特許第6381048号(P6381048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381048
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/378 20150101AFI20180820BHJP
   H01Q 5/10 20150101ALI20180820BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20180820BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01Q5/378
   H01Q5/10
   H01Q9/26
   H01Q21/28
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-20581(P2016-20581)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2017-139685(P2017-139685A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/141133(WO,A1)
【文献】 特開2003−198410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0349418(US,A1)
【文献】 特開2012−244190(JP,A)
【文献】 特開2008−035219(JP,A)
【文献】 特開2010−154081(JP,A)
【文献】 特開2005−033773(JP,A)
【文献】 特開平01−125103(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/129147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部から供給される電力に従って動作し、装置基板の基板面上に形成されるスプリットリング共振器アンテナと、
前記スプリットリング共振器アンテナと接触しない位置に配置される無給電アンテナとを、備え、
前記無給電アンテナは、
前記基板面を含む平面と直交する直交面上であって、前記基板面から前記基板面と直交する方向に形成される第1の導体と、前記基板面から前記第1の導体と反対方向に形成される第2の導体と、前記平面上において前記第1の導体及び前記第2の導体を接続する第3の導体とを有する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の導体、前記第2の導体、及び前記第3の導体には、前記スプリットリング共振器アンテナに流れる電流によって電流が生じる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第3の導体は、
前記スプリットリング共振器アンテナに流れる電流の方向と実質的に平行する方向に電流が流れるように配置される、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の導体は、
前記第3の導体の一方の端部に接続し、
前記第2の導体は、
前記第3の導体の他方の端部に接続する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記スプリットリング共振器アンテナは、
前記平面上に、前記スプリットリング共振器アンテナに流れる電流の方向と実質的に直交する方向に電流が流れるように形成される第4の導体をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の導体及び前記第2の導体は、前記スプリットリング共振器アンテナに、第1の周波数帯域の信号が入力された際に共振するように形成され、
さらに、前記スプリットリング共振器アンテナに第2の周波数帯域の信号が入力された際に共振するように形成される第5の導体及び第6の導体を備え、
前記第5の導体は、
前記第2の導体と接続し、前記第1の導体と実質的に同一の方向に形成され、
前記第6の導体は、
前記第3の導体と接続し、前記第2の導体と実質的に同一の方向に形成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
給電部から供給される電力に従って動作し、装置基板の基板面上に形成されるスプリットリング共振器アンテナと、前記スプリットリング共振器アンテナと接触しない位置に配置される無給電アンテナと、前記スプリットリング共振器アンテナ及び無給電アンテナにおいて伝送されるデータに関する処理を実行するデータ処理部とを、備える無線通信装置であって、
