(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電界効果トランジスタ用の領域、および前記電界効果トランジスタ用の領域とは異なる他の素子用の領域が選択的に形成された第1導電型の半導体層の前記電界効果トランジスタ用の領域に、第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、互いに間隔が空くように一対のドリフト領域を形成する工程と、
前記一対のドリフト領域に第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、一方の前記ドリフト領域にソース領域を形成し、他方の前記ドリフト領域にドレイン領域を形成する工程と、
前記一対のドリフト領域の間のチャネル領域、および前記他の素子用の領域に第1導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記チャネル領域において少なくとも一方の前記ドリフト領域と間隔が空くように、前記半導体層よりも高濃度な第1拡散領域を形成し、同時に、前記他の素子用の領域に、前記第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有する第2拡散領域を形成する工程と、
前記チャネル領域に対向するように、前記半導体層の表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
前記ドリフト領域の形成に先立って、前記ドリフト領域の形成時に用いるイオン注入マスクを介して、前記電界効果トランジスタ用の領域に第1導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記ドリフト領域の形成位置よりも深い位置に第3拡散領域を形成する工程をさらに含む、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
第1導電型の半導体基板の表面に第2導電型の不純物を注入し、その後、前記半導体基板の前記表面から第1導電型のエピタキシャル層を成長させることによって、前記半導体基板と前記エピタキシャル層との間における前記電界効果トランジスタ用の領域の下方に選択的に埋め込まれたベース部を有する前記半導体層を形成する工程と、
前記エピタキシャル層において前記電界効果トランジスタ用の領域を取り囲む領域に第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記ベース部に比べて低濃度であって、前記ベース部と一体となって前記電界効果トランジスタ用の領域を第1導電型ウェルとして電気的にフローティングさせる側部を、前記電界効果トランジスタ用の領域の側方に形成する工程とをさらに含む、請求項18または19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、特許文献1のパワーMOSFETのような構造の高耐圧素子において、ソース領域とドレイン領域との間の耐圧(ソース・ドレイン間耐圧)を高める方法として、pウェルの不純物濃度を低くする方法が考えられる。
しかしながら、半導体装置の製造工程では通常、複数の素子が同時並行で共通の半導体基板に作り込まれる。この手法は、特許文献1の半導体装置についても例外ではない。したがって、特許文献1のパワーMOSFETにおいてpウェルの不純物濃度を低くしたい場合、混載される他の素子のpウェルの濃度に影響を与えないようにするため、他の素子のpウェルとは別工程で形成する必要がある。具体的には、新たなマスクレイヤを半導体基板に導入し、半導体基板の一部が選択的に低濃度となるようにp型不純物をドーピングする工程を追加しなければならない。この工程の追加によって、製造工程の大幅な変更が生じ、それに伴いコストが嵩むという問題も生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、製造工程数の増加を防止しながら、ソース・ドレイン間耐圧を安定的に向上させることができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため
の発明は、電界効果トランジスタ用の領域が選択的に形成された第1導電型の半導体層と、前記電界効果トランジスタ用の領域において、互いに間隔を空けて前記半導体層の表面に形成された第2導電型のソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域を個別に取り囲むように、互いに間隔を空けて形成された第2導電型の一対のドリフト領域と、前記半導体層の前記表面にゲート絶縁膜を介して形成され、前記一対のドリフト領域の間の領域に形成されたチャネル領域に対向するゲート電極と、前記チャネル領域において少なくとも一方の前記ドリフト領域と間隔を空けて形成され、前記半導体層よりも高濃度な第1導電型の第1拡散領域と、前記第1拡散領域と前記ドリフト領域との間の領域において前記半導体層の一部を利用して形成され、前記第1拡散領域よりも低濃度な第1導電型の第1耐圧保持領域とを含む、半導体装置である。
【0007】
この構成によれば、少なくとも一方のドリフト領域が、半導体層の一部を利用して形成された低濃度な第1耐圧保持領域との間にpn接合を形成している。これにより、比較的高濃度な第1導電型の領域との間にpn接合を形成する場合に比べて、ソース領域とドレイン領域との間の耐圧(ソース・ドレイン間耐圧)を安定的に向上させることができる。
また、当該第1耐圧保持領域をチャネル領域全体に形成するのではなく、ドリフト領域との接合部分に選択的に形成し、少なくとも一方のドリフト領域と間隔を空けた部分には、半導体層よりも高濃度(つまり、第1耐圧保持領域よりも高濃度)な第1拡散領域を形成している。これにより、チャネル領域全体が低濃度になることを防ぐことができるので、チャネル移動度の低下を抑制できる。
【0008】
そして、このような第1耐圧保持領域および第1拡散領域をチャネル領域に混在させるには、従来に比べて特に製造工程数を増加させる必要はない。たとえば、電界効果トランジスタ用の領域とは異なる他の素子用の領域に、第1拡散領域と同一濃度の不純物領域を形成する工程の中で、第1拡散領域を形成すればよい。他の素子用の領域のドーピングに使用するマスクレイヤを共用して第1拡散領域を形成できるので、製造工程数が増加しなくて済む。第1耐圧保持領域については、ドーピング前に形成済みであった半導体層の一部が、第1拡散領域とドリフト領域との間に区画されることによって形成される。したがって、第1耐圧保持領域の形成に際してのマスクレイヤの追加もない。
【0009】
前記半導体装置は、前記ドリフト領域の直下に形成され、前記半導体層よりも高濃度な第1導電型の第2拡散領域をさらに含
んでいてもよい。
この構成によれば、半導体層の厚さに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性を緩和できる。これにより、製造工程において半導体層の厚さにばらつきが発生しても、層厚ばらつきに伴う耐圧の変動幅を、当該層厚ばらつきの変動幅よりも小さくできる。その結果、ソース・ドレイン間耐圧をより効果的に安定化させることができる。
【0010】
この構成において、前記第2拡散領域は、前記第1拡散領域よりも高濃度な拡散領域であることが好ましい。
また、
前記半導体装置において、前記第2拡散領域は、前記ドリフト領域と間隔を空けて形成されてい
てもよい。
この構成によれば、前記第2拡散領域と前記ドリフト領域との間の領域に、前記半導体層の一部を利用して形成され、前記第2拡散領域よりも低濃度な第1導電型の第2耐圧保持領域を介在させることができる。
【0011】
前記半導体装置において、前記第1拡散領域は、前記ドリフト領域よりも深く形成さ
れ、前記第2拡散領域は、前記第1拡散領域の底部の深さ位置を前記半導体層の厚さ方向に横切るように形成されてい
てもよい。
この構成によれば、第1拡散領域および第2拡散領域によって所定の領域を半導体層に区画でき、当該所定の領域にドリフト領域を配置することができる。
【0012】
前記半導体装置において、前記第2拡散領域は、前記ドリフト領域と同一パターンで形成されてい
てもよい。
この構成によれば、ドリフト領域のドーピングに使用するマスクレイヤを共用して第2拡散領域を形成できるので、第2拡散領域の形成に際して、製造工程数が増加しなくて済む。
【0013】
前記半導体装置において、前記第1拡散領域は、いずれの前記ドリフト領域とも間隔を空けて形成されてい
てもよい。
この構成によれば、一対のドリフト領域のいずれもが第1耐圧保持領域との間にpn接合を形成しているので、ソース・ドレイン間耐圧をより一層安定的に向上させることができる。
【0014】
前記半導体装置は、前記半導体層に埋め込まれ、前記電界効果トランジスタ用の領域を第1導電型ウェルとして電気的にフローティングさせる第2導電型の埋め込み層をさらに含んでいてもよい。
この場合
、前記半導体装置は、前記第1導電型ウェルを取り囲むように前記半導体層の前記表面に形成された第2導電型のガードリングをさらに含み、前記埋め込み層は、前記第1導電型ウェルを下方から区画する相対的に高濃度なベース部と、前記ガードリングに接するように前記第1導電型ウェルを側方から区画し、前記ベース部に比べて相対的に低濃度な側部とを一体的に含むことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ベース部が側部に比べて高濃度であるため、半導体装置のラッチアップを抑制できる。
前記半導体装置は、前記第1導電型ウェルにおいて、前記半導体層の前記表面に形成された第1導電型のウェルコンタクト領域と、前記ウェルコンタクト領域に接するように形成され、前記第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有する第1導電型の第3拡散領域とをさらに含
