特許第6381087号(P6381087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6381087-荷役作業情報配信システム 図000002
  • 特許6381087-荷役作業情報配信システム 図000003
  • 特許6381087-荷役作業情報配信システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6381087
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】荷役作業情報配信システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   B66F9/24 AZIT
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-146130(P2017-146130)
(22)【出願日】2017年7月28日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6066241(JP,B1)
【文献】 特開平10−297719(JP,A)
【文献】 特開昭63−116215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00−11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能に構成された有人無人兼用車が行うべき荷役作業に係る荷役作業情報を配信する荷役作業情報配信システムであって、
前記有人無人兼用車に設けられた作業情報提示装置と、
複数の荷役作業の各々の作業開始場所を含む前記荷役作業情報を予め記憶している作業情報記憶装置と、
前記有人無人兼用車の位置情報を取得する位置情報取得装置と、
前記作業情報記憶装置に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記有人無人兼用車が行うべき荷役作業を選定する荷役作業選定装置と、
前記荷役作業選定装置によって選定された荷役作業に係る前記荷役作業情報を前記有人無人兼用車および前記作業情報提示装置に配信する作業情報配信装置とを備え、
前記荷役作業選定装置は、前記有人運転モードで動作中の前記有人無人兼用車が前記無人運転モードに切り替わった後に最初に行うべき荷役作業を、前記有人無人兼用車の動作状況に係る情報と、前記位置情報取得装置が取得した前記有人無人兼用車の位置情報とに基づいて選定し、
前記作業情報提示装置は、前記有人運転モードで動作中の前記有人無人兼用車に搭乗しているオペレータに対して、前記荷役作業選定装置によって選定された荷役作業の前記作業開始場所を提示する
ことを特徴とする荷役作業情報配信システム。
【請求項2】
複数の前記有人無人兼用車と通信可能に構成された管理装置を備え、
複数の前記有人無人兼用車の各々に、前記作業情報提示装置が設けられ、
前記管理装置に、前記作業情報記憶装置と、前記荷役作業選定装置と、前記作業情報配信装置とが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役作業情報配信システム。
【請求項3】
前記荷役作業選定装置は、前記有人無人兼用車の動作状況に係る情報と前記有人無人兼用車の位置情報とに基づいて、前記有人無人兼用車が前記作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、当該走行時間または当該走行距離に基づいて、前記有人無人兼用車が行うべき荷役作業を選定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷役作業情報配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能に構成された有人無人兼用車が行う荷役作業に係る荷役作業情報を配信する荷役作業情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オペレータの手動運転により動作する有人運転モードと、オペレータによらず自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、オペレータは、有人運転モードの有人無人兼用車を運転して所定の荷役作業を完了した後、当該荷役作業の作業終了場所から特定の返却場所まで有人無人兼用車を走行させ、当該返却場所で有人無人兼用車から降車し、有人運転モードから無人運転モードに切り替えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−2222108号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、特定の返却場所で有人運転モードから無人運転モードに切り替えられた有人無人兼用車は、次の荷役作業を行うために、その返却場所から次の荷役作業の作業開始場所まで走行する必要がある。