前記無給電アンテナは、
前記基板面を含む平面と直交する直交面上であって、前記基板面から前記基板面と直交する方向に形成される第1の導体と、前記基板面から前記第1の導体と反対方向に形成される第2の導体と、前記平面上において前記第1の導体及び前記第2の導体を接続する第3の導体とを有する、無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置及び無線通信装置に関し、特に複数のアンテナを有するアンテナ装置及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の周波数帯域の無線信号を伝送することができる無線通信装置が製造されている。例えば、2.4ギガヘルツ帯の無線信号及び5ギガヘルツ帯の無線信号を伝送することができる無線ルータ等がある。
【0003】
特許文献1には、異なる周波数帯を使用するアンテナとして機能する複数のスプリットリング共振器をプリント基板に形成したアンテナ装置の構成が開示されている。
【0004】
さらに、無線通信装置の高速化を実現するために、MIMO(Multiple Input and Multiple Output)に対応するアンテナ(以下、MIMOアンテナと称する)が搭載された無線通信装置も製造されている。一般的に、MIMOアンテナは、無線通信装置内において直交して配置されることが良いとされている。MIMOアンテナを直交して配置することによって、良好な指向性及びスループット特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/129147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているプリント基板を用いて2本のMIMOアンテナを配置する場合、プリント基板の基板上に、2本のMIMOアンテナを直交するように配置することができる。しかし、3本のMIMOアンテナを配置する場合、基板上に、基板面に対して垂直方向のアンテナを配置する必要がある。また、3本目のアンテナは、電波を放射するために同軸ケーブル付のアンテナを用いる必要があるため、基板面に対して垂直方向のアンテナを設置する場合に、コストが上昇するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、基板面に対して垂直方向のアンテナを低コストに設置することができるアンテナ装置及び無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかるアンテナ装置は、給電部から供給される電力に従って動作する給電アンテナと、前記給電アンテナと接触しない位置に配置される無給電アンテナとを、備え、前記無給電アンテナは、前記平面と直交する直交面上であって、前記基板面から前記基板面と直交する方向に形成される第1の導体と、前記基板面から前記第1の導体と反対方向に形成される第2の導体と、前記平面上において前記第1の導体及び前記第3の導体を接続する第3の導体とを有するものである。
【0009】
本発明の第2の態様にかかる無線通信装置は、給電部から供給される電力に従って動作する給電アンテナと、前記給電アンテナと接触しない位置に配置される無給電アンテナと、前記給電アンテナ及び無給電アンテナにおいて伝送されるデータに関する処理を実行するデータ処理部とを、備える無線通信装置であって、前記無給電アンテナは、前記平面と直交する直交面上であって、前記基板面から前記基板面と直交する方向に形成される第1の導体と、前記基板面から前記第1の導体と反対方向に形成される第2の導体と、前記平面上において前記第1の導体及び前記第2の導体を接続する第3の導体とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、基板面に対して垂直方向のアンテナを低コストに設置することができるアンテナ装置及び無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかるアンテナ装置の構成図である。
図2】実施の形態1にかかるアンテナ装置の構成図である。
図3】実施の形態2にかかるアンテナ装置の構成図である。
図4】実施の形態2にかかるアンテナ装置に流れる電流の方向を説明する図である。
図5】実施の形態2にかかるアンテナ装置に流れる電流の方向を説明する図である。
図6】実施の形態2にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図7】実施の形態2にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図8】実施の形態2にかかるアンテナ装置の構成図である。
