(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置10の全体構成を示す概略図である。本実施形態に係る画像形成装置10は、コンピュータ等の外部機器から電送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置である。ただし、本実施形態に係る画像形成装置10は、タンデム方式の画像形成装置に限定されるものではなく、電子写真方式を利用した画像形成装置であれば良い。
【0024】
なお、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
【0025】
画像形成装置10は、
図1に示すように、箱型を呈した装置本体11内に内装された、シートPを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙されたシートP上に画像情報に基づくトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部13と、この画像形成部13でシートP上に形成された未定着トナー像をシートPに定着させる定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、装置本体11の上部には、定着部14で定着処理の施されたシートPが排紙される排紙部15が形成されている。
【0026】
装置本体11の上面の適所には、シートPに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種キー等が設けられている。
【0027】
また、装置本体11内には、シートPを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中のシートPが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するようにシート搬送路111が形成されている。シート搬送路111には、シートPを搬送するための搬送ローラー対112が適所に設けられている。
【0028】
給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備えている。給紙トレイ121は、シート搬送路111の入口、
図1においては、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚のシートPが積層されたシート束を収容する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121の上方位置、具体的には、
図1に示す左上方位置に設けられ、給紙トレイ121に収容されたシート束の最上面のシートPを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって取り出されたシートPをシート搬送路111に送り出す。これらの各動作によって、給紙部12は、画像形成部13へ向けてシートPを給紙する。
【0029】
また、給紙部12は、装置本体11の、
図1に示す右側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、シートPを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しでシートPを給紙する際、
図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置されたシートPを取り出す。ピックアップローラー125によって取り出されたシートPは、給紙ローラー対126によって、シート搬送路111に送り出される。これらの各動作によって、給紙部12は、画像形成部13へ向けてシートPを給紙する。
【0030】
画像形成部13は、所定の画像処理によって、給紙部12から給紙されたシートPにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト132(被転写体)と、2次転写ローラー134とを備えている。
【0031】
画像形成ユニット131としては、イエロー(Y)色の現像剤を用いる第1画像形成ユニット131Y、シアン(C)色の現像剤を用いる第2画像形成ユニット131C、マゼンタ(M)色の現像剤を用いる第3画像形成ユニット131M、及びブラック(K)色の現像剤を用いる第4画像形成ユニット131Kが備えられている。各画像形成ユニット131Y、131C、131M、131Kは、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側に向けて(
図1に示す右側から左側に向けて)、第3画像形成ユニット131M、第2画像形成ユニット131C、第1画像形成ユニット131Y、第4画像形成ユニット131Kの順で配置されている。
【0032】
第1画像形成ユニット131Y、第2画像形成ユニット131C、第3画像形成ユニット131M及び第4画像形成ユニット131Kは、それぞれ、感光体ドラム135(像担持体)、1次転写ローラー133(転写部材)、帯電装置21、現像装置23、クリーニング装置24を備えている。また、画像形成部13は、4色の画像形成ユニットで共通に用いられる光走査装置22を備えている。各画像形成ユニット131Y、131C、131M、131Kにおいては、中央位置に感光体ドラム135が配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、1次転写ローラー133による1次転写位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、クリーニング装置24、帯電装置21、現像装置23が各々配置されている。
【0033】
なお、以下の説明において、第1画像形成ユニット131Y、第2画像形成ユニット131C、第3画像形成ユニット131M及び第4画像形成ユニット131Kにそれぞれ備えられる感光体ドラム135及び1次転写ローラー133を特に説明する場合には、第1画像形成ユニット131Yに備えられる感光体ドラム及び1次転写ローラーをそれぞれ「第1感光体ドラム135Y(第1像担持体)」、「第1転写ローラー133Y(第1転写部材)」と称し、第2画像形成ユニット131Cに備えられる感光体ドラム及び1次転写ローラーをそれぞれ「第2感光体ドラム135C(第2像担持体)」、「第2転写ローラー133C(第2転写部材)」と称し、第3画像形成ユニット131Mに備えられる感光体ドラム及び1次転写ローラーをそれぞれ「第3感光体ドラム135M」、「第3転写ローラー133M」と称し、第4画像形成ユニット131Kに備えられる感光体ドラム及び1次転写ローラーをそれぞれ「第4感光体ドラム135K」、「第4転写ローラー133K」と称する。
【0034】
感光体ドラム135は、円筒状の部材であり、静電潜像及びトナー像(現像剤像)を担持する像担持面を有する。感光体ドラム135は、ドラム回転軸を備え、このドラム回転軸の軸回りに回転駆動される。感光体ドラム135としては、特に限定されないが、例えば、有機感光体(OPC)ドラムやアモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラム等が挙げられる。
【0035】
帯電装置21は、感光体ドラム135の周面(像担持面)を略一様に帯電させる。帯電装置21としては、画像形成装置10に備えることができる帯電装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、帯電ローラーを備え、その帯電ローラーに所定の帯電バイアスを印加することによって、感光体ドラム135の周面を帯電させる接触帯電方式の帯電装置や、非接触放電方式のコロトロン型及びスコロトロン型の帯電装置等が挙げられる。
【0036】
光走査装置22は、略一様に帯電された感光体ドラム21の周面に対して画像データに応じたレーザー光又はLED光を照射し、静電潜像を形成する。光走査装置22としては、画像形成装置10に備えられる光走査装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、LEDヘッドユニットやレーザー走査ユニット(LSU)等が挙げられる。
【0037】
現像装置23は、静電潜像を現像して顕在化させるものである。現像装置23としては、画像形成装置10に備えることができる現像装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、現像装置23は、静電潜像が形成された感光体ドラム135の像担持面にトナー(現像剤)を供給する現像ローラーを含む。現像ローラーは、ドラム回転軸に平行に延びるローラー回転軸を備え、このローラー回転軸の軸回りに回転駆動される。現像装置23からのトナー供給によって、感光体ドラム135の像担持面にはトナー像が形成される。
【0038】
クリーニング装置24は、後述の1次転写ローラー133によって、感光体ドラム135上のトナー像が中間転写ベルト132に転写(1次転写)された後、感光体ドラム135上に残存したトナーを除去するためのものである。クリーニング装置24によって、1次転写後に残存したトナーが除去された感光体ドラム135の周面は、新たな画像形成処理のために、帯電装置21による帯電位置へ向かう。また、クリーニング装置24によって、除去された廃トナーは、所定の経路を通って、図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0039】
また、クリーニング装置24によるトナーの除去の前に、不図示の除電装置で、感光体ドラム135の周面を除電するようにしてもよい。そうすることによって、クリーニング装置24によって、1次転写後に感光体ドラム135の周面上に残存したトナーが好適に除去される。
【0040】
中間転写ベルト132は、無端ベルトであり、駆動ローラー136、ベルト支持ローラー137、及びテンションローラー139に架け渡されている。中間転写ベルト132は、第1感光体ドラム135Y、第2感光体ドラム135C、第3感光体ドラム135M及び第4感光体ドラム135Kの各々の像担持面に当接する第1主面(外周面)と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有し、像担持面に担持されたトナー像が第1主面に1次転写される。中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに対向する位置に配される各1次転写ローラー133Y、133C、133M、133Kによって各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに押圧された状態で、駆動ローラー136の回転駆動によって、周回走行するように構成されている。
【0041】
駆動ローラー136は、ステッピングモーター等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を周回走行させるための駆動力を与える。ベルト支持ローラー137、及びテンションローラー139は、回転自在に設けられ、駆動ローラー136による中間転写ベルト132の周回走行に従って従動回転する従動ローラーである。これらの従動ローラーであるベルト支持ローラー137及びテンションローラー139は、駆動ローラー136の主動回転に応じて中間転写ベルト132を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト132を支持する。更に、テンションローラー139は、中間転写ベルト132が弛まないように中間転写ベルト132に対してテンション(張力)を与える。このテンションローラー139は、例えば、ばね(スプリング)体等の付勢部材等によって付勢されることで、中間転写ベルト132の第2主面(内周面)から第1主面(外周面)へ向けて中間転写ベルト132に対して押圧力を加えるようにして前記テンションを発生させる。
