(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る杭頭接合構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0036】
図1から
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40について説明するために参照する図である。
【0037】
本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、
図1に示すように、鋼管杭44(基礎杭)の杭頭部44aと、複数の接合部材42と、複数本の補強鉄筋46と、これらの周囲かつ基礎地盤3の上方に打設して形成された、前記
図17における基礎コンクリート8と同様の、略直方体状の(
図1においては、便宜上、基礎コンクリート48の外形の図示を省略)基礎コンクリート48を備えて構成されている。
【0038】
鋼管杭44は、
図1中上下方向に伸びる軸孔44d(
図2参照)を有する円筒状に形成され、その下端部は、基礎地盤3中に深く打ち込んで、岩盤に当たるまで埋め込まれている。また、鋼管杭44上端部の杭頭部44aは、基礎地盤3の上面より高く、その上面から上方に突出している。
【0039】
図2に示すように、複数の接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bの円周方向に互いに間隔をおいて配置されている。そして、
図1に示すように、複数の接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bに対し、接合部材42の幅方向外側の溶接部W1と、接合部材42の開口部42h(
図3(b)、(c)参照)内周側の溶接部W2を溶接することにより一体的に接合されている。
【0040】
接合部材42は、鋼管杭44に溶接可能なSS材,SN材等の鋼材を用いて、例えば鍛造により一体的に形成されている。
【0041】
また、接合部材42は、
図3(a)〜(c)に示すように、平板状の上板部42aと下板部42bを有し、この上板部42aと下板部42bは、杭頭部44aの軸方向と平行方向に間隔を空けて、互いに対向するようにそれぞれ配置されている。
【0042】
そして、上板部42aは、その鋼管杭44側(
図3(b)中左側)の端部が、杭頭部44aの軸方向と平行方向に長さを有する接続板部42cの上端部と連結されるように一体的に形成されている。
【0043】
また、下板部42bは、その鋼管杭44側(
図3(b)中左側)の端部が、杭頭部44aの軸方向と平行方向に長さを有する接続板部42cの下端部と連結されるように一体的に形成されている。
【0044】
このため、接合部材42は、その側面から見た外形形状が略コの字状に形成されている(
図3(b)参照)。
【0045】
また、接合部材42は、
図1に示すように、上板部42a及び下板部42bの上下面が、鋼管杭44の上端面44cに対してそれぞれ略平行で、かつ、鋼管杭44の外周面44bからその径方向外側に突出するようにそれぞれ配置されている。また、上板部42aの上面は、杭頭部44aの上端面44cの高さより下方に配置されている。
【0046】
上板部42aには、補強鉄筋46を杭頭部44aの軸方向と平行方向に緩く挿通させることができるように、
図3(a)中の中央部から右側方向にかけて開口し、その開口形状がU字状のU字開口部42d(通路)が形成されている。
【0047】
また、下板部42bには、
図3(b),(c)に示すように、杭頭部44aの軸方向と平行方向に貫通し、補強鉄筋46の下端部に形成されたオネジ部46a(
図4参照)とネジ締結できるようにメネジが形成された、メネジ孔42eが形成されている。
【0048】
そして、補強鉄筋46が、
図5に示すように、上板部42aのU字開口部42dを挿通し、補強鉄筋46の下端部に形成されたオネジ部46aが、下板部42bのメネジ孔42eにネジ締結されている。
【0049】
また、補強鉄筋46のオネジ部46aは、下板部42bのメネジ孔42eにネジ締結後、そのオネジ部46aの下端部は下板部42bの下面より下方に突出している。そして、そのオネジ部46aの下端部には、下板部42bの下面側からナット部材50がネジ締結されており、ナット部材50の上側の面が下板部42bの下面に当接している。
【0050】
また、
図3(a)に示すように、接続板部42cの鋼管杭44に接合する側(
図3(a)中左側)には、杭頭部44aの外周面44bに沿うような(
図2参照)円弧状の円弧面42fが形成されている。また、接続板部42cの
図3(c)中の左右両側部には、その長さ方向(
図3(c)中の上下方向)全体に渡って、杭頭部44aの外周面44bに溶接をしやすくするための面取開先部42g(
図3(a)参照)が形成されている。
【0051】
また、接続板部42cには、その板面の厚さ方向(
図3(b)中の左右方向)を貫通し、開口形状が矩形形状(
図3(c)参照)の開口部42h(開口部)が形成されている。
【0052】
そして、接合部材42は、その円弧面42fが杭頭部44aの外周面44bに接触(
図2参照)するように配置され、
図1に示すように、面取開先部42g側の溶接部W1、及び開口部42hの内周面の鋼管杭44側の溶接部W2を溶接することにより、鋼管杭44の外周面44bに一体的に接合されている。
【0053】
そして、
図1に示すように、接合部材42に、補強鉄筋46の下端部が接合されることにより、互いの位置決めがなされた補強鉄筋46のそれぞれは、基礎コンクリート48内で鋼管杭44の杭頭部44aの周囲を囲むように互いにその円周方向に間隔を置いて、かつ杭頭部44aの外周面44bより径方向外側に少しずつ離れて配置されている(
図2参照)。
【0054】
また、
