特許第6380480号(P6380480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380480
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】視界制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/02 20060101AFI20180820BHJP
   B60J 3/00 20060101ALI20180820BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B60J1/02 Z
   B60J3/00 A
   B60K35/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-145885(P2016-145885)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-16117(P2018-16117A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】武田 雄策
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 耕二
(72)【発明者】
【氏名】原 利宏
(72)【発明者】
【氏名】岸 篤秀
(72)【発明者】
【氏名】西川 一男
(72)【発明者】
【氏名】農沢 隆秀
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−037201(JP,A)
【文献】 特開2012−247847(JP,A)
【文献】 特開2016−088187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/02
B60J 3/00
B60R 11/02 − 11/04
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視界領域の外縁が枠体によって規定されてなる視界制御装置であって、
前記視界領域のうち前記枠体に沿う部分となる周縁部での視認性を変更する視界変更手段と、
前記視界領域におけるサリエンシーを検出するサリエンシー検出手段と、
前記サリエンシー検出手段によって検出されたサリエンシーに基づいて、前記視界変更手段を制御する視界制御手段と、
前記視界領域を介して周辺状況を目視する視認者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記視界領域中において視認者が視認すべき視認対象物を検出する視認対象物検出手段と、を備え、
前記視界変更手段が、視界を制限するものとされ、
前記視界制御手段は、前記視認対象物検出手段によって検出された視認対象物の方向に、前記視線方向検出手段で検出された視線方向が向いていないときには、前記視界変更手段が視界を制限し、該視認対象物検出手段によって検出された視認対象物の方向に、該視線方向検出手段で検出された視線方向が向いているときには、前記視界変更手段が視界を制限しないように設定され、
しかも、前記視界領域が、移動物体におけるフロントウインドガラスとされている、
ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記視界変更手段が、少なくとも前記視界領域の左右縁部の視界を制限するようにされている、ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記視界変更手段が、前記視界領域の上縁部と下縁部との少なくとも一方の視界を制限するようにされている、ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記視界制御手段は、前記サリエンシー検出手段によって検出されるサリエンシーが視認対象物でないときに、該視認対象物でないサリエンシーが存在する特定部位についてのみ視界制限を行うように制御する、ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、市街地走行時には、前記視界領域のうち左右側方の下縁部を視界制限して、視界制限されていない視界領域が逆台形形状となるように制御する、ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、高速道路走行時には、前記視界領域のうち左右側方の縁部を上下方向全長に渡って視界制限して、視界制限されていない視界領域が長方形状となるように制御する、ことを特徴とする視界制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、交差点付近または車線変更時には、視界制限を実行しない、ことを特徴とする視界制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視界制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者は、フロントウインドガラスを通して車外状況を確認しつつ運転を行うことになる。特許文献1には、フロントウインドガラスの窓枠形状を視覚的に変更できるようにしたものが開示されている。