなる。βは、0.98≦β≦1.02である。)
【請求項5】
電極素子と非水電解液と外装体とを有する非水電解液二次電池の製造方法であって、
正極活物質を含む正極と、負極と、を対向配置して電極素子を作製する工程と、
前記電極素子と、非水電解液と、を外装体の中に封入する工程と、
を含み、
前記非水電解液が式(1)で表される環状スルホン酸エステルを含み、
前記正極活物質がスピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物と、層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物とを含み、
前記正極活物質の混合比が、(リチウムマンガン複合酸化物)/(リチウムマンガン複合酸化物+リチウム遷移金属複合化合物)の重量比で、15wt%から50wt%であることを特徴とする、非水電解液二次電池の製造方法;
【化2】
(式(1)中、R、R、一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜5のアルキル基である。Rフッ素で置換されていてもよいメチレン基を示す。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤を含む二次電池用電解液およびこれを用いた二次電池、更には、リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車、定置用蓄電システムなどの急速な市場拡大に伴い、安価・安全で、長寿命かつ高エネルギー密度の二次電池が求められている。その候補として、エネルギー密度が高く、メモリー効果のないリチウムイオン二次電池は有望な二次電池の一つとされている。特に、最近では、充電状態のまま待機していても、充電容量が減少しないという、いわゆる自己放電特性が着目されている。
【0003】
安価・安全で、長寿命かつ高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を得る手段として、安価・安全なリチウムマンガン複合酸化物系正極を用いる方法、安価なカーボン系負極を用いる方法、安定性に優れた非水電解液を使用する方法などが挙げられる。特に、安定性に優れた電解液を使用する技術は重要である。その理由を以下に説明する。
【0004】
リチウムイオン二次電池の充放電過程においては、リチウムイオンの脱挿入反応が電極と電解液の界面で起こる。その際、それらの反応以外に、電解液溶媒や支持塩が分解反応を起こす場合がある。その分解反応により、抵抗の高い皮膜が電極表面に形成され、本来起こるべきリチウムイオンの脱挿入反応が阻害される。その結果、放電容量の不可逆的な低下などが促進され、二次電池としての特性が劣化することが知られている。
【0005】
そのような劣化を抑制するために、様々な工夫がなされている。その1つとして電極表面に保護膜を形成することにより上記分解反応を抑制する方法が挙げられ、その手段として電解液に皮膜形成能を有する電解液添加剤を添加することが提案されている。
【0006】
上記を踏まえ、二次電池の特性の劣化を抑制する技術、特に、サイクル特性の改善や保存時の二次電池の内部抵抗を抑制する技術が幾つか開示されている。
【0007】
特許文献1では、正極にリチウム・マンガン複合酸化物を用いた場合のサイクル特性改善方法として、電解液が水と反応して水素イオンを発生し得る組成を含み、電池内の電解液と接触する場所に水素イオン捕捉剤が配置する技術が開示されている。
【0008】
特許文献2、特許文献3、特許文献4では、電極表面に保護膜を形成することにより電解液の分解反応を抑制する方法として、スルホニル基を少なくとも2個有する環状スルホン酸エステルとを含む二次電池用電解液を用いる技術や、不飽和結合を有する環状または鎖状のジスルホン酸エステルを用いる技術が開示されている。
【0009】
特許文献5、特許文献6では、リチウムニッケル複合酸化物と、鎖状・環状のジスルホン酸化合物を含む技術が開示されている。特許文献7には、環式スルホン酸エステルを含む電解液を備えたリチウムイオン二次電池が記載されている。
【0010】
また、他の電極材料、形状、製造条件、添加剤等についての材料などについての様々な提案が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−77097号公報
【特許文献2】特開2004−281368号公報
【特許文献3】特開2005−222846号公報
【特許文献4】特開2004−281325号公報
【特許文献5】特開2006−156314号公報
【特許文献6】特開2009−129747号公報
【特許文献7】特開2010−062113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術を用いても、長期信頼性には課題が生じていた。特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載されている無置換のジスルホン酸エステルを含む電解液は、保管した場合、電解液の着色、電解液中への澱の発生、遊離酸濃度の増加などの劣化が発生した。そして、そのような電解液を用いた場合、保存特性等の電池特性への影響、特に自己放電に伴って残存容量が低下する問題があった。またこの無置換のジスルホン酸エステルを用いた場合に澱が発生することにより、電池製造時に、注液ノズルが詰まり、製造歩留まりが低いという問題があった。
【0013】
特許文献5、特許文献6では、特定の正極材料を用いた場合における特定の電解液を用いたリチウムイオン二次電池としての検討が、不十分であった。
【0014】
従って本発明は、種々の電池特性を向上させ、保存特性、特に自己放電に伴う容量減少が抑制された二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る実施形態は、正極および負極が対向配置された電極素子と、非水電解液と、前記電極素子および前記非水電解液を内包する外装体とを有し、前記非水電解液が、一般式(1)で表される環状スルホン酸エステルを含み、前記正極における正極活物質が、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物と、層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物との混合物であることを特徴とする非水電解液二次電池である。
【0016】
【化1】
一般式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、またはアミノ基である。但し、R、Rの両方とも水素原子ということは無い。Rは炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、およびエーテル基を介してアルキレン単位またはフルオロアルキレン単位が結合した炭素数2〜6の2価の基からなる群の中から選ばれる連結基を示す。
【0017】
特に、前記一般式(1)中のRが水素原子で示されることが好ましい。更には、前記一般式(1)中Rが水素原子であり、Rが−(CH−または−(CF−(ただし、n=1〜5)で示されることが好ましい。更には、前記一般式(1)中のRが水素原子であり、RがC2m+1(m=1〜3)であり、Rが−CH−で示されることが好ましい。
【0018】
