(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライダユニットは、前記弾性チューブの膨張を一部規制して前記弾性チューブの先端側に前記第1の流体供給管と連通する第1の圧力室を形成するとともに、前記第1の圧力室からの圧力を受けて前記弾性チューブ上を移動可能な第1のスライダと、前記弾性チューブの膨張を一部規制して前記弾性チューブの基端側に前記第2の流体管と連通する第2の圧力室を形成するとともに、前記第2の圧力室からの圧力を受けて前記弾性チューブ上を移動可能な第2のスライダと、を備え、
前記ブレーキは、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対間隔が狭いとき、前記弾性チューブの径方向に突出するように変位し、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対間隔が広いとき、前記弾性チューブの長手方向に沿って退避するように変位するブレーキ部材を有することを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
前記可撓チューブは、前記第1の流体供給管及び前記第2の流体供給管が許容する流体の流量よりも小さい流量にて前記弾性チューブ内の流体を排出するリーク孔を有することを特徴とする請求項3に記載の移動装置。
前記弾性チューブと前記スライダユニットとの間に介装されて前記弾性チューブの弾性変形を制限するメッシュチューブを有することを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
前記付勢部材は、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの間において前記弾性チューブの外周側に介装されるコイルスプリングであることを特徴とする請求項7に記載の移動装置。
前記ブレーキ部材は、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対間隔が狭められたとき前記弾性チューブの拡径方向に突出するように湾曲し、且つ、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対間隔が広げられたとき前記弾性チューブの長手方向に沿って退避するように伸張するブレーキベルトであることを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
前記ブレーキ部材は、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対距離が狭められたとき、自由端側が揺動によって前記弾性チューブの拡径方向に突出するように変位し、且つ、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対距離が広げられたとき、前記自由端側が揺動によって前記弾性チューブの長手方向に沿って退避するように変位する揺動体を有することを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
前記ブレーキ部材は、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対距離が狭められたとき、リンク機構によって前記弾性チューブの拡径方向に突出するように変位し、且つ、前記第1のスライダと前記第2のスライダとの相対距離が広げられたとき、前記リンク機構によって前記弾性チューブの長手方向に沿って退避するように変位する接触部材を有することを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブの先端側の内部に連通する第1の流体供給管或いは前記弾性チューブの基端側の内部に連通する第2の流体供給管の少なくとも何れか一方を介して前記弾性チューブの内部に供給或いは排出する流体の圧力を当該弾性チューブの先端側と基端側とで不等に制御し、前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットを所望の移動方向へと相対移動させるスライダユニット移動手順と、
前記スライダユニットに設けられたブレーキを径方向に変形させて対象物に摺接させるブレーキ作動手順と、
前記第1の流体供給管或いは前記第2の流体供給管の少なくとも何れか一方を介して前記弾性チューブの内部に供給或いは排出する流体の圧力を当該弾性チューブの前記先端側と前記基端側とで不等に制御し、前記スライダユニットに対して前記弾性チューブを前記移動方向へと相対移動させる弾性チューブ移動手順と、
前記ブレーキの前記対象物に対する摺接を解除するブレーキ解除手順と、を備えたことを特徴とする移動装置の移動方法。
前記弾性チューブ移動手順の途中において、前記流体調整部から前記第1の流体供給管或いは前記第2の流体供給管の少なくとも何れか一方を介して前記弾性チューブの内部に供給或いは排出する流体の圧力を当該弾性チューブの前記先端側と前記基端側とで等しく制御し、前記スライダユニットに対する前記弾性チューブの相対位置を保持する保持手順を備えたことを特徴とする請求項22に記載の移動装置の移動方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の第1の実施形態に係り、
図1は移動装置の概略構成図、
図2は駆動ユニットの斜視図、
図3は駆動ユニットの分解斜視図、
図4は
図3のIV−IV線に沿う要部断面図、
図5はローラーの斜視図、
図6乃至
図9は駆動ユニットの動作説明図である。
【0011】
図1に示す本実施形態の移動装置1は、例えば、建物等に設けられた配管50(
図6〜9参照)内に内視鏡7(
図2参照)をガイドするためのガイドチューブ5に適用されている。この移動装置1は、ガイドチューブ5の先端に設けられた駆動ユニット2と、この駆動ユニット2に流体としてのエアを供給或いは排出することが可能な流体調整部3と、を有して構成されている。ここで、ガイドチューブ5は、例えば、ポリウレタン等によって構成された可撓性を有する長尺なチューブを主体として構成され、その内部が、内視鏡7等を挿通可能なチャンネル5aとして設定されている。
【0012】
図1〜3に示すように、駆動ユニット2は、流体調整部3から供給される流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形(膨張収縮)可能な弾性チューブ10と、この弾性チューブ10の断面形状の変化に応じて当該弾性チューブ10上を長手方向に進退移動可能なスライダユニット20と、スライダユニット20に設けられたブレーキ30と、を有して構成されている。
【0013】
弾性チューブ10は、ゴムチューブ等の弾性部材によって構成されている。この弾性チューブ10には、内面側に可撓チューブ11が挿通されているとともに、外面側にメッシュチューブ12が被覆されている。
【0014】
可撓チューブ11は、例えば、弾性チューブ10の内部圧力に対して変形不能な剛性を有するポリウレタン等からなるチューブによって構成されている。この可撓チューブ11の外径は、弾性チューブ10の内径と同等、或いは、弾性チューブ10の内径よりも若干大径に形成されている。これにより、可撓チューブ11の外周面には自然状態にあるときの弾性チューブ10の内周面が面接触され、可撓チューブ11は、所定の可撓性を有して弾性チューブ10を支持することが可能となっている。また、可撓チューブ11の内径は、ガイドチューブ5の内径と同等に形成され、これにより、可撓チューブ11の内部は、ガイドチューブ5のチャンネル5aと一連のチャンネル11aとして設定されている。
【0015】
メッシュチューブ12は、例えば、伸縮不能なPET(ポリエチレンテレフタラート)繊維等を網目状に織り込んだチューブによって構成されている。このメッシュチューブ12は、網目の変形可能な範囲を限度として外径方向に変形することが可能となっている。これにより、メッシュチューブ12は、弾性チューブ10が局所的に膨張することを防止しつつ、弾性チューブ10が長手方向に略均一な所定の外径にて膨張することを許容する。
【0016】
これら弾性チューブ10、可撓チューブ11、及び、メッシュチューブ12の先端側には、リング状をなす先端側終端部材13が設けられている。この先端側終端部材13には、内周側に可撓チューブ11の先端側が接着固定されるとともに、外周側に弾性チューブ10及びメッシュチューブ12の先端側が接着固定されている。そして、この先端側終端部材13との接着により、弾性チューブ10の先端側は、可撓チューブ11の先端側と気密な状態にて連結されている。
【0017】
また、先端側終端部材13には、流体としてのエアを流通可能な第1の流体供給管15の先端側が保持され、この第1の流体供給管15の先端開口部が、弾性チューブ10の先端側の内部(より具体的には、弾性チューブ10の内周面と可撓チューブ11の外周面との間)に連通されている。
【0018】
なお、配管50等に対する挿入性を向上するため、先端側終端部材13の外周面には、先細り形状をなすテーパ面13aが形成されている。
【0019】
同様に、弾性チューブ10、可撓チューブ11、及び、メッシュチューブ12の基端側には、リング状をなす基端側終端部材14が設けられている。この基端側終端部材14には、内周側に可撓チューブ11の基端側が接着固定されるとともに、外周側に弾性チューブ10及びメッシュチューブ12の基端側が接着固定されている。そして、この基端側終端部材14との接着により、弾性チューブ10の基端側は、可撓チューブ11の基端側と気密な状態にて連結されている。
