特許第6381076号(P6381076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381076
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】紫外線遮断剤および化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20180820BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 36/36 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20180820BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61Q17/04
   A61K36/36
   A61P17/16
   A23L33/105
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-234470(P2015-234470)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-100983(P2017-100983A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】502106462
【氏名又は名称】小豆島ヘルシーランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳生 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】岸本 憲人
(72)【発明者】
【氏名】岩田 佳奈
【審査官】 森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−128765(JP,A)
【文献】 特開2012−201850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0243709(US,A1)
【文献】 特開2002−332238(JP,A)
【文献】 特開2011−026216(JP,A)
【文献】 特表2005−532398(JP,A)
【文献】 ザ・UVプロテクター ジ・オリーブオイルシリーズ ザ・UVプロテクターの全成分と成分分析結果,2015年 9月30日,検索日 2019.04.23,URL,https://web.archive.org/web/20150930003440/http://www.bihada-mania.jp/cosme/25538
【文献】 PEREZ-BONILLA M. et al.,Isolation and identification of radical scavengers in olive tree (Olea europaea) wood.,J. Chromatogr. A.,2006年 4月21日,Vol.1112, No.1-2,pp.311-318,Epub 2006.01.19
【文献】 FKI I. et al.,The use of polyphenolic extract, purified hydroxytyrosol and 3,4-dihydroxyphenyl acetic acid from olive mill wastewater for the stabilization of refined oils: a potential alternative to synthetic antioxidants,Food Chemistry,2005年,Vol.93,pp.197-204
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 17/04
A61K 36/00
A61P 17/00,39/00
A23L 29/00,33/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線遮断剤に用いるためのオリーヴの枝のエキスであって、
前記オリーヴの枝のエキスは、オリーヴ樹皮のみから抽出されたものであるエキス。
【請求項2】
請求項1に記載のエキスの製造方法であって、
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、水および/またはアルコールを含む抽出溶媒を用いて抽出する工程を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮断剤および化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、波長10〜400nmの不可視光線の電磁波であり、様々な化学的な作用を及ぼす。特に、波長約380〜200nmの近紫外線は、人の健康および環境への影響の観点から、UV-A(320〜400nm)、UV-B(290〜320nm)およびUV-C(200〜290nm)に分けられる。太陽光に含まれるUV-AおよびUV-Bはオゾン層を通過し、地表に到達する。UV-Aは皮膚の真皮層に到達してタンパク質を変性させ、皮膚の弾性を失わせて老化を促進することが知られている。UV-Bは、皮膚の表皮層に作用し、色素細胞にメラニンを生成させ、日焼けの原因となることが知られている。また、紫外線は、皮膚がんなどの疾患の原因にもなる。
【0003】
これらの紫外線による影響を抑制するため、紫外線遮断作用を有する様々な物質が開示されている。たとえば、特許文献1には、太陽光に含まれる不可視波長領域の紫外線を吸収抑制し得る茶ポリフェノールを固着した繊維または繊維構造体が記載されている。
【0004】
ところで、オリーヴは、地中海沿岸を原産地とするモクセイ科の植物であり、古くから食用および搾油用として栽培されている植物である。12月頃の熟したオリーヴ果実は15〜30%程度の油分を含み、この時期のオリーヴ果実からオリーヴ油が搾油される。こうして得られるオリーヴ果実およびオリーヴ油には、動脈硬化、胃潰瘍、便秘の軽減、骨の強化、老化の防止および美肌作用等、様々な優れた効果があることが知られている。
【0005】
また、オリーヴ葉は、オリーヴ果実に比して遥かに高い含有率でビタミンAを有し、また、酸化防止剤であるビタミンEならびに抗炎症作用、消臭および抗菌作用を有するクロロフィル等を豊富に含んでいることが知られている。
【0006】
さらに、オリーヴの実や葉はポリフェノールを含有しており、その健康増進作用等についても注目されている。特に、オリーヴ葉に含まれるポリフェノールの一種であるオレウロペインは、非常に高い抗酸化力を有し、各種疾病の予防および改善の効果が確認されている。
【0007】
