特許第6381030号(P6381030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6381030地図データ処理装置、その方法、そのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381030
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】地図データ処理装置、その方法、そのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20180820BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G09B29/00 A
   G09B29/00 Z
   G01C21/26 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-251828(P2014-251828)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-114698(P2016-114698A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友明
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/047448(WO,A1)
【文献】 特開2006−091199(JP,A)
【文献】 特開2008−164732(JP,A)
【文献】 特開2014−130232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00−29/14
G01C 21/00−21/36,23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部を備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置において、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
連続する前記リンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与部と、
仮付与された前記同一のリンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理部と、を備え、
前記リンクID仮付与部は、前記小縮尺地図データにおいて、他の道路との交差点に対応するノードを越えるように、前記特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出する、地図データ処理装置。
【請求項2】
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部と、リンクID仮付与部と、デフォルメ処理部とを備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置における地図データの処理方法において、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
リンクID仮付与部が、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与ステップと、
デフォルメ処理部が、仮付与された前記同一のリンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理ステップと、を備え、
前記リンクID仮付与ステップは、前記小縮尺地図データにおいて、他の道路との交差点に対応するノードを越えるように、前記特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出する、前記地図データの処理装置における地図データ処理方法。
【請求項3】
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部を備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置に実現させるコンピュータプログラムであって、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
コンピュータを、
連続する前記リンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与手段と、
仮付与された前記同一のリンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理手段、として機能させ、
前記リンクID仮付与手段は、前記小縮尺地図データにおいて、他の道路との交差点に対応するノードを越えるように、前記特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出する、コンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ処理装置、その方法、そのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置等で用いられる地図データには、常に新しい情報が反映されていることが好ましい。このため、例えば、新規道路が開通すると、それに伴って該新規道路に対応する新規リンクを地図データに追加する等の更新を要する。ここで、地図データは、一般に、パーセルと呼ばれる格子単位で管理されている。
このような地図データの更新方法に関連して、特許文献1には、パーセル単位で独立にリンクIDが設定された地図データにおいて、分割されたパーセル単位で地図データの更新を行う技術が開示されている。
本発明に関連する従来技術を開示する特許文献2も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/047448号