図9】実施の形態2にかかるアンテナ装置の構成図である。
図10】実施の形態3にかかるアンテナ装置の構成図である。
図11】実施の形態3にかかるアンテナ装置の構成図である。
図12】実施の形態3にかかるアンテナ装置に流れる電流の方向を説明する図である。
図13】実施の形態3にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図14】実施の形態3にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図15】実施の形態3にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図16】実施の形態3にかかるアンテナ装置の電波の放射パターンを示す図である。
図17】実施の形態4にかかるアンテナ装置の構成図である。
図18】実施の形態5にかかるアンテナ装置の構成図である。
図19】各実施の形態において説明したアンテナ装置を含む無線通信装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。はじめに、図1を用いて本発明の実施の形態1にかかるアンテナ装置の構成例について説明する。図1のアンテナ装置は、給電アンテナ10及び無給電アンテナ20を有している。
【0013】
給電アンテナ10は、給電部40から供給される電力に従って動作する。また、給電アンテナ10は、装置基板30の基板面を含む平面上に形成される。給電アンテナ10は、例えば、基板上の導体を含み、装置基板30の一部の領域であってもよい。給電部40は、例えば、同軸ケーブルを介してRF(Radio Frequency)回路から出力された高周波信号を給電アンテナ10へ出力する。装置基板30は、例えば、通信装置が動作するための回路を形成する基板である。装置基板30は、例えば、導体パターンが形成されたプリント配線基板であってもよい。
【0014】
給電アンテナ10に高周波信号が出力されることによって、給電アンテナ10に電流が流れ、特定の周波数の電流が流れることによって共振する。給電アンテナ10が共振する周波数は、例えば、導体の長さ等に基づいて定められる。
【0015】
基板面は、例えば、装置基板30上に回路もしくは導体パターンが形成される面であってもよい。例えば、基板面がX座標及びZ座標を用いて位置を特定することができる平面であるとすると、基板面を含む平面上とは、基板面と同様にX座標及びY座標を用いて位置を特定することができる平面上である。X座標は、X軸上の座標であり、Z座標は、Z軸上の座標である。X軸及びZ軸は直交している。つまり、基板面を含む平面上とは、基板面上、及び、基板面の周囲の位置であって、基板面をX軸方向及びZ軸方向に仮想的に拡大した平面上を含む。
【0016】
これより、給電アンテナ10は、装置基板30の基板面に形成されてもよく、装置基板30の外部に形成され、装置基板30と接続されてもよい。
【0017】
給電アンテナ10は、例えば、装置基板30の基板面上に、スプリットリング共振器アンテナ(Split-Ring-Resonator;以下、SRRアンテナと称する)として形成されてもよい。もしくは、給電アンテナ10は、ダイポールアンテナとして形成されてもよい。ダイポールアンテナは、装置基板30の基板面上に配置されてもよく、もしくは、基板面を含む平面上に形成され、装置基板30上の給電部40と給電線を介して接続されてもよい。
【0018】
無給電アンテナ20は、給電アンテナ10とは接触しない位置に配置される。さらに、無給電アンテナ20は、装置基板30とは接触しない位置に配置される。無給電アンテナ20は、導体22、導体23、及び導体24を有している。導体22は、基板面を含む平面と直交する直交面上であって、基板面から基板面と直交する方向に形成される。また、導体23は、基板面から、導体22と反対方向に形成される。
【0019】
例えば、図1のアンテナ装置が存在する空間をXYZ空間にて示す。XYZ空間は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を用いて示される空間である。図1は、XZ平面上に装置基板30の基板面が存在することを示している。また、基板面を含む平面上を、Y軸上における0の位置であるとして、導体22は、Y軸上のプラス方向に形成されると称してもよい。さらに、導体23は、Y軸上のマイナス方向に形成されると称してもよい。
【0020】
導体24は、基板面を含む平面上において、導体22及び導体23を接続する。つまり、導体24は、XY平面上において、導体22及び導体23を接続すると称してもよい。