そして、オリーヴ葉エキスを抽出する方法として、たとえば特許文献2には、オリーヴ葉を乾燥し、粉砕した後、水、クエン酸を含有する水、あるいはペプチドを含有する水を抽出媒体として抽出することによりオレウロペインを含むオリーヴ葉抽出エキスを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-336064号公報
【特許文献2】特開2011-125301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高い紫外線遮断作用を有する新たな紫外線遮断剤および化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、オリーヴの枝から抽出したエキスが、紫外線、特にUV-AおよびUV-Bを吸収する高い効果を有しており、高い紫外線吸収作用があることを見出した。本発明者らは、この知見に基づき本発明を完成させた。
【0011】
本発明は、オリーヴの枝のエキスを含む、紫外線遮断剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記紫外線遮断剤において、紫外線遮断剤100g当たりの総ポリフェノール含量が100mg以上である、紫外線遮断剤を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記紫外線遮断剤において、オリーヴの枝がオリーヴの樹皮である、紫外線遮断剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、化粧料の形態である、上記紫外線遮断剤を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い紫外線遮断作用を有する紫外線遮断剤および化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】種々の抽出溶媒を用いて抽出したオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を示すグラフ。
図2】種々のオリーヴ枝の品種から抽出したオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を示すグラフ。
図3】種々の抽出温度で抽出したオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を示すグラフ。
図4】種々の抽出時間で抽出したオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を示すグラフ。
図5】種々の添加枝量で抽出したオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、オリーヴの枝のエキス(以下、「オリーヴ枝エキス」ともいう。)を含む、紫外線遮断剤を提供する。
【0018】
オリーヴ枝エキスは、オリーヴの枝から抽出されたエキスである。なお、本明細書において「オリーヴの枝」または「オリーヴ枝」には、オリーヴの木の枝、茎および樹皮などが含まれる。すなわち、本明細書において「オリーヴ枝エキス」には、オリーヴ枝エキス、オリーヴ茎エキスおよびオリーヴ樹皮エキスなどが含まれる。オリーヴの枝のエキスには、オレウロペインおよびヒドロキシチロソールなどの多くのポリフェノールが含まれる。
【0019】
本発明に使用し得るオリーヴの枝の品種には、たとえば、ルッカ(Lucca)、ミッション(Mission)、ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)、マンザニロ(Manzanillo)、アメレンケ(Amellenque)、アルベキナ(Arbequina)、アスコラーナ・テレナ(Ascolana Terena)、アスコラノ(Ascolano)、アザパ(Azapa)、バーネア(Barnea)、バロウニ(Barouni)、ビアンコリッラ(Biancolilla)、ビーデル・ハマン(Bidh El Hamman)、ブランケッタ(Blanqueta)、カイエ・ブラン(Caillet Blane)、カロレア(Carolea)、カヨンヌ(Cayonne)、ケムラリ(Chemilali)、チトーニ(Chitoni)、チプレッシーノ(Cipressino)、コラティーナ(Coratina)、コルニカブラ(Cornicabra)、コレッジョラ(Correggiola)、クッコ(Cucco)、ギガンテ・ディ・チェリニョーラ(Gigante di Cerignola)、フラントイオ(Frantoio)、グラッポロ(Glappolo)、ゴルダル(Gordal)、ハーディーズ・マンモス(Hardy's Mammoth)、オヒブランカ(Hojiblanca)、イトラーナ(Itrana)、ジャンボ・カラマタ(Jumbo Kalamata)、カラマタ(Kalamata)、コロネイキ(Koroneiki)、レッチーノ(Leccino)、レッチオ・デル・コルノ(Leccio del Corno)、リャニ(Liani)、ルッケス(Lucques)、マンザニリャ(Manzanilla)、マウリーノ(Maurino)、ミシェレンケ(Michellenque)、モロイオロ(Moraiolo)、ナバリ・モハサン(Nabali Mohassan)、ナブ・タムリ(Nab Tamri)、ネグラル(Negral)、ノッチェラーラ・デル・ベリチェ(Nocellara del Belice)、オブリザ(Obliza)、オブロンガ(Oblonga)、パラゴン(Paragon)、ペンドリーノ(Pendolino)、ピクアル(Picual)、レッディング・ピショリン(Redding picholine)、レドゥナ(Redounan)、ソウリン(Saurin 大葉)、ソウリン(Saurin 中葉)、ソウリン(Saurin 小葉)、セビラノ(Sevillano)、ソラニ(Sorani)、サウス・オーストラリアン・ベルダル(South Australian Verdale)、セント・キャサリン(St. Catherin)、タジャスカ(Taggiasca)、タンシェ(Tanche)、ティニイ・オイル・カラマタ(Tiny Oil Kalamata)、ツナーティ(Tsunati)、ベルダル(Verdale)、ワッガ・ベルダル(Wagga Verdale)、サルサ(Zarza)、オリーヴェールおよびFS17などが含まれる。本発明において、オリーヴの枝は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
本発明の紫外線遮断剤の100g当たりの総ポリフェノール含量は、たとえば、100mg以上、好ましくは200mg以上、より好ましくは300mg以上である。本発明の紫外線遮断剤の100g当たりのオレウロペイン含量は、30mg以上、好ましくは50mg以上、より好ましくは100mg以上である。
