(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近距離無線通信では、無線通信距離が短いため、データ通信を行っている間、RFタグとリーダー及びライターのアンテナを近接させる必要がある。このため、大容量のデータ通信を行い、通信に時間が長くなるような場合には、ユーザは、長時間、RFタグとリーダー及びライターとを近接して固定させ、データ通信中に通信可能領域から外れないように注意を払う必要がある。
【0006】
また、リーダー及びライター機能を有する携帯端末には、デザイン上の観点から、埋め込まれたRFタグのアンテナの位置を示す目印を設けていないものがある。同様に、RFタグが埋め込まれたデータ端末には、埋め込まれたRFタグの位置を示す目印を設けていないものがある。RFタグのアンテナの位置やRFタグの位置を示す目印がない場合には、ユーザは、データ端末の中に埋め込まれているRFタグと、携帯端末の中に埋め込まれているアンテナの位置を把握した上で、両者の位置を合わせる必要がある。そして、データ通信を行っている間、通信可能領域内を維持するように、ユーザは携帯端末を固定し続ける必要が有る。ここで、データ通信中に、ユーザが携帯端末を動かしてしまうと、通信可能領域から外れてしまい、データ通信が中断してしまう。このように、データ通信が中断してしまうと、ユーザは、再び、精密に位置合わせをして、データ端末に埋め込まれたRFタグと携帯端末に埋め込まれたアンテナとを近接して対向させ、データ通信を開始させる必要がある。
【0007】
また、特許文献1に示されるものは、前回読み取り位置情報及び前回読み取り方向情報を基に、RFタグが付された対象物の方向や位置を示す案内情報を表示するものである。特許文献1に示されるものでは、データ通信中にユーザが携帯端末を動かしてしまい、データ通信が中断したような場合に、データ通信が可能な位置となるように、リアルタイムでガイドすることは難しい。
【0008】
本発明において着目した問題点は、データ通信中にデータ端末と携帯端末が通信可能領域から外れてしまった場合に、ユーザが再びデータ端末と携帯端末の位置合わせが難しいという点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を鑑み、本発明の一態様に係る携帯端末は、無線タグと非接触でデータ通信を行う無線通信部と、前記携帯端末の位置を検出する位置検出部と、前記無線タグとの通信を行っているときに
前記通信が終了する前に前記通信が成立している状態から前記通信が不可能
な状態になると、前記位置検出部が検出した位置に基づいて、前記無線タグと通信が可能な通信可能領域に前記携帯端末を誘導するガイド情報を生成する制御部と、前記生成されたガイド情報を表示する表示部とを備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る携帯端末であって、無線タグと非接触でデータ通信を行う無線通信部と、前記携帯端末の加速度を検出する加速度検出部と、前記無線タグとの通信を行っているときに
前記通信が終了する前に前記通信が成立している状態から前記通信が不可能
な状態になると、前記加速度検出部が検出した加速度に基づいて、前記無線タグと通信が可能な通信可能領域に前記携帯端末を誘導するガイド情報を生成する制御部と、前記生成されたガイド情報を表示する表示部とを備える。
【0011】
本発明の一態様に係るデータ通信システムは、非接触で情報を読み出し及び書き込みする無線タグと、前記無線タグへのデータの記録及び読み出し機能を有する携帯端末とからなるデータ通信システムであって、前記携帯端末は、前記無線タグと非接触でデータ通信を行う無線通信部と、前記携帯端末の位置を検出する位置検出部と、前記無線タグとの通信を行っているときに
前記通信が終了する前に前記通信が成立している状態から前記通信が不可能
な状態になると、前記位置検出部が検出した位置に基づいて、前記無線タグと通信が可能な通信可能領域に前記携帯端末を誘導するガイド情報を生成する制御部と、前記生成されたガイド情報を表示する表示部とを備える。
【0012】
本発明の一態様に係るデータ通信方法は、非接触で情報を読み出し及び書き込みする無線タグと、前記無線タグへのデータの記録及び読み出し機能を有する携帯端末との間のデータ通信方法であって、前記携帯端末の位置を検出し、前記無線タグとの通信を行っているときに
前記通信が終了する前に前記通信が成立している状態から前記通信が不可能
な状態になると、前記検出した位置に基づいて、前記無線タグと通信が可能な通信可能領域に前記携帯端末を誘導するガイド情報を生成し、前記生成されたガイド情報を表示する。
【0013】
本発明の一態様に係るプログラムは、非接触で情報を読み出し及び書き込み可能な無線タグを対象としてデータの記録及び読み出しを行うコンピュータに、前記
コンピュータの位置を検出するステップ、前記無線タグとの通信を行っているときに
前記通信が終了する前に前記通信が成立している状態から前記通信が不可能
な状態になると、前記検出した位置に基づいて、前記無線タグと通信が可能な通信可能領域に前記
