(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤの接地面の変位を測定して前記接地面の山部と溝部の判別を可能とする距離データを生成する変位測定部と、前記接地面を撮影して接地面画像データを生成する撮像部と、前記接地面画像データから前記距離データを参照して前記接地面における前記溝部の領域からひび割れを検出するための評価領域を抽出して評価領域画像データを生成する評価領域抽出部と、前記評価領域画像データに対し前記溝部の平均的な色彩との差によるノイズを平滑化処理して除去した平滑化処理画像データを生成する平滑化処理部と、前記平滑化処理画像データから前記溝部と前記ひび割れの色彩が変化する境界部をエッジとして検出するエッジ処理をすることで前記ひび割れの前記境界部を明確化したエッジ処理画像データを生成するエッジ検出処理部と、前記エッジ処理画像データの前記ひび割れの前記境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データを生成する劣化評価部と、前記ひび割合データを出力する出力部と、前記タイヤを収容する筐体と、を有し、この筐体の内部にはタイヤを支持して転動させる一対のローラーと、前記変位測定部と前記撮像部を搭載して収容された前記タイヤの接地面の幅方向に走査可能なスライダーと、このスライダー及び前記ローラーの駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とするタイヤ劣化評価システム。
前記スライダーは前記一対のローラーの中間位置に設けられ、前記制御部は、前記変位測定部によって得られる前記タイヤの接地面との距離情報及び前記ローラーの位置情報からタイヤ径を演算し、このタイヤ径と前記ローラーの回転情報からタイヤ転動角度を演算することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ劣化評価システム。
タイヤの接地面の変位を測定して前記接地面の山部と溝部の判別を可能とする距離データを生成する変位測定部と、前記接地面を撮影して接地面画像データを生成する撮像部と、前記接地面画像データから前記距離データを参照して前記接地面における前記溝部の領域からひび割れを検出するための評価領域を抽出して評価領域画像データを生成する評価領域抽出部と、前記評価領域画像データに対し前記溝部の平均的な色彩との差によるノイズを平滑化処理して除去した平滑化処理画像データを生成する平滑化処理部と、前記平滑化処理画像データから前記溝部と前記ひび割れの色彩が変化する境界部をエッジとして検出するエッジ処理をすることで前記ひび割れの前記境界部を明確化したエッジ処理画像データを生成するエッジ検出処理部と、前記エッジ処理画像データの前記ひび割れの前記境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データを生成する劣化評価部と、を携帯可能な端末に搭載することを特徴とするタイヤ劣化評価システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムについて
図1−
図10を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムのブロック図である。
図2は本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムによって実行されるタイヤ劣化評価のフロー図である。本図は、本願発明のタイヤ劣化評価システムの実行工程を表すものである。なお、
図2において、Sで示す工程に関する記載を覆うようにして破線で示しているのは
図1に示されるタイヤ劣化評価装置1の構成要素であり、符号を同一としている。
図1において、タイヤ劣化評価システム1は、変位走査測定部4、撮像部5、処理部3、出力部2及びデータベース群として、処理データベース6と評価データベース7から構成されている。このタイヤ劣化評価システム1は、これらの構成要素を一体にして評価者が手に取って中古タイヤの接地面の表面に近づけることで評価可能な携帯型のシステムを想定することができる。その際の出力部2としては小型のディスプレイ装置やデータ発信部として他の装置へデータを転送するようなものが考えられる。あるいは
図1の構成要素が一体でなくとも変位走査測定部4と撮像部5をセンサとして分離して別体に設けて、有線又は無線でデータを処理部3に送信する場合のようなシステムとしても可能である。さらに、少なくとも変位走査測定部4及び撮像部5を内部に備える筐体内に中古タイヤを搬送してデータを取得し、そのデータをもとに処理部3で評価して結果を出力部2で出力するシステム等を想定することができる。
【0020】
以下、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4は、タイヤのいわゆるトレッドパターンが形成されている接地面に対して垂直に配置され、接地面に形成されるトレッドパターンの山部と溝部を判別可能にその凹凸を、タイヤの接地面の幅方向にセンサを走査させて計測するものである。具体的には、変位走査測定部4との間の距離データ14として測定される。従って、山部と溝部のそれぞれの距離データの差分を取れば、山部に対する溝部の深さ、あるいは溝部に対する山部の高さを得ることが可能である。すなわち、いわゆる残溝を得ることができる。変位走査測定部4として用いられるセンサとしては、レーザー光や赤外線等の電磁波や超音波を放射しその反射波を検知して測距するセンサを用いることが可能である。また、変位走査測定部4はタイヤの接地面を走査するように構成されるのでタイヤの幅に亘ってトレッドパターンの山部と溝部の判別を可能とする距離測定を行うことができる。この変位走査測定部4を用いてタイヤの接地面上における変位を測定するのがステップS1の変位測定工程である。
変位走査測定部4は距離データ14を読み出し可能に処理データベース6に格納する。
なお、本実施の形態においては変位測定部として走査可能な変位走査測定部4を採用しているが、走査しなくともタイヤの接地面の幅方向における山部の高さや溝部の深さを測定可能なものであればよく、走査可能であることは必ずしも必須ではない。
【0021】
本実施の形態において、タイヤ接地面の変位測定を行うのは、残っている溝の深さ(残溝)を定量的に測定することはもちろんであるが、タイヤの接地面にあるトレッドパターンの溝部の位置を把握して、その溝部でひび割れや亀裂の測定を行うための画像を撮影するためである。このように溝部を選択して測定を行う理由について説明する。本願発明が取り扱う中古タイヤは新品のタイヤとは異なり、接地面が使用によって摩耗が進行している。従って、経年劣化によるひび割れが生じ難く、その一方で接地面の山部には使用に伴って突発的な傷や欠けが発生することもある。これらの傷や欠けもタイヤの品質に大きく関わるので、その検知はもちろん重要であるが、経年自体によるゴム材料の純粋な劣化に伴うひび割れや亀裂を検知しようとすると誤差を生じ易く、経年劣化評価に対する高い精度を担保することが困難である。
そこで、通常の使用をしても地面に接することのない接地面の溝部に発生するひび割れや亀裂に着目して、その溝部に発生するひび割れや亀裂で経年劣化を評価することにしたのである。
