(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2乾燥部は、回転可能な加熱ローラを有し、前記開繊炭素繊維束を加熱ローラの外側表面に接触させた状態で該外側表面を走行させることにより、前記開繊炭素繊維束を乾燥させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維極細糸の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から用いられている乾式の開繊方式は、開繊炭素繊維の生産過程において、非常に径の小さな極細の線維屑が空気中に飛散する虞がある。
この極細の線維屑は人体に悪影響を及ぼす虞があるため、開繊炭素繊維を生産する空間を隔離する必要がある。
そのため、乾式の開繊方式には、環境面における問題と、生産設備が複雑になるという問題があった。
更に加えて、従来は開繊に必要なスリット処理が均質に正確に等間隔で連続してスリットできないという欠点があった。
【0007】
本発明者らは開繊を湿式方式とすることにより、開繊炭素繊維の生産過程において、非常に径の小さな極細の線維屑が空気中に飛散させないことに成功した。
従って、開繊炭素繊維の生産過程において、非常に径の小さな極細の線維屑が空気中に飛散することがないため、開繊炭素繊維を生産する空間を隔離する必要がなく、生産設備の簡便化に成功した。
また、スリット処理を正確に連続して行える装置を見出した。
【0008】
その結果、本発明者らは、湿式の開繊方式を用いた開繊炭素繊維極細糸の製造を一連で実施することができる開繊炭素繊維極細糸の製造装置の創出に至った。
すなわち、本発明者らは、従来技術の問題点を解決した、湿式の開繊方式を用いた、開繊炭素繊維極細糸の製造を一連で実施することができる開繊炭素繊維極細糸の製造装置を初めて開発した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、炭素繊維束を繰り出すための給糸部と、
炭素繊維開繊用水を貯留し、前記炭素繊維開繊用水に前記炭素繊維束を浸漬させるための槽と、
前記炭素繊維開繊用水に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束を乾燥させるための第1乾燥部と、
乾燥させた前記開繊炭素繊維束に触媒を塗布するための塗布部と、
前記触媒が塗布された前記開繊炭素繊維束を乾燥させることによって開繊炭素繊維樹脂テープを得るための第2乾燥部と、
前記開繊炭素繊維樹脂テープを縦方向にスリットするためのスリット処理部と、
前記スリット処理部によりスリットされた複数本の前記開繊炭素繊維樹脂テープを撚って、開繊炭素繊維極細糸を形成するための撚糸部と
を備えることを特徴とする、開繊炭素繊維極細糸の製造装置に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記炭素繊維開繊用水は、酸化還元電位が−800mV以下の還元水であることを特徴とする、請求項1に記載の開繊炭素繊維極細糸の製造装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記槽は、該槽内で前記炭素繊維束を支持して搬送するための1以上の搬送ローラを備え、
前記搬送ローラの少なくとも1つは、周縁部の厚さよりも回転中心の部分の厚さの方が大きくなるように膨らんだ形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の開繊炭素繊維極細糸の製造装置に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記第1および第2乾燥部は、回転可能な加熱ローラを有し、前記開繊炭素繊維束を加熱ローラの外側表面に接触させた状態で該外側表面を走行させることにより、前記開繊炭素繊維束を乾燥させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維極細糸の製造装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記スリット処理部は、刃物固定ロールおよび刃物受けロールからなるスリットロールを備え、
前記刃物固定ロールは、1以上のスリット刃および前記開繊炭素繊維樹脂テープを押さえるための押圧部材を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維極細糸の製造装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、開繊炭素繊維極細糸の製造装置が、炭素繊維束を繰り出すための給糸部と、炭素繊維開繊用水を貯留し、前記炭素繊維開繊用水に前記炭素繊維束を浸漬させるための槽と、前記炭素繊維開繊用水に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束を乾燥させるための第1乾燥部と、乾燥させた前記開繊炭素繊維束に触媒を塗布するための塗布部と、前記触媒が塗布された前記開繊炭素繊維束を乾燥させることによって開繊炭素繊維樹脂テープを得るための第2乾燥部と、前記開繊炭素繊維樹脂テープを縦方向にスリットするためのスリット処理部と、前記スリット処理部によりスリットされた複数本の前記開繊炭素繊維樹脂テープを撚って、開繊炭素繊維極細糸を形成するための撚糸部とを備えているため、湿式の開繊方式を用い連続してスリットできる、開繊炭素繊維極細糸の製造が一連で実施することができる装置となる。
