特許第6380561号(P6380561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380561
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20180820BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/48 G
   H01L23/28 B
   H01L23/28 A
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-573313(P2016-573313)
(86)(22)【出願日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2016052463
(87)【国際公開番号】WO2016125674
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-18880(P2015-18880)
(32)【優先日】2015年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】守屋 要一
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】森下 康伸
【審査官】 多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/005181(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/157069(WO,A1)
【文献】 特開2011−029402(JP,A)
【文献】 特開2014−220424(JP,A)
【文献】 特開2006−148000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、複数の半導体スイッチング素子と、複数のリード端子と、複数の絶縁基材とが、封止樹脂に封止された半導体モジュールであって、
前記リード端子は、前記絶縁基材に固定された内部配線リード端子と、封止樹脂から外部に導出された外部導出リード端子と、を備え、
前記内部配線リード端子が固定された前記絶縁基材は、上下方向に間隔を開けて、少なくとも3層に分けて配置され、
前記半導体スイッチング素子の電極は、前記内部配線リード端子に、直接または間接に接合されるか、あるいは、ワイヤーボンディングにより接続され、
各前記外部導出リード端子は、一端が、前記絶縁基材に固定された前記内部配線リード端子に接合され、他端が、前記封止樹脂から導出され、
前記外部導出リード端子の少なくとも一部のものは、それぞれ、複数の屈曲部を有し、
全ての前記外部導出リード端子は、前記封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出され
少なくとも3層に分けて配置された、前記内部配線リード端子が固定された前記絶縁基材のうち、中間の層に配置されたものに、両主面間を貫通した開口が形成されている半導体モジュール。
【請求項2】
前記封止樹脂および前記外部導出リード端子を平面視した場合に、前記外部導出リード端子と前記外部導出リード端子との間の間隔のうち、少なくとも一部の間隔が、前記封止樹脂から前記外部導出リード端子の前記他端の先端方向に向かって、平面方向に広がっている、請求項1に記載された半導体モジュール。
【請求項3】
前記封止樹脂に、さらに受動部品が封止されている、請求項1または2に記載された半導体モジュール。
【請求項4】
前記半導体スイッチング素子の電極が、金属ブロックを介して、前記内部配線リード端子に接合されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された半導体モジュール。
【請求項5】
全ての前記外部導出リード端子が、前記封止樹脂の外部で、同一方向に屈曲されている、請求項1ないしのいずれか1項に記載された半導体モジュール。
【請求項6】
前記絶縁基材がセラミックスからなり、前記リード端子が、少なくとも、前記セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金を介して、前記絶縁基に固定された、請求項1ないしのいずれか1項に記載された半導体モジュール。
【請求項7】
前記半導体モジュールがインバータである、請求項1ないしのいずれか1項に記載された半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに関し、さらに詳しくは、外部導出リード端子が封止樹脂の側面から外部に導出された半導体モジュールに関する。
【0002】
また、本発明は、半導体モジュールの製造方法に関し、さらに詳しくは、外部導出リード端子が封止樹脂の側面から外部に導出された半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インバータ等の半導体モジュールが、車載機器、産業用機器等の電源に使用されている。
【0004】
半導体モジュールは、特許文献1(特開2014−183078号公報)に開示されるように、複数の半導体スイッチング素子の組合せ、あるいは、複数のスイッチング素子と複数の還流ダイオードとの組合せで回路が構成される。また、半導体モジュールに、周辺回路の受動素子が組込まれる場合もある。
【0005】
図18に、特許文献1に開示された半導体モジュール(半導体装置)500を示す。ただし、図18は、半導体モジュール500の断面図である。
【0006】
半導体モジュール500は、半導体スイッチング素子(IGBT)101a、101bと、ダイオード102a、102bとが、リード端子105a、105b、105c、105d、105e、放熱板(ヒートシンク)107a、107b等とともに、封止樹脂108に封止された構造からなる。
【0007】
具体的には、半導体スイッチング素子101aの一方の電源電極パッド(図示せず)が、はんだ104によりリード端子105bに接合され、他方の電源電極パッド(図示せず)が、はんだ104によりヒートシンク107aに接合されている。また、半導体スイッチング素子101aの信号電極パッド(図示せず)が、ワイヤー103aによりリード端子105dにワイヤーボンディングされている。さらに、リード端子105bとヒートシンク107aとの間には、ダイオード102aが、半導体スイッチング素子101aと並列に接続されている。そして、ヒートシンク107aが、リード端子105aに接続されている。
【0008】
