(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381109
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維
(51)【国際特許分類】
D06M 13/11 20060101AFI20180820BHJP
D06M 15/41 20060101ALI20180820BHJP
D06M 15/693 20060101ALI20180820BHJP
D06M 101/36 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
D06M13/11
D06M15/41
D06M15/693
D06M101:36
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-61048(P2014-61048)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-183315(P2015-183315A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219266
【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子
(72)【発明者】
【氏名】安井 伸吉
(72)【発明者】
【氏名】川口 昭次
【審査官】
斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−207326(JP,A)
【文献】
特開2011−241504(JP,A)
【文献】
特開2013−167040(JP,A)
【文献】
特公平08−022947(JP,B2)
【文献】
特開2004−231910(JP,A)
【文献】
特開2009−062474(JP,A)
【文献】
特開2012−127039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08 − 15/14
C08J 5/04 − 5/10
C08J 5/24
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
D06B 1/00 − 23/30
D06C 3/00 − 29/00
D06G 1/00 − 5/00
D06H 1/00 − 7/24
D06J 1/00 − 1/12
D06M 13/00 − 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムとの接着性を改善するための処理剤を付与した芳香族ポリアミド繊維を切断してなる芳香族ポリアミド短繊維であって、
前記芳香族ポリアミド繊維が、あらかじめエポキシ基含有化合物をポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維骨格内に浸透させた芳香族ポリアミド繊維複合体であり、
前記芳香族ポリアミド短繊維が、繊維長が0.5mm以上3.0mm以下であり、かつ、繊維長の標準偏差が0.11mm以下であることを特徴とする、ゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【請求項2】
ゴムとの接着性を改善するための処理剤が、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む処理剤であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【請求項3】
芳香族ポリアミド繊維に対するレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)の付着量が1〜20重量%であることを特徴とする、請求項2に記載のゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム補強用の短繊維として用いられる芳香族ポリアミド短繊維に係るものである。本発明により得られる芳香族ポリアミド短繊維は、ゴム資材の補強材料として、タイヤ、ベルト、ホース、その他の広範囲の分野に利用される。
【背景技術】
【0002】
従来、合成繊維束を短繊維とするために、各種の切断装置が公知である。例えば、切断刃を放射状に外周面に植設したドラムに合成繊維束を巻取り、該外周面に巻かれて巻太った繊維を押さえローラーで切断刃に押圧して、切断するロータリー式カッターが知られている。しかしながら、該装置は、ポリエステルやナイロンのような合成繊維を切断するためには効果的であるが、高強力かつ高モジュラスの芳香族ポリアミド繊維からなる走行糸条を切断するためには、芳香族ポリアミド繊維自身の耐切創性の高さから、連続的かつ確実に切断することは極めて難しい。そのため、芳香族ポリアミド繊維のカットには、固定刃と噛み合う可動刃を用いて、固定刃と可動刃との間に繊維束を連続的に供給し、供給された繊維束を連続的に切断するギロチン式カッターが主に用いられている。
【0003】
しかしながら、このような切断装置を使用しても、芳香族ポリアミド繊維を切断しようとする場合には、どうしても繊維束の一部は、ミスカットとして残り、連続的かつ確実に均一な繊維長の短繊維とすることは、極めて困難である。そこで、繊維束切断時の固定刃と可動刃との間の間隙を1〜10μmの間に維持する間隙規制部材を含む芳香族ポリアミド繊維束の切断装置(特許文献1)が提案されている。ただし、連続的な使用において、隙間規制部材に負荷が集中するため、固定刃と可動刃との間の間隙を維持するのが困難なため、問題解決に至っていないのが現状である。
【0004】
また、溶融した熱可塑性樹脂を芳香族ポリアミド繊維に含浸して硬化させ、硬化させた樹脂を繊維を含んだまま、ペレタイザによってペレット化する技術(特許文献2)が提案されている。ただし、熱可塑性樹脂を含浸させた短繊維をそのまま熱可塑性樹脂に練りこんで繊維強化プラスチックにするため、切断された繊維のみを単離することは全く想定していない技術である。
【0005】
