(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381046
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】連結ジョイント
(51)【国際特許分類】
F16D 3/223 20110101AFI20180820BHJP
F16D 3/20 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
F16D3/223
F16D3/20 J
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-538446(P2015-538446)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公表番号】特表2015-532408(P2015-532408A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2013072311
(87)【国際公開番号】WO2014064214
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】102012110276.7
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514309479
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP STEEL EUROPE AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゲーヴェルト,ミカエル
【審査官】
尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許発明第785242(FR,A)
【文献】
特開2009−103251(JP,A)
【文献】
特表2009−510372(JP,A)
【文献】
特表2004−504570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/223
F16D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイント外側部分(2)と、ジョイント中央部分(3)と、ジョイント内側部分(4)とを有し、第1の回転シャフトから第2の回転シャフトに回転運動を伝達するための連結ジョイント(1)であって、回転運動を伝達するために、前記ジョイント外側部分(2)が前記第1の回転シャフトに連結され、前記ジョイント内側部分(4)が前記第2の回転シャフトに連結され、ボール(5a、6a、7a、8a)がボールトラック(5、6、7、8)に設けられ、前記ボールトラック(5、6、7、8)の前記ボール(5a、6a、7a、8a)はその位置を前記ジョイント外側部分、前記ジョイント中央部分、および前記ジョイント内側部分(2、3、4)に対して変化させることができる、連結ジョイント(1)において、
前記ジョイント外側部分(2)と前記ジョイント中央部分(3)の間に設けられた第1及び第2の少なくとも1つのボールトラック(5、6)のボール(5a、6a)を介して、前記ジョイント外側部分(2)が第1の回動軸(A)の周りを前記ジョイント中央部分(3)に対して回動可能に取り付けられ、
前記ジョイント内側部分(4)と前記ジョイント中央部分(3)の間に設けられた第3及び第4のボールトラック(7、8)のボール(7a、8a)を介して、前記ジョイント内側部分(4)が第2の回動軸(B)の周りを前記ジョイント中央部分(3)に対して回動可能に取り付けられ、前記第1及び第2の回動軸(A、B)は互いに対して90°の角度であり、
前記ボールトラック(5、6、7、8)の前記ボール(5a、6a、7a、8a)を介して、前記ジョイント外側部分(2)から前記ジョイント中央部分(3)を介して前記ジョイント内側部分(4)に、およびその逆に回転運動が伝達できるように、ボール(5a、6a、7a、8a)が前記ボールトラック(5、6、7、8)に設けられており、
前記ボールトラック(5、6、7、8)の前記ボール(5a、6a、7a、8a)が、前記連結ジョイント(1)の径方向平面において共通径(9)に配置されていることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項2】
請求項1に記載の連結ジョイントにおいて、
少なくとも2つのボール(5a、5b、8a、8b)が、ボールトラック(5、6、7、8)毎に設けられることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の連結ジョイントにおいて、
前記ジョイント外側部分(2)および/または前記ジョイント内側部分(4)が、前記第1及び前記第2の回動軸(A、B)それぞれの周りを各回動方向に少なくとも40°の角度まで回動可能となるように、前記ボールトラック(5、6、7、8)が構成されていることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の連結ジョイントにおいて、