更には、前記正極活物質の混合比が、重量比で、(リチウムマンガン複合酸化物)/(リチウムマンガン複合酸化物+リチウム遷移金属複合化合物)として、15wt%から85wt%であることが好ましい。
【0019】
更には、前記スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物が、一般式(2)で表されることが好ましい。
【0020】
Li(Mn1−αα (2)
一般式(2)中、Aは、Li、Mg、Al、Co、Bからなる群より選ばれる1つ、もしくは2つ以上の元素である。αは、0<α≦0.1である。
【0021】
更には、前記層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物が、一般式(3)で表されることが好ましい。
【0022】
LiβMeO (3)
一般式(3)中、Meは、Niを必ず含み、かつ、Co、Al、Mn、Mg、Zrからなる群より選ばれる1つ、もしくは2つ以上の元素からなる。βは、0.98≦β≦1.02である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る実施形態によれば、種々の電池特性を向上させるとともに、保存特性に優れた、特に自己放電に伴う容量減少が抑制された非水電解液二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の非水電解液二次電池のラミネート外装型構造の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<二次電池の構造および製造方法>
二次電池の製造方法の一例として、図1の二次電池の製造方法を説明する。乾燥空気または不活性ガス雰囲気において、負極および正極を、多孔質セパレータ5を介して積層、あるいは積層したものを捲回した後に、電池缶や、合成樹脂と金属箔との積層体からなる可とう性フィルム等の外装体に収容し、非水電解液を含浸させる。そして、外装体を封止前または封止後に、非水電解液二次電池の充電を行うことにより、負極上に良好な皮膜を形成させることができる。なお、多孔質セパレータ5としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムが用いられる。外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムを用いることが好ましい。
【0026】
本発明の非水電解液二次電池の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の非水電解液二次電池の概略構成図の一例である。正極は、正極活物質を含有する層1が正極集電体3上に成膜して成る。負極は、負極活物質を含有する層2が負極集電体4上に成膜して成る。これらの正極と負極は、多孔質セパレータ5を介して対向配置されている。多孔質セパレータ5は、負極活物質を含有する層2に対して平行に配置されている。本発明の二次電池は、これら正極および負極が対向配置された電極素子と、非水電解液とが外装体6および7に内包されている。本実施の形態に係る二次電池の形状としては、特に制限はないが、例えば、ラミネート外装型、円筒型、角型、コイン型などがあげられる。
【0027】
<非水電解液>
本実施形態におけるリチウム二次電池用電解液(以下、「非水電解液」または単に「電解液」と記載することもある。)は、添加剤として、一般式(1)で表される環状スルホン酸エステル(以下、単に「一般式(1)の化合物」と記載することもある。)を含有する。
【0028】
【化2】
【0029】
一般式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、またはアミノ基である。但し、R、Rの両方とも水素原子ということは無い。Rは炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、エーテル基を介してアルキレン単位またはフルオロアルキレン単位が結合した炭素数2〜6の2価の基からなる群の中から選ばれる連結基を示す。
【0030】
非水電解液に含まれる上記一般式(1)の環状スルホン酸エステルは、充放電反応時の電気化学的酸化還元反応により分解して電極活物質表面に皮膜を形成し、電解液や支持塩の分解を抑制することができる。これにより、リチウムイオン二次電池の長寿命化に効果があると考えられる。本発明者らは、ジスルホン酸エステルを含む非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池についてより詳細に鋭意検討した結果、一般式(1)の化合物を含有する電解液では、保管安定性が向上し、劣化が抑制されることを見出した。またこの電解液を用いた場合にリチウムイオン二次電池の容量維持、保存特性や自己放電特性が格段に向上することを見出した。
【0031】
この理由について、本発明者らは、ジスルホン酸エステルの特定の箇所に置換基を有すること、具体的には、上記一般式(1)において、RおよびRの少なくとも1つが水素原子ではないことにより、支持塩の分解生成物と環状スルホン酸エステルとの反応性が低下し、電解液からの遊離酸の発生を抑制することができると推定している。後述する実施例で示されるとおり、R、Rの両方が水素原子であるスルホン酸エステルに比べて、電解液の安定性が向上し、電池の高温保存特性が向上した。
【0032】
式(1)において、RおよびRは、少なくとも1つがアルキル基である化合物が好ましい。特に、1つがアルキル基で他方が水素原子であるか、2つともアルキル基である化合物が好ましい。中でも、1つがアルキル基で他方が水素原子である化合物が最も好ましい。
【0033】
およびRの1つがアルキル基で、他方が水素原子である化合物が最も好ましい理由を以下に述べる。RおよびRの少なくとも一方が水素原子でない(すなわち少なくとも一方が置換基である)ことにより、支持塩の分解生成物と環状スルホン酸エステルとの反応性が低下し、電解液からの遊離酸の発生を抑制することができると推定している。しかしながら、RおよびRの少なくとも一方が水素原子でない(すなわち、RおよびRの両方が置換基である)場合には、1つがアルキル基で他方が水素原子である場合と比較して電極活物質表面に形成される皮膜形成能が低下し、リチウムイオン二次電池の長寿命化の効果が低下してしまうと考えられる。
【0034】
およびRのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルが挙げられ、これらは、直鎖でも分岐でもよい。特に、メチル、エチルおよびプロピルが好ましく、メチルおよびエチルがより好ましい。RおよびRのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、中でもフッ素が好ましい。
【0035】
は、炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、およびエーテル基を介してアルキレン単位またフルオロアルキレン単位が結合した炭素数2〜6の2価の基からなる群の中から選ばれる連結基を示す。なお、Rで表される連結基が非対称の場合、向きはどちらでもよい。
【0036】