同様に、半導体スイッチング素子101bの一方の電源電極パッド(図示せず)が、はんだ104によりリード端子105bに接合され、他方の電源電極パッド(図示せず)が、はんだ104によりヒートシンク107bに接合されている。また、半導体スイッチング素子101bの信号電極パッド(図示せず)が、ワイヤー103bによりリード端子105eにワイヤーボンディングされている。さらに、リード端子105bとヒートシンク107bとの間には、ダイオード102bが、半導体スイッチング素子101bと並列に接続されている。そして、ヒートシンク107bが、リード端子105cに接続されている。
【0009】
このように配線された半導体スイッチング素子101a、101b、ダイオード102a、102bは、リード端子105a、105b、105c、105d、105e、放熱板107a、107b等とともに、封止樹脂108に封止されている。そして、封止樹脂108の側面から、リード端子105a、105b、105c、105d、105eが導出されている。また、封止樹脂108の両主面から、ヒートシンク107a、107bが露出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−183078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来の半導体モジュール500においては、リード端子105a、105b、105c、105d、105eが、封止樹脂108の側面の複数の高さ部分から導出されており、同一の高さ部分から導出されていない。
【0012】
ところで、インバータ等の半導体モジュールは、封止樹脂から導出されたリード端子を同一方向に折り曲げ、折り曲げられたリード端子を、車載機器や産業用機器等の基板に形成された貫通孔に挿入したうえで、はんだ付けして実装することが多い。
【0013】
しかしながら、上述した従来の半導体モジュール500は、リード端子105a、105b、105c、105d、105eが、封止樹脂108の側面の同一の高さ部分から導出されていないため、これらを同一方向に折り曲げることは容易ではなかった。すなわち、導出されている部分の高さが異なるため、リード端子105a、105b、105c、105d、105eを一括して折り曲げることができず、個別に折り曲げなければならなかった。したがって、半導体モジュール500のリード端子の折り曲げ作業は、極めて生産性が悪かった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、リード端子を、絶縁基材に固定された内部配線リード端子と、封止樹脂から外部に導出された外部導出リード端子とで構成することにより、全ての外部導出リード端子を、封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出するとともに、少なくとも3層に分けて配置された、内部配線リード端子が固定された絶縁基材のうち、中間の層に配置されたものに、両主面間を貫通した開口を形成するようにしたものである。
【0015】
具体的には、本発明の半導体モジュールは、少なくとも、複数の半導体スイッチング素子と、複数のリード端子と、複数の絶縁基材とが、封止樹脂に封止され、リード端子が、絶縁基材に固定された内部配線リード端子と、封止樹脂から外部に導出された外部導出リード端子と、を備え、内部配線リード端子が固定された絶縁基材は、上下方向に間隔を開けて、少なくとも3層に分けて配置され、半導体スイッチング素子の電極は、内部配線リード端子に、直接または間接に接合されるか、あるいは、ワイヤーボンディングにより接続され、各外部導出リード端子は、一端が絶縁基材に固定された内部配線リード端子に接合され、他端が、封止樹脂から導出され、外部導出リード端子の少なくとも一部のものは、それぞれ、複数の屈曲部を有し、全ての外部導出リード端子は、封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出され、少なくとも3層に分けて配置された、内部配線リード端子が固定された絶縁基材のうち、中間の層に配置されたものに、両主面間を貫通した開口が形成されるようにした。
【0016】
なお、全ての外部導出リード端子が封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出されるとは、製造ばらつき等により僅かな寸法分ずれて外部に導出される場合をも含む概念であり、実質的に同じ高さから外部に導出される、略同じ高さから外部に導出される、という意味である。
【0017】
また、封止樹脂および外部導出リード端子を平面視した場合に、外部導出リード端子と外部導出リード端子との間の間隔(ピッチ)のうち、少なくとも一部の間隔が、封止樹脂から外部導出リード端子の他端の先端方向に向かって、平面方向に広がっているようにしても良い。この場合には、半導体モジュールを小型化しながら、各外部導出リード端子を所望の間隔に設定することができる。一般的に、外部導出リード端子の間隔は、半導体モジュールが装着される車載機器や産業用機器等の基板側からの要請で決定されるが、その要請に従って内部配線リード端子を設計すると、半導体モジュールが大きくなってしまうという懸念がある。すなわち、本発明は、半導体スイッチング素子を階層化して配置することにより小型化を図っているが、基板側からの外部導出リード端子の間隔の要請により内部配線リードを設計すると、階層化による小型化のメリットを活かせない懸念がある。これに対し、上述のように、外部導出リード端子と外部導出リード端子との間の間隔のうち、少なくとも一部のものを、封止樹脂から外部導出リード端子の他端の先端方向に向かって、平面方向に広がるようにすれば、半導体モジュールを大型化させることなく、基板側からの外部導出リード端子の間隔の要請に応えることができる。
【0018】
封止樹脂に、さらに受動部品を封止するようにしても良い。この場合には、半導体モジュールを高機能化させることができる。たとえば、受動部品として、封止樹脂内に、異常電流を検出するシャント抵抗素子や、異常発熱を検出するサーミスタ素子を組込めば、高い精度で、半導体モジュールの異常を検出することができる。
【0019】
半導体スイッチング素子の電極を、金属ブロックを介して、内部配線リード端子に接合するようにしても良い。この場合には、半導体スイッチング素子と内部配線リード端子との間の距離を大きくすることができるため、半導体スイッチング素子の他の電極と、他の内部配線リード端子との間を、ワイヤーボンディングにより容易に接続することが可能になる。
【0020】
なお、本発明の半導体モジュールは、少なくとも3層に分けて配置された、内部配線リード端子が固定された絶縁基材のうち、中間の層に配置された絶縁基材には、両主面間を貫通した開口が形成されているそのため、本発明の半導体モジュールは、その開口の部分において、金属ブロックと内部配線リード端子との接合を行うことができる。
【0021】
また、全ての外部導出リード端子は、封止樹脂の外部で、同一方向に屈曲されていても良い。この場合には、屈曲された外部導出リード端子を、車載機器や産業用機器等の基板に形成された貫通孔に挿入したうえで、はんだ付けすることにより、半導体モジュールを実装することができる。