【0042】
第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kは、1次転写部を構成し、トナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアス電圧が印加されることによって、第1感光体ドラム135Y、第2感光体ドラム135C、第3感光体ドラム135M及び第4感光体ドラム135Kの各々に担持されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写させる。すなわち、各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに担持されたトナー像は、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kによって、周回走行する中間転写ベルト132の第1主面上に重ね塗り状態で順次1次転写される。
【0043】
第1転写ローラー133Yは、第1感光体ドラム135Yと対向する位置において中間転写ベルト132の第2主面に当接して配置される。第2転写ローラー133Cは、第2感光体ドラム135Cと対向する位置において中間転写ベルト132の第2主面に当接して配置される。第3転写ローラー133Mは、第3感光体ドラム135Mと対向する位置において中間転写ベルト132の第2主面に当接して配置される。第4転写ローラー133Kは、第4感光体ドラム135Kと対向する位置において中間転写ベルト132の第2主面に当接して配置される。なお、1次転写部を構成する各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに関する詳細な構成については、後述する。
【0044】
2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙されたシートPに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラー134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の第1主面(外周面)に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過するシートPに、中間転写ベルト132の第1主面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
【0045】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラー136に対向する位置に配置される。また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の周回走行に従動して回転する。その際、2次転写ローラー134と駆動ローラー136との間で、給紙部12から給紙されたシートPに中間転写ベルト132上のトナー像が2次転写される。これにより、シートP上にトナー像が未定着の状態で転写される。
【0046】
また、画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、ベルトクリーニング装置138が備えられている。ベルトクリーニング装置138は、2次転写後、中間転写ベルト132の第1主面上に残存したトナーを除去して中間転写ベルト132を清浄化するためのものである。ベルトクリーニング装置138によって清浄化処理された中間転写ベルト132の第1主面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。ベルトクリーニング装置138によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0047】
定着部14は、2次転写ローラー134によって2次転写されたシートP上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー141と、加熱ローラー141と対向配置された定着ローラー142と、定着ローラー142と加熱ローラー141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラー142と対向配置された加圧ローラー144とを備えている。
【0048】
定着部14へ供給されたシートPは、定着ベルト143と加圧ローラー144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、2次転写ローラー134によってシートPに2次転写されたトナー像は、シートPに定着される。定着処理の完了したシートPは、定着部14の上部から延設されたシート搬送路111を経由して、排紙ローラー152によって装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0049】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10における、中間転写ベルト132にトナー像を1次転写する1次転写部の構成について、詳細に説明する。画像形成装置10において、高画質の画像を形成するためには、中間転写ベルト132に1次転写されるトナー像にかかる電圧が一定に保たれるように、1次転写部を構成する第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に1次転写バイアス電圧が印加された場合に、中間転写ベルト132に流れる転写電流が一定に保たれる必要がある。ここで、中間転写ベルト132は、長期間の使用による劣化、環境変動などにより抵抗値が変化する。
【0050】
本実施形態に係る画像形成装置10は、高画質の画像を形成すべく中間転写ベルト132に流れる転写電流が一定に保たれるように、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに印加される1次転写バイアス電圧を、中間転写ベルト132の抵抗値の変化に応じて補正することができるように構成されている。
【0051】
本実施形態において、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kは、それぞれ、導電性の芯材に、導電性付与剤を含む表面層が被覆されて成る。
【0052】
芯材としては、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属の部材が挙げられる。また、芯材は、樹脂やセラミックス部材の表面にメッキ処理が施されたものや、導電剤の分散処理が施されたものであっても良い。
【0053】
本実施形態では、表面層は、弾性層からなる。弾性層を構成する弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)等のゴムが挙げられる。
【0054】
表面層を構成する弾性層に含まれる導電性付与剤としては、電子導電剤と、イオン導電剤とが挙げられる。電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金、酸化錫や酸化チタン等の各種導電性金属酸化物などが挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩等の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、ハロゲン化ベンジル塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0055】
本実施形態において、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kは、導電性付与剤として電子導電剤を含む表面層が被覆された構成であることが望ましい。電子導電剤を含む表面層が被覆された構成の各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kは、温湿度変化等の環境変動などによる抵抗値の変化が小さい、という特性を有する。従って、電子導電剤を含む表面層が被覆された構成の各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kを用いることによって、中間転写ベルト132の抵抗値の変化に応じた、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正を、より高精度に行うことが可能となる。
【0056】
図2は、
図1の画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を実行するための構成を示す図である。画像形成装置10は、1次転写バイアス電圧の補正動作を実行するための構成として、電源部16と、総電流検出部17と、制御部18とを備えている。
【0057】
電源部16は、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に、1次転写バイアス電圧を印加するためのものである。電源部16は、第1定電圧電源16Yと、第2定電圧電源16Cと、第3定電圧電源16Mと、第4定電圧電源16Kとを含む。第1定電圧電源16Yは、第1転写ローラー133Yに定電圧の第1転写バイアス電圧を印加する。第2定電圧電源16Cは、第2転写ローラー133Cに定電圧の第2転写バイアス電圧を印加する。第3定電圧電源16Mは、第3転写ローラー133Mに定電圧の第3転写バイアス電圧を印加する。第4定電圧電源16Kは、第4転写ローラー133Kに定電圧の第4転写バイアス電圧を印加する。
【0058】
総電流検出部17は、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に流れる電流の合計値を表す総電流を検出する。
【0059】
制御部18は、画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を制御する。制御部18は、例えば、制御プログラムや各種設定値を記憶するROM(Read Only Memory)並びに一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。制御部18は、第1記憶部181と、第2記憶部182と、電源制御部183と、総電流検出制御部184と、転写バイアス電圧補正部185とを含む。
【0060】