んでいてもよい。
【0016】
この構成によれば、第3拡散領域が第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有するので、第1拡散領域と同一の製造工程で第3拡散領域を形成することができる。
前記半導体装置において、前記第3拡散領域は、前記埋め込み層の前記側部に接するように形成されていてもよい。
前記半導体装置は、前記埋め込み層に対して前記第1導電型ウェルとは反対側の領域において、前記半導体層の前記表面に形成された第1導電型の基板コンタクト領域と、前記基板コンタクト領域に接するように形成され、前記半導体層よりも高濃度な第1導電型の第4拡散領域とをさらに含
んでいてもよい。
【0017】
この構成によれば、ソース・ドレイン間耐圧だけでなく、第1導電型ウェルと基板コンタクト領域との間の耐圧(ウェル・サブ間耐圧)も安定的に向上させることができる。
この構成において
、ドリフト領域の直下に半導体層よりも高濃度な第1導電型の第2拡散領域がさらに形成されている場合には、半導体層の厚さに対するウェル・サブ間耐圧の依存性を緩和することもできる。
【0018】
前記半導体装置において、前記第4拡散領域は、前記埋め込み層と間隔を空けて形成されていてもよい。
前記半導体装置において、前記電界効果トランジスタ用の領域は
、耐圧が35V〜45Vの高耐圧トランジスタ用の領域であってもよい
。前記半導体装置は
、ソース・ドレイン間耐圧を安定的に向上できるので
、高耐圧トランジスタに適している。
【0019】
前記半導体装置は、前記半導体層に選択的に形成され、前記電界効果トランジスタ用の領域とは異なる他の素子用の領域をさらに含
んでいてもよい。前記他の素子用の領域には、前記第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有する第1導電型の第5拡散領域が形成されてい
てもよい。
【0020】
この構成によれば、第5拡散領域が第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有するので、第1拡散領域と同一の製造工程で第5拡散領域を形成することができる。
半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタ用の領域、および前記電界効果トランジスタ用の領域とは異なる他の素子用の領域が選択的に形成された第1導電型の半導体層の前記電界効果トランジスタ用の領域に、第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、互いに間隔が空くように一対のドリフト領域を形成する工程と、前記一対のドリフト領域に第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、一方の前記ドリフト領域にソース領域を形成し、他方の前記ドリフト領域にドレイン領域を形成する工程と、前記一対のドリフト領域の間のチャネル領域、および前記他の素子用の領域に第1導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記チャネル領域において少なくとも一方の前記ドリフト領域と間隔が空くように、前記半導体層よりも高濃度な第1拡散領域を形成し、同時に、前記他の素子用の領域に、前記第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有する第5拡散領域を形成する工程と、前記チャネル領域に対向するように、前記半導体層
の表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程とを含
んでいてもよい。
【0021】
この方法によれば、電界効果トランジスタ用の領域に形成される第1拡散領域と他の素子用の領域に形成される第5拡散領域とを同一の製造工程で形成することができる。その結果、製造工程数の増加を防止しながら、
前記半導体装置に関して述べた効果を奏する電界効果トランジスタと、他の半導体素子とを共通の半導体層に有する半導体装置を製造することができる。
【0022】
前記半導体装置の製造方法は、前記ドリフト領域の形成に先立って、前記ドリフト領域の形成時に用いるイオン注入マスクを介して、前記電界効果トランジスタ用の領域に第1導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記ドリフト領域の形成位置よりも深い位置に第2拡散領域を形成する工程をさらに含
んでいてもよい。
【0023】
この
方法によれば、ドリフト領域のドーピングに使用するマスクレイヤ(イオン注入マスク)を共用して第2拡散領域を形成できるので、第2拡散領域の形成に際して、製造工程数が増加しなくて済む。同一のイオン注入マスクを介して第2拡散領域とドリフト領域とを形成することができる。
前記半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板の表面に第2導電型の不純物を注入し、その後、前記半導体基板の前記表面から第1導電型のエピタキシャル層を成長させることによって、前記半導体基板と前記エピタキシャル層との間における前記電界効果トランジスタ用の領域の下方に選択的に埋め込まれたベース部を有する前記半導体層を形成する工程と、前記エピタキシャル層において前記電界効果トランジスタ用の領域を取り囲む領域に第2導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記ベース部に比べて相対的に低濃度であって、前記ベース部と一体となって前記電界効果トランジスタ用の領域を第1導電型ウェルとして電気的にフローティングさせる側部を、前記電界効果トランジスタ用の領域の側方に形成する工程とをさらに含んでいてもよい。
【0024】
前記半導体装置の製造方法は、前記第1拡散領域を形成する工程は、前記第1拡散領域と同一濃度および同一深さを有する第1導電型の第3拡散領域を、前記第1導電型ウェルに同時に形成する工程と、前記第3拡散領域に第1導電型の不純物を選択的に注入することによって、前記半導体層の前記表面にウェルコンタクト領域を形成する工程とをさらに含んでいてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の断面図である。
半導体装置1は、半導体基板3と、半導体基板3上に形成された本発明の半導体層の一例としてのエピタキシャル層4とを含む。本実施形態では、エピタキシャル層4は、シリコン基板からなる半導体基板3上に、p型不純物を含むシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されている。
【0027】
半導体基板3は、たとえば、そのp型不純物濃度が7.0×10
14/cm
3〜1.3×10
15/cm
3であり、その層厚は、80μm〜120μmである。一方、エピタキシャル層4は、たとえば、そのp型不純物濃度が1.7×10
15/cm
3〜2.3×10
15/cm
3であり、その層厚Tは、6.5μm〜7.5μmである。また、半導体基板3の層厚とエピタキシャル層4の層厚Tとを足した層厚は、たとえば、86.5μm〜127.5μmである。
【0028】
半導体基板3およびエピタキシャル層4には、n型不純物を含む埋め込み層5が埋設されている。埋め込み層5は、エピタキシャル層4の厚さ方向に直交する方向に沿って形成された相対的に高濃度なベース部6と、ベース部6の周端部に形成され、ベース部6の内方領域を取り囲むように形成された相対的に低濃度な側部7とを含む。
埋め込み層5のベース部6は、半導体基板3およびエピタキシャル層4の境界面Sを跨ぐように形成されている。つまり、ベース部6は、境界面Sに対してエピタキシャル層4の厚さ方向上下両側に形成されている。ベース部6のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
17/cm
3〜2.0×10
17/cm
3である。
【0029】
また、埋め込み層5の側部7は、エピタキシャル層4の表面から厚さ方向に向けて延び、ベース部6の上部と一体的に連なるように形成されている。側部7のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
16/cm
3〜2.0×10
16/cm
3である。
エピタキシャル層4は、埋め込み層5によって、埋め込み層5に取り囲まれたアクティブ領域8と、当該アクティブ領域8よりも外側の外周領域9とに区画されている。これらの領域のうち、アクティブ領域8は、外周領域9から電気的にフローティングされたp型ウェル領域10として形成されている。p型ウェル領域10は、エピタキシャル層4の一部を利用して形成されたものであり、エピタキシャル層4と同一のp型不純物濃度を有している。
【0030】
このアクティブ領域8は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が形成される第1トランジスタ領域11と、半導体素子が形成される素子領域としての第2トランジスタ領域12とを含む。
第1トランジスタ領域11は、エピタキシャル層4の表面において、互いに間隔を空けて選択的に形成された第1ソース領域13、第1ドレイン領域14およびウェルコンタクト領域15と、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14間に第1ゲート絶縁膜16を介して形成された第1ゲート電極17とを含む。
【0031】
第1ソース領域13および第1ドレイン領域14の導電型はいずれもn型であり、それぞれ同一濃度および同一深さに形成されている。第1ソース領域13および第1ドレイン領域14のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