一方、ゴムベルトなどの力学特性を向上させるため、ゴムへの分散性に優れ、均一な補強効果を有するゴム補強用短繊維が求められている。芳香族ポリアミド繊維は高強度、高モジュラスであり、耐熱性および寸法安定性に優れ、かつ有機繊維であるため錆びないといった特徴を有するため、これらの用途に優位な素材である。しかし、前項のような問題があり、ゴムへの分散性に優れ、かつ均一な補強効果を有する芳香族ポリアミド短繊維が得られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3953154号公報
【特許文献2】特開昭63−35829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、ゴムへの分散性に優れた補強用芳香族ポリアミド短繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】
(1)ゴムとの接着性を改善するための処理剤を付与した芳香族ポリアミド繊維
を切断し
てなる芳香族ポリアミド短繊維であって、
前記芳香族ポリアミド繊維が、あらかじめエポキシ基含有化合物を
ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維骨格内に浸透させた芳香族ポリアミド繊維複合体であり、
前記芳香族ポリアミド短繊維が、繊維長が0.5mm以上3.0mm以下であり、かつ、繊維長の標準偏差が0.11mm以下であることを特徴とする、ゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【0011】
(
2)
ゴムとの接着性を改善するための処理剤が、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む処理
剤であることを特徴とする、
(1)に記載のゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【0012】
(
3)芳香族ポリアミド繊維に対するレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)の付着量が1〜20重量%であることを特徴とする、
(2)に記載のゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維。
【発明の効果】
【0015】
本発明により得られる芳香族ポリアミド短繊維は、ゴムへの分散性に優れているため、安定した補強効果を有する。また、本発明により得られる芳香族ポリアミド短繊維はミスカットが少ないので歩留りがよい。そのため、ゴム補強材料として、タイヤ、ベルト、ホース、その他の広範囲の分野に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の芳香族ポリアミド短繊維は、繊維表面に処理剤を付与した芳香族ポリアミド繊維を短繊維に切断して得られ、繊維長分布が狭く、分散性に優れた短繊維である。以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
ここに、芳香族ポリアミド繊維とは、パラ系芳香族ポリアミド繊維、メタ系芳香族ポリアミド繊維、あるいはそれぞれの共重合体等からなる繊維である。芳香族環としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,5−ピリジレン基等を挙げることができるが、好ましくは1,4−フェニレン基である。芳香族環は、例えばハロゲン基(例えば塩素、臭素、フッ素)、低級アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基)、低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基)、シアノ基、アセチル基、ニトロ基などを置換基として含んでいても良い。
【0018】
芳香族ポリアミド繊維の具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラアミノベンツアミド、ポリ−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、ポリパラアミノベンズヒドラジドテレフタルアミド等からなる繊維が挙げられる。本発明は、カッターを用いて連続的に切断するのがより困難なパラ系の芳香族ポリアミド繊維、特にポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維において有益である。
【0019】
本発明のゴム補強用短繊維は、芳香族ポリアミド繊維の表面にあらかじめゴムとの接着性を改善するための処理剤を付与し、該処理剤を付与した芳香族ポリアミド繊維を切断したものである。ゴムとの接着性を改善するための処理剤としては、ゴム補強用繊維の表面に通常用いられているゴム−繊維間用の接着処理剤や、芳香族ポリアミド繊維の集束性あるいはゴムとの接着性を改善するための公知の接着処理剤を、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、処理剤の付与回数は、1回でもよく、2回以上に分けて行ってもよい。
【0020】
芳香族ポリアミド繊維への処理剤の付与方法として、特に好ましいのは、エポキシ基含有化合物にて芳香族ポリアミド繊維表面を活性化処理した後、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む処理剤を付与する方法である。
【0021】
エポキシ基含有化合物にて活性化処理する方法は、特に限定されるものではなく、芳香族ポリアミド繊維にエポキシ基含有化合物を付着させることのできる、公知の方法であってよい。特に好ましいのは、エポキシ基含有化合物を繊維骨格内に浸透させた芳香族ポリアミド繊維複合体を用いる方法である。その理由は、芳香族ポリアミド繊維複合体では、処理剤が均一に芳香族ポリアミド繊維に付着するので、その結果、芳香族ポリアミド繊維が湾曲してカッター刃から逃げるのを防止でき、ミスカット無く、連続的かつ確実に芳香族ポリアミド短繊維を得ることが可能になるからである。
【0022】
