【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記目的は、
天井1に開設された開口部2内に固定される外枠3に対して閉塞回転位置と開放回転位置との間で回動自在に内枠4を連結した点検口本体5と、
前記閉塞回転位置に内枠4を拘束する閉塞操作位置と拘束解除する開放操作位置との間で移動自在に点検口本体5に取り付けられるロック体6とを有し、
前記点検口本体5には、ロック体6が開放操作位置をとるときに外部から目視容易で、閉塞操作位置をとるときに目視不能になるロック判別部7が形成される
天井点検口であって、
前記外枠3と内枠4のいずれか一方には、他方に向かって
天井1に沿って張り出し、前記ロック判別部7を兼ねる切欠状のロック逃し部を備えたフランジ8が形成されるとともに、
前記他方には、前記フランジ8の表面を摺動自在にロック体6が取り付けられ、
前記ロック体6には、
前記ロック逃し部を通過可能で、開放操作位置においてロック逃し部に対峙してアンロック状態となって内枠4の外枠3に対する回転を許容し、閉塞回転位置において、ロック逃し部からずれたロック状態となって内枠の外枠3に対する回転を禁止する突出片46と、
開放操作位置にあるときに前記ロック判別部7に対応して室内空間と天井裏9空間とを直上に繋げる貫通孔51とが設けられ、
前記ロック体6の開放操作位置への移動に伴って前記貫通孔51を通して天井裏9空間の暗さを外部に現し、室内の明るさとの明暗のコントラストによりアンロック状態を知らせる天井点検口を提供することにより達成される。
【0009】
本発明によれば、点検口本体5とロック体6のいずれか一方には、アンロック時に目視容易で、ロック時に目視不能、あるいは目視困難なロック判別部7が形成される。したがってロック動作状態の確認は、ロック判別部7が目視容易な状態であるか否かにより簡単にすることができる。また、ロック判別部7は、ロック時には目視不能、あるいは目視困難になるために、天井点検口を開放操作する作業時以外において、すなわち日常時に室内の景観を損なうことはない。
【0010】
ロック判別部7は、例えば、ロック体6の開放操作位置から閉塞操作位置への移動に伴ってその一部を覆い隠すことのできる部分を点検口本体5に設けておくことにより、ロック体6のこのように覆い隠される部分に配置した目視容易な目印として構成することが可能である。また反対に、ロック体6が開放操作位置から閉塞操作位置への移動に伴って点検口本体5の一部を覆い隠すように点検口本体5に対するロック体6の操作移動位置を設定しておき、点検口本体5のこのようにロック体6により覆い隠される部分に配置した目視容易な目印として構成することも可能である。この場合において、ロック判別部7を点検口本体5の天井1との目地を隠すフランジ8に配置した場合には、このようなフランジ8を備えた既存の点検口本体5を活用して簡単にメンテナンス性等を良好にすることができる。
【0011】
また、目視容易なロック判別部7は、例えば、平滑な部分に囲まれた浮島状の突起や、周囲の色とのコントラストをつけた着色によって構成することが可能である。この場合において、フランジ8とロック体6のそれぞれの表面を明色にするとともに、天井裏9の暗さを取り込むようにして暗色をなし、ロック体6の開放操作位置から閉塞操作位置への移動に伴って該ロック体6により室内側から目視不能に覆われる判別空間部10をフランジ8に設けた場合には、フランジ8に室内空間と天井裏9を繋げる貫通孔や切欠を設けるだけで、室内の明るさと天井裏9の暗さによる明暗のコントラストを利用した視認性の高いロック判別部7を構成することができ、かつ、その耐久性をも極めて高めることができる。
【0012】
さらに、
前記ロック体6は、
閉塞回転位置における他方の一方に対する対峙面11に天井1に沿って移動自在に取り付けられる取付部12と、
取付部12から延設されてフランジ8の表面に張り出す操作部13と、
操作部13との間にフランジ8を挟持可能にフランジ8の裏面に取付部12から張り出すロック支持部14とを有し、
かつ、前記フランジ8には、操作部13とロック支持部14とによる挟持状態をロック体6が開放操作位置をとるときに解消させる切欠が前記判別空間部10を兼ねて形成される天井点検口を構成した場合には、上述したロック判別部7をロック体6のロック機構を活用して極めて簡易に構成することができる。
【0013】
また、上述のように点検口本体5に天井1に沿ってロック体6を移動自在に取り付ける場合には、天井点検口は、
押し出し成形により形成されて幅方向に対向する折り返し片15、15を長手通しに備えた枠材16の複数を前記折り返し片15、15間に嵌合する幅および厚さ寸法を備えたL字状の連結具17により枠組みした内枠4、外枠3を、閉塞回転位置と開放回転位置との間で回転自在に連結して形成される点検口本体5と、
前記内枠4と外枠3のいずれか一方の枠材16の閉塞回転位置における他方への対峙面11に長手方向に沿ってスライド自在に装着され、他方の枠材16’に形成されたロック受け部18にスライド移動により係脱して内枠4を閉塞回転位置に拘束可能なロック体6とを有し、
