【実施例】
【0035】
本発明の第1の実施例による弾性体ローラーを、前記プラテンローラー17(
図6)と同様に、サーマルプリンター8におけるプラテンローラー30(ラベル用弾性体ローラー)として構成した場合を例に取って
図1および
図2にもとづき説明する。ただし、
図5および
図6と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、プラテンローラー30の斜視図、
図2は、プラテンローラー30の軸方向要部拡大断面図であって、プラテンローラー30は、ローラーシャフト21と、このローラーシャフト21の周囲に取り付けるとともに一体的に回転可能な弾性材22と、を有するとともに、この弾性材22にラベル(たとえば前述の台紙なしラベル1、
図5)を接触させて移送するものである。
【0036】
弾性材22は、ローラーシャフト21の外周に設けた円柱状の内層側弾性材23と、この内層側弾性材23の外周に一体的に設けて台紙なしラベル1に接触する被覆層24(外層側弾性材)と、を有する。内層側弾性材23は、ローラーシャフト21側から順に形成した基底層23aおよび中間層23bを有する。
プラテンローラー30の表面には溝(内層溝31、被覆層溝33、
図2にもとづき後述)を形成してある。
【0037】
先に、材料について説明する。
内層側弾性材23(基底層23aおよび中間層23b)は、これを熱可塑性弾性部材や熱硬化性弾性材料から構成することができる。
内層側弾性材23を構成する合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブデン、結晶性ポリブタジエン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アイオノマー、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、1,2−ポリブタジエン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂を使用することができる。
また、たとえば、熱硬化性のシリコーンゴム、一液型RTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴム、二液型RTVゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable)シリコーンゴム、耐油性熱硬化性ゴムなどの熱硬化性弾性材料を用いることができる。なかでもミラブル型シリコーンゴムが好適である。
【0038】
内層側弾性材23を構成する基底層23aおよび中間層23bとも、その硬度(JIS K 6253規格に規定するデュロメータータイプAによるゴム硬度、以下「A硬度」)を30〜80度としている。
A硬度が30度未満では、台紙なしラベル1などの帯状部材を移送案内するプラテンローラー30としては柔らかすぎ、すなわち、接触摩擦力が過剰となって、プラテンローラー30としての移送機能に支障が生ずる。また、サーマルプリンター8(
図6)における印字品質が低下する。
A硬度が80度をこえると、プラテンローラー30として硬くなりすぎ、グリップ力が小さくなって移送力および移送精度が低下する。
なお、JIS K 6253規格に規定するデュロメータータイプAによるゴム硬度は、ISO−7619−1、ASTM D 2240に対応する規格である。
ここに本明細書の一部を構成するものとして、JIS K 6253規格、ISO−7619−1規格、ASTM D 2240規格のすべての記載内容を援用する(incorporation by reference)。
【0039】
基底層23aのJIS K 6253規格に規定するデュロメータータイプAによるゴム硬度は60〜80度、中間層23bのゴム硬度は30〜40度であり、基底層23aの方が硬度が高く、硬い。
基底層23aのゴム硬度が60度未満の場合はプラテンローラー全体としての強度が不十分になる恐れがある。80度をこえる場合は硬くなりすぎて外圧を吸収、緩和できず、被覆層24の摩耗を招く恐れが生じる。
中間層23bのゴム硬度が30度未満の場合は台紙なしラベル1その他の帯状部材を押さえきれず、印字精度や、印字品位が低下する恐れがある。40度をこえる場合は被覆層24と硬さが乖離して被覆層24の摩耗低減に寄与しなくなる恐れがある。
基底層23aの厚さとしては、プラテンローラー30の全体径にもよるが、片肉0.5〜8.0mm、中間層23bの厚さは、片肉0.3〜5.0mmであることが好ましい。この厚さは基底層23aに比較して軟質にしたことによる特徴が発揮される厚さである。より望ましくは片肉0.5〜2.0mmである。
【0040】
なお、内層側弾性材23の中間層23bは、JIS K 6252規定の引裂試験(切り込み無しアングル形試験片を用いた引裂試験)による引裂強度を25N/mm以上としている。
引裂強度が25N/mm未満の場合は十分な耐久性が得られない恐れがある。また、引裂強度は高い方が望ましいが、単に引裂強度を高くすると、硬度や伸びなどの他の物理特性が損なわれることがあり、その上限は50N/mm程度に留めておく。特性のバランスを考慮すると、27〜45N/mmであることが望ましい。
JIS K 6252規定の引裂試験(切り込み無しアングル形試験片を用いた引裂試験)は、ISO 34−1、ISO 34−2に対応する規格である。
