(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献は、車体側から取外された状態で捕集フィルタを洗浄槽内で洗浄することにより、長期間の使用によって捕集フィルタ内に燃焼されずに堆積した灰等を洗い流し、該捕集フィルタを繰り返し使用可能にするものであるが、捕集フィルタの洗浄具合を評価する検査工程の精度が十分ではないため、洗浄後の捕集フィルタを車体側に取付けて使用し始めることで、捕集フィルタの洗浄が不十分であることが確認され、再度捕集フィルタを車体側から取外して洗浄作業をすることが必要となる場合があるという課題があった。
【0007】
本発明は、長期間の使用によって目詰まりをおこした捕集フィルタの洗浄方法において、捕集フィルタの洗浄度合いを車体側から取外した状態で高精度に評価することにより、捕集フィルタの目詰まりを無駄なく効率的に解消することのできる捕集フィルタの洗浄方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1に、ディーゼルエンジンの排気ガスに含有されるディーゼル排気微粒子を捕集する捕集フィルタの洗浄方法であって、車体から取外された前記捕集フィルタ内に洗浄液を供給して該捕集フィルタ1内を洗浄する洗浄工程と、洗浄後圧力計測工程と、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の洗浄度合いを確認する確認工程とを有し、前記洗浄工程では、
支持部7上に載置される前記捕集フィルタ1を吸気口11と排気口12とが水平方向に沿って配置される横向きで支持するとともに、該捕集フィルタ1の吸気口11又は排気口12である接続口を塞ぐ円盤状に形成されて、該接続口に固定される取付部17と、洗浄液が供給される供給用パイプ9が連結される連結部
18とを有する洗浄用アダプタ13によって、接続口と供給用パイプ9とを接続した後、洗浄用アダプタ13が取付けられた吸気口11又は排気口12の一方側から洗浄液を供給し、
開放された吸気口11又は排気口12の他方側から洗浄液を排出することによって捕集フィルタ1内を洗浄し、
前記洗浄工程では、前記捕集フィルタ1の洗浄後、前記支持部7に支持される横向きの前記捕集フィルタ1を軸回転させて載置し直し、その後、前記供給用パイプから洗浄液を供給することによって、前記捕集フィルタ1を再度洗浄し、前記洗浄後圧力計測工程では、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の吸気口11又は排気口12である接続口を塞ぐ円盤状に形成されて、該接続口に固定される取付部28と、エアを送風する送風装置22のエア送風口24に連結される連結部29とを有するアダプタ26によって、接続口とエア送風口24とを接続した後、該送風装置22によって前記捕集フィルタ1内にエアを送風し、該送風時のエアの圧力を圧力計測装置27によって計測し、前記確認定工程では、上記洗浄後圧力計測工程での計測結果を利用して、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の洗浄度合いを確認することを特徴としている。
【0009】
第2に、
前記洗浄工程では、前記捕集フィルタ1の洗浄後、前記支持部7に支持される横向きの前記捕集フィルタ1を120°又は180°軸回転させて載置し直すことを特徴としている。
【0010】
第3に、前記洗浄後圧力計測工程では、
前記送風装置22による送風量を
、7200〜12000L/分の間で段階的に流量を増やして送風し、送風量を複数段階で変化させ、複数段階の変化毎に圧力計測装置27によってエアの圧力を計測することを特徴としている。
【0011】
第4に、
洗浄前圧力計測工程を有し、前記洗浄前圧力計測工程では、前記洗浄工程前の捕集フィルタ1の上記接続口11、12と、エアを送風する送風装置22のエア送風口24とをアダプタ26によって接続した後、該送風装置22によって前記捕集フィルタ1内にエアを送風し、該送風時のエアの圧力を圧力計測装置27によって計測し、前記確認定工程では、上記洗浄前圧力計測工程での計測結果と、上記洗浄後圧力計測工程での計測結果とを比較して、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の洗浄度合いを確認することを特徴としている。
