特許第6380901号(P6380901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 東洋インキ株式会社の特許一覧

特許6380901活性光線硬化型スクリーン印刷インキ、積層体、成型体およびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6380901
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】活性光線硬化型スクリーン印刷インキ、積層体、成型体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20180820BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20180820BHJP
   B32B 38/14 20060101ALI20180820BHJP
   B32B 38/18 20060101ALI20180820BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20180820BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20180820BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20180820BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C09D11/101
   B32B27/30 A
   B32B38/14
   B32B38/18 F
   B29C45/16
   B29C51/14
   B29C51/10
   C08F290/12
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-5234(P2017-5234)
(22)【出願日】2017年1月16日
(65)【公開番号】特開2018-115232(P2018-115232A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2017年10月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇希
(72)【発明者】
【氏名】難波 正敬
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−046702(JP,A)
【文献】 特表2009−533484(JP,A)
【文献】 特開2016−204597(JP,A)
【文献】 特開2011−161692(JP,A)
【文献】 特開2011−213910(JP,A)
【文献】 特開2014−080470(JP,A)
【文献】 特開2008−031471(JP,A)
【文献】 特開平08−044059(JP,A)
【文献】 特開2004−347859(JP,A)
【文献】 特開2003−326591(JP,A)
【文献】 特開2014−205839(JP,A)
【文献】 特開平09−241563(JP,A)
【文献】 特開2000−273130(JP,A)
【文献】 特開平11−170269(JP,A)
【文献】 特開2005−139405(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0145624(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00−13/00
C08F 283/01−299/08
B32B 1/00−43/00
B29C 45/00−45/84
B29C 49/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体であり、
側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する繰り返し単位を含む、(メタ)アクリロイル基当量が2,000〜40,000であるアクリルアクリレート樹脂と、
活性光線照射により前記(メタ)アクリロイル基と架橋し得るラジカル重合性二重結合を有する反応性希釈剤とを含有し、
基材に印刷し、前記活性光線を照射して得られる積層体を加熱成型する成型用の活性光線硬化型スクリーン印刷インキ。
【請求項2】
前記反応性希釈剤は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を含む請求項1に記載の活性光線硬化型スクリーン印刷インキ。
【請求項3】
前記アクリルアクリレート樹脂100質量部に対し、前記反応性希釈剤を20〜300質量部含む請求項1又は2に記載の活性光線硬化型スクリーン印刷インキ。
【請求項4】
前記アクリルアクリレート樹脂の重量平均分子量が、5,000〜100,000である請求項1〜3のいずれかに記載の活性光線硬化型スクリーン印刷インキ。
【請求項5】
前記反応性希釈剤は少なくとも4−アクリロイルモルホリンを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の活性光線硬化型スクリーン印刷インキ。
【請求項6】
基材と、前記基材上に請求項1〜5のいずれかに記載の活性光線硬化型スクリーン印刷インキを印刷して活性光線により硬化せしめられた印刷層とを具備する積層体。
【請求項7】
請求項6に記載の積層体の加熱成型物を少なくとも有する成型体。
【請求項8】
基材上に活性光線硬化型スクリーン印刷インキを印刷する印刷層形成工程と、前記印刷層を活性光線照射により硬化する硬化層形成工程と、前記硬化層形成工程後または前記硬化層形成と同時に、加熱して成型する加熱成型工程とを含み、
前記活性光線硬化型スクリーン印刷インキは、
(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体であり、側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する繰り返し単位を含む、(メタ)アクリロイル基当量が2,000〜40,000であるアクリルアクリレート樹脂と、
活性光線照射により前記(メタ)アクリロイル基と架橋し得るラジカル重合性二重結合を有する反応性希釈剤とを含有する成型体の製造方法。
【請求項9】
前記加熱成型工程は、熱高圧成型、圧縮成型、圧空成型、真空成型、射出成型およびインサート成型のいずれかにより行う請求項8に記載の成型体の製造方法。
【請求項10】