前記第1及び第2のボールトラック(5、6)の前記ボール(5a、6a)を受けるために、前記ジョイント外側部分(2)が外径が拡張した領域を有し、前記ジョイント中央部分(3)が外径が縮小した領域を有しており、前記第3及び第4のボールトラック(7、8)の前記ボールを受けるために、前記ジョイント中央部分(3)が外径が拡張した領域を有し、前記ジョイント内側部分(4)が外径が縮小した領域を有することを特徴とする連結ジョイント。
【請求項5】
請求項4に記載の連結ジョイントにおいて、
前記外径が拡張または縮小した領域における前記ジョイント外側部分(2)、前記ジョイント中央部分(3)、および/または前記ジョイント内側部分(4)が、前記ボールトラック(5、6、7、8)それぞれに配置された前記ボールに対して45°を超える接触角を有することを特徴とする連結ジョイント。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の連結ジョイントにおいて、
前記ジョイント外側部分(2)、前記ジョイント中央部分(3)、および/または前記ジョイント内側部分(4)が、ローラースピニングを適用しながら、成形法によって回転対称の円板ブランク、管状部分、または押出プレスブランクから製造されることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の連結ジョイントにおいて、
前記ジョイント外側部分(2)、前記ジョイント中央部分(3)、および/または前記ジョイント内側部分(4)が、成形された後に部分的にまたは完全に熱処理されることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の連結ジョイントにおいて、
前記ボールトラック(5’、5’’、6’、6’’、7’、7’’、8’、8’’)のうち少なくとも2つが、互いに平行に延びる2つのボールトラックとしてそれぞれ構成されることを特徴とする連結ジョイント。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の連結ジョイントにおいて、
前記第1の回転シャフトの方向を向いた前記ジョイント外側部分(2)の端部、および/または前記第2の回転シャフトの方向を向いた前記ジョイント内側部分(4)の端部(2a)に、前記第1及び第2の回転シャフトそれぞれに連結するための固定手段(12)を任意に有するジョイントジャーナル(2b)が設けられることを特徴とする連結ジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイント外側部分と、ジョイント中央部分と、ジョイント内側部分とを有し、第1の回転シャフトから第2の回転シャフトに回転運動を伝達するための連結ジョイントに関するものであり、回転運動を伝達するために、ジョイント外側部分は第1の回転シャフトに連結され、ジョイント内側部分は第2の回転シャフトに連結され、ボールトラックにボールが設けられており、ボールトラックのボールはジョイント外側部分、ジョイント中央部分、およびジョイント内側部分に対してその位置を変化させることができるものである。
【背景技術】
【0002】
定速ジョイント、トライポッドジョイント、ならびにユニバーサルジョイントを用いて互いに平行に延びていない回転軸をフォームフィットするように相互接続し、一方の軸の回転運動を他方の軸に伝達することができる。これらのジョイントは一般に、ジョイント外側部分と、ジョイント中央部分と、ジョイント内側部分とから構成され、ボールをボールトラックに設けることができ、これにより、一方で、例えば、ジョイント外側部分からジョイント中央部分へ、さらにジョイント内側部分へと回転運動のフォームフィットの伝達を確実に行い、他方で、回転運動の際にジョイント外側部分、ジョイント中央部分、またはジョイント内側部分に対してボールが位置を変化できるようにする。例えば、英国特許第390438号といった先行技術により、ボールヘッド形状のジョイント内側部分がボールトラックのボールを介してジョイント中央部分に、同様にボール形状のジョイント外側部分に連結されたユニバーサルボールジョイントが知られている。ここでは、ボールトラックは、ジョイント内側部分、ジョイント中央部分、およびジョイント外側部分に設けられたインサートによって与えられている。一方、先行技術により知られている連結ジョイントの構造は複雑であって、ジョイントそれぞれの部分に設けられる必要なインサートやミルアウト部のために多くの機械加工ステップを必要とする。他方、既知の連結ジョイントには、ジョイント内側部分とジョイント外側部分の間の許容曲げ角度が比較的小さいという欠点がある。さらに、先行技術により知られている連結ジョイントの重量も改善する必要がある。最後に、既知の連結ジョイントの過剰に限定されたシステムによる、ジョイント内側部分とジョイント外側部分の間の遊びも同様に改善する必要がある。
