(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような予洗浄装置では、シャワーにも、吐水装置にも上水が供給利用され、大量の上水が使用されるため、予洗浄装置において水をより効率的に利用することが求められている。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、水の効率利用を図ることのできる食堂用食器洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.食堂の利用者が食器を返却する場合に、利用者自身で食器の残飯を洗い落とし可能な予洗浄装置を備える食堂用食器洗浄システムにおいて、
前記予洗浄装置は、
流し台と、
食器の残飯を前記流し台に洗い落とすための上水を吐水可能な洗浄水供給手段と、
前記流し台に落とされた残飯を前記流し台の排出口まで押し流すための水を吐水可能であり、前記流し台の内側面横幅方向に沿って所定間隔毎に複数設けられるシャワー吐出口および前記流し台の下方傾斜する底面の頂部側の内側面に設けられるトラフ吐出口からなる排除水供給手段とを備え、
前記流し台の前記排出口から排出された残飯及び洗浄廃水を濾過する濾過手段と、
前記濾過手段で濾過された洗浄廃水を、前記排除水供給手段に供給する洗浄廃水循環手段と
を備え、
前記濾過手段は、
前記流し台の前記排出口から排出された残飯及び洗浄廃水から残飯を取除くための残飯フィルタと、前記残飯フィルタで濾過された洗浄廃水が流れ込み規定水位を超えた分の洗浄排水のみを排出する
単管で一端に雄ねじが切ってあるオーバーフロー管により規定水位まで排水が一定量貯水され
、底に前記オーバーフロー管が螺着できる雌ねじを有するタッピングを備える貯水桝とを有し、
且つ、
前記洗浄廃水循環手段は、前記貯水桝から循環ポンプにより洗浄廃水を吸引して前記排除水供給手段へ供給するよう構成され、
前記残飯フィルタを前記貯水桝上側内部に位置させ、
前記貯水桝は前記残飯フィルタとともにキャスターを備えて移動可能にされ、
前記オーバーフロー管を螺着して立設することで、一定量の洗浄廃水を貯水でき、
前記オーバーフロー管を緩めて外すことで前記貯水桝に溜めた洗浄廃水を排水できるように構成したことを特徴とする食堂用食器洗浄システム。
【0008】
手段1によれば、流し台の排出口から残飯とともに排出された洗浄廃水を濾過して、排除水供給手段に供給し、流し台に落とされた残飯を排出口へと押し流すための水として再利用することができる。従って、上水の使用量を著しく減らすことができ、コストの削減や、上水の製造に関わる環境負荷の低減等を図ることができる。
【0009】
また、食器から残飯を洗い落とす水は上水となっている。このため、食器から残飯を洗い落とす際に、洗浄廃水が利用者の手や食器に付着してしまうといった事態を防止することができる。従って、洗浄廃水を活用しつつも、利用者の衛生環境を好適に保つことができる。さらに、食器から残飯を流すために洗浄水供給手段から吐水される上水が、食堂用食器洗浄システムを循環する循環水と混合されて洗浄廃水となることから、残飯を流し台に流すたびに循環水の汚水濃度が著しく上昇してしまうといった事態を抑制することができる。
【0010】
また、手段1によれば、予洗浄装置に必要な残飯フィルタを設置する筐体に、オーバーフロー管を取付けて貯水するようにした簡単な構造で、洗浄廃水をポンプで取出せるようになり、排除水供給手段へ供給できるようになる。
【0011】
また、手段
1によれば、簡単な構成で、貯水桝の貯水及び排水が容易に自在にできるようになる。
【0012】
手段
2.前記濾過手段は、
稼働時は、前記貯水桝の前記オーバーフロー管の下部が、調理スペースの排水溝の直上に設置されていることを特徴とする手段1に記載の食堂用食器洗浄システム。
【0013】
手段
2によれば、食堂の調理スペースには必須で備わっている排水溝の上部に、貯水桝のオーバーフロー管の下部を位置させれば、特に配管接続しなくても、不要な洗浄廃水を、周囲を汚すことなく排出できる。また、貯水桝や貯水桝の周辺部の清掃をよりスムース、かつ、より丁寧に行うことができる。また、貯水桝の設置スペースを、調理スペースにおける作業の邪魔にならない位置に設定することで、貯水桝自体への接触が図り難くなったとしても、食堂用食器洗浄システムの稼働停止後、貯水桝を前記設置スペースから引っ張り出して、貯水桝や貯水桝の設置スペースを比較的容易に清掃することができる。従って、食堂用食器洗浄システムを設置しても、調理スペースの衛生環境を好適に保ちつつ、調理スペースにおける作業性が悪化すること等を防止することができる。
