【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
[参考例1]
図2に示す本発明の海水淡水化装置において、凝集剤添加位置を気泡発生及び泡沫除去部20の前段ではなく、後段である濾過原水送水管32に設けた場合(参考例1)と、
図15に示す従来技術の海水淡水化装置(比較例1)と、を海に面した同一敷地内に並列して設置し、同一条件の下、6月〜翌年3月までの9ヶ月間にわたり、連続で運転した。
【0072】
本発明の海水淡水化装置における気泡発生及び泡沫除去部20は、TEP成分除去槽21に、TEP含有泡沫流出防止手段として立設仕切26aをTEP成分除去槽21の底面から水面レベルの下まで立設し、気泡発生手段として取水管11の先端部にエジェクタ22b及びTEP成分除去槽21の底部に曝気装置22aを設け、TEP含有泡沫濃縮手段(及びTEP含有気泡指向手段)として対向壁面間に傾斜仕切25aを架設し、TEP含有気泡沫去手段として掻き寄せ機23a及びパイプスキマー23bを設けた構成とした。取水管11からの海水は、TEP成分除去槽21の上方から供給した。気泡発生及び泡沫除去部20の仕様を表1に示す。
【表1】
【0073】
図15に示す従来技術の海水淡水化装置における原水槽105には、取水管101からの海水を原水槽105の底部近傍に供給した。
【0074】
参考例1の海水淡水化装置における除濁部30(従来技術における重力式二層砂濾過装置)の仕様を表2に示す。
【表2】
【0075】
参考例1の海水淡水化装置における脱塩処理装置40(従来の装置における逆浸透膜脱塩装置)のRO膜は、4インチのスパイラル式RO膜とした。取水部10(101)に設けたストレーナ14(104)は5mm目幅であり、海水中のゴミを取り除いてから、TEP成分除去槽21(105)に送水した。取水管11(101)中の海水に殺菌剤として1mg/L濃度の次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を添加し、濾過原水送水管32中の海水に凝集剤として3mg/L濃度の塩化鉄(FeCl
3)を添加し、RO原水送水管42中の海水に残留塩素除去剤として重亜硫酸ナトリウム(NaHSO
3)を添加した。取水量は10m
3/日とした。
【0076】
参考例1の海水淡水化装置においては、エジェクタ22bにより気泡が混入した海水をTEP成分除去槽21に噴出させる。海水はTEP成分除去槽21内で滞留し、曝気装置22aにより曝気されて、さらに気泡と混合され、海水中のTEP成分が気泡に吸着してTEP含有気泡として浮上する。TEP成分除去槽21内に設けられている傾斜仕切25aにより、上昇するTEP含有気泡は気泡導入域21aの一部に集められ、水面に浮上したTEP含有泡沫は濃縮される。浮上したTEP含有泡沫は、TEP成分除去槽21の水面に滞留し、掻き寄せ機23aによってパイプスキマー23bの吸引口に集められ、取り込まれて排出される。一方、海水は、傾斜仕切25aの下方を通って、立設仕切26aの上方を横切り、濾過原水排出域21bから濾過原水送水管にて除濁部(重力式二層砂濾過装置)30に送られる。
【0077】
図15に示す従来の装置においては、海水は取水管101から原水槽105に供給され、一定時間滞留した後、重力式二層砂濾過装置109に送られる。除濁部(重力式二層砂濾過装置)109にて濾過された海水は、逆浸透膜脱塩装置115の逆浸透膜(RO膜)を保護するための保安フィルタを通して、RO膜に通水される。RO膜の水回収率を30%に設定し、3m
3/日のRO透過水(淡水)が流れるようにRO供給ポンプ114の流量を自動制御した。RO膜の圧力はRO膜のファウリング(閉塞)の状況に伴い上昇していくため、RO供給ポンプ114の吐出圧力が6.5MPaまで増加した場合にRO膜の薬液洗浄を行なった。
【0078】
TEPの量やその種類は、特に植物プランクトンなど季節性の影響を強く受けることから、特にTEP濃度が上昇する9月と比較的TEP濃度の低い低温期の1月に2回、各プロセスの定点においてTEP濃度を測定した。TEPの測定は、海水試料を孔径0.4μmのポリカーボネート製の濾紙で濾過し、濾紙表面に捕捉された試料をアルシアンブルーにて染色し、分光光度計によりキサンタンガム(XG)を標準として測定し、単位はμg−XG/Lで示した。本分析方法によって定量できるTEPは、酸性ムコ多糖類である。TEP測定結果を表3に示す。