第1記憶部181は、第1転写ローラー133Yに流すべき予め設定された第1設定電流と該第1設定電流に対応した第1設定電圧との組合せと、第2転写ローラー133Cに流すべき予め設定された第2設定電流と該第2設定電流に対応した第2設定電圧との組合せと、第3転写ローラー133Mに流すべき予め設定された第3設定電流と該第3設定電流に対応した第3設定電圧との組合せと、第4転写ローラー133Kに流すべき予め設定された第4設定電流と該第4設定電流に対応した第4設定電圧との組合せと、を記憶する。更に、第1記憶部181は、第1転写ローラー133Yに流れる電流が0μAである場合に対応した第1基準電圧と、第2転写ローラー133Cに流れる電流が0μAである場合に対応した第2基準電圧と、第3転写ローラー133Mに流れる電流が0μAである場合に対応した第3基準電圧と、第4転写ローラー133Kに流れる電流が0μAである場合に対応した第4基準電圧と、を記憶する。
【0061】
第2記憶部182は、所定の試験電圧印加時に求められた、第1転写ローラー133Yに流れる電流に対する、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に流れる電流の比率を表す基準電流比を記憶する。この基準電流比について、
図3を参照して具体的に説明する。
図3は、画像形成装置10の第2記憶部182に記憶される基準電流比を説明するための、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧と電流の関係を示すグラフである。
【0062】
図3に示すように、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける印加電圧と電流とは正比例の関係を示す。
図3において、グラフL1Yは第1転写ローラー133Yにおける印加電圧と電流との関係を示し、グラフL1Cは第2転写ローラー133Cにおける印加電圧と電流との関係を示し、グラフL1Mは第3転写ローラー133Mにおける印加電圧と電流との関係を示し、グラフL1Kは第4転写ローラー133Kにおける印加電圧と電流との関係を示す。
【0063】
所定の試験電圧V1[V]の印加時に第1転写ローラー133Yに流れる電流をA1Y[μA]とし、第2転写ローラー133Cに流れる電流をA1C[μA]とし、第3転写ローラー133Mに流れる電流をA1M[μA]とし、第4転写ローラー133Kに流れる電流をA1K[μA]とする。第2記憶部182には、第2転写ローラー133Cに対応した「A1C/A1Y」で表される第1基準電流比と、第3転写ローラー133Mに対応した「A1M/A1Y」で表される第2基準電流比と、第4転写ローラー133Kに対応した「A1K/A1Y」で表される第3基準電流比と、が記憶されている。
【0064】
本実施形態に係る画像形成装置10は、制御部18を構成する電源制御部183、総電流検出制御部184及び転写バイアス電圧補正部185の制御動作が異なる3つの態様を有する。電源制御部183、総電流検出制御部184及び転写バイアス電圧補正部185の各々の構成について、3つの態様を区別して、以下に説明する。
【0065】
<第1態様に係る画像形成装置>
第1態様に係る画像形成装置10の制御部18における電源制御部183は、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における電圧印加動作を制御する。電源制御部183は、第1定電圧電源16Yによる第1転写ローラー133Yに対する電圧印加動作を制御し、第2定電圧電源16Cによる第2転写ローラー133Cに対する電圧印加動作を制御し、第3定電圧電源16Mによる第3転写ローラー133Mに対する電圧印加動作を制御し、第4定電圧電源16Kによる第4転写ローラー133Kに対する電圧印加動作を制御する。
【0066】
第1態様に係る画像形成装置10において、電源制御部183は、第1記憶部181に記憶された第1基準電圧を第1転写ローラー133Yに印加させるとともに、第1記憶部181に記憶された第2設定電圧、第3設定電圧及び第4設定電圧の各々を第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる第1電圧印加動作を実行させる。また、電源制御部183は、第1記憶部181に記憶された第1設定電圧、第2設定電圧、第3設定電圧及び第4設定電圧の各々を、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる第2電圧印加動作を実行させる。また、電源制御部183は、所定の第1電圧変化値を前記第1設定電圧に加算または減算した電圧(以下、「第1変化電圧」という)を第1転写ローラー133Yに印加させるとともに、第2設定電圧、第3設定電圧及び第4設定電圧の各々を第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる第3電圧印加動作を実行させる。なお、電源制御部183は、前記第3電圧印加動作を実行させる際において、後述の電流変化値算出部185aにより算出される第1総電流差分値が第1記憶部181に記憶された第1設定電流よりも大きな値を示す場合には、前記第1設定電圧から前記第1電圧変化値を減算した第1変化電圧を第1転写ローラー133Yに印加させ、前記第1総電流差分値が前記第1設定電流よりも小さな値を示す場合には、前記第1設定電圧に前記第1電圧変化値を加算した第1変化電圧を第1転写ローラー133Yに印加させる。
【0067】
総電流検出制御部184は、電源制御部183による各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧印加動作の制御中に、総電流検出部17における総電流検出動作を制御する。
【0068】
第1態様に係る画像形成装置10において、総電流検出制御部184は、電源制御部183が第1電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第1総電流を検出させる第1総電流検出動作を実行させる。また、総電流検出制御部184は、電源制御部183が第2電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第2総電流を検出させる第2総電流検出動作を実行させる。また、総電流検出制御部184は、電源制御部183が第3電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第3総電流を検出させる第3総電流検出動作を実行させる。
【0069】
総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるとき、中間転写ベルト132の抵抗値は、初期抵抗値から変化していることになる。ここで、中間転写ベルト132の初期抵抗値とは、第1転写ローラー133Yにおいて第1設定電圧を設定したときの、中間転写ベルト132の抵抗値である。
【0070】
第1態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるときに、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における1次転写バイアス電圧を補正する補正動作を実行する。すなわち、転写バイアス電圧補正部185は、第1転写ローラー133Yにおける補正動作を実行する第1転写バイアス電圧補正部としての機能と、第2転写ローラー133Cにおける補正動作を実行する第2転写バイアス電圧補正部としての機能と、第3転写ローラー133Mにおける補正動作を実行する第3転写バイアス電圧補正部としての機能と、第4転写ローラー133Kにおける補正動作を実行する第4転写バイアス電圧補正部としての機能と、を有する。
【0071】
転写バイアス電圧補正部185は、第1転写ローラー133Yに流れる電流が、第1記憶部181に記憶された前記第1設定電流となるように、第1定電圧電源16Yにより第1転写ローラー133Yに印加される第1転写バイアス電圧を第1設定電圧から補正する。また、転写バイアス電圧補正部185は、第2転写ローラー133Cに流れる電流が、第1記憶部181に記憶された前記第2設定電流となるように、第2定電圧電源16Cにより第2転写ローラー133Cに印加される第2転写バイアス電圧を第2設定電圧から補正する。また、転写バイアス電圧補正部185は、第3転写ローラー133Mに流れる電流が、第1記憶部181に記憶された前記第3設定電流となるように、第3定電圧電源16Mにより第3転写ローラー133Mに印加される第3転写バイアス電圧を第3設定電圧から補正する。また、転写バイアス電圧補正部185は、第4転写ローラー133Kに流れる電流が、第1記憶部181に記憶された前記第4設定電流となるように、第4定電圧電源16Kにより第4転写ローラー133Kに印加される第4転写バイアス電圧を第4設定電圧から補正する。
【0072】
第1態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、電流変化値算出部185aと、電圧補正値算出部185bと、電圧補正実行部185cとを含む。このような転写バイアス電圧補正部185による1次転写バイアス電圧の補正動作について、
図4を参照して説明する。
図4は、画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を説明するための、第1転写ローラー133Yにおける電圧と電流の関係を示すグラフである。
【0073】
電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である第1総電流差分値を算出する。このように算出される第1総電流差分値は、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中において、第1設定電圧V2Yが印加された第1転写ローラー133Yに流れる電流A2aYに相当する。また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第3総電流検出動作の実行中に検出された前記第3総電流との差分である第2総電流差分値を算出する。このように算出される第2総電流差分値は、総電流検出部17による第3総電流検出動作の実行中において、第1電圧変化値ΔV2bYを第1設定電圧V2Yに加算または減算した前記第1変化電圧V2bYが印加された第1転写ローラー133Yに流れる電流A2bYに相当する。そして、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流差分値と前記第2総電流差分値との差分である、第1転写ローラー133Yにおける電流変化量を表す第1電流変化値ΔAYを算出する。
【0074】
電圧補正値算出部185bは、前記第1電流変化値ΔAYと前記第1電圧変化値ΔV2bYとに基づいて、第1転写ローラー133Yにおいて補正すべき第1転写バイアス電圧の補正量を表す第1電圧補正値ΔVYを算出する。また、電圧補正値算出部185bは、第1転写ローラー133Yに対応して算出した前記第1電圧補正値ΔVYと同一の補正値を、第2転写ローラー133Cにおいて補正すべき第2転写バイアス電圧の補正量を表す第2電圧補正値として設定する。また、電圧補正値算出部185bは、前記第1電圧補正値ΔVYと同一の補正値を、第3転写ローラー133Mにおいて補正すべき第3転写バイアス電圧の補正量を表す第3電圧補正値として設定する。また、電圧補正値算出部185bは、前記第1電圧補正値ΔVYと同一の補正値を、第4転写ローラー133Kにおいて補正すべき第4転写バイアス電圧の補正量を表す第4電圧補正値として設定する。
【0075】
電圧補正値算出部185bにおける第1電圧補正値ΔVYの算出方法について、
図4を参照して具体的に説明する。
【0076】