その溝部を正確に選択可能とするためにはトレッドパターンの山部と溝部を判別可能に変位を測定する必要がある。
【0022】
撮像部5は、タイヤ接地面をトレッドパターンを含めて撮影するものであり、既に周知なCCDセンサやCMOSセンサを用いることが可能である。この撮像部5も走査させる機能を持たせてもよいが、撮像素子は平面的に画像を取り込むことが可能であるので走査させる機能は必要ない場合も多い。この撮像部5を用いてタイヤの接地面を撮影するのが、ステップS2の被測定対象撮像工程である。
撮像部5は撮影した接地面に関する接地面画像データ15を読み出し可能に処理データベース6に格納する。
処理部3の溝幅演算部8は、変位走査測定部4で得られた距離データ14を処理データベース6から読み出して、タイヤの幅方向に差分を取ることで溝幅データ16及び溝部数データ18を生成し、読み出し可能に処理データベース6に格納するものであり、その工程がステップS3の溝幅演算工程である。また、処理部3の溝深さ演算部9は、変位走査測定部4で得られた距離データ14を処理データベース6から読み出して、タイヤのトレッドパターンの山の高さ方向と谷の深さ方向に差分を取ることで、溝深さデータ17を生成し、読み出し可能に処理データベース6に格納するものであり、その工程がステップS4の溝深さ演算工程である。
なお、溝幅演算部8及び溝深さ演算部9は、距離データ14からタイヤの幅方向位置に関するデータを取得して、その位置データを含めて溝幅データ16、溝深さデータ17、溝部数データ18のそれぞれを生成するものである。
本実施の形態では、変位走査測定部4と溝幅演算部8及び溝深さ演算部9を別に設けたが、これを一体としてすべての機能を備えた変位走査測定部4としてもよい。その場合には、ステップS1とステップS3,ステップS4を併せて変位測定工程(S1)とすればよい。
【0023】
撮像部5は接地面画像データ15を生成し、読み出し可能に処理データベース6に格納するものであり、その工程がステップS2の被測定対象撮像工程である。 実際の中古タイヤの表面は
図3(a)に示されるとおりである。この写真では見え難いかもしれないが、中央に垂直に形成される溝部26にひび割れが生じている。しかしながら、タイヤの山部は路面に接地し摩擦と摩耗が発生するためひび割れや亀裂が発生していないように見えると同時に、路面との接地によって生じた細かな傷等が観察できる。この
図3(a)から明らかなように道路に接地していない溝部26のひび割れは細く繋がった形状として観察できるが、山部の傷は細長い形状が見られず、円や矩形に近い点状に分散しているのが観察できる。
なお、本実施の形態では距離データ14と接地面画像データ15を変位走査測定部4と撮像部5という別個のセンサを用いて得たが、前述のとおり、これらの2つの機能を兼ね備えた距離画像センサ等を設けて、1つのセンサから距離データ14と接地面画像データ15のデータを取得するようにしてもよい。
【0024】
処理部3の評価領域抽出部10は、処理データベース6から接地面画像データ15を読み出して、その接地面画像データ15の中から接地面の溝部を選択して、その溝部26において評価領域を抽出して決定するものであり、その工程がステップS5の評価領域抽出工程である。溝部26の選択の際には、評価領域抽出部10は、溝幅データ16、溝深さデータ17及び溝部数データ18を読み出すことでタイヤの接地面上でどの位置に溝部26が存在するかについて判断することが可能である。
溝部26を選択して評価領域を抽出した状態を概念的に示すのが
図3(a)中に符号Aで示す黒色の四角形の範囲であり、その四角形の範囲を抽出したのが
図3(b)に示されるものである。
評価領域抽出部10は接地面画像データ15内で決定した評価領域に関するデータを評価領域画像データ19として処理データベース6に読み出し可能に格納する。
【0025】
平滑化処理部11は、処理データベース6から評価領域画像データ19を読み出し、接地面画像データ15の溝部において抽出された評価領域画像データ19に対し、平滑化によってノイズ除去を行うものであり、その工程がステップS6のノイズ除去処理工程である。測定対象が中古タイヤであるため、その表面には様々な付着物があるが、その付着物の色が黒い場合には溝部26において発生するひび割れが
図3(a)に示されるように黒色であることから画像を処理する際にはノイズとして乗ってしまう。
さらに、本実施の形態においては、平滑化処理部11
によるノイズ除去処理工程S6の後段にエッジ検出処理部12によるひび割れ検出の工程S7が控えているので、黒色でなくとも白色でも溝部26の色との差が大きいとエッジとして検出されることから、白色の付着物によるノイズも除去する必要がある。
そこで、溝部26の平均的な色彩との差が大きな白色や黒色の砂や小石等の付着物によるノイズを排除して劣化測定・評価の精度を向上させるために、画素毎にその周辺の画素を含めた範囲で画像を平滑化することが重要となる。
平滑化処理部11によってノイズ除去された評価領域画像データ19は平滑化処理画像データ20として処理データベース6に読み出し可能に格納される。
【0026】
次に、エッジ検出処理部12は処理データベース6から平滑化処理画像データ20を読み出し、ノイズ除去された平滑化処理画像データ20に対し、エッジ検出処理によってひび割れの箇所を検出するものであり、その工程がステップS7のエッジ検出処理工程である。
本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、中古タイヤの溝部26に発生するひび割れや亀裂を検出するが、その状態は
図3(a)に示されるように細長く続く線状に表れている。したがって、そのひび割れや亀裂を定量的に評価しようとすると、その際(きわ)の部分、すなわち境界部を精度よく定量的に測定し、その量に基づいて評価することが重要である。
発明者らは特許文献5に示す特許出願で溝部26のひび割れの状態の画像をモノクロ2値化して、その白画像と黒画像のデータの面積比を用いてひび割れの量的な評価を行うことを発明したが、発明者らはそれらでもまだ精度の改善の余地があることを見出して、今回の発明に至ったものである。
【0027】
具体的に
図3(a)−(d)を参照しながら説明する。
前述のとおり、
図3(a)はタイヤの接地面を撮像部5によって撮影した接地面画像データ15を示しており、(b)は(a)中の符号Aの黒枠内で示される評価領域画像データ19の概念図であるが、この評価領域画像データ19に対して2通りで処理して比較したのが、(c)と(d)である。
(c)は特許文献5に開示される技術で評価領域画像データ19をモノクロ2値化処理した場合の画像データの概念図であり、(d)は本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1のエッジ検出処理部12によって評価領域画像データ19をエッジ処理した場合のエッジ処理画像データの概念図となっている。