【表3】
【0079】
9月は赤潮が収まりつつあるものの、TEP濃度は翌年の1月と比較しても2.5倍程度高かった。
【0080】
参考例1では、気泡発生及び泡沫除去部20により処理した海水を除濁装置30(重力式二層砂濾過装置31)の入口で取水して、TEP濃度を測定した。取水した海水中のTEP濃度が1,620μg−XG/Lであり、処理後の海水中のTEP濃度が502μg−XG/Lまで低下していることから、TEP除去率は69%であった。一方、比較例1では原水槽を介してもTEP濃度は1,540μg−XG/Lと1,550μg−XG/Lであり、殆ど変わらなかった。
【0081】
除濁装置(砂ろ過装置)30では、9月のTEP除去率は実施例1で31%、比較例1で34%、1月は参考例1で33%、比較例1で31%であり、参考例1と比較例1共に、TEP濃度の低下が見られた。FeCl
3の凝集効果と濾過効果によるものと考えられる。
【0082】
脱塩処理装置(RO膜装置)40入口における海水中のTEP濃度は、9月には参考例1で340μg−XG/L、比較例1においては1018μg−XG/L、1月には参考例1においては150μg−XG/L、比較例1においては469μg−XG/Lと、実施例1は、比較例1に対して著しく低いTEP濃度となった。
【0083】
ゼリー状のTEPはRO膜表面に付着してRO膜のファウリングに繋がるものであることから、RO膜の圧力上昇や洗浄頻度の増加に繋がる。参考例1における実験期間中のRO膜の圧力変化を
図14に示す。
図14において、RO膜の圧力は、運転開始時は5MPa程度であり、運転の継続と共に上昇した。比較例1では6月から約4ヶ月(120日目)で設定圧の6.5MPaに達したことからRO膜の薬液洗浄を実施した。一方、参考例1では6月から約7.5ヶ月(230日目)で6.5MPaに達し、RO膜の薬液洗浄を実施した。
【0084】
参考例1においては、比較例1と比べて約1.9倍長くRO膜を連続運転することができ、6月から翌年3月までの10ヶ月の連続運転において比較例1はRO膜の洗浄を2回要したのに対して、参考例1では1回の洗浄で済んだ。
【0085】
参考例1の海水淡水化装置及び方法によれば、特殊な濾過膜や特殊な凝集剤や磁性粒子などを添加せずに、TEP成分(多糖類及びTEP、前駆体)を海水から分離することができ、逆浸透膜の閉塞を防止し、長期にわたり効率よく安定稼働が可能である。
【0086】
[参考例2]
図16に示す泡沫分離部200と越流水位制御部(テレスコープ弁)210とを具備する海水淡水化装置(参考例2)を用いて、
図15に示す従来の装置(比較例2)と同一条件の下、6月〜翌年3月までの9ヶ月間にわたり、並行して連続で運転した。泡沫分離部200の仕様を表4に示す。
【表4】
【0087】
泡沫分離部200は、運転条件を固定して連続運転した場合、取水海水の水質変動により泡沫分離が安定しなくなる現象が確認されたため、水質変動に応じた制御方法を組み込んだ。
【0088】
参考例2では、泡沫分離部200に流入する海水の5%である0.347L/分の泡沫分離量となるように越流水位制御部(テレスコープ弁)210で泡沫を含む水の越流水位を自動調節した。比較例2は、比較例1と同じ仕様にて運転した。TEP濃度が上昇する9月と比較的TEP濃度の低い低温期の12月に2回、各プロセスの定点においてTEP濃度を測定した結果を表5に示す。
【表5】
【0089】
参考例2において、9月に取水した海水中のTEP濃度が2,020μg−XG/Lであり、処理後の海水中のTEP濃度が632μg−XG/Lまで低下していることから、TEP除去率は69%であった。一方、比較例2では原水槽を介してもTEP濃度は1,980μg−XG/Lであり変わらなかった。
【0090】
除濁装置(重力式二層砂ろ過装置31)30では、9月のTEP除去率は参考例2で38%、比較例2で32%、12月は参考例2で36%、比較例2で33%であり、参考例2と比較例2共に、TEP濃度の低下が見られた。
【0091】
脱塩処理装置(RO膜装置)40入口における海水中のTEP濃度は、9月には参考例2で330μg−XG/L、比較例2は1,333μg−XG/L、12月には参考例2は130μg−XG/L、比較例2は330μg−XG/Lと、参考例2は比較例2に対して著しく低いTEP濃度となった。