【0015】
さらに、請求項1に係る発明によれば、湿式の開繊方式により開繊炭素繊維極細糸を製造できるため、開繊炭素繊維の生産過程において、非常に径の小さな極細の線維屑が空気中に飛散する虞がない。
加えて、開繊炭素繊維極細糸の生産過程において、非常に径の小さな極細の線維屑が空気中に飛散する虞がないため、開繊炭素繊維を生産する空間を隔離する必要がなく、生産設備を簡便にすることができ、しかもスリットが正確に連続して速くできる。
また、従来の炭素繊維の極細糸の製造方法(すなわち、炭素繊維束を焼成して炭素繊維の極細糸を製造する方法)よりも、約15倍〜約20倍に開繊炭素繊維極細糸の製造効率を上げることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記炭素繊維開繊用水は、酸化還元電位が−800mV以下の還元水であるため、炭素繊維束を容易に平らに拡げることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記槽は、該槽内で前記炭素繊維束を支持して搬送するための1以上の搬送ローラを備え、前記搬送ローラの少なくとも1つは、周縁部の厚さよりも回転中心の部分の厚さの方が大きくなるように膨らんだ形状であるため、炭素繊維束をより容易に平らに拡げることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記第1および第2乾燥部は、回転可能な加熱ローラを有し、前記開繊炭素繊維束を加熱ローラの外側表面に接触させた状態で該外側表面を走行させることにより、前記開繊炭素繊維束を乾燥させるため、開繊炭素繊維束の水分を飛ばし、開繊炭素繊維束を容易に乾燥させることができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、前記スリット処理部は、刃物固定ロールおよび刃物受けロールからなるスリットロールを備え、前記刃物固定ロールは、1以上のスリット刃および前記開繊炭素繊維樹脂テープを押さえるための押圧部材を備えるため、開繊炭素繊維樹脂テープを容易に任意の幅で連続的にスリットすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る開繊炭素繊維極細糸の製造装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る開繊炭素繊維極細糸の製造装置の概略説明図である。
図2は、給糸部の概略説明図である。
図3は、給糸部における炭素繊維束を繰り出す機構の概略説明図である。
図4は、槽の概略説明図である。
図5は、槽における開繊作用を補助するための機構の概略説明図である。
図6は、第1及び第2乾燥部の概略説明図である。
図7は、塗布部の概略説明図である。
図8は、炭素繊維束、開繊炭素繊維束、および開繊炭素繊維樹脂テープの形態を示す概略説明図である。
図9は、スリット処理部の概略説明図である。
図10は、スリット処理部においてスリット処理された開繊炭素繊維樹脂テープの状態を示す説明図である。
図11は、スリット処理部におけるスリットロールの要部拡大説明図である。
図12は、撚糸部の概略説明図である。
【0022】
図1に示す如く、本発明の開繊炭素繊維極細糸の製造装置(1)は、炭素繊維束(F2)を繰り出すための給糸部(2)と、炭素繊維開繊用水(W)を貯留し、炭素繊維開繊用水(W)に炭素繊維束(F2)を浸漬させるための槽(3)と、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束(F3)を乾燥させるための第1乾燥部(4)と、乾燥させた開繊炭素繊維束(F3)に触媒(C)を塗布するための塗布部(5)と、触媒(C)が塗布された開繊炭素繊維束(F3)を乾燥させることによって開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を得るための第2乾燥部(6)と、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を縦方向にスリットするためのスリット処理部(7)と、スリット処理部(7)によりスリットされた複数本の開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を撚って、開繊炭素繊維極細糸(F5)を形成するための撚糸部(8)とを備えている。
尚、
図1に示す矢印は、炭素繊維束(F2)、開繊炭素繊維束(F3)、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)、あるいは開繊炭素繊維極細糸(F5)が繰り出される方向を指す。
尚、図示していないが、本発明の開繊炭素繊維極細糸の製造装置(1)は、各部の操作および全体の操作を一括して行うことができる操作盤を備えていることが望ましい。
【0023】
図2に示す如く、給糸部(2)は、紙管(21)に巻かれた炭素繊維束(F2)を含むローラ状である。
給糸部(2)は、炭素繊維等の糸を給糸するために通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
本発明において、給糸する炭素繊維束(F2)の張力を調整できる点から、給糸部(2)は、油圧または空圧により張力の調整を行う機構を備えていることが望ましい。