ここに本明細書の一部を構成するものとして、JIS K 6252規格、ISO 34−1規格、ISO 34−2規格のすべての記載内容を援用する(incorporation by reference)。
【0041】
被覆層24は、C硬度(SRIS 0101規格に規定するスプリング式アスカーC型による硬度)が20度以下の熱硬化性シリコーン樹脂その他のシリコーン樹脂からこれを構成している。
シリコーン樹脂としては、たとえば、シリコーンゲルと呼ばれるシリコーン樹脂や、RTV(Room Temperature Vulcanizing)液状シリコーンゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable)液状シリコーンゴム、紫外線硬化型の液状シリコーンゴム、熱硬化性の液状シリコーンゴムなどを用いることができる。
【0042】
シリコーン樹脂は、本来的に非粘着性ないし剥離性を有しており、台紙なしラベル1などを押圧して移送しても台紙なしラベル1における粘着剤層3が貼り付いてしまうことを回避可能である。
熱硬化性のシリコーン樹脂は、熱硬化条件の調整および加工処理が比較的容易で、C硬度の設定も容易である。
【0043】
C硬度が20度以下であれば、シリコーン樹脂はゲル状で適度に柔らかく、台紙なしラベル1はもちろん、台紙付きラベルその他の帯状部材に対して必要な摩擦力(グリップ力)を有するとともに、耐摩耗性も優れている。
したがって、プラテンローラー30は、台紙なしラベル1や台紙付きラベルその他の帯状部材のいずれに対しても必要な剥離性およびグリップ力を有し、安定した移送案内機能を発揮可能である。
C硬度が20度をこえると、被覆層24の弾性がゴム材のそれに近づくため、その表面の粘着性が急激に上がってしまい、摩耗しやすくなる。
なお、SRIS 0101規格に規定するスプリング式アスカーC型による硬度(C硬度)は、低硬度測定のデファクトスタンダードとしてグローバルに用いられており、JIS K 7312と同等の規格である。
ここに本明細書の一部を構成するものとして、SRIS 0101規格、JIS K 7312規格のすべての記載内容を援用する(incorporation by reference)。
【0044】
被覆層24は、その厚さT(
図2)を10〜100μmとしている。
厚さTが10μm未満では、被覆層24に厚さのムラが生じて、安定した剥離性およびグリップ力を得ることが困難になる。
厚さTが100μmをこえると、プラテンローラー30における内層側弾性材23の被膜として脆くなり、裂けやすくなる。
【0045】
つぎに、プラテンローラー30表面の溝(内層溝31、被覆層溝33など)について
図1および
図2を用いて説明する。
プラテンローラー30は、内層側弾性材23(中間層23b)の円周方向に沿って複数本の断面(より正確には、プラテンローラー30の中心線を含む平面で切断した断面)V字形状の内層溝31を形成し、その外周に被覆層24を形成したものである。
内層側弾性材23(中間層23b)は、内層溝31それぞれの間を平坦な内層台状頂部32として形成している。
【0046】
内層側弾性材23の外周に形成された被覆層24には、内層溝31の位置に合わせ、その円周方向に沿う複数本の被覆層溝33が形成されている。被覆層溝33の断面は、ほぼV字形状になっている(
図2参照)。
被覆層24は、被覆層溝33それぞれの間を平坦な被覆層台状頂部34として形成している。
なお、内層溝31および被覆層溝33の断面形状としては、V字形状以外にも、U字形状ないしすり鉢形状、矩形状その他の多角形状とすることができる。
【0047】
内層溝31は、そのピッチPを500〜1500μmとしている。
内層溝31のピッチPが500μm未満では、互いに隣り合う内層溝31の間に形成する内層台状頂部32を加工することができる範囲がほとんどなくなる。
内層溝31のピッチPが1500μmをこえると、プラテンローラー30全体における内層溝31あるいは被覆層溝33の割合が低下し、台紙なしラベル1その他の帯状部材との接触面積が増加する傾向になり、プラテンローラー30としては、その剥離性が低下することを否めない。
【0048】
内層溝31は、その幅Wを25〜1300μm、好ましくは50〜500μmとしている。
内層溝31の幅Wが25μm未満では、台紙なしラベル1その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー30としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝31の幅Wが1300μmをこえると、プラテンローラー30が台紙なしラベル1などを粘着剤層3側から適正に押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター8の印字部12におけるラベル片1Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
【0049】
内層溝31は、その深さHを25〜500μm、好ましくは50〜400μmとしている。
