(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381057
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】トルクベクタリングユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 48/22 20060101AFI20180820BHJP
F16H 48/08 20060101ALI20180820BHJP
F16D 28/00 20060101ALI20180820BHJP
F16D 25/10 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
F16H48/22
F16H48/08
F16D28/00 Z
F16D25/10 A
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-8652(P2017-8652)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-129274(P2017-129274A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】62/281,436
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151105
【氏名又は名称】デーナ、オータモウティヴ、システィムズ、グループ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ケネス イー.クーパー
【審査官】
高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−061253(JP,A)
【文献】
特開2007−016952(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0139359(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/169837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/22
F16D 25/10
F16D 28/00
F16H 48/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デフケース内に収容されているデフギア構成を含む、ディファレンシャルユニットと、
第1のギアセット、第2のギアセット、第3のギアセット、及び共通シャフトを含み、前記ディファレンシャルユニットに駆動接続される、ギア構成と、
前記ギア構成に選択的に駆動接続される、クラッチシステムと
を備え、
前記デフギア構成は、2つの出力シャフトに駆動接続され、
前記クラッチシステムは、
第1の出力シャフトに駆動接続される同心インナークラッチ及び同心アウタークラッチと、
前記同心インナークラッチと前記同心アウタークラッチに接続され、それぞれのクラッチを独立して作動させる、アクチュエータと
を有し、
前記第1のギアセットは、
前記共通シャフトに回転可能に支持されるエクスターナルギアと、
前記同心アウタークラッチと選択的に駆動係合するインターナルギアと
を含み、
前記第2のギアセットは、
前記共通シャフトに回転可能に支持されるエクスターナルギアと、
前記同心インナークラッチと選択的に駆動係合するインターナルギアと
を含み、
前記第3のギアセットは、
前記共通シャフトに回転可能に連結されるエクスターナルギアと、
前記デフケースに回転可能に連結されるインターナルギアと
を含む、
自動車用のトルクベクタリングユニット。
【請求項2】
前記デフケースは、半径方向に延在するフランジを更に含み、前記第3のギアセットの前記インターナルギアは、前記フランジ上で回転可能に支持される、請求項1に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項3】
前記第1のギアセット、前記第2のギアセット、及び前記第3のギアセットは、共通の軸間距離を有する、請求項1又は2に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項4】
前記第2のギアセットは、前記第3のギアセットのギア比より高いギア比を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項5】
前記第1のギアセットは、第3のギアセットのギア比より低いギア比を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項6】
前記共通シャフトは、前記2つの出力シャフトから半径方向外側にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項7】
