(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選定手段は、前記判定対象計測値と前記各比較計測値との第1の相関係数の平均値を算出し、その平均値より予め設定された所定値以上の第1の相関係数が算出された比較計測値を関連計測値として選定することを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
前記選定手段は、前記判定対象計測値と前記各比較計測値との第1の相関係数の平均値より予め設定された所定値以上の第1の相関係数が算出され、かつ予め設定された第1閾値以上の第1の相関係数が算出された比較計測値を関連計測値として選定することを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
前記検出手段は、算出した第2の相関係数が予め設定された第2閾値を下回る場合、その閾値を下回った期間内において前記機器に異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、機器の劣化や故障を検出するためには、通常運用とは別個に異常検出のために機器を動作させてみたり、通常運用時に収集されるデータとは別個に異常検出のためにデータを機器から別途収集したり、予め用意しておいたりする必要があった。
【0007】
本発明は、機器の通常運用時に収集された計測値を用いて機器の異常を容易に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る異常検出装置は、施設内に設置された異常検出対象の機器の通常運用時に収集された計測値のうち前記機器の状態を示す計測値を判定対象計測値として取得する第1取得手段と、前記収集された計測値のうち前記判定対象計測値以外の計測値を比較計測値として取得する第2取得手段と、異常検出対象期間内における前記判定対象計測値と前記各比較計測値との
第1の相関係数を算出し、その算出した
第1の相関係数に基づいて前記判定対象計測値と関連性有りと推定した前記比較計測値を関連計測値として選定する選定手段と、前記異常検出対象期間を複数の期間に分割し、分割した期間毎に、当該期間における前記判定対象計測値と前記関連計測値との
第2の相関係数を算出し、その算出した
各期間における第2の相関係数に基づいて
当該期間における前記機器の異常を検出する検出手段と、を有するものである。
【0009】
また、前記選定手段は、前記判定対象計測値と前記各比較計測値との
第1の相関係数の平均値を算出し、その平均値より予め設定された所定値以上の
第1の相関係数が算出された比較計測値を関連計測値として選定するものである。
【0010】
また、前記選定手段は、前記判定対象計測値と前記各比較計測値との
第1の相関係数の平均値より予め設定された所定値以上の
第1の相関係数が算出され、かつ予め設定された第1閾値以上の
第1の相関係数が算出された比較計測値を関連計測値として選定するものである。
【0011】
また、前記検出手段は、算出した
第2の相関係数が予め設定された第2閾値を下回る場合、その閾値を下回った期間内において前記機器に異常が発生したと判定するものである。
【0012】
本発明に係る異常検出装置は、施設内に設置された異常検出対象の機器の通常運用時に収集された計測値のうち前記機器の状態を示す計測値を判定対象計測値として取得する第1取得手段と、前記収集された計測値のうち前記判定対象計測値以外の計測値を比較計測値として取得する第2取得手段と、異常検出対象期間内における前記判定対象計測値と前記各比較計測値との第1の相関係数を算出し、その算出した第1の相関係数に基づいて前記判定対象計測値と関連性有りと推定した前記比較計測値を関連計測値として選定する選定手段と、前記異常検出対象期間
全体における前記判定対象計測値と前記関連計測値との第2の相関係数と、
前記異常検出対象期間を複数に分割することで生成した期間のうち一期間を除く
前記異常検出対象期間内における前記判定対象計測値と
前記関連計測値との第
3の相関係数との差
に基づいて、前記第3の相関係数の差を求めた際に除いた期間に
おける前記機器
の異常
を検出する検出手段と、を有するものである。
【0013】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、施設内に設置された異常検出対象の機器の通常運用時に収集された計測値のうち前記機器の状態を示す計測値を判定対象計測値として取得する第1取得手段、前記収集された計測値のうち前記判定対象計測値以外の計測値を比較計測値として取得する第2取得手段、異常検出対象期間内における前記判定対象計測値と前記各比較計測値との
第1の相関係数を算出し、その算出した
第1の相関係数に基づいて前記判定対象計測値と関連性有りと推定した前記比較計測値を関連計測値として選定する選定手段、前記異常検出対象期間を複数の期間に分割し、分割した期間毎に、当該期間における前記判定対象計測値と前記関連計測値との
第2の相関係数を算出し、その算出した
各期間における第2の相関係数に基づいて