21/cm
3〜2.0×10
21/cm
3である。また、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14は、それぞれ絶縁材料を含む素子分離部18に個別的に取り囲まれている。素子分離部18は、p型ウェル領域10の表面から厚さ方向に向けて形成されており、その底部が第1ソース領域13および第1ドレイン領域14の各々の底部よりも深いところに位置している。
【0032】
本実施形態における素子分離部18としては、たとえば、エピタキシャル層4の表面を選択的に酸化させて形成したLOCOS(Local Oxidation Of Silicon)膜や、エピタキシャル層4を選択的に掘り下げて形成した複数のトレンチに絶縁材料を埋め込んだSTI(Shallow Trench Isolation)等を適用することができる。
また、第1トランジスタ領域11は、さらに、第1ソース領域13を取り囲むように形成された第1ソース側ドリフト領域19と、第1ソース側ドリフト領域19と対をなし、第1ドレイン領域14を取り囲むように形成された第1ドレイン側ドリフト領域20とを含む。第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の導電型はいずれもn型であり、それぞれ同一濃度および同一深さに形成されている。第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
17/cm
3〜2.0×10
17/cm
3である。
【0033】
第1ソース側ドリフト領域19は、本実施形態では、第1ソース領域13を取り囲む素子分離部18をさらに取り囲むように形成されている。より具体的には、第1ソース側ドリフト領域19は、当該素子分離部18を取り囲み、素子分離部18よりも外側の領域においてエピタキシャル層4の表面に露出している。なお、第1ソース側ドリフト領域19は、素子分離部18の全周を取り囲んでいてもよいし、
図1に示すように、素子分離部18の第1ゲート電極17側の部分を選択的に取り囲んでいてもよい。第1ソース側ドリフト領域19において素子分離部18を取り囲まない部分は、たとえば、素子分離部18の底部に形成されていてもよい。
【0034】
第1ドレイン側ドリフト領域20は、本実施形態では、第1ドレイン領域14を取り囲む素子分離部18をさらに取り囲むように形成されている。より具体的には、第1ドレイン側ドリフト領域20は、当該素子分離部18を取り囲み、素子分離部18よりも外側の領域においてエピタキシャル層4の表面に露出している。なお、第1ドレイン側ドリフト領域20は、素子分離部18の全周を取り囲んでいてもよいし、
図1に示すように、素子分離部18の第1ゲート電極17側の部分を選択的に取り囲んでいてもよい。第1ドレイン側ドリフト領域20において素子分離部18を取り囲まない部分は、たとえば、素子分離部18の底部に形成されていてもよい。
【0035】
そして、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20は、エピタキシャル層4の表面に沿う方向に互いに間隔を空けて形成されており、この間の領域に、MOSFET用の第1チャネル領域21が形成されている。
第1チャネル領域21には、エピタキシャル層4(p型ウェル領域10)よりも高濃度なp型の第1拡散領域22が第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と間隔を空けて形成されている。第1拡散領域22のp型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
16/cm
3〜2.0×10
16/cm
3である。第1拡散領域22は、その底部が埋め込み層5のベース部6に対して上方に間隔を空けて位置するように、エピタキシャル層4の表面から厚さ方向に向かって延びて形成されている。また、第1拡散領域22の底部は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の各々の底部よりも深い位置に形成されている。
【0036】
第1拡散領域22および第1ソース側ドリフト領域19と、第1拡散領域22および第1ドレイン側ドリフト領域20との間の領域には、それぞれ第1耐圧保持領域23が形成されている。第1耐圧保持領域23は、p型ウェル領域10の一部を利用して形成されている。したがって、第1耐圧保持領域23のp型不純物濃度は、第1拡散領域22よりも低濃度である。第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と、第1耐圧保持領域23との間には、pn接合が形成されている。
【0037】
ウェルコンタクト領域15は、埋め込み層5の側部7と第1ドレイン領域14との間の領域において、素子分離部18に取り囲まれるように形成されている。ウェルコンタクト領域15は、p型の導電性を有しており、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14と同一深さで形成されている。ウェルコンタクト領域15のp型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
20/cm
3〜2.0×10
20/cm
3である。
【0038】
ウェルコンタクト領域15を取り囲む素子分離部18は、第1ドレイン領域14を取り囲む素子分離部18と一体的に形成されている。すなわち、ウェルコンタクト領域15と第1ドレイン領域14は、これらの領域間で共有される素子分離部18によって隔てられており、当該素子分離部18を介して互いに対向している。
ウェルコンタクト領域15の下方の領域には、第1拡散領域22と同一濃度および同一深さを有する第3拡散領域24が形成されている。第3拡散領域24は、ウェルコンタクト領域15を取り囲む素子分離部18の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されている。つまり、第3拡散領域24は、断面視において、ウェルコンタクト領域15を取り囲む素子分離部18よりも内側の領域に形成されている。このとき、第3拡散領域24の外周領域9側の側面は、埋め込み層5の側部7と互いに接するように形成されている。
【0039】
これに対して、第3拡散領域24のアクティブ領域8側の側面は、第1ドレイン側ドリフト領域20から間隔を空けるように形成されている。つまり、第3拡散領域24はp型ウェル領域10を介して第1ドレイン側ドリフト領域20と対向するように形成されている。第3拡散領域24および第1ドレイン側ドリフト領域20の間における間隔は、たとえば、第1拡散領域22と、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20との各々の間における間隔と同じである。
【0040】
第1ゲート電極17は、第1ゲート絶縁膜16を介して第1チャネル領域21と対向するようにエピタキシャル層4の表面に形成されている。第1ゲート絶縁膜16は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と第1耐圧保持領域23との境界、ならびに、第1耐圧保持領域23と第1拡散領域22の境界を横切るようにp型ウェル領域10上に形成されている。また、第1ゲート絶縁膜16は、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14をそれぞれ個別的に取り囲む素子分離部18のうち、第1チャネル領域21側に配置された素子分離部18と一体的に連なるようにp型ウェル領域10上に形成されていてもよい。このようにして、第1トランジスタ領域11にMOSFETが形成される。
【0041】
半導体素子が形成される第2トランジスタ領域12は、第1拡散領域22と同一濃度および同一深さに形成された第5拡散領域25を含む。第5拡散領域25は、第1ソース領域13を取り囲む素子分離部18の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されている。また、第5拡散領域25のアクティブ領域8側の側面は、第1ソース領域13を取り囲む素子分離部18のうち第1ゲート電極17と反対側に形成された素子分離部18の底部において、第1ソース側ドリフト領域19の端部と間隔を空けるように形成されている。第5拡散領域25および第1ソース側ドリフト領域19の間における間隔は、たとえば、第1拡散領域22および第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の各々の間における間隔と同じである。
【0042】
当該第2トランジスタ領域12の一例としては、この第2トランジスタ領域12に形成される素子に応じて、たとえば、MOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が形成された第2のトランジスタ領域、ダイオードが形成されたダイオード領域等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、第1拡散領域22と同一濃度および同一深さの第5拡散領域25を含む半導体素子が形成される領域であれば、どのようなものであってもよい。
【0043】
外周領域9には、埋め込み層5の側部7に、素子分離部18に取り囲まれるように、ガードリング領域26が形成されている。ガードリング領域26は、n型の導電性を有しており、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14と同一濃度および同一深さで形成されている。
また、外周領域9においてエピタキシャル層4の表面には、基板コンタクト領域27が、素子分離部18に取り囲まれるように選択的に形成されている。基板コンタクト領域27は、p型の導電性を有しており、ウェルコンタクト領域15と同一濃度および同一深さで形成されている。