本発明において、エポキシ基含有化合物を芳香族ポリアミド繊維骨格内に浸透させる最良の形態は、芳香族ポリアミド繊維を製造する工程において、紡糸溶液を口金から吐出して、紡糸浴中で凝固させ、水洗中和処理を経た後、水分量が15〜200重量%の範囲に調整した状態で、エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させることである。好ましくは、水分量が25〜100重量%、より好ましくは、水分量が35〜70重量%の状態でエポキシ基含有化合物を含浸・浸透させるのがよい。
【0023】
水分率を調整する方法としては特に限定されるものではなく、脱水処理、風乾、減圧乾燥、もしくは100〜150℃の温度で乾燥するなどの方法が挙げられる。エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させる際の芳香族ポリアミド繊維の水分量が少なすぎると、エポキシ基含有化合物を均一に繊維骨格内に浸透させることが困難になる。逆に芳香族ポリアミド繊維の水分量が多すぎると、エポキシ基含有化合物を含浸・浸透させた後、巻き取り工程までに水分と一緒にエポキシ基含有化合物が脱落してしまう可能性がある。
【0024】
エポキシ基含有化合物は、芳香族ポリアミド繊維の水分量を0%に換算した繊維重量に対して、0.1〜10.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%含浸・浸透させるのがよい。また、エポキシ基含有化合物をより均一に含浸・浸透させるため、水や溶剤などで希釈して付与することが好ましい。より好ましくは、芳香族ポリアミド繊維に一般的に用いられる油剤とともに付与するのがよい。具体的な油剤としては、例えば、炭素数18以下の低分子量脂肪酸エステル、ポリエーテル、鉱物油などが挙げられる。
【0025】
使用するエポキシ基含有化合物は、グリセロール、ソルビトール、ポリグリセロールなどの多価アルコールのグリシジルエーテルから選ばれる、1種または2種以上の混合物であることが好ましい。例えば、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのエポキシ基含有化合物を硬化させるため、公知の硬化剤を併用しても差し支えない。また、後工程で付与する処理剤の浸漬処理効果を高めるために、イソシアネート基含有化合物およびシランカップリング剤から選ばれる1種または2種以上の化合物を併用してもよい。
【0026】
エポキシ基含有化合物を芳香族ポリアミド繊維に付与する方法は、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等の方法で付与される。
【0027】
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む処理剤を付与する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法であってよい。通常、ゴムラテックス100重量部に対してレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物を2〜20重量部含有させた混合物を、通常固形分濃度で5〜25重量%程度含有する水系RFL処理液に、芳香族ポリアミド繊維あるいは芳香族ポリアミド繊維複合体を浸漬するなどして、芳香族ポリアミド繊維あるいは芳香族ポリアミド繊維複合体に前記混合物を付着させた後、100〜260℃で熱処理する方法が採用される。
【0028】
芳香族ポリアミド繊維に対するレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)固形分付着量は1〜20重量%とすることが好ましく、より好ましくは4〜15重量%である。固形分付着量が少なすぎる場合には、繊維が湾曲しカッター刃から逃げるため、短繊維への加工が困難になる傾向がある。また固形分付着量が多すぎる場合には、処理剤により短繊維同士が固着してしまい、ゴム中に均一に分散しなくなる要因となる。
【0029】
処理剤をより均一に芳香族ポリアミド繊維に付着させるために、例えば湾曲バーで開繊しながら均一付着せしめる方法(特開平4−146221号公報)や、芳香族ポリアミドの長繊維を、加工処理を施すことなく、処理液に浸漬し、乾燥および硬化する方法(特開平6−158547号公報)などの公知の技術と組み合わせてもよい。
【0030】
上記のゴムラテックスとしては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン系ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムラテックス、クロロプレン系ゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス、アクリレート系ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスなどが挙げられる。
上記のレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物としては、レゾルシン−ホルムアルデヒドを酸触媒またはアルカリ触媒下で縮合させて得られたノボラック型縮合物などが挙げられる。
処理液には、ゴムとの接着性を更に高めるために、または架橋度を調整する目的等で、エポキシ化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、ポリイソシアネートとエチレンイミンとの反応物などから選ばれた1種以上の化合物が混合されていてもよい。
【0031】
本発明において、ゴムとの接着性を改善するための処理剤を付与した芳香族ポリアミド繊維を短繊維に切断する方法は、公知の技術を用いて行うことが可能であるが、好ましくは、繊維長のばらつきの少ないロータリー式カッターを用いる方法である。通常、総繊度が1万〜60万dtexの範囲で集束させた芳香族ポリアミド繊維集束体を、カッターにて切断する。また、フィルターなどを設置し、異常な繊維長の短繊維が通常製品と混入しない方法と組み合わせるのも効果的である。
【0032】