コンピュータを誘導するガイド情報を生成するステップ、前記生成されたガイド情報を表示部に表示させるステップ、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯端末とデータ端末との間のデータ通信が通信不可能になると、携帯端末の位置検出部が検出した位置に基づいて、通信可能領域に携帯端末を誘導するガイド情報を表示部に表示させる。これにより、ユーザは、この表示部のガイド情報を見ながら携帯端末を動かすことで、データ通信中に、携帯端末が通信可能距離から外れてしまった場合でも、通信可能領域内となるように、携帯端末の位置を効率よく戻すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ通信システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るデータ通信システムは、携帯端末1とデータ端末2とで構成される。
【0017】
携帯端末1は、RFタグのリーダー機能及びライター機能を有する。携帯端末1としては、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、又は携帯ゲーム機などの携帯型の無線通信装置が用いられる。データ端末2は、RF(Radio Frequency)タグを有する。データ端末2としては、例えば、IC(Integrated Circuit)カード、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、ディスプレイが用いられる。RFタグには、例えば、データ端末2の設定データ等が保存される。携帯端末1とデータ端末2のRFタグとの間は、近距離無線通信により、データ通信を行うことができる。
【0018】
図2は、携帯端末1及びデータ端末2の概略構成を示すブロック図である。
図2は、携帯端末1の概要構成を示し、
図2は、データ端末2の概要構成を示している。
【0019】
携帯端末1は、
図2に示すように、近距離無線通信部11、加速度センサー12、表示部13、制御部14等を備える。
【0020】
近距離無線通信部11は、RFタグのリーダー機能とライター機能を実現する。近距離無線通信部11には、アンテナ15が設けられる。アンテナ15としては、コイルアンテナを用いることができる。また、アンテナ15は、例えば携帯端末1の内部に埋め込まれる。
【0021】
加速度センサー12は、携帯端末1が移動する際の加速度を検出する。加速度センサー12としては、x軸(携帯端末1の所定の方向、例えば携帯端末1の表示部が備える表示面に対し平行な横方向)、y軸(x軸に垂直な方向、例えば携帯端末1の表示部が備える表示面に対し平行な縦方向),z軸(x軸およびy軸に垂直な方向、例えば携帯端末1の表示部が備える表示面に対し奥行き方向)の三軸の加速度を計測するものが用いられる。加速度センサー12は、携帯端末1の位置、具体的には携帯端末1とデータ端末2(無線タグ)との通信が可能な位置からの変位を検出する位置検出部である。
【0022】
表示部13は、例えばタッチパネル方式のディスプレイ等により構成される。表示部13のディスプレイには、加速度センサー12の計測値から求められる各軸の変位を基に、携帯端末1が通信可能領域から外れたときに、携帯端末1を通信可能領域に誘導するガイド情報を表示する。ガイド情報としては、例えば、通信可能領域に誘導する説明内容を表す文字列や図等を含むガイド画面を用いることができる。
【0023】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)やメモリからなり、携帯端末1全体の制御を行っている。制御部14のメモリ16には、本発明の第1の実施の形態を実現するためのコンピュータプログラムが保存される。本発明の第1の実施の形態では、このコンピュータプログラムを実行することにより、制御部14は、加速度センサー12からの加速度の計測値から、各軸の変位を計算し、携帯端末1を通信可能領域に誘導するガイド画面を生成する処理を行う。すなわち、制御部14は、データ端末2(RFタグ21)との通信を行っているときに通信が不可能になると、加速度センサー12が検出した検出結果に基づいて、データ端末2と通信が可能な通信可能領域に携帯端末1を誘導するガイド情報を生成する。
【0024】
データ端末2は、
図2に示すように、RFタグ21を備える。RFタグ21は、近距離の無線通信によりデータをやり取りする無線タグである。RFタグ21は、例えばデータ端末2の内部に埋め込まれる。
【0025】
携帯端末1のアンテナ15とデータ端末2のRFタグ21とを近接させることで、携帯端末1の近距離無線通信部11とデータ端末2のRFタグ21との間で、データ通信を行うことができる。近距離無線通信部11のリーダー機能では、RFタグ21から所望のデータが読み出され、このデータがアンテナ15を介して近距離無線通信部11で受信される。ライター機能では、所望のデータが近距離無線通信部11から送信され、アンテナ15を介して、RFタグ21で受信され、RFタグ21に書き込まれる。
【0026】