【0020】
また、基端側終端部材14には、流体としてのエアを流通可能な第2の流体供給管16の先端側が保持され、この第2の流体供給管16の先端開口部が、弾性チューブ10の基端側の内部(より具体的には、弾性チューブ10の内周面と可撓チューブ11の外周面との間)に連通されている。
【0021】
さらに、基端側終端部材14の内周側には、ガイドチューブ5の先端側が接着固定されている。なお、本実施形態においては、基端側終端部材14を介して、ガイドチューブ5と可撓チューブ11とを連結した構成について例示しているが、これらを一体のチューブによって構成することも可能である。
【0022】
スライダユニット20は、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第1スライダ21と、この第1のスライダ21よりも基端側において、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第2のスライダ22と、これら第1,第2のスライダ21,22を離間方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング23と、を有して構成されている。
【0023】
図1,4に示すように、各スライダ21,22は、リング状をなすスライダ本体25と、このスライダ本体25に軸支された複数のローラー26と、を有して構成されている。
【0024】
図4,5に示すように、各ローラー26は、断面形状が部分円弧状をなす転動面26aを有して構成されている。各ローラー26は、スライダ本体25の内周側に環状に配列された状態にて軸支され、これら各ローラー26の転動面26aにより、各スライダ21,22の内周には環状をなす一連の押圧面が形成されている。
【0025】
そして、このように形成された押圧面により、第1のスライダ21は、メッシュチューブ12を介して、弾性チューブ10の内周面を可撓チューブ11の外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、弾性チューブ10の断面形状の変形が第1のスライダ21の移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第1のスライダ21よりも先端側には、第1の流体供給管15に連通する第1の圧力室17が形成される。
【0026】
同様に、第2のスライダ22は、メッシュチューブ12を介して、弾性チューブ10の内周面を可撓チューブ11の外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、弾性チューブ10の断面形状の変形が第2のスライダ22の移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第2のスライダ22よりも基端側には、第2の流体供給管16に連通する第2の圧力室18が形成される。
【0027】
コイルスプリング23は、第1のスライダ21と第2のスライダ22との間において、メッシュチューブ12の外周側(すなわち、弾性チューブ10の外周側)に介装されている。
【0028】
ブレーキ30は、例えば、厚手のベルト等によって構成されたブレーキ部材としての複数のブレーキベルト31を有して構成されている。
図2,3に示すように、各ブレーキベルト31は、コイルスプリング23の外周側において環状に配列され、第1,第2のスライダ21,22のスライダ本体25,25間に架設されている。これにより、各ブレーキベルト31は、第1のスライダ21と第2のスライダ22との相対間隔がコイルスプリング23の付勢力に抗して狭められたとき、弾性チューブ10の径方向に弓なりに突出するように湾曲することが可能となっている。一方、各ブレーキベルト31は、第1のスライダ21と第2のスライダ22との相対間隔がコイルスプリング23の付勢力によって広げられたとき、弾性チューブ10の長手方向に沿って直線状に退避するよう伸張することが可能となっている。
【0029】
図1に示すように、流体調整部3は、作動流体であるエアを圧縮するためのコンプレッサ35と、コンプレッサ35によって圧縮されたエアの空気圧を予め設定された基準圧に調整するためのレギュレータ36と、レギュレータ36で基準圧に調圧されたエアの空気圧を任意の制御圧Pに調圧するための電空比例弁37と、電空比例弁37を駆動制御するための制御用計算機38と、を有して構成されている。
【0030】
本実施形態において、電空比例弁37には第1の流体供給管15と第2の流体供給管16とが接続され、電空比例弁37は、これら第1,第2の流体供給管15,16を介して、第1,第2の圧力室17,18に対し、それぞれ個別の制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
【0031】
この場合において、電空比例弁37は、例えば、第1,第2の圧力室17,18に供給するエアの制御圧Pとして、第1の制御圧P1と、この第1の制御圧P1よりも所定圧高い第2の制御圧P2を調圧することが可能となっている。
【0032】
電空比例弁37は、第1,第2の流体供給管15,16を個別に大気開放することにより、第1,第2の圧力室17,18に供給されたエアを排出することが可能となっている。
【0033】
ここで、エアの供給及び排出によって第1,第2の圧力室17,18が膨張及び収縮を繰り返す際に、弾性チューブ10と可撓チューブ11との相対位置にズレが発生する等して、弾性チューブ10の一部が重なった状態で可撓チューブ11上に支持される等の現象を防止するため、可撓チューブ11と弾性チューブ10との間にズレ防止用のストッパリング40を介装することが望ましい。この場合、ストッパリング40は、弾性チューブ10の長手方向に対するスライダユニット20の移動範囲を規定するためのストッパとしての機能を兼用させることが望ましい。
【0034】
また、例えば、第1,第2の流体供給管15,16を大気開放した際の第1,第2の圧力室17,18内へのエアの残留を防止するため、或いは、第1,第2の圧力室17,18から第1,第2のスライダ21,22間に漏れ入ったエアを弾性チューブ10の外部に排出するため、可撓チューブ11にリーク孔41を設けることが望ましい。この場合、リーク孔41は、第1,第2の流体供給管15,16が流通するエアの流量よりも十分小さいリーク量にてエアをリークさせることが可能な孔径に設定されていることが望ましい。また、リーク孔41は、可撓チューブ11の長手方向に沿って所定間隔毎に設けられていることが望ましく、リーク孔41が設けられる間隔は、例えば、第1,第2のスライダ21,22が最接近しているときの間隔よりも短く設定されていることが望ましい。このように設定することで、第1,第2のスライダ21,22の間隔に関わらず、第1の圧力室17と第2の圧力室18との間に漏れ入ったエアを弾性チューブ10の外部に排出することができる。
【0035】
次に、このように構成された移動装置1の移動方法の一例について、
図6〜
図9を参照して説明する。ここで、本実施形態において、ガイドチューブ5及び駆動ユニット2に設定されたチャンネル5a,11aには内視鏡7が挿通され(
図2参照)、これにより移動装置2は、ガイドチューブ5及び内視鏡7とともに、観察装置を構成することが可能となっている。
【0036】
先ず、配管50内に移動装置1の駆動ユニット2が挿入された後、
図6に示すように、使用者等が配管50外でガイドチューブ5を把持した状態にて流体調整部3に対する所定の操作入力が行われると、流体制御部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧したエアを、第2の流体供給管16を通じて第2の圧力室18に供給する。これにより、第2の圧力室18は膨張を開始し、この膨張による圧力を第2のスライダ22が受けることにより、スライダユニット20は、弾性チューブ10上を基端側から先端側へと移動する。すなわち、弾性チューブ10に対してスライダユニット20を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させるスライダユニット移動手順が実現される。
【0037】
そして、
図7に示すように、先端側に位置するストッパリング40によってスライダユニット20の先端側への移動が規制された後も、第1の制御圧P1により生じる力がコイルスプリング23の付勢力に対して大きければ、第2のスライダ22は、第2の圧力室18からの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1のスライダ21に接近する。これにより、スライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31は弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形して配管50の内周面に摺接される。すなわち、ブレーキ30を対象物である配管50に摺接させるブレーキ作動手順が実現される。
【0038】
その後、