前記芳香族ポリアミド短繊維の単繊維繊度は特に限定されるものでないが、好ましくは0.1〜10.0dtex、より好ましくは0.5〜5.0dtexの範囲である。単繊維繊度が0.1dtex未満の場合は製糸技術上困難な点が多く、断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定して生産することが困難になるだけでなく、コストも高くなるため好ましくない。一方、単繊維繊度が10.0dtexを超えると繊維の機械的物性、特に強度低下が大きくなり、かつゴム中に均一に繊維を分散させることが難しくなる傾向にあり好ましくない。
【0033】
本発明の芳香族ポリアミド短繊維は、繊維長分布の幅が狭い、長さが揃った均一な短繊維であり、繊維長分布において、繊維長(測定長)の標準偏差が0.11mm以下、好ましくは0.09mm以下であることが肝要である。繊維長の標準偏差が0.11mmより大きいと繊維長のばらつきが大きいため、ゴムへの分散が不均一になり、かつ均一なゴム特性が得られなくなる。
【0034】
芳香族ポリアミド短繊維の切断長は、0.5mm以上3.0mm以下とすることが肝要であり、より好ましくは、0.5mm以上2.0mm以下である。繊維長が0.5mmより短い場合には、ゴムに対する短繊維の補強効果が小さくなり、ゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維として機能しなくなる。また、繊維長が3.0mmより長い場合には、繊維長分布の幅を上記のように調整しても、芳香族ポリアミド短繊維をゴムと混合する際に、単繊維同士の絡み合いが生じたり、ミキサー内で剪断されることにより、短繊維が切断したり短繊維のファイバーボールが形成される現象などが生じ、結果的に、短繊維が分散不良となるからである。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示すが、実施例中の各測定値は次の方法にしたがった。
【0036】
(1)水分量
試料約5gの重量を測定し、300℃×20分の熱処理を行い、25℃65%RHで5分間放置した後、再度重量を測定する。ここで使う水分率は、[乾燥前重量−乾燥後重量]/[乾燥後重量]で得られるドライベース水分率である。
【0037】
(2)RFLの付着性
カット後の短繊維の表面を目視で観察し、以下の3段階で評価した。
○:繊維表面にRFLの付着斑が観察されない
△:繊維表面の一部にRFLの付着斑が観察される
×:繊維表面にRFLの付着斑が観察される
【0038】
(3)繊維長分布の測定
短繊維100本の繊維長の長さを、顕微鏡および画像解析ソフトを用いて計測した。測定結果から平均繊維長と標準偏差を求めた。
【0039】
(4)短繊維の分散性
カーボンブラックを含まないNBRを主成分とする未加硫ゴム中に短繊維を配合し、加圧式ニーダーで混練したのち、間隙を約0.5mm厚にした2軸ロールにてゴムを引き伸ばし、透明なアクリル板に挟み込んでサンプルを調製した。得られたゴムシートの表面を下記の基準で目視判定した。
〇:繊維の分散が良好で繊維の存在がわかりにくいもの
△:わずかにファイバーボールがあるもの
×:繊維分散が悪くファイバーボールが散見されるもの
【0040】
(実施例1)
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1000個有する口金からせん断速度30,000sec
−1となるよう吐出し、4℃の水中に紡糸した後、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で、10℃×15秒の条件で中和処理した。その後、脱水処理をして、110℃で低温乾燥を行い、水分量を45重量%に調整した。
【0041】
このPPTA繊維に、エポキシ基含有化合物としてトリグリセロールトリグリシジルエーテルを50重量%含有する油剤(ジイソステアリルアジペート/ジオレイルアジペート/硬化ヒマシ油エチレンオキサイド/鉱物油の混合物)を、水分量0重量%換算としたときの繊維に1.0重量%含浸させて、PPTA繊維複合体とした後、巻き取り工程でボビンに巻き取った。
【0042】
得られたPPTA繊維複合体を、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスを含むレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)水溶液からなる処理剤に含浸させ、PPTA繊維重量に対し固形分付着量で6%になるよう処理剤を付着させた。その後、乾燥、熱処理の工程を行い、得られたPPTA繊維複合体について、PPTA短繊維の表面のRFL付着斑の有無を観察した。
【0043】
上記で得られたPPTA繊維複合体を、ロータリー式カッターで目標値1.0mmになるように連続的に切断し、短繊維を得た。切断時にはミスカットがなかったことより、切断して得られる短繊維を全て回収することができた。得られた短繊維の繊維長分布と分散性を評価した。
【0044】
(実施例2)
PPTA繊維重量に対するレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)の固形分付着量を3.5%に調整した以外は、実施例1と同じ方法でPPTA短繊維を製造した。その後、実施例1と同じ手順で評価を実施した。
【0045】
(比較例1)
PPTA繊維複合体を公知のギロチン式カッターで目標値1.0mmになるように切断した以外は、実施例1と同じ方法でPPTA短繊維を製造した。その後、実施例1と同じ手順で評価を実施した。
【0046】
(比較例2)
PPTA繊維複合体をロータリー式カッターで目標値3.5mmになるように切断した以外は、実施例1と同じ方法でPPTA短繊維を製造した。その後、実施例1と同じ手順で評価を実施した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果から、本発明の短繊維は分散性に優れていることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のゴム補強用芳香族ポリアミド短繊維は、ゴム資材の補強材料として、タイヤ、ベルト、ホース、その他の広範囲の分野に利用できる。