前述したように、表示部13のディスプレイには、携帯端末を通信可能領域に誘導するガイド画面が表示される。このようなガイド画面の生成処理について説明する。
【0027】
図3は、携帯端末1とデータ端末2とが近距離無線でデータ通信を行っているときの通信可能領域を示す図である。
図3において、通信可能領域41は、携帯端末1がデータ通信を行える通信可能領域を示す。通信可能領域42は、データ端末2がデータ通信を行える通信可能領域を示す。携帯端末1の通信可能領域41とデータ端末2の通信可能領域42が重なることで、携帯端末1の近距離無線通信部11は、データ端末2のRFタグ21から所望のデータを読み込むことができる。また、携帯端末1の近距離無線通信部11は、データ端末2のRFタグ21に所望のデータを書き込むことができる。携帯端末1とデータ端末2とが近距離無線でデータ通信を行っているときに、携帯端末1が動かされたとする。このとき、携帯端末1とデータ端末2との位置関係が通信可能領域41と通信可能領域42とが交わるような関係から外れると、携帯端末1とデータ端末2のRFタグとの間でのデータ通信が行えない。近距離無線通信の場合、通信可能領域41及び通信可能領域42が小さく、携帯端末1を通信可能領域に保持することが難しい。
【0028】
そこで、本発明の第1の実施の形態は、データ通信中に、携帯端末1が動かされ、携帯端末1とデータ端末2のRFタグとの間のデータ通信が通信不可能な状態となってしまった場合に、携帯端末1の加速度センサー12により携帯端末1の加速度の計測を開始する。そして、本発明の第1の実施の形態は、この加速度の計測値から、データ端末2のRFタグとの通信が不可能になった時点からの携帯端末1の変位を計算する。そして、本発明の第1の実施の形態は、求められた変位に基づいて、携帯端末1を通信可能領域に誘導するガイド情報を表示部13に表示させるようにする。ユーザは、この表示部13のガイドを見ながら携帯端末1を動かすことで、データ通信中に、携帯端末1が通信可能距離から外れてしまった場合でも、通信可能領域内となるように、携帯端末1の位置を効率よく戻すことができる。
【0029】
つまり、本発明の第1の実施の形態では、データ通信中に、携帯端末1の通信可能領域41とデータ端末2の通信可能領域42が重ならなくなった場合(通信可能領域から外れた場合)には、その時点から、携帯端末1の加速度センサー12により、x軸,y軸,z軸の加速度の計測が開始される。計測された各軸の加速度を、一定時ごとに時間で2回積分することで、一定時間ごとの各軸の変位が求められる。一定時間ごとの変位を各軸ごとに累積加算することで、通信不可能となった時点での位置からの携帯端末1の各軸の変位が求められる。各軸の変位が求められたら、この各軸の変位から、携帯端末1を通信可能領域に誘導するガイド画面が生成できる。
【0030】
図4は、ガイド画面50を示す図である。
図4に示すように、ガイド画面50は、矢印表示51〜53と、距離表示54〜56とで構成される。矢印表示51は、通信可能領域へのx軸方向を表す。矢印表示52は、通信可能領域へのy軸方向を表す。矢印表示53は、通信可能領域へのz軸方向を表す。距離表示54は、通信可能領域へのx軸方向の距離を表す。距離表示55は、通信可能領域へのy軸方向の距離を表す。距離表示56は、通信可能領域へのz軸方向の距離を表す。
【0031】
通信可能領域へのx軸方向の矢印表示51、y軸方向の矢印表示52、z軸方向の矢印表示53は、携帯端末1が取得した各軸の変位と逆方向となるように表示される。また、取得された変位の符号により、通信可能領域への方向が常に表示されるように、各矢印表示51〜53の向きが変えられる。また、通信可能領域へのx軸方向の距離表示54、y軸方向の距離表示55、z軸方向の距離表示56としては、各軸で取得された変位の絶対値が表示される。
【0032】
図5は、本発明の第1の実施の形態におけるガイド画面の生成処理を示すフローチャートである。
図5において、制御部14は、携帯端末1とデータ端末2のRFタグとのデータ通信が終了したか否かを判定する(ステップS1)。データ通信が終了した場合(ステップS1:Yes)、制御部14は、処理を終了する。一方、データ通信が終了していない場合(ステップS1:NO)、制御部14は、データ端末2が通信可能領域内にあるか否かを判定する(ステップS2)。例えば、制御部14は、データ端末2と通信を行っているときに、通信の途中で通信が不可能になるなど、データ通信が中断すると、通信可能領域から外れたと判定し、通信が成立している場合には、データ端末2が通信可能領域内にあると判定する。
【0033】
ステップS2で通信可能領域内にある場合は(ステップS2:Yes)、制御部14は、ガイド画面が表示されていれば、ガイド画面の表示を消去し(ステップS6)、ステップS1に移行する。ガイド画面が表示されていなければ、制御部14は、ガイド画面を非表示のままステップS1に移行する。
一方、ステップS2で、携帯端末1とデータ端末2が通信可能領域外である場合には(ステップS2:No)、制御部14は、処理をステップS3へ進める。
【0034】