【0003】
そこから、本発明は、一方で、簡単に構成され且つ製造が容易であって、更に、遊びが少ないが全体的に摩擦が少ない、回転運動を伝達するための連結ジョイントを提供する目的に基づいている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の教示によると、汎用型の連結ジョイントであって、ジョイント外側部分が、ジョイント外側部分とジョイント中央部分の間に設けられた少なくとも1つの第1及び第2のボールトラックのボールを介して、第1の回動軸の周りをジョイント中央部分に対して回動可能に取り付けられ、ジョイント内側部分が、ジョイント内側部分とジョイント中央部分の間に設けられた第3及び第4のボールトラックのボールを介して、第2の回動軸の周りをジョイント中央部分に対して回動可能に取り付けられ、第1及び第2の回動軸が互いに対して90°の角度であり、ボールがボールトラックに設けられ、これにより、ボールトラックのボールを介して、回転運動がジョイント外側部分からジョイント中央部分を介してジョイント内側部分に、及びその逆に伝達可能である連結ジョイントによって、上記目的は達成される。
【0005】
先行技術と対照的に、ジョイント外側部分が、第1の回動軸によってジョイント中央部分に対して回動可能に取り付けられ、ジョイント内側部分が、第1の回動軸に対して90°回転した第2の回動軸によってジョイント中央部分に対して回動可能に取り付けられる。ボールトラックおよびその中に配置されるボールによる2つの回動軸を提供することにより、先行技術により知られている連結ジョイントとは対照的に、この連結ジョイントを、非常に簡単に、すなわち、合計4つのボールトラックのみを有するように構成することが可能となり、特に、回動運動および回転運動について、摩擦値を確実に著しく低くすることが可能となる。90°の角度で回動軸を配置することにより、その間で回転運動を伝達する2つの回転シャフトの運動を最大限自由にすることができる。
【0006】
本発明の第1の実施形態によると、少なくとも2つのボールがボールトラック毎に設けられる。ボールトラック毎に1つのボールを使用することと比較して、連結ジョイントの誘導性および遊びが向上する。先行技術により知られているように、ボールトラック毎に3つのボールを使用することと比較すると、同一の経路長のボールトラックにおいて、ボールトラック毎に2つのボールを使用することにより、ジョイント部分の互いに対する運動の優れた自由度を可能にする。
【0007】
本発明による連結ジョイントの更なる実施形態によると、ジョイント外側部分および/またはジョイント内側部分が、第1及び第2の回動軸それぞれの周りを各回動方向に少なくとも40°の角度まで回動できるように、ボールトラックが構成される。そのため、連結ジョイントに非常に大きい曲げ角度を提供することができる。
【0008】
更なる実施形態によると、第1及び第2のボールトラックのボールを受けるために、ジョイント外側部分が外径が拡張した領域を有し、ジョイント中央部分が外径が縮小した関連領域を有しており、第3及び第4のボールトラックのボールを受けるために、ジョイント中央部分が外径が拡大した領域を有し、ジョイント内側部分が外径が縮小した領域を有する簡単な方法で、連結ジョイントを提供することができる。この方法により、インサートまたは他のボールケージの使用を免れるように、ジョイント中央部分およびジョイント内側部分、ならびにジョイント外側部分によってボールトラックが直接設けられる。当然のことながら、ボールトラックのボールのためにボールケージを使用することも考えられる。しかしながら、誘導性の大部分はジョイント外側部分、ジョイント中央部分、またはジョイント内側部分それぞれのボールトラックによって確保されているため、このボールゲージは最小限のサイズにまで縮小することができる。例えば、ボールベアリングに使用されるものと同様のボールケージを使用してもよい。
【0009】
好適には、外径が拡張または縮小した領域のジョイント外側部分、ジョイント中央部分、および/またはジョイント内側部分は、それぞれのボールトラックに配置されたボールに対して45°を超える接触角を有する。そのため、ボールケージを使用していないにもかかわらず、ボールの誘導性が著しく向上し、ひいては連結ジョイントの遊びが著しく減少する。
【0010】
好適には、ボールトラックは、例えば、楕円形の断面または反射した尖頭アーチの1つを有する。これにより、ボールトラックのボールの走行面または接触線をそれぞれ、幾つかの地点、例えば2箇所の接触地点に減少させることができ、ひいては全体的な摩擦を低減させることができる。
【0011】