したがって、無人運転モードに切り替えられた場所から荷役作業の作業開始場所までの距離が長ければ、移動時間が長くなり、荷役作業の作業効率が悪いという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、荷役作業の作業効率を高めることができる荷役作業情報配信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の荷役作業情報配信システムは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能に構成された有人無人兼用車が行うべき荷役作業に係る荷役作業情報を配信する荷役作業情報配信システムであって、前記有人無人兼用車に設けられた作業情報提示装置と、複数の荷役作業の各々の作業開始場所を含む前記荷役作業情報を予め記憶している作業情報記憶装置と、前記有人無人兼用車の位置情報を取得する位置情報取得装置と、前記作業情報記憶装置に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記有人無人兼用車が行うべき荷役作業を選定する荷役作業選定装置と、前記荷役作業選定装置によって選定された荷役作業に係る前記荷役作業情報を前記有人無人兼用車および前記作業情報提示装置に配信する作業情報配信装置とを備え、前記荷役作業選定装置は、前記有人運転モードで動作中の前記有人無人兼用車が前記無人運転モードに切り替わった後に最初に行うべき荷役作業を、前記有人無人兼用車の動作状況に係る情報と、前記位置情報取得装置が取得した前記有人無人兼用車の位置情報とに基づいて選定し、前記作業情報提示装置は、前記有人運転モードで動作中の前記有人無人兼用車に搭乗しているオペレータに対して、前記荷役作業選定装置によって選定された荷役作業の前記作業開始場所を提示することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の荷役作業情報配信システムは、請求項1に記載の荷役作業情報配信システムにおいて、複数の前記有人無人兼用車と通信可能に構成された管理装置を備え、複数の前記有人無人兼用車の各々に、前記作業情報提示装置が設けられ、前記管理装置に、前記作業情報記憶装置と、前記荷役作業選定装置と、前記作業情報配信装置とが設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の荷役作業情報配信システムは、請求項1または2に記載の荷役作業情報配信システムにおいて、前記荷役作業選定装置は、前記有人無人兼用車の動作状況に係る情報と前記有人無人兼用車の位置情報とに基づいて、前記有人無人兼用車が前記作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、当該走行時間または当該走行距離に基づいて、前記有人無人兼用車が行うべき荷役作業を選定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、荷役作業の作業効率を向上することができる荷役作業情報配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る荷役作業情報配信システムの概要図である。
図2】同実施形態に係るフォークリフトの機能ブロック図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る荷役作業情報配信システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、荷役作業情報配信システムSは、フォークリフト1と、管理装置2と、通信中継装置3とを備えている。荷役作業情報配信システムSは、フォークリフト1が行うべき荷役作業に係る荷役作業情報を、管理装置2から通信中継装置3を介してフォークリフト1に配信する。
【0016】
フォークリフト1は、オペレータWの手動運転により動作する有人運転モードと、オペレータWによらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能に構成された有人無人兼用車である。有人運転モードで動作するフォークリフト1は、当該フォークリフトに搭乗しているオペレータWの指示に基づいて動作することで、任意の荷役作業を行う。また、無人運転モードで動作するフォークリフト1は、管理装置2から受信した荷役作業情報に基づいて自律して動作することで、管理装置2で選定された荷役作業を行う。フォークリフト1は、当該フォークリフト1の動作状況に係る情報を管理装置2に送信する。また、フォークリフト1は、有人運転モードから無人運転モードに切り替わったとき、作業情報要求信号を管理装置2に送信し、管理装置2から荷役作業情報を受信する。
【0017】