【0022】
また、絶縁基材がセラミックスからなり、リード端子が、少なくとも、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金を介して、絶縁基に固定されたものとしても良い。この場合には、高い強度を備えた絶縁基に、リード端子を強固に固定することができる。なお、絶縁基材の材料は任意であり、セラミックス製である必要はなく、樹脂製などであっても良い。ただし、絶縁基が樹脂製である場合は、リード端子は、接着剤によって絶縁基に固定される場合が多い。
【0023】
半導体モジュールは、たとえば、インバータとすることができる。
【0024】
また、上述した従来の問題を解決するために、本発明の半導体モジュールの製造方法は、複数の絶縁基材を準備する工程と、複数の内部配線リード端子を準備する工程と、各絶縁基材に、内部配線リード端子を固定する工程と、複数の半導体スイッチング素子を準備する工程と、半導体スイッチング素子の電極を、絶縁基材に固定されたいずれかの内部配線リード端子に、直接または間接に接合するか、あるいは、ワイヤーボンディングにより接続することにより、半導体スイッチング素子を介して、絶縁基材を少なくとも3層に重ねて一体化する工程と、複数の外部導出リード端子を準備する工程と、外部導出リード端子の少なくとも一部のものに、それぞれ、複数の屈曲部を形成する工程と、各外部導出リード端子の一端を、絶縁基材に固定されたいずれかの内部配線リード端子に接合する工程と、一体化された、複数の半導体スイッチング素子と、複数の絶縁基材と、複数の内部配線リード端子と、複数の外部導出リード端子とを、各外部導出リード端子の他端を外部に導出させて樹脂封止する工程と、を備え、全ての外部導出リード端子が、封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出されるようにした。
【0025】
少なくとも、複数の外部導出リード端子を準備する工程と、外部導出リード端子の少なくとも一部のものに屈曲部を形成する工程と、各外部導出リード端子の一端を、絶縁基材に固定されたいずれかの内部配線リード端子に接合する工程は、複数の外部導出リード端子が、1つの環状のリードフレームに一体化された状態で行うことが好ましい。この場合には、外部導出リード端子への屈曲部の形成、および、外部導出リード端子の一端の内部配線端子への接合を、極めて容易に、かつ高い生産性で行うことができる。
【0026】
また、リードフレームに固定された各外部導出リード端子の一端を、絶縁基材に固定されたいずれかの内部配線端子に接合する工程において、外部導出リード端子が一体化されたリードフレームと、内部配線リード端子が固定された絶縁基材とを、これらに対して垂直方向から見た場合、外部導出リード端子の一端と、内部配線リード端子との、接合される部分のみが重なっていることが好ましい。この場合には、外部導出リード端子の一端の内部配線リード端子への接合を、極めて容易に、かつ高い生産性で行うことができる。
【0027】
また、樹脂封止する工程の後に、さらに、封止樹脂から導出された外部導出リード端子から、不要なリードフレームを切り離す工程を備えるようにしても良い。
【0028】
さらに、封止樹脂から導出された全ての外部導出リード端子を、同一方向に屈曲する工程を備えるようにしても良い。この場合には、製造された半導体モジュールは、屈曲された外部導出リード端子を、車載機器や産業用機器等の基板に形成された貫通孔に挿入したうえで、はんだ付けすることにより実装することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の半導体モジュールは、外部導出リード端子が、封止樹脂の側面の同一の高さ部分から導出されているため、封止樹脂の側面から導出された外部導出リード端子を、極めて容易に、かつ高い生産性で、同一方向に折り曲げることができる。そして、折り曲げられたリード端子を、車載機器や産業用機器等の基板に形成された貫通孔に挿入したうえで、はんだ付けすることにより実装することができる。
【0030】
あるいは、本発明の半導体モジュールは、外部導出リード端子が、封止樹脂の側面の同一の高さ部分から導出されているため、車載機器や産業用機器等の基板に、半導体モジュールの大きさよりも大きな開口を形成し、その開口内に半導体モジュールを配置するとともに、外部導出リード端子を、開口の周縁近傍に形成された電極パターンにはんだ付けすることにより、実装することができる。
【0031】
また、本発明の半導体モジュールの製造方法によれば、極めて容易に、かつ高い生産性で、全ての外部導出リード端子が封止樹脂の側面の同じ高さ部分から外部に導出された半導体モジュールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1(A)は、第1実施形態にかかる半導体モジュール100を示す斜視図である。図1(B)は、半導体モジュール100を示す断面図であり、図1(A)のX-X部分を示している。
図2図2は、半導体モジュール100を示す分解斜視図である。
図3図3は、半導体モジュール100の等価回路図である。
図4図4は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図5図5は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図6図6は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図7図7は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図8図8は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図9図9は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図10図10(A)は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。図10(B)は、その平面図である。図10(C)は、その正面図である。
図11図11は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図12図12は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図13図13は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図14図14は、半導体モジュール100の製造方法の一例において適用される工程を示す斜視図である。
図15図15(A)は、第2実施形態にかかる半導体モジュール200を示す断面図である。図15(B)は、半導体モジュール200の等価回路図である。
図16図16は、第3実施形態にかかる半導体モジュール300を示す斜視図である。