前記同心インナークラッチと前記同心アウタークラッチは、共通する複数のクラッチプレートのセットを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項8】
前記デフギア構成は、前記2つの出力シャフトに駆動接続される複数のサイドギアのセット、及び、前記デフケースに駆動接続される複数のピニオンギアのセットを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項9】
前記第1のギアセットの前記エクスターナルギア、前記第2のギアセットの前記エクスターナルギア、及び、前記第3のギアセットの前記エクスターナルギアは、互いに独立して回転可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項10】
前記ギア構成は、前記クラッチシステムと前記ディファレンシャルユニットとの間に、軸方向に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項11】
前記第2のギアセットは、前記第1のギアセットと前記第3のギアセットとの間に、軸方向に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のトルクベクタリングユニットと、少なくとも一対の出力車両車輪とを備える車両であって、前記2つの出力シャフトは、前記少なくとも一対の出力車両車輪のうちの1つに駆動可能に接続される、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2016年1月21日に出願された米国仮出願第62/281,436号による利益を主張し、それを、本明細書に参照により組み込む。
【0002】
本開示は、トルクベクタリングユニットに関する。より具体的には、ディファレンシャルユニット、複数の共通のクラッチプレートを持つ複数の同心クラッチのクラッチシステム、及びギア構成を含む、トルクベクタリングユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
トルクベクタリングユニットは、機動性を向上させることに加えて、車両の機敏性及び安定性を高めるべく、自動車に用いられる。トルクベクタリングユニットにより、自動車は、駆動トルクを不均一に、異なる複数の車輪に分配することが可能となり、ドライビングダイナミクス及び安定性を高める。自動車の2つのシャフトの間でトルクを分配するために、様々な方法が存在する。トルクベクタリングユニットは、二輪駆動及び全輪駆動の車両において用いられてよい。トルクベクタリングユニットは、車両の2つの半車軸の間、又は、前方及び後方の駆動シャフトの間で、トルクを分配するべく用いられ得る。
【0004】
トルクベクタリングの市場は、そのような複数のシステムの従来コストによって制限されている。トルクベクタリングシステムを構成する複数の機構部品のコストは高く、それは、それら部品の複雑な機械的構成に起因する。従って、より低コストの複数の選択肢を要求する自動車市場において、低コストのトルクベクタリングシステムが用いられる必要性が残っている。
【発明の概要】
【0005】
ディファレンシャルユニット、ギア構成、及びクラッチシステムを含む、自動車用のトルクベクタリングユニットが、本明細書において提供される。ディファレンシャルユニットは、デフケース内に収容されているデフギア構成を含む。ギア構成は、ディファレンシャルユニットに駆動接続され、第1のギアセット、第2のギアセット、第3のギアセット、及び共通シャフトを含む。デフギア構成は、2つの出力シャフトに駆動接続される。クラッチシステムは、ギア構成に選択的に駆動接続され、第1の出力シャフトに駆動接続される、同心インナークラッチ及び同心アウタークラッチと、アクチュエータとを含む。アクチュエータは、2つの同心クラッチに接続され、それぞれのクラッチを独立して作動させる。第1のギアセットは、共通シャフトに回転可能に支持されるエクスターナルギア、及び、アウタークラッチと選択的に駆動係合するインターナルギアを含む。第2のギアセットは、共通シャフトに回転可能に支持されるエクスターナルギア、及び、インナークラッチと選択的に駆動係合するインターナルギアを含み、第3のギアセットは、共通シャフトに回転可能に連結されるエクスターナルギア、及び、デフケースに回転可能に連結されるインターナルギアを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
上記、及び、本開示の他の複数の利点は、添付の図面を参照して考慮された場合、以下の詳細説明から、当業者に容易に明らかになる。
【0007】
【
図1】好ましい実施形態による、トルクベクタリングユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、明示的にそうでないと特定されている場合を除き、様々な代替的な適応及びステップの順序を想定してよいことが理解されるべきである。添付の図面において図示され、以下の明細書において説明されている、複数の特定の装置及び処理は、添付の特許請求の範囲で定義されている複数の発明概念の、単なる複数の例示的な実施形態であることも、理解されるべきである。従って、開示されている複数の実施形態に関連する、複数の特定の寸法、方向、又は他の物理的な特徴は、特許請求の範囲でそうでないと明示的に述べられていない限り、限定するものと見なされるべきではない。