第1転写ローラー133Yにおいて、電流が0μAである場合の第1基準電圧を「V0Y」とし、第1設定電圧を「V2Y」とし、第1設定電流を「A2Y」とし、第1設定電圧の設定時の初期抵抗値を「R2Y」としたとき、中間転写ベルト132の抵抗値が変化する前の第1転写ローラー133Yにおける印加電圧V[V]と電流A[μA]との関係は、
図4のグラフL2Yに対応して、下記式(1)に示されるものとなる。
V=A×R2Y+V0Y ・・・(1)
【0077】
総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流A2Yと異なり、中間転写ベルト132の抵抗値が変化した場合、第1設定電圧V2Yが印加された第1転写ローラー133Yには、前記第1総電流差分値に相当する電流A2aYが流れ、第1変化電圧V2bYが印加された第1転写ローラー133Yには、前記第2総電流差分値に相当する電流A2bYが流れる。
【0078】
電圧補正値算出部185bによって第1転写ローラー133Yにおける第1電圧補正値を算出するに際しては、中間転写ベルト132の抵抗値が変化した場合、第1転写ローラー133Yの抵抗値が見かけ上変化したものとして取り扱うことができる。第1転写ローラー133Yにおいて、中間転写ベルト132の抵抗値の変化に対応した、見かけ上の変化後の抵抗値を「R3Y」としたとき、第1転写ローラー133Yにおける印加電圧V[V]と電流A[μA]との関係は、
図4のグラフL3Yに対応して、下記式(2)に示されるものとなる。
V=A×R3Y+V0Y ・・・(2)
【0079】
電圧補正値算出部185bは、式(2)における抵抗値R3Yを、前記第1電流変化値ΔAYと前記第1電圧変化値ΔV2bYとを用いて、下記式(3)によって算出することができる。
R3Y=ΔV2bY/ΔAY ・・・(3)
【0080】
中間転写ベルト132の抵抗値の変化後の第1転写ローラー133Yに対して、第1設定電流A2Yを流すために印加すべき補正後の電圧(以下、「第1補正電圧」という)を「V3Y」としたとき、電圧補正値算出部185bは、この第1補正電圧V3Yを式(2)及び式(3)に基づいて算出することができる。すなわち、電圧補正値算出部185bは、式(2)において、電流Aとして第1設定電流A2Yを代入し、抵抗値R3Yとして式(3)の(ΔV2bY/ΔAY)を代入することで、第1補正電圧V3Yを算出することができる。
【0081】
そして、電圧補正値算出部185bが算出すべき第1転写ローラー133Yにおける第1電圧補正値を「ΔVY」としたとき、電圧補正値算出部185bは、第1設定電圧V2Yと第1補正電圧V3Yとの差分値として、第1電圧補正値ΔVYを算出することができる。なお、第1補正電圧V3Yは、前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yよりも大きな値を示す場合には、第1設定電圧V2Yから第1電圧補正値ΔVYを減算した値となり、前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yよりも小さな値を示す場合には、第1設定電圧V2Yに第1電圧補正値ΔVYを加算した値となる。
【0082】
上述の如く、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧補正値が、電圧補正値算出部185bによって算出されると、電圧補正実行部185cは、各電圧補正値に基づいて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける転写バイアス電圧の補正を実行する。電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに、設定電圧に電圧補正値を加算または減算した値の電圧(補正電圧)を印加させることで、転写バイアス電圧の補正を実行する。
【0083】
具体的には、前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yよりも大きな値を示す場合に、電圧補正実行部185cは、第1設定電圧V2Yから第1電圧補正値ΔVYを減算した第1補正電圧V3Yを第1転写ローラー133Yに印加させ、第2設定電圧から第2電圧補正値を減算した第2補正電圧を第2転写ローラー133Cに印加させ、第3設定電圧から第3電圧補正値を減算した第3補正電圧を第3転写ローラー133Mに印加させ、第4設定電圧から第4電圧補正値を減算した第4補正電圧を第4転写ローラー133Kに印加させる。また、前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yよりも小さな値を示す場合に、電圧補正実行部185cは、第1設定電圧V2Yに第1電圧補正値ΔVYを加算した第1補正電圧V3Yを第1転写ローラー133Yに印加させ、第2設定電圧に第2電圧補正値を加算した第2補正電圧を第2転写ローラー133Cに印加させ、第3設定電圧に第3電圧補正値を加算した第3補正電圧を第3転写ローラー133Mに印加させ、第4設定電圧に第4電圧補正値を加算した第4補正電圧を第4転写ローラー133Kに印加させる。
【0084】
次に、
図5及び
図6を参照して、第1態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作について説明する。
図5は、画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作のタイミングと電圧補正状態を示す図である。
図5(1)は第1転写ローラー133Yにおける第1転写バイアス電圧の補正動作のタイミングを示し、
図5(2)は第1転写ローラー133Yにおける電圧補正状態を示す。
図5(3)は第2転写ローラー133Cにおける第2転写バイアス電圧の補正動作のタイミングを示し、
図5(4)は第2転写ローラー133Cにおける電圧補正状態を示す。
図5(5)は第3転写ローラー133Mにおける第3転写バイアス電圧の補正動作のタイミングを示し、
図5(6)は第3転写ローラー133Mにおける電圧補正状態を示す。
図5(7)は第4転写ローラー133Kにおける第4転写バイアス電圧の補正動作のタイミングを示し、
図5(8)は第4転写ローラー133Kにおける電圧補正状態を示す。また、
図6は、第1態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を示すフローチャートである。
【0085】
時刻t1において、画像形成部13による画像処理が開始されると、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、第1転写ローラー133Yに第1設定電圧V2Yを印加させ、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cを印加させ、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mを印加させ、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kを印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップs1)。これによって、各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに担持されたトナー像は、中間転写ベルト132に1次転写される。
【0086】
図5においては、時刻t2から時刻t10の間は、1次転写動作の停止期間となる。ここで、1次転写動作の停止期間とは、画像形成部13による画像処理の終了後において1次転写動作が停止されている期間、または、一の1次転写動作とその後続の1次転写動作との間の動作期間を表す。すなわち、1次転写動作の停止期間とは、各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kから中間転写ベルト132にトナー像が1次転写される1次転写期間を除く期間である。
【0087】
時刻t2から時刻t10の間の1次転写動作の停止期間中における時刻t3から時刻t5の間に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第1電圧印加動作を実行させる(ステップs2)。時刻t3から時刻t5の間の、電源制御部183による前記第1電圧印加動作の制御中においては、第1転写ローラー133Yに第1基準電圧V0Yが印加され、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cが印加され、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mが印加され、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kが印加されている。
【0088】
時刻t3から時刻t5の間の、電源制御部183による前記第1電圧印加動作の制御中における時刻t4に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第1総電流検出動作を実行させて、前記第1総電流を検出させる(ステップs3)。
【0089】
次に、時刻t2から時刻t10の間の1次転写動作の停止期間中における時刻t5から時刻t7の間に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第2電圧印加動作を実行させる(ステップs4)。時刻t5から時刻t7の間の、電源制御部183による前記第2電圧印加動作の制御中においては、第1転写ローラー133Yに第1設定電圧V2Yが印加され、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cが印加され、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mが印加され、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kが印加されている。
【0090】
時刻t5から時刻t7の間の、電源制御部183による前記第2電圧印加動作の制御中における時刻t6に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第2総電流検出動作を実行させて、前記第2総電流を検出させる(ステップs5)。このように、総電流検出部17による総電流の検出動作が、1次転写動作の停止期間中に実行されることによって、総電流検出動作の1次転写動作に及ぼす影響を排除することができる。そのため、画像形成装置10は、高画質の画像を形成することができる。
【0091】
総電流検出部17によって前記第1総電流及び前記第2総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値を算出する(ステップs6)。
【0092】
電流変化値算出部185aによって前記第1総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流A2Yと異なるか、または同じであるかを判断する(ステップs7)。前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yと同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0093】
