特許第6381138号(P6381138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381138
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/098 20060101AFI20180820BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61M25/098
   A61M25/00 624
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-242283(P2015-242283)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-152907(P2016-152907A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2017年6月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-26948(P2015-26948)
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111523
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 良文
(72)【発明者】
【氏名】松本 訓
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴行
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/179103(WO,A1)
【文献】 特開平06−210004(JP,A)
【文献】 特開2001−190681(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0125711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00 − 25/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層を有する管状体と、
その管状体の前記内層の外周に配置された放射線不透過マーカーと
を備えたカテーテルにおいて、
前記放射線不透過マーカーは、前記管状体の放射方向において前記放射線不透過マーカーと前記内層の外周との間に空隙部を設けるように固定されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記空隙部は、前記放射線不透過マーカーに対して前記放射方向両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記管状体は、外層をさらに有し、
前記外層の樹脂が、前記マーカーと前記内層との間に浸入していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記管状体の内部には、前記管状体の長軸方向に沿って配置された補強部材を備え、
前記放射線不透過マーカーは、前記補強部材の先端に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のカテーテル。
【請求項5】
前記空隙部は、前記放射線不透過マーカーが固定された前記補強部材の先端に延びるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用のカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手技中にカテーテルの先端位置を視認可能とする為に、カテーテルの先端部位に放射線不透過性マーカーを備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン製コア16と、そのポリテトラフルオロエチレン製コア16を覆うポリウレタン製の外被18とから構成された細長い管状本体10と、その管状本体10の先端に接着された軟性尖端12とを備え、管状本体10と軟性尖端12とが接続される部分において、放射線不透過性の貴金属製マーカバンド14が設けられたカテーテルが開示されている(第5頁右上欄及びFig.1等参照)。
【0004】
また、特許文献2には、樹脂製の内層管と、内層管の外周に巻回された補強材層と、内層管及び補強材層を被覆した外層管とを備え、補強材層に接してX線不透過性のマーカーを配置した医療用カテーテルチューブが開示されている(図20等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−68276号公報
【特許文献2】特開2006−34347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来のカテーテルにおいては、放射線不透過性のマーカーが配置された部位の剛性が他の部位よりも極端に高くなってしまうという問題があった。
【0007】
詳細に説明すると、従来のカテーテルの先端部は、体内への挿通を容易とする為に、高い柔軟性を有する樹脂で構成されている。しかしながら、白金等の金属材料から構成される放射線不透過性マーカーがカテーテルの先端部に配置されると、その部分の剛性が高くなってしまい、放射線不透過性マーカーが配置された部分と配置されていない部分との境界領域で剛性のギャップが生じることとなる。したがって、例えば、手技者が従来のカテーテルを操作し、そのカテーテルを体内で繰り返し湾曲させた場合には、放射線不透過性マーカーが配置された部分と配置されていない部分との境界領域に応力が過剰に集中してしまい、当該境界領域でカテーテルが破断し易くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、放射線不透過性マーカーを備えたカテーテルにおいて、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合においても、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、破断を防止することができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、管状体と、その管状体に配置された放射線不透過性マーカーとを備えたカテーテルにおいて、前記放射線不透過性マーカーは、前記管状体の放射方向において前記放射線不透過マーカーと前記管状体との間に空隙部を設けるように固定されていることを特徴とするカテーテルである。