【0044】
基板コンタクト領域27の下方の領域には、第1拡散領域22よりも高濃度な第4拡散領域28が形成されている。第4拡散領域28のn型不純物濃度は、たとえば、4.0×10
17/cm
3〜5.0×10
17/cm
3である。第4拡散領域28は、基板コンタクト領域27を取り囲む素子分離部18の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されている。このとき、第4拡散領域28は、第1拡散領域22よりも深く形成されていてもよい。
【0045】
また、第4拡散領域28は、エピタキシャル層4を介して、埋め込み層5の側部7と対向するように、埋め込み層5の側部7と間隔を空けて形成されている。第4拡散領域28および埋め込み層5の側部7の間における間隔は、たとえば、第1拡散領域22および第1ソース側ドリフト領域19の間の間隔と同じである。
次に、
図2A〜
図2Gを参照して、半導体装置1の製造工程を説明する。
【0046】
図2A〜
図2Gは、
図1の半導体装置1の製造工程の一例を工程順に説明するための断面図である。
半導体装置1を製造するには、
図2Aに示すように、たとえば、半導体基板3が準備される。
次に、n型の埋め込み層5のベース部6を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が半導体基板3上に形成される。そして、n型不純物イオンとしてヒ素(As)イオンが当該イオン注入マスクを介して半導体基板3にドーピングされて、
図2Bに示すようにn型の埋め込み層5が形成される。埋め込み層5が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0047】
次に、
図2Cに示すように、p型不純物としてホウ素(B)イオンをドーピングしながらエピタキシャル成長法が行われ、エピタキシャル層4が形成される。エピタキシャル成長法は、たとえば、エピタキシャル層4の層厚Tが6.5μm〜7.5μmになるまで行われる。このとき、埋め込み層5のベース部6は、半導体基板3の表面から成長方向に倣って拡がるように形成される。このようにして、半導体基板3およびエピタキシャル層4の境界面Sを跨ぐ埋め込み層5のベース部6が形成される。
【0048】
次に、エピタキシャル層4上に素子分離部18が選択的に形成される。より具体的には、素子分離部18は、第1トランジスタ領域11における第1ソース領域13、第1ドレイン領域14およびウェルコンタクト領域15、ならびに、第2トランジスタ領域12における第5拡散領域25および埋め込み層5の側部7におけるガードリング領域26が形成されるそれぞれの領域を取り囲むように選択的に形成される。
【0049】
素子分離部18は、たとえば、LOCOS膜であってもよいし、STIであってもよい。素子分離部18がLOCOS膜である場合は、たとえば、エピタキシャル層4の表面を選択的に露出させる開口を有するレジストマスク(図示せず)を形成した後、当該エピタキシャル層4の表面を酸化させることにより形成することができる。また、素子分離部18がSTIの場合は、たとえば、エピタキシャル層4を掘り下げたトレンチを選択的に形成した後、当該トレンチに絶縁材料を埋め込むことにより形成することができる。
【0050】
次に、
図2Dに示すように、エピタキシャル層4上に、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク29が形成される。そして、当該イオン注入マスク29の開口を介して、n型不純物イオンがドーピングされて第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20が形成される。第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20が形成された後、当該イオン注入マスク29は除去される。
【0051】
次に、
図2Eに示すように、第1トランジスタ領域11および第2トランジスタ領域12において、第1、第3および第5拡散領域22,24,25を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク30が形成される。そして、当該イオン注入マスク30の開口を介して、たとえば、p型不純物としてホウ素(B)イオンをエピタキシャル層4よりも高濃度になるようにドーピングすることにより第1、第3および第5拡散領域22,24,25が同時に形成される。p型不純物のドーピング条件は、たとえば、ドーピングエネルギーが160keV〜200keVであり、ドーズ量が5.4×10
11/cm
2〜6.6×10
11/cm
2である。
【0052】
このとき、第1拡散領域22および第3拡散領域24は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20からそれぞれほぼ等しい間隔を空けて形成される。また、第1、第3および第5拡散領域22,24,25は、エピタキシャル層4の表面から厚さ方向に向かって第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20よりも深く形成される。第1、第3および第5拡散領域22,24,25が形成された後、イオン注入マスク30は除去される。
【0053】
次に、第4拡散領域28が形成される領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介して、第1、第3および第5拡散領域22,24,25よりも高濃度になるようにp型不純物としてホウ素(B)イオンがドーピングされる。これにより、第4拡散領域28が形成される。このとき、第4拡散領域28は、第1、第3および第5拡散領域22,24,25よりも深く形成されていてもよい。第4拡散領域28が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)が除去される。
【0054】
次に、
図2Fに示すように、埋め込み層5の側部7が形成される領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク31が形成される。そして、当該イオン注入マスク31を介して、埋め込み層5よりも低濃度になるように、n型不純物としてリン(P)イオンがドーピングされる。n型不純物のドーピング条件は、たとえば、ドーピングエネルギーが1800keV〜2000keVであり、ドーズ量が3.1×10
12/cm
2〜3.7×10
12/cm
2である。
【0055】
このとき、埋め込み層5の側部7は、当該n型不純物がエピタキシャル層4の表面から厚さ方向に向かって延びて、埋め込み層5のベース部6と一体的に連なるように形成される。これにより、埋め込み層5は、p型ウェル領域10を下方から区画する相対的に高濃度なベース部6と、p型ウェル領域10を側方から区画する低濃度な側部7とを一体的に含む構成となる。
【0056】
さらにこのとき、埋め込み層5の側部7は、第4拡散領域28と間隔を空けて形成され、かつ第3拡散領域24と接するように形成される。埋め込み層5の側部7と第4拡散領域28との間隔は、たとえば、第1拡散領域22および第3拡散領域24と第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20との間隔とほぼ同じ間隔を空けて形成されている。埋め込み層5の側部7が形成された後、イオン注入マスク31が除去される。なお、第4拡散領域28が埋め込み層5の側部7よりも先に形成される工程について説明したが、埋め込み層5の側部7が第4拡散領域28よりも先に形成される工程を採用してもよい。
【0057】
次に、
図2Gに示すように、第1トランジスタ領域11における第1ソース領域13および第1ドレイン領域14、ならびに、埋め込み層5の側部7におけるガードリング領域26が形成される領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成され、n型の不純物が同一濃度および同一深さになるようにドーピングされる。これにより、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14、ならびに、ガードリング領域26が素子分離部18に取り囲まれるように同時に形成される。その後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0058】
また、同様に、第1トランジスタ領域11におけるウェルコンタクト領域15、および、外周領域9における基板コンタクト領域27が形成される領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成され、p型の不純物が同一濃度および同一深さになるようにドーピングされる。これにより、ウェルコンタクト領域15および基板コンタクト領域27が素子分離部18に取り囲まれるように同時に形成される。その後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0059】
次に、第1トランジスタ領域11において、第1チャネル領域21に対向するように第1ゲート絶縁膜16を介して第1ゲート電極17が形成される。以上の工程を経て、
図1に示した半導体装置1が得られる。
次に、第1ソース領域13−第1ドレイン領域14間の耐圧(ソース・ドレイン間耐圧)の値、および、ウェルコンタクト領域15−基板コンタクト領域27間の耐圧(ウェル・サブ間耐圧)の値について説明する。
【0060】