ステップS3で、加速度センサー12は、x軸,y軸,z軸の加速度の計測を開始する。そして、制御部14は、加速度センサー12が計測した加速度から、通信が不可能になった時点の位置からの各軸の変位を計算する(ステップS4)。すなわち、計測された各軸の加速度を、一定時ごとに時間で2回積分することで、一定時間ごとの各軸の変位が計算される。また、一定時間ごとの変位を各軸ごとに累積加算することで、通信不可能となった時点での位置からの携帯端末1の各軸の変位が計算される。そして、制御部14は、携帯端末1が計算した各軸の変位を基に、ガイド画面50を表示部13に表示させ(ステップS5)、ステップS2に処理をリターンする。ステップS2で、携帯端末1の通信可能領域41とデータ端末2の通信可能領域42が重なる位置まで携帯端末1の位置が戻ったかが判定される。携帯端末1の通信可能領域41とデータ端末2の通信可能領域42が重なる位置に戻っていなければ(ステップS2:No)、ステップS2からステップS5の処理が繰り返して行われる。ステップS2で、携帯端末1の通信可能領域41とデータ端末2の通信可能領域42が重なる位置まで携帯端末1の位置が戻り、携帯端末1とデータ端末2のRFタグとの両者がデータ通信可能になると(ステップS2:Yes)、ガイド画面の表示が消去される(ステップS6)。
【0035】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、データ通信中に携帯端末1が動かされて通信不可能な状態となった場合に、データ端末2のRFタグとの通信が不可能となった時点での位置からの携帯端末の変位が算出される。そして、算出された変位に基づいて、携帯端末1を通信可能領域に誘導するガイド画面が表示部13のディスプレイに表示される。これにより、携帯端末1が動かされ、データ端末2のRFタグとの通信が行えなくなった場合、ユーザは、携帯端末1を通信可能領域となる位置に容易に戻すことができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態における携帯端末101及びデータ端末102の概略構成を示すブロック図である。
図6は、携帯端末101の概要構成を示し、
図6は、データ端末102の概要構成を示している。
【0037】
携帯端末101は、
図6に示すように、近距離無線通信部111、加速度センサー112、表示部113、制御部114等を備える。これらは、第1の実施の形態における、近距離無線通信部11、加速度センサー12、表示部13、制御部14と同様である。更に、本発明の第2の実施の形態における携帯端末101には、信号強度検出部117が設けられる。信号強度検出部117は、近距離無線通信部111の受信信号強度を検出している。なお、信号強度検出部117は、近距離無線通信部111内に設けるようにしても良い。
【0038】
また、近距離無線通信部111には、アンテナ115が設けられる。制御部114のメモリ116には、本発明の第2の実施の形態を実現するためのコンピュータプログラムが保存される。
【0039】
データ端末102は、
図6に示すように、RFタグ121を備える。この構成は、第1の実施の形態における、データ端末2のRFタグ21と同様である。
【0040】
本発明の第2の実施の形態では、携帯端末101とデータ端末102とでデータ通信が開始されると、携帯端末101の制御部114は、信号強度検出部117による信号強度の測定と、加速度センサー112によるx軸,y軸,z軸の加速度の計測を開始させる。データ通信が開始された時間をT0とする。信号強度と加速度は、時間T0から一定時間ΔTごとに測定され、制御部114に記憶される。一定時間ΔTごとに計測された加速度を時間ΔTで2回積分することで一定時間ごとの各軸の変位を求めることができる。変位の起点となる位置に携帯端末101が存在する時間を起点時間Tsとする。Tsの初期値は、加速度センサー112が起動してから初めて加速度を取得した時間である。時間Tnまで一定時間ΔTごとの変位を各軸ごとに累積加算することで、起点時間Tsから時間Tnまでの携帯端末の変位を求めることができる。
【0041】
ここで、信号強度の最大値をSmaxとする。信号強度の最大値Smaxの初期値は、データ通信の起点時間Tsで計測した信号強度Ssである。時間Tn(Tn>Ts)に測定した信号強度Snが、時間T(n−1)に測定した信号強度S(n−1)よりも大きかった場合、信号強度の最大値Smaxは、Smax=Snとして更新される。信号強度の最大値Smaxが更新されると、今まで取得した変位は消去される。そして、信号強度の最大値Smaxを取得した携帯端末101の位置を、信号強度が最大となる位置Pmaxとし、最大値Smaxを取得した時間を起点時間Tsとして、加速度センサー112の計測値を用いて、変位の取得が再開される。
【0042】
データ通信中に、携帯端末101を動かすことで、携帯端末101の通信可能領域とデータ端末102の通信可能領域が重ならなくなった時点(通信可能領域から外れた時点)から、携帯端末101の表示部113には、ガイド画面が表示される。本発明の第2の実施の形態では、表示部113には、携帯端末101を信号強度が最大となる位置に誘導するガイドが表示される。