仮に、ジョイント外側部分、ジョイント中央部分、および/またはジョイント内側部分が、好適にはローラースピニングを適用しながら、成形法によって回転対称の円板ブランク、管状部分、または押出プレスブランクから製造される場合には、ボールトラックのために設けられる領域は、機械的成形法で一般に作製されるような鋭い縁部や角部がない、一般的な半径を有する。このような半径は、改善された方法で、負荷の下においてボールの面圧を吸収できるようにする。ボールトラックの振れにおける最大張力は、それぞれ減少するか、回避される。さらに、ボールトラックは、立体的ブランクの減法的な機械加工を必要とすることなく、例えばローラースピニングのような極めて総合的なプロセスによって簡単に製造することもできる。減法的な機械加工動作は実際、最大張力を低減させるために鋭利な縁部や突出部をそれぞれ取り除く、あるいは折り曲げねばならないという問題点を有している。これらは、追加的な費用の掛かる動作ステップである。対照的に、成形法は原則的に、摩擦値が低い滑らかな表面を作り出す。ローラースピニングとは別に、当然のことながら、管状ブランク、円板ブランク、または押出プレスブランクそれぞれを機械的に成形する他の方法、例えば、引出成形法、ロール成形法等を検討してもよい。
【0012】
好適には、成形後のジョイント外側部分、ジョイント中央部分、および/またはジョイント内側部分は、部分的に又は完全に熱処理される。そのため、一方で、強い力の伝達を可能にする、使用されるジョイント外側部分、ジョイント中央部分、およびジョイント内側部分の強度値を実現することができる。他方で、連結ジョイントの摩耗をも減少させる。
【0013】
連結ジョイントの誘導性を更に高めるために、更なる実施形態によると、ボールトラックのうち少なくとも2つが互いに平行に延びる2つのボールトラックとしてそれぞれ構成され、これにより、互いに平行に延びるこれらの二重ボールトラックの誘導性能が更に高まる。一方で、互いに平行に延びる2つのボールトラックを介するトルク伝達を著しく向上させることができ、他方で、互いに平行に延びるボールトラックを使用することにより、摩擦が過度に増加せず、これにより、特に、4つ全てのボールトラックが互いに平行に延びるボールトラックとしてそれぞれ構成される場合には、特に、連結ジョイントについて増大したトルクの伝達が確保される。
【0014】
一方、第1又は第2の回転シャフトと一体型となるように、ジョイント外側部分、ならびにジョイント内側部分を構成してもよい。他方、連結ジョイントの有利な実施形態によると、第1の回転シャフトの方向を向いたジョイント外側部分の端部、および/または第2の回転シャフトの方向を向いたジョイント内側部分の端部に、第1及び第2の回転シャフトそれぞれに連結するための固定手段を任意に有するジョイントジャーナルが設けられる。ジョイントジャーナルにより、それぞれの連結部分、すなわち、ジョイント外側部分またはジョイント内側部分は、一方で、回転シャフトから連結ジョイントが意図せず外れるのを防止できるように、回転シャフトにフォームフィットするよう連結することができる。他方、回転シャフトへの非常に優れたトルク伝達を確保するために、ジョイントジャーナルは、例えば歯部を有しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下に、実施例および図面の上で本発明をより詳細に説明する。
【
図1】
図1は、連結ジョイントの第1の実施例を径方向断面図に示している。
【
図2】
図2は、切断線IIに沿った
図1による実施例を概略断面図に示している。
【
図3】
図3は、切断線IIIに沿った
図1による実施例を概略断面図に示している。
【
図4】
図4は、互いに平行に延びる2つのボールトラックを有する場合の連結ジョイントの第2の実施例を概略的な径方向断面図に示している。
【
図5】
図5a、bは、ボールトラックの断面形状が異なる2つの実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、本発明による連結ジョイント1の第1の実施例が、概略的な径方向断面図に最初に図示されている。連結ジョイント1は、ジョイント外側部分2と、ジョイント中央部分3と、ジョイント内側部分4とを有している。第1及び第2のボールトラック5、6を介して、ジョイント外側部分2が軸Aの周りをジョイント中央部分3に対して回動するように取り付けられている。さらに、ジョイント内側部分4が回動軸Bの周りをジョイント中央部分に対して回動できるように、第3及び第4のボールトラック7、8を介して、ジョイント内側部分4がジョイント中央部分3に取り付けられている。回動軸AおよびBの双方は互いに対して90°の角度を有している。
図1に見られるように、
図1に示す連結ジョイントの実施例では、一方で第1の回転シャフトの回転運動を第2の回転シャフトに伝達するために、他方で軸AおよびBに対して回動させることによって曲げ角度を同時に可能にするために、合計4つのボールトラック5、6、7、8のみが必要とされている。
【0017】