図4に示すように、補強鉄筋46の周部のオネジ部46a以外の長さ部分には、その長さ方向に略平行方向及び略垂直方向の2方向に伸びるリブ46bが、その周辺の面から外側に浮き出るように形成されている。このリブ46bを有する補強鉄筋46は異形棒鋼を形成し、その補強鉄筋46はリブ46bが形成されることにより周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。
【0055】
そして、
図1に示すように、基礎コンクリート48は、基礎地盤3上において、鋼管杭44の杭頭部44aと、接合部材42と、補強鉄筋46とをその内部に埋め込むように、これらの周囲に打設されて、前記
図17における基礎コンクリート8と同様の、補強鉄筋46の上端の高さ位置よりも高い位置に上面を有する略直方体状に形成されている。
【0056】
次に、
図6に基づいて、本実施の形態に係る杭頭接合構造40の作用や効果について説明する。
【0057】
本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、
図6に示すように、地震等の外力により補強鉄筋46を上方へ引っ張る引張力T1が生じた場合、補強鉄筋46のオネジ部46aに作用する引張力T1がオネジ部46aに締結されたナット部材50に伝達される。
【0058】
また、ナット部材50は、接合部材42の下板部42bの下面側にその上面が当接するようにオネジ部46aにネジ締結されているため、引張力T1はナット部材50から接合部材42の下板部42bに伝達される。そして、接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bに接合されているため、引張力T1は下板部42bから鋼管杭44に伝達される。
【0059】
したがって、補強鉄筋46のオネジ部46aに作用する引張力T1は、ナット部材50及び接合部材42の下板部42bを介して鋼管杭44に伝達される。
【0060】
また、補強鉄筋46を上方へ引っ張る引張力T1が生じた場合、上板部42aと下板部42bの間に打設され、補強鉄筋46の周りに付着された基礎コンクリート48は、補強鉄筋46との付着抵抗により上方へ引っ張られる。
【0061】
ここで、上板部42aと下板部42bの間に打設された補強鉄筋46の周りの基礎コンクリート48と、補強鉄筋46との付着が切れない付着面積を確保するために、上板部42aと下板部42bの
図6中の上下方向の間隔は所定の長さより長い寸法に設定されている。
【0062】
そして、上方へ引っ張られた基礎コンクリート48は、上板部42aを上方へ押上力F1で押す。ここで、上板部42aは、基礎コンクリート48による押上力F1が作用した際に、上側に折れ曲がって変形することがないような厚さ寸法に形成されている。
【0063】
また、接合部材42は、杭頭部44aの外周面44bに接合されているため、基礎コンクリート48が上板部42aを上方へ押す押上力F1は、上板部42aから鋼管杭44に伝達される。
【0064】
そのため、補強鉄筋46の下端部に形成されたオネジ部46aが、引張力T1までしか引っ張りに耐えることができない場合でも、押上力F1が鋼管杭44に伝達されることにより、鋼管杭44を引張力T1よりも大きい力(引張力T1+押上力F1)で上方へ引っ張ることが可能となる。
【0065】
このように、補強鉄筋46をネジ加工することにより、オネジ部46aの引張耐力が低下した場合にも、鋼管杭44に対する補強強度が小さくならないように、補強鉄筋46の周りの基礎コンクリート48による押上力F1が、補強鉄筋46の補強強度の不足分を補強できるようになっている。
【0066】
したがって、本実施の形態に係る杭頭接合構造40における補強鉄筋46は、高強度材料のネジ節鉄筋を用いなくとも、鋼管杭44に対する補強強度を小さくすることなくネジ加工した普通の鉄筋を用いることが可能となる。そのため、ネジ節鉄筋を用いる場合よりも補強鉄筋46の汎用性を高め、コストを安価にすることができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40における補強鉄筋46は、その下端部が接合部材42にネジ締結により接合されるようになっているため、溶接性の悪い材料であっても高強度の材料を補強鉄筋46として用いることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40における補強鉄筋46は、その材料として高強度の材料を用いることが可能となるため、高強度の材料を用いない場合よりも補強鉄筋46の本数を削減することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、補強鉄筋46の本数を削減することにより、基礎コンクリート48内、かつ鋼管杭44の杭頭部44aの上方に、不図示の互いに直交する基礎梁の梁鉄筋と、補強鉄筋46とが互いに干渉することが少なくなるため、これらを配筋する際の施工性を向上することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、補強鉄筋46の本数を増やすことなく、補強強度の低下を防止することができるため、鋼管杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合部を効果的に補強することができる。
【0071】
したがって、以上に説明したように、本実施の形態に係る杭頭接合構造40によれば、補強鉄筋46にネジ加工が施されていても鋼管杭44の杭頭部44aと基礎コンクリート48の接合部を効果的に補強することができ、高強度材料の補強鉄筋46を用いてもその汎用性を高めることができ、補強鉄筋46の本数を減らして杭頭部44aの上方における配筋の施工性を向上させることができ、さらに、補強鉄筋46を安価に施工することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、面取開先部42g側(