【0021】
ここで、図2を用いて無給電アンテナ20のアンテナの位置について説明する。図2は、図1のアンテナ装置をY軸方向から見た図である。つまり、XZ平面上における無給電アンテナ20の位置を示している。図2に示されるように、無給電アンテナ20は、装置基板30と離れた位置に配置されている。さらに、無給電アンテナ20は、装置基板30と接触しない位置に配置されている。また、導体24は、給電アンテナ10と実質的に平行な位置に配置されてもよい。言い換えると、導体24は、導体24に流れる電流の向きが、給電アンテナ10に流れる電流の向きと実質的に平行な位置に配置されてもよい。
【0022】
図1に戻り、導体22及び導体23の形状は、例えば、矩形であってもよい。例えば、導体22及び導体23の一辺が、基板面を含む平面上に接する位置に配置される。さらに、基板面を含む平面上に接する一辺と直交する導体22及び導体23における2つの辺は、基板面を含む平面に直交する方向に配置される。
【0023】
導体24は、例えば、基板面を含む平面上において、導体22及び導体24の、基板面を含む平面上に接している一辺を接続するように形成される線状もしくは棒状の導体であってもよい。導体22、導体23及び導体24は、一体の導体として形成されてもよく、この場合、基板面を含む平面上に接する位置に配置される導体22及び導体23の一辺と、導体24とは、一直線上に並ぶ位置に配置されてもよい。また、導体22は、導体24の一方の端部に接続し、導体23は、導体24のもう一方の端部に接続してもよい。
【0024】
給電アンテナ10に供給される高周波信号によって給電アンテナ10に流れる電流の影響により、無給電アンテナ20にも電流が流れる。言い換えると、給電アンテナ10に供給される高周波信号によって給電アンテナ10に流れる電流の作用により、無給電アンテナ20にも電流が流れる。さらに言い換えると、給電アンテナ10と無給電アンテナ20との間の相互結合もしくは相互作用により、無給電アンテナ20に電流が流れる。
【0025】
給電アンテナ10に流れる電流により、装置基板30の基板面を含む平面上に偏波を有する電波が発生する。この電波を、水平偏波を有する電波と称する。また、無給電アンテナ20には、導体22及び導体23のY軸方向に流れる電流が発生する。この電流によって、装置基板30の基板面に直交する直交面上に偏波を有する電波が発生する。この電波を、垂直偏波を有する電波と称する。
【0026】
以上説明したように、図1のアンテナ装置は、給電アンテナ10が生成する電波が有する水平偏波と直交する垂直偏波を有する電波を生成するアンテナとして、無給電アンテナを用いることができる。無給電アンテナは、同軸ケーブル等を介した電力の供給を不要とするため、給電アンテナと比較して低コストに設置することができる。つまり、無給電アンテナ20を用いることによって、垂直偏波を有する電波を安価に生成することができる。
【0027】
さらに、無給電アンテナ20は、装置基板30と接触しない位置に配置することができる。これより、例えば、無給電アンテナ20を、無線通信装置の筐体等に差し込む、もしくは、無線通信装置の筐体等に取り付けることによって、給電アンテナ10及び無給電アンテナ20を有するアンテナ装置を構成することができる。
【0028】
(実施の形態2)
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態2にかかるアンテナ装置の構成例について説明する。図3のアンテナ装置は、給電アンテナ10として、SRRアンテナ13を用いる構成を示している。無給電アンテナ20の構成は、図1及び図2と同様であるため詳細な説明を省略する。SRRアンテナ13には、給電部40から出力された高周波信号によって、ループ電流が発生する。SRRアンテナ13に発生するループ電流のうち、互いに逆方向を流れるZ軸方向の電流は打ち消される。そのため、無給電アンテナ20には、SRRアンテナ13のX軸方向を流れる電流の影響により、電流が流れるようになる。具体的には、無給電アンテナ20において、SRRアンテナ13に流れる電流を打ち消す方向に電流が流れる。
【0029】
ここで、図4及び図5を用いて、無給電アンテナ20に流れる電流について説明する。図4は、SRRアンテナ13のX軸方向に電流が流れていることを示している。さらに、図4は、SRRアンテナ13のX軸方向に電流が流れると、無給電アンテナ20において、SRRアンテナ13に流れる電流と逆方向に電流が流れることを示している。SRRアンテナ13に流れる電流及び無給電アンテナ20に流れる電流の方向は、点線の矢印を用いて示されている。
【0030】