【0010】
かかる構成によれば、管状体と、その管状体に配置された放射線不透過性マーカーとを備えたカテーテルにおいて、放射線不透過性マーカーは、管状体の放射方向において放射線不透過マーカーと管状体との間に空隙部を設けるように固定されているので、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合においても、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、破断を防止することができる。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様において、前記空隙部は、前記放射線不透過マーカーに対して前記放射方向両側に設けられていることを特徴とするカテーテルである。
【0012】
かかる構成によれば、本発明の第1の態様の効果に加え、空隙部は、放射線不透過マーカーに対して放射方向両側に設けられているので、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合においても、過度な応力集中をさらに防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、破断をさらに防止することができる。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様または第2の態様において、前記管状体の内部には、前記管状体の長軸方向に沿って配置された補強部材を備え、前記放射線不透過マーカーは、前記補強部材の先端に固定されていることを特徴とするカテーテルである。
【0014】
かかる構成によれば、本発明の第1の態様または第2の態様の効果に加え、管状体の内部には、管状体の長軸方向に沿って配置された補強部材を備え、放射線不透過マーカーは、補強部材の先端に固定されているので、放射線不透過性マーカーの位置ずれを防止して過度な応力集中を確実に防止し、破断を確実に防止することができる。
【0015】
さらに、本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様において、前記空隙部は、前記放射線不透過マーカーが固定された前記補強部材の先端に延びるように形成されていることを特徴とするカテーテルである。
【0016】
かかる構成によれば、本発明の第3の態様の効果に加え、空隙部は、放射線不透過マーカーが固定された補強部材の先端に延びるように形成されているので、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合においても、過度な応力集中をさらに防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、破断をさらに防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカテーテルは、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合においても、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、破断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態のカテーテルの平面図である。
図2】第1実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。
図3】第1実施形態のカテーテルの変形例を示す部分拡大断面図である。
図4】第2実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。
図5】第3実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。
図6】第4実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態のカテーテルについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテルの平面図であり、図2は、第1実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。
【0021】
図1に示すように、カテーテル1は、手技者が操作する操作部10と、操作部10の先端に接続されたカテーテルチューブ(本発明の「管状体」に相当)20とを備えている。また、カテーテルチューブ20は、操作部10から延設されているカテーテル本体部21と、カテーテル本体部21の先端側に位置する先端チップ22とから構成されている。そして、カテーテル本体部21の先端近傍及び先端チップ22の先端近傍は、それぞれ先端に向かって外径が縮径するテーパ形状をなしている。
【0022】
また、図2に示すように、カテーテル本体部21は、多層構造をなしており、カテーテル本体部21の中心軸を基準にして放射方向内側から順に内層24と、編組25と、外層26とから構成されている。
【0023】
内層24は、内腔23を有する管状をなし、カテーテル本体21及び先端チップ22に亙って配置されている。なお、内層24は、例えば、摺動抵抗の小さいポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂で構成されることが望ましい。また、内層24は、一部又は全部が多層構造とされていてもよい。
【0024】
また、内層24の外周には、編組25が配置されている。編組25の先端は、先端チップ22内に配置され、内層24の先端よりも基端側に位置している。なお、本実施形態においては、内層25の外周に、複数の素線を編んだ編組25を配置したが、単一又は複数の素線を巻回したコイルを配置しても良い。編組25は、ステンレス鋼、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、又はタングステン線等の材料で構成される。