図3(c)と(d)を比較すると明らかであるが、(b)の評価領域画像データ19により近似しているのは(d)である。タイヤの溝部26に発生するひび割れは、路面に接地していないため、タイヤの経年自体によるゴム材料の純粋な劣化を観測することが可能であり、その場合のひび割れや亀裂の形状は細長く連続する線状に形成されることから、これを定量的に評価するためには、その形状に即して定量化できる画像処理が必要であり、発明者らはエッジ検出による処理がひび割れの境界部を精度高く検出することから、ひび割れの定量的な評価には適していることを見出して今回の発明に至ったのである。
【0028】
(c)では溝部26における2値化処理の閾値をどのように設定するかによって、砂や小石等によるノイズが白色となったり黒色となったり反転するので、タイヤ毎に個別の閾値を定める必要がある可能性もあり、複数の中古タイヤを通して全体的にひび割れの形状を把握することに困難な点もある。したがって、色彩が変化する際(きわ)、すなわち境界部をエッジとして検出するエッジ検出処理部12を備えたタイヤ劣化評価システム1の方がすべてのタイヤに対して一貫して、より精度高く溝部におけるひび割れを検出できるのである。
エッジ検出処理部12によってエッジ処理された平滑化処理画像データ20はエッジ処理画像データ21として処理データベース6に読み出し可能に格納される。
劣化評価部13は
図3(d)のように得られるエッジ処理画像データ21を処理データベース6から読み出し、そのエッジ処理画像データ21から白色で表されるエッジ部分の面積と黒色で表されるその他の部分を含めた全体の面積の比率を演算し、その比率をひび割合データ22として生成し、処理データベース6に格納する。
なお、前述のとおり本発明ではひび割れの境界部に着目して、全体の面積に対するその境界部の面積の比率をひび割れデータ22として定量化し、この数値の大小でタイヤ劣化の程度を評価している。したがって、例えば亀裂に幅があって大きい場合には、その亀裂の境界部の抽出による評価が亀裂全体の評価に繋がっていないとも考えられる。しかしながら、亀裂が大きくなっている場合にはもはや劣化を評価するといった段階ではなく、タイヤを廃棄して新しいタイヤへ交換することが早急に必要なレベルであり、しかもそのような場合では目視で簡単に判断できるので、今回の発明による評価の対象外として取り扱うことが可能であり、本発明の利用に全く不都合はない。
【0029】
さらに、劣化評価部13は、予め評価データベース7に格納されている評価閾値データ23を読み出して、劣化評価部13で得られたひび割合データ22を評価して評価ランクデータ24を生成し、評価データベース7に格納する。
具体的には、評価閾値データ23は予め所望に定められるランクに対するひび割合データ22の閾値を含んでおり、その閾値とひび割合データ22を比較してランクに振り分けることでひび割合データ22を評価するのである。
このように劣化評価部13によってひび割合データ22を演算する工程及びそのひび割合データ22を評価閾値データ23でランクとして評価する工程がステップS8である。
劣化評価部13によって示されるランク付けは、タイヤの劣化状態に応じてタイヤをランクに分別することができ、指標として理解が容易であるという効果を発揮する。従って、例えば中古タイヤの流通市場における価格の目安としての利用価値やタイヤ交換の目安としての利用価値が高くなり、中古タイヤの安全性や経済性を高めることが可能である。評価閾値データ23におけるそれぞれの閾値の間隔を広げたり狭めたりすることでランクを大雑把にも詳細にも所望に変更することができるので、用途に応じたランク付け、ランクの分別度合の変更が可能である。なお、ランクはA、B等のアルファベット、甲や乙、適や否等の漢字、1、2等の数字のいずれでも表現されてもよい。
【0030】
出力部2は、処理部3に含まれる各部で実行されたそれぞれの処理内容の結果得られるいずれかのデータを単独あるいは組合せて直接出力データ25として出力したり、各データベースからデータを読み出して出力データ25として外部へ出力するものであり、その工程がステップS9の出力工程である。出力部2の具体例としては、CRT、液晶、プラズマあるいは有機ELなどによるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置などの出力装置、さらには外部装置への伝送を行うためのトランスミッタなどの発信装置などが考えられる。もちろん、外部装置への伝送のための出力に対するインターフェースのようなものであってもよい。
処理データベース6は、処理部3によって処理された距離データ14、接地面画像データ15、溝幅データ16、溝深さデータ17、溝部数データ18、評価領域画像データ19、平滑化処理画像データ20、エッジ処理画像データ21及びひび割合データ22を読み出し可能に格納するデータベースである。
評価データベース7は、劣化評価部13によるタイヤ劣化評価に用いる評価閾値データ23と評価後の評価ランクデータ24を読み出し可能に格納するデータベースである。
以上説明したとおり、本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1によれば、タイヤの接地面の山部と溝部26を判別して、タイヤの使用による摩耗の影響を受けない溝部26におけるひび割れや亀裂を高精度で測定することが可能である。従って、経年劣化の影響で生じるひび割れや亀裂のみを測定することができ、高精度で定量的な劣化評価を実施することができる。さらに、劣化評価部13によってランク評価も可能であることは既に述べたとおりである。
【0031】
次に、本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1の劣化評価部13によって中古タイヤがどのようにランク付けされるか、試作システムを用いて試験を行ったので、その結果について
図4−
図6を参照しながら説明を加える。
図4の(a)−(e)は、それぞれ第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムを評価するために用いられたそれぞれS、A、B、C、Dランクのタイヤの評価領域画像データ概念図である。
図4に示される画像に対するランクS−Dは出願人が一例として定めた中古タイヤの接地面の溝部26におけるひび割れの状態であり、
図4に示されるそれぞれのランクのタイヤは、専門家として中古タイヤの選別に従事する者によって評価されてランク付けされたものである。
これらに示されるそれぞれのランクのタイヤに対し、試作システムを用いてひび割合データ22を求めたのが、
図5に示されるものであり、これをグラフ化したものが
図6である。
図5の各ランクの下に記載されている数字及び
図6の縦軸に記載されている数字はひび割合データ22を百分率(%)で示したものである。
図6のグラフの下方に記載されている数字は
図5の左端に記載されている測定箇所を示す数字と同一である。
【0032】
なお、本実施の形態においては、平滑化処理部11における平滑化処理ではガウシアンフィルターを用い、エッジ検出処理部12におけるエッジ検出処理においてはキャニー法を用いている。
図3(d)に示す画像の際の処理も同様である。
図5に示されるとおり、ランクS−Dのそれぞれで測定回数が異なっているが、そのことについては特に目的を有しているわけではない。中央値は各ランクの測定値群における中央値であり、平均値も各ランクの測定値群における平均値である。