当該期間における前記機器の異常を検出する検出手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器の通常運用時に収集された計測値を用いて機器の異常を容易に検出することができる。
【0015】
また、異常検出対象期間を分割して生成された期間に含まれる計測値数が少ない場合でも当該期間における機器の異常を精度良く検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る異常検出装置の一実施の形態を含むビル監視システムを示したブロック構成図である。
図1には、施設(ビル)内に設置された、異常検出装置10とビル監視サーバ1とコントローラ2とがネットワーク3に接続された構成が示されている。コントローラ2には、動作の制御対象機器である空調機4a,4bが接続されている。また、ビル内には、空調機4a,4bの消費電力量を計測する電力量計5a,5bをはじめ各種機器の状態を示す計測器や室温を計測する温度センサ等機器の動作環境を計測する計測器等の各種計測器5が設置されている。
【0019】
ビル監視サーバ1は、ビルに設置された空調機や照明等の各設備機器の状態や運用実績等を示すデータをコントローラ2を介してあるいは各種計測器5から直接収集し、またその収集したデータ等に基づきコントローラ2を動作制御することで、ビルに設置された各機器の運用、監視を行う。なお、各機器は機種毎あるいは設置場所毎に設置した複数のコントローラ2により制御されるが、
図1では便宜的に1台のコントローラ2のみを図示した。また、特に分けて説明する必要がない場合には、空調機4と添え字a,bを付加せずに総称することにする。
【0020】
図2は、本実施の形態における異常検出装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において異常検出装置10を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24を接続したHDDコントローラ25、入力手段として設けられたマウス26とキーボード27、及び表示装置として設けられたディスプレイ28をそれぞれ接続する入出力コントローラ29、通信手段として設けられたネットワークコントローラ30を内部バス31に接続して構成される。
【0021】
図1に戻り、本実施の形態における異常検出装置10は、収集部11、関連計測値選定部12、異常検出部13、表示処理部14、制御部15、計測値蓄積部16及び関連計測値記憶部17を有している。本実施の形態においては、ビル内に設置された空調機4aを異常検出対象の機器として動作を説明するが、収集部11は、空調機4aの通常運用時に収集された計測値のうち空調機4aの状態を示す計測値を判定対象計測値として取得する第1取得手段として機能する。更に、収集部11は、空調機4aの通常運用時に収集された計測値のうち判定対象計測値以外の計測値を比較計測値として取得する第2取得手段として機能する。そして、取得した計測値を計測値蓄積部16に書き込むことで蓄積していく。関連計測値選定部12は、選定手段として設けられ、異常検出対象期間内における判定対象計測値と各比較計測値との相関係数を算出し、その算出した相関係数に基づいて判定対象計測値と関連性有りと推定した比較計測値を関連計測値として選定する。そして、選定した関連計測値を関連計測値記憶部17に保存する。異常検出部13は、検出手段として設けられ、異常検出対象期間を複数の期間に分割し、分割した期間毎に、当該期間における判定対象計測値と関連計測値との相関係数を算出し、その算出した相関係数に基づいて前記機器の異常を検出する。表示処理部14は、異常検出部13による検出結果をディスプレイ28に表示する。制御部15は、異常検出装置10における各構成要素11〜14と連携動作して異常検出処理を実施する。
【0022】
異常検出装置10における各構成要素11〜15は、異常検出装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶手段16,17は、異常検出装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0023】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0024】
次に、本実施の形態における異常検出処理について
図3に示したフローチャートを用いて説明する。ここでは、空調機4aを異常検出対象の機器として説明する。
【0025】
ビル設置の設備機器の通常運用時において、各種計測器5による計測により生成された計測データはビル監視サーバ1に収集、蓄積される。計測データには、計測対象の機器、計測日時、計測値等が含まれている。例えば空調機4の場合、空調機4のオン/オフ状態、設定温度、電力量計5により計測された消費電力量等の空調機4aへの設定内容や動作の状態を示すデータが計測値として含まれている。本実施の形態では、更に収集部11により計測値は収集され、計測値蓄積部16に蓄積される。