図1に示す実施例に見ることができるように、連結ジョイント1は金属シート型の材料から製造されており、中実材料から製造されていない。したがって、先行技術により知られている、大部分に中実材料を有するか、ほぼ中実材料である連結ジョイントと比較して、この連結ジョイント1は特に軽量である。好適には、例えば、ローラースピニングまたは回転成形によって機械的に成形される円板ブランク、管状部分、あるいは押出プレスブランクが使用される。
【0018】
ジョイント外側部分、ジョイント中央部分、およびジョイント内側部分は、例えばローラースピニングといった機械的成形法によって、押出プレスブランク、円板ブランク、または管状中空体から製造されることが好ましい。ローラースピニングは、特に、様々な領域に様々な壁厚を問題なく与えることができるため、好ましい製造方法である。ここでの本発明による連結ジョイント1は、ボールトラックの領域において付加的な手段に依存していない。これは、連結ジョイントを実現するために、原則的にボールケージを必要としないことを意味する。しかしながら、ボールベアリングのボールケージに類似する特に単純なボールケージを利用することも考えられる。
【0019】
好適には、ボールトラックが設けられるジョイント外側部分2、ジョイント中央部分3、およびジョイント内側部分4の領域は、成形後に熱処理される。そのため、摩損に対する脆弱性を特に低くすることが可能であり、同時に、比較的高いトルクの伝達を確保することが可能である。出来る限り均一な力の伝達またはトルクの伝達を実現するために、ボールトラック5、6、7、8のボール5a、6a、7a、8aはそれぞれ、共通径9上に配置される。
【0020】
図2は、切断軸IIに沿った概略断面図に、ジョイント外側部分2とジョイント中央部分3の間に配置された2つのボール5a、5bがボールトラック5に設けられていることを示している。ジョイント中央部分3は図面の平面から突出する回動軸Bの周りを少なくとも40°回動するように配置されており、最大回動角度αは少なくとも80°である。ジョイント内側部分を含むジョイント中央部分が回動軸Bの周りを回動する際、ボール5aおよび5bは
図2の破線に示すように位置を変化させる。
【0021】
切断軸IIIに沿った第1の実施例の概略断面図が
図3に示されている。ボール8a、8bがボールトラック8の中をジョイント中央部分に対して移動することができるように、ボール8a、8bはジョイント内側部分4とジョイント中央部分3の間に配置されている。ジョイント内側部分4は図面の平面から突出する回動軸Aの周りを少なくとも40°回動することができ、回動軸Aを中心とした最大回動角度αは少なくとも80°である。
【0022】
図3には、第1の回転シャフトの方向を向いたジョイント外側部分の端部2aが歯部12を有するジョイントジャーナル2bを有することが更に図示されており、それにより、ジョイントジャーナル2bを、回転する被駆動部、例えばギアボックスに、フォームフィットにより連結することができる。
【0023】
第2の実施例の径方向断面図が
図4に図示されており、これは、回動軸A及びBの周りの回動運動を可能にするために、これ以降のケースでは、単一のボールトラックの代わりに2つの平行なボールトラック5’、5’’、6’、6’’、7’、7’’、8’、8’’が設けられているという点で、
図1の第1の実施例とは異なっている。さらに、既に述べたように、2つの平行なボールトラックは、第1の回転シャフトから、ジョイント外側部分2’、ジョイント中央部分3’を介してジョイント内側部分4’に、ひいては第2の回転シャフトにトルクを伝達するように機能する。
図4には、例えば、ボールトラックにボールを設けるために使用することができるボールケージが符号10’を用いて示されている。しかしながら、
図1ならびに
図4の双方の実施例とも、ボールケージは必要ではない。
【0024】
ボールトラックの断面の様々な実施形態が、
図5aおよび
図5bに示されている。例えば、
図5aは、
図1による第1の実施例のボール8aを図示している。ジョイント中央部分3がジョイント内側部分4と共に、ここでは楕円形の断面を有するボールトラック8を形成している。そのため、ボールは、断面図において2つの十字形の間に図示された2つの接触線によって単に支持されており、この場合に特に低い摩擦値を有する。同じことが、反射した尖頭アーチ形状の断面を有する1つのボールトラック、すなわち
図5bによっても達成される。ここでも、ただ2つの環状の接触面または接触線がそれぞれ構成され、ボールを誘導する。そのため、ボールトラックのボールの遊びが減少し、同時に、ボールトラックにおけるボールの摩擦が可能な限り低く維持される。
【0025】
図5aおよび5bに図示されたように、外径が拡張または縮小した領域におけるジョイント中央部分3およびジョイント内側部分4は、ボール、例えば、それぞれのボールトラックに配置されたボール8aに対して45°を超える接触角βを有する。これは、ジョイント外側部分2およびジョイント中央部分3と、ボールトラック5、6それぞれに関連するボール5a、6aにも適用され、これにより、ボールはボールトラック内を特に正確に誘導されることとなる。