前記印刷層形成工程と、前記硬化層形成工程を複数回行う請求項8または9に記載の成型体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に印刷し、活性光線を照射して得られる積層体を加熱成型する成型用の活性光線硬化型インキ、当該インキを用いて形成された印刷層を含む積層体、成型体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に印刷した後に成型が必要な分野、例えば、自動販売機のダミー缶や車のダッシュボード等の分野においては、印刷層の硬化特性と、加工時に印刷層の罅割れを防止できる成型加工性が求められる。
【0003】
印刷後に後加工成型する用途に用いるインキは、加工の際の罅割れが生じにくい溶剤型インキが主流となっている。しかしながら、溶剤型インキは、インキ塗布後に溶剤を揮発させる工程が必要であり、基材の軟化点以下の乾燥温度で比較的長時間乾燥させる必要がある。このため、特に多色刷り印刷における生産性の低さが深刻な問題となっている。環境負荷低減の観点からも、溶剤フリーのインキが求められているところである。
【0004】
そこで、印刷後に後加工により成型する用途に適用できる無溶剤型インキの開発が進められている。特許文献1には、ウレタンアクリレート樹脂をバインダー樹脂に用いる重ね塗り印刷用の活性光線硬化型インキ組成物が提案されている。
【0005】
なお、偏光板用保護フィルム等に好適に用いられる無溶剤型塗料として、特許文献2に分岐状アクリルアクリレート樹脂をバインダー樹脂に用いる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/003811号
【特許文献2】特開2016−102220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示のウレタンアクリレート樹脂は、印刷層の成型加工性が高い点において優れている。しかしながら、反応性の高いイソシアネート基を用いているので、バインダー樹脂の酸価、Tg、分子量等を制御することは容易ではなく、着色剤の分散性を高めることが難しい場合がある。また、ウレタンアクリレート樹脂は、耐候性および密着性において課題がある。特許文献2に開示の無溶剤型塗料は、表面硬度とフレキシビリティ性を両立しているものの破断伸び率が充分ではなく、成型加工用途には適していない。
【0008】
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、無溶剤で利用することができ、着色剤分散性を向上させるための分子設計が容易で、耐候性、密着性および成型加工性に優れる活性光線硬化型インキ、積層体、成型体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]: (メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体であり、側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する繰り返し単位を含む、(メタ)アクリロイル基当量が2,000〜40,000であるアクリルアクリレート樹脂と、活性光線照射により前記(メタ)アクリロイル基と架橋し得るラジカル重合性二重結合を有する反応性希釈剤とを含有し、基材に印刷し、前記活性光線を照射して得られる積層体を加熱成型する成型用の活性光線硬化型インキ。
[2]: 前記反応性希釈剤は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を含む[1]に記載の活性光線硬化型インキ。
[3]: 前記アクリルアクリレート樹脂100質量部に対し、前記反応性希釈剤を30〜200質量部含む請求項1又は2に記載の活性光線硬化型インキ。
[4]: 前記アクリルアクリレート樹脂の重量平均分子量が、5,000〜100,000であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の活性光線硬化型インキ。
[5]: スクリーン印刷用である[1]〜[4]のいずれかに記載の活性光線硬化型インキ。
[6]: 基材と、前記基材上に[1]〜[5]のいずれかに記載の活性光線硬化型インキを印刷して活性光線により硬化せしめられた印刷層とを具備する積層体。
[7]: [6]に記載の積層体の加熱成型物を少なくとも有する成型体。
[8]: 基材上に活性光線硬化型インキを印刷する印刷層形成工程と、前記印刷層を活性光線照射により硬化する硬化層形成工程と、前記硬化層形成工程後または前記硬化層形成と同時に、加熱して成型する加熱成型工程とを含み、
前記活性光線硬化型インキは、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体であり、側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する繰り返し単位を含む、(メタ)アクリロイル基当量が2,000〜40,000であるアクリルアクリレート樹脂と、活性光線照射により前記(メタ)アクリロイル基と架橋し得るラジカル重合性二重結合を有する反応性希釈剤とを含有する成型体の製造方法。
[9]: 前記加熱成型工程は、熱高圧成型、圧縮成型、圧空成型、真空成型、射出成型およびインサート成型のいずれかにより行う[8]に記載の成型体の製造方法。
[10]: 前記印刷層形成工程と、前記硬化層形成工程を複数回行う[8]または[9]に記載の成型体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無溶剤で利用することができ、着色剤分散性を向上させるための分子設計が容易で、耐候性、密着性および成型加工性に優れる活性光線硬化型インキ、積層体、成型体およびその製造方法を提供できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。また、本明細書で特定する数値「A〜B」は、数値Aと数値Aより大きい値であって、且つ数値Bと数値Bより小さい値を満たす範囲を示す。また、本明細書における「シート」とは、JISにおいて定義される「シート」のみならず、「フィルム」や「板」を含むものとする。本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、其々独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0012】
[活性光線硬化型インキ]