また、
図6に示される実線は各ランクにおける測定値群の中央値を結んだものであり、点線は各ランクにおける測定値群の中央値を1次の線形式として表現したものである。
図6のグラフではランクSよりも低いランクAのひび割合データ22の百分率が低くなっている例が示されているが、実際ランクSのタイヤとランクAのタイヤの溝部を拡大してみるとランクAのタイヤの溝部の方が、ランクSのタイヤの溝部よりその溝肌面がなめらかである。元々、これらのタイヤのランクは人間の目によって評価されたもので、このようにランクSとランクAが逆転している例は人間の目と機械の目との差異を示すものである。人間はタイヤの色味や汚れ具合で判定評価が左右されるが、機械の目は安定して精度の高い測定を行うことができるということを示しているものである。すなわち、常にこのような結果となるのではなく異なるタイヤの場合では人間と機械のランク付けが同じでランクSよりもランクAのひび割合データ22の百分率が高くなっている例も多数存在している。
【0033】
図5より、ランクSのひび割合が平均値で0.479126となり、ランクAのひび割合の平均値である0.292188よりも高いものの、ランクAからランクDに至っては徐々にひび割合が増加する結果を得た。ランクSのひび割合が高い理由は、前述の人間と機械による測定・判断能力の際の他、元々ランクSとランクAではひび割れがほとんどなく、タイヤ劣化の程度も差がほとんどないので、わずかなノイズが乗るとそれ以上にひび割れとして検出され、その結果劣化が進んでいると評価されるものとも考えられる。ランクAの方が劣化が小さいという結果ではあるが、ランクSとランクAのひび割合データ22は、それぞれ0.5%よりも小さな値であることから現実的には微差であり運用上問題となるものではない。
図5及び
図6に示された結果から発明者らはタイヤ劣化評価システム1を用いて得られるひび割合データ22と専門家が選別したタイヤのランクが相関関係にあり、タイヤ劣化評価システム1によるひび割合データ22を求めることで専門家が選別したタイヤのランクS−Dに分別することが可能であることを見出したのである。
【0034】
図5及び
図6の他、他の試験結果も含めて解析した結果として得られた、ひび割合データ22を劣化評価値として用いた場合のランク分けの対応を
図7に示す。したがって、
図7は評価閾値データ23の内容を示すものでもある。
図7から明らかなとおり、本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、ひび割合データ22の値が0.5以下の場合をSランクとして評価し、0.5より大きく2.0以下の場合をAランクとして評価し、以下、同様にBからDランクとして評価している。
前述のとおり、劣化評価部13はひび割合データ22を処理データベース6から読み出して、評価データベース7から読み出した
図7に示される評価閾値データ23の劣化評価値幅のいずれに該当するかを判断して、該当するランクを評価ランクデータ24として生成し、評価データベース7に読み出し可能に格納するものである。
また、
図7に示すランク毎の評価閾値データ23は固定されるものではなく、段落0028でも述べたとおり評価閾値データ23の間隔を広げたり狭めたりすることも可能であり、ランクを大雑把にも詳細にも所望に変更することが可能であるし、ランク自体も用途に応じて変更が可能である。
【0035】
なお、タイヤ劣化評価システム1によるタイヤの接地面の測定はタイヤの周方向で複数箇所実施されるのが望ましい。
図8(a)−(c)はタイヤ劣化評価システム1が測定する場合の例を示しており、それぞれ90°毎に測定して4箇所の測定を実施する場合、45°毎に測定して8箇所の測定を実施する場合、30°毎に測定して12箇所の測定を実施する場合を示している。
携帯型のタイヤ劣化評価システム1では、測定者が手に持って測定を実施することも想定されるので
図8に示されるように正確な角度間隔で測定することは困難な可能性もあるが、等間隔で実施しなければならないということではなく、1本のタイヤで複数回測定することで精度を高めることができればよい。
もちろん、タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4や撮像部5を固定しておき、タイヤ自身を一定の角度ほど自動で回転させて距離データ14や接地面画像データ15を取得するようなシステムとしてもよい。
【0036】
以上説明したタイヤ劣化評価システム1を用いて、実際の中古タイヤを評価した結果について
図9を参照しながら説明する。
図9は、タイヤ劣化評価システム1を用いて、中古タイヤに対し
図8(b)に示される45°毎の8箇所測定を実施してその結果をまとめて示す表である。
図9において、shotとは距離データ14及び接地面画像データ15を取得した単位を意味しており、測定箇所の1−8は前述のとおり中古タイヤの周方向に沿って45°毎に選択された箇所を意味している。また、positionはタイヤの内側から距離(mm)を測定対象となっている溝部26の位置として示すものであり、sizeは溝幅(mm)を10倍して示すものであり、depthは溝深さ(mm)を10倍して示すものである。なお、8箇所の測定箇所のいずれも溝数は3であることがわかる。以上のことから、sizeが
図1のシステム図では溝幅データ16に相当し、depthが同じく溝深さデータ17に相当し、溝数の3が溝部数データ18に相当する。
また、
図9の劣化評価値の欄には、それぞれの溝部におけるひび割合データ22が百分率(%)で表示されている。これら8箇所におけるひび割合データ22に対する中央値は表の右下欄に記載されるとおり、2.379115であることから、タイヤ劣化評価システム1の劣化評価部13は、評価データベース7から
図7に示される評価閾値データ23を読み出し、これを用いてタイヤランクをBとして評価して、
図9の右下欄に表示されている。このタイヤランクは評価ランクデータ24として評価データベース7に読み出し可能に格納される。
【0037】
次に、
図10を参照しながらタイヤ劣化評価システム1の出力部2からの出力例について説明を加える。
図10(a)及び(b)は出力部2によって表示される評価結果の例を示す概念図である。
図10(a)において、表示されている画像は、左側に接地面画像データ15を表示し、右側に評価結果を示すものであるが、符号Bで示される「B565」とは、「B」が評価ランクデータ24で、「565」は溝数が3でタイヤの内側から溝深さデータ17として5mm、6mm、5mmであることを示している。
また、符号Cで示されるのは、溝深さデータ17の5mm、6mm、5mmの傾向をグラフ化したものであり、これもタイヤの内側が左側となっている。
さらに、符号Dで示されるプロット点の集合は
図9で示した劣化評価値(ひび割合データ22)を%で表現したものである。
このように溝数に併せて溝深さのデータが表示されることから、システムの利用者が評価対象となっているタイヤ溝の構造に関する具体的な情報を得ることが可能であり、また、接地面画像データ15を併せて表示することによって溝の状態を画像と測定値や評価ランクと比較しながら観察できるので、タイヤの劣化評価を目視でも行い易く、システムによる評価結果の妥当性を確認することも可能である。