【0043】
すなわち、
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるガイド画面150を示すものである。
図7に示すように、ガイド画面150は、矢印表示151〜153と、距離表示154〜156とから構成される。矢印表示151は、信号強度が最大となる位置へのx軸方向を表す。矢印表示152は、信号強度が最大となる位置へのy軸方向を表す。矢印表示153は、信号強度が最大となる位置へのz軸方向を表す。距離表示154は、信号強度が最大となる位置へのx軸方向の距離を表す。距離表示155は、信号強度が最大となる位置へのy軸方向の距離を表す。距離表示156は、信号強度が最大となる位置へのz軸方向の距離を表す。
【0044】
信号強度が最大となる位置Pmaxへの矢印表示151、矢印表示152、矢印表示153の方向は携帯端末101が取得した各軸の変位の逆方向を指す。また、信号強度が最大となる方向が常に表示されるように、取得された変位の符号により、各矢印表示151〜153の向きが変えられる。また、x軸方向の距離表示154、y軸方向の距離表示155、z軸方向の距離表示156は各軸で取得した変位の絶対値を表示する。
【0045】
図8は、本発明の第2の実施の形態におけるガイド画面の生成処理を示すフローチャートである。
図8において、制御部114は、携帯端末101とデータ端末102のRFタグとのデータ通信が終了したか否かを判定する(ステップS113)。データ通信が終了した場合(ステップS103:Yes)、制御部114は、処理を終了する。一方、データ通信が終了していない場合(ステップS113:NO)、制御部114は、データ端末102が通信可能領域内にあるか否かを判定する(ステップS101)。
【0046】
データ端末102が通信可能領域内にあると判定された場合には(ステップS101:Yes)、制御部114は、加速度センサー112から、x軸,y軸,z軸の加速度の計測値を取得すると共に、信号強度検出部117から、信号強度の計測値を取得する(ステップS102)。
【0047】
次に、制御部114は、ステップS102で取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上かどうかを判定する(ステップS103)。取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上でない場合には(ステップS103:No)、制御部114は、加速度センサー112の計測値から、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位を計算する(ステップS104)。そして、制御部114は、ステップS101に処理をリターンする。
【0048】
取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上の場合には(ステップS103:Yes)、制御部114は、ガイド画面を表示中かどうかを判定する(ステップS105)。ガイド画面が表示中でなければ(ステップS105:No)、制御部114は、信号強度が最大となる位置を今回の取得位置により更新すると共に、携帯端末101の各軸の変位をリセットし(ステップS106)、ステップS101に処理をリターンする。
【0049】
ステップS101からステップS106の処理を繰り返すことで、ステップS106で信号強度の最大となる位置が取得され、ステップS104で携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位が取得される。
【0050】
ステップS101で、携帯端末101の通信可能領域から外れたことが検出されると(ステップS101:No)、制御部114は、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位を取得済みかどうかを判定する(ステップS107)。変位を取得済みでない場合には(ステップS107:No)、制御部114は、処理をステップS101にリターンする。
【0051】
変位を取得済みの場合(ステップS107:Yes)、制御部114は、加速度センサー112から、x軸,y軸,z軸の加速度の計測値を取得する(ステップS108)。そして、制御部114は、ステップS104で求められた変位に、ステップS108で取得された各軸の計測値から求められた変位を累積加算して、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位を計算する(ステップS109)。そして、制御部114は、ガイド画面を表示中であるかどうかを判定する(ステップS110)。ステップS110でガイド画面を表示中でなければ(ステップS110:No)、制御部114は、ガイド画面を表示させて(ステップS111)、処理をステップS101にリターンする。ステップS110でガイド画面を表示中である場合(ステップS110:Yes)、制御部114は、処理をステップS101にリターンする。
【0052】