【0021】
後述する実施例において示すように、オリーヴ枝エキスは、紫外線のなかでも、特にUV-AおよびUV-Bを吸収する効果を有する。したがって、本発明の紫外線遮断剤は、UV-AおよびUV-Bを効果的に遮断することができるため、皮膚の老化、日焼けおよび皮膚がんなどの紫外線による影響を防止することができる。本発明の紫外線遮断剤は、紫外線遮断作用を有する薬剤、医薬品、医薬部外品、化粧品および食品などに用いることができ、たとえば日焼け止め効果を有する化粧料および皮膚外用剤などに用いることができる。
【0022】
本発明の紫外線遮断剤は、化粧料の形態であることができる。本発明の紫外線遮断剤は、たとえば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、ローション、エッセンス、ハンドクリーム、リップクリームおよびパックなどの基礎化粧料;口紅、リップグロス、ファンデーション、メイクアップ下地、リクイドファンデーション、メイクアッププレストパウダー、ほほ紅、白粉、アイシャドウ、マスカラ、アイライナーおよびアイブロウなどのメイクアップ化粧料;洗顔料、ボディーシャンプー、シャンプーおよび石けんなどの清浄用化粧料;ヘアトニック、ヘアクリーム、リンス、コンディショナーおよび整髪料等の毛髪または頭皮用の化粧料;および浴剤等であることができる。
【0023】
本発明の紫外線遮断剤は、液状、固形状、乳液状、クリーム状、ゲル状およびペースト状等の任意の形態であることができる。
【0024】
本発明の紫外線遮断剤は、オリーヴ枝エキスのみを含んでもよいし、他の成分をさらに含んでもよい。他の成分には、たとえば油性成分、界面活性剤(合成系および天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素および香料等が含まれる。また、本発明の紫外線遮断剤の効果を維持する限り、他の生理活性成分をさらに含むことができる。
【0025】
ここで、油性成分としては、たとえばオリーヴ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油および植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油およびタートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックスおよびラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックスおよびスクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸およびcis-11-エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノールおよびステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライドおよび高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類および合成トリグリセライド類等を用いることができる。
【0026】
界面活性剤としては,たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩およびポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタインおよびN-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を用いることができる。
【0027】
また、乳化剤または乳化助剤として、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチンおよびその誘導体、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)ならびにジュアゼイロ(Rhamnaceae zizyphus joazeiro)抽出物等を配合することもできる。
【0028】
保湿剤としては、たとえばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトールおよびピロリドンカルボン酸ナトリウム等を使用することができ、さらにトレハロース等の糖類、乳酸菌醗酵米、ムコ多糖類(たとえば、ヒアルロン酸およびその誘導体、コンドロイチンおよびその誘導体ならびにヘパリンおよびその誘導体など)、エラスチンおよびその誘導体、コラーゲンおよびその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、ビャッキュウ抽出物、魚介類由来コラーゲンおよびその誘導体ならびに各種アミノ酸およびそれらの誘導体などを用いることができる。
【0029】
増粘剤としては、たとえばアルギン酸、寒天、カラギーナンおよびフコイダン等の褐藻、緑藻あるいは紅藻由来成分;ビャッキュウ抽出物、ペクチン、ローカストビーンガムおよびアロエ多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガムおよびグアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーおよびアクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸およびその誘導体ならびにポリグルタミン酸およびその誘導体等を用いることができる。
【0030】
防腐・殺菌剤としては、たとえば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルおよびパラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2-ペンタンジオール、各種精油類および樹皮乾留物等を用いることができる。
【0031】
粉体成分としては、たとえばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシおよびキビなど)のパウダーおよび豆類(大豆および小豆など)のパウダー等を用いることができる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、たとえばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミルおよびその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルおよびアロエ抽出物等を用いることができる。
【0033】
抗酸化剤としては、たとえばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンEおよびその誘導体、ビャッキュウ抽出物ならびにイネ抽出物等を用いることができる。