次に、図5を用いて、無給電アンテナ20が、共振した場合に流れる電流の方向について説明する。無給電アンテナ20は、特定の周波数を有する電流が流れた場合に共振する。共振する電流の周波数は、例えば、無給電アンテナ20全体の大きさに応じて定まる。例えば、導体22及び導体23のY軸方向の長さ及び導体24のX軸方向の長さを足し合わせた長さに応じて、共振周波数が定まる。
【0031】
図5は、無給電アンテナ20が共振した際に、導体23、導体24、及び導体22を介して電流が流れることを示している。具体的には、電流は、導体23をY軸方向に流れ、導体24を介して、導体22へ流れ込む。さらに、電流は、導体22をY軸方向に流れる。
【0032】
このように、導体22及び導体23において、基板面と直交する方向に流れる電流によって、垂直偏波を有する電波が発生する。ここで、無給電アンテナ20を用いた場合の電波の放射パターンについて、図6を用いて説明する。また、比較例として、図7を用いて、無給電アンテナ20を用いず、SRRアンテナ13のみに電流が流れた際の電波の放射パターンについて説明する。
【0033】
図7に示されるように、SRRアンテナ13のみに電流が流れた際には、水平偏波のみ発生し、垂直偏波についてはほとんど発生していない。つまり、SRRアンテナ13のみを用いた場合、水平偏波を有する電波しか放射することはできない。
【0034】
一方、図6に示されるように、SRRアンテナ13及び無給電アンテナ20を用いた場合、図7に示す水平偏波に加えて、垂直偏波も発生する。つまり、図6には、無給電アンテナ20を用いることによって、垂直偏波が発生していることが示されている。
【0035】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における給電アンテナ10としてSRRアンテナ13を用いることによって、無給電アンテナ20に給電部40から同軸ケーブル等を介して電力を供給することなく、無給電アンテナ20に電流を発生させることができる。これによって、図6に示すように、垂直偏波を有する電波を放射することができる。
【0036】
また、図3において、給電アンテナ10として、SRRアンテナ13を用いる構成について説明したが、給電アンテナ10は、SRRアンテナ13には制限されない。例えば、図8及び図9に示すように、給電アンテナとして、ダイポールアンテナ15が用いられてもよい。図8及び図9には、装置基板30の基板面を含む平面上に、ダイポールアンテナ15が配置されていることを示している。また、図8及び図9は、ダイポールアンテナ15は、装置基板30の外部に配置され、給電部40から電力が供給されていることを示している。図8及び図9のように、ダイポールアンテナ15を用いた場合であっても、ダイポールアンテナ15に流れる電流によって水平偏波を有する電波を放射し、無給電アンテナ20に流れる電流によって垂直偏波を有する電波を放射することができる。また、ダイポールアンテナ15は、装置基板30の基板上に配置されてもよい。
【0037】
(実施の形態3)
続いて、図10を用いて本発明の実施の形態3にかかるアンテナ装置の構成例について説明する。図10のアンテナ装置は、SRRアンテナ61、SRRアンテナ62及び無給電アンテナ50を有している。
【0038】
図10のアンテナ装置は、給電アンテナとして、SRRアンテナ61及びSRRアンテナ62を有している。SRRアンテナ61及びSRRアンテナ62は、異なる周波数帯域に対応している。例えば、SRRアンテナ61は、5ギガヘルツ帯の周波数に対応し、SRRアンテナ62は、2.4ギガヘルツ帯の周波数に対応していてもよい。給電部40は、SRRアンテナ61及びSRRアンテナ62へ高周波信号を出力する。
【0039】
無給電アンテナ50は、SRRアンテナ61及びSRRアンテナ62とは接触しない位置に配置される。また、無給電アンテナ50は、装置基板30とは接触しない位置に配置される。無給電アンテナ50は、導体51、導体52、導体53、導体54、及び導体55を組み合わせて構成される。
【0040】
導体51及び導体54は、基板面を含む平面と直交する直交面上であって、基板面から基板面と直交する方向に形成される。また、導体52及び導体53は、基板面から、導体51及び導体54と反対方向に形成される。
【0041】
例えば、導体51及び導体54は、基板面を含む平面上から、Y軸上のプラス方向に形成される。さらに、導体52及び導体53は、基板面を含む平面上からY軸上のマイナス方向に形成される。
【0042】
導体55は、基板面を含む平面上において、導体51、導体52、導体53、及び導体54を接続する。つまり、導体55は、XY平面上において、導体51、導体52、導体53、及び導体54を接続すると称してもよい。
