【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各種物性値については、下記に示す方法によって測定した。
【0029】
<ヨウ素価>
JIS K0070のヨウ素価試験方法に準じる。
<沸点範囲>
JIS K2254の蒸留試験方法に準じる。
<引火点>
JIS K2265の密閉式引火点測定法に準じる。
【0030】
<数平均分子量>
島津製GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定装置を用いて数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定した。
【0031】
<鉄分含量分析>
所定量の試料を白金皿中で緩やかに燃焼させた後に、電気炉で完全に燃焼した灰分を濃塩酸で溶解し、測定試料とした。次にICP発光分析装置を使用し、所定操作により分析した。
【0032】
〔a成分の調製〕
合成例1;パラフィン混合物1
工程1)イソブテン30質量%、1−ブテン18質量%、2−ブテン類25質量%を含む炭素数4のブテン混合ガスとブタンガス27質量%を含む混合ガスをオートクレーブに仕込み、塩化アルミニウム触媒の存在下に共重合し、さらに未反応ガスおよび炭素数20以上の高沸点成分を除去して、炭素数16以下のポリブテン混合物を調製した。このポリブテン混合物は、数平均分子量が185であった。
【0033】
工程2)さらに、このポリブテン混合物をオートクレーブ中で水素化触媒(0.5%Pd担持アルミナ触媒)10質量%により水素圧3MPa、220℃で水素添加した。ポリブテンの水素化物、すなわちパラフィン混合物は、ヨウ素価が0.1であり、数平均分子量が180であった。
【0034】
工程3)外径4cm、長さ30cmのガラス筒に、アタパルガスクレイと活性白土を50:50の体積比で充填した吸着カラムに、毎分1mLの流速、25℃で連続的に送液して、触媒・装置由来の微量金属成分の吸着処理を行った。処理後のパラフィン混合物の鉄分は1ppmであった。
【0035】
工程4)その後、15段のオールダーショー棚段精留塔のボトム容器に仕込み、オイルバスにつけ、容器内の液温度が110℃になるまで乾燥窒素ガスによりバブリングを行い、空気との接触を避けて加熱した。容器内の液温度が110℃に達したら、減圧下(10kPa)で還流比を10とし減圧蒸留を8時間行い、仕込み全量の25質量%を留去した。その後、再び乾燥窒素ガスを減圧下バブリングしてボトム容器内の液状物を冷却した。得られたパラフィン混合物1の沸点範囲は187.5〜205℃、引火点は64℃で、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンの含量は2質量%であった。メチル基の個数の分析方法としては、日本電子製のJMS−AX505HA質量分析計を用いてそれぞれの化合物のメチル基の数を確認した。また、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンは島津製GC−14Bガスクロマトグラフィー分析により測定した。
【0036】
合成例2;パラフィン混合物2
合成例1記載の工程3)において、吸着剤の種類を粒子径が異なる2種のアタパルガスクレーに変更した。異なる粒子径のアタパルガスクレーのうち一方は粒子径840μmから1000μmのものであり、他方は粒子径200μmから480μmのものである。まず、粒子径840μmから1000μmのものを吸着カラムの容積割合で20%充填して仕込み、次に残り80%の割合を粒子径200μm〜480μmのもので充填して吸着カラムとした。この吸着カラムに、毎分1mLの流速、25℃で連続的に送液して、触媒・装置由来の微量金属成分の吸着処理を行った。
【0037】
また、工程4)の蒸留工程において、容器内の液温度を130℃、減圧度を20KPa、還流比を4、留出最高温度115℃、留去率30質量%として蒸留を行い、目的の化合物(パラフィン混合物2)を得た。得られたパラフィン混合物2は、鉄分3ppm、ヨウ素価0.1、沸点範囲188〜207℃、引火点64℃で、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンの含量2.3質量%であった。
【0038】
〔実施例1〜5、比較例1〜5〕
皮膚外用剤として表1、2に示す乳液を調製し、下記の7項目について下記の評価基準により評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0039】
〔評価項目及び評価基準〕
(1)使用後のべたつき
20名の女性(28才〜61才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚外用剤を使用して10分後の肌の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用後のべたつきがない皮膚外用剤であると評価した。
2点:べたつきがないと感じた場合。
1点:肌がややべたつくと感じた場合。
0点:肌が非常にべたつくと感じた場合。
【0040】
(2)使用後のさらさらすべすべ感
20名の女性(28才〜61才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚外用剤を使用して10分後の肌の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用後の肌がさらさらすべすべする皮膚外用剤であると評価した。
2点:さらっとしていてかつすべすべの肌になったと感じた場合。
1点:肌がややさらっとしているがすべすべ感はあまり感じられない場合。
0点:肌にすべすべ感が無いと感じた場合。
【0041】
(3)肌荒れ改善効果
肌荒れを生じている10名の女性(32才〜50才)をパネラーとし、皮膚外用剤を一日2回ずつ連日2週間に至って使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、10名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌荒れ改善効果のある皮膚外用剤であると評価した。
2点:肌荒れが明らかに治ってきたと感じた場合。
1点:肌荒れがやや治ってきたと感じた場合。
0点:肌荒れ改善効果が全く見られないと感じた場合。
【0042】
(4)しわ防止・改善効果
肌荒れを生じている20名の女性(28才〜61才)をパネラーとし、皮膚外用剤を一日2回ずつ連日4週間に至って使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上をしわ防止・改善効果のある皮膚外用剤であると評価した。