【0092】
また、参考例1と参考例2とを比較すると、越流水水位制御部(テレスコープ弁)210により、越流水位を制御することで、安定した泡沫分離が可能となった。実験期間中のRO膜41の圧力変化を
図18に示す。
図18において、RO膜の圧力は、運転開始時は4.8MPaであり、運転の継続と共に上昇した。比較例2では6月から急激に上昇し7月(110日目)に設定圧の6.5MPaに達したことからRO膜の薬液洗浄を実施した。一方、参考例2では11月(230日目)で6.5MPaに達し、RO膜の薬液洗浄を実施した。参考例2では、比較例2と比べて約2.1倍長くRO膜を連続運転することができ、4月から12月までの9ヶ月の連続運転において、比較例2はRO膜の洗浄を2回要したのに対して、参考例2では1回の洗浄で済んだ。
【0093】
なお、参考例2で用いた泡沫分離部200と同様の構造を持つものであれば、海水魚飼育/養殖用の市販のプロテインスキマーを用いても良い。
【0094】
[実施例1]
図19に示す海水淡水化処理フローを用いて1週間運転し、泡沫分離部の出口排水中TEP成分濃度を測定し、取水した海水に凝集剤として塩化第二鉄(FeCl
3)を添加した場合(実施例1)と添加しない場合(比較例3)とにおけるTEP成分の除去性能を確認した。塩化第二鉄の添加量は取水海水に対して5mg/L(as FeCl
3)とした。泡沫分離装置は水族館向けに製作販売されているプロテインスキマーを用いた。
【0095】
TEPの測定は、海水試料を孔径0.4μmのポリカーボネート製の濾紙で濾過し、濾紙表面に捕捉された試料をアルシアンブルーにて染色し、分光光度計によりキサンタンガム(XG)を標準として測定し、単位はμg−XG/Lで示した。本分析方法によって定量できるTEPは、酸性ムコ多糖類である。
本実施例および比較例で用いた泡沫分離装置の仕様を表6に示す。
【表6】
【0096】
実施例1及び比較例3のTEP成分測定結果を表7に示す。
【表7】
【0097】
実施例1では、TEP除去率が78.2%、比較例3ではTEP除去率が53.0%であり、25.2ポイント向上したことがわかる。
TEP成分除去の前に凝集剤を添加しなかった参考例1及び2(56〜69%)との対比においても、本発明の方法によるTEP成分除去率は、9〜22ポイント向上していることがわかる。
【0098】
[実施例2]
図20に示す海水淡水化処理フローを用いて1週間運転し、取水した海水に凝集剤として塩化第二鉄(FeCl
3)を添加した後にTEP成分除去分離を行い、砂ろ過装置の出口排水中TEP成分濃度を測定した場合(実施例2)と、取水した海水に凝集剤として塩化第二鉄(FeCl
3)を添加した後にTEP成分除去分離を行わずに砂ろ過を行い、砂ろ過装置の出口排水中TEP成分濃度を測定した場合(比較例4)とにおけるTEP成分の除去性能を確認した。塩化第二鉄の添加量は取水海水に対して5mg/L(as FeCl
3)とした。泡沫分離装置は実施例1で用いたものと同じである。砂ろ過装置は、ろ過層の目詰まりによるろ過抵抗を検知し、一定のろ過抵抗(10kPa)となった時点で自動的に逆洗を行う構造とした。表8に砂ろ過装置の仕様を示す。
【表8】
【0099】
実施例2及び比較例4のTEP成分測定結果を表9に示す。
【表9】
【0100】
実施例2では、TEP除去率が89.2%、比較例4ではTEP除去率が43.4%であり、45.8ポイントも向上したことがわかる。
TEP成分除去の前に凝集剤を添加しなかった参考例1及び2(56〜69%)との対比においても、実施例2によるTEP成分除去率は、20〜33ポイントも向上していることがわかる。
また、砂ろ過槽の逆洗頻度は比較例3の16回/週から2回/週と1/8に大幅に低減できた。逆洗頻度が大幅に低下することによって、逆洗用水としての処理水の使用量も大幅に低下するため、海水淡水化処理で得られる処理水量、すなわち水回収率が大幅に向上する。
【0101】
[実施例3]
図21に示す海水淡水化処理フローを用いて1週間運転し、取水した海水に凝集剤として塩化第二鉄(FeCl
3)を添加した後にTEP成分除去分離を行い、UF膜分離装置の出口排水中TEP成分濃度を測定した場合(実施例3)と、取水した海水に凝集剤として塩化第二鉄(FeCl