実施形態に係る活性光線硬化型インキは、基材に印刷し、活性光線を照射して得られる積層体を加熱成型する成型用のインキである。活性光線硬化型インキは、アクリルアクリレート樹脂(A)および反応性希釈剤(B)を少なくとも含有する。多色または単色刷り印刷用のインキとして好適であり、例えば、自動販売機のダミー缶などの曲面形状を有する用途や、自動車のダッシュボードや家電等の加飾シート用途に用いられる。
【0013】
ここで、活性光線とは、可視光線、紫外線、電子線、α線、β線、ガンマ線等の電離放射性が例示できる。設備が汎用されている点、簡便性および硬化性の観点からは、紫外線が好ましい。顔料選定の選択肢を高める観点からは、電子線が好ましい。以下、各成分について詳述する。
【0014】
<アクリルアクリレート樹脂(A)>
アクリルアクリレート樹脂(A)は、活性光線硬化型インキのバインダー樹脂として機能し、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体であり、側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する繰り返し単位(以下、「ユニット」ともいう)を含む。ここで「(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする」とは、アクリルアクリレート樹脂(A)を構成する全ユニット中に、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を30%以上含むものとする。
【0015】
(メタ)アクリル酸系モノマー(a)は、メタクリル酸系モノマーおよび/またはアクリル酸系モノマーをいい、(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基および/またはアクリロイル基をいう。また、ユニットとは、ポリマー中の単量体(モノマー)に由来する部分(モノマー残基)をいう。但し、重合して得られた共重合体に対して、化学修飾等により側鎖や末端を改変したユニットも含む。
【0016】
側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有するユニットを含むアクリルアクリレート樹脂(A)を用いることにより、硬化層としたときの架橋密度を均質にすることができる。インキ中の顔料分散性を高めるために、アクリルアクリレート樹脂(A)に水酸基、カルボキシル基等の官能基を適宜導入することができる。
【0017】
アクリルアクリレート樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する繰り返し単位を主体とする共重合体を得た後に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入することにより得る方法が簡便である。例えば、側鎖にエポキシ基を有するエポキシ基含有モノマー(a1)に由来するユニットを有する共重合体(A−1)(以下、単に共重合体(A−1)ともいう)を得、その後、共重合体(A−1)に、(メタ)アクリロイル基を1つ有し、且つカルボキシル基を有する化合物(D−1)(以下、単に化合物(D−1)ともいう)を反応させることによりアクリルアクリレート樹脂(A)を得ることができる。或いは、側鎖にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有モノマー(a2)に由来するユニットを有する共重合体(A−2)(以下、単に共重合体(A−2)ともいう)を得、その後、共重合体(A−2)に、(メタ)アクリロイル基を1つ有し且つエポキシ基を有する化合物(D−2)(以下、単に化合物(D−2)ともいう)を反応させることによりアクリルアクリレート樹脂(A)を得ることができる。
【0018】
アクリルアクリレート樹脂(A)に用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーは特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、などのポリアルキレングリコール基を有する(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、N,N−メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−メチルプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基を有する(メタ)アクリレートが例示できる。
【0019】
エポキシ基含有モノマー(a1)として、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシブチル アクリレート グリシジルエーテル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が例示できる。
【0020】
カルボキシル基含有モノマー(a2)として、(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸およびこれらのラクトン変性物等、エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等が例示できる。
【0021】
(メタ)アクリル酸系モノマー以外の共重合に用いられるその他のモノマー(e)として、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル;アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類が挙げられる。側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有するユニットは、(メタ)アクリル酸系モノマーであることは必須ではなく、その他のモノマー(e)に分類されるモノマーを用いたものであってもよい。
【0022】
(メタ)アクリロイル基を1つ有し、且つカルボキシル基を有する化合物(D−1)として、前述したカルボキシル基含有モノマー(a2)で挙げた化合物が例示できる。また、(メタ)アクリロイル基を1つ有し、且つエポキシ基を有する化合物(D−2)として、前述したエポキシ基含有モノマー(a1)で挙げた化合物が例示できる。
【0023】
モノマーを重合させる方法として、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられるが、本発明は、係る重合方法によって限定されるものではない。
【0024】