管理装置2は、フォークリフト1から作業情報要求信号を受信したとき(すなわち有人運転モードから無人運転モードに切り替わったとき)、用意されている複数の荷役作業から、フォークリフト1が行うべき荷役作業を選定するとともに、その荷役作業に係る荷役作業情報をフォークリフト1に配信する。管理装置2は、複数のフォークリフト1と通信可能に構成されている。
【0018】
通信中継装置3は、フォークリフト1と管理装置2との通信を中継する。通信中継装置3は、無線によりフォークリフト1と通信可能に構成され、有線または無線により管理装置2と通信可能に構成されている。
【0019】
また、荷役作業情報配信システムSは、管理装置2に設けられた構成要素として、作業情報記憶装置21と、荷役作業選定装置22と、通信装置23とを備えている。
作業情報記憶装置21は、フォークリフト1に割り当て可能な複数の荷役作業に係る荷役作業情報を予め記憶している。具体的には、作業情報記憶装置21は、荷役作業情報として、荷役作業の作業開始場所に係る情報、荷物の搬送先の場所に係る情報、および、荷物の搬送ルートに係る情報等を記憶している。
【0020】
荷役作業選定装置22は、フォークリフト1に割り当て可能な複数の荷役作業から、無人運転モードのフォークリフト1が行うべき荷役作業を選定する(すなわちフォークリフト1に割り当てる荷役作業を決定する)。本実施形態では、荷役作業選定装置22は、有人運転モードで動作中のフォークリフト1が無人運転モードに切り替えられたとき、そのフォークリフト1がその無人運転モードで最初に行うべき荷役作業を、作業情報記憶装置21が記憶している荷役作業の作業開始場所に係る情報と、後述する位置情報取得装置15(図2参照)が取得したフォークリフト1の位置情報とに基づいて選定する。具体的には、荷役作業選定装置22は、複数の荷役作業の各々の作業開始場所に係る情報とフォークリフト1の位置情報とに基づいて、フォークリフト1が作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、その走行時間または走行距離に基づいて、複数の荷役作業のうち作業開始場所までの走行時間または走行距離が比較的または最も短い荷役作業を、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業として選定する。こうして、荷役作業選定装置22は、無人運転モードに切り替えられたときのフォークリフト1の位置に近い場所を作業開始場所とする荷役作業を、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業として選定する。
【0021】
通信装置23は、通信中継装置3を介してフォークリフト1と通信する。通信装置23は、荷役作業選定装置22によって選定された荷役作業に係る荷役作業情報をフォークリフト1に配信する作業情報配信装置として機能する。また、通信装置23は、フォークリフト1から当該フォークリフトの動作状況に係る情報を受信し、かつ、フォークリフト1から当該フォークリフト1の位置情報を受信し、かつ、フォークリフト1から作業情報要求信号を受信する受信装置として機能する。
【0022】
図2は、フォークリフト1の簡略化した機能ブロック図を示している。
図2に示すように、荷役作業情報配信システムSは、フォークリフト1の構成要素として、有人運転用操作装置11と、運転モード切替装置12と、通信装置13と、制御装置14と、位置情報取得装置15とを備えている。
【0023】
有人運転用操作装置11は、アクセルレバー、デッドマン式ブレーキペダル、および、ステアリングハンドル等により構成されている。有人運転用操作装置11は、有人運転モードのフォークリフト1を動作させるために、オペレータWにより操作される。
【0024】
運転モード切替装置12は、有人運転モードと無人運転モードとを切り替えるために、オペレータWにより操作される装置である。有人運転モードで動作中のフォークリフト1は、そのフォークリフト1から降車するオペレータWにより運転モード切替装置12が操作されることで、無人運転モードに切り替わる。また、無人運転モードで動作中のフォークリフト1は、そのフォークリフト1に乗車したオペレータWにより運転モード切替装置12が操作されることで、有人運転モードに切り替わる。
【0025】
通信装置13は、通信中継装置3を介して管理装置2と通信する。通信装置13は、管理装置2から荷役作業情報を受信する作業情報受信装置として機能する。また、通信装置13は、フォークリフト1の動作状況に係る情報を送信し、かつ、位置情報取得装置15で取得したフォークリフト1の位置情報を管理装置2に送信し、かつ、有人運転モードから無人運転モードに切り替えられたときに作業情報要求信号を管理装置2に送信する送信装置として機能する。
【0026】
制御装置14は、有人運転モードでは、オペレータWによる有人運転用操作装置11の操作内容に基づいて、フォークリフト1を制御する。また、制御装置14は、無人運転モードでは、通信装置13で受信した荷役作業情報に基づいて、荷役作業を行うようにフォークリフト1を制御する。