【0025】
また、内層24及び編組25の外周を覆うように外層26が配置され、外層26の先端は、カテーテル本体部21の先端を構成している。外層26内にはコイルからなる補強部材27が外層26と同軸状に配置されている。そして、補強部材27と外層26とで補強層28が構成されている。なお、補強部材27の先端は、カテーテル本体部21の先端にまで延びている。また、本実施形態では、補強部材27として、コイルが使用されているが、複数の素線を編んでなる編組が使用されても良い。補強部材27は、ステンレス鋼、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、又はタングステン線等の材料で構成される。
【0026】
外層26を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、又はポリウレタン等が挙げられるが、本実施形態では、ポリウレタンが使用されている。また、外層26は、その一部又は全部が多層構造とされていてもよい。
【0027】
先端チップ22は、多層構造をなしており、先端チップ22の中心軸線を基準にして放射方向内側から順に内層24と、編組25と、外層26から連続的に形成されている先端外層29とから構成されている。先端外層29を構成する樹脂材料としては、外層26と同様に、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、又はポリウレタン等が挙げられる。なお、本実施形態の先端外層29には、ポリウレタンが使用されている。このように先端チップ22の主要部をポリウレタンで構成することにより、血管内壁の損傷を防止することができる。また、先端チップ22の視認性を向上させるために、先端外層29には、放射線不透過性のタングステン粉末等が含有されていることが望ましい。
【0028】
また、先端チップ22内にはリング形状の白金材料からなる放射線不透過性マーカー30が配置され、放射線不透過性マーカー30の基端は、融着部30aを介して補強部材27の先端に固定されている。具体的には、放射線不透過性マーカー30の基端と補強部材27の先端とはYAG溶接によって融着されている。なお、放射線不透過性マーカー30は、本実施形態では白金を使用したが、放射線不透過性の他の金属材料を使用しても良い。また、本実施形態では、放射線不透過性マーカー30の基端と補強部材27の先端とを融着したが、接着剤等他の固定方法によって固定させてもよい。
【0029】
また、図2に示すように、カテーテルチューブ20の放射方向内側において内層24と放射線不透過性マーカー30との間には空隙部35が設けられ、放射線不透過性マーカー30の外周面の一部が空隙部35に露出している。すなわち、放射線不透過性マーカー30の外周面のうち内層24側の面は、他の部材に接触していない。
【0030】
カテーテル1において、放射線不透過性マーカー30は、カテーテルチューブ20の放射方向内側において放射線不透過マーカー30とカテーテルチューブ20との間に空隙部35を設けるように固定されているので、カテーテル1が血管内に挿入されて湾曲された場合においても、空隙部35が放射線不透過性マーカー30近辺の内層24、先端外層29等の変形を十分に吸収して、過度な応力集中を防止することができる。これにより、カテーテル1先端部の柔軟性を確保して、カテーテル1の破断を防止することができる。
【0031】
さらに、上述のように、放射線不透過性マーカー30は、補強部材27の先端と融着されているため、放射線不透過性マーカー30の位置ずれが防止され、過度な応力集中を確実に防止して、カテーテル1の破断を確実に防止することができる。また、カテーテルチューブ20の製造工程においても、放射線不透過性マーカー30が補強部材27の先端と融着されている状態で先端外層29を形成することができるため、放射線不透過性マーカー30が位置ずれが防止され、高い寸法精度でカテーテル1を製造することができる。
【0032】
さらに、補強部材27と放射線不透過性マーカー30とが融着されることで、放射線不透過性マーカー30の内層24側に形成された空隙部35に、先端外層29を構成する樹脂材料が浸入しにくくなり、空隙部35を容易に形成することができる。
【0033】
また、空隙部35は、融着部30a(補強部材27の先端)と内層24との間にも形成されているので、カテーテル1が血管内に挿入されて湾曲された場合において、過度な応力集中をさらに防止し、カテーテル1先端部の柔軟性を確保して、カテーテル1の破断をさらに防止することができる。
【0034】
図3は、第1実施形態のカテーテルの変形例を示す部分拡大断面図である。図3において、放射線不透過性マーカー30と内層24との間に設けられた空隙部35には、先端外層29が内部に部分的に浸入している。このような構成によれば、放射線不透過性マーカー30は、補強部材27に融着部30aを介して融着されることに加えて、先端外層29によって下方から支持される為、放射線不透過性マーカー30の位置ずれがさらに防止されることとなる。
【0035】
かかる構成の発明は、管状体と、その管状体に配置された放射線不透過性マーカーとを備え、前記放射線不透過性マーカーは、前記管状体の放射方向において前記放射線不透過マーカーと前記管状体との間に空隙部を設けるように、かつ前記前記放射線不透過性マーカーの縁端部に前記管状体が入り込んだ状態で固定されていることを特徴とするカテーテルである。
【0036】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態のカテーテルについて説明するが、第1実施形態のカテーテルと共通する点については、説明を簡略又は省略すると共に、図面において同じ符号を付す。
【0037】
図4は、第2実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。図4において、カテーテルチューブ50は、第1実施形態のカテーテルチューブ20と比較して、放射線不透過性マーカーと空隙部との位置関係が異なる。
【0038】