図8に示すように、使用者等がガイドチューブ5に対する把持を解放した後、流体調整部3に対する所定の操作入力が行われると、流体制御部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧したエアを、第1の流体供給管15を通じて第1の圧力室17に供給する。これにより、第1の圧力室17は膨張を開始し、この膨張による圧力を第1のスライダ21が受けることにより、スライダユニット20には、第1,第2のスライダ21,22の接近状態を維持したまま、弾性チューブ10上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の圧力室17に供給された第2の制御圧P2は、第2の圧力室18に供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、スライダユニット20には、第2の圧力室18を基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、スライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31は配管50の内壁に摺接されているため、配管50内におけるスライダユニット20の位置は不変のまま、駆動ユニット2が配管50内を前進する。そして、この駆動ユニット2の移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管50内を前進する。すなわち、スライダユニット20に対して弾性チューブ10を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させる弾性チューブ移動手順が実現される。
【0039】
その後、基端側に位置するストッパリング40によってスライダユニット20と弾性チューブ10との相対移動が規制された後、使用者等により流体調整部3に対する操作入力が行われると、流体制御部3は、制御用計算機38による電空比例弁37に対する制御を通じて、第1,第2の圧力室17,18へのエアの供給を停止させ、さらに、第1,第2の流体供給管15,16を大気開放する。これにより、
図9に示すように、スライダユニット20の第1,第2のスライダ21,22はコイルスプリング23の付勢力によって離間され、各ブレーキベルト31による配管50の内壁に対する摺接が解除される。すなわち、ブレーキ30の配管50に対する摺接を解除するブレーキ解除手順が実現される。
【0040】
その後、
図6〜
図9に示した手順が繰り返されることにより、駆動ユニット2を配管50内においてさらに前進させることができる。ここで、
図7〜9中において、「B」は配管50の内壁にブレーキベルト31が摺接したときのスライダユニット20の基準位置を示し、「T」は基準位置Bに対して相対移動する駆動ユニット2の先端位置を示す。なお、詳細な説明は省略するが、上述と逆の手順を行うことにより、前進時と同様のパフォーマンスにて駆動ユニット2を後退させることも可能である。
【0041】
なお、上述の実施例では、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の圧力室18に供給し、先端側に位置するストッパリング40によってスライダユニット20の先端側への移動を規制し、スライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31を弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形させて配管50の内周面に摺接させることが記載されている。
【0042】
これに限らず、例えばストッパリング40に到達する前に第2の制御圧P2に調圧されたエアを第1の圧力室17に供給してもよい。この場合、第1の圧力室17に供給された第2の制御圧P2は、第2の圧力室18に供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、スライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31を弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形させて配管50の内周面に摺接させた状態で、スライダユニット20を弾性チューブ10の基端側方向に相対的に押し戻す力を作用させることが可能となる。すなわち、スライダユニット20がストッパリング40に到達する前のタイミングで、上述のブレーキ作動手順、及び、ガイドチューブ移動手順を適宜実現することができる。
【0043】
また、ストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第1の圧力室17に供給してもよい。この場合、第1,第2の圧力室17,18に供給された制御圧は共にP1であるため、スライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31を弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形させて配管50の内周面に摺接させた状態で、スライダユニット20及び弾性チューブ10をその場に停止させることが可能となる。この状態で、例えば内視鏡7を用いて観察することが可能となる。すなわち、スライダユニット20に対する弾性チューブ10の相対位置を保持する保持手順を実現することができる。さらに、別の場所を観察したい場合に、一方の圧力を上昇(例えば、第2の制御圧P2に調圧)又は低下(例えば、大気開放により排出)させることにより、スライダユニット20と弾性チューブ10とを再び相対移動させることも可能である。
【0044】
このような実施形態によれば、流体であるエアによって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブ10と、弾性チューブ10の断面形状の変化に応じて弾性チューブ10の長手方向に進退移動可能なスライダユニット20と、スライダユニット20に設けられ、弾性チューブ10の径方向に変形して対象物である配管50の内壁に摺接可能なブレーキ30と、弾性チューブ10の先端側及び基端側の内部にそれぞれ連通する第1,第2の流体供給管15,16と、弾性チューブ10の内部に第1,第2の流体供給管15,16を介してそれぞれエアを供給或いは排出する流体調整部3と、を備えて移動装置1を構成することにより、簡単な構成により、狭空間内における速やかな移動を実現することができる。
【0045】
すなわち、流体であるエアの圧力によってスライダユニット20の進退移動を行うことにより、電動式のアクチュエータ等を用いた場合に比べ、スライダユニット20を機敏な動作にて進退移動させることができる。また、スライダユニット20の進退移動距離は、弾性チューブ10の長さ調整によって任意に設定することができ、弾性チューブ10を長く設定すれば、駆動ユニット2が一連の動作によって配管50内を進退するストロークを長くすることができ、より効率的に、狭空間内における速やかな移動を実現することができる。加えて、駆動ユニット2は、弾性チューブ10内に供給されるエアによってスライダユニット20を動作させる流体式のアクチュエータを用いて構成されているため、電動式のアクチュエータ等を用いた場合に比べ、構造を簡素化することができる。
【0046】
この場合において、弾性チューブ10の断面形状の膨張を一部規制して弾性チューブ10の先端側に第1の流体供給管15と連通する第1の圧力室17を形成し、この第1の圧力室17からの圧力を受けて弾性チューブ10上を移動可能な第1のスライダ21と、弾性チューブ10の断面形状の膨張を一部規制して弾性チューブ10の先端側に第2の流体供給管16と連通する第2の圧力室18を形成し、この第2の圧力室18からの圧力を受けて弾性チューブ10上を移動可能な第2のスライダ22と、を有してスライダユニット20を構成し、さらに、これら第1,第2のスライダ21,22間に架設するブレーキベルト31を用いてブレーキ30を構成することにより、弾性チューブ10の先端側及び基端側に対する2系統の流体供給のみにより、スライダユニット20の進退移動とブレーキ30の動作とを実現することができ、駆動ユニット2の構成をより簡素化することができる。
【0047】
また、可撓チューブ11を弾性チューブ10に挿通することにより、当該可撓チューブ11を芯材として機能させることができ、弾性チューブ10の折曲等を防止して配管50に対する駆動ユニット2の挿入性を向上できるとともに、スライダユニット20の安定的な進退動作を実現することができる。
【0048】
また、弾性チューブ10の弾性変形を制限するメッシュチューブ12を弾性チューブ10とスライダユニット20との間に介装することにより、弾性チューブ10の局所的な膨張等を防止して弾性チューブ10の内部圧力をスライダユニット20に効率良く伝達することができる。さらに、メッシュチューブ12を介装することにより、スライダユニット20が弾性チューブ10に直接的に接触しながら長手方向に移動する場合に比べ、スライダユニット20の摺動抵抗を格段に低減することができる。
【0049】
次に、
図10乃至
図14は本発明の第2の実施形態に係り、
図10は移動装置の概略構成図、
図11は駆動ユニットの斜視図、
図12乃至
図14は駆動ユニットの動作説明図である。なお、本実施形態は、ガイド管の先端側に前後一対の駆動ユニットを配設した点が、上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0050】