モノマーを溶液重合させる際に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系溶媒; 酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどが挙げられるが、本発明は、係る例示のみに限定されるものではない。溶媒の量は、単量体混合物の濃度、目的とするアクリル系共重合体の分子量などに応じて適宜決定することが好ましい。
【0025】
アクリルアクリレート樹脂を合成するための重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、係る例示のみに限定されるものではない。重合開始剤の量はモノマー混合物100質量部あたり、通常、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。
【0026】
モノマーを重合させる際の重合温度は、通常、好ましくは40〜200℃、より好ましくは40〜160℃である。モノマーの重合時間は、重合温度、モノマー混合物の組成、重合開始剤の種類およびその量などによって異なるので、適宜決定する。
【0027】
共重合体(A−1)と化合物(D−1)との反応は、加熱条件下で混合撹拌する方法が挙げられる。重合体(A−1)と化合物(D−1)との反応割合は、共重合体(A−1)中のエポキシ基1モルに対して、化合物(D−1)中のカルボキシル基のモル数が1.0モル以上であることが好ましい。共重合体(A−2)と化合物(D−2)との反応条件についても同様である。
【0028】
アクリルアクリレート樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基当量((メタ)アクリロイル基1当量当たりの質量(g/eq.))は、2,000〜40,000とする。当該範囲とすることにより、積層体を加熱して成型する際の伸び率を高め、加熱成型時の罅割れを効果的に防止できる。より好ましい範囲は5,000〜20,000である。なお、(メタ)アクリロイル基当量とは、一分子中の(メタ)アクリロイル基の数で重量平均分子量を除して求められる値である。
【0029】
アクリルアクリレート樹脂(A)は、硬化層の破断伸び率を高め、成型加工性を良好にする観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。アクリルアクリレート樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、インキの粘度を容易に調整する観点から、5,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。また、インキの粘度が印刷に適していればよく、重量平均分子量の異なるアクリルアクリレート樹脂(A)をブレンドしてもよい。この場合の好適な重量平均分子量は前述の範囲に限定されない。例えば、重量平均分子量が5,000以下の比較的低い成分と、重量平均分子量が100,000以上の高い成分を混合してもよい。アクリルアクリレート樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、開始剤量、反応温度、モノマー濃度、溶媒等を調整することにより容易に調整できる。
【0030】
アクリルアクリレート樹脂(A)は、酸価を有していてもよい。酸価を有することで、着色剤との分散性を促進させることができる。その結果、高品質の印刷を可能にする。また、例えばスクリーン印刷の際の目詰まりを防止して意匠性の高い印刷層を提供できる。顔料分散性を高める観点から、アクリルアクリレート樹脂(A)の酸価は10mgKOH/g以上であることが好ましい。
【0031】
アクリルアクリレート樹脂(A)に酸価を付与する方法としては、単量体として酸価を有するモノマーを含めて共重合する方法が例示できる。酸価を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0032】
アクリルアクリレート樹脂(A)は、アクリルウレタン樹脂に比して分子設計が容易である。例えば、側鎖のエステルを変更することにより、酸価、Tg、分子量等を容易に調整できる。また、アクリルアクリレート樹脂(A)は、官能基を導入しやすく、酸価を調整しやすいので、着色剤分散性をコントロールしやすいというメリットを有する。また、アクリルアクリレート樹脂(A)の一部にスチレン等のユニットを導入しやすいので、顔料との分散性を高めることが容易である。また、アクリルアクリレート樹脂(A)によれば、アクリルウレタン樹脂に比して密着性および耐候性の点においても優れている。
【0033】
<反応性希釈剤(B)>
反応性希釈剤(B)は、前述したように希釈剤としても機能し、且つ活性光線照射によりアクリルアクリレート樹脂中の(メタ)アクリロイル基と架橋し得るラジカル重合性二重結合を有する。反応性希釈剤(B)として1〜3官能(ラジカル重合性二重結合が1〜3個)の化合物を用いることが好ましい。硬化層の架橋密度を均一にし、且つ加熱成型時の積層体の伸びを高める観点から、(メタ)アクリロイル基を1つ有する反応性希釈剤(B)を用いることが好ましい。
【0034】
反応性希釈剤(B)の添加量は、希釈性および反応性(硬化性)を考慮して決定する。活性光線の際の硬化性を良好に保ち、適度なインキ流動性を確保する観点から、アクリルアクリレート樹脂(A)100質量部に対して、反応性希釈剤(B)の含有量は通常20〜300質量部である。より好ましい範囲は30〜200質量部である。
【0035】
反応性希釈剤(B)は特に限定されないが、アクリルアクリレート樹脂(A)に用いられる(メタ)アクリレート系モノマーと同様のモノマーや、以下の化合物を例示できる。単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4−アクリロイルモルホリン、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールパーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピレン(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、カプロラクトン変性物が例示できる。
【0036】
多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート(通称MANDA)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、カプロラクトン変性物が例示できる。
【0037】
アクリルアクリレート樹脂(A)の含有量は、成型加工性と硬化性観点から、インキ全体に対して15〜60質量%が好ましい。
【0038】