【特許文献2】特開2008−164732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の地図データによれば、パーセル毎に独立してリンクIDが付与されているため、新規道路が開通された等更新すべきパーセルのみを更新することが可能となり、地図データの更新作業を効率的に行うことができる。その一方、連続する道路であっても複数のパーセルを跨ぐ場合には、パーセル数に応じた複数のリンクIDが付与されることとなるため、リンクIDの数は増加し、データ量も大きくなる。このようにデータ量が増加することにより、ナビゲーション装置における経路探索処理は複雑化し、処理の高負荷が懸念される。
一方、地図データの更新に関する他の技術として、更新された大縮尺の地図データに基づいて、該大縮尺の地図データの複数のパーセルを統合して該地図データの縮尺より小縮尺の地図データを作成する技術が知られている。そして、上記のようにパーセル毎に独立してリンクIDが付与されている大縮尺の地図データに基づいて作成された小縮尺の地図データでは、統合されたパーセルの境界に位置する二差路ノードが残存することによるデータ量の増加が顕著になり、処理負荷もより一層深刻な課題となっている。
このように小縮尺の地図データにおけるデータ量の増加を抑制すべく、従来では、同一リンクID内において二差路のノードを削除することにより地図データをデフォルメしている。
本発明者らは、上述の状況に鑑みて、小縮尺の地図データにおいて、よりデータ量の増加を抑制すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、リンク列に付与された道路属性に基づいて、特定の道路属性が付与されている一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与し、該仮付与されたリンクIDに基づいて該リンクID毎にデフォルメ処理する方法に想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部を備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置において、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
連続する前記リンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与部と、
前記リンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理部と、
を備える、地図データ処理装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の地図データ処理装置によれば、特定の道路属性が付与されている一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与する。そして、仮付与されたリンクIDに基づいてリンクID毎にデフォルメ処理を行う。
ここで、道路属性としては、道路種別、道路幅員、道路の車線数等が挙げられる。そして、特定の道路属性としては、例えば、経路探索の際に、選択される頻度の高い道路属性、優先的に選択される道路属性、長距離走行の経路として選択される道路属性が挙げられる。具体的には、道路属性が道路種別である場合には、高速道路、国道が挙げられ、道路幅員である場合には、道路幅員が所定幅以上であることが挙げられ、道路の車線数である場合には、車線数が所定数以上であることが挙げられる。このような特定の道路属性が付与された連続するリンク列について、同一のリンクIDを仮付与して、一のリンクとしてデフォルメ処理すれば、よりデータ量を削減することができる。また、このようにして作成された地図データ用いれば、ナビゲーション装置における経路探索時のリンク選択に便宜であり、経路探索速度の劣化を軽減することが可能となる。
【0007】
また、この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部を備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置における地図データの処理方法において、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
リンクID仮付与部が、連続する前記リンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与ステップと、
デフォルメ処理部が、前記リンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理ステップと、
を備える、地図データ処理方法。
このように規定される第2の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0008】
更に、この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データであって、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクIDが前記パーセル毎に独立して付与されている地図データが格納される地図データ格納部を備える地図データ処理装置であって、前記地図データの隣接する複数の前記パーセルを統合して、該地図データの縮尺より小縮尺の小縮尺地図データを作成する地図データの処理装置に実現させるコンピュータプログラムであって、
前記リンク列には、道路属性が付与されており、
コンピュータを、
連続する前記リンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与するリンクID仮付与手段と、
前記リンクID毎にデフォルメするデフォルメ処理手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第3の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0009】
第3の局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第4の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態の地図データ処理装置1の構成を示すブロック図である。
図2図2は、(A)大縮尺の地図データを示す模式図、(B)大縮尺の地図データに基づいて作成された小縮尺の地図データを示す模式図である。