2点:しわが明らかに少なくなった(目立たなくなった)と感じた場合。
1点:しわがやや少なくなってきた(やや目立たなくなった)と感じた場合。
0点:しわが減少しない、もしくは増えたと感じた場合。
【0043】
(5)肌のはり
20名の女性(28才〜61才)をパネラーとし、皮膚外用剤を一日2回ずつ連日2週間に至って使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌にはりと透明感を与える効果のある皮膚外用剤であると評価した。
2点:明らかに肌にはりがでたと感じた場合。
1点:やや肌にはりがでたと感じた場合。
0点:肌にはりがないと感じた場合。
【0044】
(6)肌の透明感と明るさ
20名の女性(28才〜61才)をパネラーとし、皮膚外用剤を一日2回ずつ連日4週間に至って使用した時の肌の状態について官能検査し、下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌に透明感を与え、明るくする効果のある皮膚外用剤であると評価した。
2点:明らかに肌に透明感が出て、明るくなったと感じた場合。
1点:やや肌に透明感が出て、明るくなったと感じた場合。
0点:肌の透明感、明るさに変化が無いと感じた場合。
【0045】
(7)経時安定性
皮膚外用剤を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃、40℃でそれぞれ3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観・臭気の変化がない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干おり、沈殿を生じるまたは若干着色を生じる、もしくは臭気が変化している。)
×:安定性不良(いずれかの温度においており、沈殿を生じるまたは分離する。もしくは着色や臭気劣化が著しい。)
【0046】
【表1】
【0047】
注1;「ピーカンナッツエキスBG」(日油(株)製)
注2;「クミスクチンエキスBG」(日油(株)製)
注3;「BIO-CHE」(Bioland社製)
注4;「カーボポール #941」(BF-Goodrich社製)
【0048】
【表2】
【0049】
注1;「ピーカンナッツエキスBG」(日油(株)製)
注2;「クミスクチンエキスBG」(日油(株)製)
注3;「BIO-CHE」(Bioland社製)
注4;「カーボポール #941」(BF-Goodrich社製)
注5;「パールリーム4」(日油(株)製)
〔炭素数16、沸点範囲220〜252.5℃、引火点88℃、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン含量0質量%〕
注6;「マルカゾールR」(丸善石油化学(株)製)
〔炭素数12、沸点177℃、引火点48℃、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン含量95質量%以上〕
注7;「SH−245」(東レダウコーニング(株)製)
〔沸点210℃、引火点77℃〕
【0050】
実施例1〜5より、本発明による成分を用いた乳液はいずれも安定性に優れるとともに、べたつかずさらっとした感触でありながら、肌荒れ改善効果、しわ防止・改善効果に優れ、肌にはりを与えるとともに透明感を与えて肌を明るくする効果に優れていた。
【0051】
一方、比較例1〜5では十分な性能が得られていない。つまり、比較例1ではa成分に換えて、イソパラフィン混合物3が配合されていることから、使用後のべたつきがあるとともにさらさらすべすべ感が得られず、また肌にはりを与える効果が弱かった。そして、比較例2ではa成分に換えて、揮発性炭化水素であるイソドデカンが使用されていることから、使用後のさらさらすべすべ感が得られず、また、肌荒れ改善効果、肌の透明感と明るさを付与する効果が十分でなく、臭気が発生して安定性に問題を生じている。さらに、比較例3ではa成分に換えて揮発性油分として環状シリコーン(デカメチルペンタシクロシロキサン)が使用されていることから、使用後のさらさらすべすべ感が得られず、また、肌荒れ改善効果、肌にはりを与える効果、肌の透明感と明るさを付与する効果が弱かった。一方、比較例4ではc成分が配合されていないことから、肌荒れ改善効果、しわ防止・改善効果、肌の透明感と明るさを付与する効果が弱くなるとともに、安定性に問題を生じている。比較例5ではd成分が配合されていないことから、肌にはりを与える効果が弱くなるとともに安定性に問題を生じている。
【0052】
〔実施例6、7〕
皮膚外用剤として表3に示す水中油型乳化のクリームを調製し、評価項目(1)〜(6)は実施例1〜5の方法により、そして評価項目(7)の経時安定性については下記の方法により評価を行なった。但し、共通添加成分として表4に示す10成分を使用した。結果を表3に示す。
【0053】
(7)経時安定性
皮膚外用剤を透明ガラス容器に密封して−5℃、25℃、45℃でそれぞれ1ヶ月間保存したときの状態を調査し、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観・臭気の変化がなくブツ等も生じない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において僅かに臭気劣化、沈殿、分離、ブツ、ダマを生じる等の現象が見られる。)
×:安定性不良(いずれかの温度において明らかに臭気劣化、沈殿、分離等が見られる。)
【0054】
【表3】
【0055】
注1;「ピーカンナッツエキスBG」(日油(株)製)
注6;「Resveratrox De-Colored 2%溶液」(香栄興業(株)製)
【0056】
【表4】
【0057】
実施例6、7より、本発明に係るクリームはいずれも安定性に優れるとともに、べたつかずさらっとした感触でありながら、肌荒れ改善効果、しわ防止・改善効果に優れ、肌にはりを与えるとともに透明感を与えて肌を明るくする効果に優れていた。
【0058】
〔実施例8、9〕
皮膚外用剤として表3に示す油中水型乳化のクリームを調製し、実施例6、7に示す評価方法により評価を行なった。但し、共通添加成分として表5に示す10成分を使用した。結果を表3に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例8、9より、本発明に係るクリームはいずれも安定性に優れるとともに、べたつかずさらっとした感触でありながら、肌荒れ改善効果、しわ防止・改善効果に優れ、肌にはりを与えるとともに透明感を与えて肌を明るくする効果に優れていた。