<光重合開始剤>
活性光線照射型インキには、アクリルアクリレート樹脂(A)と反応性希釈剤(B)を活性光線照射により架橋させるために光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤は必須成分ではなく、光重合開始剤によらずにアクリルアクリレート樹脂(A)と反応性希釈剤(B)との架橋反応が進行する場合には、添加しなくてもよい。光重合開始剤は、活性光線照射により活性光線硬化型インキの硬化を開始する役割を担う。光重合開始剤は公知公用の光重合開始剤を制限なく用いることができる。
【0039】
例えば、ベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン-1-オン等が挙げられる。
【0040】
<着色剤>
活性光線硬化型インキには、通常、顔料または/およびフィラーを添加する。但し、透明層を形成する場合等において、顔料または/およびフィラーを含まない態様も含む。例えば、基材上に多色刷り印刷を行い、最表層に透明層を保護層やニス層として形成することができる。また、基材層に透明層のみを形成するためのインキも本発明の活性光線硬化型インキに含むものとする。
【0041】
顔料としては、例えば亜鉛華、鉛白、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモンなどの白色顔料;黄鉛、亜鉛黄、クロム酸バリウム、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄、鉛シアナミド、鉛酸カルシウム、ナフトールイエローS、ハンザイエロー10G、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローG、ハンザイエローGR、ハンザイエローA、ハンザイエローRN、ハンザイエローR、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、パーマネントイエローNCG、バルカンファーストイエロー5G、バルカンファーストイエローR、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アントラゲンイエロー6GL、パーマネントイエローFGL、パーマネントイエローH10G、パーマネントイエローHR、アンスラピリミジンイエロー、クロモフタールイエロー3G、ノバパームイエローH2Gなどの黄色顔料;赤口黄鉛、クロムバーミリオン、スダーンI、パーマネントオレンジ、リソールファストオレンジ3GL、パーマネントオレンジGTR、ハンザイエロー3R、バルカンファストオレンジGG、バルカンファストオレンジG、ペルシアンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジGK、インダンスレンブリリアントオレンジRK、インダンスレンブリリアントオレンジGR、ノバパームオレンジHLなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバー、パーマネントブラウンFG、パラブラウンなどの褐色顔料;べんがら、鉛丹、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリーレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、洋朱、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R、パーマネントレッドF4R、パーマネントレッドFRL、パーマネントレッドFRLL、パーマネントレッドF4RH、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB、バルカンファストピンクG、ライトファストレッドトナーB、パーマネントカーミンFB、ピラゾロンレッド、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、アンソシンBレーキ、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGK、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2R、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、パーマネントレッドFGR、PVカーミンHR、ウオッチングレッドMn、クロモフタールレッドBR、モノライトファストレッドYS、パーマネントレッドBL、パーマネントカーミンFBB、パーマネントレッドF5RK、PVカーミンHF3C、PVカーミンHF4C、PVファストレッドHF4B、パリオゲンレッド3910、硫化水素カドミウム、パーマネントピンクE、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色顔料;マンガン紫、コバルト紫、ファーストヴァイオレットB、メチルヴァイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレットなどの紫色顔料;群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、呉須、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ファナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーRS、インダンスレンブルーBC、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ビリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ポリクロルブロム銅フタロシアニンなどの緑色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、アニリンブラック、黒鉛、鉄黒、ミネラルブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料;パライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ粉、微粉珪酸、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白などの体質顔料;珪酸亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの蛍光塗料;アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、鉛粉、亜鉛粉などの金属粉顔料などが例示できる。
