【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0019】
参考例1:末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合した糖鎖を特異的に認識するHYB4モノクローナル抗体の作製
本発明による前立腺癌と前立腺肥大の識別に用いる末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合した糖鎖を特異的に認識するモノクローナル抗体を次の手順によって作製した。
【0020】
(1)抗原の調製
糖脂質であるIV
3NeuAcnLc
4Cer(NeuAcα2−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−1’Cer)を免疫原として使用した。
【0021】
(2)ハイブリドーマの作製
IV
3NeuAcnLc
4Cer(NeuAcα2−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−1’Cer)228μgをEtOH114μlに溶かし、超音波処理後、PBS 1820μlを加えて、37℃に加温した。その後、アジュバントとして酸処理した
Salmonella minnesota菌体膜画分をPBSで1mg/mlに懸濁した溶液568μlを加えて37℃、10分間静置させた。この混合溶液200μlを0,4,7,11,21,25日目にC3Hマウスに尾静脈内投与した。最終投与後3日目に、免疫したマウスの脾臓から調製したリンパ球をケーラーとミルシュタインの常法(Nature,256,495,1975)に従って、細胞融合に供した。融合相手の親細胞に、マウス骨髄腫細胞株であるPAI(ヒューマンサイエンス研究資源バンク、JCRB0113)を用い、融合剤としてはポリエチレングリコール4000(メルク社)を用いた。このようにして融合した細胞は、HAT培地に懸濁し、96穴のマイクロカルチャープレートに分注して培養した。約2週間後、コロニー陽性ウェルの培養上清中の抗体産生をIV
3NeuAcnLc
4Cerを抗原とするELISA法でスクリーニングした。スクリーニングは96穴マイクロタイタープレート(ダイナテック社、IMMULON 1B)を用いて次のようにして行った。IV
3NeuAcnLc
4Cerを95%EtOHで0.1nmol/50μlに調製し、50μl/wellとなるように加えた。ブランクとなるウェルには95%EtOH50μlを入れた。減圧下でEtOHを蒸発させ、抗原糖脂質を固相化後、1% human serum albumin(Sigma社、A6784)含有PBS(PBS−1)を200μl/wellとなるように加え、室温に1時間放置した。PBS−1を除去後、ハイブリドーマ培養上清を50μl/wellとなるように加え、室温にて1時間反応させた。培養上清を除去後、PBS100μl/wellでウェルを1回洗浄した。PBS−1で10000倍希釈した二次抗体(Protein A−HRP)溶液を100μl/wellとなるように加え、室温にて1時間反応させた。二次抗体溶液を除去後、ウェルをPBS100μl/wellで5回洗浄した。ペルオキシダーゼ基質(O−フェニレンジアミン2mgを80mMクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.6)5ml、30%過酸化水素2μlで溶解したもの)を100μl/wellとなるように加えた。遮光放置して発色が見られたところで1M HCl100μl/wellを加えて発色を停止させた。その後、測定波長492nm、対照波長630nmに設定したマイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。高い抗体産生能、良好な増殖能をもつ3つのハイブリドーマクローンが得られた(抗体産生陽性率:0.5%)。得られたクローンが産生する抗体のクラス(免疫グロブリンのタイプ)はすべてIgG3(κ)であった。以上のようにして選択されたハイブリドーマのうち、クローンHYB4由来のモノクローナル抗体がSiaα(2,3)Gal糖鎖と特異的に反応した。
【0022】
(3)HYB4モノクローナル抗体の調製
(2)において得られたハイブリドーマ(クローンHYB4)を、75cm2フラスコ(CORNING社、430720)を用いて、10%(v/v)Fetal bovine serum(FBS)含有RPMI1640培地(ニッスイ社、05918)25ml中、37℃、5%CO
2存在下で2日間前培養した。75cm2フラスコ2本から細胞を回収し、E−RDF培地(極東社、26500)1lに懸濁後、大量培養装置(スピンナーフラスコ)に移し、37℃で4日間回転培養を行った。この培養液中にSiaα(2,3)Gal糖鎖と特異的に反応するモノクローナル抗体が高濃度に含まれていた。クローンHYB4由来の培養液は、プロテインAセファロースによるアフニティクロマトグラフィーで精製した。こうしてハイブリドーマ(クローンHYB4)から調製したHYB4モノクローナル抗体は、免疫グロブリンのタイプがIgG3で、分子量は約15万ダルトンであった。こうして確立されたHYB4モノクローナル抗体は、和光純薬社から市販されている。