式(1)のRにおいて、アルキレン基およびフルオロアルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖を有していてもよく、直鎖であることが好ましい。直鎖アルキレン基の場合、アルキレン基は−(CH−(nは、1〜5の整数)で表され、−(CH−(nは、1または2)であるメチレン基またはエチレン基であることがより好ましく、−CH−で表されるメチレン基であることがさらに好ましい。分岐アルキレン基は、−(CH−(nは1〜4の整数)で表されるアルキレン基の少なくともひとつの水素原子がアルキル基で置換されており、例えば、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH−、−CH(C2m+1)−(mは1〜4の整数)、−CH−C(CH−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH(CH)−、−CH(CH)CHCH−または−CH(CH)CHCHCH−等が挙げられ、−C(CH−または−CH(CH)−であることがより好ましく、−CH(CH)−であることがさらに好ましい。フルオロアルキレン基は、上記アルキレン基が有する水素原子の少なくとも一つがフッ素原子で置換されていることを意味し、全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、フッ素の置換位置および置換数は任意であるフルオロアルキレン基は直鎖であっても分岐鎖を有していてもよく、直鎖であることが好ましい。直鎖のフルオロアルキレン基で、水素原子がすべてフッ素原子で置換されている場合、Rは−(CF−(nは1〜5の整数)で表される。フルオロアルキレン基として、具体的にはモノフルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、モノフルオロエチレン基、ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基またはテトラフルオロエチレン基が好ましい。
【0037】
式(1)のRにおいて、「エーテル基を介してアルキレン単位またはフルオロアルキレン単位が結合した炭素数2〜6の2価の基」として、例えば、−R−O−R−(RおよびRは、それぞれ独立に、アルキレン基またはフルオロアルキレン基を表し、RおよびRの炭素数の合計が2〜6である)、または−R−O−R−O−R−(R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキレン基またはフルオロアルキレン基を表し、R、RおよびRの炭素数の合計が3〜6である)が挙げられる。RおよびRは、いずれもアルキレン基であってもよいし、いずれもフルオロアルキレン基であってもよいし、一方がアルキレン基でもう一方がフルオロアルキレン基であってもよい。R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキレン基であってもフルオロアルキレン基であってもよい。例えば、−CH−O−CH−、−CH−O−C−、−C−O−C−、−CH−O−CH−O−CH−、−CH−O−CHF−、−CH−O−CF−、−CF−O−CF−、−C−O−C−、−CF−O−CF−O−CF−、−CH−O−CF−O−CH−等が挙げられる。
【0038】
これらのうち、Rは、アルキレン基、カルボニル基またはフルオロアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基またはフルオロアルキレン基であることがより好ましく、−(CH−(nは、1または2)、−C(CH−、−CH(CH)−、モノフルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、モノフルオロエチレン基、ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基またはテトラフルオロエチレン基であることがより好ましい。
【0039】
中でも、Rは、−CH−、−C(CH−、−CH(CH)−、−CHF−または−CF−であることが好ましく、−CH−または−CF−であることがさらに好ましい。この理由は明らかではないが、式(1)で表される化合物が6員環構造の化合物であると、7員環構造の化合物と比較して皮膜を形成する際の電気化学的な反応性が高いため、より抵抗が低く、より強固で良質な皮膜が形成されるからであると推定される。Rは、−CH−で表されるメチレン基であることが特に好ましい。
【0040】
式(1)の化合物のうち、下記式(1−1)で表される化合物が好ましく、下記式(1−2)または式(1−3)で表される化合物がより好ましい。
【0041】
【化3】
(式(1−1)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲンまたはアミノ基を表し、但し、R、Rの両方とも水素原子ということはない。Rは、フッ素で置換されていてもよいメチレン基である。)
【0042】
【化4】
(一般式(1−2)中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルを表し、好ましくはメチルまたはエチルを表す。)
【0043】
【化5】
(一般式(1−3)中、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルを表し、好ましくはメチルまたはエチルを表す。)
【0044】
表1に一般式(1)で示される化合物の代表例を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
【0045】
【表1】
【0046】
上記式(1)の好ましい化合物としては、例えば、式(1)中、Rがメチル基またはエチル基、Rが水素、Rがメチレン基またはエチレン基である化合物が挙げられる。中でも、式(1)中、Rがメチル基またはエチル基、Rが水素、Rがメチレン基である化合物が好ましく、Rがメチル基、Rが水素、Rがメチレン基である化合物がより好ましい。
【0047】
上記の式(1)の化合物は、一種を単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0048】
一般式(1)の化合物は、例えば、米国特許第49050768号、特開昭61−501089号公報、特開平5−44946号公報、特開2005−336155号公報などに記載されている製造方法を用いて得ることができる。
【0049】
一般式(1)の化合物の電解液に占める割合は特に限定されないが、電解液全体の0.005〜10wt%で含まれることが好ましい。一般式(1)で示される化合物の濃度を0.005wt%以上とすることにより、十分な皮膜効果を得ることができる。より好ましくは0.01wt%以上添加され、こうすることにより、電池特性をさらに向上させることができる。また、10wt%以下とすることにより、電解液の粘性の上昇、およびそれに伴う抵抗の増加を抑制することができる。より好ましくは5wt%以下添加され、こうすることにより、電池特性をさらに向上させることができる。
【0050】
本実施形態の電解液は、特に限定されないが、一般に、非水溶媒(非プロトン性溶媒)および支持塩に加えて、上記の一般式(1)の化合物を添加剤として含む。
【0051】