【0014】
尚、「前記貯水桝に接続される配管は、カプラ継手によって前記貯水桝と着脱自在に接続されていること」としてもよい。この場合、貯水桝に接続される配管内の清掃をよりスムース、かつ、より丁寧に行うことができる。
手段3.前記オーバーフロー管は、前記残飯フィルタとは平面視において異なるところに設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の食堂用食器洗浄システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1、
図2に示すように、食堂1(本例では、会社の社員食堂)に設置される食堂用食器洗浄システム5は、食堂1の利用者(喫食者)が食器を返却する場合に、喫食者自身で食器の残飯を洗い落とし可能な予洗浄装置6を備えている。
【0017】
予洗浄装置6は、食堂1の喫食スペース2の壁4に沿って、喫食スペース2から調理スペース3にかけて延在し、食器を載置可能に構成されるとともに、喫食スペース2側で載置された食器を調理スペース3にまで運搬するコンベヤ7と、コンベヤ7の手前側において、コンベヤ7の延在方向に沿って2つ並びで設置される横長の流し台8とを備えている。つまり、食事を終えた喫食者が、食器を予洗浄装置6まで運んでコンベヤ7に載せることで、食器が調理スペース3側に返却されるようになっている。また、食器の返却に際して、食器に残飯がある場合には、食器をコンベヤ7に載せる前に、コンベヤ7手前側の流し台8に残飯を落とすようになっている。ちなみに、コンベヤ7で調理スペース3(洗い場)にまで運ばれた食器は、図示しない業務用食洗機によって洗浄されることとなる。
【0018】
さらに、予洗浄装置6は、食器の残飯を流し台8(の槽)に洗い落とすための上水を吐水可能な洗浄水供給手段としての洗浄水栓11(本例ではシンクトップタイプ)と、流し台8(の槽)に落とされた残飯を流し台8の排出口9まで押し流すための水を吐水可能な排除水供給手段としてのシャワー吐水口13及びトラフ吐水口14とが設けられている。洗浄水栓11は、操作手段としてのレバー12を備えており、喫食者がレバー12を操作して洗浄水栓11を開閉できるようになっている。つまり、食器の返却に際し、食器の残飯を流し台8に落とすべく、食器を裏返しても、残飯が食器に付着して落ちないような場合には、洗浄水栓11から水を出して、かかる残飯を流し台8に洗い落とすことができるようになっている。
【0019】
また、基本的に、一対の流し台8は、互いに左右対称形状となっている。より具体的には、
図2等に示すように、各流し台8の排出口9は、(槽の)底面ではなく、奥側(コンベヤ7側)の内側面において、流し台8同士が突き合わせられた側の部位(予洗浄装置6全体で見ると左右方向の中央側)に形成されている。加えて、流し台8の底面は、排出口9に向けて下方傾斜しており、最も下流側の位置で排出口9と連続するように構成されている。
【0020】
さらに、シャワー吐水口13は、流し台8の手前側の内側面において、横幅方向に沿って所定間隔毎に複数設けられている。また、トラフ吐水口14は、一対の流し台8同士が突き合わされた側とは反対側の内側面に設けられている。本実施形態では、予洗浄装置6を稼働した状態では、基本的に、常時、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14から吐水されるように構成されている。従って、流し台8に落下した残飯は、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14から吐水された水によって、排出口9へと押し流されるようになっている。
【0021】
さらに、
図3等に示すように、流し台8は、排出口9から排出された残飯及び洗浄廃水を、コンベヤ7の下方を潜らせて、調理スペース3にまで運ぶ排出シュート15を備えている。尚、