図1の溶接部W1)だけでなく開口部42hの内周面の鋼管杭44側(
図1の溶接部W2)にも溶接することができるので、必要な溶接長、ひいては必要な溶接強度を確保することができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、開口部42hを形成して、必要な溶接長を確保することにより、溶接作業が困難な接合部材42の上板部42aの上面側、及び下板部42bの下面側からの溶接を要しないので、その溶接作業を容易に行なうことができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造40は、接続板部42cには開口部42hが形成されていて、その周りの枠状部を残して肉厚の殆どの部分を開口するように形成されているため、接合部材42の重量を軽くすることができる(
図3(c)参照)。
【0075】
図7及び
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60について説明するために参照する図である。
【0076】
本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、
図7に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42及び補強鉄筋46の代わりに、接合部材62及び補強鉄筋66を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と異なるものである。
【0077】
接合部材62には、
図8(a)に示すように、その上板部62aに、補強鉄筋66を杭頭部44aの軸方向と平行方向に緩く挿通させることができる貫通孔62d(通路)が形成されていて、前記第1の実施の形態における接合部材42の上板部42aにU字開口部42dが形成されていた点とは異なっている。
【0078】
また、接合部材62は、上板部62aの
図8(c)中左右の両端部それぞれにおけるその下面と、接続板部62cの
図8(b)中右側の面との間にかけて、略三角板状の上板リブ62iが形成されている。
【0079】
また、接合部材62は、下板部62bの
図8(c)中左右の両端部それぞれにおけるその上面と、接続板部62cの
図8(b)中右側の面との間にかけても、略三角板状の下板リブ62jが形成されている。
【0080】
また、補強鉄筋66は、
図7に示すように、その上端部にオネジ部が形成されており、そのオネジ部にナット部材51がネジ締結されている点において、前記第1の実施の形態における補強鉄筋46とは異なっている。
【0081】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様であり、
図8(a)に示すように、接続板部62cの鋼管杭44に接合する側(
図8(a)中左側)には、杭頭部44aの外周面44bに沿うような円弧状の円弧面62fが形成されている。また、接続板部62cの
図8(c)中の左右両側部には、その長さ方向(
図8(c)中の上下方向)全体に渡って、杭頭部44aの外周面44bに溶接をしやすくするための面取開先部62g(
図8(a)参照)が形成されている。
【0082】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造60によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、接合部材62に上板リブ62iが形成されることにより、地震等の外力により基礎コンクリート48による押上力F1(
図6参照)が上板部62aに作用した際に、上板部62aがその根元部等から
図7中上方向に折れ曲がり難いように補強することができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、接合部材62に下板リブ62jが形成されることにより、地震等の外力により引張力T1(
図6参照)が下板部62bに作用した際に、下板部62bがその根元部等から
図7中上方向に折れ曲がり難いように補強することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造60は、補強鉄筋66上端部のオネジ部にナット部材51がネジ締結されているため、ナット部材51がネジ締結されていない場合よりも補強鉄筋66とその周囲の基礎コンクリート48との定着力を向上させることができる。
【0086】
図9及び
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る杭頭接合構造70について説明するために参照する図である。
【0087】
本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、前記第1の実施の形態における接合部材42及び補強鉄筋46の代わりに、
図9に示すように、接合部材72及び補強鉄筋76を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と異なるものである。
【0088】
すなわち、接合部材72は、上板部72aの
図10(c)中左右の両端部それぞれにおけるその上面と、接続板部72cの
図10(b)中右側の面との間にかけて、略三角板状の上板リブ72iが形成されている。
【0089】
また、接合部材72は、下板部72bの
図10(c)中左右の両端部それぞれにおけるその下面と、接続板部72cの
図10(b)中右側の面との間にかけても、略三角板状の下板リブ72jが形成されている。
【0090】
また、接合部材72は、接続板部72cの
図10(b)中右側の面の、接続板部72cの長さ方向略中央部において、
図10(b)中右側方向に突出するように形成された、鉛直断面が略三角形状の突起部72kが形成されている。