図3図3は、(A)リンクID仮付与後の地図データを示す模式図、(B)デフォルメ処理後の地図データを示す模式図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の地図データ処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、地図データ処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、本発明の実施例の地図データ処理装置1を利用した地図更新システム101の構成を示すブロック図である。
図7図7は、(A)サーバ側地図データ記憶部122に記憶される地図データ構成を説明するための模式図、(B)各階層において区画Xを地図表示するための区画データを説明するための模式図である。
図8図8は、(A)更新地図データ作成部123で実行される地図更新処理を説明するための模式図、(B)配信部125で配信する配信データを示す模式図、(C)ナビゲーション装置側更新後の地図データ記憶部132に記憶される地図データを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態の地図データ処理装置を説明する。
図1に、地図データ処理装置1の概略構成を示す。
図1に示すように、この地図データ処理装置1は、地図データ格納部3、リンクID仮付与部5及びデフォルメ処理部7を備えている。
【0012】
地図データ格納部3には、メッシュ状に分割されたパーセルを二次元的に繋げて形成される地図データが格納されている。該地図データにおいて、道路はリンク単位で表され、該リンクを複数連続して構成されるリンク列が規定されており、該リンク列には、該リンク列を識別するためのリンクID及び道路属性がパーセル毎に独立して付与されている。道路属性として、道路種別、道路幅員、道路の車線数等が挙げられる。上述したように、道路種別の場合、高速道路、国道、県道、一般道路等の情報が付与される。道路幅員及び車線数の場合、幅員や車線数自体であっても良いし、幅員や車線数に応じて階級分けされた1〜5等の値であっても良い。また、リンク列には、該リンク列に含まれるリンク数、各リンクのリンクナンバー、リンク列の長さ等の情報が付与されていても良い。上述したように、本発明の地図データ処理装置は大縮尺の地図データから小縮尺の地図データを作成する際に有効に用いられることから、地図データ格納部3には、大縮尺の地図データ(図2(A)参照)から定法により作成された小縮尺の地図データ、例えば、図2(B)に示す小縮尺の地図データが格納されていることが好ましい。
図2(A)の大縮尺地図データにおいて、リンクID01〜リンクID03には、夫々道路属性としての道路種別「高速道路」が付与されている。他のリンク列には、夫々一般道路である旨の道路種別が付与されている。これらのリンク列は、パーセル毎に同一のリンクIDが付与されている。そして、この大縮尺地図データに基づいて作成された上位階層の小縮尺地図データは、大縮尺地図データにおいて4つのパーセルで表されていた範囲を1つのパーセルに統合して表される。なお、統合するパーセル数は任意である。統合された小縮尺の地図データには、大縮尺の地図データの情報を引き継ぎ、各リンク列に対応してリンクID及び道路属性が付与されている。具体的には、図2(B)の小縮尺地図データにおいて、リンクID01〜リンクID03には、夫々道路属性としての道路種別「高速道路」が付与されており、他のリンク列には、夫々一般道路である旨の道路種別が付与されている。
【0013】
リンクID仮付与部5は、地図データ格納部3を参照して、連続するリンク列であって、特定の道路属性が付与されているリンク列を抽出して、該抽出された一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与する。当該特定の道路属性は、道路種別の場合、高速道路とすることができる。この場合、図2において、高速道路の道路属性が付与されたリンクID01〜03のリンク列が抽出される。そして、該抽出されたリンク列(リンクID01〜03)にリンクID100を仮付与する(図3(A)参照)。当該仮付与されるリンクIDは、元のリンクIDに置き換えて新たに付与しても良いし、元のリンクIDと併存して付与しても良い。また、特定の道路属性が複数ある場合には、リンクID仮付与部5は、該特定の道路属性であって、同一の道路属性が付与されているリンク列を抽出し、上記と同様にしてリンクIDを仮付与する。すなわち、特定の道路属性が、高速道路、国道である場合、高速道路の道路属性が付与されている一連のリンク列を抽出して同一リンクIDを仮付与するとともに、国道の道路属性が付与されている一連のリンク列についても同様にして抽出し、リンクIDを仮付与する。また、リンクID仮付与部5は、地図データ格納部3に格納された地図データについてパーセル毎に上記処理を行う。例えば、図2(B)に示す小縮尺地図データのパーセル内におけるリンク列について、上記特定の道路属性が付与されているリンク列の抽出、リンクIDの仮付与を行う。このように、小縮尺の地図データにおいて仮付与されたリンクIDは、対応する大縮尺の地図データに反映させても良い。すなわち、小縮尺の地図データにおいて仮付与されるリンクID100を、元のリンクID01〜03に置き換えて新たに付与し、あるいは、元のリンクIDと併存して付与することができる。
【0014】
デフォルメ処理部7は、地図データ格納部3及びリンクID仮付与部5を参照して、リンクID毎にデフォルメする。デフォルメ処理部7は、リンクID仮付与部5と同様、パーセル毎にデフォルメ処理を行う。また、デフォルメ処理部7は、処理対象パーセル内のリンク列に仮付与されたリンクIDが付与されている場合には、該仮付与されたリンクIDが付与されたリンク列については元のリンクIDに優先して仮付与されたリンクIDに基づきデフォルメ処理を行う。当該デフォルメ処理の方法としては、例えば、リンク列を構成するリンク同士が接続するノードが二差路のノードである場合に、該ノードの情報を除去することによりデフォルメする方法が挙げられる(図3(B)参照)。二差路のノードを除去することにより地図データにおけるリンクの接続関係に大きな影響を与えることなく、データ量の削減に寄与することができる。このようにデフォルメ処理された地図データは、パーセル単位で地図データ格納部3中の地図データに置き換えても良く、また、地図データ格納部3中の他の部分に格納することとしても良い。
