特許第6380415号(P6380415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特許6380415故障判断装置及びこれを含む画像形成装置
<>
  • 特許6380415-故障判断装置及びこれを含む画像形成装置 図000002
  • 特許6380415-故障判断装置及びこれを含む画像形成装置 図000003
  • 特許6380415-故障判断装置及びこれを含む画像形成装置 図000004
  • 特許6380415-故障判断装置及びこれを含む画像形成装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380415
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】故障判断装置及びこれを含む画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20180820BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180820BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
   G03G21/00 510
   H05B3/00 310D
   H05B3/00 310K
   H05B3/00 320Z
   H05B3/00 335
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-5444(P2016-5444)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-125964(P2017-125964A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古城 秀彦
【審査官】 松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−214965(JP,A)
【文献】 特開2011−112684(JP,A)
【文献】 特開平02−148113(JP,A)
【文献】 特開2008−170656(JP,A)
【文献】 特開2012−078452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0159759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の一方の電源端子と負荷の一端を接続し、前記負荷に電力を供給するための第1電源ラインと、
前記交流電源の他方の電源端子と負荷の他端を接続し、前記負荷に電力を供給するための第2電源ラインと、
前記第1電源ラインと前記第2電源ラインに接続され、第1ゼロクロス信号を生成する第1ゼロクロス信号生成部と
前記第1ゼロクロス信号生成部よりも前記負荷に近い位置で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインに接続され第2ゼロクロス信号を生成する第2ゼロクロス信号生成部と、
前記第1ゼロクロス信号生成部と前記第2電源ラインの接続点と、前記第2ゼロクロス信号生成部と前記第2電源ラインの接続点の間、又は、前記第1ゼロクロス信号生成部と前記第1電源ラインの接続点と、前記第2ゼロクロス信号生成部と前記第1電源ラインの接続点の間に設けられ、前記負荷への電力の供給/遮断を行うための交流スイッチング素子と、
前記第1ゼロクロス信号と前記第2ゼロクロス信号が入力され、前記交流スイッチング素子を制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記第1ゼロクロス信号の信号レベルが変化している状態かつ前記交流スイッチング素子が遮断状態で、前記第2ゼロクロス信号の信号レベルが変化しているとき、ショートの故障が前記交流スイッチング素子で発生していると判断することを特徴とする故障判断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1ゼロクロス信号の信号レベルが変化している状態かつ前記交流スイッチング素子が導通状態で、前記第2ゼロクロス信号の信号レベルが変化していないとき、オープンの故障が前記交流スイッチング素子で発生していると判断することを特徴とする請求項1に記載の故障判断装置。
【請求項3】
前記負荷はヒーターであり、
前記ヒーターが熱する加熱対象の温度を検知する温度センサーを含み、
前記制御部は、温度センサーの出力に基づき前記加熱対象の温度を認識し、前記第1ゼロクロス信号の信号レベルが変化している状態であり、また、前記交流スイッチング素子が導通状態であり、更に、前記第2ゼロクロス信号の信号レベルが変化している状態であり、前記ヒーターへの通電開始後、前記加熱対象の温度が予め定められた基準温度以下のとき、前記ヒーターの断線の故障発生と判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の故障判断装置。
【請求項4】
前記第1電源ラインと前記第2電源ラインの何れか一方に設けられ、前記交流電源と前記第1ゼロクロス信号生成部との間に設けられ、前記負荷に電力供給を行う回路の開閉を行うためのスイッチ部を含み、