【0009】
ここで図面を参照すると、トルクベクタリングユニット10の、1つの好ましい実施形態が、提供される。トルクベクタリングユニット10は、ディファレンシャルユニット40、ギア構成50、及びクラッチシステム60を含む。ディファレンシャルユニット40は、ギア構成50と、クラッチシステム60とに駆動接続される。
【0010】
ディファレンシャルユニット40は、デフギア構成27を含み、デフギア構成27は、そこから半径方向外側に延在しているリングギア33を有する。リングギア33は、デフケース26に回転可能に固定される。リングギア33は、デフケース26と一体的に形成されてよく、又は、複数の留め具で、そこに固定されてよい。デフケース26は、回転を容易にすべく、ベアリング42、44に装着される。
【0011】
リングギア33は、ピニオンギア34と一定して噛み合う状態にある。ピニオンギア34は、ピニオンギア34のギア歯、及びリングギア33のギア歯(図示せず)を介して、入力シャフト35に取り付けられている。歯は、互いに相補的であり、ピニオンギア34からリングギア33へ、回転駆動を提供する。ピニオンギア34は、ヘリカルギア若しくはべベルギア、又は、当業者には公知の任意の他のギアであり得る。動力は、回転するエネルギー源によって動力供給される入力シャフト35により、ピニオンギア34に供給される。エネルギー源は、自動車(図示せず)のエンジン、及び他の複数の自動車の駆動系部品を含むが、これらに限定されない。リングギア33とデフケース26との接続は、リングギア33が、ピニオンギア34によって駆動している場合に、デフケース26の回転をもたらすことが理解され得る。
【0012】
図1に示されているように、デフギア構成27は、回転可能に支持され、且つデフケース26内に配置される、複数のピニオンギア28のセットとサイドギア29、30のセットとを含む。他の複数のデフギア構成、すなわち、遊星デフギア構成も、トルクベクタリングユニット10において、用いられ得る。デフケース26は、回転軸Zに対して同軸的に支持される2つの出力シャフト14、31と共に、回転軸Zを中心に回転し得る。サイドギア29、30は、複数のピニオンギア28と噛み合う。サイドギア29は、第1の出力シャフト14に駆動可能に連結され、サイドギア30は、第2の出力シャフト31に駆動可能に連結される。1つの実施形態において、出力シャフト14、31は、複数の車輪端部(図示せず)に繋がる複数の車軸ハーフシャフトである。しかしながら、いくつかの実施形態において、出力シャフト14、31と、複数の車軸ハーフシャフトとは、互いに駆動接続される別個のエンティティである。複数のピニオンギア28は、デフケース26に固定されているピニオンシャフト32に、回転可能に支持される。
【0013】
第1の出力シャフト14は、ディファレンシャルユニット40からクラッチシステム60の方に向かって、半径方向外側に延在する。クラッチシステム60は、中間シャフト13に駆動接続される2つのクラッチ11、12を含む。中間シャフト13は、出力シャフト14から半径方向外側に延在する。1つの実施形態において、クラッチ11及び12は、複数の同心クラッチである。クラッチ12は、出力シャフト14から半径方向外側に配置され、半径方向内側のクラッチである。クラッチ11は、クラッチ12から直接的に、半径方向外側に配置され、半径方向外側のクラッチである。中間シャフト13は、出力シャフト14から半径方向に延在し、クラッチ11、12に接続される。
【0014】
クラッチ11は、半径方向外側のクラッチであり、第1のクラッチハブ16から半径方向内側に延在する、複数のクラッチプレート15の第1セットを含む。クラッチハブ16は、中間シャフト13から離れて、Z軸に対して平行に延在する、第1の軸方向延在部分16aと、軸方向延在部分16aから内側に延在する、第1の半径方向延在部分16bと、クラッチ11、12から軸方向に離れて、16aの反対側の、部分16bの端部に延在する、第2の軸方向延在部分16cと、16bの反対側の、部分16cの端部から、半径方向外側に延在する、第2の半径方向延在部分16dとを有する。
【0015】
クラッチ11は、複数のクラッチプレート18のセットを有する、第2のクラッチハブ17を含み、複数のクラッチプレート18は、クラッチハブ17から、半径方向の内方向及び外方向に延在している。クラッチハブ17は、クラッチハブ16から半径方向内側である。複数のクラッチプレート18は、クラッチハブ17に対する軸方向の動きのために装着される。複数のクラッチプレート18は、クラッチハブ17から半径方向外側に延在する、部分18aと、クラッチハブ17から半径方向内側に延在する、部分18bとを含む。複数のクラッチプレート15の第1セットは、クラッチハブ16の部分16aから、半径方向内側に延在し、複数のクラッチプレートの半径方向外側延在部分18aと交互配置する。