【0023】
実施例1:HYB4モノクローナル抗体を用いたPcaとBPHの識別(その1)
以下の手順によって行った。
【0024】
(1)担体への抗フリーPSA抗体の固定化
磁性ビーズであるMagplex microsphere(Luminex社)を担体として用い、その表面に抗フリーPSA抗体をXMAP Antibody Coupling Kitのマニュアルに従って固定した。具体的には、1.5mlチューブに6.25×10
6個/500μlのMagplex microsphereを添加し、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。チューブへ500μlのActivation bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。再度チューブへ400μlのActivation bufferを添加し、10秒間混合した。次に50μlのSulfo−NHSと50μlのEDC溶液を添加し、10秒間混合後、20分間室温で放置した。Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。磁性ビーズを洗浄するため、500μlのWash bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。この洗浄操作を計3回繰り返した。25μgの抗ヒトフリーPSA特異的モノクローナル抗体(クローン2E2由来のコンプレックスPSAと反応しない抗フリーPSA抗体)(フナコシ社)を1000μlのActivation bufferに混合し、磁性ビーズの入ったチューブに添加した。室温で緩やかに混合(15−30rpm)しながら2時間放置した。Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。磁性ビーズを洗浄するため、500μlのWash bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。この洗浄操作を計3回繰り返した。最後に1mlのWash bufferを添加し、1μlあたり6250個の抗フリーPSA抗体を固定化したMagplex microsphereを調製し、使用するまで4℃で保存した。
【0025】
(2)Luminexシステムを用いた末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSAの定量
(A)定量対象者
トータルPSAのレベルが20.0ng/ml以下のPca患者79名およびBPH患者96名とし、それぞれの患者から血清を採取し、測定を行った。患者の組織病理学的診断は前立腺生検を行って確認した。患者の年齢、PSA値、病理組織学的悪性度分類および臨床病期を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
(B)定量方法
96穴白色プレート(
WHATMAN社)の各ウェルに(1)において調製した12500個/2μlの抗フリーPSA抗体固定化Magplex microsphereを添加した。Carbofree Blocking buffer(フナコシ社)を50μl添加し、磁性ビーズをブロッキングした後、各ウェルに分析試料である血清を20μl添加し、1時間、4℃で放置後、磁性ビーズを100μlの0.01%Tween20を含むTris−buffered saline(TBST)で3回洗浄した。次に50μlのHYB4モノクローナル抗体を混合し、1時間、4℃で放置した。磁性ビーズを50μlのTBSTで3回洗浄後、50μlのPhycoerythrin蛍光色素(PE)標識抗マウスIgG3抗体(Santa Cruz Biotechnology社)を混合し、45分、室温で放置後、Luminex100フローメトリーに96穴白色プレートをセットし、各ウェルの蛍光強度(MFI:Mean Fluorescence Intensity)を測定した。
【0028】
(C)定量結果
図1に示す。
図1から明らかなように、Pca患者の血清の蛍光強度は、BPH患者の血清の蛍光強度よりも有意に高かった(P<0.001,
Mann Whitney U−test)。これは即ち、Pca患者の血清中の末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSA量は、BPH患者の血清中のそれより多いことを意味する。また、この定量結果からRelative Operating Characteristic curve(ROC曲線)により解析を行ったところ、MFI値のcutoff=128.5で、感度0.8354、特異度0.7083、AUC(曲線下面積:Area Under the Curve)=0.8445であった(
図2)。
【0029】
(3)PcaとBPHの識別