【0012】
第5に、前記洗浄工程では、上記捕集フィルタ1の吸気口11及び排気口12の一方から洗浄液を供給して洗浄を行った後、他方からも洗浄液を供給して洗浄を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
前記洗浄工程後の捕集フィルタの洗浄度合いを確認するにあたり、前記洗浄工程後の捕集フィルタの吸気口又は排気口である接続口と、エアを送風する送風装置のエア送風口とを専用のアダプタによって接続した後、該アダプタを介して、該送風装置によって前記捕集フィルタ内にエアを送風したことによって、捕集フィルタに送風したエアの圧力と、捕集フィルタ内の圧力との差圧をより正確に測定できるため、捕集フィルタの洗浄具合いをより高精度に検出することができる。
【0014】
また、洗浄前圧力計測工程を有し、前記洗浄前圧力計測工程では、前記洗浄工程前の捕集フィルタの上記接続口と、エアを送風する送風装置のエア送風口とをアダプタによって接続した後、該送風装置によって前記捕集フィルタ内にエアを送風し、該送風時のエアの圧力を圧力計測装置によって計測し、前記確認定工程では、上記洗浄前圧力計測工程での計測結果と、上記洗浄後圧力計測工程での計測結果とを比較して、前記洗浄工程後の捕集フィルタの洗浄度合いを確認するものによれば、捕集フィルタの洗浄効果をより確実且つ高精度の評価することができる。
【0015】
また、前記洗浄後圧力計測工程では、送風量を複数段階で変化させ、複数段階の変化毎に圧力計測装置によってエアの圧力を計測するものによれば、まだ捕集フィルタの洗浄具合いが十分でない場合等に、捕集フィルタ内が想定以上に高圧となって痛める事態を防止できるとともに、洗浄具合いの確認の精度も高くなる。
【0016】
また、洗浄工程の後であって且つ洗浄後圧力計測工程の前に前記捕集フィルタを乾燥させる乾燥工程を有するものによれば、乾燥工程と洗浄後圧力計測工程と送風装置をアダプタで接続した状態でそのまま継続してできるため、作業を効率的に行うことができるとともに、洗浄具合いの確認する精度も向上する。
【0017】
なお、前記洗浄工程では、上記捕集フィルタの吸気口及び排気口の一方から洗浄液を供給して洗浄を行った後、他方からも洗浄液を供給して洗浄を行うものによれば、捕集フィルタ内の目詰まりをより効率的に解消し、洗浄効果を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至
図6に基づいて、本発明に係るDPF装置の洗浄装置及び測定装置について説明する。
図1は、洗浄装置の構成を示した図であり、
図2(A)及び(B)は、洗浄用アダプタの構成を示した斜視図及び断面図であり、
図3は、測定装置の構成を示した図であり、
図4(A)及び(B)は、測定用アダプタの構成を示した斜視図及び断面図であり、
図5は、DPF装置の構成を示した断面図であり、
図6は、洗浄が必要になった状態を示したDPF装置の断面図である。図示されるように、本発明の捕集フィルタの洗浄方法は、車体の排気管側から取外された捕集フィルタ(以下、DPF装置という)1の洗浄を行う洗浄装置2と、洗浄したDPF装置1の乾燥及び洗浄具合いの確認をする測定装置3とが用いられる。
【0020】
前記洗浄装置2は、DPF装置1を洗浄する洗浄液が貯留される洗浄槽4と、該洗浄槽4内の洗浄液を加熱する加熱装置6と、該洗浄槽4の上部側にDPF装置を支持する支持部7と、洗浄槽4からDPF装置1に向けて洗浄液を供給するポンプ8と、該ポンプ8から洗浄液が供給される供給用パイプ9とDPF装置1の吸気口11又は排気口12とを接続する洗浄用アダプタ13とを備え、該洗浄用アダプタ13が取付けられた吸気口11又は排気口12の一方側(以下、接続口11,12)からDPF装置1内に洗浄液を供給するとともに、吸気口11又は排気口12の他方側(以下、排出口11,12)から洗浄液を排出することによって、DPF装置1内を洗浄できるように構成されている(
図1(B)参照)。
【0021】