タイヤ溝の配置に合わせてそのタイヤ溝毎の溝深さデータ17を示すことでタイヤのユーザーの車の乗り方や空気圧の程度等によって発生する偏摩耗の状態を把握することが可能である。
なお、本実施の形態では、溝数に併せて溝深さのデータを示したが、出力部2はこの組合せの他、少なくとも溝幅データ、溝深さデータ又は溝数データのうち、少なくともいずれか1つのデータを出力することでタイヤの接地面における溝の構造をより具体的に把握させることが可能である。
【0038】
次に
図10(b)において、表示されている画像は、(a)とは別の表示窓によるもので、左側の符号Eで示されるのが単位をmmで示した溝幅データ16であり、符号Fで示されるものが単位をmmで示した溝深さデータ17であり、中央から右側に示されるのがタイヤ全体を幅方向でトレースした状態を示す距離データ14である。
この距離データ14のうち、図中符号Gはタイヤの内側端からのタイヤの幅方向における距離を単位mmで示すものであり、符号Hはタイヤの外周円に対する法線方向、すなわちタイヤの谷高さ、溝深さの方向の距離を単位mmで示している。
この(b)に示される情報も併せて表示することで、タイヤ表面の溝状態をタイヤの幅方向全体に亘って確認することが可能であり、評価結果と相まって、より精度高くタイヤの劣化状態を把握することが可能である。
本実施に形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、(a)及び(b)の両方の画面、すなわち、撮像部5によって取得された接地面画像データ15あるいは評価領域画像データ19と、劣化評価部13で生成されたデータの両方を出力部2として表示するので、利用者に提供される情報量も多く、タイヤ表面の状態を数値や文字等のテキスト情報と画像情報の両面から把握させることで、評価の誤認や勘違い等のリスクを低減して、ヒューマンエラーを防止することが可能なシステムを提供することが可能である。
なお、本実施の形態においては、
図10(a)、(b)に示されるデータを表示することとしているが、処理データベース6や評価データベース7に格納されているその他のデータを適宜読み出して出力部2で表示や送信してもよい。
また、本実施の形態ではタイヤ溝の配置を左側をタイヤ溝の内側に対応させて表示させているが、その順序は逆でもよく、使用時や設計時の便宜によって変更してもよい。
【実施例1】
【0039】
次に、本発明に係るタイヤ劣化評価システムの実施例1について
図11乃至
図16を参照しながら説明する。
図11(a)は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムの内部正面構造図であり、(b)は(a)の内部側面構造図である。
図12は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムの測定部周辺の拡大図であり、
図13はタイヤ半径の計算に関する概念図、
図14は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムの処理部3を中心したシステム一部構成図である。
図11(a)、(b)において、タイヤ劣化評価システム1は小径タイヤ34及び大径タイヤ35のタイヤも収容できる筐体27を備えていることを大きな特徴とする。図示しないが、
図11(a)の左側からタイヤ34,35が進入し、その中央部で停止させてタイヤ劣化の評価を実施する。
筐体27内には支持床27aが備えられており、その上面をタイヤ34,35は転動するが、略中央部には上下動可能なリフター29上に設置されたスライドレール28上を、モーター30によって自在に移動可能なスライダー31が設けられており、そのスライダー31の上部には撮像部5としてのカメラ32及び変位走査測定部4としての測距センサ33が搭載されており、第1の実施の形態における撮像部5や変位走査測定部4の機能と同一である。
また、照度計39(
図14参照)によって、タイヤ劣化のための測定に適切な光量を維持するために照明装置36からの光強度を測定しつつ、さらに過不足ある場合には測定に適切な光量となるように照明装置36の光強度を調整する。
【0040】
図12において、支持床27aには、小径タイヤ34、大径タイヤ35のいずれもがタイヤ接地面を下方に露出可能な窓が設けられ、その端部にはモーター37a(
図14参照)によって駆動する駆動ローラー37及び駆動力を持たないローラー38が備えられている。
これら2つのローラーに支持されるように載った小径タイヤ34と大径タイヤ35では、スライダー31上の測距センサ33からのタイヤ接地面までの距離が異なる。すなわち、大径タイヤ35はその直径が大きいので測距センサ33との距離L1は小径タイヤ34と測距センサ33との距離L2よりも長くなる。
本実施例1では、その距離L1、L2の違いからタイヤ径を演算する。具体的には、タイヤ半径をR、駆動ローラー37及びローラー38の半径をr、駆動ローラー37・ローラー38間の距離を2Lr、駆動ローラー37及びローラー38の中心と測距センサ33のエレベーションの差をh、測距センサ33で測定されるタイヤ接地面との距離をx(
図12におけるL1あるいはL2に相当する。)とすると、タイヤ半径Rは式(1)で表現される。
R=(Lr
2+(x−h)
2−r
2)/2(r−(x−h)) (1)
タイヤ半径が演算できると、
図8を参照しながら説明したとおり、タイヤ劣化の測定を行うための所望の回転角に応じて駆動ローラー37を駆動させることが可能である。
【0041】
図14において、処理部3にはカメラ32からの信号を入力して接地面画像データ15を生成して出力する画像処理CPU41及びシーケンサ40が備えられている。本図では処理部3に画像処理CPU41及びシーケンサ40のみが記載されているが、
図1に記載されている種々の演算部、抽出部、処理部、評価部といった構成要素も画像処理CPU41あるいはシーケンサ40内にその機能が備えられている。
シーケンサ40には画像処理CPU41の他、タイヤ34,35の接地面との距離を測定する測距センサ33、スライドレール28上でスライダー31を駆動させるモーター30、駆動ローラー37を回転させるためのモーター37a、タイヤ34,35の接地面の撮影あるいは距離(変位)の測定に十分な光量を確保するための照明装置36が接続されている。
シーケンサ40は、モーター30及びモーター37aを回転させることでタイヤ34,35を回転させて照明装置36によって光をタイヤ34,35の設置面に当てながら、測距センサ33と相まってタイヤ接地面の溝位置、溝本数、タイヤ幅、溝幅、溝深さを測定する機能を有する。測距センサ33で得られたデータはシーケンサ40内に備えられる処理データベース6に読み出し可能に格納される。
また、画像処理CPU41に対してタイヤ接地面の撮影指示信号を送出する。そして、画像処理CPU41からの接地面画像データ15を入力して処理データベース6に読み出し可能に格納する。シーケンサ40は画像処理CPU41から照度計39で得られる照度情報を入力して照明装置36の光度を調整する。