図10,11に示すように、本実施形態の移動装置1は、ガイドチューブ5の先端において前後に対をなして設けられた第1,第2の駆動ユニット2A,2Bと、これら第1,第2の駆動ユニット2A,2Bに流体としてのエアを供給或いは排出することが可能な流体調整部3と、を有して構成されている。
【0051】
ここで、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bは、上述の第1の実施形態で説明した駆動ユニット2と略同様の構成であるが、本実施形態においては、第1の駆動ユニット2Aの基端側終端部材と第2の駆動ユニット2Bの先端側終端部材とが一体の終端部材19によって構成されている。
【0052】
また、本実施形態の流体調整部3は、第1の駆動ユニット2Aに形成された第1,第2の圧力室17,18、及び、第2の駆動ユニット2Bに形成された第1,第2の圧力室17,18のそれぞれに対して、個別にエアを供給或いは排出することが可能となっている。
【0053】
次に、このように構成された移動装置1の作用の一例について、
図11〜
図14を参照して説明する。
【0054】
先ず、配管50内に移動装置1の第1,第2の駆動ユニット2A,2Bが挿入された後、使用者等により流体調整部3に対する操作入力が行われると、流体調整部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の駆動ユニット2Bの第1の流体供給管15を通じて第1の圧力室17に供給する。これにより、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20は、弾性チューブ10上を先端側から基端側へと移動する。そして、基端側に位置するストッパリング40によって第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20の基端側への移動が規制された後も、第1のスライダ21は、第1の制御圧P1により生じる力がコイルスプリング23の付勢力に対して大きければ第1の圧力室17からの圧力を受けてさらに基端側へと移動し、コイルスプリング23の付勢力に抗して第2のスライダ22に接近する。これにより、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31は弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形して配管50の内周面に摺接される。その後、使用者等により流体調整部3に対する操作入力が行われると、流体調整部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第1の駆動ユニット2Aの第2の流体供給管16を通じて第2の圧力室18に供給する。これにより、第1の駆動ユニット2Aのスライダユニット20は、弾性チューブ10上を基端側から先端側へと移動する。すなわち、第1の駆動ユニット2Aの弾性チューブ10に対して第1の駆動ユニット2Aのスライダユニット20を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させる第1のスライダユニット移動手順が実現される。
【0055】
そして、
図13に示すように、先端側に位置するストッパリング40によって、第1の駆動ユニット2Aのスライダユニット20の先端側への移動が規制された後も、第2のスライダ22は、第1の制御圧P1二より生じる力がコイルスプリング23の付勢力に抗して大きければ第2の圧力室18からの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1のスライダ21に接近する。これにより、第1の駆動ユニット2Aのスライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31は弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形して配管50の内周面に摺接される。すなわち、第1の駆動ユニット2Aのブレーキ30を対象物である配管50に摺接させる第1のブレーキ作動手順が実現される。その後、使用者等により流体調整部3に対する操作入力が行われると、流体調整部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第2の駆動ユニット2Bの第1の流体供給管15を大気開放するとともに、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の駆動ユニット2Bの第2の流体供給管16を通じて第2の圧力室18に供給する。これにより、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20は、弾性チューブ10上を基端側から先端側へと移動する。すなわち、第2の駆動ユニット2Bのブレーキ30の配管に対する摺接を解除する第2のブレーキ解除手順、及び、第2の駆動ユニット2Bの弾性チューブ10に対して第2の駆動ユニット2Bのスライダ30を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させる第2のスライダユニット移動手順が順次実現される。
【0056】
そして、先端側に位置するストッパリング40によって、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20の先端側への移動が規制された後も、第2のスライダ22は、第1の制御圧P1二より生じる力がコイルスプリング23の付勢力に対して大きければ第2の圧力室18からの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1のスライダ21に接近する。これにより、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット20に設けられたブレーキ30の各ブレーキベルト31は弾性チューブ10の径方向に弓なりに変形して配管50の内周面に摺接される。すなわち、第2の駆動ユニット2Bのブレーキ30を配管50に摺接させる第2のブレーキ作動手順が実現される。そして、このように、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの各スライダユニット20が何れも先端側に位置し、ブレーキ30によって配管50内に保持された状態において、使用者等により流体調整部3に対する操作入力が行われると、流体調整部3は、制御用計算機38の電空比例弁37に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの各第1の流体供給管15を通じて第1の圧力室17にそれぞれ供給する。これにより、
図14に示すように、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの各第1の圧力室17は膨張を開始し、この膨張による圧力を各第1のスライダ21が受けることにより、各スライダユニット20には、各第1,第2のスライダ21,22の接近状態を維持したまま、各弾性チューブ10上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの各第1の圧力室17に供給された第2の制御圧P2は、各第2の圧力室18に供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、各スライダユニット20には、各第2の圧力室18を基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、各スライダユニット20に設けられた各ブレーキ30の各ブレーキベルト31は配管50の内壁に摺接されているため、配管50内における各スライダユニット20の位置は不変のまま、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bが一体的に配管50内を前進する。そして、これら第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管50内を前進する。すなわち、第1の駆動ユニット2Aのスライダユニット30に対して第1の駆動ユニット2Aの弾性チューブ10を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させると共に、第2の駆動ユニット2Bのスライダユニット30に対して第2の駆動ユニット2Bの弾性チューブ10を所望の移動方向(図示の例では前進方向)へと相対移動させるガイドチューブ移動手順が実現される。なお、詳細な説明は省略するが、上述と逆の手順を行うことにより、前進時と同様のパフォーマンスにて第1,第2の駆動ユニット2A,2Bを後退させることも可能である。さらに、上述の第1の実施形態と同様の制御等により、任意のタイミングにおいて、保持手順等を実現することも可能である。
【0057】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態で説明した効果に加え、前後に対をなす第1,第2の駆動ユニット2A,2Bを有することにより、使用者等によるガイドチューブ5の把持動作等を必要とすることなく、自律移動することが可能であるという効果を奏する。
【0058】
次に、
図15は本発明の第3の実施形態に係り、