(2)で設定したMFIのカットオフ値を基準にして本発明の方法によってPcaとBPHの識別を行ったところ、従来のPSA検査でPcaの疑いがあると判断された患者(177名)で針生検を施行してBPHと診断された患者(98名)のうちの約75%(73名)の患者についてBPHと判定できた。以上の結果から、本発明によってPcaとBPHを少ない分析試料で高感度に再現性よく識別できることがわかった。現在行われているPca診断法としての血清PSAテストではPcaとBPHの識別は困難であり、PSA値が4ng/ml以上の場合、前立腺に針を刺入する生検が必要となる。しかしながら、針生検を施行した患者のうちPcaと診断される患者は約20%に過ぎず、結果として残りの約80%の患者には本来不要であった針生検を施行せざるを得ないのが現状である。しかも針生検は侵襲的であり、出血や感染症などの重篤な有害事象を伴うことが懸念される。本発明によれば、PcaとBPHを少ない分析試料で高感度に再現性よく識別できるので、針生検の施行を必要とする症例の絞り込みが可能になるため、これまで困難であった非侵襲的なPca診断の実施ができる。
【0030】
実施例2:HYB4モノクローナル抗体を用いたPcaとBPHの識別(その2)
以下の手順によって行った。
【0031】
(1)担体への抗フリーPSA抗体の固定化
磁性ビーズであるMagplex microsphere(Luminex社)を担体として用い、その表面に抗フリーPSA抗体をXMAP Antibody Coupling Kitのマニュアルに従って固定した。具体的には、1.5mlチューブに1.25×10
7個/1000μlのMagplex microsphereを添加し、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。チューブへ500μlのActivation bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。再度チューブへ400μlのActivation bufferを添加し、10秒間混合した。次に50μlのSulfo−NHSと50μlのEDC溶液を添加し、10秒間混合後、20分間室温で放置した。Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。磁性ビーズを洗浄するため、500μlのWash bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。この洗浄操作を計3回繰り返した。62.5μgの抗ヒトフリーPSA特異的モノクローナル抗体(クローン8A6由来のコンプレックスPSAと反応しない抗フリーPSA抗体)(Abcam社)を500μlのActivation bufferに混合し、磁性ビーズの入ったチューブに添加した。室温で緩やかに混合(15−30rpm)しながら2時間放置した。Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。磁性ビーズを洗浄するため、500μlのWash bufferを添加し、10秒間混合後、Magnetic Separator上で2分間、静置した。磁性ビーズ沈殿後、上清を吸引し、除去した。この洗浄操作を計3回繰り返した。最後に2mlのWash bufferを添加し、1μlあたり6250個の抗フリーPSA抗体を固定化したMagplex microsphereを調製し、使用するまで4℃で保存した。
【0032】
(2)Luminexシステムを用いた末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSAの定量
(A)定量対象者
トータルPSAのレベルが10.0ng/ml以下のPca患者138名およびBPH患者176名とし、それぞれの患者から血清を採取し、測定を行った。患者の組織病理学的診断は前立腺生検を行って確認した。患者の年齢、PSA値、病理組織学的悪性度分類および臨床病期を表2に示す(表中、Non−PCaはBPH患者を意味する)。
【0033】
【表2】
【0034】
(B)定量方法
実施例1に記載の方法と同様の方法で行った。
【0035】
(C)定量結果
図3左に示す(図中、Non−PCaはBPH患者を意味する)。
図3左から明らかなように、Pca患者の血清の蛍光強度は、BPH患者の血清の蛍光強度よりも有意に高かった(P<0.0001,
Mann Whitney U−test)。これは即ち、Pca患者の血清中の末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSA量は、BPH患者の血清中のそれより多いことを意味する。また、この定量結果からRelative Operating Characteristic curve(ROC曲線)により解析を行ったところ、MFI値のcutoff=1130で、感度90.6%、特異度64.2%、AUC=0.84であった(
図3右:S2,3PSA)。これに対し、トータルPSA測定法はAUC=0.61、%フリーPSA測定法(フリーPSA/トータルPSAの比を指標にした方法)はAUC=0.60であった(