【0034】
生理活性成分としては、たとえば美白成分として、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸およびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体、ハイドロキノン誘導体、エラグ酸およびその誘導体、レゾルシノール誘導体、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、米糠抽出物、米糠抽出物加水分解物、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀類)、白芥子加水分解抽出物、ムラサキシキブ抽出物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物(商品名:カモミラET)、コンブ等の海藻の抽出物、アマモ等の海草の抽出物、リノール酸およびその誘導体もしくは加工物(たとえばリポソーム化リノール酸など)ならびに2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体等を用いることができる。また、皮膚老化防止・美肌化成分として、動物または魚由来のコラーゲンおよびその誘導体、エラスチンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、アラントイン、α-ヒドロキシ酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナエキス、甘草エキス、ハトムギエキス、カミツレエキス、カッコンエキス、シソエキス、ニンジンエキスおよびアロエエキスなどの生薬抽出エキス、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、米醗酵エキス、クロレラエキス、褐藻エキス、ミツイシコンブ抽出物、アナアオサ抽出物、アマモ等の海草の抽出物、ソウハクヒエキスならびにジュアゼイロ(Rhamnaceae zizyphus joazeiro)抽出物等を用いることができる。
【0035】
上記のコウジ酸誘導体としては、たとえばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテートおよびコウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類およびコウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等を用いることができる。アスコルビン酸誘導体としては、たとえばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウムおよびL-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド(2-O-α-D-グルコピラノシル−L-アスコルビン酸)およびL-アスコルビン酸-5-グルコシド(5-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステルおよびL-アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸ならびにL-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム等を用いることができる。ハイドロキノン誘導体としては、たとえばアルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)およびα-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等を用いることができる。レゾルシノール誘導体としては、たとえば4-n-ブチルレゾルシノールおよび4-イソアミルレゾルシノール等を用いることができる。2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、たとえば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸および2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等を用いることができる。ニコチン酸誘導体としては、たとえばニコチン酸アミドおよびニコチン酸ベンジル等を用いることができる。ビタミンE誘導体としては、たとえばビタミンEニコチネートおよびビタミンEリノレート等を用いることができる。α-ヒドロキシ酸としては、たとえば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸およびα-ヒドロキシオクタン酸等を用いることができる。
【0036】
(オリーヴ枝エキスの抽出方法)
オリーヴ枝エキスは、オリーヴの枝から任意の方法で抽出したエキスであることができる。オリーヴ枝エキスは、たとえば、オリーヴの枝から抽出溶媒を用いて抽出したものであってもよい。抽出溶媒は、たとえば水および/またはアルコールであってもよい。
【0037】
本発明の紫外線遮断剤に用いるオリーヴ枝エキスを抽出する方法の一実施形態について以下に説明する。
【0038】
オリーヴの枝のエキスは、たとえば、乾燥したオリーヴ枝を粉砕する第1工程と、粉砕したオリーヴ枝から抽出溶媒を用いてオリーヴ枝エキスを抽出する第2工程とを含む製造方法によって製造することができる。
【0039】
第1工程は、乾燥したオリーヴ枝を粉砕する工程である。本明細書において「粉砕する」とは、物理的に破砕することによって対象物のサイズを小さくすること、たとえば微小な粒、小片または粉末などに物理的に破砕することをいう。オリーヴ枝を乾燥させる方法および粉砕する方法には、特に限定されず、任意の方法を用いることができる。
【0040】
オリーヴ枝の採取時期は、特に限定されないが、たとえば、日本のような北半球にある地域においては、オリーヴ果実が多量の油分を含有するようになる12月頃が好ましく、また、オリーヴ果実が完熟して収穫を終えた後が好ましい。
【0041】
第2工程は、粉砕したオリーヴ枝から抽出溶媒を用いてオリーヴ枝エキスを抽出する工程である。抽出溶媒は、水および/またはアルコールを含む。アルコールには、たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどが含まれる。抽出溶媒は、水であってもよく、100%アルコールであってもよく、または水で希釈したアルコールであってもよい。抽出溶媒は、10〜50%のアルコールを含んでもよい。抽出溶媒は、1種類のみのアルコールを含んでもよいし、2種類以上のアルコールを含んでもよい。また、抽出溶媒は、水およびアルコール以外の成分を含んでもよく、たとえば日本酒および焼酎などのアルコール飲料であってもよい。抽出溶媒は、たとえば、水、エタノールもしくは1,3-ブチレングリコールまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0042】