内層溝31の深さHが25μm未満では、台紙なしラベル1その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー30としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝31の深さHが500μmをこえると、プラテンローラー30が台紙なしラベル1などを粘着剤層3側から押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター8の印字部12におけるラベル片1Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
【0050】
内層溝31は、その溝角度Gを40〜160度、好ましくは90〜150度としている。
内層溝31の溝角度Gが40度未満では、台紙なしラベル1その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー30としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝31の溝角度Gが160度をこえると、プラテンローラー30が台紙なしラベル1などを粘着剤層3側から押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター8の印字部12におけるラベル片1Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
【0051】
続いて、本発明による弾性体ローラーの非粘着性(剥離性)を評価する試験として、転がり角度試験(転がり角度の測定方法)について説明する。
平坦で水平な台板上に、先に
図5を用いて説明した台紙なしラベル1を、その粘着剤層3を上方に向けて固定する。試験の基準となる粘着剤にはエマルジョン系強粘着の粘着剤(厚さ20μm)を用いる。
粘着剤層3に試験体としてプラテンローラー30を載置し、さらにその上から、重量2Kgの重りを載せた状態で15秒間加重を加え、プラテンローラー30を台紙なしラベル1に接着する。
15秒経過後に重りを外し、プラテンローラー30の軸線に平行な台板の一端部を固定した状態で、他端部を徐々に上げて台板を傾斜させてゆく。
プラテンローラー30が下方に向かって転動し始めた時点で台板の傾斜を停止し、この時点での台板の傾斜角度を読み取る。この傾斜角度が転がり角度となる。
傾斜角度(転がり角度)が小さく、転がりやすいプラテンローラー30が非粘着性が高く、台紙なしラベル1の移送に適していることになる。
本発明者が行った実験によれば、弾性体ローラーにより台紙なしラベル1を距離20Km移送した状態で、この転がり角度が30度以内、好ましくは15度以内であれば、この弾性体ローラーは、たとえばサーマルプリンター8(
図6)におけるプラテンローラー17やニップローラーとして実際の運用に問題がないという知見が得られている。
【0052】
こうした構成のプラテンローラー30を用いて、台紙なしラベル1および台紙付きラベルを移送する実験を行った。
基底層23aとしてA硬度が70度、中間層23bとしてA硬度が30度でその引裂強度が36N/mmであるシリコーンゴムを用い、その外周に厚さTが50μmで、C硬度が15度の熱硬化性シリコーン樹脂(シリコーンゲル)による被覆層24を形成するとともに、内層溝31のピッチPを750μm、幅Wを410μm、深さHを75μm、溝角度Gを145度としたプラテンローラー30を作成した。
また、比較のため、弾性材としてA硬度が45度、引裂強度が25N/mm未満であるシリコーンゴムだけで構成し、上記と同様の寸法による内層溝31を形成したのみで、被覆層24を形成していないプラテンローラー(比較品)を準備し、台紙なしラベル1および台紙付きラベルを移送する実験を行った。
【0053】
本発明によるプラテンローラー30では、台紙なしラベル1を20Km移送した後に前述した方法で転がり角度を測定したところ13度未満であった。同様に、台紙付きラベルを正常に20Km移送した後に転がり角度を測定したところ9度未満であった。いずれも弾性体ローラーとして台紙なしラベル1を移送する際の剥離性、および台紙付きラベルを移送する際のグリップ力が十分であることが分かった。
また、台紙なしラベル1を距離20Km移送した後のプラテンローラー30の摩耗率は0.05%以下、台紙付きラベルを距離50Km走行させた後のプラテンローラー30の摩耗率は0.5%以下であり、十分な耐磨耗性を有していることが判明した。
これらの試験結果より、ローラーシャフト21側から外周に向かって順に硬度を低下させるとともに、中間層23bの引裂強度が36N/mmであるシリコーンゴムを用いて耐摩耗性等の耐久性を得、外周に形成したC硬度が15度の熱硬化性シリコーン樹脂(シリコーンゲル)による被覆層24で剥離性を確保するという相乗効果が確認された。
【0054】
一方、比較品(A硬度が45度、引裂強度が25N/mm未満であるシリコーンゴムのみで、被覆層24を形成していない)であるプラテンローラーで台紙なしラベル1の移送を行ったところ、シリコーンゴム自体に剥離性があるため、移送試験開始直後は正常な移送が可能であったが、0.5Km移送した時点で台紙なしラベル1が巻き付いた。この時点で比較品のプラテンローラーの転がり角度を測定したところ、試験機の台板を70度傾斜させても粘着剤層にプラテンローラーが貼り付いたままであり、長尺の移送に使用できないことがわかった。また、台紙付きラベルを移送した場合は、スリップが発生し、規定長さを移送することができず、プラテンローラーとして十分なグリップ力が無いことが判明した。
【0055】