図3に示すように、コンベヤ7の下方においては、喫食スペース2と調理スペース3とを連通させるべく、壁4に開口部4aが形成されており、かかる開口部4aに排出シュート15が挿通されている。
【0022】
加えて、
図2、
図3に示すように、流し台8の下方は、喫食スペース2側に開放された空間となっており、かかる空間には、食器を予洗浄装置6まで載せてきたトレーを回収するキャスター付きのトレーディスペンサー18が収容されるようになっている。すなわち、食堂1の利用者は、流し台8に食器の残飯を洗い落とし、食器をコンベヤ7に載せてから、空になったトレーをトレーディスペンサー18に返却するといった一連の動作を一カ所で行うことができる。
【0023】
また、
図3、
図4等に示すように、食堂用食器洗浄システム5は、流し台8の排出口9(排出シュート15)から排出された残飯及び洗浄廃水を濾過する濾過手段としての濾過装置21と、濾過装置21で濾過された洗浄廃水を、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14に供給する洗浄廃水循環手段としての循環装置31とを備えている。
【0024】
濾過装置21は、流し台8の排出口9から排出され、排出シュート15により調理スペース3まで運ばれてきた残飯及び洗浄廃水を受け、当該残飯及び洗浄廃水から残飯を取除くための残飯フィルタ22と、残飯フィルタ22で濾過された洗浄廃水が一定量貯水される貯水桝23とを備えている。貯水桝23は、例えば、ステンレス製の筐体であり、その上側内部には、残飯フィルタ22を、支持金物を介して着脱可能に固定できるような構成となっている。貯水桝23の内部には、後述する循環ポンプ32で洗浄廃水を上方のシャワー吐水口13及びトラフ吐水口14に揚水しても、貯水桝23中が渇水することがない洗浄廃水貯水量を確保できる規定水位を保つため、規定水位を超えた分の洗浄廃水のみを排出するオーバーフロー管24が底部から略鉛直上に立設されている。貯水桝23は、循環装置31と接続される循環接続口25に対応して設けられ、洗浄廃水が貯水桝23から循環装置31に供給される際に、貯水桝23に貯水された洗浄廃水に含まれるより細かな残飯を取除くためのストレーナ26を備えている。
【0025】
また、貯水桝23は、食堂用食器洗浄システム5の稼働時においては、オーバーフロー管24の下部が、調理スペース3の床面に形成された排水溝29の直上に位置するように配置され、オーバーフロー管24から排出された洗浄廃水は、排水溝29等を介して下水に流されることとなる。さらに、オーバーフロー管24は、一端の外面に施された雄ねじを、貯水桝23の底面下方に突き出すように水密に固定された内面に雌ねじが施されたタッピングに対し、螺着して略鉛直上方に立設固定できるようになっている。これにより、オーバーフロー管24は、貯水桝23に対して着脱自在に取付けられることとなり、開放された貯水桝23上方から、例えば、パイプレンチ等でオーバーフロー管24の締結を緩めることにより、オーバーフロー管24を貯水桝23から取外すことで、貯水桝23に貯水されている全ての洗浄廃水を貯水桝23から排水することができるようになっている。このオーバーフロー管24の着脱が頻繁になり煩雑な場合には、別途貯水桝23の底面に開閉可能な排水口を設け、その排水口を調理スペース3の床面に形成された排水溝29の上方に位置させて、貯水された洗浄廃水を排水するときだけ排水口を開放させてもよい。また、本実施形態の貯水桝23はキャスター27を備えている。このため、貯水桝23やその周りの清掃を行う場合には、清掃作業が行い易くなるように、貯水桝23を移動させることができる。
【0026】
循環装置31は、循環ポンプ32と、循環ポンプ32と貯水桝23(循環接続口25)との間を接続する循環水管33と、循環ポンプ32とシャワー吐水口13及びトラフ吐水口14との間を接続する吐水接続管34とを備えている。そして、循環ポンプ32を駆動させることで、貯水桝23に貯水されている洗浄廃水が、循環水管33及び吐水接続管34を介して、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14から流し台8に吐水された後、流し台8の排出口9及び排出シュート15を介して、貯水桝23に戻る(循環する)ようになっている。尚、循環される洗浄廃水(循環水)には、業務用の洗剤が混ぜられている。