図17図17は、第4実施形態にかかる半導体モジュール400を示す斜視図である。
図18図18は、特許文献1に開示された従来の半導体モジュール500を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0034】
[第1実施形態]
図1(A)、図1(B)、図2図3に、本発明の第1実施形態にかかる半導体モジュール100を示す。
【0035】
ただし、図1(A)は、半導体モジュール100の斜視図である。図1(B)は、半導体モジュール100の断面図であり、図1(A)のX-X部分を示している。なお、図1
(B)においては、封止樹脂8の図示を省略し、その部分を破線で示している。図2は、半導体モジュール100の分解斜視図である。なお、図2においても、封止樹脂8の図示を省略している。図3は、半導体モジュール100の等価回路図である。
【0036】
半導体モジュール100は、3枚の矩形、板状の絶縁基材6a、6b、6cを備える。絶縁基材6a、6b、6cは、たとえば、エポキシ、ポリイミド等の樹脂からなる。
【0037】
絶縁基材6aの一方の主面(図2において上側の主面)には、矩形、板状の放熱板7aが形成されている。放熱板7aは、後述する6個の半導体スイッチング素子1a〜1fが発生させる熱を放散させるためのものである。また、絶縁基材6aの他方の主面(図2において下側の主面)には、L字形状で、板状の内部配線リード端子51aが形成されている。
【0038】
絶縁基材6bの中央部分には、両主面間を貫通して、矩形の開口6b-hが形成されて
いる。また、絶縁基材6bの一方の主面には、対向する2つの辺6b-x、6b-yの一方の辺6b-xに沿って、その辺6b-xと直行する方向に、3本の、I字形状で、板状の内部配線リード端子52a、52b、52cが形成され、他方の辺6b-yに沿って、その辺6b-yと直行する方向に、3本の、I字形状で、板状の内部配線リード端子52d、52e、52fが形成されている。内部配線リード端子52a、52b、52cの幅は、内部配線リード端子52d、52e、52fの幅よりも大きい。内部配線リード端子52a、52b、52cは、それぞれ、開口6b-hを跨ぐように形成されており、内部配線リード端子52a、52b、52cは、開口6b-h部分において、絶縁基材6bの他方の主面側に露出している。
【0039】
絶縁基材6cの一方の主面には、L字形状で、板状の内部配線リード端子53aが形成されている。内部配線リード端子53aは、絶縁基材6cの1つの辺6c-xから、その辺6c-xと直行する方向に導出されている。また、絶縁基材6cの一方の主面には、もう1つの辺6c-yに沿って、その辺6c-yと直行する方向に、3本の、I字形状で、板状の内部配線リード端子53b、53c、53dが形成されている。内部配線リード端子53b、53c、53dの幅は、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52d、52e、52fの幅と同じ大きさである。また、絶縁基材6cの他方の主面には、矩形、板状の放熱板7bが形成されている。放熱板7bは、放熱板7aと同様に、後述する6個の半導体スイッチング素子1a〜1fが発生させる熱を放散させるためのものである。放熱板7a、7b、内部配線リード端子51a〜53dには、たとえば、銅系金属、アルミニウム系金属、鉄系金属等の金属が使用される。
【0040】
半導体モジュール100は、6個の半導体スイッチング素子1a、1b、1c、1d、1e、1fを備える。本実施形態においては、半導体スイッチング素子1a〜1fとして、MOSFETを使用した。
【0041】
半導体スイッチング素子1a〜1fは、それぞれ、一方の主面(図2において上側の主面)に、一方の電源電極パッド(図示せず)と、信号電極パッド(図示しているが符号は付与していない)とが形成され、他方の主面(図2において下側の主面)に、他方の電源電極パッド(図示せず)が形成されている。
【0042】
半導体スイッチング素子1aは、はんだ4により、他方の電源電極パッドが、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52aに接合されている。
【0043】
半導体スイッチング素子1bは、はんだ4により、他方の電源電極パッドが、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52bに接合されている。
【0044】
半導体スイッチング素子1cは、はんだ4により、他方の電源電極パッドが、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52cに接合されている。
【0045】
半導体スイッチング素子1d、1e、1fは、それぞれ、はんだ4により、他方の電源電極パッドが、絶縁基材6cに形成された内部配線リード端子53aに接合されている。また、半導体スイッチング素子1aの信号電極パッドは、ワイヤー3aにより、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52dにワイヤーボンディングされて接続されている。
【0046】
半導体スイッチング素子1bの信号電極パッドは、ワイヤー3bにより、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52eにワイヤーボンディングされて接続されている。
【0047】
半導体スイッチング素子1cの信号電極パッドは、ワイヤー3cにより、絶縁基材6bに形成された内部配線リード端子52fにワイヤーボンディングされて接続されている。
【0048】
半導体スイッチング素子1dの信号電極パッドは、ワイヤー3dにより、絶縁基材6cに形成された内部配線リード端子53bにワイヤーボンディングされて接続されている。
【0049】
半導体スイッチング素子1eの信号電極パッドは、ワイヤー3eにより、絶縁基材6cに形成された内部配線リード端子53cにワイヤーボンディングされて接続されている。
【0050】
半導体スイッチング素子1fの信号電極パッドは、ワイヤー3fにより、絶縁基材6cに形成された内部配線リード端子53dにワイヤーボンディングされて接続されている。ワイヤー3a〜3fには、たとえば、アルミニウム、金等の金属が使用される。
【0051】
また、半導体スイッチング素子1aの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2aが接合されている。
【0052】
半導体スイッチング素子1bの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2bが接合されている。
【0053】
半導体スイッチング素子1cの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2cが接合されている。
【0054】