【0043】
導体51、導体52、導体53、及び導体54の形状は、例えば、矩形であってもよい。例えば、導体51、導体52、導体53、及び導体54の一辺が、基板面を含む平面上に接する位置に配置される。さらに、基板面を含む平面上に接する一辺と直交する導体51、導体52、導体53、及び導体54における2つの辺は、基板面を含む平面に直交する方向に配置される。
【0044】
導体55は、例えば、基板面を含む平面上において、導体51、導体52、導体53、及び導体54の、基板面を含む平面上に接している一辺を接続するように形成される線状もしくは棒状の導体であってもよい。例えば、導体51及び導体53は、導体55の一方の端部に接続し、導体54は、導体55のもう一方の端部に接続する。また、導体52は、導体55上に接続する。導体51、導体52、導体53、導体54、及び導体55は、一体の導体として形成されてもよく、この場合、基板面を含む平面上に接する位置に配置される導体51、導体52、導体53、及び導体54の一辺と、導体55とは、一直線上に並ぶ位置に配置されてもよい。
【0045】
続いて、図11を用いて無給電アンテナ50のアンテナの位置について説明する。図11は、図10のアンテナ装置をY軸方向から見た図である。つまり、XZ平面上における無給電アンテナ50の位置を示している。図11に示されるように、無給電アンテナ50は、装置基板30と離れた位置に配置されている。また、無給電アンテナ50は、装置基板30と接触しない位置に配置されている。
【0046】
続いて、図12を用いて、無給電アンテナ50に流れる電流について説明する。図12は,XY平面上における無給電アンテナ50の構成を示している。導体51及び導体52、さらに、導体51と導体52とを接続する導体55の一部は、5ギガヘルツ帯のアンテナとして用いられる。つまり、導体51及び導体52、さらに、導体51と導体52とを接続する導体55の一部が共振することによって、導体55を介して、導体52と導体51との間において5ギガヘルツの高周波電流101が流れる。
【0047】
また、導体53、導体54、及び導体55は、2.4ギガヘルツ帯のアンテナとして用いられる。つまり、導体53、導体54、及び導体55が共振することによって、導体55を介して、導体53と導体54との間において2.4ギガヘルツの高周波電流102が流れる。
【0048】
高周波電流101及び高周波電流102が流れることによって、無給電アンテナ50は、SRRアンテナ61及びSRRアンテナ62が放射する水平偏波を有する電波に対して、垂直偏波を有する電波を放射する。
【0049】
ここで、無給電アンテナ50を用いた場合の電波の放射パターンについて、図13及び図14を用いて説明する。また、比較例として、図15及び図16を用いて、無給電アンテナ50を用いず、SRRアンテナ61もしくはSRRアンテナ62のみに電流が流れた際の電波の放射パターンについて説明する。
【0050】
図15に示されるように、5ギガヘルツの周波数帯に対応するSRRアンテナ61のみに電流が流れた際には、水平偏波のみ発生し、垂直偏波についてはほとんど発生していない。つまり、SRRアンテナ61のみを用いた場合、水平偏波を有する電波しか放射することはできない。また、図16に示されるように、2.4ギガヘルツの周波数帯に対応するSRRアンテナ62のみに電流が流れた際にも、水平偏波のみ発生し、垂直偏波についてはほとんど発生していない。つまり、SRRアンテナ62のみを用いた場合、水平偏波を有する電波しか放射することはできない。
【0051】
一方、図13に示されるように、5ギガヘルツの周波数帯に対応するSRRアンテナ61及び無給電アンテナ50を用いた場合、図15に示す水平偏波に加えて、垂直偏波も発生する。つまり、図15には、無給電アンテナ50を用いることによって、垂直偏波が発生していることが示されている。また、図14に示されるように、2.4ギガヘルツの周波数帯に対応するSRRアンテナ62及び無給電アンテナ50を用いた場合、図16に示す水平偏波に加えて、垂直偏波も発生する。つまり、図14には、無給電アンテナ50を用いることによって、垂直偏波が発生していることが示されている。
【0052】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかるアンテナ装置は、複数の周波数帯に対応する無給電アンテナ50を有する。これより、無給電アンテナ50は、垂直偏波を有する電波として、複数の周波数帯に対応する電波を放射することができる。
【0053】
(実施の形態4)