すなわち、特許文献1には、フロントウインドガラスの周縁部に、液晶等を利用して視界制限の有無を変更可能な視界変更領域を設定して、例えば車両の走行状態、道路状態、車両周辺状態に応じて部分的に視界制限して、フロントウインドガラスの窓枠形状を視覚的に変更できるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−37201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人間がある状況を目視した際に、サリエンシーと呼ばれる視覚特徴量が大きい(サリエンシーが高い)と、その特定部位に視線誘導されやすいものとなる。サリエンシーは、色、輝度、エッジの傾き、動きなどにより刻一刻と変化する顕著性からなる視覚特徴量である。すなわち、車両の運転者がフロントウインドガラスを通して前方状況を目視した際に、サリエンシーの高い方向へと自然発生的に(無意識のうちに)視線誘導されやすいものとなる。
【0005】
一方、サリエンシーの中には、視認対象物としては不必要なものも多々存在する。例えば、車両の走行中に、道路脇にある点灯している看板や、街灯、郵便ポスト等については、運転に際して特に注意を払う必要のない物となる。この一方、サリエンシーの中には、例えば、ブレーキランプが点灯された先行車両、赤色表示とされている前方の信号機、自車両の走行路に立ち入るように移動する歩行者等については、特に注意を払うべき視認対象物となる。
【0006】
上記のように、例えばフロントウインドガラス等の視界領域を通して目視される周辺状況中でのサリエンシーには、注視すべき視認対象物と視認不要のものとが混在しているのが実情である。このため、視認不要なサリエンシーに視線誘導されてしまって、視認対象物への注意がおろそかになってしまう、という事態を生じやすいというのが実情である。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、注視すべき視認対象物以外のものに対して不必要に視線誘導されてしまう事態を防止あるいは抑制できるようにした視界制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
視界領域の外縁が枠体によって規定されてなる視界制御装置であって、
前記視界領域のうち前記枠体に沿う部分となる周縁部での視認性を変更する視界変更手段と、
前記視界領域におけるサリエンシーを検出するサリエンシー検出手段と、
前記サリエンシー検出手段によって検出されたサリエンシーに基づいて、前記視界変更手段を制御する視界制御手段と、
前記視界領域を介して周辺状況を目視する視認者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記視界領域中において視認者が視認すべき視認対象物を検出する視認対象物検出手段と、を備え、
前記視界変更手段が、視界を制限するものとされ、
前記視界制御手段は、前記視認対象物検出手段によって検出された視認対象物の方向に、前記視線方向検出手段で検出された視線方向が向いていないときには、前記視界変更手段が視界を制限し、該視認対象物検出手段によって検出された視認対象物の方向に、該視線方向検出手段で検出された視線方向が向いているときには、前記視界変更手段が視界を制限しないように設定され、
しかも、前記視界領域が、移動物体におけるフロントウインドガラスとされている、
ようにしてある。
【0009】
上記解決手法によれば、運転者はサリエンシーに視線誘導されやすいことから、このサリエンシーに基づいて視界変更手段を制御することにより、運転者の視線を注視すべき視認対象物(の方向)に向けて穏やかに視線誘導することができる。
【0010】
また、前記視界変更手段が、視界を制限するものとされていることから、この場合、運転者の視線を、視界制限部位については誘導されにくくして、視界制限されていない領域に向けて視線案内(穏やかな視線誘導)させることができる。
さらに、前記視界領域が、移動物体におけるフロントウインドガラスとされていることから、この場合、広い視界領域を有すると共に直接視界となるフロントウインドガラスは、移動物体の操作者にとって視認不要なサリエンシーが出現する頻度が高いものとなるが、操作者が視認不要なサリエンシーに向けて視線誘導されてしまう事態を防止あるいは抑制することができる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記視界変更手段が、少なくとも前記視界領域の左右縁部の視界を制限するようにされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、道路脇に存在する視認不要なサリエンシーに向けて不必要に視線誘導されてしまう事態を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記視界変更手段が、前記視界領域の上縁部と下縁部との少なくとも一方の視界を制限するようにされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、遠方あるいは直近位置にある視認不要なサリエンシーに向けて不必要に視線誘導されてしまう事態を防止あるは抑制する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記視界制御手段は、前記サリエンシー検出手段によって検出されるサリエンシーが視認対象物でないときに、該視認対象物でないサリエンシーが存在する特定部位についてのみ視界制限を行うように制御する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、視界制限を極力行わないようにしつつ、視認不要なサリエンシーに向けて不必要に視線誘導されてしまう事態を防止あるは抑制する上で好ましいものとなる。