【0016】
クラッチハブ16の第1の半径方向延在部分16bと、第2のクラッチハブ17と、複数のクラッチプレートの半径方向外側延在部分18aと、複数のクラッチプレート15と、シャフト13とが、アウタークラッチ11を形成する。
【0017】
クラッチ12は、クラッチハブ17と、複数のクラッチプレートの半径方向内側延在部分18bとを含む。複数のクラッチプレート19の第3セットは、第3のクラッチハブ20から半径方向外側に延在する。クラッチハブ20は、中間シャフト13から離れて、Z軸に対して軸方向に平行に延在する、軸方向延在部分20aと、部分20aの端部から半径方向外側に延在する、半径方向延在部分20bとを有する。複数のクラッチプレート19は、第3のクラッチハブ20の軸方向延在部分20aから半径方向外側に延在し、複数のクラッチプレートの半径方向内側延在部分18bと交互配置する。
【0018】
第3のクラッチハブ20の半径方向延在部分20aと、第2のクラッチハブ17と、複数のクラッチプレートの半径方向内側延在部分18bと、複数のクラッチプレート19と、シャフト13とが、インナークラッチ12を形成する。
【0019】
複数のクラッチプレート15及び18は、アウタークラッチ11のクラッチパックを形成し、複数のクラッチプレート18及び19は、インナークラッチ12のクラッチパックを形成する。従って、クラッチ11、12は、共通する複数のクラッチプレート18のセットを共有する。それぞれのクラッチパックは、当技術分野において公知の複数のクラッチプレートを含むことができる。
図1に示されているように、クラッチ11及び12は、5つのクラッチプレートを含む。しかしながら、任意の数のプレートがクラッチ11、12を形成してよいことが理解される。
【0020】
図1に示されているように、クラッチ11及び12は、単一のアクチュエータメカニズム(図示せず)が、クラッチ11、12の両方を作動させることができるように、半径方向に互いに隣接して配置される。従って、クラッチ11又は12のうちの1つのみが、任意の瞬間に係合される。アクチュエータメカニズムは、アクチュエータ、更なるギアセット、及びローラーランプアセンブリを含むことができる。アクチュエータは、可逆電動モータであってよい。可逆電動モータは、小型で、容易に制御可能であるからである。油圧式又は空圧式アクチュエータを含む、任意の他の適切なタイプのアクチュエータ及びアクチュエータメカニズムを用いてよいことが理解されよう。
【0021】
ギア構成50は、第1のギアセット21、第2のギアセット22、第3のギアセット24、及び共通シャフト23を含む。ギア構成50は、クラッチシステム60とディファレンシャルユニット40とに、選択的に駆動接続される。第1のクラッチハブ16の第2の半径方向延在部分16dは、その端部に回転可能に支持されるギア21aを有する。ギア21aは、エクスターナルギア21bと噛み合うインターナルギアである。ギア21a、21bは、第1のギアセット21を形成する。エクスターナルギア21bは、共通シャフト23に回転可能に支持される。ギア21a及び21bは、その上に、互いに相補的である歯を有し、エクスターナルギア21b及びインターナルギア21aから、回転駆動を提供する。
【0022】
第3のクラッチハブ20の半径方向延在部分20bは、その端部に回転可能に支持されるインターナルギア22aを有する。ギア22aは、エクスターナルギア22bと噛み合うインターナルギアである。ギア22a、22bは、第2のギアセット22を形成する。エクスターナルギア22bは、共通シャフト23に回転可能に支持される。エクスターナルギア22b及び21bは、互いに独立して回転され得る。ギア22a、22bは、その上に、互いに相補的である歯を有し、エクスターナルギア22b及びインターナルギア22aから、回転駆動を提供する。ギアセット22は、ギアセット21に軸方向に隣接する。共通シャフト23は、出力シャフト14から半径方向外側である。
【0023】
第3のギアセット24は、インターナルギア24aと、エクスターナルギア24bとを含む。ギア24a、24bは、その上に、互いに相補的である歯を有し、エクスターナルギア24b及びインターナルギア24aから、回転駆動を提供する。エクスターナルギア21b、22b及び24bは、共通シャフト23に支持され、互いに独立して回転され得る。
【0024】
第3のギアセット24は、第2のギアセット22に、軸方向に隣接する。インターナルギア24aは、半径方向に延在するフランジ25の端部に、回転可能に取り付けられる。フランジ25は、デフギア構成27を収容するデフケース26から延在する。従って、第3のギアセット24は、デフケース26に駆動接続される。デフケース26は、デフギア構成27から軸方向に離れて、クラッチ11、12に向かって、出力シャフト14に対して平行に延在する。
【0025】
いくつかの実施形態において、ギアセット22及び24の位置は、ギアセット24が、ギアセット21に隣接し、且つ、ギアセット21と22との間にあるように、変動してよい。