第2工程において、抽出温度は70℃以上であってもよい。70℃以上で抽出することにより、後述する実施例で示されるように、ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを得ることができる。抽出温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であってもよい。また、抽出温度の上限は特に限定されないが、たとえば100℃以下であることができる。
【0043】
抽出溶媒に対するオリーヴ枝の添加枝量は、特に限定されないが、たとえば20重量%以上であってもよく、好ましくは30重量%以上である。また、添加枝量の上限は特に限定されないが、たとえば50重量%以下であることができる。このような添加枝量であれば、後述する実施例で示されるように、ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを得ることができる。
【0044】
本発明の紫外線遮断剤におけるオリーヴの枝のエキスは、上述した製造方法によって製造されることにより、従来よりも高い紫外線吸収力を含有する。したがって、本発明の紫外線遮断剤は、この紫外線吸収力を利用した各種の薬剤、医薬、食品および化粧品などに利用することができる。
【実施例】
【0045】
(測定方法)
総ポリフェノール含量の測定に際しては、Folin-Ciocalteu法を用いた。これは、フォーリン試薬(フェノール試薬)がフェノール性水酸基により還元されて呈色することを利用する方法である。また、オレウロペイン含量の測定に際しては、HPLC分析を行った。これは、所謂高速液体クロマトグラフィー法であり、固定相と移動相とからなる系の中、特定の物質を分離する方法である。
【0046】
抗酸化力の測定に際しては、ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity, 活性酸素吸収能力)を調べた(参考文献=Wu, X. et al., J.Agric.Food Chem.,m 2004, 52, 4026-4037。1μmolのTroloxが示す活性を単位とした)。
【0047】
紫外線吸収力の測定に際しては、分光光度計を用いて、吸収スペクトルを測定した。各紫外線領域(UV-A波:320-400nm、UV-B波:290-320nm)の吸収スペクトルの面積を測定し、紫外線吸収力とした。
【0048】
〔オリーヴ枝エキス〕
(抽出溶媒)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として水、10%1,3-ブチレングリコール(BG)、30%BG、50%BG、80%BG、10%エタノール(EtOH)、30%EtOH、50%EtOHおよび100%EtOHを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表1および図1に示した。
【0049】
その結果、抽出溶媒として水、1,3-ブチレングリコールおよびエタノールのいずれを用いた場合でも、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。また、抽出溶媒として1,3-ブチレングリコールまたはエタノールを用いる場合には、10%〜50%の1,3-ブチレングリコールまたはエタノールを用いたときに総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力がより高かった。
【0050】
【表1】
【0051】
(オリーヴ枝の品種)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)、ルッカ(Lucca)、ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)およびマンザニロ(Manzanillo)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)およびオレウロペイン含量(mg/100g)を測定し、図2に示した。
【0052】
その結果、ミッション(Mission)、ルッカ(Lucca)、ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)およびマンザニロ(Manzanillo)のいずれの品種についても、総ポリフェノール含量が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0053】
(抽出温度)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度を30℃〜100℃の範囲で段階的に変えて、3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、熱量(cal)当たりの総ポリフェノール量(mg/熱量cal)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表2および図3に示した。
【0054】
その結果、抽出温度が70℃以上のとき、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。また、抽出温度が80℃以上、好ましくは90℃以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力がより高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0055】
【表2】
【0056】
(抽出時間)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で抽出した。抽出時間は、0.5時間、1時間、2時間、3時間および5時間とした。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、抽出時間当たりの総ポリフェノール量(mg/時間)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表3および図4に示した。
【0057】
その結果、抽出時間が長いほど総ポリフェノール含量および紫外線吸収力は高くなるが、抽出時間あたりの総ポリフェノール量は少なくなることが分かった。
【0058】
【表3】
【0059】