図1に示したように、収集部11は、異常検出対象機器である空調機4aに関する計測値(以下、「判定対象計測値」)と判定対象計測値以外の計測値(以下、「比較計測値」)を収集する。本実施の形態では、空調機4aの消費電力量を判定対象計測値として用いる場合を例にして説明する。空調機4aの消費電力量を判定対象計測値とした場合でも、比較計測値としては、電力量計による計測値(消費電力量)に限定する必要はなく、温度センサ等による計測値等各種計測器5により計測された全ての計測値を対象としてよい。なお、
図1では、収集部11は、各種計測器5から計測値を直接収集するように図示したが、ビル監視サーバ1から取得するようにしてもよい。また、計測値を異常検出装置10に保存しなくても必要時にビル監視サーバ1にアクセスして取得するようにしてもよい。
【0026】
ここで、本実施の形態における「機器の通常運用」というのは、ビル監視システムにおいて所定の運用スケジュールに従ってビルに設置の各種設備機器を動作制御させ運用することをいい、異常検出装置10における異常検出のために計測値を別途収集するような運用を含まないことを意味している。つまり、本実施の形態では、機器の異常検出のためだけに機器に関するデータ(計測値)を別途収集せずに、また異常検出のために特別な計測器を設置せずに通常運用時に収集された計測値を用いて異常検出を行うことを特徴としている。
【0027】
以上のように計測値が蓄積されている状態において、システム管理者等が所定の異常検出用アプリケーションを起動することで異常検出処理が開始される。あるいは、異常検出対象期間が予め設定されている場合、その異常検出対象期間の終期に達した時点以降に異常検出処理が自動的に開始されるようにしてもよい。異常検出対象期間としては、1日、1週間、1月、四半期、半年等所望の期間が設定可能である。但し、必ずしも連続した期間でなくても、停電等の特異な事象や不稼働日などの計測値間の関連傾向が変化する可能性のある日を除外してもよい。
【0028】
システム管理者等が異常検出対象期間を所定の設定画面から設定すると、関連計測値選定部12は、設定された期間内の判定対象計測値及び比較計測値を計測値蓄積部16から読み出す。そして、読み出した判定対象計測値と各比較計測値との相関係数を算出する(ステップ110)。続いて、関連計測値選定部12は、算出した相関係数の平均値(以下、「平均相関係数」)を算出する(ステップ120)。そして、本実施の形態における関連計測値選定部12は、平均相関係数より予め設定された所定値以上の相関係数が算出された比較計測値を、判定対象計測値との間で関連性のある比較計測値と推定し、その比較計測値を関連計測値として選定する(ステップ130)。そして、関連計測値選定部12は、選定した関連計測値を関連計測値記憶部17に保存する。
【0029】
例えば、平均相関係数が0.6、上記所定値が0.3の場合、0.9以上の相関係数となる比較計測値が選定されることになる。この数値例のように、本実施の形態では、平均と所定値以上の差があってはじめて判定対象計測値と関連性有りと推定して関連性の強さを保証するようにした。
【0030】
図4は、判定対象計測値(S0)と比較計測値(S1〜S4)とがそれぞれ示す計測値の遷移を示した図である。例えば、判定対象計測値(S0)と各比較計測値(S1〜S4)との相関係数がそれぞれ0.4、0.6,0.5,0.9の場合、平均相関係数0.6より所定値0.3以上の比較計測値S4が関連計測値として選定されることになる。
【0031】
ただ、比較計測値全体として判定対象計測値との間で相関関係が弱い場合、平均相関係数の値は小さくなってしまう。例えば、平均相関係数が0.3、所定値が0.3の場合、0.6以上の相関係数となる比較計測値が選定されることになる。すなわち、それほど相関が強くなくても比較計測値が関連計測値として選定されてしまうことにもなりかねない。そこで、本実施の形態においては、比較計測値として選定される条件として第1閾値(例えば0.9)を予め設定しておき、平均相関係数より所定値以上であるという条件に加えて、更に判定対象計測値との間で算出された相関係数が第1閾値以上であるという条件を満たす比較計測値を関連計測値として選定するようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態では、所定値という固定値を利用して関連計測値を選定するようにしたが、例えば、相関係数の高い値の方から所定数あるいは比較計測値の上位何%を選定するという選定条件に従って選定するようにしてもよい。
【0033】
関連計測値選定部12は、複数の比較計測値を関連計測値として選定してもよいが、以下の説明では便宜的に1つのみが選定されたものとして説明する。複数の関連計測値を選定する場合、以下の示す処理を同様に繰り返し実施すればよい。なお、1つのみを選定するとした場合、上記関連計測値の選定条件(平均相関係数より0.3以上の比較計測値)を満たす比較計測値のうち相関係数が最大の比較計測値を選定すればよい。仮に、関連計測値の選定条件を満たす比較計測値が存在しなければ、本実施の形態における異常検出処理はこの時点で終了することになる。
【0034】