図1に示した半導体装置1に基づき、シミュレーションによりエピタキシャル層4の層厚Tを変化させて、それぞれの条件下における各領域間の耐圧値の検証を行った。シミュレーションによる検証は、第1トランジスタ領域11におけるMOSFETがオン状態の下で行い、層厚Tを7μm,6μm,5μmと順に変化させて行ったものである。なお、半導体基板3の層厚は、一定である。
【0061】
この場合、第1ドレイン領域14には、第1トランジスタ領域11が絶縁破壊するまで、0.0Vから徐々に電圧の値を増加させるスイープ電圧を印加している。他方、第1ゲート電極17、第1ソース領域13、ウェルコンタクト領域15、ガードリング領域26、および、基板コンタクト領域27はグランド電位に固定している。
シミュレーションの結果によれば、ソース・ドレイン間耐圧は、層厚Tが7μmのとき45.0Vであり、層厚Tが6μmのとき31.0Vであり、そして層厚Tが5μmのとき20.0Vであった。
【0062】
また、ウェル・サブ間耐圧は、層厚Tが7μmのとき51.0Vであり、層厚Tが6μmのとき14.5Vであり、そして層厚Tが5μmのとき5.3Vであった。
これに対し、参考例として、p型ウェル領域10の全域を第1拡散領域22と同一濃度で形成した場合の耐圧を実際のエピタキシャルウエハ(層厚T=7μm)を用いて検証したところ、ソース・ドレイン間耐圧が30.5Vであった。
【0063】
以上のように、本発明の第1実施形態の構成によれば、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20が、エピタキシャル層4の一部を利用して形成された第1耐圧保持領域23との間にpn接合を形成している。これにより、比較的高濃度なp型の領域との間にpn接合を形成する場合に比べて、ソース・ドレイン間耐圧を安定的に向上させることができる。
【0064】
より具体的には、上記の検証結果から明らかなように、エピタキシャル層の層厚T=7μmの場合には、参考例のソース・ドレイン間耐圧が30.5Vであるのに対し、本実施形態の半導体装置1のソース・ドレイン間耐圧は、45.0Vであった。つまり、半導体装置1のソース・ドレイン間耐圧は、参考例の耐圧に比べて約1.5倍優れている。
また、ウェルコンタクト領域15の下方の領域および基板コンタクト領域27の下方の領域にはエピタキシャル層4よりも高濃度な第3拡散領域24および第4拡散領域28が形成されているので、ソース・ドレイン間耐圧だけでなく、ウェル・サブ間耐圧も安定的に向上させることができる。
【0065】
また、第1耐圧保持領域23を第1チャネル領域21全体に形成するのではなく、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20との接合部分に選択的に形成し、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と間隔を空けた部分には、p型ウェル領域10よりも高濃度な第1拡散領域22を形成している。これにより、第1チャネル領域21全体が低濃度になることを防ぐことができるので、チャネル移動度の低下を抑制できる。
【0066】
また、エピタキシャル層4には、埋め込み層5の側部7よりも比較的に高濃度なベース部6が形成されているので、半導体装置1のラッチアップを抑制することができる。
また、第1、第3および第5拡散領域22,24,25を、同時に形成することができるので、製造工程数の増加を防止しながら、第1トランジスタ領域11および第2トランジスタ領域12の異なる領域を同時に形成することができる。
【0067】
次に、
図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る半導体装置32について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置32を示す断面図である。
半導体装置32が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の直下に第2拡散領域33が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図3において、前述の
図1〜
図2Gに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0068】
第2拡散領域33は、エピタキシャル層4よりも高濃度なp型不純物濃度を有している。第2拡散領域33の不純物濃度は、たとえば、2.0×10
16/cm
3〜3.0×10
16/cm
3である。この場合において、第2拡散領域33は、第1、第3および第5拡散領域22,24,25よりも高濃度な不純物濃度を有していることが好ましい。
第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一パターンで形成されており、エピタキシャル層4をその表面から厚さ方向に向かって切断したときの断面視において、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の幅とほぼ同一の幅を有している。つまり、第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同様に、第1拡散領域22および第3拡散領域24と間隔を空けて形成されている。
【0069】
また、第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と埋め込み層5とそれぞれ互いに間隔を空けて形成されており、第2拡散領域33の底部の深さ位置は、第1拡散領域22の底部の深さ位置よりも深く形成されている。つまり、第2拡散領域33は、p型ウェル領域10に取り囲まれるように形成されている。換言すれば、第2拡散領域33は、p型ウェル領域10を介して、埋め込み層5のベース部6、第1拡散領域22および第3拡散領域24、ならびに、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20とそれぞれ対向している。
【0070】
第2拡散領域33および第1ソース側ドリフト領域19と、第2拡散領域33および第1ドレイン側ドリフト領域20との間の領域には、それぞれ第2耐圧保持領域34が形成されている。第2耐圧保持領域34は、p型ウェル領域10の一部を利用して形成されている。したがって、第2耐圧保持領域34の不純物濃度は、第2拡散領域33よりも低濃度である。第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と、第1耐圧保持領域23との間には、pn接合が形成されている。
【0071】
次に、
図4を参照して、半導体装置32の製造工程を説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置32の製造工程の一例を説明するための断面図である。半導体装置32の製造工程において、前述の第1実施形態に係る半導体装置1の製造工程と相違する点は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20を形成する工程(
図2D参照)に先立って、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の直下に第2拡散領域33を形成する工程が追加されている点である。その他の製造工程は、半導体装置1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
半導体装置32を製造するには、
図4に示すように、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20を形成する工程(
図2D参照)に先立って、第2拡散領域33を形成する工程が追加される。すなわち、第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の形成時に用いる同一のイオン注入マスク29を介してp型不純物としてホウ素(B)イオンをドーピングすることにより形成される。p型不純物のドーピング条件は、たとえば、ドーピングエネルギーが500keV〜1000keVであり、ドーズ量が8.0×10
11/cm
2〜1.2×10
12/cm
2である。
【0073】
このようにして、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一パターンの第2拡散領域33が、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20よりも深い位置に形成される。第2拡散領域33が形成された後、前述の
図2Dで説明した工程により第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20が形成される。その後、
図2E〜
図2Gの工程が順に実行されて、半導体装置32が製造される。
【0074】
次に、本実施形態における、ソース・ドレイン間耐圧の値、および、ウェル・サブ間耐圧の値について説明する。
前述の実施形態と同様に、
図3に示した半導体装置32に基づき、シミュレーションによりエピタキシャル層4の層厚Tを変化させて、それぞれの条件下における各領域間の耐圧値の検証を行った。シミュレーションによる検証は、エピタキシャル層4の層厚Tを7μm,6μm,5μmと順に変化させて行ったものである。その他の条件は、前述の実施形態における条件と同様である。
【0075】
シミュレーションの結果によれば、ソース・ドレイン間耐圧は、層厚Tが7μmのとき45.6Vであり、層厚Tが6μmのとき45.0Vであり、そして層厚Tが5μmのとき27.0Vであった。
また、ウェル・サブ間耐圧は、層厚Tが7μmのとき68.5Vであり、層厚Tが6μmのとき45.4Vであり、そして層厚Tが5μmのとき20.0Vであった。
【0076】