図15は内視鏡に組み込まれた駆動ユニットの斜視図である。なお、本実施形態は、移動装置を観察装置の一例である内視鏡に適用した点が、上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0059】
図15に示すように、本実施形態の内視鏡60は、長尺な挿入部61の先端に、駆動ユニット2を有して構成されている。
【0060】
また、駆動ユニット2を構成する先端側終端部材13には、観察部として、例えば、照明光学系である照明レンズ62と、図示しない撮像素子等に被写体像を結像するための対物光学系である観察窓63と、が設けられている。
【0061】
さらに、先端側終端部材13からは、配管50内において駆動ユニット2をリードするリード用突起64が突設されている。
【0062】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
次に、
図16乃至
図21は本発明の第4の実施形態に係り、
図16は駆動ユニットの斜視図、
図17はブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットの斜視図、
図18はブレーキ部材の要部を示す分解斜視図、
図19は配管内においてブレーキが非作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図20は配管内においてブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図21は屈曲した配管内を通過する際のスライダユニットの状態を模式的に示す要部断面図である。なお、本実施形態は、スライダユニットに設けられたブレーキの構成が、上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0064】
図19,20に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Cを構成するスライダユニット70は、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第1のスライダ21と、この第1のスライダ21よりも基端側において、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第2のスライダ22と、これら第1,第2のスライダ21,22を離間方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング23と、を有して構成されている。
【0065】
ここで、第1のスライダ21には、当該第1のスライダ21の軸心方向に沿って基端側(第2のスライダ22側)に延在する複数のガイド用突起21aが設けられている。これらのガイド用突起21aは、コイルスプリング23の外周側において、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図16,17参照)。また、各ガイド用突起21aの両側部には、第1のスライダ21の軸心方向に沿って延在するガイド溝21bがそれぞれ設けられている。
【0066】
また、第2のスライダ22には、当該第2のスライダ22の軸心方向に沿って先端側(第1のスライダ21側)に延在する複数のガイド用突起22aが設けられている。これらのガイド用突起22aは、コイルスプリング23の外周側において、第1のスライダ21のガイド用突起21aとそれぞれ対向するよう、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図16,17参照)。また、各ガイド用突起22aの両側部には、第2のスライダ22の軸心方向に沿って延在するガイド溝22bがそれぞれ設けられている。
【0067】
図16〜
図18に示すように、このようなスライダユニット70の第1,第2のスライダ21,22間には、ブレーキ80を構成する複数のブレーキ部材81が架設されている。
【0068】
本実施形態の各ブレーキ部材81は、第1のスライダ21に支持された第1の揺動体82と、第2のスライダ22に支持された第2の揺動体83と、を有して構成されている。
【0069】
第1の揺動体82は、第1のスライダ21において隣接するガイド用突起21a,21aの間に配設されている(
図16,17参照)。第1の揺動体82の先端側(固定端側)には軸部84が設けられ(
図18参照)、この軸部84の両端が、ガイド用突起21a,21aに設けられたガイド溝21b,21bにそれぞれ係入されている(
図19,20参照)。これにより、第1の揺動体82は、ガイド溝21b、21bに沿って第1のスライダ21の軸心方向に進退移動可能、且つ、第1のスライダ21の拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起21a,21a間に支持されている。
【0070】
また、第1の揺動体82の基端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部86が設けられている。この係止爪部86は、第1の揺動体82と一体的に揺動することが可能となっており、第1の揺動体82が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、第1の揺動体82には、係止爪部86の一部を覆うための爪カバー82aが一体形成されている。
【0071】
第2の揺動体83は、第2のスライダ22において隣接するガイド用突起22a,22aの間に配設されている(
図16,17参照)。第2の揺動体83の基端側(固定端側)には軸部85が設けられ(
図18参照)、この軸部85の両端が、ガイド用突起22a,22aに設けられた各ガイド溝22b,22bにそれぞれ係入されている(
図19,20参照)。これにより、第2の揺動体83は、第1の揺動体82に対向する位置で、ガイド溝22b,22bに沿って第2のスライダ22の軸心方向に進退移動可能、且つ、第2のスライダ22の拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起22a,22a間に支持されている。
【0072】
また、第2の揺動体83の先端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部87が設けられている。この係止爪部87は、第2の揺動体83と一体的に揺動することが可能となっており、第2の揺動体83が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、第2の揺動体83には、係止爪部87の一部を覆うための爪カバー83aが一体形成されている。
【0073】
更に、第1,第2の揺動体82,83の間には、これらの自由端側(すなわち、第1の揺動体82の基端側と、第2の揺動体83の先端側)を連結するための連結部材88が設けられている。本実施形態において、連結部材88は、所定の弾性を有する帯状のゴムプレートによって構成されている。
【0074】
このように構成された駆動ユニット2Cにおいて、第1,第2の圧力室17,18が大気開放されている場合には、コイルスプリング23の付勢力により、第1,第2のスライダ21,22は、互いに離間する方向に付勢されている。そして、この付勢力により、例えば、
図16,19に示すように、第1,第2の揺動体82,83は第1,第2のスライダ21,22の軸心方向に沿って倒伏されている。
【0075】
すなわち、第1,第2のスライダ21,22が互いに離間する方向に付勢された場合には、第1の揺動体82の固定端側(軸部84)はガイド溝21bの基端側まで相対移動され、第2の移動体の固定端側(軸部85)はガイド溝22bの先端側まで相対移動される。さらに、第1,第2の揺動体82,83の固定端側に第1,第2のスライダ21,22からの牽引力が伝達されることにより、第1,第2の移動体82,83の自由端側は、連結部材88を介して互いに牽引される。これにより、第1,第2の揺動体82,83は、第1,第2のスライダ21,22の軸心方向に沿って倒伏される。
【0076】
そして、このように第1,第2の揺動体82,83が倒伏されることにより、各係止爪部86,87は、第1,第2のスライダ21,22の間に収納される。
【0077】
一方、例えば、第1,第2の圧力室17,18内にエアが供給され、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に移動されると、
図17,20に示すように、第1,第2の揺動体82,83は、拡径方向に起立される。
【0078】
すなわち、第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に付勢されると、第1の揺動体82の固定端側(軸部84)はガイド溝21bの先端側まで移動され、第2の揺動体83の固定端側(軸部85)はガイド溝22bの基端側まで移動される。そして、第1,第2のスライダ21,22がさらに接近すると、第1,第2の揺動体82,83の固定端側に、第1,第2のスライダ21,22からの押圧力が伝達される。これにより、連結部材88が弓なりに弾性変形され、この連結部材88の弾性変形による斥力により、第1,第2の揺動体82,83は、拡径方向に起立される。これら第1,第2のスライダ21,22は、互いに対向するガイド用突起21a、22aの端部が当接する位置まで接近させることが可能であり、このように第1,第2のスライダ21,22が最接近したとき、第1,第2の揺動体82,83は最も拡径された状態にて起立される。