【0027】
加えて、循環水管33の少なくとも一部は可撓性を有するホースによって構成されており、貯水桝23を移動させた場合に追従して変形・変位するようになっている。さらに、循環水管33は、カプラ継手35(
図4参照)により貯水桝23の循環接続口25と着脱自在に接続されている。
【0028】
また、本実施形態では、貯水桝23に対して上水を供給可能な補給水管41が設けられている。すなわち、食堂用食器洗浄システム5を初めて稼働させる場合等に、食堂用食器洗浄システム5において循環ポンプ32で水を循環させるためには、まず始めに、貯水桝23に水を溜める必要がある。このときに、補給水管41を介して上水を貯水桝23に溜めるようになっている。
【0029】
さらに、
図1、
図4に示すように、貯水桝23に規定量の水が貯水されたことを検知可能な水位センサ42と、補給水管41を開閉可能に構成され、水位センサ42によって貯水桝23に規定量の水が貯水されたことが検知された場合に、補給水管41を閉鎖する給水電磁弁43とが設けられている。尚、補給水管41は、貯水桝23に対し、オーバーフロー管24の上端部よりも上方部位において接続されており、補給水管41に洗浄廃水が流入しないようになっている。
【0030】
加えて、補給水管41の少なくとも一部は可撓性を有するホースによって構成されており、貯水桝23を移動させた場合に追従して変形・変位するようになっている。さらに、補給水管41は、カプラ継手45(
図4参照)により貯水桝23と着脱自在に接続されている。
【0031】
次に、食堂用食器洗浄システム5の稼働の流れについて説明する。先ず、食堂関係者(食事提供者)は、食堂に利用者(喫食者)を受け入れるべく、貯水桝23が空の状態になっている場合には、食事時間の開始に合わせて、給水電磁弁43を開状態とし、貯水桝23に対し補給水管41を介して上水を供給する。貯水桝23に上水が一定量貯水されると、水位センサ42の検知に応じて給水電磁弁43が自動制御で閉状態となり、給水が停止される。
【0032】
その後、コンベヤ7を駆動させるとともに、循環ポンプ32を駆動させ、貯水桝23に貯水されている水を循環させる。すなわち、貯水桝23に貯水されていた水は、循環水管33及び吐水接続管34を介して、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14から流し台8に吐水され、流し台8の排出口9及び排出シュート15を介して、貯水桝23に回収される(循環する)こととなる。本実施形態では、食事時間が終了するまで(最後の喫食者が食器を返却するまで)、常時、コンベヤ7及び循環ポンプ32が駆動し、水が循環されるようになっている。尚、本実施形態では、コンベヤ7及び循環ポンプ32をそれぞれのタイミングで駆動開始・停止させることができるようになっている。
【0033】
食事時間が終了した場合、コンベヤ7及び循環ポンプ32を停止させ、洗浄水栓11等を利用して流し台8の清掃を行うとともに、残飯フィルタ22の残渣(残飯)を処理する。さらに、定期的に、貯水桝23に貯水されている洗浄廃水を排水したり、循環装置31の水抜きを行ったり、貯水桝23やその周辺部等の清掃を行ったりする。
【0034】
また、図示は省略するが、本実施形態の貯水桝23の設置スペースは、作業台に挟まれているうえ、上方に配管が通っているため、貯水桝23が設置スペースに位置したままでは貯水桝23等の清掃作業が行い難い。従って、貯水桝23等の清掃に際しては、貯水桝23をかかる設置スペースから調理スペース3の通路にまで引き出してから、貯水桝23や排水溝29等の清掃を行うようになっている。尚、食堂用食器洗浄システム5の清掃や循環水の入れ替え等に関しては、現場の各種状況に応じて適宜対処されるものであり、例えば、循環水の汚水濃度が高いと判断されるような場合には、食事終了毎に貯水桝23に貯留されている洗浄廃水を抜くようにしてもよい。また、吐水接続管34については、定期的に高圧洗浄を行うようになっている。
【0035】
次に、食堂用食器洗浄システム5の利用の流れについて説明する。喫食者は、食事を終えると、食器を返却するべく、予洗浄装置6のある場所へ移動する。本実施形態では、皿や椀等の食べ物を載せる食事用容器と、箸やスプーン等の食べ物を移動させる食事用道具と、複数の食事用容器や食事用道具をまとめて載せるためのトレーとを別々に回収するようになっている。先ず、食事用道具に関しては、予洗浄装置6の近くに設置される図示しない専用の回収台に返却するようになっている。