支持塩としては、例えばリチウム塩を使用することができる。リチウム塩としては、LiPF、リチウムイミド塩、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF等が挙げられる。リチウムイミド塩としては、LiN(C2k+1SO)(C2m+1SO)(ここで、kおよびmは、それぞれ独立して自然数であり、好ましくは1または2である。)が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0052】
電解液中のリチウム塩の濃度としては、0.7mol/L以上、2.0mol/L以下であることが好ましい。リチウム塩の濃度を0.7mol/L以上とすることにより、十分なイオン導電性が得られる。また、リチウム塩の濃度を2.0mol/L以下とすることにより、粘度を低くすることができ、リチウムイオンの移動が妨げられない。
【0053】
非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、γ−ラクトン、環状エーテルおよび鎖状エーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含む溶媒を用いることができる。環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルとしては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。γ−ラクトンとしては、γ−ブチロラクトンおよびその誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびその誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。鎖状エーテルとしては、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、エチルエーテル、ジエチルエーテル、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。
【0054】
非水溶媒としては、これら以外にも、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン(例えば1,3−ジオキソラン)、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)を用いることもできる。
【0055】
非水溶媒は、特に好ましくは、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびこれらの化合物のフッ素誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。また、非水溶媒は、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0056】
本実施形態の電解液は、少なくとも1個のスルホニル基を有する化合物をさらに含むことができる。ここで、少なくとも1個のスルホニル基を有する化合物(以下、スルホニル基含有化合物ともいう。)は、前記一般式(1)で表される環状スルホン酸エステルとは異なる化合物である。尚、スルホニル基含有化合物としては、上記の非水溶媒と重複する化合物もあるが、「スルホニル基含有化合物」は、通常、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびこれらの化合物のフッ素誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の非水溶媒とともに使用される。
【0057】
前記スルホニル基含有化合物として、下記一般式(4)で示されるスルトン化合物が好ましい。
【0058】
【化6】
一般式(4)中、nは0〜2の整数を表し、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0059】
一般式(4)で表される化合物としては、例えば1,3−プロパンスルトン(PS)、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロパ−2−エンスルトン等の環状スルホン酸エステル類が挙げられる。
【0060】
スルホニル基含有化合物は、電解液全体の0.005〜10wt%で使用される。
【0061】
また、本実施形態の電解液は、ビニレンカーボネートまたはその誘導体をさらに含むことができる。ビニレンカーボネートまたはその誘導体としては、ビニレンカーボネート(VC)、4−メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4−エチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4−プロピルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−フェニルビニレンカーボネートおよび4,5−ジフェニルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート類;並びにビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等のビニルアルキレンカーボネート類を挙げることができる。
【0062】
ビニレンカーボネートまたはその誘導体は、電解液全体の0.005〜10wt%で使用される。
【0063】
また、本実施形態において、電解液には、必要に応じて、上記化合物以外のその他の添加剤も含めることができる。その他の添加剤としては、例えば、過充電防止剤、界面活性剤、が挙げられる。
【0064】
<正極>
正極は、正極集電体上に、正極活物質と正極用結着剤を含む正極活物質層を形成することで作製することができる。図1の非水電解液二次電池において、正極活物質を含有する層1に用いる正極活物質としては、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(「LMO」と記載することもある)と、層状岩塩構造を有するリチウム遷移金属複合化合物(「層状Li化合物」と記載することもある)の混合物が好ましい。
【0065】
LMOは、その結晶構造上、リチウムイオンの出入り可能な方向が3次元である。そのため、出力特性に優れている。すなわち、二次電池として出力を向上させるためには、LMOを正極に使うことが好ましい。
【0066】
一方、層状Li化合物は、重量あたりの充放電可能なリチウムイオン量が多く、硫黄(2V級)等より酸化還元電位が高い(4V級)ため、重量あたりのエネルギー密度が高い。すなわち、二次電池としてエネルギー密度を向上させるためには、層状Li化合物を正極に使うことが好ましい。
【0067】
出力特性と高エネルギー密度を両立させるために、正極活物質として、LMOと層状Li化合物の混合物を使用することが好ましい。その時の混合比は、重量比で、LMO/(LMO+層状Li化合物)として、15wt%から85wt%であることが好ましい。この範囲を外れると、出力特性と高エネルギー密度の両立が不十分となる。
【0068】
LMOは一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0069】
Li(Mn1−αα (2)
一般式(2)中、Aは、Li、Mg、Al、Co、Bからなる群より選ばれる1つ、または2つ以上の元素である。αは、0<α≦0.1である。具体的には、
Li(Mn0.98Li0.02
Li(Mn0.95Li0.05