【0027】
位置情報取得装置15は、フォークリフト1の位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得装置15は、フォークリフト1が走行する走行路の各所に設けられた磁気マークを磁気センサにより検出することで、フォークリフト1の位置情報を取得する。
【0028】
次に、有人運転モードで動作中のフォークリフト1を運転しているオペレータWが、フォークリフト1から降車して無人運転モードに切り替える際の荷役作業情報配信システムSの動作の流れの一例を説明する。
【0029】
オペレータWは、有人運転モードのフォークリフト1を運転して所定の荷役作業を完了した後、当該荷役作業の終了場所からフォークリフト1を走行させることなく、当該荷役作業の終了場所でフォークリフト1から降車し、有人運転モードから無人運転モードに切り替える。無人運転モードに切り替えられたフォークリフト1は、通信装置13により、作業情報要求信号とフォークリフト1の位置情報を管理装置2に送信する。
【0030】
次いで、管理装置2は、通信装置23により、作業情報要求信号とフォークリフト1の位置情報をフォークリフト1から受信し、荷役作業選定装置22により、複数の荷役作業のうち、フォークリフト1の位置に近い場所を作業開始場所とする荷役作業を、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業として選定する。次いで、管理装置2は、通信装置23により、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行う荷役作業に係る荷役作業情報をフォークリフト1に送信する。
【0031】
そして、無人運転モードのフォークリフト1は、通信装置13により、荷役作業情報を管理装置2から受信し、荷役作業選定装置22により選定された荷役作業を行うように動作する。すなわち、フォークリフト1は、無人運転モードに切り替えられた場所から、フォークリフト1の位置に近い荷役作業の作業開始場所まで走行した後、荷役作業を行う。
【0032】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)荷役作業の作業開始場所に係る情報とフォークリフト1(有人無人兼用車)の位置情報とに基づいて、荷役作業の作業開始場所までのフォークリフト1の移動時間が短くなるように、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行う荷役作業の選定が可能である。したがって、無人運転モードに切り替えられた場所から荷役作業の作業開始場所までのフォークリフト1の移動時間を短くすることができ、荷役作業の作業効率を向上することができる。また、移動時間を短くすることで、フォークリフト1の走行によるエネルギー消費を低減することができる。さらに、有人運転モードでのフォークリフト1の運転を終了するオペレータWは、フォークリフト1を特定の返却場所まで走行させて降車する必要がないため、荷役作業の終了後に速やかにフォークリフト1から降車し、無人運転モードに切り替えることが可能である。
【0033】
(2)複数のフォークリフト1と通信可能に構成された管理装置2に、作業情報記憶装置21と、荷役作業選定装置22と、通信装置23(作業情報配信装置)とを設けることで、1台の管理装置2により、複数のフォークリフト1の各々が行う荷役作業を選定し、複数のフォークリフト1に荷役作業情報を配信することができる。
【0034】
(3)荷役作業選定装置22は、作業開始場所に係る情報とフォークリフト1の位置情報とに基づいて、フォークリフト1が作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、その走行時間または走行距離に基づいて、フォークリフト1が行うべき荷役作業を選定する。この構成によれば、フォークリフト1の作業開始場所までの走行時間または走行距離を精確に算出することで、フォークリフト1の位置に近い場所を作業開始場所とする荷役作業を精確に選定することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図面を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略または簡略化し、第1実施形態との相違点を詳しく説明する。
【0036】
図3に示すように、荷役作業情報配信システムSは、フォークリフト1と、管理装置2と、通信中継装置3と、作業情報提示装置4とを備えている。荷役作業情報配信システムSは、フォークリフト1が行うべき荷役作業に係る荷役作業情報を、管理装置2から通信中継装置3を介してフォークリフト1および作業情報提示装置4に配信する。
【0037】