前記洗浄槽4は、DPF装置1の洗浄に用いられる洗浄液が貯留され、貯留された洗浄液は、前記ポンプ8を介してDPF装置1側に供給できるように構成されている。このとき、該洗浄槽4側には前記加熱装置6が設けられており、該加熱装置6によって洗浄槽4内の洗浄液を加熱し、加熱された洗浄液を用いてDPF装置1内を洗浄することができるように構成されている。
【0022】
具体的には、該加熱装置6より洗浄液を60〜95℃程度に加熱することによって、DPF装置1内に堆積した煤等を溶解させることができるため、ポンプ8によって圧送された洗浄液によってDPF装置1内に堆積した煤等をDPF装置1外へと押し出すことができるようになり、洗浄効果がより高くなる。
【0023】
また、該洗浄槽4は、その下部側に前記洗浄液が貯留されるとともに、その上部側にDPF装置1が支持される前記支持部7と、DPF装置1に供給される洗浄液が直接洗浄槽4の下部側に排出されるように開口された開口部14とが設けられている。これにより、該洗浄槽4内の洗浄液は、前記ポンプ8によってDPF装置1に供給され、DPF装置1内に供給された洗浄液が開口部14から洗浄槽4内に排出されるように構成されている(
図1(B)参照)。
【0024】
すなわち、該構成の洗浄装置2は、洗浄槽4内に貯留された洗浄液が、洗浄装置2全体で循環されるように構成されている。
【0025】
このとき、洗浄槽4内には、DPF装置1内を洗浄して不純物等の汚れを含んだ洗浄液から不純物を取り除くための洗浄液用フィルタ16が設けられている。なお、上述の洗浄装置2は洗浄液を循環させずにDPF装置1に供給した洗浄液を洗浄槽4外に排出してそのまま廃棄するかけ流し式としても良い。
【0026】
ちなみに、本発明では、DPF装置の洗浄に用いられる洗浄液として、硬質カーボンの除去に用いられる洗浄液(製品名:ハイカーボン、日本油化工業)を5%濃度に薄めたものを用いた。
【0027】
前記支持部7は、車体側から取外されたDPF装置1を洗浄槽4の上部側に載置できるように構成されている。具体的には、DPF装置1の長手方向に沿って少なくとも一対配置された支持杆7a,7aが設けられており、該支持杆7a上に円筒状のDPF装置1が載置支持されるように構成されている。該構成によれば、該支持部7は、支持杆7aに載置されるDPF装置1を軸回転させることによって、支持部7に支持されるDPF装置1の上下を容易に反転させることができる(
図1(A)参照)。
【0028】
前記洗浄用アダプタ13は、円筒状のDPF装置1の接続口11,12(吸気口又は排気口の一方)を塞ぐように円盤状に形成され、該洗浄アダプタ13の外周側に形成されてDPF装置1の接続口にボルト固定するための固定孔17aが穿設された取付部17と、前記ポンプ8から洗浄液が供給される供給パイプ9が連結されるとともに中心側に上下一対配置された連結部18,18とが設けられている(
図2(A)及び(B)参照)。該洗浄用アダプタ13は、DPF装置1の形状・大きさに応じて取付けられる接続口11,12を密閉することができるように専用のものが用いられる。
【0029】
該構成によれば、前記DPF装置1の接続口11,12側に前記洗浄用アダプタ13を取付けることにより、ポンプ8によって洗浄液が供給される供給パイプ9と、DPF装置1の接続口11,12側とをスムーズに連結することができるとともに、前記ポンプ8により供給される洗浄液のすべてを漏らすことなくDPF装置1内へと供給することができる。
【0030】
また、該洗浄用アダプタ13は、該供給パイプ9を一対の連結部18,18のうち、下部側の連結部18に連結することにより、支持部7に支持されたDPF装置1の下部側から洗浄液を供給することができる(
図1及び
図2参照)。これにより、DPF装置1内に供給される洗浄液は、重力の影響もあり主にDPF装置1の下部側を中心に流動して洗浄する。
【0031】
該構成によれば、DPF装置1の下部側を中心とした洗浄が完了した後、前記支持部7に支持されるDPF装置を180°軸回転させて載置し直すとともに、これに伴ってDPF装置1の下側に配置される他方側の連結部18に、前記供給パイプ9を連結することにより、DPF装置1の上下方向反対側を中心に洗浄液を供給することができる。これにより、DPF装置1の全体に洗浄液を供給し、DPF装置1全体をムラなく洗浄することができる(