【0042】
<その他の成分>
活性光線硬化型インキは、前述した様に無溶剤で用いることができる。なお、ここでいう無溶剤型には、合成上の過程等において不可避的に含まれる溶剤は考慮しないものとする。また、例えば、用途や印刷法により粘度調整等を目的として、活性光線硬化型インキにおいて溶剤を含むことを排除するものではない。
【0043】
印刷法や被印刷物の用途に応じて、その分野で通常使用されている添加剤を本発明の効果が損なわれない範囲で配合することができる。例えば光開始助剤、増感剤、活性光線硬化触媒、充填剤、ワックス、レベリング剤、艶消し剤、消泡剤、分散剤、表面調整剤、帯電防止剤、重合禁止剤、酸化防止剤、導電剤、シリコン、難燃剤、可塑剤、熱伝導改良剤、シランカップリング剤などの添加剤が例示できる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、イナート(非反応性)樹脂を添加することができる。
【0044】
前記光重合開始助剤、増感剤としては、脂肪族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0045】
イナート樹脂としては、(メタ)アクリロイル基を有さない樹脂をいい、(メタ)アクリロイル基を側鎖に有さない(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロースエステル樹脂等を挙げることができる。
【0046】
<基材>
本実施形態の基材は、活性光線硬化性インキを印刷する被印刷物であり、形成された印刷層の硬化層と共に加熱成型可能な素材であればよく、特に限定されない。好適な例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が例示できる。単層から構成されている場合の他、積層体から構成されていてもよい。基材の形状は、加熱成型可能である限りにおいて限定されない。好適な例としてはシート状基材が挙げられる。基材の素材としては、プラスチック、金属基材等が挙げられる。
【0047】
金属基材としては、スチール、ステンレススチール、アルミニウムなどの金属基材;各種メッキを施した金属基材;各種プラスチックをプレコートまたはラミネートした金属基材などが挙げられる。プラスチック基材としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどのフィルム、シート、ボードなどやそれらの表面処理基材が例示できる。これらは、単独で用いても複数層の積層体でもよい。例えば、ポリカーボネート(PC)上にポリメチルメタクリレート(PMMA)が共押し出しされたPMMA/PCフィルムや、ポリカーボネートフィルムとポリエステルフィルムが接着剤でラミネートされたフィルムなどを用いることもできる。
【0048】
基材の形状は、成型加工が可能であれば特に限定されないが、シート状であることが好ましい。基材の厚みは、成型加工が可能であれば特に限定されないが、成型加工性および耐久性の観点から、通常50〜1,000μm程度である。基材は、単層の他、複層とすることができる。
【0049】
印刷は、基材の片面または両面に行うことができる。基材の片面に印刷する場合、印刷層との非対向側の基材に被着体と接合するための接着層を積層してもよい。また、積層体の最表面を保護するために、加熱成型時まで離型フィルムを積層しておいてもよい。
【0050】
本実施形態の活性光線硬化型インキによれば、ウレタンアクリレートを用いるインキに比して、分子設計の自由度を高めることができる。ウレタンは、その反応性の高さ故に酸価を制御することは難しかった。本実施形態の活性光線硬化型インキによれば、着色剤との分散性を高めるために、アクリルアクリレート樹脂中に水酸基やカルボキシル基等の官能基を適宜導入することが容易である。
【0051】
更に、本実施形態の活性光線硬化型インキによれば、前述したように無溶剤で用いることが可能なので、乾燥工程が不要であり、高生産性を実現できる。また、環境負荷低減を図ることができる。
【0052】
[積層体およびその製造方法]
本実施形態に係る積層体は、基材と、本実施形態に係る活性光線硬化型インキを基材上に印刷して活性光線により硬化せしめられた印刷層とを少なくとも有する。印刷層は、単層または多層からなる。また、基材と印刷層の積層体のみからなる態様の他、接着剤層や粘着剤層等の他の機能層を積層した態様を含む。
【0053】
積層体の加熱時の破断伸び率は、加熱時において50%以上であることが好ましい。伸び率が50%以上であることで、成型時の型に追従し、容易に成型することができる。ここで「伸び率」とは、試料の元の長さに対してどの程度伸長したかを示す。例えば、0%が全く伸びていないことを示し、100%は試料が元の2倍の長さ(元の長さが10mmであれば、10mm伸ばされ全体の長さが20mm)まで伸びたことを示す。加熱温度は、100℃〜300℃とする。なお、100〜300℃の温度範囲のいずれかにおいて伸び率が50%以上であればよい。
【0054】
以下、積層体の製造方法について説明するが、以下の製造方法に限定されないことはいうまでもない。まず、本実施形態に係る活性光線硬化型インキおよび基材を用意する。次いで、基材上に活性光線硬化型インキを印刷する(印刷層形成工程)。印刷法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷などの印刷法を適用できる。この中でもスクリーン印刷が好ましい。その後、活性光線を照射する(硬化層形成工程)。通常、印刷後、直ちに活性光線が照射される。基材が活性光線透過性の場合には、基材側から照射してもよい。印刷層の1層当たりの厚みは、用途に応じて適宜設計し得るが、通常、0.5〜50μm程度である。最外層は、透明保護層として所望の領域全体を被覆してもよい。
【0055】
活性光線照射時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト、紫外線発光ダイオード、自然光、走査型またはカーテン型電子線加速器等が用いられる。高圧水銀灯の場合は、例えば5〜3000mJ/cm、好ましくは、300〜1500mJ/cmの条件で行なわれる。硬化層形成工程後または硬化層形成と同時に、加熱して成型する(加熱成型工程)。活性光線照射時に完全な硬化層としてもよいし、活性光線照射時に半硬化させ、加熱成型時に再硬化させてもよい。また、硬化と加熱成型を同時に行ってもよい。多層刷り印刷を行う場合には、印刷、活性光線照射工程を繰り返し行う。
【0056】