管理装置2は、フォークリフト1が有人運転モードであるとき(すなわちフォークリフト1にオペレータWが搭乗しているとき)、用意されている複数の荷役作業から、フォークリフト1が無人運転モードで行うべき荷役作業を選定するとともに、その荷役作業に係る荷役作業情報を作業情報提示装置4に配信する。具体的には、管理装置2は、用意されている複数の荷役作業から、フォークリフト1が行う荷役作業を選定するとともに、その荷役作業に係る荷役作業情報を作業情報提示装置4に配信する。こうして、本実施形態では、管理装置2は、フォークリフト1だけでなく作業情報提示装置4にも荷役作業情報を配信する。
【0038】
通信中継装置3は、フォークリフト1と管理装置2との通信を中継するとともに、作業情報提示装置4と管理装置2との通信を中継する。通信中継装置3は、フォークリフト1を介して作業情報提示装置4と通信可能に構成されている。
【0039】
作業情報提示装置4は、フォークリフト1に設けられており、オペレータWに対して、少なくとも荷役作業の作業開始場所を提示する。具体的には、作業情報提示装置4は、フォークリフト1が有人運転モードで動作しているときに、管理装置2から通信中継装置3およびフォークリフト1を介して荷役作業情報を受信し、フォークリフト1に搭乗しているオペレータWに対して、当該荷役作業情報に含まれる荷役作業の作業開始場所を提示する。こうして、作業情報提示装置4は、有人運転モードで動作中のフォークリフト1に搭乗しているオペレータWに対して、荷役作業選定装置22によって選定された荷役作業の作業開始場所を提示する。作業情報提示装置4は、複数のフォークリフト1に設けることが可能に構成されている。
【0040】
本実施形態では、荷役作業選定装置22は、有人運転モードで動作中のフォークリフト1が無人運転モードに切り替わった後に当該無人運転モードで最初に行うべき荷役作業を、フォークリフト1の動作状況に係る情報と、位置情報取得装置15(図2参照)が取得したフォークリフト1の位置情報とに基づいて選定する。具体的には、荷役作業選定装置22は、フォークリフト1の動作状況に係る情報とフォークリフト1の位置情報とに基づいて、フォークリフト1が荷役作業を終了する作業終了場所を予測する。例えば、フォークリフト1が荷物の荷置き動作中であるとき、そのフォークリフト1の位置を作業終了場所として予測する。そして、荷役作業選定装置22は、作業情報記憶装置21に記憶されている複数の荷役作業の各々の作業開始場所に係る情報に基づいて、フォークリフト1が作業終了場所から作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、その走行時間または走行距離に基づいて、複数の荷役作業のうち作業開始場所までの走行時間または走行距離が比較的または最も短い荷役作業を、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業として選定する。こうして、荷役作業選定装置22は、荷役作業を終えた有人運転モードで動作中のフォークリフト1の位置に近い場所を作業開始場所とする荷役作業を、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業として選定する。
【0041】
また、フォークリフト1が備える通信装置13(図2参照)は、管理装置2および作業情報提示装置4と通信する。通信装置13は、管理装置2から荷役作業に係る荷役作業情報を受信し、当該荷役作業情報を作業情報提示装置4に送信する。
【0042】
次に、有人運転モードのフォークリフト1を運転しているオペレータWが、フォークリフト1から降車して無人運転モードに切り替える際の荷役作業情報配信システムSの動作の流れの一例を説明する。なお、作業情報提示装置4は、フォークリフト1が有人運転モードでの動作中に、荷役作業情報として少なくとも作業開始場所に係る情報を予め受信していることを前提とする。
【0043】
オペレータWは、有人運転モードのフォークリフト1を運転して所定の荷役作業を完了した後、作業情報提示装置4によって提示された無人運転モードで最初に行われるべき荷役作業の作業開始場所を参照して、有人運転モードで行った荷役作業の作業終了場所から無人運転モードで最初に行われるべき荷役作業の作業開始場所までフォークリフト1を走行させる。そして、オペレータWは、無人運転モードで最初に行われるべき荷役作業の作業開始場所でフォークリフト1から降車し、有人運転モードから無人運転モードに切り替える。無人運転モードに切り替えられたフォークリフト1は、荷役作業に係る情報に基づいて直ちに荷役作業を開始する。
【0044】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(4)作業情報提示装置4により、フォークリフト1(有人無人兼用車)に搭乗しているオペレータWに対して、フォークリフト1が無人運転モードで最初に行うべき荷役作業の作業開始場所の提示が可能である。したがって、有人運転モードでのフォークリフト1の運転を終了するオペレータWは、作業情報提示装置4により提示された作業開始場所を参照し、荷役作業の終了後に無人運転モードに係る荷役作業の作業開始場所まで走行させた後、フォークリフト1から降車し、無人運転モードに切り替えることが可能である。したがって、オペレータWは、フォークリフト1を特定の返却場所まで走行させて降車する必要がなく、無人運転モードに切り替えられたフォークリフト1の移動時間を短くすることができ、荷役作業の作業効率を向上することができる。