前記制御部は、前記スイッチ部を閉じた状態としているのに前記第1ゼロクロス信号の信号レベルが変化しない状態のとき、前記スイッチ部で故障が発生していると判断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の故障判断装置。
【請求項5】
故障発生を使用者に報知する報知部を含み、
前記制御部は、故障が発生していると判断したとき、発生している故障内容を前記報知部に報知させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の故障判断装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の故障判断装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電圧の供給/遮断を行うための交流スイッチング素子を含む回路での故障判断に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、プリンター、複写機、ファクシミリ装置のような画像形成装置には、加熱・加圧してトナー像を定着させるためのヒーターを含むものがある。そして、半導体スイッチング素子を用いて、負荷としてのヒーターに交流電圧を印加することがある。特許文献1には、サイリスタの故障、破壊の発生により、ヒーターが高温となることを防ぐための技術の一例が記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、電源電圧をオン−オフするスイッチを設け、交流をサイリスタを用いて位相制御して負荷に与え、交流の電圧のゼロクロス点を検知してゼロクロス信号を発生させサイリスタを位相制御する信号を発生し、負荷の両端の電圧を検知し、負荷に電圧をかけていないのに負荷に電圧がかかった回数をカウントし、一定回数カウントすると、負荷への導通をストップする交流制御装置が記載されている。(特許文献1:請求項1、明細書段落[0018]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−066005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置には、トナー像の定着のためのヒーターのような負荷が設けられることがある。負荷への交流電圧の印加(電力供給)制御のため、トライアックのような半導体スイッチング素子が画像形成装置に設けられることがある。
【0006】
電流によるジュール熱によってトライアックのような半導体スイッチング素子では熱が生ずる。半導体スイッチング素子の温度が上昇しすぎることにより接合部分でダメージが生ずることがある(熱破壊)。ダメージが蓄積されると、半導体スイッチング素子の制御がきかない状態となることがある。例えば、半導体スイッチング素子が導通状態のままOFFできない状態となる。導通状態のままOFFできない状態となると、熱破壊が生ずる可能性が大きくなり、半導体スイッチング素子の寿命を大きく縮める要因の1つとなる。
【0007】
また、半導体スイッチング素子の故障の態様は様々である。半導体スイッチング素子の温度が上昇した状態では導通/遮断を制御できなくなるが、温度が下がると通常どおり動作する場合がある。つまり、温度により半導体スイッチング素子が正常な状態に戻る場合もある。また、半導体スイッチング素子は、ショートモード(常時スイッチがONの状態)で故障することもあれば、オープンモード(常時スイッチがOFFの状態)で故障することもある。
【0008】
更に、半導体スイッチング素子以外の要因で負荷への交流電圧の印加の異常が生ずることもある。故障の態様が様々であることから、故障しているか否かの判断や、故障原因の特定が困難であるという問題がある。故障原因の判断を間違えたとき、異常部品以外の部品交換のような無駄な修理が行われる。故障原因の特定できるまで、修理作業が続く。
【0009】
ここで、特許文献1記載の技術では、意図せずに交流電圧が負荷に印加される半導体スイッチング素子の故障のみを対象とする。また、特許文献1の交流制御装置には、リレースイッチ4が記載されているが、リレースイッチ4が壊れているのか、半導体スイッチング素子が故障しているのか、それら以外の部分の故障が生じているのか特定することができない。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、複数のゼロクロス信号生成部を用いて半導体スイッチング素子の故障を含め、どのような故障が生じているか、故障の原因を正確に特定する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に係る故障判断装置は、第1電源ライン、第2電源ライン、第1ゼロクロス信号生成部、第2ゼロクロス信号生成部、交流スイッチング素子、制御部を含む。前記第1電源ラインは、交流電源の一方の電源端子と負荷の一端を接続し、前記負荷に電力を供給するための電源ラインである。前記第2電源ラインは、前記交流電源の他方の電源端子と負荷の他端を接続し、前記負荷に電力を供給するための電源ラインである。前記第1ゼロクロス信号生成部は、前記第1電源ラインと前記第2電源ラインに接続され、第1ゼロクロス信号を生成する。前記第2ゼロクロス信号生成部は、前記第1ゼロクロス信号生成部よりも前記負荷に近い位置で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインに接続され第2ゼロクロス信号を生成する。