なお、関連計測値選定部12は、関連計測値記憶部17に関連計測値を保存せずに、計測値蓄積部16における格納場所情報等関連計測値として選定された計測値を特定する情報を関連計測値記憶部17に設定し、異常検出部13が、関連計測値記憶部17に設定された情報を参照して、関連計測値を計測値蓄積部16を読み出し参照するようにしてもよい。
【0035】
続いて、異常検出部13は、異常検出対象期間を複数に分割し、分割した期間毎に判定対象計測値と関連計測値との相関係数を算出する(ステップ140)。例えば、異常検出対象期間として四半期又は半年が指定された場合、月毎に異常検出対象期間を分割する。分割した期間毎に算出した相関係数が予め設定した第2閾値を下回る場合(ステップ150でN)、異常検出部13は、その第2閾値を下回った期間内において判定対象計測値が計測された機器(空調機4a)に異常が発生したと判定する(ステップ160)。なお、第2閾値には、判定対象計測値と関連計測値との間の相関の有無を判定するために適正な値が設定されている。一方、相関係数が予め設定した第2閾値以上の場合(ステップ150でY)、異常検出部13は、当該期間において判定対象計測値が計測された機器(空調機4a)に異常が発生していないと判定する(ステップ170)。
【0036】
図5は、判定対象計測値(S5)と関連計測値(S6)とがそれぞれ示す値の遷移を示した図である。
図5には、異常検出対象期間を4分割(D1〜D4)に分割した場合の例が示されている。第2閾値が0.7と設定されているとした場合において、各期間(D1〜D4)における判定対象計測値(S5)と関連計測値(S6)との相関係数の差がそれぞれ0.9、0.8,0.5,0.7の場合、期間D3において異常が発生したと判定する。
【0037】
本実施の形態では、判定対象計測値と相関関係にあることで関連計測値として選定された計測値との関係において、関連計測値との相関が弱くなった期間に判定対象計測値が計測された機器(空調機4a)に異常が発生したと推定している。つまり、当該期間において関連計測値が正常値を示しているという前提のもと、この関連計測値(正常値)との間に相関が弱い若しくはないと判定されたということは、当該期間において判定対象計測値が異常値を示したということである。本実施の形態では、このように異常検出のために正常値を示す正常パターンをテスト等により事前に取得しておくような手間をかけることなく、同じ期間において同じ動作環境のもとで得られた他の計測値を正常パターンとして有効利用するようにした。
【0038】
なお、本実施の形態では、上記の通り関連計測値が異常値ということは想定していない。この前提の妥当性を担保するためにも複数の関連計測値を選定しておくことが好ましい。
【0039】
表示処理部14は、異常検出部13による検出結果(分割した期間毎の異常発生の有無)をディスプレイ28に表示してシステム管理者等に情報を提供する。上記の通り複数の関連計測値が選定されている場合は、分割された各期間において関連計測値の数の検出結果が得られるが、各期間に対し、全ての関連計測値から必ずしも同じ検出結果が得られるとは限らない。システム管理者等は、検出結果が同一でない場合には、その検出結果を参照して異常発生の有無を最終的に判断することになる。
【0040】
ここで、異常検出対象期間について説明する。前述したように、異常検出対象期間として1日、1月、半年等所望の期間が設定可能である。ただ、異常検出対象期間が短すぎると一時的な異常の計測値の影響が受けやすく、一方、複数の季節が含まれるなど期間が長すぎると適切な相関関係が得られにくくなる可能性が生じてくるので、判定対象計測値の特性等を考慮して適切な期間を設定するのが望ましい。また、異常検出対象期間は基本的には連続した時間を含むことになるが、例えば、稼働日とそうでない日に分けてそれぞれに相関係数を算出したり、異常検出対象期間から不稼働日の計測値を除外したりすることで適切な相関関係が得られやすいようにしてもよい。なお、稼働日は、ビル監視サーバ1に蓄積されている実績情報を参照して得るようにしてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、全ての計測値を比較計測値として用いたが、稼働日以外にも曜日、天気、気温等によって計測値をカテゴリ分類し、判定対象計測値と同一カテゴリに属する計測値のみを用いて異常検出を行うようにしてもよい。
【0042】
また、四半期や半年等の異常検出対象期間を月度毎に分割する場合、1日から末日までと分割するのではなく10日から9日あるいは16日から15日などのように運用等に応じて分割の節目をシフトしたりしてもよい。また、異常検出対象期間をほぼ等間隔に分割するのではなく、冷房運転と暖房運転とが切り替わる室温が15度のとき、また気温が20度以上と20度未満のとき、などのように他の基準や計測値を参照に分割するようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、以上説明したように異常検出対象期間を複数に分割し、分割により生成した期間毎に相関係数を算出し、算出した相関係数に基づき異常を検出するようにした。更に、異常が検出された期間を更に分割して異常発生の期間を絞り込むようにしてもよい。