図1(A)及び(B)参照)。
【0032】
これにより、該洗浄用アダプタ13を一度DPF装置1側に取付けると、洗浄用アダプタ13を付け替えることなくDPF装置1の洗浄位置を変更することができるため、DPF装置1の洗浄作業をよりスムーズに行うことができる。
【0033】
ちなみに、該洗浄用アダプタ13に形成される連結部18は、中心を軸とする円軌跡に沿って3カ所等間隔に設けることにより、洗浄作業される箇所の切換時に行うDPF装置1の軸回転を120°とし、洗浄作業を計3回繰り返すように構成にしても良い(図示しない)。該構成によれば、より大径のDPF装置1を洗浄する場合等であっても、DPF装置1全体をムラなく洗浄することができる。
【0034】
前記測定装置3は、車体側から取外されたDPF装置1を支持する支持台21と、DPF装置1にエアを送風する送風装置22と、該送風装置22による送風量を操作する操作部23と、該送風装置22から延設された供給管(エア送風口)24とDPF装置1の吸気口11又は排気口12(接続口)とを連結する測定用アダプタ(アダプタ)26と、該送風装置22と連結されたDPF装置1との間の供給管24側に設けられた圧力計測装置27とを備えている(
図3参照)。
【0035】
前記圧力計測装置27は、前記測定用アダプタ26を介して送風装置22側の供給管24が連結されたDPF装置1の接続口11,12側は、前記測定用アダプタ26により密閉される一方で、DPF装置1の排出口11,12側は開放されているため、ゲージ圧を測定する検出装置が用いられている。該圧力計測装置27によれば、送風装置22によって供給されるエアの圧力と、圧力計測装置27によって計測されるゲージ圧とによって、DPF装置1内の差圧を測定することができる。
【0036】
前記送風装置22は、操作部23によって供給管24を介してDPF装置1内に送風されるエアの流量(圧力)を複数段階に調整することができるように構成されており、前記圧力計測装置27によって差圧を計測する際には、送風装置22によって送風されるエアの圧力を変えながら複数段階で計測できるように構成されている。
【0037】
また、該送風装置22は、送風されるエアの温度調整もすることができるように構成されており、洗浄作業が終了したDPF装置1に加熱したエアを送風することによって、DPF装置1の乾燥作業も行うことができる。
【0038】
前記測定用アダプタ26は、円筒状のDPF装置1の接続口(吸気口11又は排気口12の一方)を塞ぐ円盤状に形成され、該測定用アダプタ26の外周側に形成されてDPF装置1の接続口11,12にボルト固定するための固定孔28aが穿設された取付部28と、前記送風装置22からエアが供給される供給管24が連結される連結部29と、取付部28と連結部と29の間であって且つ径方向に延設された筒状部材31とが設けられている(
図4(A)及び(B)参照)。該測定用アダプタ26は、DPF装置1の形状・大きさに応じて取付けられる接続口11,12を密閉することができるように専用のものが用いられる(
図4(A)及び(B)参照)。
【0039】
該構成によれば、前記DPF装置1の接続口側に前記測定用アダプタ26を取付けることにより、送風装置22によって供給されるエアを漏れなくDPF装置1の接続口へと供給することができるため、圧力計測装置27によって計測されるゲージ圧と、送風装置による供給されるエアの圧力との差をより正確に測定することができるようになる。
【0040】
また、該筒状部材31は、DPF装置1内のフィルタの詰まりが激しい場合に、送風装置22から比較的高圧なエアが送風されてDPF装置1内の圧力が急激に上昇した際に、上端側を開放することによって圧力の上昇を緩和させることができる。また、測定用アダプタ26をDPF装置1の接続口側に取付ける際の把持部にもなる。
【0041】
前記DPF装置1は、トラックやバス、トラクター等のディーゼルエンジンを用いた車両のマフラー等の排気経路に取付けられる筒状の装置であって、排気ガスが供給される吸気口(上流)側に配置される酸化触媒32と、排気ガスが排気される排気口(下流)側に配置されるフィルタ33とが内装されている(
図5参照)。
【0042】