本実施形態の積層体によれば、アクリルアクリレート樹脂を用いているので基材との密着性が良好である。また、加熱時の伸び率が優れているため、加熱成型時の加工追随性に優れる。また、多色の印刷層間に親和性(密着性)を与えることができるのでバックトラッピングが生じず、意匠性に優れた印刷層を提供できる。また、側鎖に(メタ)アクリロイル基を1つ有する単量体ユニットを有するアクリルアクリレート樹脂を用いることにより、架橋密度を低減させることによって加熱時の破断伸び率を高め、より均質な印刷層を提供できる。これらのことから、本実施形態の活性光線硬化型インキは、1回刷りの印刷のみならず、例えば2〜10回の多色刷り印刷に好適である。
【0057】
本実施形態の積層体によれば、成型前に光硬化させるので、成型体の形状によらずに一括して硬化を進行させることができる。また、成型体のサイズや形状に応じて適切にカットできるので、汎用性が高く、生産性に優れる。
【0058】
[成型体およびその製造方法]
本実施形態に係る成型体は、本実施形態の積層体の加熱成型物を少なくとも有する。成型体は、基材と印刷層の積層体のみからなる成型体の他、被着体と基材を接合した成型体を含む。
【0059】
基材と印刷層の積層体のみからなる成型体としては、自動販売機のダミー缶、レストラン等の展示用メニュー、玩具、食品包装容器、トレー、ブリスター包装、看板、ペットボトル等のラベルに使用する熱収縮性のシュリンク包装等の立体造形物が例示できる。また、金属調やピアノブラック調のインパネデコレーションパネルや、シフトゲートパネル、ドアトリム、エアコン操作パネル、カーナビゲーション等の自動車の内装部品として、あるいは自動車前後部のエンブレムや、タイヤホイールのセンターオーナメント、ネームプレート等の外装部品として用いられる。
【0060】
被着体と基材を接合した成型体としては、前記例の他、自動車、航空機、船舶のダッシュボード、建材、電子部品、電化製品などが例示できる。被着体との接合は、基材および印刷層の加熱成型と同時に接合もしくは加熱成型後に接合することができる。基材の最表層に、被着体と接合するための接着剤層を有していてもよい。
【0061】
次に、成型体の製造方法について説明するが、以下の製造方法に限定されないことはいうまでもない。
【0062】
まず、本実施形態に係る積層体を用意する。次いで、加熱しながら成型を行う。この際、予備加熱を行ってもよい。成型加工は、例えば熱高圧成型、圧縮成型、圧空成型、真空成型、インサート成型、インモールド成型、射出成型等により行う。積層体を所望の形状に予備成型した後、積層体が最外層になるように、プラスチックを射出成型し、被着体と一体化した成型体を得ることもできる。或いは、プラスチック、金属から成型体を得ておき、該成型体の表面に、成型前の積層体、もしくは予備成型後の積層体貼り付け、被着体と一体化した成型体を得てもよい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は質量部を、%は質量%(但し破断伸び率の%は除く)を其々示す。
【0064】
(合成例1A(アクリルアクリレート樹脂1A))
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを685部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら昇温した。フラスコ内の温度が80℃になったらこの温度を合成温度として維持し、メタクリル酸を12部、メタクリル酸メチルを210部、メタクリル酸イソブチルを78部、ターシャリーブチルパーオキシ2エチルヘキサノエートを15部混合したモノマー溶液を2時間掛けて滴下した。モノマー滴下終了1時間後から1時間毎に、ターシャリーブチルパーオキシ2エチルヘキサノエートを0.3部ずつ加えて反応を続け、溶液中の未反応モノマーが1%以下になるまで反応を続けた。未反応モノマーが1%以下になったら冷却して反応を終了した。その後、上記溶液に、グリシジルメタクリレートを8.7部およびトリフェニルホスフィン1.0g、メチルハイドロキノン1.0gを加えて、100℃で空気/窒素の混合雰囲気下で10時間反応させた。反応終了後、減圧蒸留にて溶媒を留去してアクリルアクリレート樹脂1Aを得た。アクリルアクリレート樹脂1Aは、(メタ)アクリロイル基当量:5,000、ガラス転移温度:80℃、酸価:14mgKOH/g、重量平均分子量:5,000であった。
【0065】
《重量平均分子量(Mw)の測定》
重量平均分子量は、昭和電工社製 Shodex GPC−104/101システムを用いて測定した。
カラム Shodex KF−805L+KF−803L+KF−802
検出器 示差屈折率計(RI)
カラム温度 40℃
溶離液 テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
試料濃度:0.2%
検量線用標準試料 TSK標準ポリスチレン
【0066】
《ガラス転移温度(Tg)の測定》
本実施例のアクリルアクリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率により、グリシジルメタクリレートと反応させる前の主鎖のTgを計算することにより求めた。
1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+…+(W/Tg
+W+…+W=1
式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg,Tg,…,Tgは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W,W,…,Wは各重合単量体の重量比率を表わす。なお、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定する方法もあるが、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の極性が近すぎたり、ブロックの単量体の連鎖数が少なすぎると、それら測定値と、前記Fox式による計算式とがずれる場合がある。
【0067】
《酸価(AV)の測定》
共栓付き三角フラスコ中に樹脂溶液を約1g精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液50mLを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした。
酸価(mgKOH/g)=(a×F×56.1×0.1)/S
S:試料の採取量×(試料の固形分/100)(g)