【0091】
また、接合部材72は、接続板部72cの板面の厚さ方向を貫通し(
図10(b)参照)、形状が矩形の開口部72hが、接続板部72cの長さ方向に別々に2つ(
図10(c)参照)形成されている。
【0092】
また、
図9に示すように、補強鉄筋76の上端部が杭頭部44aの径方向外側に折り曲げられている点においても、前記第1の実施の形態における補強鉄筋46とは異なっている。
【0093】
また、接合部材72の下板部72bには、補強鉄筋76のオネジ部76aを緩く挿通させることができ、メネジ加工が施されていない貫通孔72eが形成されている(
図10参照)。そして、
図9に示すように、補強鉄筋76のオネジ部76aの、下板部72bの上面側と下面側の両側において、2つのナット部材50がネジ締結されている。
【0094】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様であり、
図10(a)に示すように、接続板部72cの鋼管杭44に接合する側(
図10(a)中左側)には、杭頭部44aの外周面44bに沿うような円弧状の円弧面72fが形成されている。また、接続板部72cの
図10(c)中の左右両側部には、その長さ方向(
図10(c)中の上下方向)全体に渡って、杭頭部44aの外周面44bに溶接をしやすくするための面取開先部72g(
図10(a)参照)が形成されている。
【0095】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造70によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0096】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、接合部材72に上板リブ72iが形成されることにより、地震等の外力により基礎コンクリート48による押上力F1(
図6参照)が上板部72aに作用した際に、上板部72aがその根元部等から
図9中上方向に折れ曲がり難いように補強することができる。
【0097】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、上板リブ72iが上板部72aの上面側に形成されているため、基礎コンクリート48を打設する際に、上板リブ72iが上板部72aと下板部72bの間の空間に基礎コンクリート48が回り込むことを阻害することがないようにすることができる。
【0098】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、接合部材72に下板リブ72jが形成されることにより、地震等の外力により引張力T1(
図6参照)が下板部72bに作用した際に、下板部72bがその根元部等から
図9中上方向に折れ曲がり難いように補強することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、下板リブ72jが下板部72bの下面側に形成されているため、基礎コンクリート48を打設する際に、下板リブ72jが上板部72aと下板部72bの間の空間に基礎コンクリート48が回り込むことを阻害することがないようにすることができる。
【0100】
また、接合部材72の接続板部72cに突起部72kが形成されることにより、下板部72bから突起部72kまでの基礎コンクリート48が、補強鉄筋76との付着抵抗により上方へ引っ張られる力が突起部72kに伝達される。
【0101】
そのため、地震等の外力により基礎コンクリート48による押上力F1(
図6参照)を全て上板部72aが負担することがなくなり、基礎コンクリート48が突起部72kを上方へ押す力により上板部72aにかかる負荷が軽減される。
【0102】
したがって、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、上板部72aにかかる負荷を軽減することにより、上板部72aが基礎コンクリート48により上方へ押された際に、その上板部72aが折れ曲がって変形することを防止することができる。
【0103】
また、接合部材72は、開口部72hが、接続板部72cの長さ方向に2つ(
図10(c)参照)形成されているため、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40のように、1つのみ形成されている場合と比較して、開口部72hの辺の長さ寸法の合計が大きくなる。
【0104】
そのため、本実施の形態に係る杭頭接合構造70は、開口部72hの辺の長さ寸法の合計が大きくなることにより、開口部72hの内周面を鋼管杭44側(
図9の溶接部W2)に溶接するときの溶接長の長さ寸法の合計を大きくすることができる。
【0105】
また、補強鉄筋76は、その上端部が杭頭部44aの径方向外側に折り曲げられているため、その上端部が折り曲げられていない場合よりも補強鉄筋76とその周囲の基礎コンクリート48との定着力を向上させることができる。
【0106】
図11及び
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る杭頭接合構造80について説明するために参照する図である。
【0107】
本実施の形態に係る杭頭接合構造80は、
図11に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42の代わりに、接合部材82を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と異なるものである。
【0108】
接合部材82は、
図12(b),(c)に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42の接続板部42cの長さ方向の中央部分を除去して、接合部材42が上板部42aを有する部分と、下板部42bを有する部分の2つの部分に分離され、上側接合部材82lと下側接合部材82mの2つの部品により構成されている。