以上の結果によれば、ソース・ドレイン間耐圧およびウェル・サブ間耐圧の値は、エピタキシャル層4の層厚Tが薄くなるにつれて低下しているものの、前述の実施形態と比較して、耐圧の値が向上していることが分かる。さらに、いずれの場合も、エピタキシャル層4の層厚Tが薄くなったとしても、耐圧値の減少幅が前述の実施形態と比較して小さくなっており、ソース・ドレイン間耐圧およびウェル・サブ間耐圧の値のエピタキシャル層4の層厚Tへの依存性が改善されていることが分かる。
【0077】
以上のように、本発明の第2実施形態の構成によれば、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の直下にエピタキシャル層4よりも高濃度な第2拡散領域33がさらに形成されている。これにより、エピタキシャル層4の層厚Tに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性を緩和できる。すなわち、製造工程においてエピタキシャル層4の層厚Tにばらつきが発生しても、エピタキシャル層4の層厚Tのばらつきに伴う耐圧の変動幅を、当該層厚Tのばらつきの変動幅よりも小さくできる。その結果、ソース・ドレイン間耐圧をより効果的に安定化させることができる。
【0078】
また、第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一のイオン注入マスク29を介して形成することができるので、製造工程数の増加を防止しながら、安定したソース・ドレイン間耐圧およびウェル・サブ間耐圧を有する半導体装置32を製造することができる。
図5は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置51の模式的な平面図である。
図6Aは、
図5の第1トランジスタ領域11を示す断面図である。
図6Bは、
図5の第2トランジスタ領域12を示す断面図である。
【0079】
半導体装置51が、前述の半導体装置1,32と相違する点は、アクティブ領域8が第1トランジスタ領域11として形成されている点、および、p型ウェル領域10外に第2トランジスタ領域12が形成されている点である。
本実施形態では、第1トランジスタ領域11および第2トランジスタ領域12のエピタキシャル層4を法線方向から見た平面形状の一例として、それぞれが略四角形状に形成されている例を用いて、半導体装置51の構成を詳説する。むろん、
図5に示す構成は、前述の第1および第2実施形態における半導体装置1,32の構成に適用されるものである。なお、
図5では、素子分離部18の図示を省略して示している。
【0080】
以下、第1トランジスタ領域11の構成、および第2トランジスタ領域12の構成を順に説明する。
<第1トランジスタ領域11の平面構成>
図5に示すように、埋め込み層5は、平面視略四角形状に形成されたベース部6と、ベース部6の周端部に形成され、当該ベース部6の内方領域(すなわち、p型ウェル領域10)を取り囲む平面視略四角環状の側部7とを含む。この埋め込み層5によって、平面視略四角形状の第1トランジスタ領域11(アクティブ領域8)と、第1トランジスタ領域11よりも外側の外周領域9とが区画されている。埋め込み層5の側部7の表面には、当該側部7の表面に沿って、平面視略四角環状のガードリング領域26が形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
【0081】
p型ウェル領域10には、第3拡散領域24、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14が形成されている。第3拡散領域24は、外周領域9側の側面が、側部7の第1トランジスタ領域11側の側面と接した状態を保ちながら平面視略四角環状に形成されている。第3拡散領域24の表面には、当該第3拡散領域24の表面に沿って、平面視略四角環状のウェルコンタクト領域15が形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
【0082】
第1ソース領域13および第1ドレイン領域14は、互いに間隔を空けて平行に、かつストライプ状に形成されており、第3拡散領域24の内側面から間隔を空けて、それぞれ配置されている。そして、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14を個別に取り囲むように、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20が第1ソース領域13および第1ドレイン領域14のストライプ方向に沿って形成されている。
【0083】
第1ゲート電極17は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20を跨ぐように、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14のストライプ方向に沿って形成されている。
外周領域9には、埋め込み層5を取り囲むように平面視略四角環状の第4拡散領域28が形成されている。第4拡散領域28は、埋め込み層5から、外周領域9側に間隔を空けて形成されており、これによって、第1トランジスタ領域11が形成された領域が区画されている。なお、本実施形態では、第1トランジスタ領域11および第2トランジスタ領域12の間における第4拡散領域28は、第1トランジスタ領域11および第2トランジスタ領域12を隔てる共通部分28aとして一体的に形成されている。第4拡散領域28(共通部分28a)の表面には、当該第4拡散領域28の表面に沿って、平面視略四角環状の基板コンタクト領域27が形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
【0084】
なお、素子分離部18は、前述の第1実施形態と同様の構成で、第1ソース領域13、第1ドレイン領域14、ウェルコンタクト領域15、ガードリング領域26、基板コンタクト領域27のそれぞれを取り囲むように形成されている。すなわち、素子分離部18は、各領域13,14,15,26,27を取り囲むように、平面視略四角環状に形成されている。
<第1トランジスタ領域11の断面構成>
図6Aに示すように、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の間の領域(チャネル領域21)には、第1ソース領域13および第1ドレイン領域14のストライプ方向に沿って第1拡散領域22が形成されている。すなわち、第1拡散領域22と、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20との各間に介在する第1耐圧保持領域23も、ストライプ方向に沿って形成されている。
【0085】
第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の直下には、第2拡散領域33が、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一パターンで形成されている。本実施形態における第2拡散領域33は、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の底部と、第1および第3拡散領域22,24の底部との間の領域に位置している。第2拡散領域33の上部と、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の底部との間のそれぞれの領域に、p型ウェル領域10の一部からなる第2耐圧保持領域34がストライプ状に形成されている。
【0086】
次に、第2トランジスタ領域12の構成について説明する。
<第2トランジスタ領域12の平面構成>
図5に示すように、第4拡散領域28(共通部分28a)を挟んで第1トランジスタ領域11と対向する位置には、n型の埋め込み層52と、p型ウェル領域53とが形成されている。
【0087】
埋め込み層52は、第4拡散領域28(共通部分28a)の側面から間隔を空けて、平面視略四角形状に形成されている。p型ウェル領域53は、埋め込み層52の内方部に形成されており、埋め込み層52の面積よりも小さい面積を有している。このp型ウェル領域53によって、第2トランジスタ領域12と、当該第2トランジスタ領域12よりも外側の外周領域9とが区画されている。
【0088】
埋め込み層52の表面には、n型不純物領域54が形成されている。n型不純物領域54は、n型ウェル領域の側面とp型ウェル領域53の側面との間に、平面視略四角環状に形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
p型ウェル領域53には、p型不純物領域55、第2ソース領域56および第2ドレイン領域57が形成されている。p型不純物領域55は、p型ウェル領域53の側面から間隔を空けて、平面視略四角環状に形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
【0089】
第2ソース領域56および第2ドレイン領域57は、互いに間隔を空けて平行に、かつストライプ状に形成されており、p型不純物領域55の内側面から間隔を空けて、それぞれ配置されている。そして、第2ソース領域56および第2ドレイン領域57を個別に取り囲むように、一対の第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59が、第2ソース領域56および第2ドレイン領域57のストライプ方向に沿って形成されている。第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59を跨ぐように第2ゲート電極63が形成されている。
【0090】
第2ゲート電極63は、第2ソース領域56および第2ドレイン領域57のストライプ方向に沿って形成されている。