半導体スイッチング素子1dの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2dが接合されている。
【0055】
半導体スイッチング素子1eの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2eが接合されている。
【0056】
半導体スイッチング素子1fの一方の電源電極パッドに、はんだ4により、直方体の金属ブロック2fが接合されている。
【0057】
金属ブロック2a〜2fには、たとえば、銅系金属、アルミニウム系金属等の金属が使用される。
【0058】
そして、金属ブロック2a、2b、2cが、はんだ4により、絶縁基材6aに形成された内部配線リード端子51aに接合されている。
【0059】
金属ブロック2dが、はんだ4により、開口6b-h部分において、絶縁基材6bに形
成された内部配線リード端子52aに接合されている。
【0060】
金属ブロック2eが、はんだ4により、開口6b-h部分において、絶縁基材6bに形
成された内部配線リード端子52bに接合されている。
【0061】
金属ブロック2fが、はんだ4により、開口6b-h部分において、絶縁基材6bに形
成された内部配線リード端子52cに接合されている。
【0062】
以上の結果により、3枚の絶縁基材6a、6b、6cは、半導体スイッチング素子1a〜1fおよび金属ブロック2a〜2fを介して、上下方向に間隔を開けて、3層に重ねて配置されている。
【0063】
半導体モジュール100は、外部導出リード端子151a、152a、152b、152c、152d、152e、152f、153a、153b、153c、153dを備える。
【0064】
外部導出リード端子151a〜153dは、I字形状で、板状からなる。
【0065】
外部導出リード端子151a、152a、152b、152c、153aの幅は、外部導出リード端子152d、152e、152f、153b、153c、153dの幅よりも大きい。
【0066】
外部導出リード端子151a、153a、153b、153c、153dは、それぞれ、2ヶ所において屈曲されている。
【0067】
外部導出リード端子151a〜153dには、内部配線リード端子51a〜53dと同様に、たとえば、銅系金属、アルミニウム系金属、鉄系金属等の金属が使用される。
外部導出リード端子151a〜153dは、それぞれ、はんだ(図示せず)により、内部配線リード端子51a〜53dに接合されている。
【0068】
なお、図1(B)および図2から分かるように、本実施形態においては、すべての接合部分において、外部導出リード端子151a〜153dが、内部配線リード端子51a〜53dの上側に接合されている。完成した半導体モジュール100は、オン・オフの繰り返しの度に、内部の封止樹脂8とリード端子間で熱膨張係数差による応力が発生する。本実施形態においては、外部導出リード端子151a〜153dが内部配線リード端子51a〜53dの上側に接合されているため、外部導出リード端子151a〜153dにかかる応力は、オン/オフの繰り返しの度に同方向にかかる。そのため、外部導出リード端子151a〜153d自身のひずみは少ない。
【0069】
一方で、もし、たとえば、外部導出リード端子153aのみを内部配線リード端子53aの下部に接続させた場合、オン/オフにより、外部導出リード端子153aには、他の外部導出リード端子151a〜152f、153b〜153dと異なる方向の応力がかかってしまう。結果として外部導出リード端子153a内部に印加される応力は大きくなり、端子の寿命が短くなってしまう。
【0070】
本実施形態においては、全ての外部導出リード端子151a〜153dが内部配線リード端子51a〜53dの上側に配置されているため、応力の低減が可能となり、端子の寿命をより長くすることが可能になっている。
【0071】
また、図1(B)および図2に示すように、本実施形態において、すべての接合部分において、外部導出リード端子151a〜153dが、内部配線リード端子51a〜53dの上側に接合されていることは、以下の理由により、接続信頼性を向上させるためにも重要である。外部導出リード151a〜153d、および内部配線リード51a〜53dの先端部、すなわち互いが接合される部分の高さ位置精度は、必ずしも完全に一定ではなく、ばらつきを持っている場合がある。そのため、接合後の接合部厚みがばらつき、接合部信頼性が著しく劣化したり、極端な場合は接合していない箇所が生じたりする場合がある。そこで、接合時には、内部配線リードを固定した状態で、外部導出リード全体に荷重(力)を掛けて、全ての接合部が一定厚みになるようにする。この方法は、内部配線リード端子に対して、外部導出リードが同じ側に位置する場合にのみ為し得るものである。
【0072】
なお、本実施形態においては、全ての接合部において、外部導出リード端子151a〜153dが、内部配線リード端子51a〜53dの上側に接合されているが、上記記述により、全ての接合部において、外部導出リード端子151a〜153dが、内部配線リード端子51a〜53dの下側に接合されても良いことは言うまでもない。
【0073】
半導体モジュール100においては、以上のように一体化された半導体スイッチング素子1a〜1f、金属ブロック2a〜2f、ワイヤー3a〜3f、内部配線リード端子51a〜53d、外部導出リード端子151a〜153d、絶縁基材6a〜6c、放熱板7a、7bが、封止樹脂8に封止されている。封止樹脂8には、たとえば、エポキシ、ポリイミド等が使用される。
【0074】
封止樹脂8の両主面には、放熱板7a、7bが露出されている。
【0075】
また、封止樹脂8の側面から、11本の外部導出リード端子151a〜153dが導出されている。全ての外部導出リード端子151a〜153dは、外部導出リード端子151a、153a、153b、153c、153dが、それぞれ、2ヶ所において屈曲されていることにより、封止樹脂8の側面の同じ高さ部分から導出されている。
【0076】
なお、全ての外部導出リード端子151a〜153dが封止樹脂8の側面の同じ高さ部分から外部に導出されるとは、製造ばらつき等により僅かな寸法分ずれて外部に導出される場合をも含む概念であり、実質的に同じ高さから外部に導出されている、略同じ高さから外部に導出されている、という意味である。
【0077】
また、外部導出リード端子151a〜153dは、それぞれの主面が水平となるように封止樹脂8から導出されている。すなわち、外部導出リード端子151a〜153dの主面は、封止樹脂8の主面と平行になっている。
【0078】
このように、外部導出リード端子151a〜153dを封止樹脂8から水平に導出しておけば、外部導出リード端子151a〜153dを、たとえば図1(A)における下側方向に屈曲させることが容易になる。以上の構造からなる、第1実施形態にかかる半導体モジュール100の等価回路を図3に示す。
【0079】