前記交流スイッチング素子は、前記第1ゼロクロス信号生成部と前記第2電源ラインの接続点と、前記第2ゼロクロス信号生成部と前記第2電源ラインの接続点の間、又は、前記第1ゼロクロス信号生成部と前記第1電源ラインの接続点と、前記第2ゼロクロス信号生成部と前記第1電源ラインの接続点の間に設けられ、前記負荷への電力の供給/遮断を行う。前記制御部は、前記第1ゼロクロス信号と前記第2ゼロクロス信号が入力され、前記交流スイッチング素子を制御する。そして、前記制御部は、前記第1ゼロクロス信号の信号レベルが変化している状態かつ前記交流スイッチング素子が遮断状態で、前記第2ゼロクロス信号の信号レベルが変化しているとき、ショートの故障が前記交流スイッチング素子で発生していると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のゼロクロス信号生成部を用いて半導体スイッチング素子の故障原因を正確に特定することができる。そして、負荷の通電に関する部分でどのような故障が生じているか、故障の原因を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る故障判断装置の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る第1ゼロクロス信号生成部と第2ゼロクロス信号生成部の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る故障判断装置の故障判断の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図4を用いて、本発明に係る複合機100(画像形成装置に相当)を説明する。複合機100は、故障判断装置1(詳細は後述)を含む。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0015】
(画像形成装置の概要)
まず、図1に基づき、実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0016】
複合機100は、主制御部2と記憶部3を有する。主制御部2は、装置全体の動作を統括し複合機100の各部を制御する。そして、主制御部2は、演算のような処理を行うCPU21、ジョブの実行に必要な画像処理を画像データに施す画像処理部22を含む。記憶部3は、ROM、RAM、HDDのような記憶装置であり、制御用プログラムやデータを記憶する。
【0017】
又、主制御部2は、操作パネル4と通信可能に接続される。操作パネル4は、設定用画面、複合機100の状態、メッセージのような情報を表示する。また、操作パネル4は、使用者の操作を受け付ける。そして、主制御部2は、操作パネル4でなされた使用者の設定どおりに動作するように、複合機100を制御する。
【0018】
原稿搬送部5aは、セットされた原稿を読み取り位置に向けて搬送する。画像読取部5bは、原稿搬送部5aに搬送される原稿や、原稿台(コンタクトガラス)にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。主制御部2は、原稿搬送部5aと画像読取部5bの動作を制御する。
【0019】
又、複合機100は、印刷部6を含む。印刷部6は、エンジン制御部60(制御部に相当)、給紙部6a、搬送部6b、画像形成部6c、定着部6dを含む。エンジン制御部60と主制御部2は通信可能に接続される。主制御部2は、印刷指示、印刷ジョブの内容、印刷に用いる画像データをエンジン制御部60に与える。エンジン制御部60は、主制御部2の指示を受け、給紙部6a、搬送部6b、画像形成部6c、定着部6dの動作を制御する。具体的に、エンジン制御部60は、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を実際に制御する。
【0020】
エンジン制御部60は、用紙を一枚ずつ給紙部6aに供給させる。エンジン制御部60は、供給された用紙を、画像形成部6c、定着部6dを経て排出トレイ(不図示)まで搬送部6bに搬送させる。エンジン制御部60は、搬送部6bより搬送される用紙にのせるトナー像を画像形成部6cに形成させ、トナー像を用紙に転写させる。エンジン制御部60は、用紙に転写されたトナー像を定着部6dに定着させる。定着部6dは、用紙を加熱する加熱ローラー61、加熱ローラー61に接して用紙に圧力を加える加圧ローラー62、トナーを溶融させるために加熱ローラー61を熱するヒーター63(負荷に相当)を含む。エンジン制御部60は、印刷時、ヒーター63への通電を制御し、加熱ローラー61をトナーの定着に適した温度(定着制御温度、予め定められた定着時の加熱ローラー61の温度)で保つ。搬送部6bは、トナー像が定着された用紙を排出トレイに排出する。
【0021】
又、複合機100は、通信部23(報知部に相当)を含む。通信部23は、コンピューター200と通信するためのインターフェイスである。通信部23は、ネットワークやケーブルを介し、コンピューター200と通信する。主制御部2は、通信部23と接続される。通信部23は、コンピューター200から画像データのような印刷内容を示すデータや印刷に関する設定を示すデータを含む印刷用データを受信する。主制御部2は、印刷用データに基づく印刷を印刷部6に行わせる。
【0022】
(故障判断装置1)
次に、図2を用いて、実施形態に係る故障判断装置1を説明する。図2は、実施形態に係る故障判断装置1の一例を示す図である。