図3右:図中、PSAはトータルPSA測定法、%fPSAは%フリーPSA測定法を意味する)。よって、本発明の方法は感度90%以上であってAUC=0.80以上であることは、本発明の方法がPcaとBPHの識別精度に優れていることを裏付けるものであった。本発明の方法と、トータルPSA測定法および%フリーPSA測定法について、特異度、診断精度、陽性診断率、陰性診断率を比較した結果を表3に示す(表中、S2,3PSAは本発明の方法、PSAはトータルPSA測定法、%fPSAは%フリーPSA測定法を意味する)。表3から明らかなように、本発明の方法によれば、特異度60%以上、診断精度70%以上、陽性診断率60%以上、陰性診断率80%以上でもって、PcaとBPHを識別できることがわかった。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例3:HYB4モノクローナル抗体を用いたPcaとBPHの識別とイヌエンジュレクチンを用いたPcaとBPHの識別の比較
以下の手順によって行った。
【0038】
(1)担体への抗フリーPSA抗体の固定化
実施例2に記載の方法と同様の方法で行った。
【0039】
(2)Luminexシステムを用いた末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSAの定量
(A)定量対象者
トータルPSAのレベルが20.0ng/ml以下のPca患者48名およびBPH患者54名とし、それぞれの患者から血清を採取し、測定を行った。患者の組織病理学的診断は前立腺生検を行って確認した。患者の年齢、PSA値、病理組織学的悪性度分類および臨床病期を表4に示す(表中、Non−PCaはBPH患者を意味する)。
【0040】
【表4】
【0041】
(B)定量方法
(i)HYB4モノクローナル抗体を用いる場合
実施例1に記載の方法と同様の方法で行った。
【0042】
(ii)イヌエンジュレクチンを用いる場合
96穴白色プレート(
WHATMAN社)の各ウェルに(1)において調製した12500個/2μlの抗フリーPSA抗体固定化Magplex microsphereを添加した。Carbofree Blocking buffer(フナコシ社)を50μl添加し、磁性ビーズをブロッキングした後、各ウェルに分析試料である血清を20μl添加し、1時間、4℃で放置後、磁性ビーズを100μlの0.01%Tween20を含むTris−buffered saline(TBST)で3回洗浄した。次に50μlのビオチン標識イヌエンジュレクチン(Biotinylated MAA:Vector laboratories社)を混合し、1時間、4℃で放置した。磁性ビーズを50μlのTBSTで3回洗浄後、50μlのPhycoerythrin蛍光色素(PE)標識ストレプトアビジン(Santa Cruz Biotechnology社)を混合し、45分、室温で放置後、Luminex100フローメトリーに96穴白色プレートをセットし、各ウェルの蛍光強度(MFI)を測定した。
【0043】
(C)定量結果
図4左に示す(図中、Non−PCaはBPH患者、HYB4は本発明の方法、MAAはイヌエンジュレクチンを用いた方法を意味する)。
図4左から明らかなように、本発明の方法によれば、Pca患者の血清の蛍光強度とBPH患者の血清の蛍光強度の違いを、20μlという少ない血清量で認識することができたが、イヌエンジュレクチンを用いた方法ではできなかった。また、この定量結果からRelative Operating Characteristic curve(ROC曲線)により解析を行ったところ、
図4右から明らかなように、本発明の方法はAUC=0.8561であった(S2,3PSA HYB4)。これに対し、イヌエンジュレクチンを用いた方法はAUC=0.6256であり(S2,3PSA MAA)、トータルPSA測定法のAUC(0.5305:PSA)と%フリーPSA測定法のAUC(0.6582:%fPSA)と大差がなかった。よって、本発明の方法は、イヌエンジュレクチンを用いた方法と比較して、少ない分析試料でもPcaとBPHの識別精度が優れていることがわかった。
【0044】
実施例4:HYB4モノクローナル抗体を用いたPcaとBPHの識別のためのカットオフ値の設定
実施例2における本発明の方法によるPcaとBPHの識別のためのカットオフ値を規格化するため、27例の血清を含まない試料(ブランク試料:リン酸緩衝液)または80例の健常者の血清(HLT試料)について実施例2に記載の方法と同様の方法で測定した蛍光強度で分析試料である血清の蛍光強度を除算することによって比率で表した。結果を
図5に示す。
図5から明らかなように、HLT試料では末端シアル酸残基がα(2,3)結合でガラクトースに結合したN型糖鎖を有するフリーPSAが存在しないため、その蛍光強度はブランク試料の蛍光強度とほぼ同じであった。27例のブランク試料の蛍光強度の平均値あるいは中央値または80例のHLT試料の蛍光強度の平均値あるいは中央値でPca患者の血清の蛍光強度およびBPH患者の血清の蛍光強度を除算し、比率を求めた結果、検出感度90%を満たすカットオフ値は表5の通りであり、Pcaが疑われる患者の血清の蛍光強度をブランク試料の蛍光強度の平均値あるいは中央値またはHLT試料の蛍光強度の平均値あるいは中央値で除算した値がカットオフ値よりも高い場合はPcaであるであるかその蓋然性が高く、少ない場合はBPHであるかその蓋然性が高いと判定することができることがわかった。
【0045】
【表5】