Li(Mn0.98Mg0.02
Li(Mn0.95Mg0.05
Li(Mn0.98Al0.02
Li(Mn0.95Al0.05
Li(Mn0.98Al0.01Co0.01
Li(Mn0.95Al0.025Co0.025
Li(Mn0.98Li0.01Mg0.01
Li(Mn0.95Li0.025Mg0.025
Li(Mn0.94Li0.02Mg0.020.02
Li(Mn0.98Li0.01Al0.01
Li(Mn0.95Li0.025Al0.025
Li(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01
Li(Mn0.97Li0.01Al0.01Co0.01
Li(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02
Li(Mn0.93Li0.02Al0.02Co0.020.01
Li(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.014、
などが挙げられる。正極活物質として、1種類のLMOを単独で含んでも2種以上のLMOを組み合わせて含んでもよい。
【0070】
次に、本実施形態で用いるLMOの製造方法について説明をする。出発原料としては、Li原料として水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)、酸化リチウム(LiO)、硫酸リチウム(LiSO)などを用いることができる。また、Mn原料として、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酸化物などを用いることができる。特に、硫酸マンガン(MnSO)、あるいは二酸化マンガン(MnO)が好ましい。更には、電解二酸化マンガンが好ましい。また、Mnを元素置換するためには、置換元素の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酸化物などと、Mn原料を所定のモル比となるように秤量、混合、焼成する。また、硫酸マンガンなどを用いて、溶液中で置換することも出来る。その後、リチウム原料とMn原料を、所定のモル比となるように秤量、混合、焼成することで、所望のLMOを得ることができる。
【0071】
層状Li化合物は、一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0072】
LiβMeO (3)
【0073】
一般式(3)中、Meは、Niを必ず含み、かつ、Co、Al、Mn、Mg、Zrからなる群より選ばれる1つ、または2つ以上の元素からなる。βは、0.98≦β≦1.02である。具体的には、
LiNi0.80Co0.20
LiNi0.80Co0.15Al0.05
LiNi0.80Mn0.10Co0.10
LiNi0.70Mn0.20Co0.10
LiNi0.60Mn0.20Co0.20
LiNi0.60Mn0.20Co0.20
LiNi0.50Mn0.30Co0.20
LiNi0.40Mn0.30Co0.30
LiNi0.33Mn0.33Co0.33
LiNi0.30Mn0.30Co0.30Mg0.10
LiNi0.30Mn0.30Co0.30Zr0.10
などが挙げられる。正極活物質として、1種類の層状Li化合物を単独で含んでも2種以上の層状Li化合物を組み合わせて含んでもよい。
【0074】
次に、本実施形態で用いる層状Li化合物の製造方法について、Niの一部をMn及びCoで置換した化合物の場合を例に説明をする。出発原料としては、Li原料として水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)、酸化リチウム(LiO)、硫酸リチウム(LiSO)などを用いることができる。また、Ni−Mn−Co原料として、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酸化物などを用いることができる。特に、共沈法で作成することが好ましい。その後、リチウム原料とNi−Mn−Co原料を、所定のモル比となるように秤量、混合、焼成することで、所望の層状Li化合物を得ることができる。その際、βを1以外、具体的には、0.98≦β≦1.02としても良い。
【0075】
正極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、正極活物質100質量部に対して2〜10質量部が好ましい。
【0076】
正極用集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
【0077】
正極は、例えば活物質を、カーボンブラック等の導電性物質、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤とともにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤中に分散混練し、これをアルミニウム箔等の正極集電体上に塗布することにより得ることができる。
【0078】
<負極>
負極は、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。図1の非水電解液二次電池において、負極活物質を含有する層2に用いる負極活物質には、たとえばリチウム金属、リチウム合金、およびリチウムを吸蔵・放出できる材料からなる群から選択される一または二以上の物質を用いることができる。リチウムイオンを吸蔵・放出する材料としては、炭素材料および酸化物等を挙げることができる。
【0079】
炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、およびこれらの複合酸化物等を用いることができる。これらのうち、黒鉛材料または非晶質炭素が好ましい。特に、黒鉛材料は、電子伝導性が高く、銅などの金属からなる集電体との接着性と電圧平坦性が優れており、高い処理温度によって形成されるため含有不純物が少なく、負極性能の向上に有利であり、好ましい。
【0080】
また、酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、酸化リン(リン酸)、酸化ホウ酸(ホウ酸)、およびこれらの複合物等が挙げられる。特に酸化シリコンを含むことが好ましい。構造としてはアモルファス状態であることが好ましい。これは、酸化シリコンが安定で他の化合物との反応を引き起こさないため、またアモルファス構造が結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化を導かないためである。成膜方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの方法を用いることができる。
【0081】
リチウム合金は、リチウムおよびリチウムと合金形成可能な金属により構成される。リチウム合金は、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元または3元以上の合金により構成される。リチウム金属やリチウム合金としては、特にアモルファス状のものが好ましい。これは、アモルファス構造により結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくいためである。リチウム金属またはリチウム合金は、融液冷却方式、液体急冷方式、アトマイズ方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式、プラズマCVD方式、光CVD方式、熱CVD方式、ゾルーゲル方式、等の適宜な方式で形成することができる。