【0023】
故障判断装置1は、複合機100に含まれる。故障判断装置1は、負荷としてのヒーター63の導通に関する部分やトナー像の定着に関する部分の故障の有無を判断する。具体的に、故障判断装置1は、スイッチ部11、第1ゼロクロス信号生成部7、第2ゼロクロス信号生成部8、トライアック9(交流スイッチング素子に相当)、エンジン制御部60、ヒーター63(負荷)、温度センサーS1、操作パネル4(報知部)を含む。
【0024】
交流電源Pは、商用電源のような複合機100に電力を供給する電源である。複合機100は電源ケーブル(不図示)を有する。電源ケーブルをコンセントに接続することにより、交流電源P(商用電源)に複合機100が接続される。
【0025】
交流電源Pの一方の電源端子P1とヒーター63の一端が第1電源ラインL1により接続される。また、交流電源Pの他方の電源端子P2とヒーター63の他端が第2電源ラインL2により接続される。第1電源ラインL1と第2電源ラインL2によりヒーター63に電力が供給される。負荷としてのヒーター63は、電力を消費して加熱ローラー61を熱する。ヒーター63は、例えば、ハロゲンヒーターである。尚、ヒーター63に他種の熱源を用いてもよい。
【0026】
また、第1電源ライン(スイッチ部11とヒーター63の間、交流電源の電源端子P1とヒーターの間)には、ヒーター63の近傍にサーモカットアウト63aが設けられる。サーモカットアウト63aは、加熱ローラー61の温度が予め定められた温度に到ると断線し、交流電源Pからヒーター63への電流(電力)を強制的に遮断する
【0027】
スイッチ部11は、ヒーター63に電力供給を行う回路の開閉を行うため(ヒーター63への電力の供給/遮断)を行うためのスイッチである。複合機100(故障判断装置1)には、スイッチ部11として、リレーが用いられる。図2に示すように、スイッチ部11は、第1電源ラインL1に設けられる。また、図2に示すように、スイッチ部11は、交流電源Pと第1ゼロクロス信号生成部7との間に設けられる。なお、スイッチ部11は、第2電源ラインL2であって、交流電源Pと第1ゼロクロス信号生成部7との間に設けてもよい。
【0028】
エンジン制御部60は、スイッチ部11の開閉を制御する。通常モードのような加熱ローラー61の温度を定着制御温度で維持する間、エンジン制御部60は、スイッチ部11を閉状態(導通状態、ON状態)とし、交流電源Pからの電力がヒーター63に入力され得る状態とする。また、省電力モードのような加熱ローラー61の温度維持制御を行わないとき、エンジン制御部60は、スイッチ部11を開状態(遮断状態、OFF状態)とし、交流電源Pからの電力がヒーター63に入力されない状態とする。
【0029】
第1ゼロクロス信号生成部7は、第1電源ラインL1と第2電源ラインL2に接続され、第1ゼロクロス信号Z1を生成する(図2参照)。第1ゼロクロス信号生成部7の詳細は後述する。
【0030】
第2ゼロクロス信号生成部8は、第1ゼロクロス信号生成部7よりもヒーター63に近い位置で第1電源ラインL1と第2電源ラインL2に接続される。第2ゼロクロス信号生成部8は、第2ゼロクロス信号Z2を生成する。第2ゼロクロス信号生成部8の詳細も後述する。
【0031】
トライアック9は、ヒーター63への電力の供給/遮断を行うための交流用のスイッチング素子である。エンジン制御部60は、トライアック9のON/OFFを制御して、ヒーター63に投入する電力を調整する。故障判断装置1(複合機100)では、トライアック9は、第1ゼロクロス信号生成部7と第2電源ラインL2の接続点Aと、第2ゼロクロス信号生成部8と第2電源ラインL2の接続点Bの間に設けられる。尚、ヒーター63の通電を制御できればよいので、第1ゼロクロス信号生成部7と第1電源ラインL1の接続点Cと第2ゼロクロス信号生成部8と第1電源ラインL1の接続点Dの間にトライアック9を設けてもよい(図3において、トライアック9の設置候補位置を白丸Eで図示)。
【0032】
エンジン制御部60には、第1ゼロクロス信号Z1が入力される。電源端子P1と電源端子P2に交流電源Pが接続され、スイッチ部11が導通状態のとき、第1ゼロクロス信号生成部7は、交流電圧の周波数にあわせてHighレベルとLowレベルが変化する第1ゼロクロス信号Z1を出力する。
【0033】
また、エンジン制御部60には、第2ゼロクロス信号Z2が入力される。電源端子P1と電源端子P2に交流電源Pが接続され、スイッチ部11とトライアック9が導通状態であり、第1ゼロクロス信号生成部7に交流電圧が正しく入力されているとき、第1ゼロクロス信号生成部7は、交流電圧の周波数にあわせてHighレベルとLowレベルが変化する第1ゼロクロス信号Z1を出力する。
【0034】
また、ヒーター63により加熱される加熱ローラー61(加熱対象)の温度を検知するための温度センサーS1が設けられる。温度センサーS1は、サーミスターRtと固定抵抗R0を含む。固定抵抗R0の一端がグランドに接続され、他端がサーミスターRtの一端と接続される。サーミスターRtの他端は、電源Vaに接続される。サーミスターRtと固定抵抗R0の間の電圧が温度センサーS1の出力(センサー出力電圧V1)としてエンジン制御部60に入力される。
【0035】