前記第1総電流差分値が第1設定電流A2Yと異なる場合、時刻t2から時刻t10の間の1次転写動作の停止期間中における時刻t7から時刻t9の間に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第3電圧印加動作を実行させる(ステップs8)。時刻t7から時刻t9の間の、電源制御部183による前記第3電圧印加動作の制御中においては、第1転写ローラー133Yに第1変化電圧V2bY(第1設定電圧V2Yに第1電圧変化値ΔV2bYが加算または減算された電圧値)が印加され、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cが印加され、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mが印加され、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kが印加されている。
【0094】
時刻t7から時刻t9の間の、電源制御部183による前記第3電圧印加動作の制御中における時刻t8に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第3総電流検出動作を実行させて、前記第3総電流を検出させる(ステップs9)。このように、総電流検出部17による総電流の検出動作が、1次転写動作の停止期間中に実行されることによって、総電流検出動作の1次転写動作に及ぼす影響を排除することができる。そのため、画像形成装置10は、高画質の画像を形成することができる。
【0095】
総電流検出部17によって前記第3総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第3総電流との差分である前記第2総電流差分値を算出する(ステップs10)。
【0096】
次に、電流変化値算出部185aは、ステップs6において算出した第1総電流差分値と、ステップs10において算出した第2総電流差分値との差分である、前記第1電流変化値ΔAYを算出する(ステップs11)。
【0097】
電流変化値算出部185aによって第1電流変化値ΔAYが算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第1電流変化値ΔAYと前記第1電圧変化値ΔV2bYとに基づいて、第1転写ローラー133Yにおける第1電圧補正値ΔVYを算出する(ステップs12)。
【0098】
次に、電圧補正値算出部185bは、ステップs12において算出した第1電圧補正値ΔVYと同一の補正値を、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における、第2電圧補正値ΔVC、第3電圧補正値ΔVM及び第4電圧補正値ΔVKとして設定する(ステップs13)。
【0099】
電圧補正値算出部185bによって電圧補正値が算出されると、電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって、第1転写ローラー133Yに第1補正電圧V3Yを印加させ、第2転写ローラー133Cに第2補正電圧V3Cを印加させ、第3転写ローラー133Mに第3補正電圧V3Mを印加させ、第4転写ローラー133Kに第4補正電圧V3Kを印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップs14)。
【0100】
上述の如く、第1態様に係る画像形成装置10は、転写バイアス電圧補正部185によって、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kに共通の1つの総電流検出部17による総電流の検出結果に応じて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正を、高精度に行うことが可能となる。従って、中間転写ベルト132の抵抗値が変化する場合であっても、中間転写ベルト132に流れる転写電流が一定に保たれるように、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに印加される転写バイアス電圧を補正することができる。そのため、画像形成装置10は、高画質の画像を形成することができる。
【0101】
また、電源制御部183による前記第1電圧印加動作、前記第2電圧印加動作及び前記第3電圧印加動作の実行中においては、第1転写ローラー133Yに第1基準電圧V0Y、第1設定電圧V2Y及び第1変化電圧V2bYが印加されることに対し、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々には、第1転写ローラー133Yに印加される電圧と同極性の各設定電圧が印加されている。
【0102】
電源制御部183による前記第1電圧印加動作、前記第2電圧印加動作及び前記第3電圧印加動作の実行中において、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に、電圧が印加されない場合や、第1転写ローラー133Yに印加される電圧とは逆極性の電圧が印加される場合には、第1転写ローラー133Yに流れる電流の一部が第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に流れ込んでしまう虞がある。このような場合には、総電流検出部17による総電流の検出精度が低下する。そこで、電源制御部183による前記第1電圧印加動作、前記第2電圧印加動作及び前記第3電圧印加動作の実行中において、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に、第1転写ローラー133Yに印加される電圧と同極性の各設定電圧を印加することによって、第1転写ローラー133Yに流れる電流の一部の流れ込みを防止することができる。
【0103】
<第2態様に係る画像形成装置>
第2態様に係る画像形成装置10の制御部18における電源制御部183は、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における電圧印加動作を制御する。
【0104】
第2態様に係る画像形成装置10において、電源制御部183は、上述の第1態様に係る画像形成装置10における前記第1電圧印加動作、前記第2電圧印加動作及び前記第3電圧印加動作に加えて、第4乃至第9電圧印加動作を、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kに実行させる。
【0105】
第4電圧印加動作は、第1記憶部181に記憶された第2基準電圧を第2転写ローラー133Cに印加させるとともに、第1記憶部181に記憶された第1設定電圧、第3設定電圧及び第4設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる電圧印加動作である。第5電圧印加動作は、所定の第2電圧変化値を前記第2設定電圧に加算または減算した電圧(以下、「第2変化電圧」という)を第2転写ローラー133Cに印加させるとともに、第1設定電圧、第3設定電圧及び第4設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる電圧印加動作である。
【0106】
第6電圧印加動作は、第1記憶部181に記憶された第3基準電圧を第3転写ローラー133Mに印加させるとともに、第1記憶部181に記憶された第1設定電圧、第2設定電圧及び第4設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる電圧印加動作である。第7電圧印加動作は、所定の第3電圧変化値を前記第3設定電圧に加算または減算した電圧(以下、「第3変化電圧」という)を第3転写ローラー133Mに印加させるとともに、第1設定電圧、第2設定電圧及び第4設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C及び第4転写ローラー133Kの各々に印加させる電圧印加動作である。
【0107】
第8電圧印加動作は、第1記憶部181に記憶された第4基準電圧を第4転写ローラー133Kに印加させるとともに、第1記憶部181に記憶された第1設定電圧、第2設定電圧及び第3設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C及び第3転写ローラー133Mの各々に印加させる電圧印加動作である。第9電圧印加動作は、所定の第4電圧変化値を前記第4設定電圧に加算または減算した電圧(以下、「第4変化電圧」という)を第4転写ローラー133Kに印加させるとともに、第1設定電圧、第2設定電圧及び第3設定電圧の各々を第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C及び第3転写ローラー133Mの各々に印加させる電圧印加動作である。
【0108】
総電流検出制御部184は、電源制御部183による各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧印加動作の制御中に、総電流検出部17における総電流検出動作を制御する。
【0109】
第2態様に係る画像形成装置10において、総電流検出制御部184は、上述の第1態様に係る画像形成装置10における前記第1総電流検出動作、前記第2総電流検出動作及び前記第3総電流検出動作に加えて、第4乃至第9総電流検出動作を、総電流検出部17に実行させる。
【0110】
第4総電流検出動作は、電源制御部183が第4電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第4総電流を検出させる総電流検出動作である。第5総電流検出動作は、電源制御部183が第5電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第5総電流を検出させる総電流検出動作である。第6総電流検出動作は、電源制御部183が第6電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第6総電流を検出させる総電流検出動作である。第7総電流検出動作は、電源制御部183が第7電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第7総電流を検出させる総電流検出動作である。第8総電流検出動作は、電源制御部183が第8電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第8総電流を検出させる総電流検出動作である。第9総電流検出動作は、電源制御部183が第9電圧印加動作を実行させる制御中に、総電流検出部17に第9総電流を検出させる総電流検出動作である。
【0111】
第2態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるときに、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における1次転写バイアス電圧を補正する補正動作を実行する。
【0112】
第2態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、電流変化値算出部185aと、電圧補正値算出部185bと、電圧補正実行部185cとを含む。