【0109】
そのため、接合部材82は、上板部82aを有する略L字状の上側接合部材82lと、下板部82bを有する略L字状の下側接合部材82mの2つの互いに分離された部材から構成されている点において、前記第1の実施の形態における接合部材42とは異なっている。
【0110】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様であり、
図12(a)に示すように、分離された2つの接続板部82cの鋼管杭44に接合する側(
図12(a)中左側)には、杭頭部44aの外周面44bに沿うような円弧状の円弧面82fがそれぞれ形成されている。また、分離された2つの接続板部82cの
図12(c)中の左右両側部には、
図12(c)中の上下方向全体に渡って、杭頭部44aの外周面44bに溶接をしやすくするための面取開先部82g(
図12(a)参照)がそれぞれ形成されている。
【0111】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造80によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0112】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造80は、接合部材82が上側接合部材82lと下側接合部材82mの2つの分離した部材を有するため、これらを杭頭部44aの外周面44bに溶接する際に、上板部82aと下板部82bの上下方向の間隔を容易に大きくすることができる。
【0113】
したがって、補強鉄筋46と、その周りの基礎コンクリート48とを付着させる力が不足して、それらの間の付着が切れることがない(力学的連結が失われない)ように、上板部82aと下板部82bの上下方向の間隔の長さ寸法を容易に大きくして、補強鉄筋46と基礎コンクリート48との付着力(力学的連結力)を大きくすることができる。このため、基礎コンクリート48が上板部82aを上方へ押す押上力F1(
図6参照)が失われる事態が発生することを防止することができる。
【0114】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造80は、上側接合部材82lと下側接合部材82mを上下方向に連結する部材がないため、上板部82aと下板部82bの間隔の長さ寸法を大きくした場合でも接合部材82の重量が増加するのを防止することができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造80は、
図12に示す接合部材82の面取開先部82g側(
図11の溶接部W1)だけでなく、上側接合部材82lの下端部の鋼管杭44側(
図11の溶接部W2)及び下側接合部材82mの上端部の鋼管杭44側(
図11の溶接部W2)にも溶接することにより必要な溶接長を確保することができる。
【0116】
図13は、本発明の第5の実施の形態に係る杭頭接合構造90について説明するために参照する図である。
【0117】
本実施の形態に係る杭頭接合構造90は、
図13に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42及びナット部材50の代わりに、接合部材92を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と異なるものである。
【0118】
接合部材92は、
図13に示すように、前記第1の実施の形態における接合部材42の、メネジ孔42eが形成された下板部42bの代わりに、メネジ孔92eが形成された下板部92bを有する点において、前記第1の実施の形態における接合部材42と異なるものである。
【0119】
接合部材92の下板部92bは、所定の厚さt(
図13参照)を有している。また、接合部材92の下板部92bの厚さ方向を貫通するメネジ孔92eも、下板部92bの厚さtと同じ長さ寸法を有するように形成されている。ここで、所定の厚さtは、補強鉄筋46のオネジ部46aの直径D(
図13参照)の2/3倍以上の長さ寸法を有していることが望ましい。
【0120】
そして、補強鉄筋46は、
図13に示すように、その下端部に形成されたオネジ部46aが、下板部92bのメネジ孔92eにネジ締結されている。上板部92aとU字開口部92dは、前記第1の実施の形態における接合部材42の上板部42aとU字開口部42dと同様である。
【0121】
また、補強鉄筋46のオネジ部46aは、下板部92bのメネジ孔92eにネジ締結後、そのオネジ部46aの下端部は下板部92bの下面より下方に突出しているが、前記第1の実施の形態とは異なり、その下方に突出したオネジ部46aの下端部にはナット部材50がネジ締結されてはいない。
【0122】
下板部92bの板厚を、上記のようにオネジ部46aの直径Dの2/3倍以上に設定するのが望ましい理由は、下板部92bの板厚を厚くすることにより、メネジ孔92eに形成されるネジ山の数を多くし、オネジ部46aとメネジ孔92eの互いにかみ合うネジ山の数を多くするためである。
【0123】
そして、補強鉄筋46を上方へ引っ張る引張力T1が生じた場合(
図6参照)には、オネジ部46aとメネジ孔92eの互いにかみ合うネジ山の数が多くなった分、1つのネジ山の負担する力が小さくなり、オネジ部46aとメネジ孔92eのネジ山がせん断破壊することを防止することができる。
【0124】
すなわち、本実施の形態における接合部材92は、補強鉄筋46のオネジ部46aにナット部材50をネジ締結しなくても、その下板部92bのメネジ孔92eと、補強鉄筋46のオネジ部46aとの間に十分なネジ締結強度を持たせることができるように、その下板部92bが所定の厚さtを有している。