サーミスターRtは、温度に応じて抵抗値が変化する。センサー出力電圧V1は、加熱ローラー61の温度に応じて変化する。本実施形態の複合機100では、温度が低いほど抵抗値が高いサーミスターRtが用いられる。図3に示す接続では、測定対象(加熱ローラー61)の温度が高いほど、センサー出力電圧V1は固定抵抗R0に流れる電流が小さくなる。従って、低温ほど、センサー出力電圧V1は小さくなる。エンジン制御部60内のメモリー60bには、センサー出力電圧V1の大きさに対する加熱ローラー61の温度を定めた温度決定用データが記憶される。エンジン制御部60)のエンジンCPU60aは、温度決定用データとセンサー出力電圧V1の大きさに基づき、加熱ローラー61の温度を検知する。
【0036】
エンジン制御部60は、加熱ローラー61の温度に応じてトライアック9の導通/遮断の制御を行う。例えば、検知された加熱ローラー61の温度が、定着制御温度以下であるとき、エンジン制御部60は、トライアック9を導通状態とする。検知された加熱ローラー61の温度が、定着制御温度を超えているとき、エンジン制御部60はトライアック9を遮断状態とする。
【0037】
(第1ゼロクロス信号生成部7と第2ゼロクロス信号生成部8)
次に、図3を用いて実施形態に係る第1ゼロクロス信号生成部7と第2ゼロクロス信号生成部8を説明する。図3は、実施形態に係る第1ゼロクロス信号生成部7と第2ゼロクロス信号生成部8の一例を示す図である。
【0038】
第1ゼロクロス信号生成部7は、第1全波整流回路71、第1抵抗R1、第1フォトカプラ72、第1プルアップ抵抗73を含む。第1フォトカプラ72は、第1発光素子74と第1受光素子75を含む。図3に示す第1発光素子74は、LEDである(他種の発光素子でもよい)。図3に示す第1受光素子75は、フォトトランジスタである(他種の受光素子でもよい)。
【0039】
図3に示すように、第1全波整流回路71は、4つのダイオードを含むダイオードブリッジ回路である。第1全波整流回路71のうち、ダイオードのカソードとダイオードのアノードを接続した2つの部分のうち、一方に第1電源ラインL1が接続され、他方に第2電源ラインL2が接続される。
【0040】
ダイオードのカソード同士を接続した部分に、第1発光素子74の一端(アノード)が接続される。第1発光素子74の他端は、第1抵抗R1の一端と接続される。第1抵抗R1の他端は、ダイオードのアノード同士を接続した部分に接続される。
【0041】
第1受光素子75は、第1発光素子74が発する光を受光したとき、導通状態(ON状態)となる。第1受光素子75は、第1発光素子74が発光していないとき、遮断状態(OFF状態)となる。第1受光素子75のソースは、グランドと接続される。第1受光素子75のコレクタは、第1プルアップ抵抗73の一端と接続される。第1プルアップ抵抗73の他端は、電源Vbと接続される。第1プルアップ抵抗73と第1受光素子75のソースの間の電圧が第1ゼロクロス信号Z1としてエンジン制御部60に入力される。
【0042】
正常なスイッチ部11を閉じたとき、第1全波整流回路71の整流作用により、交流電源Pの交流電圧が全波整流される。第1発光素子74のアノードには、交流電源Pの周波数の2倍の周波数の整流された電圧が印加される。そして、第1発光素子74に印加される電圧が第1発光素子74の順方向電圧よりも小さい間、第1発光素子74は発光しない。第1発光素子74に印加される電圧が第1発光素子74の順方向電圧以上の間、第1発光素子74は発光する。交流電源P(商用電源)の電圧波形は正弦波なので、交流電圧波形の半周期に1度、第1全波整流回路71の出力電圧は、第1発光素子74の順方向電圧以下となる。
【0043】
第1発光素子74が発光状態のとき、第1受光素子75が導通状態となり、第1ゼロクロス信号Z1はLowレベル(グランドレベル)となる。第1発光素子74が発光していない状態のとき、第1受光素子75が遮断状態となり、第1ゼロクロス信号Z1はHighレベルとなる。本実施形態の故障判断装置1では、第1ゼロクロス信号Z1は、交流電圧の半周期に1度、LowレベルからHighレベルに変化する。
【0044】
一方、正常なスイッチ部11を開いた状態としたとき、第1ゼロクロス信号Z1は、Lowレベルで維持される。
【0045】
第2ゼロクロス信号生成部8も第1ゼロクロス信号生成部7と同様の回路を含む。第2ゼロクロス信号生成部8は、第2全波整流回路81、第2抵抗R2、第2フォトカプラ82、第2プルアップ抵抗83を含む。第2フォトカプラ82は、第2発光素子84と第2受光素子85を含む。図3に示す第2発光素子84は、LEDである(他種の発光素子でもよい)。図3に示す第2受光素子85は、フォトトランジスタである(他種の受光素子でもよい)。
【0046】
図3に示すように、第2全波整流回路81は、4つのダイオードを含むダイオードブリッジ回路である。第2全波整流回路81のダイオードのカソードとダイオードのアノードを接続した2つの部分のうち、一方に第1電源ラインL1が接続され、他方に第2電源ラインL2が接続される。
【0047】
ダイオードのカソード同士を接続した部分に、第2発光素子84の一端(アノード)が接続される。第2発光素子84の他端は、第2抵抗R2の一端と接続される。第2抵抗R2の他端は、ダイオードのアノード同士を接続した部分に接続される。
【0048】
第2受光素子85は、第2発光素子84が発する光を受光したとき、導通状態(ON状態)となる。第2受光素子85は、第2発光素子84が発光していないとき、遮断状態(OFF状態)となる。第2受光素子85のソースは、グランドと接続される。第2受光素子85のコレクタは、第2プルアップ抵抗83の一端と接続される。第2プルアップ抵抗83の他端は、電源Vcと接続される。第2プルアップ抵抗83と第2受光素子85のソースの間の電圧が第2ゼロクロス信号Z2としてエンジン制御部60に入力される。