さらに、シーケンサ40は測距センサ33で得られた測定対象であるタイヤ34,35との距離xから式(1)を用いてタイヤ34,35の半径Rを演算し、その半径R及びタイヤ34,35の周方向で何箇所の測定を行うかの設定に応じて、例えば、45°毎に測定して8箇所の測定を実施する場合には、30°の回転角毎に測定と回転を8回繰り返すように制御することが可能である。その際には、シーケンサ40はモーター37aに対して正転/逆転の速度制御信号を出力し、駆動ローラー37をその回転角度毎に回転させつつ、駆動ローラー37からのパルス信号を受信してタイヤ34,35を所望の角度にて停止させる機能を発揮させることができる。また、シーケンサ40はモーター30に対してカメラ32や測距センサ33でタイヤ34,35の接地面の画像や距離(変位)がタイヤ34,35の幅方向で測定可能にスライダー31を走査させる信号を送信する。
【0042】
画像処理CPU41は、カメラ32に対してタイヤ34,35の接地面の撮影を実行させる機能を有し、取得した接地面画像データ15は画像処理CPU41内にも備えられる処理データベース6に読み出し可能に格納される。また、照度計39による照度の測定信号をシーケンサ40へ送信する機能及びモニター42に対して処理データベース6及び評価データベース7から種々のデータを読み出して表示する機能を有する。
さらに、画像処理CPU41は、
図1に示される処理部3の評価領域抽出部10、平滑化処理部11、エッジ検出処理部12及び劣化評価部13の機能を備えている。
モニター42は画像処理CPU41に接続され、画像処理CPU41から接地面画像データ15、照度計39による照度の測定結果、さらにはシーケンサ40からのデータを画像処理CPU41で受信して、例えば照明装置36の光度や測距センサ33で測定されたデータを表示させてもよい。モニター42は
図1の出力部2に相当し、そのほか第1の実施の形態で説明した出力部2が発揮する機能を備えるものである。
また、
図1に示される処理データベース6及び評価データベース7は
図14には示されていないが、画像処理CPU41に処理データベース6及び評価データベース7が備えられ、シーケンサ40には処理データベース6が備えられ、それらの間のデータのやり取りが可能なように構成されている。
【0043】
実施例1に係るタイヤ劣化評価システム1を用いてタイヤの劣化を評価する手順を
図15及び
図16を参照しながら説明する。
図15(a)乃至(c)は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムにおける測定対象であるタイヤの動きを示す概念図であり、
図16は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムを用いたタイヤ劣化評価のフロー図である。
図15(a)乃至(c)は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムにおける測定対象であるタイヤの動きを示す概念図であり、
図16は実施例1に係るタイヤ劣化評価システムを用いたタイヤ劣化評価のフロー図である。
図16において、タイヤ劣化評価システム1は測定前の段階で、スライドレール28上でスライダー31が所定の原点位置へ復帰させておく(ステップS1)。この動作はシーケンサ40によって自動で実行される。
その後、ステップS2はタイヤ測定ピッチ角(回転角)設定工程であるが、その測定は
図15(a)において、測定員によって筐体27内に移動させられるタイヤ34,35は支持床27a上を転がり駆動ローラー37とローラー38の間で支持されるように停止させ(
図15(b))、その後に実行される。具体的には、測距センサ33がタイヤ34,35の接地面との距離xを測定し、その距離xを入力したシーケンサ40が式(1)からタイヤ34,35の半径Rを演算し、その結果とタイヤ34,35の接地面の周方向測定回数に応じて駆動ローラー37の回転角(ピッチ角)を演算して設定する。
【0044】
その後、ステップS3ではステップS2で設定されたピッチ角に応じた劣化測定の設定回数以上となったか否かの判断を行う。設定回数未満の場合にはステップS4の往路として、シーケンサ40によってモーター30に信号を送信してスライダー31を走査させ、タイヤ34,35の接地面をカメラ32と測距センサ33を用いて接地面の撮影及び距離(変位)の測定を実行する。ステップS4の「往路」とは、スライダー31がタイヤ34,35の接地面の幅方向に沿って原点から往復する際の往路を意味しており、ステップS5の「復路」と合せてタイヤ34,35の幅方向に一往復することを意味している。
「往路」で測距センサ33によって得られるデータは
図16にも示されるとおり、(1)各溝位置データ、(2)各溝幅データ、(3)タイヤ幅データ、(4)溝深さデータであり、これらは数値(デジタル)データとして得られる。測距センサ33で得られるデータはタイヤ変位(距離)データであり、これらは読み出し可能にシーケンサ40内の処理データベース6に格納される。
次に、ステップS5の「復路」ではスライダー31をシーケンサ40からモーター30に対する信号を制御して、(1)溝中央位置にて停止させ、さらに、シーケンサ40から、(2)画像処理CPU41に対して測定信号を送信する。この測定信号を受信した画像処理CPU41はカメラ32に対してタイヤ34,35の接地面の撮影を実行させる。このカメラ32による撮影で
図3(a)に示されるような接地面(溝内部含む)の状態に関する画像を取得することが可能であり、したがって、
図3(b)、(d)に示すように溝の内部におけるひび割れの評価に用いるための画像も取得可能である。
【0045】
その後、ステップS6でタイヤ34,35をステップS2で設定したタイヤ測定ピッチ角ほど回転させる。この動作は、シーケンサ40からモーター37aに対して駆動信号を送信することで実行される。
タイヤ34,35をタイヤ設定ピッチ角ほど回転させた後は、再びステップS3に戻り、タイヤ34,35の周面の劣化測定の設定回数未満の場合には再度ステップS4からステップS6を繰り返し、設定回数に到達した場合には終了となる。
測定回数に到達すると、シーケンサ40はタイヤ34,35を回転させるようにモーター37aに対して駆動信号を送信し、タイヤ34,35の回転の安定を待ってから、停止信号をモーター37aに対して送信することで、タイヤ34,35の慣性を利用して
図15(c)に示されるとおり、筐体27内の出口に転がるように作用させる。
この後、
図2に示されるステップS3及びステップS4はシーケンサ40及び測距センサ33によって実行され、
図2のステップS5からステップS9は画像処理CPU41を用いて実行される。それぞれのステップで得られるデータは処理データベース6及び評価データベース7に読み出し可能に格納される。
【0046】
以上説明したとおり、実施例1に係るタイヤ劣化評価システム1では筐体27を備えてタイヤ34,35を収容し、照明装置36を用いてタイヤの接地面の撮影や表面の変位の測定を実施するので、外部環境の影響を受け難く、タイヤの劣化評価が均質に実施可能である。またタイヤ34,35の設置も容易で駆動ローラー37・ローラー38と測距センサ33の位置関係によって接地面の希望測定回数に応じて自動でタイヤ設定ピッチ角を設定することや、駆動ローラー37・ローラー38の作用によって自動で測定回数に応じてタイヤ設定ピッチ角ほど回転させたり、測定終了時にタイヤを筐体27から送出することが可能であり、より効率的にタイヤの劣化評価を実施することが可能である。