【0125】
このため、本実施の形態における接合部材92は、補強鉄筋46のオネジ部46aにナット部材50がネジ締結されていなくても、補強鉄筋46が接合部材92の下板部92bから抜け出てしまうのを防止することができる。
【0126】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造90によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0127】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造90は、補強鉄筋46のオネジ部46aにナット部材50をネジ締結させる必要がないので、部品点数を減らすことができると共に、補強鉄筋46を安価に施工することができる。
【0128】
図14は、本発明の第6の実施の形態に係る杭頭接合構造100について説明するために参照する図である。
【0129】
本実施の形態に係る杭頭接合構造100は、前記第5の実施の形態における接合部材92の代わりに、
図14に示すような接合部材102を備えている点において、前記第5の実施の形態に係る杭頭接合構造90と異なるものである。
【0130】
本実施の形態における接合部材102は、その構成が前記第5の実施の形態における接合部材92と同様であるが、
図14に示すように、鋼管杭44の杭頭部44aの外周面44bから、同図中一点鎖線で示す補強鉄筋46の中心までの長さ寸法Lが所定の長さになるように、その上板部102a、下板部102b、接続板部102c、U字開口部102d及びメネジ孔102eのそれぞれの形状が形成されている。
【0131】
本実施の形態に係る杭頭接合構造100は、上記長さ寸法Lが、補強鉄筋46のリブ46bを除いた外径寸法をD1とした場合に、この外径寸法D1の0.5倍よりも大きく、外径寸法D1の1倍よりも小さい長さを有している。特に、上記長さ寸法Lは、上記外径寸法D1の0.65倍から0.7倍までの長さを有することが望ましい。
【0132】
ただし、実際に杭頭接合構造100を施工する際に、上記長さ寸法Lを、外径寸法D1の略0.5倍に設定すると、メネジ孔102eにネジ山を形成することができなくなるため、上記長さ寸法Lの下限値は、上記外径寸法D1の0.65倍から0.7倍までの長さとなることが望ましい。
【0133】
杭頭接合構造100は、上記長さ寸法Lを上述した所定範囲内にすることにより、
図6に示すように、地震等の外力により補強鉄筋46を上方へ引っ張る引張力T1が生じた場合に、鋼管杭44に大きな曲げモーメントが作用し鋼管杭44が変形してしまうことを防止することができる。
【0134】
すなわち、上記長さ寸法Lが大きい場合には、接合部材102の下板部102bに引張力T1が作用することにより、鋼管杭44に作用する曲げモーメントは大きくなるが、上記長さ寸法Lを小さくすることにより、その曲げモーメントを小さくすることができる。
【0135】
同様に、上記長さ寸法Lが大きい場合には、接合部材102の上板部102aに押上力F1が作用することにより、鋼管杭44に作用する曲げモーメントは大きくなるが、上記長さ寸法Lを小さくすることにより、その曲げモーメントを小さくすることができる。
【0136】
このように、上記長さ寸法Lを小さくすることにより、接合部材102が固定された鋼管杭44に大きな曲げモーメントが作用し、鋼管杭44が変形してしまうこと(面外変形)を防止することができる。
【0137】
また、上記長さ寸法Lが大きい場合には、鋼管杭44が変形することがないように、鋼管杭44の剛性を高くする必要があるが、上記長さ寸法Lが小さい場合には、鋼管杭44の剛性を高くする必要がないため、鋼管杭44の重量化や高価格化を防止することができる。
【0138】
また、上記長さ寸法Lが大きい場合には、接合部材102の下板部102bが、引張力T1により上方へ曲がることがないように、下板部102bの板厚を大きくする必要がある。同様に、上記長さ寸法Lが大きい場合には、接合部材102の上板部102aが、押上力F1により上方へ曲がることがないように、やはり上板部102aの板厚を大きくする必要がある。
【0139】
しかしながら、上記長さ寸法Lを小さくすることにより、接合部材102の上板部102a及び下板部102bのそれぞれに作用する曲げモーメントが小さくなるため、上板部102a及び下板部102bが折れ曲がることを防止することができる。
【0140】
したがって、上記長さ寸法Lを小さくすることにより、上板部102a及び下板部102bが折れ曲がらないように、これらの板厚を大きくする必要がなくなるため、接合部材102の重量化や大型化を防止することができる。
【0141】
このような本実施の形態に係る杭頭接合構造100によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0142】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造100は、上記長さ寸法Lを上述した所定範囲内にすることにより、鋼管杭44に大きな曲げモーメントが作用し鋼管杭44が変形してしまうこと(面外変形)を防止することができる。
【0143】
また、本実施の形態に係る杭頭接合構造100は、上記長さ寸法Lを上述した所定範囲内にすることにより、鋼管杭44及び接合部材102の重量化や大型化を防止することができる。
【0144】
図15は、本発明の第7の実施の形態に係る杭頭接合構造について説明するために参照する図である。
【0145】
本実施の形態に係る杭頭接合構造は、
図3に示す前記第1の実施の形態における接合部材42の代わりに、
図15(a)から(c)に示すような、接合部材112を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と異なるものである。
【0146】