ちなみに、該DPF装置は、酸化触媒32とフィルタ33とが分割可能に構成されるタイプもあり、この場合には、酸化触媒32とフィルタ33とを別個に洗浄することもできる。また、該DPF装置1は、酸化触媒32とフィルタ33とが収容されていれば筒状に限られず、S字状に形成して設置スペースを縮小した構成であっても良い(図示しない)。
【0043】
上記フィルタ33は、軸方向に平行に配置された複数のセルを有し、隣接するセルの始端と終端とを交互に目封じしたウォールフロー式のセラミックフィルターである。具体的には、ハニカム構造を互い違いに目封じした形状となっており、排気ガスが壁面に形成された微細な孔を通過することにより、排気ガス中の粒子状物質(PM)が捕集される(
図5参照)。
【0044】
上記触媒32は、排気ガス中から捕集した粒子状物質をヒーター等の熱を用いた再生燃焼によるセルフクリーニング機能を促進するためのものであり、酸化されやすい一酸化炭素や炭化水素、粒子状物質を除去するものである。具体的には、排気ガス中の窒素酸化物をより二酸化窒素の多い状態とすることにより、二酸化窒素の強力な酸化性能で粒子状物質を燃焼(除去)することができる。
【0045】
該構成のDPF装置1は、軽油が使用されるディーゼルエンジンが用いられた場合に、排気ガス中に多く含まれる窒素酸化物や、粒子状物質(PM)をより効率的に捕集することができる。また、該DPF装置1は、アイドリング等することでエンジンから発生させる熱を用いてフィルタ33により捕集された粒子状物質を燃焼させることによって、フィルタ33を自動的にクリーニングすることができる。
【0046】
なお、該DPF装置1が長期間連続して使用されると、粒子状物質に含まれる不純物等の異物が燃焼されることによって発生した灰等が燃焼されることなく触媒32及びフィルタ33内に蓄積されて、DPF装置1が目詰まりを起こす。これにより、DPF装置1が再生燃焼では十分に再生されなくなるという問題がある(
図6参照)。
【0047】
そのため、該DPF装置1は、長期間の使用によって自浄機能では除去することのできない汚れを定期的に上述の洗浄装置によって洗浄する必要がある。以下、本発明の前記DPF装置の洗浄方法について具体的に説明する。
【0048】
次に、
図7に基づき、上述の洗浄装置及び測定装置を用いたDPF装置の洗浄方法について説明する。
図7は、DPF装置の洗浄方法を示したフロー図である。
【0049】
図示されるように、DPF装置1の洗浄方法は、車体側に取付けられているDPF装置1を取外す準備工程と、DPF装置1の洗浄をする前にDPF装置1内の差圧を測定する洗浄前圧力計測工程と、DPF装置1を洗浄する洗浄工程と、洗浄液を洗い流すすすぎ工程と、DPF装置1を乾燥させる乾燥工程と、洗浄後のDPF装置1の差圧を測定する洗浄後圧力計測工程と、DPF装置1の洗浄具合いを評価する確認工程とを備えている。
【0050】
前記準備工程では、車体側に取付けられているDPF装置1を取外し、前記測定装置3側に設置する。具体的には、DPF装置1は、接続口11,12が密閉されるように前記測定用アダプタ13をボルト固定されるとともに、排出口11,12側を開放した状態で支持台21に載置され、前記送風装置22の供給管24と測定用アダプタ26とを連結する。このとき、DPF装置1のフィルタ33又は触媒32に破損個所がないかを目視で確認する。
【0051】
前記洗浄前圧力計測工程では、洗浄作業を行う前に、送風装置22によってDPF装置1にエアを供給した際に、前記圧力計測装置27によって計測される差圧(大気圧を基準とするゲージ圧)を測定する。このとき、例えばDPF装置内の詰りが酷く、DPF装置内の圧力が高すぎると圧力計測装置27の故障の原因にもなるため、送風装置22による供給するエアの圧力を複数段階で徐々に高くしていく。具体的には、インバータを介して30、40、50、60Hzの順に周波数を上げることによって、風量を増やして送風時の圧力を高くすることができる。これにより、各段階でDPF装置1の差圧を計測する。
【0052】
前記洗浄工程は、前記DPF装置1を前記洗浄装置2側に設置し、DPF装置1の吸気口11側から洗浄液を圧送する第1洗浄工程と、DPF装置1の排気口12側から洗浄液を圧送する第2洗浄工程とを備えている。
【0053】