a:0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(mL)
F:0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0068】
(合成例1B〜1Mおよび(アクリルアクリレート樹脂1B〜1M))
合成例1Aに対して一部条件を変更し、アクリルアクリレート1B〜1Mを合成した。合成例1Aと同じ比率で、メタクリル酸、メチルメタクリレート、メタクリル酸イソブチルを混合し、表1に記載した重量平均分子量となる様、反応温度、溶剤に対するモノマー比率、開始剤濃度を適宜変更し、主鎖となるアクリル樹脂を合成した。また、表1に記載した(メタ)アクリロイル基当量となる様に、グリシジルメタクリレート濃度を適宜変更し、アクリルアクリレート樹脂1B〜1Mを得た。
【0069】
【表1】
【0070】
<活性光線硬化型インキの調製>
(実施例1)
アクリルアクリレート樹脂40部(固形分)に、単官能モノマーである4-アクリロイルモルホリン(ACMO(KJケミカルズ社製))を50部、開始剤である2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(IGM RESIN社製)を4部、同じく開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(IGM RESIN社製)を5部加え、更に消泡剤として信越シリコンKS69(信越シリコン社製)を1部、顔料30部を加えて撹拌し、実施例1に係る活性光線硬化型インキを得た。
【0071】
(実施例2〜17、比較例1〜6)
表2、表3に示す組成に従い、各実施例および各比較例に係る活性光線硬化型インキを得た。表中の記号は、実施例1または以下のとおりである。
・IBXA:イソボルニルアクリレート
・TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
・TPO:2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド
・イルガキュア184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン
・二酸化チタン:タイペークCR80
・フタロシアニン顔料:LIONOL BLUE FG−7330
・2A:紫光UV3520AC(日本合成化学工業社製)
・2B:紫光UV3700B(日本合成化学工業社製)
・2C:紫光UV3200B(日本合成化学工業社製)
・3A:ダイヤナールBR115(三菱レイヨン社製)
【0072】
<積層体の製造>
ポリカーボネートからなる500μm厚の基材に、各実施例および比較例に係る活性光線硬化型インキについて、ポリエステル素材の380メッシュの版を用いて其々スクリーン印刷し、積層体を得た。印刷層の積層数を2層とし、各層の厚みを10μmとした。光源はメタルハライドランプ(アイグラフィック社製)を用いた。120W/cm、コンベアースピード5m/分、1灯の条件でUV照射した。以下の硬化性評価を除く各サンプルの積算光量は約1000mJ/cmとした。
≪硬化性の評価≫
硬化性は、印刷層を1層得るための最少露光量から評価した。即ち、インキ表面を指で触った時に、インキ面が指に貼りついて基材が持ち上がる事のない状態になるまでの露光量である。なお、Aは優良、Aは良好、Bは実用範囲外を示す(以下同様)。
:最小露光量が300mJ/cm以下。
A:最小露光量が300mJ/cm超、500mJ/cm以下。
B:最小露光量が500mJ/cm超。
【0073】
得られた積層体について、伸び率、密着性、重ね擦り性、耐候性、成型加工性およびレベリング性を評価した。これらの結果を表3に示す。
【0074】
≪成型加工性≫
得られた積層体を、上下2室のチャンバーボックスに分かれた真空成型機の真ん中に、印刷面が下に向くようにセットする。下チャンバーボックスには成型金型をセットする。成型金型は、80mm角の大きさで、立ち上がり100mm、コーナー部が3Rのトレー状である深絞り成型用の金型を用いた。次に真空ポンプでチャンバーボックス内を真空状態にする。チャンバー上部の加熱ヒーターを点灯し、積層体の表面温度が230℃になるまで加熱を続ける。積層体が熱軟化し、垂れ下がり状態になった時に、下チャンバーボックスの金型を上昇させて、金型を積層体が覆った状態にする。
次に、上チャンバーボックスを大気開放状態にする。積層体は気圧差により、金型に密着する。上チャンバーボックスに圧縮空気を送入することにより、積層体は更に大きな力で金型に密着させられる。下チャンバーボックスを大気圧状態に戻し、上チャンバーボックスを上昇させ、冷却してから、金型から予備成型物を取り出す。得られた成型された積層体ムについて、その外観(成型加工性)を下記の基準で評価した。
:伸び率が300%以上。
A:伸び率が50%以上、300%未満。
B:伸び率が50%未満。
【0075】
≪密着性の評価≫
得られた積層体の印刷層(硬化後のインキ層)の面で、JIS K−5400に準じて碁盤目セロハンテープ剥離法により試験を行い、100枡中の塗膜の残存数により評価した。
:80以上〜100以下。
A:50以上〜80未満。
B:0以上〜50未満。
【0076】
≪重ね刷り性評価≫
積層体に印刷された一層目の印刷層と、二層目の印刷層の間の層間密着性を、JIS K−5400に準じて碁盤目セロハンテープ剥離法により試験を行い、100枡中の塗膜の残存数により評価した。
:80以上〜100以下。
A:50以上〜80未満。
B:0以上〜50未満。
【0077】
≪耐候性評価≫
試験前と試験後の積層体の印刷面を反射濃度計にてL*a*b*試験前のb*値と試験後のb*値の差(△b*)から耐候性を評価した。
Gretag Macbeth社製SpectroEyeを用いて試験片の中から3か所を測定し、平均値を求めた。
:△b*<0.5
A:0.5<△b*<1.0
B:△b*>1.0
【0078】
≪レベリング性評価≫
塗膜表面を目視観察し、印刷面に対する、版の貼りつきに起因するメッシュ痕の有無を調査した。
:メッシュ痕が全く無い。
A:全体の10%未満にメッシュ痕が見られる。
B:全体の10%以上にメッシュ痕が見られる。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
実施例に係る活性光線硬化型インキによれば、乾燥工程を別途必要とせず、着色剤分散性を向上させることができた。また、連続印刷を行っても、版が目詰まりすることなく、生産性が良好であった。また、耐候性および密着性に優れていることを確認した。更に、成型後の印刷層の視認性に優れていることを確認した。