【0026】
第1のギアセット21は、所与の軸間距離を有し、第2のギアセットは、所与の軸間距離を有し、第3のギアセットは、所与の軸間距離を有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のギアセット21、22は、高減速比を有する同一の軸間距離を有する。更に、いくつかの実施形態において、第1及び第3ギアセット21、24は、低減速比を有する同一の軸間距離を有する。広い範囲の速度比を与える、ギアの複数の組合せの多くの選択が、この共通の軸間距離を変化させることなく、可能である。それぞれのギアのサイズ及び歯数は、ギア比を確立する。ギアセット21、22及び24の歯数は、それぞれ、42x57、29x44、74x89の比であり得る。別の例は、43x57、30x44、75x89である。更に、44x47、31x44、76x89である。多数の可能な歯数カウントは、ギア比の幅広い選択を可能とするために用いられ得、車両のパッケージングの制約を満たす。
【0027】
歯数は、最大の車輪対デフのオーバースピード比も決定する。例えは、それぞれ11.8%、10.6%、及び9.6%のオーバースピード比は、上記の歯数カウントを使用して、実現され得る。多数の可能な歯数カウントは、オーバースピード比の幅広い選択を与えるために用いられ得、様々な車両の制約を満たす。
【0028】
アクチュエータ、ひいては、トルクベクタリングユニット10の動作は、電子制御ユニット(図示せず)によって制御され得る。限定されるものではないが、車輪速度などの車両パラメータの少なくとも1つによる状態の評価に基づいて、電子制御ユニットは、クラッチ11、12を選択的に係合し、出力シャフト14、31から効果的に伝達するべく、アクチュエータを係合する。
【0029】
自動車の動作中、出力シャフト14に取り付けられている車輪は、出力シャフト31に取り付けられている車輪より速く回転し得ることが理解され得る。アウタークラッチ11を作動させることによって、第1のギアセット21は、共通シャフト23に駆動接続される。トルクは、出力シャフト14から、クラッチ11とギアセット21及び23を通り、デフケース26へと強制的に流され得る。デフケース26は、デフギア構成に駆動接続され、トルクを、出力シャフト31に取り付けられているより遅い車輪へとバイアスすることができる。トルクを、出力シャフト31に取り付けられているより遅い車輪へとバイアスすることによって、トルクベクタリングユニット10は、アンダーステアのヨーモーメントを生成する。出力シャフト14、31にわたるトルクの差異は、クラッチ11に加えられているトルクに相当する。
【0030】
更に、自動車の動作中、出力シャフト14に取り付けられている車輪は、出力シャフト31に取り付けられている車輪より、速く回転し得ることが理解され得る。インナークラッチ12を作動させることによって、第2のギアセット22は共通シャフト23に駆動接続される。トルクは、第3のギアセット24から、第2のギアセット22へ、そして、クラッチ12を通り、出力シャフト14へと強制的に流され得る。トルクを、出力シャフト14に取り付けられているより速い車輪へとバイアスすることによって、トルクベクタリングユニット10は、オーバーステアのヨーモーメントを生成する。
【0031】
更に、自動車の動作中、出力シャフト14に取り付けられている車輪は、出力シャフト31に取り付けられている車輪より遅く回転し得ることが、理解され得る。インナークラッチ12を作動させることによって、第2のギアセット22は、共通シャフト23に駆動接続される。トルクは、第3のギアセット24から、第2のギアセット22へ、そして、クラッチ12を通り、出力シャフト14へと強制的に流され得る。トルクを、出力シャフト14に取り付けられている、より遅い車輪へとバイアスすることによって、トルクベクタリングユニット10は、アンダーステアのヨーモーメントを生成する。
【0032】
更に、自動車の動作中、出力シャフト14に取り付けられている車輪は、出力シャフト31に取り付けられている車輪より遅く回転し得ることが、理解され得る。アウタークラッチ11を作動させることによって、第1のギアセット21は、共通シャフト23に駆動接続される。トルクは、第1のギアセット21から、第3のギアセット24へ、そして、デフケース26へと強制的に流され得る。デフケース26は、デフギア構成に駆動接続され、トルクを、出力シャフト31に取り付けられているより速い車輪へとバイアスすることができる。トルクを、出力シャフト31に取り付けられているより速い車輪へとバイアスすることによって、トルクベクタリングユニット10は、オーバーステアのヨーモーメントを生成する。
【0033】
特許法の複数の規定に従って、本発明は、その複数の好ましい実施形態を表すと見なされるものにおいて、説明されてきた。しかしながら、本発明は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、具体的に図示及び説明されている方法とは異なる方法で、実施され得ることが留意されるべきである。