半導体モジュール100はインバータであり、外部導出リード端子153aがP側端子に該当し、外部導出リード端子151aがN側端子に該当する。また、外部導出リード端子152a、152b、152cが、それぞれ、中間端子に該当する。また、外部導出リード端子152d、152e、152f、153b、153c、153dが、それぞれ、ゲート端子に該当する。
【0080】
第1実施形態にかかる半導体モジュール100は、たとえば、図4〜14に示す方法で製造することができる。なお、図4〜9および図11〜14は斜視図である。図10(A)は斜視図であり、図10(B)は平面図であり、図10(C)正面図である。
【0081】
まず、図4に示すように、絶縁基材6a〜6cと、放熱板7a、7bと、内部配線リード端子51a〜53dとを準備する。続いて、放熱板7a、7bと内部配線リード端子51a〜53dとを、絶縁基材6a〜6cに固定する。固定は、たとえば、接着剤によりおこなう。固定後の状態を、図5に示す。
【0082】
次に、半導体スイッチング素子1a〜1fを準備する。続いて、図6に示すように、半導体スイッチング素子1a〜1fの他方の電源電極パッド(図6において各半導体スイッチング素子1a〜1fの下側の主面に形成されている)を、はんだ(図示せず)により、内部配線リード端子52a〜52cおよび53aに接合する。より詳細には、半導体スイッチング素子1aの他方の電源電極パッドを内部配線リード端子52aに、半導体スイッチング素子1bの他方の電源電極パッドを内部配線リード端子52bに、半導体スイッチング素子1cの他方の電源電極パッドを内部配線リード端子52cに、それぞれ接合する。また、半導体スイッチング素子1d〜1fの他方の電源電極パッドを、内部配線リード端子53aに、それぞれ接合する。
【0083】
次に、金属ブロック2a〜2fを準備する。続いて、図7に示すように、半導体スイッチング素子1a〜1fの一方の電源電極パッド(図7において各半導体スイッチング素子1a〜1fの上側の主面に形成されている)に、はんだ(図示せず)により、金属ブロック2a〜2fを接合する。より詳細には、半導体スイッチング素子1aの一方の電源電極パッドに金属ブロック2aを、半導体スイッチング素子1bの一方の電源電極パッドに金属ブロック2bを、半導体スイッチング素子1cの一方の電源電極パッドに金属ブロック2cを、半導体スイッチング素子1dの一方の電源電極パッドに金属ブロック2dを、半導体スイッチング素子1eの一方の電源電極パッドに金属ブロック2eを、半導体スイッチング素子1fの一方の電源電極パッドに金属ブロック2fを、それぞれ接合する。
【0084】
次に、図8に示すように、半導体スイッチング素子1a〜1fの信号電極パッド(図示しているが符号は付与していない)と、内部配線リード端子52d〜52fおよび53b〜53dとを、ワイヤー3a〜3fにより、ワイヤーボンディングして接続する。より詳細には、半導体スイッチング素子1aの信号電極パッドと内部配線リード端子52dとをワイヤー3aにより、半導体スイッチング素子1bの信号電極パッドと内部配線リード端子52eとをワイヤー3bにより、半導体スイッチング素子1cの信号電極パッドと内部配線リード端子52fとをワイヤー3cにより、半導体スイッチング素子1dの信号電極パッドと内部配線リード端子53bとをワイヤー3dにより、半導体スイッチング素子1eの信号電極パッドと内部配線リード端子53cとをワイヤー3eにより、半導体スイッチング素子1fの信号電極パッドと内部配線リード端子53dとをワイヤー3fにより、それぞれ、ワイヤーボンディングして接続する。
【0085】
次に、図9に示すように、金属ブロック2a〜2fと、内部配線リード端子51aおよび52a〜52cとを、はんだ(図示せず)により接合する。より詳細には、金属ブロック2a〜2cと内部配線リード端子51aとを、それぞれ接合する。また、金属ブロック2dと内部配線リード端子52aとを、金属ブロック2eと内部配線リード端子52bとを、金属ブロック2fと内部配線リード端子52cとを、それぞれ、絶縁基材6bに形成した開口6b-h部分において接合する。この結果、内部配線リード端子51a〜53d
が固定された絶縁基材6a〜6cと、半導体スイッチング素子1a〜1fと、金属ブロック2a〜2fと、ワイヤー3a〜3fとが一体化される。
【0086】
次に、図10(A)〜(C)に示すように、外部導出リード端子151a〜153dを作製する。具体的には、1枚の金属板を準備し、その金属板を金型によって打ち抜いて、所定の形状からなる外部導出リード端子151a〜153dを作製する。打ち抜き後に、外部導出リード端子151a〜153dは、1つの環状のリードフレーム150に繋がっている。また、外部導出リード端子151a、152a〜152c、153aは、タイバー155aによって、それぞれの中間部分において繋がっている。また、外部導出リード端子152d〜152f、153b〜153dは、タイバー155bによって、それぞれの中間部分において繋がっている。さらに、外部導出リード端子151a、153a〜153dを、それぞれ2ヶ所で屈曲させる。外部導出リード端子151aは、図10(A)における上側に屈曲させる。外部導出リード端子153a〜153dは、図10(A)における下側に屈曲させる。
【0087】
次に、図11に示すように、リードフレーム150に繋がった外部導出リード端子151a〜153dを、一体化された絶縁基材6a〜6cの上側に配置する。なお、逆に、一体化された絶縁基材6a〜6cを、リードフレーム150に繋がった外部導出リード端子151a〜153dの上側に配置しても良い。
【0088】
次に、図12に示すように、外部導出リード端子151a〜153dを、はんだ(図示せず)により、内部配線リード端子51a〜53dに接合する。このとき、外部導出リード端子151a〜153dが一体化されたリードフレーム150と、内部配線リード端子51a〜53dが固定された絶縁基材6a〜6cとを、これらに対して垂直方向から見た場合、外部導出リード端子151a〜153dの一端と内部配線端子51a〜53dとの接合される部分のみが重なっているため、外部導出リード端子151a〜153dと内部配線リード端子51a〜53dとの接合は、極めて容易に行うことができる。
【0089】
なお、接合前、または接合を行うときには、内部配線リード51a〜53dを固定した状態で、外部導出リード151a〜153d全体に荷重(力)を掛けて、全ての接合部が一定厚みになるようにすることが好ましい。外部導出リード151a〜153d、および内部配線リード51a〜53dの先端部、すなわち互いが接合される部分の高さ位置精度は、必ずしも完全に一定ではなく、ばらつきを持っている場合がある。そのため、接合後の接合部厚みがばらつき、接合部信頼性が著しく劣化したり、極端な場合は接合していない箇所が生じたりする場合がある。そこで、接合前、または接合時に、上記作業を行うことにより、接続信頼性を向上させることができる。