尚、
図2に示す矢印は、炭素繊維束(F2)が繰り出される方向を指す。
【0024】
尚、本発明で使用される炭素繊維束(F2)の原糸は特に限定されず、3K〜24K(すなわち、直径7μm×3000本〜直径7μm×24000本)のレギュラー束(レギュラートウ)や24Kを超える(すなわち、直径7μm×24000本より多く、直径7μm×64000本まで)ラージ束(ラージトウ)等、いかなる炭素繊維束でも用いることができる。
炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系のいずれであっても適用可能である。
【0025】
図3は、給糸部(2)における炭素繊維束(F2)を繰り出す機構(22)の概略説明図である。
機構(22)は、給糸部(2)から繰り出される炭素繊維束(F2)が、繰り出される方向(D1)に対して左右方向(D2)に移動しながら繰り出されるように構成されている。
具体的には、油圧または空圧による張力により給糸部(2)から繰り出される炭素繊維束(F2)の底部と接触するように、接触部材(23)が設けられている。
接触部材(23)は、摺動抵抗が非常に小さくなるように、鏡面仕上げされているものを用いることが望ましい。
接触部材(23)の材質は特に限定されないが、摺動抵抗が非常に小さいという点から、たとえばSUS304焼入れ材等を用いることが望ましい。
【0026】
図4に示す如く、槽(3)は、内部に炭素繊維開繊用水(W)を貯留している。
槽(3)は、内部に少なくとも1以上の搬送ローラ(31)と、炭素繊維開繊用水(W)を製造し供給するための炭素繊維開繊用水製造装置(32)を備えている。
尚、槽(3)の構造や材質は特に限定されず、炭素繊維束(F2)を所定時間炭素繊維開繊用水(W)中に浸漬することができる構造や材質であれば、いかなるものを用いても良い。
尚、
図4に示す矢印は、炭素繊維束(F2)または開繊炭素繊維束(F3)が繰り出される方向を指す。
【0027】
炭素繊維開繊用水(W)は、負の酸化還元電位を有する還元水である。
普通の水は正の酸化還元電位(水道水の場合:+400〜+600mV程度)を有しているが、炭素繊維開繊用水(W)は負の酸化還元電位を有しており、水分子クラスターが小さく、優れた浸透力を有している。
炭素繊維束(F2)は、このような還元水中に浸漬されることによって、超音波等の物理的外力を作用させることなく自然に拡がり、開繊炭素繊維束(F3)となる。
但し、本発明においては、物理的外力を作用させることを完全に排除するものではなく、本発明に係る方法と従来の物理的外力を作用させる方法を組み合わせてもよい。
【0028】
例えば、槽(3)中に超音波発生装置(図示せず)を設置し、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬された炭素繊維束(F2)に対して超音波を当てる方法を採用することも可能である。
この場合、炭素繊維開繊用水(W)の開繊作用によって、超音波の出力を弱くしても充分な開繊が得られるため、繊維の損傷を確実に防ぎつつ、充分に拡がった帯状の開繊炭素繊維束(F3)を効率良く製造することができるという効果を奏する。
【0029】
本発明において用いられる炭素繊維開繊用水(W)は、酸化還元電位が−800mV以下の還元水であることが好ましい。
このような酸化還元電位が低い還元水を炭素繊維開繊用水(W)として用いることにより、炭素繊維束(F2)を構成する炭素繊維(F1)を短時間で確実に平らに拡げて帯状の開繊炭素繊維束(F3)を得ることが可能となる。
また、得られた開繊炭素繊維束(F3)は、普通の水(すなわち、正の酸化還元電位を有する水)を用いて得られた開繊炭素繊維束よりも開繊状態を容易に維持することができ、元に戻りにくいものとなる。
【0030】
本発明において用いられる還元水の製法は特に限定されるものではないが、例えば以下の三つの方法を例示することができる。
<1.ガスバブリング法>
窒素ガス、アルゴンガス又は水素ガスのバブリングにより、水中の酸素濃度を低下させ、酸化還元電位を低下させる。
<2.ヒドラジンの添加による方法>
ヒドラジンを添加することにより、水中の酸素濃度を低下させ、酸化還元電位を低下させる。
<3.電気分解による方法>
(a)正負の波高値及び/又はデューティー比が非対称な高周波電圧を印加して水の電気分解を行い、酸化還元電位を低下させる。
(b)電極を1枚のグランド電極(カソード極)と、アノード極とカソード極が交互に変化する2枚のPtとTiからなる特殊形状電極(菱形網状電極又は六角形網状電極)から構成し、高周波電圧を印加して水の電気分解を行い、酸化還元電位を低下させる。
【0031】
本発明においては、上述の三つの方法のうち、特に「3(b)」の方法により得られた還元水を用いることが好ましい。
これは、「3(b)」の方法によれば、他の方法に比べて、より容易且つ確実に酸化還元電位が低く(−800mV以下)、負の酸化還元電位を長時間にわたって維持できる還元水が得られるためである。
尚、「3(b)」の方法を実施するための装置については、本出願人が特許第4607296号において開示しており、この開示内容に基づいて実施することが可能である。
それゆえに、炭素繊維開繊用水製造装置(32)は、酸化還元電位が−800mV以下の還元水を製造できるものであればいかなるものでも用いることができるが、特許第4607296号に開示されている還元水製造装置を用いることが望ましい。