【0036】
また、食事用容器に関しては、予洗浄装置6のコンベヤ7に載せて返却するようになっている。このとき、食事用容器に残飯がある場合には、流し台8の上で食事用容器を裏返す等して、残飯を流し台8に落とす。それでも食事用容器に残飯が付着している場合には、洗浄水栓11を開いて上水で残飯を食事用容器から洗い落とす。尚、流し台8に落とされた残飯は、シャワー吐水口13及びトラフ吐水口14から吐水される循環水によって、排出口9に押し流されることとなる。
【0037】
加えて、食事用道具及び食事用容器を返却して空になったトレーに関しては、流し台8の下方に収容されているトレーディスペンサー18に返却する。尚、トレーディスペンサー18の上面と、流し台8の下面との間には、トレーを挿入可能な隙間が形成されており、トレーディスペンサー18を引き出すことなく、トレーを該隙間に挿入させるようにしてトレーディスペンサー18に載せて、返却するようになっている。以上のようにして、利用者の食器の返却が完了する。尚、食事や、食器返却等に際して手が汚れた場合には、洗浄水栓11を開いて手を洗うことも可能である。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態では、流し台8の排出口9から残飯とともに排出された洗浄廃水を濾過装置21で濾過してから、循環装置31によって、流し台8のシャワー吐水口13及びトラフ吐水口14に供給し、流し台8に落とされた残飯を排出口9へと押し流すための水として再利用することができる。従って、上水の使用量を著しく減らすことができ、コストの削減や、上水の製造に関わる環境負荷の低減等を図ることができる。
【0039】
また、食器から残飯を洗い落とす水は上水となっている。このため、食器から残飯を洗い落とす際に、洗浄廃水が利用者の手や食器に付着してしまうといった事態を防止することができる。従って、洗浄廃水を活用しつつも、利用者の衛生環境を好適に保つことができる。さらに、食器から残飯を流すために洗浄水栓11から吐水される上水が、食堂用食器洗浄システム5を循環する循環水と混合されて洗浄廃水となることから、残飯を流し台8に流すたびに循環水の汚水濃度が著しく上昇してしまうといった事態を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、洗浄水栓11がレバー12を備えており、喫食者によって洗浄水栓11を開閉可能に構成されている。このため、必要なときにだけ、洗浄水栓11から上水を吐水させることができる。つまり、利用者が予洗浄装置6を使用していない状態や、利用者が残飯を出すことなく食事を終えて食器を返却する場合においては、上水を使用しないで済む。従って、洗浄水栓11から常時上水が吐水されるような場合に比べ、上水の使用量をより一層低減させることができる。
【0041】
さらに、貯水桝23はキャスター27を備えて移動可能に構成されている。このため、貯水桝23や貯水桝23の周辺部(排水溝29等)の清掃をよりスムース、かつ、より丁寧に行うことができる。また、貯水桝23の設置スペースを、調理スペース3における作業の邪魔にならない位置に設定することで、貯水桝23自体への接触が図り難くなったとしても、食堂用食器洗浄システム5の稼働停止後、貯水桝23を前記設置スペースから引っ張り出して、貯水桝23や貯水桝23の設置スペースを比較的容易に清掃することができる。従って、食堂用食器洗浄システム5を設置しても、調理スペース3の衛生環境を好適に保ちつつ、調理スペース3における作業性が悪化すること等を防止することができる。
【0042】
加えて、貯水桝23に接続される循環水管33及び補給水管41は、カプラ継手35、45によって貯水桝23と着脱自在に接続されている。このため、貯水桝23に接続される配管内の清掃をよりスムース、かつ、より丁寧に行うことができる。
【0043】