すなわち、先端チップ22に配置された放射線不透過性マーカー60の基端は、補強層58を構成する補強部材57の先端に融着部60aを介して融着されているものの、第1実施形態のカテーテルチューブ20における空隙部35は、放射線不透過性マーカー30に対して、カテーテルチューブ20の放射線方向内側に配置されているのに対し、本実施形態の空隙部65は、放射線不透過性マーカー60に対して、カテーテルチューブ50の放射線方向外側(放射線不透過性マーカー60と先端外層59との間)に配置されている。
【0039】
かかる構成によれば、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合において、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、カテーテルの破断を防止することができる。また、空隙部65は、融着部60a(補強部材57の先端)と先端外層59との間にも形成されているので、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合において、過度な応力集中をさらに防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、カテーテルの破断をさらに防止することができる。
【0040】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態のカテーテルについて説明するが、第1実施形態のカテーテル及び第2実施形態のカテーテルと共通する点については、説明を簡略又は省略すると共に、図面において同じ符号を付す。
【0041】
図5は、第3実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。図5において、カテーテルチューブ70は、第1実施形態のカテーテルチューブ20と比較して、放射線不透過性マーカーと空隙部との位置関係が異なる。
【0042】
すなわち、先端チップ22に配置された放射線不透過性マーカー80の基端は、補強層78を構成する補強部材77の先端に融着部80aを介して融着されているものの、本実施形態の空隙部85は、放射線不透過性マーカー80に対して、カテーテルチューブ70の放射線方向両側(放射線不透過性マーカー80と内層25との間及び放射線不透過性マーカー80と先端外層79との間)に配置されている。
【0043】
かかる構成によれば、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合において、過度な応力集中をさらに防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、カテーテルの破断をさらに防止することができる。
【0044】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態のカテーテルについて説明するが、第1実施形態のカテーテル、第2実施形態のカテーテル及び第3実施形態のカテーテルと共通する点については、説明を簡略又は省略すると共に、図面において同じ符号を付す。
【0045】
図6は、第4実施形態のカテーテルの部分拡大断面図である。図6において、カテーテルチューブ90は、カテーテル本体部21と先端チップ22とから構成されている。カテーテル本体部21は、内層91と、内層91の外周を被覆した外層92とを有しており、先端チップ22は、カテーテル本体部21から延びる内層91と、その内層91の外周を被覆する先端外層93とを有している。
【0046】
先端チップ22に配置された放射線不透過性マーカー94は、内層91と先端外層93との間に配置され、放射線不透過性マーカー94と内層91との間には空隙部95が設けられている。
【0047】
かかる構成によれば、放射線不透過性マーカー94の内側にある空隙部95によって、カテーテルが血管内に挿入されて湾曲された場合において、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、カテーテルの破断を防止することができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、空隙部95を、放射線不透過性マーカー94と内層91との間に設けたが、第2実施形態乃至第3実施形態のカテーテルのように、放射線不透過性マーカー94に対して、カテーテルチューブ90の放射線方向外側(放射線不透過性マーカー94と先端外層93との間)、または放射線不透過性マーカー94に対して、カテーテルチューブ90の放射線方向両側(放射線不透過性マーカー94と内層91との間及び放射線不透過性マーカー94と先端外層93との間)に設けても良い。その場合においても、各実施形態で説明した効果と同様な効果を奏するものである。
【0049】
また、第1実施形態乃至第4実施形態においては、放射線不透過性マーカーを先端チップ側に配置する構成を説明したが、カテーテルチューブ側に配置するように構成しても良く、その場合においても、各実施形態で説明した効果と同様な効果を奏するものである。
【0050】
また、第1実施形態乃至第4実施形態においては、カテーテルをカテーテルチューブと先端チップとに分離して説明したが、カテーテルをカテーテルチューブと先端チップとを一体的に形成するように構成するようにしても良く、その場合においても、各実施形態で説明した効果と同様な効果を奏するものである。
【0051】
さらに、第1実施形態乃至第4実施形態においては、放射線不透過性マーカーの形状をリング形状として説明したが、コイル形状、リング形状の一部を切り欠いた形状などの他の形状であっても良い。但し、リング形状であれば、カテーテルの先端がどの方向に湾曲したとしても、過度な応力集中を防止し、カテーテル先端部の柔軟性を確保して、カテーテルの破断を防止することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 カテーテル
10 操作部
20,50,70,90 カテーテルチューブ
21 カテーテル本体部
22 先端チップ
24,91 内層
27,57,77 補強部材
28,58,78 補強部
29,59,79,93 先端外層
30,60,80,94 放射線不透過性マーカー
30a,60a,80a 融着部
35,65,85,95 空隙部
92 外層
図1
図2
図3
図4
図5
図6