前記ロック体6は、前記対峙面11に配置された折り返し片15、15間への弾発係止により枠材16の長手方向に沿って折り返し片15、15間において摺動自在に装着されるように構成することができる。
【0014】
すなわち、上述した従来例においては、ロック体6を移動操作可能にするために、内枠4などの点検口本体5へのロック体6の固定にビス等を用いることから、部品点数が多くなる上に、故障もしくは消耗したロック体6を交換する際や、あるいは、天井点検口5を製造する際には、ビス留め等の作業が必要になり、組み立て効率も悪いという欠点がある。
【0015】
上述した天井点検口は、このような欠点を解消するもので、部品点数を削減できるとともに、組み立て効率を高めることができるものである。
【0016】
すなわち、この天井点検口によれば、内枠4と外枠3の双方は、押し出し成形により形成されて幅方向に対向する折り返し片15、15を長手通しに備えた枠材16の複数を枠組みして形成される。この枠組みは、枠材16、16同士の直交する接合部位において、上記折り返し片15、15間に嵌合する幅寸法を備えたL字状の連結具17をそれぞれの枠材16の折り返し片15、15間に嵌合させてなされる。
【0017】
一方、ロック体6は、上記連結具17よりもやや狭い幅寸法を備えたもので、上述のように押し出し成形により長手通しに形成されて枠組みに利用される折り返し片15、15間に挿入されることにより、折り返し片15、15間において枠材16の長手方向にスライド移動することができる。このロック体6は、弾発係止により折り返し片15、15間に組み付けられる。
【0018】
したがってこの天井点検口によれば、ロック体6は弾発係止により点検口本体5に装着されるために、上述した従来例におけるようなビス等が不要になる。また、その組み立て作業も、弾発係止する方向にロック体6を押し込む、言い換えれば折り返し片15、15間に向かってロック体6を押し込むだけでよく、これにより折り返し片15に側縁部が押し付けられたロック体6を、側縁部が折り返し片15を乗り越えるように弾性変形により撓ませることによりなされるために、押し込み作業だけの簡単なものになる。
【0019】
さらに、ロック体6のスライド移動は、押し出し成形により形成される枠材16において長手通しに形成され、その枠組みに利用される折り返し片15を活用することで実現されるために、スライド移動のための専用構造を点検口本体5やロック体6に新たに設けることによるこれらの構造の複雑化といった問題も回避され、既存の点検口本体5をそのまま活用することができる。
【0020】
また、この天井点検口において、ロック体6は具体的には、上述した天井点検口における取付部12に相当する部分の一側縁部に、上述の押し込み操作により折り返し片15に衝接して弾性変形により該折り返し片15を乗り越えた後、弾性復帰して当該折り返し片15に弾発係止する弾性脚20を設けて構成することができる。また、このような弾性脚20を取付部12の両側縁部に設けて構成することも可能である。
【0021】
さらに、ロック体6は、上述のように弾発係止により点検口本体5に装着するには、その弾性変形能を高めることが組み立て効率上望ましいが、あまり弾性変形能を高めてしまうと、折り返し片15との係止状態が不安定になりやすく、これによりスライド移動が不安定になるおそれがある。一方、ロック体6の幅寸法をより小さくすれば、より小さな弾性変形量でも折り返し片15間に弾発係止できるようなり、弾性変形能を抑えることが可能であるが、この場合には、折り返し片15、15間でロック体6ががたついてしまうおそれがある。
【0022】
この点、上記天井点検口を、
前記一方の枠材16には、設置状態における室内側の側縁から前記他方の枠材16に向かって張り出すフランジ21が形成されるとともに、
前記ロック体6には、対峙面11に装着される取付部12から前記フランジ21の表面側に張り出して該フランジ21により背面を支持される操作部13が形成され、
かつ、前記取付部12には、対峙面11への装着状態において前記操作部13と協働することにより一方の枠材16に対するロック体6の摺動動作、摺動姿勢を安定可能なクリアランスが折り返し片15との間に設定されるように構成すると、操作部13のフランジ21による支持を利用して上述したロック体6のがたつきを抑えることができる。
【0023】
また、このようにロック体6のがたつきを抑えるために操作部13、フランジ21を利用する場合には、
前記取付部12は、設置状態において天井裏9側に配置される折り返し片15に係止する係止片19を一側縁部に備えるとともに、他側縁部には、天井裏9側の折り返し片15に傾斜状に差し込まれた前記係止片19の先端部を中心にしてロック体6を対峙面11に向かって回転させたときに、室内側の折り返し片15に衝接して弾性変形により該折り返し片15を乗り越えた後、弾性復帰して当該折り返し片15に弾発係止する弾性脚20が形成されるようにすれば、操作部13をフランジ21によりある程度密接に支持させるようにしても、ロック体6の弾発係止をスムーズにすることができるようになる。