【0014】
【0015】
【0016】
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、市街地走行時には、前記視界領域のうち左右側方の下縁部を視界制限して、視界制限されていない視界領域が逆台形形状となるように制御する、ようにしてある(請求項対応)。この場合、自車両の左右近くに存在する不要なサリエンシーについて視覚制限しつつ、やや遠方については歩行者の飛び出や二輪車等の存在に備えて視界を十分に確保する上で好ましいものとなる。
【0017】
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、高速道路走行時には、前記視界領域のうち左右側方の縁部を上下方向全長に渡って視界制限して、視界制限されていない視界領域が長方形状となるように制御する、ようにしてある(請求項対応)。この場合、走行路の左右に存在する照明灯等について視覚制限しつつ、先行車両や対向車両を考慮して視界を十分に確保する上で好ましいものとなる。
【0018】
前記移動物体が、道路を走行する車両とされ、
前記視界制御手段は、交差点付近または車線変更時には、視界制限を実行しない、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、周囲の広い範囲に渡って安全確認が要求される交差点付近または車線変更時において、視界を広く確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、注視すべき視認対象物以外のものに対して不必要に視線誘導されてしまう事態を防止あるいは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】視界領域としてのフロントウインドガラス部分を示す図。
図2】フロントウインドガラスに対する視界制限可能範囲を示す図。
図3】視界制限した例を示す図。
図4】視界制限した別の例を示す図。
図5】本発明の制御系統例を示す図。
図6】本発明の制御例を示すフローチャート。
図7図6におけるQ8の詳細を示すフローチャート。
図8】後方視界を表示するディスプレイでの視界制限例を示す図。
図9図8の状態から視界制限範囲を変更した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、1は車両としての自動車のフロントウインドガラスである。フロントウインドガラス1の外縁つまり窓枠形状が、左右一対のフロントピラー2とルーフ3とインストルメントパネル4とによって規定されている。図1中、5はバックミラー、6はサイドミラー、7はナビゲーション装置用のディスプレイである。ディスプレイ7は、通常時は地図情報を表示しているが、後退ギアが選択されたときには、自動的に後方視界を映し出すようになっている(後方カメラにより撮像された画像の表示)。また、バックミラー5、サイドミラー6等の間接視界を映し出すものは、実施形態では鏡を用いてあるが、カメラによって撮像された映像を映し出す電子表示式のもの(つまりディスプレイ)であってもよい。
【0022】
図2に示すように、フロントウインドガラス1には、その全周縁部において、視界制限が可能な視界制限領域S11が設定されている。この視界制限領域S11は、特許文献1に開示されているように、液晶フィルムを用いたり、プロジェクションマッピングを用いることに構成されて、この視界制限領域S11の任意の部分について視界制限することが可能となっている。視界制限領域S11による視界制限は、完全に視界を遮断する透視率0%の状態から透視率100%の範囲でもって適宜設定することができ、視界制限しない通常時は透視率100%とされる。
【0023】
図3は、視界制限領域S11を制御して、フロントウインドガラス1の左右縁部について視界制限部位HR1、HL1を形成した状態を示す。図3では、視界制限部位HR1、HL1は、下方にいくほど車幅方向内側に位置するように設定されて、フロントウインドガラス1の視界領域が、実質的に逆台形形状となるようにされる。
【0024】
図3のような設定は、市街地走行において好ましい設定となる。すなわち、市街地走行では、道路脇に店舗や店頭式看板等、運転者にとって視認対象物とならない不要なサリエンシーが多く存在することから、フロントウインドガラス1の左右幅を狭めて、不要なサリエンシーに視線誘導されにくくしてある。特に、フロントウインドガラス1の実質的な視界領域を逆台形形状とすることにより、自車両の近くに存在する不要なサリエンシーについて視覚制限しつつ、やや遠方については歩行者の飛び出や二輪車等の存在に備えて視界を十分に確保するようになっている。なお、図3では、左右の各縁部に視界制限部位HR1、HL1を形成した場合を示してあるが、右方側にのみ不要なサリエンシーが存在する場合は、視界制限部位HR1のみを形成することもできる(視界制限部位HL1の形成なし)。逆に、左方側にのみ不要なサリエンシーが存在する場合は、視界制限部位HL1のみを形成することもできる(視界制限部位HR1の形成なし)。
【0025】
図4は、視界制限領域S11を制御して、フロントウインドガラス1の左右縁部について視界制限部位HR2、HL2を形成した状態を示す。図4では、視界制限部位HR2、HL2は、上方にいくほど車幅方向内側に位置するように設定されて、フロントウインドガラス1の視界領域が、実質的に長方形状となるようにされる。