【0079】
このような第1,第2の揺動体82,83の拡径方向の変位に伴い、係止爪部86,87は拡径方向に変位し、配管50の内壁等の対象物に摺接される。そして、これらの係止爪部86,87の摺接により、スライダユニット70は、配管50内等における移動が禁止される。
【0080】
より具体的には、スライダユニット70の基端側に向けて所定の仰角を有して傾斜するブレーキ80の係止爪部86が配管50の内壁等に摺接されることにより、スライダユニット70は、基端側(退避側)への移動が禁止される。一方、スライダユニット70の先端側に向けて所定の仰角を有して傾斜する係止爪部87が配管50の内壁等に摺接されることにより、スライダユニット70は、先端側(進出側)への移動が禁止される。
【0081】
この場合において、第1,第2の揺動体82,83の固定端側(各軸部84,85)はガイド溝21b,22bを介してスライダユニット70に支持されているため、第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に移動を開始した場合にも、これら第1,第2のスライダ21,22からの押圧力が第1,第2の揺動体82,83に対して直ちに伝達されることはない。換言すれば、第1,第2のスライダ21,22と、第1,第2の揺動体82,83との間には、各ガイド溝21b、22bによって遊びが設けられている。従って、例えば、
図21に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Cは、屈曲された配管50内を進退移動する際にも、各ガイド溝21b,22bが各軸部84,85の移動を許容する範囲内において、第1,第2の揺動部材82,83を拡径動作させることなく、第1,第2のスライダ21,22を相対的に変位させることが可能である。
【0082】
なお、各ガイド用突起21a,22aの突出長、各ガイド溝21b,22bの長さ、及び、各係止爪部86,87の長さ等は、駆動ユニット2Cが適用される配管50の内径等に応じて適宜チューニングされている。
【0083】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態で説明した効果に加え、配管50等の対象物に対して係止爪部86,87を摺接させる構成を採用することにより、配管50内においてスライダユニット70を確実に保持することができ、ガイドチューブ5に対して、より確実に推進力を伝達することができる。
【0084】
ここで、本実施形態においては、第1,第2の揺動体82,83に対し、接触部材として、突出長の異なる2種類以上の係止爪部をそれぞれ設けることも可能である。
【0085】
例えば、
図22〜
図24に示す変形例において、第1の揺動体82の自由端側には突出長の異なる第1の係止爪部86a及び第2の係止爪部86bが設けられ、第2の揺動体83の自由端側には突出長の異なる第1の係止爪部87a及び第2の係止爪部87bが設けられている。
【0086】
第1,第2の係止爪部86a,86bのうち、第1の揺動体82の拡径方向の外側に設けられた第1の係止爪部86aは、第2の係止爪部86bよりも相対的に短く設定されている。
【0087】
この場合において、第1の係止爪部86aは、例えば、内径がD1の配管50Aに適合するものである。この第1の係止爪部86aの長さは、例えば、
図23に示すように、第1の揺動体82が最大拡径位置に到達する前の拡径位置において配管50Aの内周面に摺接するよう設定されている。
【0088】
また、第2の係止爪部86bは、例えば、内径がD2(D2>D1)の配管50Bに適合するものである。この第2の係止爪部86bの長さは、例えば、
図24に示すように、第1の揺動体82が最大拡径位置に到達したとき配管50Bの内周面に摺接するよう設定されている。
【0089】
同様に、第1,第2の係止爪部87a,87bのうち、第2の揺動体83の拡径方向の内側に設けられた第1の係止爪部87aは、第2の係止爪部87bよりも相対的に短く設定されている。
【0090】
この場合において、第1の係止爪部87aは、例えば、内径がD1の配管50Aに適合するものである。この第1の係止爪部87aの長さは、例えば、
図23に示すように、第1の揺動体83が最大拡径位置に到達する前の拡径位置において配管50Aの内周面に摺接するよう設定されている。
【0091】
また、第2の係止爪部87bは、例えば、内径がD2(D2>D1)の配管50Bに適合するものである。この第2の係止爪部87bの長さは、例えば、
図24に示すように、第1の揺動体83が最大拡径位置に到達したとき配管50Bの内周面に摺接するよう設定されている。
【0092】
このような構成によれば、例えば、配管の内径が途中で変化する管路内等においても、スライダユニット70を確実に保持することができ、ガイドチューブ5に対して、より確実に推進力を伝達することができる。
【0093】
また、例えば、
図25〜
図27に示すように、第2の係止爪部86b、87bを弓状に湾曲形成する、もしくは先端部のみを曲げた形状とすることも可能である。このように構成すれば、第2の係止爪部86b,87bを第1の係止爪部86a,87aと略同位置に配置しつつ、異なる内径の配管50A,50Bに対して摺接させることができる。また、異なる内径の配管50A、50Bに対して、最も保持しやすい角度で摺接させることができる。
【0094】
また、本実施形態において、係止爪部86,87を、第1,第2の揺動体82,83に対して交換可能な構成とすることも可能である。
【0095】
例えば、
図28〜
図30に示す変形例において、係止爪部86,87は、第1,第2の揺動体82,83に対し、ビス89を用いて着脱自在に固定されている。
【0096】
なお、本変形例においては、例えば、
図29,30に示すように、硬質な板状の連結部材90が採用され、この連結部材90は、第1,第2の揺動体82,83の各自由端側に、シート状の弾性体91を介して連結されている。
【0097】
このような構成によれば、適用される配管50の内径Dに応じて、最適な長さの係止爪部86,87を用いることができるので、配管50内においてスライダユニット70を確実に保持することができ、ガイドチューブ5に対して、より確実に推進力を伝達することができる。
【0098】
また、
図31,32のように、メッシュチューブ12(弾性チューブ10及び可撓チューブ11)の外周側にスライダユニット70を着脱しやすくするために、当該スライダユニット70を2つに分けて組立可能にしても良い。
図31,32に示す例では、スライダユニット70は、長手方向に沿って第1のスライダユニット分割体70Aと、第2のスライダユニット分割体70Bとに分割されている。また、スライダユニット70の内部には、コイルスプリング23に代えて、バネ性を有するジャバラ部材24が設けられている。このジャバラ部材24には、メッシュチューブ12(弾性チューブ10及び可撓チューブ11)の外周側に対する着脱を容易にするための切り込みが長手方向に沿って設けられている。
【0099】
本変形例において。ジャバラ部材24は、切り込みを拡開変形させることにより、メッシュチューブ12の外周側に装着される。その後、第1,第2のスライダユニット分割体70A,70Bはジャバラ部材24を両側から覆うように接合され、接合された第1,第2のスライダユニット分割体70A,70Bは、両端に固定リング71が固定されることにより、分離不能に保持される。なお、スライダユニット70の両端と各固定リング71はネジ形状で固定できるようにそれぞれおねじ、めねじ形状を有する、もしくは他に横から止めねじで固定することも可能である。
【0100】
次に、
図33,
図34は本発明の第5の実施形態に係り、
図33は配管内においてブレーキが非作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図34は配管内においてブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図である。なお、本実施形態は、スライダユニットに設けられたブレーキ部をリンク機構によって構成した点が、上述の第4の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第4の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0101】
図33,34に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Dにおいて、第1の揺動体82の基端側(自由端側)には、当該第1の揺動体82と一体的に揺動可能な第1のアーム部82bが設けられている。
【0102】
また、第2の揺動体83の先端側(自由端側)には、当該第2の揺動体83と一体的に揺動可能な第2のアーム部83bが設けられている。
【0103】
また、第1のアーム部82bと第2のアーム部83bとの間には、剛性を有する接触部材としてのブレーキ板93が設けられている。
【0104】
また、これら第1のアーム部82b、ブレーキ板93、及び、第2のアーム部83bの表面には弾性を有する一連のシート材94が貼着されている。そして、このシート材94を介して連結されることにより、ブレーキ板93は、第1のアーム部82b及び第2のアーム部83bに対して屈曲変位することが可能となっている。
【0105】