本実施の形態における接合部材112は、その接続板部112cに前記第1の実施の形態における開口部42hが形成されていない点と、その接続板部112cに複数の突起部112kが形成されている点において、前記第1の実施の形態における接合部材42と異なるものである。
【0147】
接合部材112は、接続板部112cの
図15(b)中右側の面の、接続板部112cの長さ方向に互いに間隔をおいて配置され、
図15(b)中右側方向に突出するように形成された、鉛直断面が略三角形状の突起部112kが複数形成されている。
【0148】
接合部材112は、その接続板部112cに突起部112kが形成されることにより、突起部112kが形成された周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。また、接合部材112は、複数の突起部112kが形成されることにより、1つの突起部112kが形成される場合に比べて、周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。
【0149】
このように、接合部材112と基礎コンクリート48との付着力を高めることにより、基礎コンクリート48が補強鉄筋46との付着抵抗により上方へ引っ張られる力を、効率的に鋼管杭44に伝達することが可能となる。
【0150】
また、基礎コンクリート48が補強鉄筋46との付着抵抗により上方へ引っ張られる力が発生した場合には、突起部112kが1つだけ形成される場合よりも数が多く形成されていた方が、1つの突起部112kが負担する力が小さくなるため、突起部112kがせん断破壊することを防止することができる。
【0151】
また、接合部材112の接続板部112cに複数の突起部112kが形成されることにより、接合部材112の下板部112bから上板部112aまでの間の基礎コンクリート48が、補強鉄筋46との付着抵抗により上方へ引っ張られる力は、上板部112aに全てが伝達されるのではなく、その一部が複数の突起部112kにも伝達される。
【0152】
すなわち、地震等の外力により基礎コンクリート48による押上力F1(
図6参照)を全て上板部112aが負担することを防止でき、基礎コンクリート48が突起部112kを上方に押す力により、上板部112aにかかる負荷が軽減される。
【0153】
このため、接合部材112は、その上板部112aの厚さ寸法を、突起部112kが形成されていない場合よりも小さくできるので、接合部材112の重量化、高額化を防止することができる。
【0154】
このような本発明の第7の実施の形態に係る杭頭接合構造によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0155】
また、本発明の第7の実施の形態に係る杭頭接合構造は、複数の突起部112kが形成されることにより、上板部112aにかかる負荷が軽減されると共に、接合部材112の重量化、高額化を防止することができる。
【0156】
図16は、本発明の第8の実施の形態に係る杭頭接合構造について説明するために参照する図である。
【0157】
本実施の形態に係る杭頭接合構造は、
図8に示す前記第2の実施の形態における接合部材62の代わりに、
図16(a)から(c)に示すような、接合部材122を備えている点において、前記第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60と異なるものである。
【0158】
本実施の形態における接合部材122は、その接続板部122cの開口部122hに複数の突起部122kが形成され、上板リブ122i及び下板リブ122jに複数の突起部122mが形成されている点において、前記第2の実施の形態における接合部材62と異なるものである。
【0159】
接合部材122は、接続板部122cの開口部122hの内周面を構成する
図16(c)中左右両側の面それぞれに、接続板部122cの長さ方向(同図中上下方向)に互いに間隔をおいて配置され、上記
図16(c)中開口部122hの左右両側の面に対して垂直方向に突出するように形成された、鉛直断面が略三角形状の複数の突起部122kが形成されている。
【0160】
また、接合部材122は、上板リブ122i及び下板リブ122jにおける、
図16(c)中、開口部122h側の面(補強鉄筋66に対向する面)それぞれにも、接続板部122cの長さ方向(同図中上下方向)及び、接続板部122cの板厚方向(
図16(b)中左右方向)に互いに間隔をおいて、
図16(c)中左右方向に垂直に突出するように、鉛直断面が略三角形状の複数の突起部122mが形成されている。
【0161】
接合部材122は、その接続板部122cに突起部122kが形成されることにより、突起部122kの周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。また、接合部材122は、複数の突起部122kが形成されることにより、1つの突起部122kが形成される場合に比べて、周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。
【0162】
接合部材122は、その上板リブ122i及び下板リブ122jに突起部122mが形成されることにより、突起部122mの周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。また、接合部材122は、複数の突起部122mが形成されることにより、1つの突起部122mが形成される場合に比べて、周囲の基礎コンクリート48との付着力を向上させることができる。
【0163】
このように、接合部材122と基礎コンクリート48との付着力を高めることにより、基礎コンクリート48が補強鉄筋66との付着抵抗により上方へ引っ張られる力を、効率的に鋼管杭44に伝達することが可能となる。
【0164】