この装置1において、リンクID仮付与部を実行する前に、前処理として、仮付与する前のリンクIDに基づいてデフォルメ処理しても良い。予めデフォルメ処理することにより、リンクIDを仮付与する際の処理負荷が軽減される。この場合であっても、リンクIDを仮付与した後のデフォルメ処理を行うことを否定するものではない。
【0015】
図4を用いて、図1に示す地図データ処理装置1の動作の一例を説明する。
ステップ1では、リンクID仮付与部5は、地図データ格納部3を参照して、処理対象となるパーセルを特定する。
ステップ3では、リンクID仮付与部5は、ステップ1で特定されたパーセル内のリンク列のうち、道路属性「高速道路」が付与されたリンク列であって、連続する一連のリンク列を抽出する。
ステップ5では、リンクID仮付与部5は、ステップ3で抽出された連続する一連のリンク列に同一のリンクIDを仮付与する。
ステップ7では、デフォルメ処理部7は、地図データ格納部3及びリンクID仮付与部5を参照し、仮付与されたリンクIDが付与されている場合には、該仮付与されたリンクIDを優先して、リンク列のデフォルメ処理を行う。当該デフォルメ処理としては、上述のように、リンク列中に含まれる二差路ノードを除去することにより行うことができる。
【0016】
図5は、地図データ処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
この装置1のハードウェア構成は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置221に対してシステムバス222を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置221は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス222もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス222にはRAM(ランダムアクセスメモリ)223、不揮発メモリ(ROM224,CMOS−RAM225等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM223に格納されるデータは中央制御装置221や他のハードウェア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウェアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置227に保存されており、また、RAM223に保存されており、ディスクドライブ制御装置226を介して適宜中央制御装置221に読みこまれて使用される。このハードディスク装置227には、汎用的な構成のコンピュータシステムを地図データ処理装置1として動作させるためのコンピュータプログラムを保存する領域が確保される。
【0017】
このハードディスク装置227の所定の領域が、リンクID仮付与部5及びデフォルメ処理部7で仮付与等された情報を保存する保存部用に割り付けられる。
ハードディスク装置227の他の領域が地図データを格納する格納部3用に割り付けられる。
システムバス222には、フレキシブルディスク232に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置231、コンパクトディスク234に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置233が接続されている。この例ではプリンタインターフェース237にプリンタ238を接続させている。
システムバス222にはキーボード・マウス制御装置241が接続され、キーボード242及びマウス243からのデータ入力を可能としている。モニタ245がモニタ制御装置244を介してシステムバス222に接続されている。モニタ245にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット251が準備されている。
【0018】
このコンピュータシステムからなる地図データ処理装置1を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ224、225やハードディスク装置227に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0019】
上記地図データ処理装置は、インターネット等を介して接続されるナビゲーション装置とともに、地図更新システムとして機能することができる。
図6に、地図更新システム101の概略構成を示す。
図6に示すように、この地図更新システム101は、地図データ処理装置を含むサーバ装置102及び第1のナビゲーション装置103、第2〜第nのナビゲーション装置(M2〜Mn)を備えており、サーバ装置102と各ナビゲーション装置とはインターネットNを介して夫々無線接続されている。
第1のナビゲーション装置103は、ユーザが携帯可能な通信端末装置であり、例えば、携帯電話機、PDA(Portable Digital Assistants)、携帯ゲーム機、ノート型PC、PND(Portable Navigation Device)、スマートフォン、頭部や腕等に装着可能なウェアラブル機器等であっても良い。
【0020】
サーバ装置102は、受信部121、サーバ側地図データ記憶部122、更新地図データ作成部123、保存部124及び配信部125を備える。
サーバ側受信部121は、旧地図データを最新の地図データに更新するための更新情報を受信する。サーバ側受信部121は、例えば、バイナリ形式の更新情報を受信する。この例において、例えば、第1階層の旧地図データを最新の地図データに更新するためのバイナリ差分データを受信するものとする。