【0049】
正常なスイッチ部11を閉じたとき、第2全波整流回路81の整流作用により、交流電源Pの交流電圧が全波整流される。第2発光素子84のアノードには、交流電源Pの周波数の2倍の周波数の整流された電圧が印加される。第2発光素子84に印加される電圧が第2発光素子84の順方向電圧よりも小さい間、第2発光素子84は発光しない。第2発光素子84に印加される電圧が第2発光素子84の順方向電圧以上の間、第2発光素子84は発光する。交流電源P(商用電源)の電圧波形は正弦波なので、第2全波整流回路81の出力電圧は、交流電圧波形の半周期に1度、第2発光素子84の順方向電圧以下となる。
【0050】
第2発光素子84が発光状態のとき、第2受光素子85が導通状態となり、第2ゼロクロス信号Z2はLowレベル(グランドレベル)となる。第2発光素子84が発光していない状態のとき、第2受光素子85が遮断状態となり、第2ゼロクロス信号Z2はHighレベルとなる。
【0051】
ここで、トライアック9は、第1ゼロクロス信号生成部7と第2電源ラインL2の接続点と、第2ゼロクロス信号生成部8と第2電源ラインL2の接続点の間に設けられる。故障判断装置1では、スイッチ部11が閉じられ、トライアック9が導通状態とされたとき、異常がない限り(故障がない限り)、第2ゼロクロス信号Z2は、交流電圧の半周期に1度、LowレベルからHighレベルに変化する。スイッチ部11が閉じられた状態、又は、トライアック9が遮断状態のとき、異常がない限り、第2ゼロクロス信号Z2は、Lowレベルで維持される。
【0052】
(故障判断の流れ)
次に、図4を用いて、実施形態に係る故障判断装置1の故障判断の流れを説明する。図4は、実施形態に係る故障判断装置1の故障判断の流れの一例を示すフローチャートである。
【0053】
図4のスタートは、複合機100の主電源ONにより加熱ローラー61を定着制御温度にまで暖めるため(ウォームアップ処理を開始するため)や、省電力モードから通常モードに復帰したために加熱ローラー61を定着制御温度まで再加熱するために、エンジン制御部60がスイッチ部11を閉じた時点である。なお、スタートの時点では、エンジン制御部60は、トライアック9は、遮断(OFF)状態とする。
【0054】
まず、エンジン制御部60は、周期的に(交流電源Pの半周期ごとに)第1ゼロクロス信号Z1が変化しているか否かを確認する(ステップ♯1)。第1ゼロクロス信号生成部7の位置(接続関係)から、スイッチ部11を閉じたとき、スイッチ部11に異常がない限り、第1ゼロクロス信号生成部7は、周期的にHighレベルとLowレベルが変化する第1ゼロクロス信号Z1を生成する。
【0055】
スイッチ部11を閉じたのに第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが周期的に変化していないとき(ステップ♯1のNo)、エンジン制御部60は、スイッチ部11で故障が発生していると判断する(ステップ♯2)。
【0056】
スイッチ部11を閉じていて第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが周期的に変化しているとき(ステップ♯1のYes)、エンジン制御部60は周期的に(交流電源Pの半周期ごとに)第2ゼロクロス信号Z2が変化しているか否かを確認する(ステップ♯3)。
【0057】
トライアック9を導通状態としていないのに、第2ゼロクロス信号Z2が周期的に変化するということは、スイッチ部11を閉じただけで、負荷(ヒーター63)に通電がなされていることになる。つまり、トライアック9はショートしていると見なせる。
【0058】
そこで、スイッチ部11が閉じた状態(第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが周期的に変化している状態)、かつ、トライアック9が遮断状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが周期的に変化しているとき(ステップ♯3のYes)、エンジン制御部60は、ショートモードの故障がトライアック9で発生したと判断する(ステップ♯4)。
【0059】
スイッチ部11が閉じた状態、かつ、トライアック9が遮断状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが周期的に変化していないとき(ステップ♯3のNo)、現時点まで異常はない。そこで、エンジン制御部60は、トライアック9を導通状態(ON状態)とする(ステップ♯5)。
【0060】
そして、エンジン制御部60は、周期的に(交流電源Pの半周期ごとに)第2ゼロクロス信号Z2が変化しているか否かを確認する(ステップ♯6)。
【0061】
スイッチ部11を閉じた状態とし、かつ、トライアック9を導通状態としたとき、第2ゼロクロス信号生成部8の設置位置に基づき(図2参照)、第2ゼロクロス信号Z2は、正常であれば信号レベルが周期的に変化する。トライアック9が導通状態なのに第2ゼロクロス信号Z2が周期的に変化していないということは、第2ゼロクロス信号生成部8が導通していないことになる。つまり、トライアック9はオープン状態であると見なせる。
【0062】