さらに、シート材94の表面には、配管50の内周面に接触した際の摩擦抵抗を増大させるための摩擦部材としての斜毛94aが設けられている。斜毛94aは異なる方向(ここでは前後)に保持可能なように交互に角度を持った形状を配置したり、混在させたりする。
【0106】
なお、斜毛ではなく摩擦を発生させるようにシート材94の表面を荒らしたり、ゴムシートを貼り付けても良い。
【0107】
このように構成された駆動ユニット2Dにおいて、第1,第2の圧力室17,18が大気開放されている場合には、コイルスプリング23の付勢力により、第1,第2のスライダ21,22は、互いに離間する方向に付勢されている。そして、この付勢力により、例えば、
図33に示すように、第1,第2の揺動体82,83は第1,第2のスライダ21,22の軸心方向に沿って倒伏され、第1のアーム部82b、ブレーキ板93、及び、第2のアーム部83bは、略直線状に並んだ退避位置に位置される。
【0108】
一方、例えば、第1,第2の圧力室17,18内にエアが供給され、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に移動されると、例えば、
図34に示すように、第1,第2のアーム部82b,83bは、ブレーキ板93を拡径方向に移動させながら、第1,第2の揺動体82,83とともに拡径方向に変位される。これにより、ブレーキ板93は、シート材94を介して配管50の内周面に摺接される。
【0109】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0110】
ここで、本実施形態においては、他の構成のリンク機構によってブレーキ部81を構成することも可能である。
【0111】
例えば、
図35,36に示す変形例において、第1の揺動体82の自由端側には当該第1の揺動体82と一体的に揺動可能な接触部材としての係止爪部95が設けられ、第2の揺動体83の自由端側には当該第2の揺動体83と一体的に揺動可能な接触部材としての係止爪部96が設けられている。
【0112】
さらに、互いに対向する第1,第2の揺動体82,83に設けられた各係合爪部95,96の中途は、軸部97を介して連結されている。各係止爪部95、96は先端が斜めにセット、配管に対して固定(引っかかる)しやすい形状になっている。
【0113】
このような構成においても、上述の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0114】
すなわち、第1,第2の圧力室17,18が大気開放されている場合には、コイルスプリング23の付勢力により、第1,第2のスライダ21,22は、互いに離間する方向に付勢されている。そして、この付勢力により、例えば、
図35に示すように、第1,第2の揺動体82,83は、係合爪部95,96とともに、軸部97を中心として倒伏方向に回動される。
【0115】
一方、例えば、第1,第2の圧力室17,18内にエアが供給され、コイルスプリング23の付勢力に抗して第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に移動されると、例えば、
図36に示すように、第1,第2のアーム部82,83は、係合爪部95,96とともに、軸部97を中心として拡径方向に回動される。これにより、各係合爪部95,96は、配管の内周面に摺接される。
【0116】
また、例えば、
図37,38に示す変形例において、第1のスライダ21に設けられた各ガイド用突起21aの間にはガイド溝21bに沿って進退移動可能な第1の移動体102が設けられ、第2のスライダ22に設けられた各ガイド用突起22aの間にはガイド溝22bに沿って進退移動可能な第2の移動体103が設けられている。
【0117】
また、第1の移動体102の基端側には弾性体106を介して接触部材としての係止爪部104が連結され、第2の移動体103の先端側には弾性体107を介して接触部材としての係止爪部105が連結されている。
【0118】
さらに、互いに対向する第1,第2の移動体102,103に設けられた各係合爪部104,105の中途は、軸部108を介して連結されている。
【0119】
このような構成においても、上述の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0120】
次に、
図39乃至
図41は本発明の第6の実施形態に係り、
図39は駆動ユニットの斜視図、
図40は配管内においてブレーキが非作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図41は配管内においてブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図である。なお、本実施形態は、第1,第2の揺動体の支持構造が上述の第4の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第4の実施形態と略同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0121】
図39〜
図41に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Eを構成するブレーキ80は、第1,第2のスライダ21,22間に架設する円筒部材110を有して構成されている。
【0122】
この円筒部材110の中途には、第1,第2のスライダ21,22の軸心方向に延在する複数のスリット110aが所定間隔毎に設けられ、スリット110a間に形成された板状部110bが拡径方向に屈曲可能となっている。
【0123】
すなわち、本実施形態の円筒部材110は、各板状部110bの先端及び基端が当該円筒部材110の外周側から見て谷折り方向に屈曲可能となっており、各板状部110bの中央が山折り方向に屈曲可能となっている。
【0124】
これにより、第1,第2のスライダ21,22が互いに接近する方向に付勢されたとき、円筒部材110に形成された各板状部110bは、平坦な状態(
図38参照)から、拡径方向に屈曲変形(
図41参照)することが可能となっている。
【0125】
また、各板状部110bには、その中央を基準とする対象位置に、係合爪部86,87がビス89を用いて着脱自在に固定されている。
【0126】
このような実施形態によれば、上述の第4の実施形態と略同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0127】
また、円筒部材110にスリット110cのみによってブレーキ80の第1,第2の係止爪部86,87を一体形成する構成を採用することも可能である。すなわち、例えば、
図42のように長手方向のスリットを複数個所設け、その間にくしば形状のスリット110cを入れた構造でもよい。このような構成によれば、円筒部材110が両側から押し込まれると山折り部分は折れ曲がり拡径するとともに、くしば状のスリット110cによって形成された第1,第2の係止爪部86,87が径方向に広がり、配管に対して接触させることができる。
【0128】
次に、
図43乃至
図45は本発明の第7の実施形態に係り、
図43はスライダユニット及びブレーキの要部を示す分解斜視図、
図44は配管内においてブレーキが非作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図45は配管内においてブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図である。なお、本実施形態は、スライダユニット70の構成が、上述の第4の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第4の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0129】
図43〜
図45に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Fを構成するスライダユニット70は、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第1のスライダ21と、この第1のスライダ21よりも基端側において、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第2のスライダ22と、これら第1,第2のスライダ21,22を離間方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング23と、コイルスプリング23の外周側に配設される第1,第2の内筒部材27,28と、を有して構成されている。
【0130】
ここで、第1のスライダ21には、当該第1のスライダ21の軸心方向に沿って基端側(第2のスライダ22側)に延在する複数のガイド用突起21aが設けられている。これらのガイド用突起21aは、コイルスプリング23の外周側において、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図43参照)。また、各ガイド用突起21aの両側部には、軸受孔21cがそれぞれ設けられている。
【0131】
また、第2のスライダ22には、当該第2のスライダ22の軸心方向に沿って先端側(第1のスライダ21側)に延在する複数のガイド用突起22aが設けられている。これらのガイド用突起22aは、コイルスプリング23の外周側において、第1のスライダ21のガイド用突起21aとそれぞれ対向するよう、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図43参照)。また、各ガイド用突起22aの両側部には、軸受孔22cがそれぞれ設けられている。