【0032】
炭素繊維束(F2)は、炭素化されている(炭素化率99.8%以上)ので、無機材であり、負の電荷(−電位)を帯びている。
負の電荷を有する還元水中に負の電荷を有する炭素繊維束(F2)を浸漬させることにより、還元水中の負の電荷と炭素繊維束(F2)の負の電荷が反発し合うために炭素繊維束(F2)中の炭素繊維が離れる。
この状態の炭素繊維束(F2)に連続的に張力をかけて引っ張ることにより、開繊炭素繊維束(F3)が形成される。
この開繊炭素繊維束(F3)の形成原理は、本出願人が特許第4607296号において開示している。
【0033】
本発明においては、炭素繊維束(F2)を、上記したような負の電荷を有する還元水中に浸漬させることによって物理的外力を作用させることなく自然に拡げる(開繊する)ことができるが、この開繊作用を補助するために、
図5の(a)〜(d)に示すような構成を採用してもよい。
【0034】
図5の(a)は、槽(3)中において炭素繊維束(F2)を支持して搬送させる搬送ローラ(31)が2つ設けられている場合の実施形態を示している。
この実施形態は、2つの搬送ローラ(311、312)のうち、2番目の搬送ローラ(312)に開繊作用をもたせたものである。
具体的には、2番目の搬送ローラ(312)の断面(回転軸に沿った断面)形状を、図中に引き出された矢印の先に示しているように、周縁部(31E)の厚さよりも回転中心の部分(31C)の厚さの方が大きくなるように膨らんだ形状とすることにより、搬送ローラ(31)の表面に沿って炭素繊維束(F2)が拡がり易くしたものである。
【0035】
図5の(b)は、槽(3)中において炭素繊維束(F2)を支持して搬送させる搬送ローラ(31)が3つ以上(図中では3つ)設けられている場合の実施形態を示している。
搬送ローラ(31)を3つ以上(図中では3つ)設けることにより、炭素繊維束(F2)を屈曲させながら搬送するように構成し、2番目以降の搬送ローラ(図では2番目のローラ(312))に開繊作用をもたせたものである。
具体的には、搬送ローラ(31)を
図5の(a)の場合と同様の断面形状とすることにより、搬送ローラ(31)の表面に沿って炭素繊維束(F2)が拡がり易くしたものである。
【0036】
図5の(c)は、槽(3)中において炭素繊維束(F2)を支持して搬送させる1以上の搬送ローラ(31)の間に平板(33)を設けた実施形態を示す。
炭素繊維束(F2)がこの平板(33)の表面に沿って搬送されることにより、炭素繊維束(F2)がより平らに拡がり易くなる。
【0037】
図5の(d)は、槽(3)中において炭素繊維束(F2)を支持して搬送させる1以上の搬送ローラ(31)に平ベルト(34)を巻回した実施形態を示す。
炭素繊維束(F2)がこの平ベルト(34)の表面に沿って搬送されることにより、炭素繊維束(F2)がより平らに拡がり易くなる。
【0038】
図6に示す如く、第1乾燥部(4)は、回転可能な加熱ローラ(41)および1以上のガイドローラ(42)を備えている。
第1乾燥部(4)は、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束(F3)を乾燥させるために設けられている。
第1乾燥部(4)は、加熱ローラ(41)の外側表面に開繊炭素繊維束(F3)を接触させた状態で、開繊炭素繊維束(F3)を加熱ローラ(41)の外側表面を走行させることにより、開繊炭素繊維束(F3)を乾燥させることができる。
第1乾燥部(4)は、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束(F3)の水分を瞬間的に蒸発させることができる接触式乾燥機(たとえば、ドラム回転式乾燥機)を用いることが望ましい。
開繊炭素繊維束(F3)の水分を瞬間的に蒸発させることにより、長期間に亘って炭素繊維束の開繊状態を維持することができる。
尚、
図6に示す矢印は、開繊炭素繊維束(F3)が繰り出される方向を指す。
【0039】
尚、第1乾燥部(4)は、上記した接触式乾燥機に限定されず、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束(F3)の水分を瞬間的に蒸発させることができるものであれば、いかなるものでも用いることができる。
尚、ガイドローラ(42)は、開繊炭素繊維束(F3)を円滑に移動させるために設けられているものであり、設けられていなくても良い。
【0040】
図7に示す如く、塗布部(5)は、触媒(C)を貯留するための触媒槽(53)と、1対の塗布ローラ(51)と、1以上のガイドローラ(52)とを備えている。
塗布部(5)は、第1乾燥部(4)で乾燥させた開繊炭素繊維束(F3)に触媒(C)を塗布するために設けられている。
開繊炭素繊維束(F3)は、張力(引張力)がかかっている状態では開繊状態が維持され、元の状態には戻らないが、張力がかかっていない状態で取り扱う場合では開繊状態が容易に解除され元の状態に戻る、あるいは7μm程度の繊維屑が発生する等の虞がある。
そのため、開繊炭素繊維極細糸の製造が困難になる、あるいは環境に悪影響を及ぼす虞がある。
本発明において、これらの問題点を解消するために、乾燥させた開繊炭素繊維束(F3)に触媒(C)を塗布し、ケバや繊維屑の発生の防止、および開繊炭素繊維束(F3)の厚みや幅等の寸法の均一化を図っている。
【0041】