サーバ側地図データ記憶部122には、各階層の地図データが記憶される。該地図データは、階層毎に複数の区画に分割されたナビゲーション用地図を描画するための各区画に対応する区画データと、該描画の際に参照する該区画データを指定する管理データとを備える。サーバ側地図データ記憶部122に記憶される地図データ構造の一例を図7(A)に示す。図7(A)に示すように、地図データは管理データと区画データを備える。この例において、管理データ領域には、管理データ(A)が記憶されている。また、記憶部122の他の領域には、各階層の区画データが記憶されている。詳細には、区画Xを第1の縮尺で表示するための第1階層の区画データC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、第2の縮尺で表示するための第2階層の区画データD1、D2、D3、D4、第3の縮尺で表示するための第3階層の区画データE1が記憶されている。区画データは、例えば、全国の地図データを一定距離間隔でメッシュ状に分割したデータとすることができる。管理データは、地図表示の際に、表示縮尺に応じた各メッシュを表示するための区画データを指定する。
【0021】
更新地図データ作成部123は、受信部121及びサーバ側地図データ記憶部122を参照して、第1〜第3階層の地図データに対応する夫々の更新地図データを作成する。また、更新地図データ作成部123は、地図データ処理装置としての地図データ処理部127を備え、大縮尺の地図データ(第1階層の地図データ)から作成された小縮尺の地図データ(第2及び第3階層の地図データ)について、上述の地図データ処理装置1で行った処理を行う。図8を用いて、更新地図データの作成方法の一例を説明する。更新地図データ作成部123は、受信部121で受信した第1階層の旧地図データの区画データC2及びC3を更新するためのバイナリ差分データ(差分C2及び差分C3)に基づいて、区画データC2及びC3から夫々更新区画データC2’及びC3’を作成する。そして、更新地図データ作成部123内地図データ処理部127は、上述の方法に従って、更新区画データC2’及びC3’に基づいて更新された該更新区画データC2’及びC3’に位置的に対応する第2階層の旧地図データの区画データD1及びD2について処理を行い、夫々更新区画データD1’及びD2’を生成する。また、同様の方法によって、第3階層の旧地図データの区画データE1を更新して上記処理を行い更新区画データE1’を作成する。また、更新地図データ作成部123は、更新された区画を地図表示する際に、旧地図データの区画データではなく新地図データの区画データを指定するよう管理データを更新することが好ましい。他の例として、更新地図データ作成部123は、更新区画データC2’及びC3’、あるいは、差分C2及び差分C3に基づいて、更新前の区画データ(D1、D2、E1)から更新後区画データを作成するための差分データ(差分D1、差分D2、及び差分E1)を生成することとしても良い。このように差分データを作成した場合には、上記処理をナビゲーション装置において行うこととすることができる。
配信部125は、更新地図データ作成部123で作成された更新地図データ(A’、C2’、C3’、D1’、D2’、E1’)をナビゲーション装置103へ配信する。配信部125は、例えば、作成された各更新地図データを一つに圧縮した圧縮データを配信することができる。上記したように、更新地図データ作成部123で、各差分データ(差分D1、差分D2及び差分E1)を生成した場合には、配信部125は、全階層を更新可能な全ての差分データ(差分C2、差分C3、差分D1、差分D2及び差分E1)を配信することができる。
【0022】
ナビゲーション装置103は、受信部131、ナビゲーション側地図データ記憶部132、更新部133を備える。
受信部131は、サーバ装置102から、配信部125により配信される更新地図データを受信する。
ナビゲーション側地図データ記憶部132には、更新前においてサーバ側地図データ記憶部122と同様の地図データが記憶される。
更新部133は、管理データ更新部134及び区画データ更新部135を備える。
【0023】
管理データ更新部134は、受信部131及び地図データ記憶部132を参照して、受信した更新後の管理データ(A’)を該更新前の管理データが記憶された領域(すなわち、管理データ(A)の領域)と異なる領域に書き込む。
区画データ更新部135は、受信部131及び地図データ記憶部132を参照して、受信した更新後の区画データ(C2’、C3’、D1’、D2’、E1’)を該更新前の区画データ(C2、C3、D1、D2、E1)が記憶された領域と異なる領域に書き込む。
【0024】
上述の通り、両更新部134、135は、更新後の両データを書き込む際に、夫々更新前のデータが記憶された領域と異なる領域を指定するため、更新後の地図データ記憶部132内には更新後のデータ(A’、C2’、C3’、D1’、D2’、E1’)に対応する更新前データ(A、C2、C3、D1、D2、E1)が併存することになる。
更新後の地図データを用いて区画Xを第1の縮尺で地図表示する際には、更新後管理データ(A’)は、区画データC2、C3に代えて更新区画データC2’及びC3’を指定し、第2の縮尺の場合には、区画データD1、D2に代えて更新区画データD1’及びD2’を指定し、第3の縮尺の場合には、区画データE1に代えて更新区画データE1’を指定する。そして、更新後区画データに不具合が生じた場合には、更新後管理データ(A’)に代えて更新前管理データ(A)が機能し、第1の縮尺で表示する場合において該更新前管理データ(A)は更新後区画データ(C2’、C3’)を指定することなく、区画データC1〜C9を指定して、区画Xに対応する地図表示を行う。本発明の地図更新システムによれば、ナビゲーション装置103内の地図データ記憶部132に更新前の区画データも残存させているため、更新後のデータに不具合が生じた場合であっても、更新前のデータに切り替えることにより継続的に地図表示を行うことができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態(実施例)を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0026】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 地図データ処理装置
3 地図データ格納部
5 リンクID仮付与部
7 デフォルメ処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8