【0113】
第2態様に係る画像形成装置10において、電流変化値算出部185aは、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様にして、第1転写ローラー133Yにおける電流変化量を表す第1電流変化値を算出する。更に、電流変化値算出部185aは、第2転写ローラー133Cにおける電流変化量を表す第2電流変化値、第3転写ローラー133Mにおける電流変化量を表す第3電流変化値、及び第4転写ローラー133Kにおける電流変化量を表す第4電流変化値を算出する。
【0114】
具体的には、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第4総電流検出動作の実行中に検出された前記第4総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である第3総電流差分値を算出する。このように算出される第3総電流差分値は、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中において、第2設定電圧が印加された第2転写ローラー133Cに流れる電流に相当する。また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第4総電流検出動作の実行中に検出された前記第4総電流と、総電流検出部17による第5総電流検出動作の実行中に検出された前記第5総電流との差分である第4総電流差分値を算出する。このように算出される第4総電流差分値は、総電流検出部17による第5総電流検出動作の実行中において、第2電圧変化値を第2設定電圧に加算または減算した前記第2変化電圧が印加された第2転写ローラー133Cに流れる電流に相当する。そして、電流変化値算出部185aは、前記第3総電流差分値と前記第4総電流差分値との差分である、第2転写ローラー133Yにおける電流変化量を表す第2電流変化値を算出する。
【0115】
また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第6総電流検出動作の実行中に検出された前記第6総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である第5総電流差分値を算出する。このように算出される第5総電流差分値は、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中において、第3設定電圧が印加された第3転写ローラー133Mに流れる電流に相当する。また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第6総電流検出動作の実行中に検出された前記第6総電流と、総電流検出部17による第7総電流検出動作の実行中に検出された前記第7総電流との差分である第6総電流差分値を算出する。このように算出される第6総電流差分値は、総電流検出部17による第7総電流検出動作の実行中において、第3電圧変化値を第3設定電圧に加算または減算した前記第3変化電圧が印加された第3転写ローラー133Mに流れる電流に相当する。そして、電流変化値算出部185aは、前記第5総電流差分値と前記第6総電流差分値との差分である、第3転写ローラー133Mにおける電流変化量を表す第3電流変化値を算出する。
【0116】
また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第8総電流検出動作の実行中に検出された前記第8総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である第7総電流差分値を算出する。このように算出される第7総電流差分値は、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中において、第4設定電圧が印加された第4転写ローラー133Kに流れる電流に相当する。また、電流変化値算出部185aは、総電流検出部17による第8総電流検出動作の実行中に検出された前記第8総電流と、総電流検出部17による第9総電流検出動作の実行中に検出された前記第9総電流との差分である第8総電流差分値を算出する。このように算出される第8総電流差分値は、総電流検出部17による第9総電流検出動作の実行中において、第4電圧変化値を第4設定電圧に加算または減算した前記第4変化電圧が印加された第4転写ローラー133Kに流れる電流に相当する。そして、電流変化値算出部185aは、前記第7総電流差分値と前記第8総電流差分値との差分である、第4転写ローラー133Kにおける電流変化量を表す第4電流変化値を算出する。
【0117】
第2態様に係る画像形成装置10において、電圧補正値算出部185bは、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様にして、前記第1電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて、第1転写ローラー133Yにおいて補正すべき第1転写バイアス電圧の補正量を表す第1電圧補正値を算出する。更に、電圧補正値算出部185bは、第1電圧補正値を算出する場合と同様にして、前記第2電流変化値と前記第2電圧変化値とに基づいて第2転写ローラー133Cにおいて補正すべき第2転写バイアス電圧の補正量を表す第2電圧補正値を算出し、前記第3電流変化値と前記第3電圧変化値とに基づいて第3転写ローラー133Mにおいて補正すべき第3転写バイアス電圧の補正量を表す第3電圧補正値を算出し、前記第4電流変化値と前記第4電圧変化値とに基づいて第4転写ローラー133Kにおいて補正すべき第4転写バイアス電圧の補正量を表す第4電圧補正値を算出する。
【0118】
上述の如く、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧補正値が、電圧補正値算出部185bによって算出されると、電圧補正実行部185cは、各電圧補正値に基づいて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける転写バイアス電圧の補正を実行する。電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに、設定電圧に電圧補正値を加算または減算した値の電圧(補正電圧)を印加させることで、転写バイアス電圧の補正を実行する。
【0119】
次に、
図7A乃至
図7Dを参照して、第2態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作について説明する。
図7A乃至
図7Dは、第2態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を示すフローチャートである。
【0120】
画像形成部13による画像処理が開始されると、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、第1転写ローラー133Yに第1設定電圧V2Yを印加させ、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cを印加させ、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mを印加させ、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kを印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップa1)。これによって、各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに担持されたトナー像は、中間転写ベルト132に1次転写される。
【0121】
1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第1電圧印加動作を実行させる(ステップa2)。電源制御部183による前記第1電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第1総電流検出動作を実行させて、前記第1総電流を検出させる(ステップa3)。
【0122】
次に、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第2電圧印加動作を実行させる(ステップa4)。電源制御部183による前記第2電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第2総電流検出動作を実行させて、前記第2総電流を検出させる(ステップa5)。総電流検出部17によって前記第1総電流及び前記第2総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値を算出する(ステップa6)。電流変化値算出部185aによって前記第1総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるか、または同じであるかを判断する(ステップa7)。前記第1総電流差分値が第1設定電流と同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0123】
前記第1総電流差分値が第1設定電流と異なる場合、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第3電圧印加動作を実行させる(ステップa8)。電源制御部183による前記第3電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第3総電流検出動作を実行させて、前記第3総電流を検出させる(ステップa9)。総電流検出部17によって前記第3総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第3総電流との差分である前記第2総電流差分値を算出する(ステップa10)。次に、電流変化値算出部185aは、ステップa6において算出した第1総電流差分値と、ステップa10において算出した第2総電流差分値との差分である、前記第1電流変化値を算出する(ステップa11)。電流変化値算出部185aによって第1電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第1電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて、第1転写ローラー133Yにおける第1電圧補正値を算出する(ステップa12)。
【0124】