【0082】
負極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
【0083】
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
【0084】
負極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
【実施例】
【0085】
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
<実施例1>
(電池の作製)
本実施例の電池の作製について説明する。正極集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を用い、正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比75:25の混合物を用いた。さらに、正極用結着剤としてPVdF(株式会社クレハ製KFポリマー)を用い、導電付与材としてアセチレンブラック(ティムカル・グラファイト・アンド・カーボン社製)を用いた。また、負極集電体として厚み10μmの銅箔を用い、この銅箔上に負極活物質として黒鉛を用いた。さらに、負極用結着剤としてPVdF(株式会社クレハ製KFポリマー)を用い、導電付与材としてアセチレンブラック(ティムカル・グラファイト・アンド・カーボン社製)を用いた。そして、負極と正極とをポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、二次電池を作製した。
【0087】
非水電解液の溶媒としてECとDECの混合溶媒(体積比:EC/DEC=30/70)を用い、支持電解質としてLiPFを非水電解液中1Mとなるように溶解した。
【0088】
添加剤として、前記表1に記載の化合物No.1を非水電解液中に0.1mol/L含まれるように加えた。この非水電解液を用いて非水二次電池を作製し、電池の保存試験を行った。
【0089】
(電池保存試験)
まず室温にて充電および放電を1回ずつ行った。この時の充放電条件は、CCCV充電レート1.0C、CC放電レート1.0C、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0Vとした。なお、1.0Cとは、満充電状態から1時間で放電しきる電流値である。
【0090】
その後、各電池をCCCV充電レート1.0C、充電終止電圧4.2Vまで2.5時間、充電し、45℃の恒温槽中で4週間放置した。放置後に室温おいてCC放電レート1.0Cにて放電を行い残存容量とした。100×(残存容量)/(放置前の充電容量)(%)を残存容量率(%)とした。結果を表2に示す。
【0091】
<比較例1>
実施例1において、化合物No.1の代わりにメチレンメタンジスルホン酸エステルを用いた以外は実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を測定した。結果を表2に示す。なお、表中、メチレンメタンジスルホン酸エステルは「化合物A」と記載する。
【0092】
<実施例2>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0093】
<実施例3>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比75:25の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.5を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0094】
<実施例4>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.5を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0095】
<実施例5>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比75:25の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.7を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0096】
<実施例6>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.7を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0097】
<実施例7>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比75:25の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.8を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0098】
<実施例8>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.8を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0099】
<実施例9>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0100】
<実施例10>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0101】
<実施例11>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0102】
<実施例12>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0103】
<実施例13>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0104】
<実施例14>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0105】
<実施例15>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0106】
<実施例16>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0107】
<実施例17>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0108】
<実施例18>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0109】
<実施例19>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0110】
<実施例20>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0111】