図7に示す如く、塗布部(5)の1対の塗布ローラ(51)の少なくとも一方は触媒槽(53)に貯留された触媒(C)にその一部が浸かっている。
これにより、1対の塗布ローラ(51)が回転して1対の塗布ローラ(51)の間を通る開繊炭素繊維束(F3)に均一に触媒(C)を塗布することができる。
また、1対の塗布ローラ(51)の両方に触媒(C)が塗布されていても良い。
尚、塗布部(5)は、上記した構成に限定されず、例えば、開繊炭素繊維束(F3)を直接触媒(C)に含浸させるように構成されたものであっても良く、開繊炭素繊維束(F3)に触媒(C)を塗布することができるものであれば、いかなるものでも用いることができる。
また、ガイドローラ(52)は、開繊炭素繊維束(F3)を円滑に移動させるために設けられているものであり、設けられていなくても良い。
加えて、触媒槽(53)の構造や材質は特に限定されず、触媒(C)を貯留することができる構造や材質であれば、いかなるものを用いても良い。
尚、
図7に示す矢印は、開繊炭素繊維束(F3)が繰り出される方向を指す。
【0042】
開繊炭素繊維束(F3)に塗布する触媒(C)は特に限定されず、エポキシ樹脂等の任意の合成樹脂を含むサイジング剤等、炭素繊維の接着剤あるいはサイジング剤として通常用いられ、当業者に自明のものであればいかなるものでも用いることができる。
尚、ケバや繊維屑の発生の防止、および開繊炭素繊維束(F3)の厚みや幅等の寸法の均一化の観点から、触媒(C)として、接着剤と金属酸化物ゾルと過硫酸カリウム(又はベンゾイル)とを含む触媒を用いることが望ましい。
【0043】
触媒(C)として、接着剤と金属酸化物ゾルと過硫酸カリウム(又はベンゾイル)とを含む触媒を用いる場合において、接着剤としては親水基を有するものであり、洗濯糊のような水溶性の糊、PVA(ポリビニルアルコール)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、黒鉛ナノディスパージョン、グリコール、水溶性粘土ディスパージョン、でんぷん糊、OH基を有する有機又は無機材含有分散溶液が好適に用いられる。
接着剤の濃度が所定の範囲より低いと、開繊炭素繊維束(F3)が元に戻るおそれがある。また、接着剤の濃度が所定の範囲より高いと、接着剤が炭素繊維束(F2)の中に浸透し難くなるおそれがある。
【0044】
接着剤がポリビニルアルコール(PVA)樹脂(単にPVAともいう)の場合の濃度は、0.5〜30wt%が好ましい。
金属酸化物ゾルの濃度は、0.5〜16.7wt%が好ましい。金属酸化物ゾルの濃度が前記下限より低いと、後述する開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)の接着力が低くなるおそれがある。また、金属酸化物ゾルの濃度が前記上限より高くても、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)の接着力はそれ以上には増加しにくい。
また、PVAと金属酸化物ゾルとの濃度比は3:1が好ましい。また、過硫酸カリウムの濃度は0.5〜10wt%が好ましい。
【0045】
接着剤溶液に含まれる金属酸化物ゾルは、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化スズ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、および酸化ジルコニウムからなる群から選択される一種以上の金属酸化物ゾルである。
これらの金属酸化物ゾルはOH基を多数含有している。OH基を多数含有している金属酸化物ゾルを接着剤溶液に用いることにより、接着剤溶液に含まれるOH基の数が増加し、OH基による化学的な結合力(接着力)が増加するため、60℃乃至180℃の範囲でゴム製品、60℃乃至265℃の範囲で炭素繊維及びその他の有機物や無機物を容易に接着、接合することができる。加えて、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)に高い機械的強度及びはく離強度を付与することができる。
尚、接着剤溶液に用いる金属酸化物ゾルはこれらに限定されず、例えば、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化セリウム等、OH基を多数含有している金属酸化物ゾルであれば、いかなるものでも用いることができる。
また、接着剤溶液に用いる金属酸化物ゾルの粒径やpHは特に限定されず、接着剤溶液として用いることができる粒径やpHであればいかなるものであってもよい。
【0046】
アルミナゾルのアルミナ形状は、板状、柱状、繊維状、六角板状等のいずれでもよい。
また、アルミナゾルが繊維状の場合のアルミナファイバーは、アルミナの繊維状結晶であり、具体的には、アルミナの無水和物で形成されたアルミナファイバー、水和物を含むアルミナで形成されたアルミナ水和物ファイバー等が挙げられる。
【0047】
アルミナファイバーの結晶系には無定形、ベーマイト及び擬ベーマイト等があるが、いずれの結晶系でもよい。ここで、ベーマイトは組成式:Al
2O
3・nH
2Oで表わされるアルミナ水和物の結晶である。アルミナファイバーの結晶系は、例えば、後述する加水分解性アルミニウム化合物の種類、その加水分解条件又は解膠条件によって、調整できる。アルミナファイバーの結晶系はX線回折装置(例えば、商品名「Mac.Sci.MXP−18」、マックサイエンス社製)を用いて確認できる。