そこで、スイッチ部11が閉じた状態、かつ、トライアック9が導通状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが周期的に変化していないとき(ステップ♯6のNo)、エンジン制御部60は、オープンモードの故障がトライアック9で発生したと判断する(ステップ♯7)。
【0063】
一方、スイッチ部11が閉じた状態、かつ、トライアック9が導通状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが周期的に変化しているとき(ステップ♯6のYes)、エンジン制御部60は、トライアック9を導通状態としてから(ヒーター63への通電を開始してから)所定時間が経過した後、エンジン制御部60は、加熱ローラー61の温度が予め定められた基準温度を超えているか否かを確認する(ステップ♯8)。
【0064】
基準温度は適宜定めることができる。ヒーター63の断線が発生しているとき、加熱ローラー61を昇温させることはできない。そして、加熱ローラー61は室温程度であると検知される。そのため、基準温度は、70°C〜100°Cのような20°C〜30°Cのような室温以上の温度とできる。
【0065】
所定時間は、ヒーター63に通電を開始した後、加熱ローラー61の温度が基準温度にまで上昇するのに必要な時間である。ヒーター63の特性、単位時間あたりの上昇温度を考慮して適宜定めることができる。また、エンジン制御部60は、トライアック9を導通状態とした時点の加熱ローラー61の温度が低いほど、所定時間を長くしてもよい。
【0066】
基準温度を超えているとき(ステップ♯8のYes)、異常は認められないので本フローは終了する(ステップ♯8のYes→エンド)。一方、基準温度を超えていないとき(ステップ♯8のNo)、ヒーター63の断線、又は、一部断線が生じていて、加熱性能が低下しているとみなせる。そこで、基準温度を超えていないとき(ステップ♯8のNo)、エンジン制御部60は、ヒーター63の断線の故障発生と判断する(ステップ♯9)。
【0067】
ステップ♯2、ステップ♯4、ステップ♯7、ステップ♯9のようにエンジン制御部60が故障発生と判断したとき、発生している故障内容を報知部に報知させる(ステップ♯10)。そして、本フローは終了する(エンド)。具体的に、エンジン制御部60は、発生した故障の内容を操作パネル4の表示パネル41(報知部に相当、図1参照)に表示させる。例えば、エンジン制御部60は、「リレーの故障が発生しました」、「トライアック9のショートの故障が発生しました」、「トライアック9のオープンの故障が発生しました」、「ヒーター63の断線が発生しました」、といったメッセージを表示パネル41に表示させる。
【0068】
なお、ネットワークで接続されたコンピューター200に故障の内容のメッセージを送信することにより報知が行われてもよい。この場合、通信部23が報知部として機能する。具体的に、エンジン制御部60は、ネットワークで接続されたコンピューター200に向けて、故障の内容のメッセージを通信部23に送信させる。受信したコンピューター200のディスプレイにメッセージが表示され、使用者は、故障の原因、内容を知ることができる。
【0069】
このようにして、実施形態に係る故障判断装置1は、第1電源ラインL1、第2電源ラインL2、第1ゼロクロス信号生成部7、第2ゼロクロス信号生成部8、交流スイッチング素子(トライアック9)、制御部(エンジン制御部60)を含む。第1電源ラインL1は、交流電源Pの一方の電源端子P1と負荷(ヒーター63)の一端を接続し、負荷に電力を供給するための電源ラインである。第2電源ラインL2は、交流電源Pの他方の電源端子P2と負荷の他端を接続し、負荷に電力を供給するための電源ラインである。第1ゼロクロス信号生成部7は、第1電源ラインL1と第2電源ラインL2に接続され、第1ゼロクロス信号Z1を生成する。第2ゼロクロス信号生成部8は、第1ゼロクロス信号生成部7よりも負荷に近い位置で第1電源ラインL1と第2電源ラインL2に接続され第2ゼロクロス信号Z2を生成する。交流スイッチング素子は、第1ゼロクロス信号生成部7と第2電源ラインL2の接続点Aと、第2ゼロクロス信号生成部8と第2電源ラインL2の接続点Bの間、又は、第1ゼロクロス信号生成部7と第1電源ラインL1の接続点Cと、第2ゼロクロス信号生成部8と第1電源ラインL1の接続点Dの間に設けられ、負荷への電力の供給/遮断を行うためのものである。制御部は、第1ゼロクロス信号Z1と第2ゼロクロス信号Z2が入力され、交流スイッチング素子を制御する。そして、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが変化している状態かつ交流スイッチング素子が遮断状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが変化しているとき、ショートの故障が交流スイッチング素子で発生していると判断する。
【0070】