また、濾過装置21の貯水桝23は、貯水された洗浄廃水が規定水位を超える場合に、規定水位を超えた分の洗浄廃水を排出するオーバーフロー管24を備えている。このため、残飯フィルタ22を通り抜け、貯水桝23に浮いた油や比較的小さな塵等をオーバーフロー管24から効果的に排出することができる。従って、循環水に含まれる油や塵の量を低減させることができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態では、洗浄水栓11はレバー12を備えているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、例えば、回転式のハンドルやボタンを備え、レバーやボタンへの操作に応じて開閉されるように構成してもよい。また、例えば、洗浄水栓11の蛇口の下方に差し出された食器を検知可能な検知手段としてのセンサ(例えば、赤外線センサ)を設け、かかるセンサの検知に応じて、洗浄水栓11が開閉されるように構成してもよい。このように、レバー12に代えてセンサを採用する場合であっても、食器に残飯がなく、食器をそのまま返却するような利用者の動作は検知せず、食器から残飯を流し台8に落とす動作を検知するように構成することで、洗浄水栓11から吐水される上水の使用量を確実に低減させることができる。尚、洗浄水栓11がハンドル式やボタン式のものであっても、利用者が洗浄水栓11を開状態とした後、閉状態とする操作を行わなくても、自動的に閉状態となるような構成のものを採用してもよい。
【0046】
(b)上記実施形態において、水位センサ42の検知に応じて給水電磁弁43が閉状態とされる場合に、コンベヤ7や循環ポンプ32が自動制御で駆動を開始するように構成してもよい。また、上記実施形態において、水位センサ42や給水電磁弁43を省略し、手動で補給水管41を開閉するように構成してもよい。
【0047】
さらに、残飯フィルタ22が、貯水桝23に貯水された洗浄廃水に浸からない(オーバーフロー管24の上端部よりも上方に位置する)ように構成してもよい。該構成を採用する場合、残飯フィルタ22で濾過された洗浄廃水が飛び散らないように、残飯フィルタ22の下部は貯水桝23の内部に位置することが望ましい。当然、上記実施形態のように、残飯フィルタ22の全体が貯水桝23の内部に位置するように構成することで、洗浄廃水の飛散防止効果をより一層高めることができる。加えて、食堂用食器洗浄システム5の稼働中においても、残飯フィルタ22の残飯処理がスムースに行えるように、残飯フィルタ22の上流側で、別の残飯フィルタ22を仮で設置することのできる仮設置部を設けることとしてもよい。
【0048】
尚、上記実施形態では、貯水桝23の底面に排水口を形成し、そこにタッピングを介してオーバーフロー管24を着脱自在に取付けることとしているが、貯水桝23の排水等に関する構成については限定されるものではない。例えば、貯水桝23の側面に対して一定水位を超える洗浄廃水を排出する排水口を形成するとともに、貯水桝23の底面に対して貯水されている全ての洗浄廃水を抜くための排水口を形成することとしてもよい。但し、上記実施形態のように、貯水桝23の底面に形成された排出口に対してオーバーフロー管24を設ける構成を採用することで、一定水位を超えることで排出された洗浄廃水を、別の配管を設けなくとも、飛散を抑制しつつ排水溝29に排出することができる。また、貯水桝23の排水口が1つでよく、しかも、該排水溝にオーバーフロー管24を取付けることで、貯水桝23に確実に一定量の洗浄廃水を貯めることができることから、構成の複雑化を防止することができる。
【0049】
(c)上記実施形態において、トラフ吐水口14から吐水される水量を制御する供給量制御手段を設けることとしてもよい。例えば、トラフ吐水口14に対応して貯水部を設けたり、吐水接続管34を専用に設けたりして、所定時間毎に、或いは、利用者の利用を検知した場合に、トラフ吐水口14から循環水を流し台8に吐水する、或いは、トラフ吐水口14からの吐水量を増やすように構成してもよい。尚、上記実施形態のように、循環水の循環経路において、常時、循環水を一定速度以上で循環させ続けることにより、循環経路の管内に塵等が付着する等の事態を抑制することができる。また、トラフ吐水口14の形状や大きさや数は特に限定されるものではなく、例えば、所定間隔を隔てて複数設けることとしてもよいし、スリット状に形成してもよい。
【0050】
(d)上記実施形態では、会社にある社員食堂に具体化されているが、学校にある学生食堂や、社員寮や学生寮にある食堂等に適用することも可能である。