【0048】
また、アルミナゾル以外の金属酸化物ゾルに含まれる金属酸化物の形状も特に限定されず、板状、柱状、繊維状、六角板状等、いかなる形状であってもよい。
また、アルミナゾル以外の金属酸化物ゾルが繊維状の場合、金属酸化物は、金属酸化物の繊維状結晶である。より具体的には、金属酸化物の無水和物で形成された金属酸化物ファイバー、水和物を含む金属酸化物で形成された金属酸化物水和物ファイバー等が挙げられる。
【0049】
接着剤溶液に用いる金属酸化物ゾル(アルミナ、酸化スズ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、あるいは酸化ジルコニウム等の金属酸化物ゾル)として、例えば、アルミナゾル−10A(Al
2O
3換算重量%:9.8〜10.2、粒子の大きさnm:5−15、粘度25℃,mPa/s:<50、pH:3.4−4.2、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−A2(Al
2O
3換算重量%:9.8〜10.2、粒子の大きさnm:10−20、粘度25℃,mPa/s:<200、pH:3.4−4.2、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−CSA−110AD(Al
2O
3換算重量%:6.0〜6.4、粒子の大きさnm:5−15、粘度25℃,mPa/s:<50、pH:3.8−4.5、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−F1000(Al
2O
3換算重量%:4.8〜5.2、粒子の大きさnm:1400、粘度25℃,mPa/s:<1000、pH:2.9−3.3、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−F3000(Al
2O
3換算重量%:4.8〜5.2、粒子の大きさnm:2000−4500、粘度25℃,mPa/s:<1000、pH:2.7−3.3、川研ファインケミカル製)、タイノックA−6(TiO
2重量%:6、平均粒子径:20nm、pH:12、多木化学製)、タイノックAM−15(TiO
2重量%:15、平均粒子径:20nm、pH:4、多木化学製)、バイラールZr−C20(ZrO
2重量%:20、平均粒子径:40nm、pH:8、多木化学製)、バイラールLa−C10(La
2O
3重量%:10、平均粒子径:40nm、pH:8、多木化学製)、バイラールNd−C10(Nd
2O
3重量%:10、平均粒子径:20nm、pH:9、多木化学製)、ニードラールB−10(CeO
2重量%:10、平均粒子径:20nm、pH:8、多木化学製)、セラメースS−8(SnO
2重量%:8、平均粒子径:8nm、pH:10、多木化学製)、バイラールNb−G6000(Nb
2O
3重量%:6、平均粒子径:15nm、pH:8、多木化学製)等が挙げられるが、これに限定されず、酸化スズ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、あるいは酸化ジルコニウム等、OH基を多数含有している金属酸化物ゾルであり、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
【0050】
接着剤溶液には、接着成分(接着剤)として熱可塑性樹脂であるPVA樹脂を用いることが望ましい。
PVA樹脂は以下に示す構造式を有しており、多くのOH基を含有している。それゆえに、親水性が非常に強く、温水に可溶であるという特徴を備えているため、60℃乃至180℃の温度範囲でゴム製品を接着・接合することができ、60℃乃至265℃の温度範囲で炭素繊維等を接着・接合することができる。
また、PVA樹脂は熱可塑性樹脂であるため、一度炭素繊維等を接着・接合した後、接着・接合した炭素繊維等を再度加熱あるいは湯せんすることにより、PVA樹脂が軟化し、接着・接合した炭素繊維等を容易に剥離することができる。
加えて、PVA樹脂は、接着剤溶液に配合された後でも安定に接着剤中に存在し、接着・接合力が低下する虞が少ない。そのため、PVA樹脂を含む接着剤溶液は長期間に亘って安定に使用することができる。
接着剤溶液に熱可塑性樹脂でありOH基を含有するPVA樹脂を用いることにより、従来のように接着・接合時に高温で加熱する必要が無く、ゴム製品、炭素繊維、及びその他の有機物や無機物を容易に接着・接合することができ、且つ物理的な接着・接合でない(即ち、被着する側及び被着される側の構造や形状によるはめあいや熱応力等の接着・接合でない)ため、一度接着した物を容易に剥離することもできる。
【0052】
このように、開繊炭素繊維束(F3)が上記に例示したような触媒(C)に浸漬されることにより、拡がった炭素繊維(F1)と炭素繊維(F1)の間に触媒(C)が浸透する。
【0053】
塗布部(5)において触媒(C)が塗布された開繊炭素繊維束(F3)は、第2乾燥部(6)で乾燥される。
第2乾燥部(6)の構成は上記した第1乾燥部(4)と同様の構成である(
図6参照)。
塗布部(5)において任意の触媒(C)が塗布され、触媒(C)が開繊炭素繊維束(F3)に含浸し、開繊炭素繊維束(F3)が第2乾燥部(6)において乾燥されることにより、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)となる。