【実施例2】
【0047】
次に、
図17を参照しながら、本発明の実施例2に係るタイヤ劣化評価システムについて説明する。
実施例2に係るタイヤ劣化評価システムは、ハンディターミナル50にその構成を集約したものである。すなわち、
図1のタイヤ劣化評価システム1がハンディターミナル50となった形態が実施例2である。
図17は、本発明の実施例2に係るタイヤ劣化評価システムの活用状態を示す概念図である。
図17において、ハンディターミナル50は、その内部あるいは表面に
図1に示す第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1が備える出力部2、撮像部5、処理部3、処理データベース6及び評価データベース7を備えている。なお、タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4については、ハンディターミナル50内に走査機構を設けることが困難とも考えられるので、タイヤの幅の変位を測定可能な変位測定部を備えるが、走査機構を備える変位走査測定部であってもよい。
例えば、表示画面51はタイヤ劣化評価システム1における出力部2に相当する。また、ハンディターミナル50では後述するように通信網60を経由してプリンタ61に出力するので、出力部2として内部に発信装置(図示せず)をも備えている。
また、
図17中符号Jとして実線で囲まれた箇所に示すハンディターミナル50の裏面には、変位測定部に相当する変位センサ57、タイヤ劣化評価システム1の撮像部5に相当する撮像センサ56が備えられている。これらの変位センサ57と撮像センサ56は、距離画像センサ等2つの機能を兼ね備えたセンサとしてもよい。
さらに、変位センサ57と撮像センサ56による測定・撮像の際に光量の不足を補うためにLED等を光源とする照明装置を備えておくと、周囲の環境によることなくタイヤ接地面の変位の測定やタイヤ接地面の溝部の撮影を行うことが可能である。
【0048】
この他の処理部3、処理データベース6及び評価データベース7については図示されていないが、ハンディターミナル50の内部に設けられている。
さらに、ハンディターミナル50の表面には、入力部として、操作キー52、ファンクションキー53及びテンキー54が設けられており、側面には電源スイッチ55が設けられている。
実施例2に係るハンディターミナル50は、タイヤ49から得た情報を基に劣化評価を行い、通信網60を介してプリンタ61で評価ラベル62の印刷を行い、この評価ラベル62をタイヤ49に直接貼付して、あるいはタイヤ49に付属する納品書、仕様書あるいは送り状等に貼付する等して、中古タイヤの販売の場合にはタイヤ49を出荷したり、単なる中古タイヤに関する評価の受託の場合には所有者に返却するものである。なお、通信網60は有線と無線のいずれでもよい。
【0049】
以下、
図17を参照しながらハンディターミナル50の取扱方法について説明を追加する。
まず、ハンディターミナル50の電源スイッチ55を入れてハンディターミナル50を起動し、タイヤ49に関する基本データを入力する。具体的には、タイヤ幅、リム径や扁平率等の仕様に関するタイヤ仕様データ65やタイヤメーカ名や製造年等の製造に関するタイヤ製造データ66を、テンキー54を利用して入力する。その際、テンキー54には大文字・小文字を含めた英字への変換や記号文字への変換を可能とするキーを含めておくことが望ましい。入力されたタイヤ49に関する基本データについては、別途入力データベースを設けて読み出し可能に格納されてもよい。
ハンディターミナル50では、様々なキーを備えて入力部とし、タイヤ49に関する基本データを入力することができるので、計時部を内部の処理部3に設けてもよい。計時部は測定・評価を実施している時を認識するので、タイヤ製造データ66に含まれる製造時期との差分を取り、タイヤの使用期間が演算可能である。従って、それを計時部で経年劣化データとして生成して読み出し可能に評価データベース7に格納し、劣化評価部13は、これを単なる時間経過に伴う経年劣化として評価に取り入れることが可能である。
様々なデータ入力の際には、表示画面51上に入力の様子を表示して入力ミスのないようにするとよい。
【0050】
次に、ハンディターミナル50の撮像センサ56や変位センサ57をタイヤ49のトレッドパターンが形成されている接地面に対して垂直上にデータを取得できるように配置し、撮像センサ56はタイヤ接地面を、トレッドパターンを含めて撮影し、変位センサ57はタイヤ接地面に形成されるトレッドパターンの山部と溝部を判別可能にその凹凸を計測する。前述のとおり、撮像センサ56は第1の実施の形態であるタイヤ劣化評価システム1の撮像部5に相当し、変位センサ57は同様に変位走査測定部4に相当するので、それぞれの機能や使用についてはタイヤ劣化評価システム1と同様である。ただし、変位センサ57が走査機能を備えていない場合には変位走査測定部4における走査機能は発揮できないが、タイヤ49の幅における変位の測定は可能である。なお、撮像センサ56及び変位センサ57を用いて撮影する場合には、それぞれ割当てられた操作キー52を用いて作動させるとよい。
これらのセンサを用いて得られた画像を基に得られたデータを格納し、処理し、タイヤ49の劣化評価を行う。そのデータ処理方法、データ格納方法及びタイヤ劣化評価方法については、既に第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1で説明したとおりである。
【0051】
なお、ハンディターミナル50の撮像センサ56と変位センサ57を用いてタイヤ49の接地面からデータを取得できるように垂直に配置するに際しては、ハンディターミナル50を所持している測定者が熟練している場合にはそのままハンディターミナル50を持って利用可能とも考えられるが、取得されたデータの普遍性や汎用性を考慮すれば、測定結果が測定者の習熟度とは無関係となるようにハンディターミナル50に着脱可能なフードや治具を備えるとよい。
具体的に、フードはハンディターミナル50の裏面に配置されている撮像センサ56と変位センサ57の周囲に着脱可能な筒状の囲いとして、このフードはタイヤ49の接地面に当接可能な形状及び寸法とし、測定時には撮像センサ56及び変位センサ57とタイヤ49の接地面との間に所望の距離を取ることができるのと同時に垂直を担保可能とするのである。このようなフード状でなくとも棒状の構造物の一の端部にタイヤ49の接地面に対して接線方向に延設される棒状や板状の第1の構造物を備えるようにしておき、棒状の治具の他方の端部にハンディターミナル50の裏面に当接する板状の第2の構造物を備えて第1と第2の構造物とその間に所望の長さで垂直に形成される棒状の構造物とでフード状とは異なる治具として構成されてもよい。