<実施例21>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0112】
<実施例22>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.07とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0113】
<実施例23>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0114】
<実施例24>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0115】
<実施例25>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0116】
<実施例26>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0117】
<実施例27>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0118】
<実施例28>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0119】
<実施例29>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0120】
<実施例30>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0121】
<実施例31>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0122】
<実施例32>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0123】
<実施例33>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0124】
<実施例34>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0125】
<実施例35>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0126】
<実施例36>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Mg0.025とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0127】
<実施例37>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0128】
<実施例38>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0129】
<実施例39>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0130】
<実施例40>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0131】
<実施例41>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0132】
<実施例42>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0133】
<実施例43>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0134】
<実施例44>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0135】
<実施例45>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0136】
<実施例46>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0137】
<実施例47>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0138】
<実施例48>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0139】
<実施例49>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0140】
<実施例50>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.025Al0.0250.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表3に示す。
【0141】
<実施例51>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0142】
<実施例52>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0143】
<実施例53>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0144】
<実施例54>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0145】
<実施例55>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0146】
<実施例56>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0147】
<実施例57>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0148】
<実施例58>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0149】
<実施例59>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0150】
<実施例60>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0151】
<実施例61>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0152】
<実施例62>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0153】
<実施例63>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0154】
<実施例64>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Al0.02Co0.02とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0155】
<実施例65>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0156】