【0132】
そして、軸受孔21c,22cには、第1,第2の揺動体82,83に設けられた軸部84,85が係入されている。
【0133】
第1の内筒部材27は略円筒形状をなす部材によって構成され、この第1の内筒部材27の先端側には、第1のスライダ21のガイド用突起21aが外嵌されている。また、第1の内筒部材27の基端側には軸心方向に延在する複数のスリット27aが等間隔毎に設けられている。
【0134】
第2の内筒部材28は略円筒形状をなす部材によって構成され、この第2の内筒部材28の基端側には、第2のスライダ22のガイド用突起22aが外嵌されている。また、第2の内筒部材28の先端側には軸心方向に延在する複数のスリット28aが等間隔毎に設けられている。さらに、第2の内筒部材28の先端側は、第1の内筒部材27の基端側に対し、軸心方向に相対移動可能となるよう嵌合されている。
【0135】
このような実施形態によれば、上述の第4の実施形態と略同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0136】
次に、
図46乃至
図48は本発明の第8の実施形態に係り、
図46は駆動ユニットの斜視図、
図47は配管内においてブレーキが非作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図48は配管内においてブレーキが作動状態にあるときの駆動ユニットを模式的に示す要部断面図である。なお、本実施形態は、第1の揺動体82と第2の揺動体83との間にコイル120を介装した点が、上述の第4の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第7の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0137】
図46〜
図48に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Gを構成するスライダユニット70は、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第1のスライダ21と、この第1のスライダ21よりも基端側において、メッシュチューブ12を介して弾性チューブ10の外周側に装着された第2のスライダ22と、これら第1,第2のスライダ21,22を離間方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング23と、を有して構成されている。
【0138】
ここで、第1のスライダ21には、当該第1のスライダ21の軸心方向に沿って基端側(第2のスライダ22側)に延在する複数のガイド用突起21aが設けられている。これらのガイド用突起21aは、コイルスプリング23の外周側において、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図44参照)。また、各ガイド用突起21aの両側部には、軸受孔がそれぞれ設けられている(図示せず)。
【0139】
また、第2のスライダ22には、当該第2のスライダ22の軸心方向に沿って先端側(第1のスライダ21側)に延在する複数のガイド用突起22aが設けられている。これらのガイド用突起22aは、コイルスプリング23の外周側において、第1のスライダ21のガイド用突起21aとそれぞれ対向するよう、所定間隔毎隔てて環状に配列されている(
図44参照)。また、各ガイド用突起22aの両側部には、軸受孔がそれぞれ設けられている(図示せず)。
【0140】
このようなスライダユニット70の第1,第2のスライダ21,22間には、ブレーキ80を構成する複数のブレーキ部材81が設けられている。
【0141】
本実施形態の各ブレーキ部材81は、第1のスライダ21に支持された第1の揺動体82と、第2のスライダ22に支持された第2の揺動体83と、を有して構成されている。
【0142】
第1の揺動体82は、第1のスライダ21において隣接するガイド用突起21a,21aの間に配設されている。第1の揺動体82の先端側(固定端側)には軸部84が設けられ、この軸部84の両端が、ガイド用突起21a,21aに設けられた軸受孔にそれぞれ係入されている。これにより、第1の揺動体82は、第1のスライダ21の拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起21a,21a間に支持されている。
【0143】
また、第1の揺動体82の基端側(自由端側)には、係止爪部86が設けられている。この係止爪部86は、第1の揺動体82と一体的に揺動することが可能となっており、第1の揺動体82が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、第1の揺動体82には、係止爪部86の一部を覆うための爪カバー82aが一体形成されている。
【0144】
第2の揺動体83は、第2のスライダ22において隣接するガイド用突起22a,22aの間に配設されている。第2の揺動体83の基端側(固定端側)には軸部85が設けられ、この軸部85の両端が、ガイド用突起22a,22aに設けられた軸受孔にそれぞれ係入されている。これにより、第2の揺動体83は、第1の揺動体82に対向する位置で、第2のスライダ22の拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起22a,22a間に支持されている。
【0145】
また、第2の揺動体83の先端側(自由端側)には、係止爪部87が設けられている。この係止爪部87は、第2の揺動体83と一体的に揺動することが可能となっており、第2の揺動体83が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、第2の揺動体83には、係止爪部87の一部を覆うための爪カバー83aが一体形成されている。
【0146】
更に、第1,第2の揺動体82,83の間には、コイル部材120が介装されている。
【0147】
このコイル部材120の先端側には、第1のスライダ21に設けられた各ガイド用突起21aの端面に対向する第1のリング部材121が設けられ、この第1のリング部材121は、第1の揺動部材82の基端側に対し、リンクアーム123を介してそれぞれ連結されている。
【0148】
またコイル部材120の基端側には、第2のスライダ22に設けられた各ガイド用突起22aの端面に対向する第2のリング部材122が設けられ、この第2のリング部材122は、第2の揺動部材83の先端側に対し、リンクアーム124を介してそれぞれ連結されている。
【0149】
このような実施形態によれば、上述の第4の実施形態で得られる作用効果に加え、コイル部材120を介して第1,第2の揺動体83,84を離間させたことにより、ブレーキ80上における最大硬質長を短く設定することができ、屈曲した配管内等に対しても挿入性を向上することができる。
【0150】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
【0151】
例えば、上述の各実施形態においては、駆動ユニットを作動させるための流体としてエアを採用した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弾性チューブに内部圧力を付与可能な流体であれば適宜変更が可能であり、エア以外の各種気体、又は、水或いは油等の液体を用いることも可能である。
【0152】
また、上述の各実施形態においては、建物等に設けられた配管内を移動するための移動装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各種機械に設けられた配管内部、H形鋼のフランジ間、I形鋼や溝形鋼のリップ間、或いは、瓦礫の内部等のような、間隔の狭い壁部によって形成された狭空間内を移動するための各種移動装置に適用することも可能である。
【0153】
また、上述の各実施形態においては、弾性チューブに対し、内周側に可撓チューブを挿通するとともに、外周側にメッシュチューブを被覆した構成の一例について説明したが、これら可撓チューブやメッシュチューブ等については、弾性チューブの弾性特性や移動装置の用途等に応じて適宜省略することも可能である。
【0154】
また、上述の各実施形態においては、1又は2の駆動ユニットを用いて移動装置を構成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3以上の駆動ユニットを用いて移動装置を構成することも可能である。
【0155】
また、上述の各実施形態では、一連の手順を使用者等の操作入力に応じて実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、制御用計算機において自動で行うことも可能である。
【0156】
また、上述の各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0157】
本出願は、2015年2月27日に日本国に出願された特願2015−39324号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。