第2トランジスタ領域12の外周領域9には、埋め込み層52を取り囲むように平面視略四角環状の第4拡散領域28(共通部分28aを含む)が形成されている。第4拡散領域28は、埋め込み層52から間隔を空けて形成されており、これによって、第2トランジスタ領域12が形成された領域が区画されている。第4拡散領域28の表面には、第1トランジスタ領域11側の構成と同様に、当該第4拡散領域28の表面に沿って、平面視略四角環状の基板コンタクト領域27が形成されている(
図5のクロスハッチング部参照)。
【0091】
なお、第2トランジスタ領域12における素子分離部18は、n型不純物領域54およびp型不純物領域55をそれぞれ取り囲むように形成されている。すなわち、素子分離部18は、各領域54,55を取り囲むように、平面視略四角環状に形成されている。素子分離部18については、以降において詳説する。
<第2トランジスタ領域12の断面構成>
図6Bに示すように、埋め込み層52は、前述の埋め込み層5と同様に、エピタキシャル層4の厚さ方向に直交する方向に沿って形成された相対的に高濃度なベース部52aと、ベース部52aの周端部に形成され、ベース部52aの内方領域(すなわち、p型ウェル領域53)を取り囲むように形成された相対的に低濃度な側部52bとを含む。
【0092】
埋め込み層52のベース部52aは、エピタキシャル層4の表面と、半導体基板3およびエピタキシャル層4の境界面Sとの間に平面視略四角形状に形成されている。これにより、埋め込み層52は、エピタキシャル層4よりも浅く形成された構成となっている。
一方、埋め込み層52の側部52bは、基板コンタクト領域27を取り囲む素子分離部18(内側の素子分離部18)の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されており、ベース部52aの周端部と接して(一体的に連なって)いる。埋め込み層52の側部52bは、第4拡散領域28(共通部分28a)から間隔を空けた位置にエピタキシャル層4との境界を有している。ベース部52aのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
17/cm
3〜2.0×10
17/cm
3であり、側部52bのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×10
16/cm
3〜2.0×10
16/cm
3である。
【0093】
埋め込み層52の内方部(埋め込み層52の側部52b)には、基板コンタクト領域27を取り囲む素子分離部18(内側の素子分離部18)から間隔を空けて、平面視略四角環状の素子分離部18が形成されており、各素子分離部18に取り囲まれるようにn型不純物領域54が形成されている。n型不純物領域54は、たとえば前述のガードリング領域26と同一濃度および同一深さで形成されている。
【0094】
p型ウェル領域53は、n型不純物領域54を取り囲む素子分離部18(内側の素子分離部18)の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されている。p型ウェル領域53は、埋め込み層52のベース部52aよりも浅く形成されており、p型ウェル領域53の底部は、エピタキシャル層4の表面と、埋め込み層52のベース部52aとの間に位置している。p型ウェル領域53は、たとえば前述の第1および第3拡散領域22,24と同一濃度および同一深さで形成されている。すなわち、p型ウェル領域53は、前述の第1および第2実施形態における第2トランジスタ領域12の第5拡散領域25に相当する。
【0095】
p型ウェル領域53の内方部には、n型不純物領域54を取り囲む素子分離部18(内側の素子分離部18)から間隔を空けて、平面視略四角環状の素子分離部18がさらに形成されており、各素子分離部18に取り囲まれるようにp型不純物領域55が形成されている。p型不純物領域55は、たとえば前述のウェルコンタクト領域15と同一濃度および同一深さで形成されている。
【0096】
第2ソース領域56および第2ドレイン領域57は、それぞれp型ウェル領域53の内方部に形成された素子分離部18から間隔を空けて形成されている。第2ソース領域56および第2ドレイン領域57の深さおよび不純物濃度は、たとえば前述の第1ソース領域13および第1ドレイン領域14と同一である。
第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の外周領域9側の側面は、p型ウェル領域53の側面から間隔を空けて形成されており、かつp型ウェル領域53の内方部に形成された素子分離部18の底部からエピタキシャル層4の厚さ方向に向かって延びるように形成されている。
【0097】
一方、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の外周領域9と反対側の側面は、p型ウェル領域53を挟んで互いに対向しており、当該対向する領域に第2チャネル領域62が形成されている。第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の深さおよび不純物濃度は、たとえば前述の第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一である。
【0098】
p型ウェル領域53における第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の直下の領域には、エピタキシャル層4よりも高濃度な不純物濃度を有する第6拡散領域60が形成されている。
第6拡散領域60は、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59と同一パターンで形成されている。第6拡散領域60は、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の各底部と、埋め込み層52のベース部52aとの間の領域に位置するように形成されている。第6拡散領域60は、p型ウェル領域53を挟んで、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59とそれぞれ対向している。第6拡散領域60と、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59との間の各領域には、それぞれpn接合が形成されており、これにより、p型ウェル領域53の一部からなる第3耐圧保持領域61が形成されている。第6拡散領域60は、第1トランジスタ領域11における第2拡散領域33と同一濃度および同一深さで形成されている。
【0099】
エピタキシャル層4の表面には、第2ゲート絶縁膜64を挟んで第2チャネル領域62と対向するように第2ゲート電極63が形成されている。より具体的には、第2ゲート電極63は、第2ゲート絶縁膜64を挟んで、p型ウェル領域53、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59に跨がる領域に対向している。このようにして、第2トランジスタ領域12には、プレーナゲート型のMOSFETが形成されている。
【0100】
このような第2トランジスタ領域12は、
図2Dの工程に先立って、エピタキシャル成長の工程途中に、埋め込み層52を形成する工程(n型の不純物をドーピングする工程)を追加した後、第1トランジスタ領域11の製造工程を利用して同一の工程で作り込むことができる。
すなわち、
図2Dの工程で、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59を形成できる。また、
図2Eの工程、すなわち、第1、第3および第5拡散領域22,24,25を形成する工程と同一の工程で、p型ウェル領域53を形成できる。また、
図4の工程、すなわち、第2拡散領域33を形成する工程と同一の工程で、第6拡散領域60を形成できる。さらに、
図2Gと同一の工程で、n型不純物領域54、第2ソース領域56および第2ドレイン領域57、ならびに第2ゲート絶縁膜64および第2ゲート電極63を形成できる。
【0101】
以上のように、半導体装置51の構成であっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
また、第2トランジスタ領域12には、第6拡散領域60および第3耐圧保持領域61が形成されている。これにより、エピタキシャル層4の層厚Tに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性を緩和できる。すなわち、製造工程においてエピタキシャル層4の層厚Tにばらつきが発生しても、エピタキシャル層4の層厚Tのばらつきに伴う耐圧の変動幅を、当該層厚Tのばらつきの変動幅よりも小さくできる。その結果、第2トランジスタ領域12においても、ソース・ドレイン間耐圧をより効果的に安定化させることができる。
【0102】
むろん、第2トランジスタ領域12におけるプレーナゲート型のMOSFETを、前述の半導体装置1,32のように、アクティブ領域8内の第2トランジスタ領域12に形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第2トランジスタ領域12において、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の直下の領域にのみ、第6拡散領域60が形成されている例を示しているが、第2ソース側ドリフト領域58および第2ドレイン側ドリフト領域59の直下の領域以外の領域に、高濃度拡散領域(第6拡散領域60)が形成されていてもよい。
【0103】