【0090】
次に、半導体スイッチング素子1a〜1fと、金属ブロック2a〜2fと、ワイヤー3a〜3fと、内部配線リード端子51a〜53dと、放熱板7a、7bと、外部導出リード端子151a〜153dとが一体化された絶縁基材6a〜6cを、外部導出リード端子151a〜153dの他端を外部に導出させて、金型(図示せず)内に収容する。続いて、図13に示すように、金型内に樹脂をトランスファーモールドして、封止樹脂8を形成し、封止樹脂8内に、半導体スイッチング素子1a〜1fと、金属ブロック2a〜2fと、ワイヤー3a〜3fと、内部配線リード端子51a〜53dと、放熱板7a、7bと、外部導出リード端子151a〜153dとを封止する。この結果、封止樹脂8の両主面から放熱板7a、7bが露出される。また、封止樹脂8の側面から、11本の外部導出リード端子151a〜153dが導出される。
【0091】
なお、半導体モジュール100においては、外部導出リード端子151a〜153dが封止樹脂8の側面の同じ高さ部分から外部に導出された構造であるため、封止樹脂8のモールド(樹脂封止)を非常に容易に行うことができる。また、モールドに使用する金型の設計が容易で、コストも低く抑えることができる。
【0092】
最後に、図14に示すように、外部導出リード端子151a〜153dから、不要なリードフレーム150とタイバー155a、155bを切り離し、第1実施形態にかかる半導体モジュール100を完成させる。半導体モジュール100においては、全ての外部導出リード端子151a〜153dが、封止樹脂8の側面の同じ高さ部分から外部に導出されている。
【0093】
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる半導体モジュール200を、図15(A)、(B)に示す。ただし、図15(A)は、半導体モジュール200の断面図である。図15(B)は、半導体モジュール200の等価回路図である。
【0094】
第2実施形態にかかる半導体モジュール200は、図1〜3に示した第1実施形態にかかる半導体モジュール100に、3個のシャント抵抗素子10を追加した。
具体的には、半導体モジュール200は、図15(A)に示すように、シャント抵抗素子10が追加されている。
【0095】
半導体モジュール200は、シャント抵抗素子10を追加するために、第1実施形態にかかる半導体モジュール100において絶縁基材6に固定されていた1本の内部配線リード端子52cを、2本の内部配線リード端子52g、52hに置き換えている。
そして、底面に1対の電極パッドが形成されたシャント抵抗素子10を用意し、はんだ4により、一方の電極パッドが内部配線リード端子52gに、他方の電極パッドが内部配線リード端子52hに接合している。
【0096】
なお、半導体スイッチング素子1cの他方の電源電極パッド(図示せず)は、第1実施形態にかかる半導体モジュール100において接合されていた内部配線リード端子52cに代えて、内部配線リード端子52gに接合されている。
【0097】
あと2個のシャント抵抗素子10も、同様の方法により、半導体モジュール200に追加されている。
【0098】
半導体モジュール200は、図15(B)に示す等価回路を備えている。すなわち、半導体スイッチング素子1aと1dの接続点と、中間端子である外部接続リード端子152aとの間に、シャント抵抗素子10が挿入されている。また、半導体スイッチング素子1bと1eの接続点と、中間端子である外部接続リード端子152bとの間に、シャント抵抗素子10が挿入されている。また、半導体スイッチング素子1cと1fの接続点と、中間端子である外部接続リード端子152cとの間に、シャント抵抗素子10が挿入されている。
【0099】
半導体モジュール200は、各シャント抵抗素子10の両電源極パッド間の電圧を監視することにより、異常電流の発生を検出することができる。
【0100】
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる半導体モジュール300を、図16に示す。ただし、図16は、半導体モジュール300の斜視図である。
【0101】
第3実施形態にかかる半導体モジュール300は、図1〜3に示した第1実施形態にかかる半導体モジュール100の外部導出リード端子151a〜153dの長さを長くしたうえで、同一方向(図16における下側方向)に屈曲させた。半導体モジュール300の他の構成は、半導体モジュール100の構成と同じにした。
【0102】
半導体モジュール300は、外部導出リード端子151a〜153dが封止樹脂8の側面の同じ高さ部分から導出されているため、一括して、容易に同一方向に屈曲させることができる。
【0103】
半導体モジュール300は、外部導出リード端子151a〜153dが同一方向に屈曲されているため、屈曲された外部導出リード端子151a〜153dを、車載機器や産業用機器等の基板(図示せず)に形成された貫通孔に挿入したうえで、はんだ付けすることにより実装することができる。
【0104】
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる半導体モジュール400を、図17に示す。ただし、図17は、半導体モジュール400の斜視図である。
【0105】
第4実施形態にかかる半導体モジュール400は、図1〜3に示した第1実施形態にかかる半導体モジュール100の外部導出リード端子152d、153b、152e、153c、152f、153dを、別の外部導出リード端子252d、253b、252e、253c、252f、253dに置き換えた。半導体モジュール400の他の構成は、半導体モジュール100の構成と同じにした。
【0106】
半導体モジュール100では、外部導出リード端子152d、153b、152e、153c、152f、153dの各間隔(ピッチ)が一定であった。これに対し、半導体モジュール100では、外部導出リード端子252d、253b、252e、253c、252f、253dの各間隔が、封止樹脂8から、外部導出リード端子252d〜253dの各他端の先端方向に向かって、平面方向に広がっている。
【0107】
半導体モジュール400では、半導体モジュールの小型化を維持したまま、各外部導出リード端子252d〜253dの間の間隔を所望の大きさに設定することができる。
【0108】
[第5実施形態]
第5実施形態にかかる半導体モジュール500は、第1実施形態にかかる半導体モジュール100の構成要素の材質に一部変更を加えた。構造そのものには変更がないので、半導体モジュール100を説明した図1図2を援用して半導体モジュール500を説明する。
【0109】
半導体モジュール100では、絶縁基材6a〜6cに、エポキシ、ポリイミド等の樹脂を用いた。半導体モジュール500では、これに代えて、絶縁基材6a〜6dにセラミックスを用いた。より具体的には、絶縁基材6a〜6cを構成するセラミックスに、たとえば、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナなどを主成分とするセラミックスを用いた。