(添加枝量)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して5、10、20、30、40または44重量%添加し、抽出温度50〜60℃で3時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、添加枝量(g)当たりの総ポリフェノール量(mg/添加枝g)、オレウロペイン含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表4および図5に示した。
【0060】
その結果、添加枝量が30重量%以上のとき、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ枝エキスを抽出できることが分かった。
【0061】
【表4】
【0062】
(抽出条件の比較)
乾燥させて粉砕したオリーヴ枝から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いて、2種類の抽出条件にてオリーヴ枝エキスを抽出した。オリーヴ枝の品種はミッション(Mission)を用いた。抽出条件1(比較例)では、オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、50〜60℃で3時間抽出した。抽出条件2(実施例)では、オリーヴ枝は、抽出溶媒に対して30重量%添加し、80〜90℃で2時間抽出した。得られたオリーヴ枝エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、オレウロペイン含量(mg/100g)、紫外線吸収力および抗酸化力を測定し、表5に示した。
【0063】
その結果、抽出条件1と比較して、抽出条件2では、総ポリフェノール含量、オレウロペイン含量、紫外線吸収力および抗酸化力が顕著に高いオリーヴ枝エキスが得られることが示された。
【0064】
【表5】
【0065】
〔オリーヴ樹皮エキス〕
(抽出溶媒)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として水、30%1,3-ブチレングリコール(BG)および50%エタノール(EtOH)を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)を測定し、表6に示した。
【0066】
その結果、抽出溶媒として水、1,3-ブチレングリコールおよびエタノールのいずれを用いた場合でも、総ポリフェノール含量が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0067】
【表6】
【0068】
(添加樹皮量)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコール(BG)を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して5、10、20または30重量%添加し、抽出温度50〜60℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、添加樹皮量(g)当たりの総ポリフェノール量(mg/添加樹皮g)および紫外線吸収力を測定し、表7に示した。
【0069】
その結果、添加樹皮量が20重量%以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0070】
【表7】
【0071】
(抽出温度)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度を40〜90℃の範囲で段階的に変えて、5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、熱量(cal)当たりの総ポリフェノール量(mg/熱量cal)および紫外線吸収力を測定し、表8に示した。
【0072】
その結果、抽出温度が70℃以上のとき、総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が高いオリーヴ樹皮エキスを抽出できることが分かった。
【0073】
【表8】
【0074】
(抽出時間)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、抽出温度50〜60℃で抽出した。抽出時間は、0.5時間、1時間、2時間、3時間および5時間とした。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)、抽出時間当たりの総ポリフェノール量(mg/時間)および紫外線吸収力を測定し、表9に示した。
【0075】
その結果、抽出時間が長いほど総ポリフェノール含量および紫外線吸収力は高くなるが、抽出時間あたりの総ポリフェノール量は少なくなることが分かった。
【0076】
【表9】
【0077】
(最適条件での抽出溶媒の比較)
以上の結果から導き出した最適条件にて、オリーヴ樹皮から各種の抽出溶媒を用いてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。抽出溶媒には、水、30%1,3-ブチレングリコールおよび50%エタノールを用いた。抽出温度は70〜80℃とし、抽出時間は5時間とし、樹皮の添加量は抽出溶媒に対して20重量%とした。得られたオリーヴ樹皮エキスの総ポリフェノール含量(mg/100g)および紫外線吸収力を測定し、表10に示した。
【0078】
その結果、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いたときに総ポリフェノール含量および紫外線吸収力が最も高かった。
【0079】
【表10】
【0080】
(抽出条件の比較)
乾燥させて粉砕したオリーヴ樹皮から、抽出溶媒として30%1,3-ブチレングリコールを用いて、2種類の抽出条件にてオリーヴ樹皮エキスを抽出した。オリーヴ樹皮の品種はミッション(Mission)を用いた。抽出条件3(比較例)では、オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して10重量%添加し、50〜60℃で5時間抽出した。抽出条件4(実施例)では、オリーヴ樹皮は、抽出溶媒に対して20重量%添加し、70〜80℃で5時間抽出した。得られたオリーヴ樹皮エキスの抗酸化力を測定し、表11に示した。
【0081】
その結果、抽出条件3と比較して、抽出条件4では、抗酸化力が顕著に高いオリーヴ樹皮エキスが得られることが示された。
【0082】
【表11】
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の紫外線遮断剤は、紫外線遮断作用を有する薬剤、医薬、化粧品および食品などに好適に利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5