続いて、図17を用いて本発明の実施の形態4にかかるアンテナ装置の構成例について説明する。図17のアンテナ装置は、図1のアンテナ装置において、無給電アンテナ20の代わりに導体71、導体72、及び導体73を有する無給電アンテナが用いられている。導体71、導体72、及び導体73を有する無給電アンテナ以外のその他の構成は、図1と同様であるため詳細な説明を省略する。また、給電アンテナ10の構成については、実施の形態2又は3の給電アンテナの構成が用いられてもよい。
【0054】
導体71及び導体73は、矩形の導体22及び導体23よりも細い形状の導体から構成される。導体71及び導体73は、線状もしくは棒状の導体であってもよい。導体71は、基板面を含む平面と直交する直交面上であって、基板面から基板面と直交する方向に形成される。さらに、導体73は、基板面から、導体71と反対方向に形成される。
【0055】
導体72は、基板面を含む平面上において、導体71及び導体73を接続する。導体71、導体72、及び導体73は、一体として形成されてもよく、例えば、一本の棒状の導体を、折り曲げることによって形成されてもよい。
【0056】
以上説明したように、無給電アンテナの形状は、図1の無給電アンテナ20のように所定の幅を有する導体22及び導体24の他に、導体71及び導体73のように線状もしくは棒状の導体が用いられてもよい。つまり、無給電アンテナを構成する導体が太くなっても細くなっても、給電アンテナが生成する水平偏波を有する電波に対して、垂直偏波を有する電波が生成される。
【0057】
(実施の形態5)
続いて、図18を用いて本発明の実施の形態5にかかるアンテナ装置の構成例について説明する。図18のアンテナ装置は、図1のアンテナ装置において、装置基板30上に給電アンテナ80及び給電アンテナ81が追加されている。さらに、給電アンテナ80へ高周波信号を供給するために、給電部41が追加され、給電アンテナ81へ高周波信号を供給するために給電部42が追加されている。給電アンテナ80、給電部41及び給電部42以外の構成については、図1と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0058】
給電アンテナ80は、装置基板30の基板面を含む平面上に形成される。ここで、給電アンテナ80は、給電アンテナ80に流れる電流の方向と、給電アンテナ10に流れる電流の方向とが実質的に直交するように配置される。給電アンテナ81は、給電アンテナ81に流れる電流の方向と、給電アンテナ80に流れる電流の方向とが実質的に直交するように配置される。また、給電アンテナ80及び給電アンテナ81の構成については、実施の形態2又は3における給電アンテナの構成が用いられてもよい。
【0059】
以上説明したように、図18のアンテナ装置は、給電アンテナ10、給電アンテナ80、及び無給電アンテナ20が実質的に直交する方向に配置される。これより、図18のアンテナ装置は、装置基板30上に配置される給電アンテナ80においてZ軸方向の偏波を有し、給電アンテナ81においてX軸方向の偏波を有し、さらに、装置基板30と直交する方向に配置される無給電アンテナ20においてY軸方向の偏波を有することによって3本のMIMOアンテナを有するアンテナ装置として動作する。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態において説明したアンテナ装置は、携帯電話端末、スマートフォン端末、無線ルータもしくは基地局等の無線通信装置90に搭載されてもよい。
【0061】
無線通信装置90は、アンテナ部91及びデータ処理部92を有する。アンテナ部91は、上記実施の形態において説明したアンテナ装置と同じ構成である。データ処理部92は、アンテナ部91において伝送する無線信号について、変調もしくは復調等のデータ処理を行う。データ処理部92は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、データ処理部92は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 給電アンテナ
13 SRRアンテナ
15 ダイポールアンテナ
20 無給電アンテナ
22 導体
23 導体
24 導体
30 装置基板
40 給電部
41 給電部
42 給電部
50 無給電アンテナ
51 導体
52 導体
53 導体
54 導体
55 導体
61 SRRアンテナ
62 SRRアンテナ
71 導体
72 導体
73 導体
80 給電アンテナ
81 給電アンテナ
90 無線通信装置
91 アンテナ部
92 データ処理部
101 高周波電流
102 高周波電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19