3)を添加した後にTEP成分除去分離を行わずにUF膜分離を行い、UF膜分離装置の出口排水中TEP成分濃度を測定した場合(比較例5)とにおけるTEP成分の除去性能を確認した。泡沫分離装置は実施例1、実施例2で用いたものと同じである。塩化第二鉄の添加量は取水海水に対して5mg/L(as FeCl
3)とした。UF膜分離装置は、入口側と出口側との差圧を検知し、一定の差圧(55kPa)となった時点で自動的に逆洗を行う構造とした。表10にUF膜分離装置の仕様を示す。
【表10】
【0102】
実施例3及び比較例5のTEP成分測定結果を表11に示す。
【表11】
【0103】
実施例3では、TEP除去率が94.2%、比較例5ではTEP除去率が84.2%であり、10ポイント向上したことがわかる。
TEP成分除去の前に凝集剤を添加しなかった参考例1及び2(56〜69%)との対比においても、実施例3によるTEP成分除去率は、25〜38ポイントも向上していることがわかる。
また、UF膜分離装置の逆洗頻度は比較例5の252回/週から35回/週と14%以下に大幅に低減できた。逆洗頻度が大幅に低下することによって、逆洗用水としての処理水の使用量も大幅に低下するため、海水淡水化処理で得られる処理水量、すなわち水回収率が大幅に向上する。また、UF膜分離装置の逆洗には、次亜塩素酸ナトリウムを使用するため、薬剤使用量も大幅に減少し、維持管理費用の削減にも資する。
【0104】
[実施例4]
図22に示す処理フローにて海水に酸を添加しpH調整を行って泡沫分離処理した場合の実施例を説明する。 尚、酸には硫酸を用いた。
取水した海水に硫酸を添加してpHを4.0〜7.0に調節し、泡沫分離装置で処理を行い、泡沫分離部の出口排水中TEP成分濃度を測定した。結果を表12に示す。
【表12】
【0105】
pH調整を行わなかった比較例6と比べて、pH調節を行った実施例4のTEP除去率はいずれも向上していることがわかる。特に、pH5.0〜7.0の範囲において約10ポイント以上の向上が確認できた。一般には海水中のRO膜への無機スケール付着防止のために,RO膜直前で硫酸を添加してpHを6.8程度まで下げる方法が一般的である。よって本発明方法に準じて泡沫分離の前で硫酸を添加してpHを6.8まで下げることで、硫酸添加量を増やすことなく泡沫分離でのTEP除去率を向上させると共にRO膜への無機スケールの付着も防止することができる。
【0106】
[実施例5]
図23に示す処理フローにて海水に硫酸を添加しpHを6.0に調整した後に塩化第二鉄を取水海水に対して5mg/L(as FeCl
3)として添加して泡沫分離処理した場合の実施例を説明する。泡沫分離部の出口排水中TEP成分濃度を測定した。結果を表13に示す。
【表13】
【0107】
pH調整を行なわず凝集剤も添加しなかった比較例7と比べて、pH調整のみを行った比較例8ではTEP除去率は10.3ポイント向上した。更にpH調整をして凝集剤を添加した場合、比較例6と比べて21.4ポイント、比較例7と比べて11.1ポイント向上していることがわかる。処理対象となる取水海水の水質状況に応じて,泡沫分離の前において酸添加のみとするか、より高いTEP除去率を目標とする場合には酸を添加して更に凝集剤を添加することができる。
本発明の実施態様は以下のとおりである。
[1]取水した海水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、
凝集剤により海水中懸濁物が凝集して形成されたフロックを含む海水中に気泡を発生させ、当該気泡にTEP成分が吸着してなるTEP含有気泡を水面に集めてTEP含有泡沫として除去する泡沫除去部を具備するTEP成分除去槽と、
TEP成分が除去された海水を脱塩処理して淡水化する逆浸透膜処理装置と、
を具備することを特徴とする海水淡水化装置。
[2]前記泡沫除去部は、水面に浮上したTEP含有泡沫を高密度化して濃縮する泡沫濃縮部を具備することを特徴とする[1]に記載の海水淡水化装置。
[3]前記泡沫濃縮部は、前記TEP成分除去槽の対向壁間に架設されている1又は複数の仕切り壁であることを特徴とする[2]に記載の海水淡水化装置。
[4]前記泡沫除去部は、水面に浮上するTEP含有気泡を所定領域に集める気泡指向手段を具備することを特徴とする[1]又は[2]に記載の海水淡水化装置。
[5]前記気泡指向手段は、前記TEP成分除去槽に設けられている傾斜仕切であり、当該傾斜仕切によって区画された一の領域内の水断面積が上方に向かって縮減するように傾斜していることを特徴とする[4]に記載の海水淡水化装置。