【0045】
(5)複数のフォークリフト1の各々に、作業情報提示装置4を設け、複数のフォークリフト1と通信可能に構成された管理装置2に、荷役作業選定装置22と、通信装置23(作業情報配信装置)とを設けることで、1台の管理装置2により、複数のフォークリフト1の各々が行う荷役作業を選定し、複数のフォークリフト1および作業情報提示装置4に荷役作業情報を配信することができる。
【0046】
(6)荷役作業選定装置22は、フォークリフト1の動作状況に係る情報とフォークリフト1の位置情報とに基づいて、フォークリフト1が作業開始場所まで走行するときの走行時間または走行距離を算出し、その走行時間または走行距離に基づいて、フォークリフト1が行うべき荷役作業を選定する。この構成によれば、フォークリフト1の動作状況に係る情報とフォークリフト1の位置情報とに基づいて、有人運転モードで動作中のフォークリフト1が荷役作業を終了する場所を予測することができ、フォークリフト1の作業開始場所までの走行時間または走行距離を精確に算出することで、フォークリフト1の位置に近い場所を作業開始場所とする荷役作業を精確に選定することができる。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0048】
・第1実施形態において、荷役作業情報配信システムSが、第2実施形態の作業情報提示装置4を備えることもできる。また、本変形例および第2実施形態(すなわち、荷役作業情報配信システムSが作業情報提示装置4を備える構成)において、管理装置2が、フォークリフト1が有人運転モードで行うべき荷役作業を選定し、その荷役作業に係る荷役作業情報を作業情報提示装置4に配信することで、有人運転モードで動作中のフォークリフト1を運転するオペレータWに、荷役作業選定装置22で選定された荷役作業を行わせるように構成してもよい。
【0049】
・荷役作業情報配信システムSが作業情報提示装置4を備える構成において、管理装置2と作業情報提示装置4とが、フォークリフト1を介さずに通信可能に構成されていてもよい。また、フォークリフト1と管理装置2とが、作業情報提示装置4を介して通信可能に構成されていてもよい。
【0050】
・フォークリフト1の位置情報が、フォークリフト1から管理装置2に随時送信されるように構成してもよい。この場合、無人運転モードに切り替えに伴うフォークリフト1の位置情報の送信を省くことができる。
【0051】
・位置情報取得装置15は、走行路の各所に設けられたマークをイメージセンサにより検出することで、フォークリフト1の位置情報を取得してもよい。また、位置情報取得装置15は、衛星測位システムを利用してフォークリフト1の位置情報を取得してもよい。すなわち、フォークリフト1の位置情報を取得できるのであれば、位置情報取得装置15の構成を適宜変更してもよい。
【0052】
・フォークリフト1が走行するエリアの各所にセンサを位置情報取得装置として設けて、それらのセンサによるフォークリフト1の検出結果に基づいてフォークリフト1の位置情報を取得してもよい。この場合、フォークリフト1に位置情報取得装置15を設ける必要がなくなる。
【符号の説明】
【0053】
1 フォークリフト(有人無人兼用車)
2 管理装置
3 通信中継装置
4 作業情報提示装置
15 位置情報取得装置
21 作業情報記憶装置
22 荷役作業選定装置
23 通信装置(作業情報配信装置)
S 荷役作業情報配信システム
【要約】
【課題】荷役作業の作業効率を向上することができる荷役作業情報配信システムを提供する。
【解決手段】有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能なフォークリフト1が行うべき荷役作業に係る荷役作業情報を配信する荷役作業情報配信システムSは、作業開始場所を含む荷役作業情報を記憶している作業情報記憶装置21と、フォークリフト1の位置情報を取得する位置情報取得装置と、フォークリフト1が行うべき荷役作業を選定する荷役作業選定装置22と、荷役作業選定装置22によって選定された荷役作業に係る荷役作業情報をフォークリフト1に配信する通信装置23とを備える。荷役作業選定装置22は、無人運転モードに切り替えられたフォークリフト1が当該無人運転モードで最初に行うべき荷役作業を、作業情報記憶装置21が記憶している荷役作業の作業開始場所に係る情報と、フォークリフト1の位置情報とに基づいて選定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3