【0026】
図4のような設定は、高速道路(自動車専用道路を含む)において好ましい設定となる。すなわち、高速道路では、走行路に沿って道路を照らす照明灯が数多く設置されていることが多いが、この照明灯は運転者にとって視認対象物とならない不要なサリエンシーとなる。このため、フロントウインドガラス1の左右幅を狭めて、不要なサリエンシーに視線誘導されにくくしてある。特に、フロントウインドガラス1の実質的な視界領域を長方形形状とすることにより、左右に存在する照明灯について視覚制限しつつ、遠方については先行車両や対向車両を考慮して視界を十分に確保するようになっている。なお、高速動道路では、視界領域の左右幅を狭めても、歩行者や他車両の側方からの飛び出しが無いことから、特に問題はないものである。図4では、左右の各縁部に視界制限部位HR2、HL2を形成した場合を示してあるが、右方側にのみ不要なサリエンシーが存在する場合は、視界制限部位HR2のみを形成することもできる(視界制限部位HL2の形成なし)。逆に、左方側にのみ不要なサリエンシーが存在する場合は、視界制限部位HL2のみを形成することもできる(視界制限部位HR2の形成なし)。
【0027】
図5は、視界制限領域S11による視界制限を制御する制御系統例が示される。この図5において、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。この制御ユニットUには、各種センサあるいは機器類S1〜S5からの信号が入力される。S1は、車速を検出する車速センサである。S2は舵角を検出する舵角センサである。S3は、ナビゲーション装置であり、自車位置情報(GPS機能)と地図情報とが取得される。S4は、アイカメラであり、例えばルーフ3の前端部に設けられて、運転者の視線方向を検出するものとなっている。S5は、自車両前方の状況を撮像する車外カメラであり、この車外カメラS5により撮像された画像中におけるサリエンシーを検出するためのものとなっている。
【0028】
コントローラUは、前述した視界制限領域S11(を構成する液晶等)を制御する他、スピーカS12を制御する。スピーカS12は、注視すべき視認対象物を運転者が視認していないときに、音声により警報を行うためのものとなっている。
【0029】
コントローラUは、2種類のデータベースD1、D2を有している。各データベースD1、D2は、それぞれ大容量のフラッシュメモリやハードディスクによって構成されている。データベースD1には、サリエンシーのうち、運転者が注視すべき視認対象物について数多くのデータを記憶している。例えば、先行車両のブレーキランプ、信号機の表示、特に点灯式の道路標識、対向車両、二輪車、歩行者等について、視認対象物として記憶されている。
【0030】
一方、データベースD2には、視認対象物とはならないサリエンシーについて数多く記憶されている。運転者による視認対象物とはならないサリエンシーとしては、例えば、道路脇の点灯式の看板、街灯、照明灯、建物の窓明かり、街路樹、太陽、月、星等々について、視認不要なサリエンシーとして記憶されている。コントローラUは、車外カメラS5により撮像された画像中から、サリエンシーを抽出して、抽出したサリエンシーをデータベースD1、D2に照合して、運転者が注視すべき視認対象物と視認不要な対象物とに区分けする。そして、この区分けに応じて、視認不要な対象物が視界制限領域S11内に存在するときは、少なくともこの視認不要な対象物の存在する部分について視界制限するように制御する。なお、データベースD1、D2での記憶は、各種の走行シーン(例えば直進走行、旋回走行、市街地走行、高速道路走行等々)毎に場合分けして行われている。
次に、コントローラUによる視界制限に関する制御例について、図6図7のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、図6のQ1において、各種センサあるいは機器類S1〜S5からの信号が入力される。この後Q2において、アイカメラS4での検出結果に基づいて、運転者の視線方向が演算される。
【0031】
Q2の後、Q3において、サリエンシーが演算される。このQ3での処理は、前述したように、車外カメラS5で撮像された画像中のサリエンシーについて、運転者が注視すべき視認対象物と視認不要な対象物とに区分けする処理となる。そして、特に視認不要なサリエンシーの位置(フロントウインドガラス1の視界領域における位置)も決定される。
【0032】
Q3の後、Q4において、走行シーンが判定される。このQ4で処理は、自車両の現在の走行状況を判定するもので、例えば、市街地走行、高速道路走行、交差点付近での走行、車線変更時直進走行、カーブ走行、これらの各シーンの組み合わせ走行等が判定される。なお、上記走行シーンの判定に際しては、既知の適宜の手法により行うことができ、図5では図示略のセンサやスイッチ等の作動状況をも加味して判定することができる(例えば車線変更時であるか否かは、図示を略すウインカスイッチの作動状況に応じて判定する等)。
【0033】
Q4の後、Q5において、運転者が注視すべき視線方向が演算される。このQ5で処理は、Q3での処理により取得された運転者が注視すべき視認対象物の方向を設定する処理となる。視線誘導される方向は、視認対象物が複数存在する場合は、複数方向となる場合もある。
【0034】