かくして、内層側弾性材23の中間層23bに内層溝31を形成し、被覆層24に被覆層溝33を形成するとともに、中間層23bの引裂強度や内層溝31の大きさを規制することにより、台紙なしラベル1や台紙付きラベルを移送するために必要な剥離性およびグリップ力さらには耐摩耗性を兼ね備えた弾性体ローラー(プラテンローラー)が得られた。
【0056】
なお、印字試験用として、長さが2inch、ローラーシャフト21の直径が5mm、基底層23aの片肉1.5mm、中間層23bの片肉1.0mm、被覆層24の厚さTが50μmの本発明によるプラテンローラー30を準備し、サーマルプリンター8の印字部12においてサーマルヘッド16とプラテンローラー30の間の印字圧力をたとえば1.0〜2.0Kg/2inchに設定して、台紙なしラベル1を挟持して移送印字したところ、印字のかすれや抜けは発生せず、印字精度に問題がないことが判明した。
【0057】
図3は、本発明の第2の実施例による弾性体ローラー(中央が膨らんだプラテンローラー40)の斜視図である。
このプラテンローラー40は、ローラーシャフト21の軸方向に直交する面内の直径を、ローラーシャフト21の軸方向に沿う中央部から両端部に向けて漸減させたものである。すなわち、第1の実施例によるプラテンローラー30(
図1)の中央部を膨らませた形状になっている。
プラテンローラー40は、所謂タイコ形をしている以外は、弾性材22を構成する内層側弾性材23(基底層23a、中間層23b)および被覆層24とも第1の実施例と同一の材料を用いている。内層溝31、被覆層溝33、内層台状頂部32、被覆層台状頂部34も同様である。
ただし、プラテンローラー40の軸方向中央部の直径と両端部の直径との差を、10〜250μmにしてある。
【0058】
このプラテンローラー40は、サーマルプリンター8の印字部12の幅(サーマルヘッド16とプラテンローラー17の幅)に対して幅が狭いラベルを印字移送する際に有効になる。たとえば、4インチプリンターの印字有効幅は104mmであるが、この印字部12中央に幅が40mmのラベル(台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベル)をセットして印字移送すると、ラベルを挟んでいない部分ではプラテンローラー17とサーマルヘッド16とが直接擦れるため、負荷が増大したり、摩耗の原因になる。その際、中央部が膨れたプラテンローラー40を用いると、プラテンローラー40の両端部とサーマルヘッド16との接触が緩和され、または接触しなくなり、印字移送の安定とプラテンローラー40の長寿命化が達成される。
【0059】
図4は、本発明の第3の実施例による弾性体ローラー(一端部と他端部とで直径が異なるプラテンローラー50)の斜視図である。
このプラテンローラー50は、ローラーシャフト21の軸方向に直交する面内の直径を一定とせず、軸方向の一端部50Lと他端部50Rとで異ならせたものである。
図4に示すように、プラテンローラー50の中央部よりも他端部50R寄りの位置を最大直径部50Mとし、太さを片寄せした形状になっている。片寄せした以外は、弾性材22を構成する内層側弾性材23(基底層23a、中間層23b)および被覆層24とも第1の実施例と同一の材料を用いている。内層溝31、被覆層溝33、内層台状頂部32、被覆層台状頂部34も同様である。
なお、最大直径部50Mの直径と、最小直径である一端部50Lの直径との差は10〜250μmである。
【0060】
このプラテンローラー50は、サーマルプリンター8の印字部12の幅(サーマルヘッド16とプラテンローラー17の幅)に対して幅が狭いラベルを印字部12の片側に偏在させて印字移送する際に有効である。たとえば、4インチプリンターの印字有効幅は104mmであるが、この印字部12の片側に寄せて幅が40mmのラベル(台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベル)をセットして印字移送する。ラベルは最大直径部50Mを含む他端側周面51Rとサーマルヘッド16に挟まれて安定して移送印字される。一方、一端側周面50Lはラベルを挟んでおらず、プラテンローラー17とサーマルヘッド16とが直接擦れることになるが、このプラテンローラー50を用いることにより、プラテンローラー50の一端側周面50Lとサーマルヘッド16との接触が緩和されるか、または接触しなくなり、印字移送の安定とプラテンローラー50の長寿命化が達成される。
【0061】
なお、
図4では中央より他端部50R側に寄った位置を最大直径部50Mとし、その位置から一端部50Lおよび他端部50Rに向けて直径が漸減していく形状を示したが、最大直径部50Mの位置や、漸減の度合いは任意である。
また、他端部50Rから最大直径部50Mまで、すなわち他端側周面51Rの直径を一定にし、一端側周面51Lの直径だけを漸減させてもよい。
さらに、他端部50Rの直径を最大とし、一端部50Lに向かって直径を漸減させてもよい。
【0062】
前述した実施例では弾性体ローラーをプリンターのプラテンローラーとして用いる例を説明したが、剥離性(非粘着性)、グリップ性および耐摩耗性などを生かし、プラテンローラーの他にもたとえばガイドローラー、ニップローラーとしても使用可能である。これらの他、ラベルの自動貼付け機の貼付け(押付け)ローラー、印刷機や各種コーター、帯状物品の加工装置のガイドローラー、転向ローラー、駆動ローラーとしても利用可能である。