次に、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第4電圧印加動作を実行させる(ステップa13)。電源制御部183による前記第4電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第4総電流検出動作を実行させて、前記第4総電流を検出させる(ステップa14)。総電流検出部17によって前記第4総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第4総電流と前記第2総電流との差分である前記第3総電流差分値を算出する(ステップa15)。電流変化値算出部185aによって前記第3総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第3総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第2設定電流と異なるか、または同じであるかを判断する(ステップa16)。前記第3総電流差分値が第2設定電流と同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、第2転写ローラー133Cにおける1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0125】
前記第3総電流差分値が第2設定電流と異なる場合、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第5電圧印加動作を実行させる(ステップa17)。電源制御部183による前記第5電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第5総電流検出動作を実行させて、前記第5総電流を検出させる(ステップa18)。総電流検出部17によって前記第5総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第4総電流と前記第5総電流との差分である前記第4総電流差分値を算出する(ステップa19)。次に、電流変化値算出部185aは、ステップa15において算出した第3総電流差分値と、ステップa19において算出した第4総電流差分値との差分である、前記第2電流変化値を算出する(ステップa20)。電流変化値算出部185aによって第2電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第2電流変化値と前記第2電圧変化値とに基づいて、第2転写ローラー133Cにおける第2電圧補正値を算出する(ステップa21)。
【0126】
次に、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第6電圧印加動作を実行させる(ステップa22)。電源制御部183による前記第6電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第6総電流検出動作を実行させて、前記第6総電流を検出させる(ステップa23)。総電流検出部17によって前記第6総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第6総電流と前記第2総電流との差分である前記第5総電流差分値を算出する(ステップa24)。電流変化値算出部185aによって前記第5総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第5総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第3設定電流と異なるか、または同じであるかを判断する(ステップa25)。前記第5総電流差分値が第3設定電流と同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、第3転写ローラー133Mにおける1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0127】
前記第5総電流差分値が第3設定電流と異なる場合、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第7電圧印加動作を実行させる(ステップa26)。電源制御部183による前記第7電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第7総電流検出動作を実行させて、前記第7総電流を検出させる(ステップa27)。総電流検出部17によって前記第7総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第6総電流と前記第7総電流との差分である前記第6総電流差分値を算出する(ステップa28)。次に、電流変化値算出部185aは、ステップa24において算出した第5総電流差分値と、ステップa28において算出した第6総電流差分値との差分である、前記第3電流変化値を算出する(ステップa29)。電流変化値算出部185aによって第3電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第3電流変化値と前記第3電圧変化値とに基づいて、第3転写ローラー133Mにおける第3電圧補正値を算出する(ステップa30)。
【0128】
次に、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第8電圧印加動作を実行させる(ステップa31)。電源制御部183による前記第8電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第8総電流検出動作を実行させて、前記第8総電流を検出させる(ステップa32)。総電流検出部17によって前記第8総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第8総電流と前記第2総電流との差分である前記第7総電流差分値を算出する(ステップa33)。電流変化値算出部185aによって前記第7総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第7総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第4設定電流と異なるか、または同じであるかを判断する(ステップa34)。前記第7総電流差分値が第4設定電流と同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、第4転写ローラー133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0129】
前記第7総電流差分値が第4設定電流と異なる場合、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第9電圧印加動作を実行させる(ステップa35)。電源制御部183による前記第9電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第9総電流検出動作を実行させて、前記第9総電流を検出させる(ステップa36)。総電流検出部17によって前記第9総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第8総電流と前記第9総電流との差分である前記第8総電流差分値を算出する(ステップa37)。次に、電流変化値算出部185aは、ステップa33において算出した第7総電流差分値と、ステップa37において算出した第8総電流差分値との差分である、前記第4電流変化値を算出する(ステップa38)。電流変化値算出部185aによって第4電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第4電流変化値と前記第4電圧変化値とに基づいて、第4転写ローラー133Kにおける第4電圧補正値を算出する(ステップa39)。
【0130】
電圧補正値算出部185bによって電圧補正値が算出されると、電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって、第1転写ローラー133Yに第1補正電圧を印加させ、第2転写ローラー133Cに第2補正電圧を印加させ、第3転写ローラー133Mに第3補正電圧を印加させ、第4転写ローラー133Kに第4補正電圧を印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップa40)。
【0131】
上述の如く、第2態様に係る画像形成装置10は、転写バイアス電圧補正部185によって、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kに共通の1つの総電流検出部17による総電流の検出結果に応じて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正を、高精度に行うことが可能となる。従って、中間転写ベルト132の抵抗値が変化する場合であっても、中間転写ベルト132に流れる転写電流が一定に保たれるように、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに印加される転写バイアス電圧を補正することができる。そのため、画像形成装置10は、高画質の画像を形成することができる。
【0132】
<第3態様の画像形成装置>
第3態様に係る画像形成装置10の制御部18における電源制御部183は、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における電圧印加動作を制御する。
【0133】
第3態様に係る画像形成装置10において、電源制御部183は、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様に、前記第1電圧印加動作、前記第2電圧印加動作及び前記第3電圧印加動作を、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kに実行させる。
【0134】
総電流検出制御部184は、電源制御部183による各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧印加動作の制御中に、総電流検出部17における総電流検出動作を制御する。
【0135】
第3態様に係る画像形成装置10において、総電流検出制御部184は、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様に、前記第1総電流検出動作、前記第2総電流検出動作及び前記第3総電流検出動作を、総電流検出部17に実行させる。
【0136】
第3態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、総電流検出部17による第1総電流検出動作の実行中に検出された前記第1総電流と、総電流検出部17による第2総電流検出動作の実行中に検出された前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるときに、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における1次転写バイアス電圧を補正する補正動作を実行する。
【0137】
第3態様に係る画像形成装置10において、転写バイアス電圧補正部185は、電流変化値算出部185aと、電圧補正値算出部185bと、電圧補正実行部185cとを含む。
【0138】
第3態様に係る画像形成装置10において、電流変化値算出部185aは、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様にして、第1転写ローラー133Yにおける電流変化量を表す第1電流変化値を算出する。更に、電流変化値算出部185aは、第1電流変化値に、第2記憶部182に記憶された基準電流比を乗算することで、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kの各々における電流変化量の予測値を表す電流変化値を算出する。