上記第1洗浄工程では、まず、DPF装置1の吸気口11側に前記洗浄用アダプタ13を取付け、該洗浄用アダプタ13に設けられた下側の連結部18と、前記ポンプ8によって洗浄槽4内の洗浄液が供給される供給用パイプ9とを連結する。これにより、前記ポンプ8により圧送される洗浄液によって、DPF装置1内の触媒32やフィルタ33の主に下部側が洗浄され、該洗浄液は排気口12側から洗浄槽4に向けて排出される(
図1参照)。
【0054】
次に、洗浄槽4側の支持部7に支持されるDPF装置1を180°軸回転させることにより上下を反転させ、下側に位置する洗浄用アダプタ13の他方側の連結部18と供給用パイプ9とを連結する。これにより、前記ポンプ8で洗浄液を圧送することにより、DPF装置1の上下方向反対側を中心に洗浄作業を行うことができる。
【0055】
上記第2洗浄工程では、まず、DPF装置1の排気口12側に前記洗浄用アダプタ13を取付け、該洗浄用アダプタ13に設けられた下側の連結部18と、前記供給用パイプ9とを連結する。これにより、前記ポンプ8により圧送される洗浄液によって、DPF装置1内の触媒32やフィルタ33の主に下部側が洗浄され、該洗浄液は吸気口11側から洗浄槽4に向けて排出される(
図1参照)。すなわち、第1洗浄工程の場合と洗浄液の供給方向を反転させる。
【0056】
次に、第1洗浄工程と同様に、洗浄槽4側の支持部7に支持されるDPF装置1を180°軸回転させることにより上下を反転させ、下側に位置する洗浄用アダプタ13の他方側の連結部18と供給用パイプ9とを連結する。これにより、前記ポンプ8で洗浄液を圧送することにより、DPF装置1の上下方向反対側と中心に洗浄作業を行うことができる。
【0057】
各洗浄工程によって用いられる洗浄液は、前記加熱装置6によって60〜95°程度に加熱したものが用いられる。該洗浄液は、60°程度に加熱したものを用いることが好ましいが、DPF装置1の詰りが激しい場合には、90〜95°程度まで加熱した洗浄液を用いることによって、DPF装置1内に詰まった灰や油等の汚れをより強力に溶解・排出させることもできる。なお、各洗浄工程は、各1時間程度を目安に行われるが、DPF装置の大きさや汚れ具合に応じて変更する。
【0058】
これにより、前記ポンプ8により圧送された洗浄液によってDPF装置1内に詰まっていた汚れが排出口11,12側の表面に押出されるため、作業者は、エアコンプレッサー(図示しない)等によって排出口の表面に出てきた汚れをエアによって吹飛ばすことによって、より効率的に洗浄することができる。
【0059】
ちなみに、図示する洗浄装置2では、前記支持部7にDPF装置1を横向きに載置支持した状態で洗浄するものであるが、DPF装置1を縦置きにした状態で洗浄する構成であっても良い(図示しない)。
【0060】
なお、前記洗浄工程によって用いられた洗浄液には、エンジンオイル由来の有害金属が含有されるため、下水道への放流はできない。そのため、凝集沈殿処理等によって有害金属を沈殿分離させる後処理をする必要がある。
【0061】
前記すすぎ工程は、DPF装置1に供給される洗浄液を水に代えて、DPF装置1内に滞留している洗浄液を洗い流す。これにより、DPF装置1内に残留した洗浄液が燃焼されることが原因で再びDPF装置内に燃焼されない不純物が堆積してしまうことを防止できる。
【0062】
前記乾燥工程では、洗浄が終了したDPF装置1を測定装置3側に支持するとともに、前記測定アダプタ26をDPF装置1の吸気口11側に取付けた状態で測定装置3側に連結する。該状態で、前記送風装置22により加熱したエア(温風)をDPF装置1内へと送風することによって洗浄工程(及びすすぎ工程)によって水分を含んだDPF装置1内を十分に乾燥させる。
【0063】
このとき、該乾燥工程によってDPF装置1への送風を継続すると、DPF装置1の排気口12側から視認されるセラミック製のフィルタ33が、乾いた箇所から徐々に白色に変化するため、フィルタ33の色によって乾燥状態を確認することができる。フィルタの全体が白く乾いた状態となったことが確認された場合、DPF装置が完全に乾燥したものとして乾燥作業を終了する。該乾燥工程は、DPF装置の大きさによるが、およそ20〜60分程度行われる。
【0064】