Q5の後、Q6において、Q2で演算された運転者の視線方向が、Q5で演算された注視すべき視線方向とほぼ一致しているか否かが判別される。このQ6の判別でYESのときは、運転者の視認状況に問題がないときであるとして、Q1に戻る(視界制限なし)。
【0035】
Q6の判別でNOのときは、Q7において、交差点付近あるいは車線変更時であるか否かが判別される。このQ7の判別でYESのときは、極力広く視界を確保するという観点から、Q1に戻る(視界制限なし)。
【0036】
Q7の判別でNOときは、Q8において、後述するように視界制限のための制御が実行される。このQ8の詳細が、図7に示される。すなわち、図7のQ11において、現在高速道路を走行中であるか否かが判別される。このQ11の判別でYESのときは、Q12において、図4で示すように視界制限が行われる。なお、このQ12のでの視界制限は、フロントウインドガラス1の左右縁部の少なくとも一方に運転者にとって視認不要な対象物が存在するときに行われる。
【0037】
前記Q11の判別でNOのとき、あるいはQ12の後は、Q13において、市街地走行時であるか否かが判別される。このQ13の判別でYESのときは、Q14において、図3に示すような視界制限が行われる。なお、このQ14のでの視界制限は、フロントウインドガラス1の左右縁部の少なくとも一方に運転者にとって視認不要な対象物が存在するときに行われる。なお、視界制限する場合に、運転者の視線方向が、特に注視すべき視認対象物から大きくずれているときは、スピーカS12から警報音を発生させることができる。
【0038】
ここで、図示を略すが、フロントウインドガラス1の上縁部に視認不要なサリエンシーが存在する場合(例えば月明かりや星明かり等の明るい天体や、遠方あるいは高い位置にある建物の照明等)は、フロントウインドガラス1の上縁部について視界制限を行うことができる。また、例えば、フロントウインドガラス1の下縁部に視認不要なサリエンシーが存在する場合(例えばボンネットからの反射光等)は、フロントウインドガラス1の下縁部について視界制限を行うことができる。
【0039】
図8図9は、変速機が後退段に選択されたときに、ディスプレイ7に映し出される後方視界(後方カメラで撮像された画像となる間接視界)について、視界制限を行う場合の例が示される。すなわち、図8では、後退しつつ車止め21に向けて後退走行しているときに、自車両が車止め21から遠い場合を示してある。この場合は、遠くに位置する車止め21を注視すべき方向とするべく、自車両の近くに侵入不要なサリエンシーが存在する場合に、ディスプレイ7の下縁部を視界制限するようにしてある(視界制限部位がハッチングを付した符号HB部分とされる)。
【0040】
上記車止め21に接近すると、近くに位置する車止め21を注視すべき方向とするべく、自車両の遠くに視認不要なサリエンシーが存在する場合に、ディスプレイ7の上縁部を視界制限するようにしてある(視界制限部位が、ハッチングを付した符号HUで示される)。なお、電子式の表示面となるディスプレイにおいては、その一部について画像を表示しないだけで容易に視界制限することができる。
【0041】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。視界制限される部位の透過率を、視認不要と判断されたサリエンシーの強度(視覚的顕著性の強さ)に応じて変更するようにしてもよい(サリエンシーの強度が高いほど透過率を低くして視界制限のレベルを高くする)。視認不要とされたサリエンシーの位置に対応部位のみを視界制限することもできる。バックミラー5、サイドミラー6等の間接視界についても同様に視界制限の制御を行うことができる。車両(自動車)以外の各種の乗物(航空機、船舶、列車等)についても同様に適用でき、また乗物以外に、例えば定位置でもって目視によって監視するときの視界領域についても同様に適用できる。実施形態では、視認不要なサリエンシーが存在する部位について視界制限するようにしたが、これとは逆に、フロントウインドガラス等の視界領域の周縁部のサリエンシーを変更可能として(例えば液晶の点灯表示等により輝度を高める)、視線誘導すべき方向の部位についてのサリエンシーを高めるようにしてもよい。検出されたサリエンシーが、レーダ等によって遠方に存在することが確認されて特に注視すべき必要性のないものは、視認不要なサリエンシーとする(分類する)ことができる(視認対象物であるか否かを、サリエンシーまでの距離を加味した判定)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、不要なものに視線誘導されてしまう事態を防止して、注視すべき視認対象物に向けて視線誘導する上で好ましいものとなる。
【符号の説明】
【0043】
1:フロントウインドガラス(視界領域)
2:フロントピラー
3:ルーフ
4:インストルメントパネル
5:バックミラー
6:サイドミラー
7:ディスプレイ(視界領域)
U:コントローラ
S1:車速センサ
S2:舵角センサ
S3:ナビゲーション装置
S4:アイカメラ
S5:車外カメラ(サリエンシー検出用)
S11:視界制限領域(液晶)
S12:スピーカ(警報用)
D1:データベース(視認対象物となるサリエンシーを記憶)
D2:データベース(視認不要なサリエンシーを記憶)
HR1:(視界制限している部位)
HL1:(視界制限している部位)
HR2:(視界制限している部位)
HL2:(視界制限している部位)
HB:(視界制限している部位)
HU:(視界制限している部位)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9