【0139】
具体的には、電流変化値算出部185aは、第2記憶部182に記憶された前記第1基準電流比(A1C/A1Y)を前記第1電流変化値に乗算することで第2転写ローラー133Cにおける電流変化量を表す第2電流変化値を算出する。また、電流変化値算出部185aは、第2記憶部182に記憶された前記第2基準電流比(A1M/A1Y)を前記第1電流変化値に乗算することで第3転写ローラー133Mにおける電流変化量を表す第3電流変化値を算出する。また、電流変化値算出部185aは、第2記憶部182に記憶された前記第3基準電流比(A1K/A1Y)を前記第1電流変化値に乗算することで第4転写ローラー133Kにおける電流変化量を表す第4電流変化値を算出する。
【0140】
第3態様に係る画像形成装置10において、電圧補正値算出部185bは、上述の第1態様に係る画像形成装置10と同様にして、前記第1電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて、第1転写ローラー133Yにおいて補正すべき第1転写バイアス電圧の補正量を表す第1電圧補正値を算出する。更に、電圧補正値算出部185bは、第1電圧補正値を算出する場合と同様にして、前記第2電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第2転写ローラー133Cにおいて補正すべき第2転写バイアス電圧の補正量を表す第2電圧補正値を算出し、前記第3電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第3転写ローラー133Mにおいて補正すべき第3転写バイアス電圧の補正量を表す第3電圧補正値を算出し、前記第4電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第4転写ローラー133Kにおいて補正すべき第4転写バイアス電圧の補正量を表す第4電圧補正値を算出する。
【0141】
上述の如く、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける電圧補正値が、電圧補正値算出部185bによって算出されると、電圧補正実行部185cは、各電圧補正値に基づいて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける転写バイアス電圧の補正を実行する。電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに、設定電圧に電圧補正値を加算または減算した値の電圧(補正電圧)を印加させることで、転写バイアス電圧の補正を実行する。
【0142】
次に、
図8を参照して、第3態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作について説明する。
図8は、第3態様に係る画像形成装置10における1次転写バイアス電圧の補正動作を示すフローチャートである。
【0143】
画像形成部13による画像処理が開始されると、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、第1転写ローラー133Yに第1設定電圧V2Yを印加させ、第2転写ローラー133Cに第2設定電圧V2Cを印加させ、第3転写ローラー133Mに第3設定電圧V2Mを印加させ、第4転写ローラー133Kに第4設定電圧V2Kを印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップb1)。これによって、各感光体ドラム135Y、135C、135M、135Kに担持されたトナー像は、中間転写ベルト132に1次転写される。
【0144】
1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第1電圧印加動作を実行させる(ステップb2)。電源制御部183による前記第1電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第1総電流検出動作を実行させて、前記第1総電流を検出させる(ステップb3)。
【0145】
次に、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第2電圧印加動作を実行させる(ステップb4)。電源制御部183による前記第2電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第2総電流検出動作を実行させて、前記第2総電流を検出させる(ステップb5)。総電流検出部17によって前記第1総電流及び前記第2総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第2総電流との差分である前記第1総電流差分値を算出する(ステップb6)。電流変化値算出部185aによって前記第1総電流差分値が算出されると、転写バイアス電圧補正部185は、前記第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるか、または同じであるかを判断する(ステップb7)。前記第1総電流差分値が第1設定電流と同じであると判断した場合、転写バイアス電圧補正部185は、1次転写バイアス電圧の補正動作を実行しない。
【0146】
前記第1総電流差分値が第1設定電流と異なる場合、1次転写動作の停止期間中に、電源制御部183は、各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kを制御して、前記第3電圧印加動作を実行させる(ステップb8)。電源制御部183による前記第3電圧印加動作の制御中に、総電流検出制御部184は、総電流検出部17を制御して、前記第3総電流検出動作を実行させて、前記第3総電流を検出させる(ステップb9)。総電流検出部17によって前記第3総電流が検出されると、電流変化値算出部185aは、前記第1総電流と前記第3総電流との差分である前記第2総電流差分値を算出する(ステップb10)。次に、電流変化値算出部185aは、ステップb6において算出した第1総電流差分値と、ステップb10において算出した第2総電流差分値との差分である、前記第1電流変化値を算出する(ステップb11)。電流変化値算出部185aによって第1電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第1電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて、第1転写ローラー133Yにおける第1電圧補正値を算出する(ステップb12)。
【0147】
次に、電流変化値算出部185aは、ステップb11において算出した前記第1電流変化値に、第2記憶部182に記憶された基準電流比を乗算することで、第2転写ローラー133Cにおける第2電流変化値、第3転写ローラー133Mにおける第3電流変化値、及び第4転写ローラー133Kにおける第4電流変化値を算出する(ステップb13)。電流変化値算出部185aによって第2電流変化値、第3電流変化値及び第4電流変化値が算出されると、電圧補正値算出部185bは、前記第2電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第2転写ローラー133Cにおける第2電圧補正値と、前記第3電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第3転写ローラー133Mにおける第3電圧補正値と、前記第4電流変化値と前記第1電圧変化値とに基づいて第4転写ローラー133Kにおける第4電圧補正値と、を算出する(ステップb14)。
【0148】
電圧補正値算出部185bによって電圧補正値が算出されると、電圧補正実行部185cは、電源制御部183に制御された各定電圧電源16Y、16C、16M、16Kによって、第1転写ローラー133Yに第1補正電圧を印加させ、第2転写ローラー133Cに第2補正電圧を印加させ、第3転写ローラー133Mに第3補正電圧を印加させ、第4転写ローラー133Kに第4補正電圧を印加させて、1次転写動作を実行させる(ステップb15)。
【0149】
上述の如く、第3態様に係る画像形成装置10は、転写バイアス電圧補正部185によって、第1転写ローラー133Y、第2転写ローラー133C、第3転写ローラー133M及び第4転写ローラー133Kに共通の1つの総電流検出部17による総電流の検出結果に応じて、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正を、高精度に行うことが可能となる。従って、中間転写ベルト132の抵抗値が変化する場合であっても、中間転写ベルト132に流れる転写電流が一定に保たれるように、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに印加される転写バイアス電圧を補正することができる。そのため、画像形成装置10は、高画質の画像を形成することができる。
【0150】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置10について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
【0151】
(1)上記の実施形態では、電圧補正値算出部185bによって電圧補正値が算出された後、電圧補正実行部185cによって転写バイアス電圧の補正動作が実行される構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。電圧補正値算出部185bによって電圧補正値が算出された後、その算出された電圧補正値に基づく補正電圧が各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに印加された状態で、総電流検出部17によって総電流を検出するように構成しても良い。そして、総電流検出部17による補正後の検出総電流に基づく第1総電流差分値が、第1記憶部181に記憶された第1設定電流と異なるか否かを判断し、第1層電流差分値が第1設定電流と異なる場合に、転写バイアス電圧補正部185による転写バイアス電圧の補正動作を繰り返す構成とすれば良い。この構成によって、各転写ローラー133Y、133C、133M、133Kにおける1次転写バイアス電圧の補正を、より高精度に行うことが可能となる。
【0152】
(2)上記の実施形態では、1つの総電流検出部17によって、4色分の転写ローラー133Y、133C、133M、133Kの総電流が検出される構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つの総電流検出部を備える構成とし、一の総電流検出部によって2色分の転写ローラーの総電流を検出し、他の総電流検出部によって残りの2色分の転写ローラーの総電流を検出する構成としても良い。そして、一の総電流検出部による検出総電流と、他の総電流検出部による検出総電流とに基づいて、転写バイアス電圧補正部185による転写バイアス電圧の補正動作を行う構成とすれば良い。この構成によって、4色分の転写ローラー133Y、133C、133M、133Kに対する、1つの総電流検出部による総電流の検出動作に要する時間を短縮することができる。