ステップS101で、携帯端末101の通信可能領域まで携帯端末101の位置が戻ったかが判定される。携帯端末101の通信可能領域とデータ端末102の通信可能領域が重なる位置に戻っていなければ(ステップS101:No)、ステップS107からステップS110の処理が繰り返して行われる。これにより、ガイド画面には、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位が表示される。
【0053】
ステップS101で、携帯端末101の通信可能領域とデータ端末102の通信可能領域が重なる位置まで携帯端末101の位置が戻ったと判定されると(ステップS101:Yes)、制御部114は、ステップS102に処理を移す。ステップS102で、制御部114は、加速度センサー112から各軸の加速度の計測値を取得すると共に、信号強度検出部117から、信号強度を取得する。そして、ステップS103で、制御部114は、ステップS102で取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上か否かを判定する。
【0054】
取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上でない場合には(ステップS103:No)、制御部114は、加速度センサー112の計測値から、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位を計算する(ステップS104)。これにより、ガイド画面には、携帯端末101の信号強度が最大となる位置からの各軸の変位が表示され続ける。
【0055】
取得した信号強度が今まで取得した信号強度の最大値以上の場合には(ステップS103:Yes)、表示部114は、ガイド画面を表示中か否かを判定する(ステップS105)。ガイド画面が表示中なら(ステップS105:Yes)、制御部114は、ガイド画面を消去し(ステップS112)、処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態は、信号強度が最大となる位置を検出する。そして、本発明の第2の実施の形態は、データ通信中に携帯端末101が動かされて通信不可能な状態となった場合に、携帯端末101を信号強度が最大となる位置からの携帯端末101の変位を算出する。そして、本発明の第2の実施の形態は、求められた変位に基づいて、携帯端末101を通信可能領域に誘導するガイド情報を表示部113のディスプレイに表示する。これにより、携帯端末101が動かされ、データ端末102との通信が行えなくなった場合、ユーザは、携帯端末101を信号強度が最大となる最適な位置に戻すことができる。
【0057】
図9は、本発明による携帯端末の基本構成を示す概略ブロック図である。
図9に示すように、本発明による携帯端末501は、無線通信部511、位置検出部512、制御部513及び表示部514を基本構成とする。
【0058】
無線通信部511は、無線タグ521と非接触でデータ通信を行う。位置検出部512は、携帯端末501の位置を検出する。制御部513は、無線タグ521との通信を行っているときにデータ通信が不可能になると、位置検出部512が検出した位置に基づいて、無線タグ521と通信が可能な通信可能領域に携帯端末501を誘導するガイド情報を生成する。表示部514は、生成されたガイド情報を表示する。これにより、ユーザは、この表示部のガイドを見ながら携帯端末を動かすことで、データ通信中に、携帯端末1が通信可能距離から外れてしまった場合でも、通信可能領域内となるように、携帯端末の位置を効率よく戻すことができる。
【0059】
上述の携帯端末1、101、501は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0060】
本発明の第1の実施の形態または第2の実施の形態では、データ通信中に携帯端末が動かされて通信不可能な状態となったときに、加速度に基づいて、データ端末2のRFタグとの通信が不可能となったときの位置からの携帯端末の変位を求め(算出し)、または、携帯端末101を信号強度が最大となる位置からの携帯端末101の変位を求めたが、これに限定されない。例えば、加速度センサーの代わりに携帯端末の位置を検出する、例えばGPS(Global Positioning System)機能を備える位置検出部を備えるようにし、データ端末2のRFタグとの通信が不可能となったときの位置と、現在の携帯端末の位置とに基づいて携帯端末の変位を求めてもよい。また、データ端末102のRFタグとの通信で信号強度が最大となる位置からの携帯端末101の変位を求めてもよい。なお、加速度センサーを備える加速度検出部は位置検出部の一例である。また、携帯端末の変位として、無線タグとの相対位置を求めてもよい。つまり、携帯端末と無線タグとの通信が可能な通信可能領域に携帯端末を誘導するように構成される。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0061】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。