たとえば、エピタキシャル層4の厚さ方向と直交する方向にチャネル領域62の直下の領域を横切る高濃度拡散領域を形成してもよい。また、このような高濃度拡散領域と、互いに隣り合う各第6拡散領域60とを一体的に連なるように形成してもよい。また、各第6拡散領域60の外周領域9側の各端部から、埋め込み層52の側部52bに向けて延びる引き出し部をさらに設けて、p型ウェル領域53の深さ方向途中部の全域に、p型ウェル領域53と平面視同一形状の高濃度拡散領域を形成するようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、第2拡散領域33および第6拡散領域60(高濃度拡散領域)が比較的に薄く形成されている例について説明したが、このような薄い第2拡散領域33および第6拡散領域60(高濃度拡散領域)を複数の層に亘って形成するようにしてもよい。この場合、最下層に形成される高濃度拡散領域の上部および低部の位置が、第1拡散領域22と、半導体基板3およびエピタキシャル層4の境界面Sとの間の領域に位置してもよい。
【0105】
図7は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置71の模式的な断面図である。
半導体装置71が前述の第3実施形態に係る半導体装置51と相違する点は、第3拡散領域24が、高濃度不純物領域としての第7拡散領域72を含む点である。その他の構成は、前述の半導体装置51と同等の構成である。
図7では、第2トランジスタ領域12の図示を省略するものとし、前述の
図1〜
図6Bに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0106】
第7拡散領域72は、平面視において、第3拡散領域24と同一パターンで形成されている。すなわち、第7拡散領域72は、第3拡散領域24と同一幅の平面視略四角環状に形成されている。より具体的に、第7拡散領域72は、外周領域9側および第1トランジスタ領域11側の各側面が、第3拡散領域24の外周領域9側および第1トランジスタ領域11側の各側面と接した状態を保ちながら平面視略四角環状に形成されている。
【0107】
また、第7拡散領域72は、第3拡散領域24の深さ方向途中部に形成されている。すなわち、第7拡散領域72は、エピタキシャル層4の表面と、第3拡散領域24の底部との間に位置している。第7拡散領域72は、第2拡散領域33と、同一濃度および同一深さで形成されていることが好ましい。この場合、
図4における第2拡散領域33を形成する工程の際に使用するイオン注入マスク29のレイアウトを変更するだけで、第7拡散領域72を形成できる。
【0108】
このように、第3拡散領域24が、高濃度不純物領域としての第7拡散領域72を含む構成にすることにより、エピタキシャル層4よりも高い不純物濃度を有する領域(すなわち、第3および第7拡散領域24,72)をp型ウェル領域10内の広い面積で確保できる。これにより、エピタキシャル層4の層厚Tに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性をより一層緩和できる。また、製造工程においてエピタキシャル層4の層厚Tにばらつきが発生しても、層厚ばらつきに伴う耐圧の変動幅を、当該層厚ばらつきの変動幅よりも、より一層小さくできる。その結果、ソース・ドレイン間耐圧をより一層効果的に安定化させることができる。
【0109】
なお、第7拡散領域72は、第3拡散領域24と同一パターンで形成されていることが好ましいが、必ずしも第3拡散領域24と同一パターンで形成されている必要はない。すなわち、第3拡散領域24の一部分に第7拡散領域72を含む構成であれば、少なからず、エピタキシャル層4の層厚Tに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性の緩和に寄与し得る。
【0110】
図8は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置81の模式的な断面図である。
半導体装置81が前述の第4実施形態に係る半導体装置71と相違する点は、第1拡散領域22が、高濃度不純物領域としての第8拡散領域73を含む点である。その他の構成は、前述の半導体装置71と同等の構成である。
図8では、第2トランジスタ領域12の図示を省略するものとし、前述の
図1〜
図7に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0111】
第8拡散領域73は、平面視において、第1拡散領域22と同一パターンで形成されている。より具体的に、第8拡散領域73は、第1拡散領域22の深さ方向途中部に形成されている。すなわち、第8拡散領域73は、エピタキシャル層4の表面と、第1拡散領域22の底部との間に位置している。第8拡散領域73は、第2拡散領域33および第7拡散領域72と、同一濃度および同一深さで形成されていることが好ましい。この場合、
図4における第2拡散領域33を形成する工程の際に使用するイオン注入マスク29のレイアウトを変更するだけで、第8拡散領域73を形成できる。
【0112】
このような構成であっても、前述の第4実施形態に係る半導体装置71において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
なお、第8拡散領域73は、第1拡散領域22と同一パターンで形成されていることが好ましいが、必ずしも第1拡散領域22と同一パターンで形成されている必要はない。すなわち、第1拡散領域22の一部分に第8拡散領域73を含む構成であれば、少なからず、エピタキシャル層4の層厚Tに対するソース・ドレイン間耐圧の依存性の緩和に寄与し得る。
【0113】
図9は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置91の模式的な断面図である。
半導体装置91が前述の第5実施形態に係る半導体装置81と相違する点は、第2拡散領域33、第7拡散領域72、および第8拡散領域73が、それぞれ第1および第2引き出し部74,75によって、一体的に連なるように形成されている点である。その他の構成は、前述の半導体装置71と同等の構成である。
図9では、第2トランジスタ領域12の図示を省略するものとし、前述の
図1〜
図8に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0114】
図8に示すように、本実施形態におけるp型ウェル領域10には、第2拡散領域33および第7拡散領域72を架設する第1引き出し部74と、第2拡散領域33および第8拡散領域73を架設する第2引き出し部75とが形成されている。第1引き出し部74は、第3拡散領域24およびp型ウェル領域10の境界を横切って第2拡散領域33および第7拡散領域72を架設している。一方、第2引き出し部75は、p型ウェル領域10および第1拡散領域22の境界を横切って、第2拡散領域33および第8拡散領域73を架設している。
【0115】
第1および第2引き出し部74,75は、いずれも高濃度拡散領域として形成されており、第2拡散領域33、第7拡散領域72、および第8拡散領域73と同一濃度および同一深さに形成されている。このような第1および第2引き出し部74,75は、、
図4における第2拡散領域33を形成する工程の際に使用するイオン注入マスク29のレイアウトを変更するだけで、p型ウェル領域10内で一体的に連なる高濃度拡散領域を形成できる。
【0116】
以上のように、半導体装置91によれば、p型ウェル領域10と平面視同形状(本実施形態では、平面視略四角形状)の高濃度拡散領域が一様に形成されている。そのため、前述の第4および第5実施形態における半導体装置71,81の効果をより一層高めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0117】
たとえば、前述の各実施形態において、第1拡散領域22が一対の第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20の両方と間隔を空けて形成されている構成について説明したが、第1拡散領域22が、一方のドリフト領域(第1ソース側ドリフト領域19または第1ドレイン側ドリフト領域20)と接する構成であってもよい。
また、前述の各実施形態における第1トランジスタ領域11は、たとえば、耐圧が35V〜45Vの高耐圧トランジスタ用の領域であってもよい。また、前述の各実施形態において、第2トランジスタ領域12には、キャパシタ、レジスタ等の各種回路素子が形成されていてもよい。
【0118】
また、前述の各実施形態において、エピタキシャル層4の導電型をp型として説明したが、エピタキシャル層4の導電型を反転してn型としてもよい。この場合、エピタキシャル層4の導電型の変更に応じて、その他の領域の導電型も反転すればよい。
また、前述の第2実施形態において、第2拡散領域33が第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一パターンに形成された構成について説明したが、第2拡散領域33は、
図7〜
図9に示すように、第1拡散領域22および/または第3拡散領域24に埋め込まれていてもよい。また、それらの埋め込みを、第1拡散領域22および/または第3拡散領域24の直下の領域に形成して、第1拡散領域22および/または第3拡散領域24と対向するようにしてもよい。また、この場合において、第2拡散領域33は、第1拡散領域22および第3拡散領域24と同一パターンに形成されていてもよい。
【0119】
さらに、第1拡散領域22および第3拡散領域24の直下の領域に形成された第2拡散領域33は、
図9に示すような引き出し部を設けることによって、第1耐圧保持領域23の直下の領域を、エピタキシャル層4の厚さ方向と直交する方向に横切って、第1ソース側ドリフト領域19および第1ドレイン側ドリフト領域20と同一パターンに形成された第2拡散領域33と一体的に連なるように形成されていてもよい。
【0120】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。