【0044】
本実施の形態において異常検出対象機器としている空調機4は、季節や使用モード(冷房/暖房/除湿等)、温度設定、また在室人数等の使用状況によって正常な消費電力量の変化傾向が異なってくることがある。従って、異常検出用の計測データを事前に収集するにしても、それらの正常パターンを全て準備するのは面倒である。そこで、本実施の形態においては、異常検出対象機器の空調機4の通常運用時に得られた計測値(判定対象計測値)と同じ期間に収集された各計測値(比較計測値)との相関係数を求め、そして比較計測値の中から判定対象計測値と関連性のある計測値(関連計測値)を選定し、その選定した関連計測値との相関関係に着目して空調機4の異常を検出するようにした。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1では、異常検出対象期間を複数に分割し、分割により生成した期間毎に相関係数を算出し、算出した分割期間毎の相関係数に基づき異常を検出するようにした。ただ、期間を分割して短くしていくと、一分割期間に含まれる計測値のサンプリング数が少なくなってくるので相関係数に誤差が生じやすくなる。つまり、異常検出の精度が低下してしまう可能性が生じてくる。そこで、本実施の形態では、一分割期間に含まれる計測値数が少ない場合にも精度の低下を防止可能とすることを特徴とする。本実施の形態におけるシステム構成(
図1)及びハードウェア構成(
図2)は実施の形態1と同じでよく、以下に示す異常検出部13における処理内容が実施の形態1と異なってくる。
【0046】
以下、本実施の形態における異常検出処理について
図6に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
【0047】
ステップ130において関連計測値選定部12が関連計測値を選定すると、異常検出部13は、異常検出対象期間を複数に分割する(ステップ210)。そして、異常検出部13は、異常検出対象期間全体における判定対象計測値と関連計測値との相関係数を算出する(ステップ220)。
【0048】
続いて、異常検出部13は、分割により生成した期間のうち一期間を除く異常検出対象期間内における判定対象計測値と関連計測値との相関係数を算出する(ステップ230)。具体的には、
図5を用いると、分割により生成した期間(D1〜D4)のうち一期間(例えばD2)を除く期間(D1,D3,D4)における判定対象計測値と関連計測値との相関係数を算出する。
【0049】
続いて、異常検出部13は、ステップ220及びステップ230で算出した相関係数の差を算出し(ステップ240)、この差が予め設定された第3閾値以上となった場合(ステップ250でY)、当該除外した期間(上記例でいうD2)において空調機4aに異常が発生したと判定する(ステップ260)。なお、第3閾値には、判定対象計測値と関連計測値との間の相関の有無を判定するために適正な値が設定されている。一方、相関係数の差が第3閾値を下回った場合(ステップ250でN)、当該除外した期間(上記例でいうD2)において空調機4aに異常が発生していないと判定する(ステップ270)。
【0050】
判定対象計測値と関連計測値とは関連計測値選定部12によって関連性有りと判定されているが、分割した期間において第3閾値以上の差があるということは、正常値であることが前提の関連計測値と相関がない、すなわち除外した期間において空調機4aに異常が発生していると判定できる。
【0051】
例えば、各分割期間(D1〜D4)にそれぞれ100データ分の計測値が存在する場合、実施の形態1では、100データに基づき当該分割期間における相関係数を算出することになるが、本実施の形態においては、異常検出対象期間において当該分割期間を除く300データに基づき当該分割期間を除く相関係数を算出して、上記の通り当該除外した分割期間における異常の発生を検出するようにした。つまり、分割期間に含まれる100データに基づき異常検出を行う場合より300データに基づき異常検出を行うため、一分割期間に含まれる計測数が少ない場合でも異常の検出を精度良く行うことができる。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、判定対象計測値として消費電力量を例にして説明したが、異常検出対象機器の特性に応じて適切な計測値を判定対象計測値として選択してよい。また、異常検出対象機器としている空調機4を例にして説明したが、他の機器にも本発明を適用することは可能である。
【0053】
また、上記各実施の形態においては、表示処理部14を設けて、異常の検出結果をディスプレイ28に表示するようにしたが、検出結果をファイル形式にて保存したり、ネットワークを介して他のコンピュータに送信するようにしてもよい。
【0054】
また、上記各実施の形態においては、異常検出装置10を別途設けたが、前述した異常検出装置10が持つ異常検出機能をビル監視サーバ1に持たせて、ビル監視サーバ1を異常検出装置10として兼用するようにしてもよい。