【実施例】
【0045】
(測定方法)
総ポリフェノール含量の測定に際しては、Folin-Ciocalteu法を用いた。これは、フォーリン試薬(フェノール試薬)がフェノール性水酸基により還元されて呈色することを利用する方法である。また、オレウロペイン含量の測定に際しては、HPLC分析を行った。これは、所謂高速液体クロマトグラフィー法であり、固定相と移動相とからなる系の中、特定の物質を分離する方法である。
【0046】
抗酸化力の測定に際しては、ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity, 活性酸素吸収能力)を調べた(参考文献=Wu, X. et al., J.Agric.Food Chem.,m 2004, 52, 4026-4037。1μmolのTroloxが示す活性を単位とした)。
【0047】
紫外線吸収力の測定に際しては、分光光度計を用いて、吸収スペクトルを測定した。各紫外線領域(UV-A波:320-400nm、UV-B波:290-320nm)の吸収スペクトルの面積を測定し、紫外線吸収力とした。
【0048】
〔オリーヴ枝エキス〕
(抽出溶媒)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として水、10%1,3-ブチレングリコール(BG)、30%BG、50%BG、80%BG、10%エタノール(EtOH)、30%EtOH、50%EtOHおよび100%EtOHを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表1および
図1に示した。
【0049】
その結果、抽出溶媒として水、1,3-ブチレングリコールおよびエタノールのいずれを用いた場合でも、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。また、抽出溶媒として1,3-ブチレングリコールまたはエタノールを用いる場合には、10%〜50%の1,3-ブチレングリコールまたはエタノールを用いたときに総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力がより高かった。
【0050】
【表1】
【0051】
(オリーヴ枝の品種)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)、ルッカ(Lucca)、ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)およびマンザニロ(Manzanillo)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を測定し、
図2に示した。
【0052】
その結果、ミッション(Mission)、ルッカ(Lucca)、ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)およびマンザニロ(Manzanillo)のいずれの品種についても、総ポリフェノール含量が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0053】
(抽出温度)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度を30℃〜100℃の範囲で段階的に変えて、3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、熱量(cal)当たりの総ポリフェノール量(mg/熱量cal)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表2および
図3に示した。
【0054】
その結果、抽出温度が70℃以上のとき、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。また、抽出温度が80℃以上、好ましくは90℃以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力がより高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0055】
【表2】
【0056】
(抽出時間)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で抽出した。抽出時間は、0.5時間、1時間、2時間、3時間および5時間とした。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、抽出時間当たりの総ポリフェノール量(mg/時間)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表3および
図4に示した。
【0057】
その結果、抽出時間が長いほど総ポリフェノール含量および紫外線吸収力は高くなるが、抽出時間あたりの総ポリフェノール量は少なくなることが分かった。
【0058】
【表3】
【0059】
(添加枝量)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して5、10、20、30、40または44重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、添加枝量(g)当たりの総ポリフェノール量(mg/添加枝g)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表4および
図5に示した。
【0060】
その結果、添加枝量が30重量%以上のとき、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0061】
【表4】
【0062】
(抽出条件の比較)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いて、2種類の抽出条件にてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。抽出条件1(比較例)では、オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、50〜60℃で3時間抽出した。抽出条件2(実施例)では、オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して30重量%添加し、80〜90℃で2時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、オレウロペイン含量(mg/100g)、紫外線吸収力および抗酸化力を測定し、表5に示した。
【0063】
その結果、抽出条件1と比較して、抽出条件2では、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量、紫外線吸収力および抗酸化力が顕著に高いオリーヴ枝エキスが得られることが示された。
【0064】
【表5】
【0065】
〔オリーヴ樹皮エキス〕
(抽出溶媒)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として水、30%1,3-ブチレングリコール(BG)および50%エタノール(EtOH)を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)を測定し、表6に示した。
【0066】
その結果、抽出溶媒として水、1,3-ブチレングリコールおよびエタノールのいずれを用いた場合でも、総ポリフェノール含量が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0067】
【表6】
【0068】
(添加樹皮量)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコール(BG)を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して5、10、20または30重量%添加し、抽出温度50〜60℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、添加樹皮量(g)当たりの総ポリフェノール量(mg/添加樹皮g)および紫外線吸収力を測定し、表7に示した。
【0069】
その結果、添加樹皮量が20重量%以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0070】
【表7】
【0071】
(抽出温度)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度を40〜90℃の範囲で段階的に変えて、5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、熱量(cal)当たりの総ポリフェノール量(mg/熱量cal)および紫外線吸収力を測定し、表8に示した。
【0072】
その結果、抽出温度が70℃以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0073】
【表8】
【0074】
(抽出時間)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で抽出した。抽出時間は、0.5時間、1時間、2時間、3時間および5時間とした。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、抽出時間当たりの総ポリフェノール量(mg/時間)および紫外線吸収力を測定し、表9に示した。
【0075】
その結果、抽出時間が長いほど総ポリフェノール含量および紫外線吸収力は高くなるが、抽出時間あたりの総ポリフェノール量は少なくなることが分かった。
【0076】
【表9】
【0077】
(最適条件での抽出溶媒の比較)
以上の結果から導き出した最適条件にて、オリーヴ樹皮から各種の抽出溶媒を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。抽出溶媒には、水、30%1,3-ブチレングリコールおよび50%エタノールを用いた。抽出温度は70〜80℃とし、抽出時間は5時間とし、樹皮の添加量は抽出溶媒に対して20重量%とした。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表10に示した。
【0078】
その結果、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いたときに総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が最も高かった。
【0079】
【表10】
【0080】
(抽出条件の比較)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いて、2種類の抽出条件にてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。抽出条件3(比較例)では、オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、50〜60℃で5時間抽出した。抽出条件4(実施例)では、オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して20重量%添加し、70〜80℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの抗酸化力を測定し、表11に示した。
【0081】
その結果、抽出条件3と比較して、抽出条件4では、抗酸化力が顕著に高いオリーヴ樹皮エキスが得られることが示された。
【0082】
【表11】
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。