[6]前記泡沫除去部は、パイプスキマー、又はスカムポンプの少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]〜[5]の何れか1に記載の海水淡水化装置。
[7]前記TEP成分除去槽は、底面から水面レベルの下まで立設されている立設仕切、又は水面よりも下方に堰口を位置づけることができる可動堰を具備し、水面に浮上したTEP含有泡沫の流出を防止することを特徴とする[1]〜[6]の何れか1に記載の海水淡水化装置。
[8]前記泡沫除去部は、水面に対して平行となる底面と、当該底面から斜めに立ち上がり頂部に開口を形成する複数の逆漏斗形状の立ち上がり部とを具備することを特徴とする[1]に記載の海水淡水化装置。
[9]前記TEP成分除去槽は、TEP成分除去後の海水の排水量を制御して前記泡沫除去部における泡沫除去量を一定にする越流水位制御部をさらに具備することを特徴とする[1]〜[7]の何れか1に記載の海水淡水化装置。
[10]前記TEP成分除去槽は、散気装置、曝気装置、撹拌式エアレータ、エジェクタ、極微細気泡発生装置、又は取水した海水を衝突させる衝突部材の少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]〜[9]の何れか1に記載の海水淡水化装置。
[11]前記TEP成分を除去した海水、又は前記取水した海水から濁質分を除去する除濁装置をさらに具備することを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の海水淡水化装置。
[12]前記除濁装置は、MF膜、UF膜、砂、アンスラサイト、ガラス、ガーネット、活性炭、及び繊維部材から選択される少なくとも1種を濾材として充填してなる濾過装置であることを特徴とする[11]に記載の海水淡水化装置。
[13]前記TEP成分除去槽の前段に、前記海水又は前記フロックを含む海水に酸を添加する酸添加手段と、前記海水又は前記フロックを含む海水のpHを測定して酸の添加量を制御する酸添加量制御手段と、をさらに具備することを特徴とする[1]〜[12]の何れか1に記載の海水淡水化装置。
[14]取水した海水に凝集剤を添加して、海水中懸濁物を凝集させてフロックを形成させる凝集剤添加工程と、
当該フロックを含む海水中に気泡を生成させ、当該気泡に海水中のTEP成分を付着させてTEP含有気泡を水面に浮上させ、浮上した気泡を集めてTEP含有泡沫とした後に当該TEP含有泡沫を除去するTEP成分除去工程と、
取水した海水、又はTEP含有気泡を除去した後の海水から濁質分を除去する除濁工程と、
前記TEP成分を除去した後の海水を脱塩処理する脱塩処理工程と、
を具備することを特徴とする海水淡水化方法。
[15]取水した海水に酸を添加する酸添加工程と、
酸添加後の海水のpHを測定し、該pHが5〜7の範囲となる様に前記酸添加量を制御する酸添加制御工程と、
前記海水中に気泡を生成させ、該気泡に海水中のTEP成分を付着させてTEP含有気泡を水面に浮上させ、浮上した気泡を集めてTEP含有泡沫とした後に該TEP含有泡沫を除去するTEP成分除去工程と、
前記TEP成分が除去された海水を脱塩処理する脱塩処理工程と、
を具備することを特徴とする海水淡水化方法。
[16]前記TEP成分除去工程は、前記TEP含有泡沫を高密度化して濃縮する濃縮工程を含むことを特徴とする[14]又は[15]に記載の海水淡水化方法。
[17]前記TEP成分除去工程は、前記TEP含有気泡を水面上の所定領域に集めるTEP含有気泡指向工程を含むことを特徴とする[14]又は[15]に記載の海水淡水化方法。
[18]前記気泡は、取水した海水を水槽に落下させること、又は取水した海水を衝突部材に衝突させること、あるいは散気装置、曝気装置、撹拌式エアレータ、エジェクタ、極微細気泡発生装置を用いて形成されることを特徴とする[14]又は[15]に記載の海水淡水化方法。
[19]前記TEP成分除去工程における水面に浮上したTEP含有泡沫の除去は、水面上方に設けた逆漏斗形状の泡沫分離部による分離除去、水面に浮かぶ可動堰による海水との分離除去、水面上でのスキマーによる掻き取り、ポンプによる吸引の少なくとも1種によりなされることを特徴とする[14]〜[18]の何れか1に記載の海水淡水化方法。