また、接合部材122の接続板部122cに上記複数の突起部122kが形成されることにより、接合部材122の下板部122bから上板部122aまでの間の基礎コンクリート48が、補強鉄筋66との付着抵抗により上方へ引っ張られる力の一部が、複数の突起部122kにも伝達される。
【0165】
また、接合部材122の上板リブ122i及び下板リブ122jに上記複数の突起部122mが形成されることにより、接合部材122の下板部122bから上板部122aまでの間の基礎コンクリート48が、補強鉄筋66との付着抵抗により上方へ引っ張られる力が、複数の突起部122mにも伝達される。
【0166】
すなわち、地震等の外力により基礎コンクリート48による押上力F1(
図6参照)を全て上板部122aが負担することを防止でき、基礎コンクリート48が突起部122k、122mを上方に押す力により、上板部122aにかかる負荷が軽減される。
【0167】
このため、接合部材122は、その上板部122aの厚さ寸法を、突起部122k、122mが形成されていない場合よりも小さくできるので、接合部材122の重量化、高額化を防止することができる。
【0168】
このような本発明の第8の実施の形態に係る杭頭接合構造によっても、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40と同様の効果を得ることができる。
【0169】
また、本発明の第8の実施の形態に係る杭頭接合構造は、複数の突起部122k、122mが形成されることにより、上板部122aにかかる負荷が軽減されると共に、接合部材122の重量化、高額化を防止することができる。
【0170】
なお、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
【0171】
例えば、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、基礎杭として鋼管杭44が用いられていたが、本発明における基礎杭としては鋼管杭44に限定する必要はなく、例えば、鋼管の中にコンクリートを注入して遠心締固めにより製造されたSC杭(外殻鋼管付コンクリート杭)等の他の種類の杭を用いても構わない。
【0172】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、
図2に示すように、杭頭部44aの外周面44bに8個の接合部材42が接合されていたが、8個に限る必要はなく、杭頭部44aの外周面44bに2個以上7個以下又は9個以上の接合部材42が接合されるようにしてもよい。
【0173】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、1つの接合部材42に1本の補強鉄筋46が接合されるようになっていたが、1つの接合部材42に2本以上の補強鉄筋46が接合されるように構成されていてもよい。このように、1つの接合部材42に2本以上の補強鉄筋が接合されることにより、接合部材42の部品点数を削減することが可能となる。
【0174】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、
図3(a)に示すように、U字開口部42dが同図中右側方向に開口するように形成されていたが、他の形態で開口されていてもよい。
【0175】
また、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、
図3(b)に示すように、接合部材42の側面の外形形状が略コの字になるように形成されており、前記第4の実施の形態に係る杭頭接合構造80においては、
図12(b)に示すように、上側接合部材82lと下側接合部材82mの側面の外形形状がそれぞれ略L字状になるように形成されていたが、このような形状に限定されない。したがって、接合部材の外形形状は、上板部と下板部が杭頭部44aの軸方向と平行方向に間隔を空けて互いに対向するように配置される構成であれば、他の形状に形成されていてもよい。
【0176】
また、前記第3の実施の形態に係る杭頭接合構造70においては、
図10に示すように、上板部72aの上面側に上板リブ72iが形成され、下板部72bの下面側に下板リブ72jが形成されていたが、上板部72aの下面側及び下板部72bの上面側にも、それぞれ前記第2の実施の形態に係る杭頭接合構造60の上板リブ62i及び下板リブ62jと同様な補強用のリブが形成されていてもよい。
【0177】
さらに、前記第1の実施の形態に係る杭頭接合構造40においては、例えば接合部材42が鍛造により一体的に形成されていたが、鋳造等の他の方法で一体的に形成されていてもよく、或は溶接等により各部を接合する方法で形成されていてもよい。
【0178】
また、前記第3の実施の形態に係る杭頭接合構造70においては、
図10(b)に示すように、接合部材72の接続板部72cの長さ方向略中央部に、その鉛直断面が略三角形状の突起部72kが形成されていたが、補強鉄筋の周囲の基礎コンクリートと接合部材の定着力を向上させることができればこのような位置や形状に限定されない。この点、前記第7、第8の実施の形態に係る杭頭接合構造においても同様とする。
【0179】
例えば、その鉛直断面が半円状や楕円状の突起部であったり、その長さ方向に直線状に伸びるのではなく湾曲した波状に伸びる突起部であったりしてもよい。
【0180】
また、前記第8の実施の形態に係る杭頭接合構造においては、
図16に示すように、接合部材122に、複数の突起部122k、及び突起部122mがそれぞれ形成されていたが、突起部122k及び突起部122mのいずれか一方だけが形成されていてもよい。
【0181】
また、前記第1から第8の実施の形態に係る杭頭接合構造40等のそれぞれの構成を適宜組み合わせることにより、これらの杭頭接合構造の構成とは異なるよう構成されるようになっていてもよい。