前記洗浄後圧力計測工程は、洗浄前圧力計測工程と同様に、DPF装置1の吸気口11側が密閉されるように測定用アダプタ26を取付けるとともに、排気口12側が開放された状態で、前記送風装置22の供給管24と測定用アダプタ26とを連結する。そして、送風装置22によりDPF装置1内にエアを送風し、前記測定装置3の圧力計測装置27によって、DPF装置1の差圧(大気圧を基準とするゲージ圧)を測定して記録する。
【0065】
該洗浄後圧力計測工程では、洗浄前圧力計測工程と同様に、送風装置22によって送風されるエアの圧力を複数段階で調整して、それぞれの状態において計測されたDPF装置1の差圧を記録する。このとき、DPF装置が取付けられる車体の排気圧に近い条件でも差圧を測定する。
【0066】
具体的な例としては、前記送付装置によって、洗浄工程の前後で、7200L/分、9200L/分、10700L/分、12000L/分の順番で段階的に流量を増やして送風し、各流量を送風した際に前記圧力計測装置27によって計測された差圧を記録した。ちなみに、9200L/分の流量の場合、およそ6000ccのエンジンで3000回転/分程度させた状態の排気量と同等になる。
【0067】
前記確認工程は、洗浄前圧力計測工程で測定された差圧A(kPa)と、洗浄後圧力計測工程で測定された差圧B(kPa)とを比較することによって、DPF装置1内の洗浄具合を確認することができる。
【0068】
具体的には、同じ圧力のエアを供給した際に、洗浄の前後で測定された差圧の変化量、すなわち、(A−B)kPaを評価する。すなわち、この値が大きいほど洗浄効果が高く、DPF装置内の詰りが解消されていることを示している。これにより、上述の洗浄方法によってDPF装置の目詰まりしている原因となる汚れが洗浄されていることと、その洗浄具合いとを確認することができる。
【0069】
また、該確認工程では、洗浄対象のDPF装置1が新品の場合に検出される差圧C(kPa)をデータとして取得しておくことにより、再洗浄する必要があるか否かの判定を行うこともできる。
【0070】
具体的には、洗浄後圧力計測工程で測定された差圧Bと、DPF装置1が新品の場合に検出される差圧Cとで算出される(B−C)/Cの値で判定することができる。すなわち、(B−C)/Cで算出される値が0.2より小さい場合には、DPF装置1が十分に洗浄されているものとして洗浄作業を終了し、(B−C)/Cで算出される値が0.2より大きい場合には、DPF装置の洗浄が十分ではなく、フィルタ33内に必要以上の汚れが残留していると判定し、洗浄工程に処理を戻して再度DPF装置1の洗浄を行う。
【0071】
これにより、(B−C)/Cの値が0.2以下であれば、洗浄後のDPF装置1は、新品のDPF装置1と比較して8割以上の機能は発揮できる状態に回復していることが確認できる。なお、再洗浄するか否かを判定する値は0.2〜0.1程度の間で状況に応じて設定できる。
【0072】
上述の洗浄方法によれば、DPF装置1の汚れが十分に洗浄されていることを高精度に判定することができるため、洗浄後のDPF装置1を車体側に取付けて使用し始めた後に、DPF装置1の洗浄が十分でないことが発覚し、再度の洗浄作業に必要以上の手間が掛かるような事態をより確実に防止することができる。
【課題】捕集フィルタの洗浄方法において、捕集フィルタの洗浄度合いを車体側から取外した状態で高精度に評価することにより、捕集フィルタの目詰まりを無駄なく効率的に解消することのできる捕集フィルタの洗浄方法を提供することを課題としている。
【解決手段】捕集フィルタの洗浄方法であって、車体から取外された捕集フィルタ1を洗浄する洗浄工程と、洗浄後圧力計測工程と、確認工程とを有し、前記洗浄後圧力計測工程では、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の吸気口11又は排気口12である接続口と、エアを送風する送風装置22のエア送風口24とをアダプタ26によって接続した後、該送風装置22によって前記捕集フィルタ1内にエアを送風し、該送風時のエアの圧力を圧力計測装置27によって計測し、前記確認定工程では、上記洗浄後圧力計測工程での計測結果を利用して、前記洗浄工程後の捕集フィルタ1の洗浄度合いを確認する。