【0054】
図8は、炭素繊維束(F2)、開繊炭素繊維束(F3)、および開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)の形態を示す概略説明図である。
複数本の炭素繊維(F1)からなる炭素繊維束(F2)は、炭素繊維開繊用水(W)に浸漬されることによって炭素繊維(F1)が平らに拡がった開繊炭素繊維束(F3)となり、この開繊炭素繊維束(F3)に触媒(C)が塗布されることにより炭素繊維(F1)の間に触媒(C)が浸透し、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)が形成される。
このように、繊維が平らに拡がった状態で触媒(C)により開繊炭素繊維束(F3)が固められることにより、時間が経過しても開繊状態が解除されて炭素繊維束が元に戻ることがなく、しかも高い機械的強度を有する開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)が得られる。
【0055】
図9に示す如く、スリット処理部(7)は、送り出しテンショナー(71)と、スリットロール(72)と、巻き取りテンショナー(73)とを含む。
スリット処理部(7)は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を任意の幅および任意の本数となるように、縦方向(すなわち、送り出し方向)にスリット(裁断)するために設けられている。
尚、
図9に示す矢印は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)が繰り出される方向を指す。
【0056】
例えば、
図10に示す如く、1本の開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を、スリットロール(72)において、8本の開繊炭素繊維樹脂テープ(図中の1〜8)にスリットすることができる。
スリットされた開繊炭素繊維樹脂テープは巻き取りテンショナー(73)によってテンションを与えつつ、撚糸部(8)に送りだされる。
尚、
図10に示す矢印は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)が繰り出される方向を指す。
【0057】
図11に示す如く、スリットロール(72)は、刃物固定ロール(721)と刃物受けロール(722)とを備えている。
刃物固定ロール(721)は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をスリットするための1以上のスリット刃(SB)と、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を押さえるための押圧部材(PM)とを備えている。
刃物固定ロール(721)が1以上のスリット刃(SB)を外側表面に備えていることにより、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を任意の幅および任意の数でスリットすることができる。
尚、
図11に示す矢印は、刃物固定ロール(721)および刃物受けロール(722)の回転方向を指す。
【0058】
スリット刃(SB)は、刃物固定ロール(721)の外側表面に、刃物固定ロール(721)の幅方向に亘って1以上の任意の数だけ設けられている。
スリット刃(SB)の形状は特に限定されないが、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を容易かつ切り口が綺麗になるように切断でき、長期間に亘って使用できるという観点から、丸刃であることが望ましい。
スリット刃(SB)の刃先形状は特に限定されず、片刃型、エッジ型、長方形型等、使用目的に合わせて適宜選択することが望ましい。
また、スリット刃(SB)の刃先形状は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)の送り出しの回転数(例えば、60回〜80回転)を考慮して適宜選択されることが望ましい。
尚、スリット刃(SB)の材質は特に限定されないが、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を容易かつ切り口が綺麗になるように切断でき、長期間に亘って使用できるという観点から、超硬ハステロイ、SIC等であることが望ましい。
【0059】
押圧部材(PM)は、刃物固定ロール(721)の外側表面であって、スリット刃(SB)が設けられていない部分に設けられている。
図11に示す如く、押圧部材(PM)が設けられている箇所は、刃物固定ロール(721)と刃物受けロール(722)との間隙(G)が、押圧部材(PM)が設けられていない箇所の間隙(G)よりも狭くなっている。
【0060】
押圧部材(PM)の材質は、ウレタンゴム、EPDM、SB、NBR等のゴムであることが望ましい。
また、押圧部材(PM)のゴム硬度は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をより容易且つ正確にスリットできるという観点から、65度〜75度であることが望ましく、より望ましくは70度である。