また、フードや治具はタイヤ径やタイヤ幅に応じて個別に設けられてもよい。タイヤ種別に設けることで、タイヤ49の接地面への当接が容易になり、変位センサ57や撮像センサ56によって測定・撮像されるデータの精度が向上することが期待されるのでハンディターミナル50を用いたタイヤ劣化評価の精度も向上すると考えられる。
【0052】
劣化評価が終了すると、その結果はハンディターミナル50内の発信装置から通信網60を介してプリンタ61に送信され、評価ラベル62が印刷される。この評価ラベル62には、評価結果として
図17中アルファベットの「A」として示される評価ランク63が印字される。また、評価ランク63の上に黒塗りの星印が4つ記載されている。この黒塗りの星印の数と評価ランク63は関連しており、評価ランクは優良品から「S」,「A」,「B」,「C」,「D」とされるが、これに対応して、黒塗りの星印の数が5,4,3,2,1と表記される。すなわち、評価ラベル62に示される黒塗りの星印の数でも評価ランクが「A」であることが理解できるのである。
また、評価ラベル62には、予めテンキー54を利用して入力されたタイヤ49に関するタイヤ仕様データ65やタイヤ製造データ66も印字されている。
さらに、評価ラベル62に印刷される情報のすべてを変換したバーコード64も印刷されている。また、このバーコード64には評価ラベル62には表示されていない管理用のシリアル番号や記号等を含めてもよい。その際のシリアル番号や記号については、タイヤ49に関するタイヤ仕様データ65やタイヤ製造データ66と一緒にテンキー54を用いて入力されるとよい。
【0053】
このバーコード64の生成は、タイヤ劣化評価後に、処理部3の劣化評価部13で実行されてもよいし、処理部3に別個にバーコード生成部を備えて実行されてもよい。この劣化評価部13やバーコード生成部が、タイヤ49に関する基本データを入力データベースから読み出し、また、タイヤ49に対する劣化評価の結果を劣化評価部13から読み出して、バーコードに変換する。
また、生成されたバーコード64は、評価データベース7の評価ランクデータ24と同様に格納されてもよいし、入力データベースに格納されてもよいし、あるいは別途バーコードデータベースを設けてその中に格納してもよい。
評価ラベル62に印刷されている情報である評価ランク63は評価データベース7から、タイヤ仕様データ65及びタイヤ製造データ66はタイヤ基本データベースから、バーコード64はバーコードデータベース等から、それぞれ発信装置によって読み出され、プリンタ61に送信される。
なお、本実施の形態においてはコードとしてバーコード64を用いて説明したが、図形や記号、文字で表現されるコードであればどのようなコードでもよく、また一次元で表現されるものの他、二次元に表現されるコードでもよい。もちろん、ハンディターミナル50はそのコードに応じたコード生成部やコード生成機能を備えるようにする。
また、本実施の形態においては評価ラベル62を印刷したが、評価ラベル62に限定するものではなく、例えばタグや荷札等ラベルに準ずるもの、あるいは納品書、仕様書、あるいは送付状等の書面に直接印刷するようにしてもよい。
さらに、本実施例では出力部2としてハンディターミナル50の外部にプリンタ61を設けて、タイヤ49の劣化評価の結果はハンディターミナル50内の発信装置から通信網60を介してプリンタ61に送信されるが、表示画面51を利用して、劣化評価を表示するようにしてもよい。あるいはプリンタ機能を備えて帯用紙等に印字するようにしてもよい。
すなわち、外部に通信網60を経由して出力部2を設けるかハンディターミナル50に出力部2を設けるかのいずれかでタイヤ劣化評価に関する出力を行うことが可能である。
【0054】
本実施の形態に係るハンディターミナル50では、言わば(1)タイヤ49に関する基本データの入力モード、(2)撮像センサ56及び変位センサ57を用いた撮像モード、(3)タイヤ劣化評価モード、(4)評価結果の送信モードの4つのモードがあると考えられることから、それらのモードに沿った機能の発揮のために、ファンクションキー53を用いて各モードへの移行を行い、それぞれのモードで操作キー52や必要に応じてテンキー54も含めてキーが担う入力機能の割当を行うことが望ましい。このファンクションキー53が存在することで、操作キー52やテンキー54等キー全体の数を減らすことが可能であり、操作性も向上する。
【0055】
以上、説明した本実施の形態に係るハンディターミナル50では、携帯可能に形成されることから、タイヤ49の保管場所等でタイヤ49の劣化評価を行うことができるので、劣化評価のための場所を別途設ける必要がなくスペース効率を高めることが可能である。また、時間や場所を選ばず常に評価データの確認や管理を行うことが可能である。従って、タイヤ劣化評価作業を柔軟的かつ時間効率も高めて実行することができる。
また、タイヤ劣化評価と併せてタイヤに関する基本データを印刷することができるので、多数の被評価に供されるタイヤの識別性を高めることが可能である。さらに、バーコード等コードを生成して、タイヤに関する基本データや劣化評価に関する結果を含めて表現できるので、これらの情報の表示スペースを小さくすることができ、効率を高めることができる。さらに、コードを介してタイヤの管理を行うことが可能であり、管理効率も向上させることができる。
【0056】
なお、第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1においては、ハンディターミナル50に備えられた操作キー52、ファンクションキー53及びテンキー54等の入力部について言及していないが、入力部を設けて、タイヤ49に関する基本データやシリアル番号や記号を入力し、これを読み出し可能に格納する入力データベースを設けてもよい。
さらに、処理部3にバーコード変換部を設けて、タイヤ49に関する基本データやシリアル番号等を入力データベースから読み出し、また、タイヤ49に対する劣化評価の結果を劣化評価部13から読み出して、バーコードに変換して、これを出力部2を介してラベルやラベルに準ずるもの、あるいは書面に対して印刷物として出力するようにしてもよいし、デジタルデータとして通信網や外部装置に対して出力するようにしてもよい。また、処理部3にバーコード変換部を設けることに代えて劣化評価部13にバーコード変換機能を持たせてもよい。その場合には、劣化評価部13がタイヤ49に関する基本データ等を読み出し、また、劣化評価部13でタイヤ劣化評価を行った後、タイヤに関する基本データとタイヤ劣化評価を併せてバーコード変換を行う。
これらの入力部、バーコード変換部を設けることによって発揮される作用や効果は既にハンディターミナル50を用いて説明した内容と同様である。
【解決手段】タイヤの接地面の変位を測定して接地面の山部と溝部の判別を可能とする距離データ14と、接地面を撮影して接地面画像データ15を生成し、溝部の領域からひび割れを検出するための評価領域を抽出して評価領域画像データ19を生成し、これを平滑化処理してノイズを除去して平滑化処理画像データ20を生成し、さらにエッジ処理してひび割れの境界部を明確化したエッジ処理画像データ21を生成し、エッジ処理画像データ21のひび割れの境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データ22を生成し、このひび割合データ22を出力する。