本実施形態の故障判断装置1では、故障の原因と内容を特定するため、ゼロクロス信号生成部を少なくとも2つ設ける。第1ゼロクロス信号生成部7の設置位置に基づき、交流電源Pからの電圧が入力されている状態のとき、第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルは変化する。また、第2ゼロクロス信号生成部8の設置位置によれば、交流電源Pからの交流電圧が負荷の両端に印加される状態のとき第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルは変化する。これにより、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1により交流電源Pからの電圧入力があるか否かを判定できる。また、制御部は、第2ゼロクロス信号Z2により負荷の両端に交流電圧が印加されているか否かを判定できる。そして、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1と第2ゼロクロス信号Z2に基づき、交流スイッチング素子のON/OFFと関係なく、交流電源Pからの電圧が入力されるだけで負荷に電流が流れる故障(交流スイッチング素子=トライアック9のショートモードでの故障)発生を認識できる。従って、遮断状態となるように交流スイッチング素子を制御しているのに導通状態となる故障を検知することができる。そして、生じた故障の原因、内容を正確に特定することができる。
【0071】
また、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが変化している状態かつ交流スイッチング素子が導通状態で、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが変化していないとき、オープンの故障が交流スイッチング素子で発生していると判断する。これにより、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1と第2ゼロクロス信号Z2に基づき、交流電源Pから負荷への電圧入力がある状態で交流スイッチング素子をONしても負荷に電流が流れない故障(交流スイッチング素子のオープンモードでの故障)の発生を認識できる。従って、導通状態となるように交流スイッチング素子を制御しているのに遮断状態となる故障を検知することもできる。このように、故障原因、内容を正確に特定することができる。
【0072】
また、故障判断装置1(複合機100)では、負荷はヒーター63である。また、画像形成装置は、ヒーター63が熱する加熱対象の温度を検知する温度センサーS1を含む。制御部は、温度センサーS1の出力に基づき加熱対象の温度を認識し、第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが変化している状態であり、また、交流スイッチング素子が導通状態であり、更に、第2ゼロクロス信号Z2の信号レベルが変化している状態であり、ヒーター63への通電開始後、加熱対象の温度が予め定められた基準温度以下のとき、ヒーター63の断線の故障発生と判断する。これにより、制御部は、負荷の両端に交流電圧が印加されている状態なのに、加熱対象の温度が上昇しない故障(ヒーター63の断線故障)の発生を認識できる。このように、ヒーター63断線の故障の原因も正確に特定することができる。
【0073】
また、故障判断装置1は、第1電源ラインL1と第2電源ラインL2の何れか一方に設けられ、交流電源Pと第1ゼロクロス信号生成部7との間に設けられ、負荷に電力供給を行う回路の開閉を行うためのスイッチ部11(リレー)を含む。制御部は、スイッチ部11を閉じた状態としているのに第1ゼロクロス信号Z1の信号レベルが変化しない状態のとき、スイッチ部11で故障が発生していると判断する。これにより、制御部は、第1ゼロクロス信号Z1に基づき、スイッチ部11を閉じた状態となるように制御しているのに、第1ゼロクロス信号生成部7に交流電圧が適切に入力されない故障の発生を認識できる。スイッチ部11での故障発生をも検知することができる。
【0074】
また、故障判断装置1は、故障発生を使用者に報知する報知部(表示パネル41、通信部23)を含む。制御部は、故障が発生していると判断したとき、発生している故障内容を報知部に報知させる。これにより、特定された故障の原因や内容を知らせることができる。従って、使用者やメンテナンス担当者は、故障の原因を容易、迅速に知ることができる。そのため、故障原因特定のための長時間の点検作業、修理作業が不要となる。また、故障原因が特定されているので、的確に故障箇所を修理することができる。
【0075】
また、実施形態ら係る画像形成装置(複合機100)は、上述の故障判断装置1を含む。そのため、機内で生じた故障の原因、内容を迅速、正確に判断することができる画像形成装置を提供することができる。また、故障を迅速、正確に修理することができるので、故障が生じても使用できない状態が短時間ですむ画像形成装置を提供することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、負荷に交流電圧を印加して用いる故障判断装置、画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 複合機(画像形成装置) 1 故障判断装置
11 スイッチ部(リレー) 23 通信部(報知部)
41 表示パネル(報知部) 60 エンジン制御部(制御部)
63 ヒーター(負荷) 7 第1ゼロクロス信号生成部
8 第2ゼロクロス信号生成部
9 トライアック(交流スイッチング素子)
A 接続点 B 接続点
C 接続点 D 接続点
L1 第1電源ライン L2 第2電源ライン
P 交流電源 P1 電源端子
P2 電源端子 S1 温度センサー
Z1 第1ゼロクロス信号 Z2 第2ゼロクロス信号
図1
図2
図3
図4