【0110】
また、半導体モジュール100では、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dの絶縁基材6a〜6cへの固定に接着剤を用いた。半導体モジュール500では、これに代えて、この部分の固定に、少なくとも、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金(図示せず)を用いた。本実施形態においては、具体的には、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属として、合金にTiを含有させた。ただし、セラミックに含まれる成分と反応する活性な金属はTiには限定されず、Zrなど、他の金属であっても良い。なお、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金は、活性金属ロウ材と呼ばれる場合がある。
【0111】
セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金には、必要に応じて、融点を調整するために、Ti、Zn、Sn、In、Ni、Mn、Cdなどから選ばれる金属が、1種または複数種、添加される場合がある。なお、本実施形態においては、セラミックに含まれる成分と反応する活性成分として添加されたTiは、融点を調整する役割も果たしている。
【0112】
なお、合金にTiを添加する場合には、Tiの添加量は、合金の全重量に対して3重量%以下であることが好ましい。Tiの含有量が3重量%を超えると、合金自体が脆化する虞があるからである。本実施形態においては、合金6の配合比率を、Ag60〜80重量%、Cu20〜40重量%、Ti1〜3重量%とした。
【0113】
半導体モジュール500の他の構成は、半導体モジュール100と同じにした。
【0114】
リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dの絶縁基材6a〜6cへの固定は、予め、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dに活性金属ロウ材からなるペーストを塗布しておき、その塗布面を絶縁基材6a〜6cへ当接させて、その活性金属ロウ材の融点以上の温度で熱処理することによりおこなうことができる。
【0115】
セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金は、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dを絶縁基材6a〜6cへ強固に接合する。たとえば、絶縁基材6a〜6cに窒化珪素を用い、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dにCuを用い、両者を、Tiが添加されたAgとCuとを含む合金によって接合した場合、合金の絶縁基板(窒化珪素基板)6a〜6cの近傍には、TiNや、MNが形成される(ただしMはSi、Cu、Tiの合金)。すなわち、合金の絶縁基板6a〜6c近傍のTiの濃度が、合金のその他の部分のTiの濃度よりも高くなっている。この結果、リード端子2a〜2eと絶縁基板6a〜6cとは、高い強度で接合されている。
【0116】
また、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金は、一般に、接着剤よりも熱伝導率が高い。そのため、半導体モジュール500は、半導体スイッチング素子1a〜1fが発生させた熱を、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dを経由し、更に絶縁基材6a〜6cを経由して、より効率的に放散させることがきる。
【0117】
以上のように、第5実施形態にかかる半導体モジュール500は、高い強度を備えたセラミックスからなる絶縁基材6a〜6cに、リード端子51a、52a〜52f、53a〜53dが、セラミックスの構成成分と反応する活性な金属と、Agと、Cuとを含む合金を介して強固に接合されているため、高い強度を備えている。また、放熱性においても優れている。
【0118】
以上、本発明の第1〜5実施形態にかかる半導体モジュール100〜500の構造、および製造方法の一例について説明した。しかしながら、本発明がこれらの内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更を加えることができる。
【0119】
たとえば、半導体モジュール100〜500においては、半導体スイッチング素子1a〜1fとしてMOSFETを使用したが、これに代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)と還流ダイオードとを組合せて
、回路を構成するようにしても良い。
【0120】
また、半導体モジュール100〜500においては、3枚の絶縁基材6a〜6cを使用し、これらを3層に重ねて配置しているが、さらに多くの絶縁基材を使用し、さらに多層に重ねて配置するようにしても良い。
【0121】
また、本発明の半導体モジュールの回路構成は任意であり、半導体モジュール100〜500の等価回路には限定されない。たとえば、半導体モジュール200では、受動素子としてシャント抵抗素子10を封止樹脂8内に追加して封止しているが、これに代えて、異常発熱の監視をするためのサーミスタ素子を封止樹脂8内に封止するようにしても良い。
【0122】
さらに、半導体モジュール100〜500では、外部導出リード端子151a〜253dを封止樹脂8の側面の略中央部の高さ位置から外部に導出するように形成しているが、たとえば、最下層又は最上層の絶縁基材6a、6cの近傍等、その他の高さ位置で導出させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1a、1b、1c、1d、1e、1f・・・半導体スイッチング素子
2a、2b、2c、2d、2e、2f・・・金属ブロック
3a、3b、3c、3d、3e、3f・・・ワイヤー
4・・・はんだ
51a、52a、52b、52c、52d、52e、52f、53a、53b、53c、53d・・・内部配線リード端子
151a、152a、152b、152c、152d、152e、152f、153a、153b、153c、153d、252d、252e、252f、253b、253c、253d・・・外部導出リード端子
6a、6b、6c・・・絶縁基材
7a、7b・・・放熱板
8・・・封止樹脂
10・・・シャント抵抗素子
100、200、300、400、500・・・半導体モジュール
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