加えて、押圧部材(PM)の厚みは、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)のスリット幅に応じて適宜決定するが、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をより容易且つ正確にスリットできるという観点から、1.0mm〜15.0mmであることが望ましく、より望ましくは3mm〜5mmである。
【0061】
開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をスリットする際、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)は非常に薄いため、スリップしてうまく裁断出来ない虞がある。
刃物固定ロール(721)の外側表面であって、スリット刃(SB)が設けられていない部分に押圧部材(PM)を設けることにより、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を押圧部材(PM)により押さえつつ、ゴムの反発力を利用しながら連続的に開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をスリットすることができる。
この開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)のスリットに最適化された構成は、本発明者らが鋭意検討の結果創作したものである。
【0062】
開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を任意の幅で均一にスリットすることが、後述する開繊炭素繊維極細糸(F5)を質の良い糸に仕上げる最も重要な工程である。
そのため、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を任意の幅で均一にスリットするために、スリット処理部(7)は以下の3つの条件を具備する必要がある。
【0063】
1.スリット幅の正確さ(すなわち、公差(−)0.01mm〜0.015mm(+)0.01〜0.15mm/25mm×m)
2.スリットした開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)間の重量にバラつきがないこと(すなわち、0.01g/m/25mm×m)
3.スリット面にささくれ、および毛羽立ちが無いこと
【0064】
上記3つの条件を具備するためには、送り出しテンショナー(71)および巻き取りテンショナー(73)が重要な要素となる。
これらのテンショナーの機構は、一定の張力が常に安定して発生するように、電磁トルククラッチ、あるいは油圧クラッチであることが望ましい。
テンショナーの機構は、より望ましくは、微調整が容易に行える点から油圧クラッチであることが望ましい。
【0065】
図12に示す如く、撚糸部(8)は、第1ロール(81)と、第2ロール(82)と、固定環(83)と、巻き取りロール(84)を備えている。
スリット処理部(7)で任意の幅にスリットされた開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)は、巻き取りテンショナー(73)から撚糸部(8)に送り出され、第1ロール(81)と、第2ロール(82)と、スリットされた開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)をスティックスリップさせる固定環(83)とを通過することにより、スリット処理部(7)によりスリットされた複数本の開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)を撚って、任意のひねり数を備えた開繊炭素繊維極細糸(F5)を製造することができる。
製造された開繊炭素繊維極細糸(F5)は、モータが設けられた巻き取りロール(84)に巻き取られる。
尚、撚糸部(8)の構成は特に限定されず、繊維等の撚糸の製造に通常用いられ、当業者に自明の撚糸機であればいかなるものでも用いることができる。
尚、
図12に示す矢印は、開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)または開繊炭素繊維極細糸(F5)が繰り出される方向を指す。
【0066】
開繊炭素繊維極細糸(F5)のメートルあたりのひねり数は特に限定されず、例えば、30回〜80回/m等、用途に応じて決定することが望ましい。
適切なひねり数は開繊炭素繊維樹脂テープ(F4)のスリット幅や開繊炭素繊維極細糸(F5)により適宜変わるが、65回/mである。
このひねり数は、編物、織物、コード用ミシン糸用、複合材用、Z巻き、S巻き、ロープ用などの要求に応じ、撚糸部(8)の回転数により任意に調整することができる。
【解決手段】本発明に係る開繊炭素繊維極細糸の製造装置は、炭素繊維束を繰り出すための給糸部と、炭素繊維開繊用水を貯留し、炭素繊維開繊用水に炭素繊維束を浸漬させるための槽と、炭素繊維開繊用水に浸漬されて形成された開繊炭素繊維束を乾燥させるための第1乾燥部と、乾燥させた開繊炭素繊維束に触媒を塗布するための塗布部と、触媒が塗布された開繊炭素繊維束を乾燥させることによって開繊炭素繊維樹脂テープを得るための第2乾燥部と、開繊炭素繊維樹脂テープを縦方向にスリットするためのスリット処理部と、スリット処理部によりスリットされた複数本の開繊炭素繊維樹脂テープを撚って、開繊炭素繊維極細糸を形成するための撚糸部とを備える。