<実施例66>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0157】
<実施例67>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0158】
<実施例68>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Co0.15Al0.05との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0159】
<実施例69>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0160】
<実施例70>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.80Mn0.10Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0161】
<実施例71>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0162】
<実施例72>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.70Mn0.20Co0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0163】
<実施例73>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0164】
<実施例74>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0165】
<実施例75>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.60Mn0.20Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0166】
<実施例76>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比85:15の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0167】
<実施例77>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0168】
<実施例78>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比30:70の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表4に示す。
【0169】
<実施例79>
正極活物質としてLi(Mn0.98Li0.02とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0170】
<実施例80>
正極活物質としてLi(Mn0.95Mg0.05とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0171】
<実施例81>
正極活物質としてLi(Mn0.95Al0.05とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0172】
<実施例82>
正極活物質としてLi(Mn0.95Al0.025Co0.025とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0173】
<実施例83>
正極活物質としてLi(Mn0.98Li0.01Mg0.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0174】
<実施例84>
正極活物質としてLi(Mn0.94Li0.02Mg0.020.02とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0175】
<実施例85>
正極活物質としてLi(Mn0.98Li0.01Al0.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0176】
<実施例86>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.025Al0.025とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0177】
<実施例87>
正極活物質としてLi(Mn0.97Li0.01Al0.01Co0.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0178】
<実施例88>
正極活物質としてLi(Mn0.93Li0.02Al0.02Co0.020.01とLiNi0.50Mn0.30Co0.20との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0179】
<実施例89>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.40Mn0.30Co0.30との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0180】
<実施例90>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.33Mn0.33Co0.33との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0181】
<実施例91>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.30Mn0.30Co0.30Mg0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0182】
<実施例92>
正極活物質としてLi(Mn0.95Li0.01Mg0.01Al0.01Co0.010.01とLiNi0.30Mn0.30Co0.30Zr0.10との重量比50:50の混合物を用い、化合物No.1の代わりに化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、実施例1と同様に電池の特性を調べた。結果を表5に示す。
【0183】
【表2】
【0184】
【表3】
【0185】
【表4】
【0186】
【表5】
【0187】
実施例1〜92に示した電池は比較例1と比較して、残存容量率が向上していること、すなわち保存特性が改善していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明の活用例として、電気自動車やハイブリッド自動車、電動バイク、電動アシスト自転車などの駆動用機器、電動工具などの工具類、携帯端末やノートパソコンなどの電子機器、家庭用蓄電システムや太陽光発電システムなどの蓄電池などが挙げられる。
【符号の説明】
【0189】
1 正極活物質層
2 負極活物質層
3 正極集電体
4 負極集電体
5 多孔質セパレータ
6 ラミネート外装体
7 ラミネート外装体
8 負極タブ
9 正極タブ
図1