(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根ケースの内周側開口部の開口縁に、流体導入流路から導入された流体を、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと案内する、回転部収容空間側へ突設する案内突設部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の遠心ポンプ。
【背景技術】
【0002】
図10は、このような従来の遠心ポンプの縦断面図を示している。
【0003】
図10に示したように、従来の遠心ポンプ100は、回転羽根部材102を備えている。この回転羽根部材102は、円管状の軸受け部104の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材106を備えている。
【0004】
なお、本明細書中、「上側」、「上部」、「上方」、「下側」、「下部」、「下方」などの上下方向を示す用語は、各図面において、上下方向を示すものであり、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0005】
羽根車部材106は、軸受け部104の下部外周方向に延設された基端部分108と、この基端部分108から上方に外周方向に拡径した拡径部110と、この拡径部110から外周方向に延設された外側羽根部112とから構成されている。
【0006】
また、回転羽根部材102は、基端部分108の外周に、環状の永久磁石からなるロータマグネット122が設けられている。
【0007】
なお、ロータマグネット122と羽根車部材106との間は、ネジ部材240によって、羽根車部材106に対して、ロータマグネット122の回り止め、抜け落ちが防止される構造となっており、羽根車部材106がロータマグネット122とともに、軸部材154の周りを回転するように構成されている。
【0008】
さらに、遠心ポンプ100は、
図10に示したように、回転羽根部材102を収容する本体ケース124を備えている。本体ケース124は、上側本体ケース126を備えており、上側本体ケース126は、頂壁128と、頂壁128の外周から下方に延設された側周壁130とから構成されている。
【0009】
上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材(吸い込み側導管)132が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吸込側継手部材132が連通するように構成されている。
【0010】
また、上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材132と対向するように、吐出側継手部材136が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吐出側継手部材136が連通するように構成されている。
【0011】
また、
図10に示したように、本体ケース124は、下側本体ケース(ロータケース)138を備えている。そして、上側本体ケース126の側周壁130の下端141の内壁に、下側本体ケース138の外周フランジ142が密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、上側本体ケース126と下側本体ケース138で囲まれた内部空間S1が形成されている。
【0012】
この下側本体ケース138は、
図10に示したように、下側本体ケース138の外周フランジ142から、内周側に略水平に延びた羽根収容部144と、この羽根収容部144から下方に延びたロータマグネット収容部146とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部146の下方に、有底筒状の下側軸受部材収容部148が形成されている。
【0013】
そして、下側軸受部材収容部148に、下側軸受部材150が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材150に形成された軸穴152に、軸部材154の下端部156が、軸支されるように固定されている。
【0014】
また、この回転羽根部材102の軸受け部104内に、回転羽根部材102が回転できるように軸部材154が挿通されている。
【0015】
さらに、本体ケース124は、羽根ケース158を備えている。この羽根ケース158は、吸込側継手部材132側において、この羽根ケース158の外周フランジ160が、上側本体ケース126の側周壁130の下方に、密封状態で固着されている。
【0016】
一方、羽根ケース158は、吐出側継手部材136側において、その側周壁162に開口部が形成され、この側周壁162の開口部の周囲が、本体ケース124の側周壁130に、吐出側継手部材136とともに、密封状態で固着されている。
【0017】
また、羽根ケース158は、外周フランジ160から上方に延びた側周壁162と、側周壁162から、羽根車部材106の外側羽根部112に沿うように水平方向内側に延設された延設部164を備えている。
【0018】
このような形状とすることで、羽根ケース158と下側本体ケース138の羽根収容部144との間に、羽根車部材106を収容することができるようになっている。
【0019】
そして、上側本体ケース126の頂壁128の中央部分に下方に突出した突設部128aに、上側軸受部材168が、固定ホルダ161によって、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164a内に下方に突出するように固定されている。
【0020】
この上側軸受部材168に形成された軸穴170に、回転羽根部材102の軸受け部104内に挿通された軸部材154の上端部172が、軸支されるように固定されている。
【0021】
また、羽根ケース158によって、上側本体ケース126と下側本体ケース138とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路174が形成されるとともに、下方に回転羽根部材102を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
【0022】
また、
図10に示したように、従来の遠心ポンプ100は、ロータマグネット122の周囲に位置するように、下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に配置され、回転羽根部材102を回転させるコイル部204を備えている。コイル部204は、ボビンケース206に巻かれた巻線208から構成される複数個のコイル210が、周方向に一定間隔で離間して設けられている。
【0023】
そして、これらのコイル210が、略円筒形状のコイルカバー本体214の内部において、本体ケース124の下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に嵌合するように装着されている、
【0024】
なお、
図10に示したように、本体ケース側固定金具186と、コイル側固定突出部216とを係合することによって、コイル部204を収容したコイルカバー本体214を、本体ケース124の下方に脱着自在に取り付けることができるように構成されている。
【0025】
図10中、符号226はコネクタ、228はリード線、230はロータマグネット122の回転方向と回転位置を検知するための磁極センサを示している。
【0026】
このように構成される従来の遠心ポンプ100では、コイル部204のコイル210に電流を流すことによって、コイル210が励磁され、これにより、回転羽根部材102のロータマグネット122に作用して、回転羽根部材102が軸受け部104に挿通された軸部材154の周りで回転できるようになっている。
【0027】
これにより、
図10の矢印Nで示したように、吸込側継手部材132から吸い込まれた流体が、羽根ケース158と上側本体ケース126によって形成された流体導入流路174から、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164aを通過する。そして、内周側開口部164aを通過した流体は、羽根ケース158と下側本体ケース138によって形成された回転部収容空間S2に導入されるようになっている。
【0028】
また、回転羽根部材102の羽根車部材106の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、
図10の矢印Oで示したように、本体ケース124の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材136を介して吐出されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、このような従来の遠心ポンプ100では、下側軸受部材150に形成された軸穴152に、軸部材154の下端部156が、軸支されるように固定されている。また、上側軸受部材168に形成された軸穴170に軸部材154の上端部172が、軸支されるように固定されている。すなわち、従来の遠心ポンプ100では、いわゆる「両持ち形式」となっている。
【0031】
従って、このような「両持ち形式」では、軸部材154の両端部(下端部156と上端部172)を、例えば、圧入によって、軸受部材(下側軸受部材150と上側軸受部材168)に固定する際に、軸受け部材同士の同心が出ない場合がある。
【0032】
これにより、軸部材154が傾いて固定される場合があり、ポンプの作動効率が低下するとともに、組み立てに細心の注意が必要で、精密性が要求されることになる。
【0033】
また、このような従来の遠心ポンプ100は、例えば、流体の循環を利用して発熱部品、機器などの冷却を補助するシステムに使用され、組込むシステムの用途によっては、産業工業用だけでなく、家庭用機器(家電)にも使用される場合がある。
【0034】
近年、家庭用機器は、小型化、静音化が進んでおり、これを実現するために、流体循環を行うポンプについても同様な仕様が求められている。
【0035】
しかしながら、このような従来の遠心ポンプ100は、
図10に示したように、上側軸受部材168が、固定ホルダ161によって、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164a内に下方に突出するように固定されている。
【0036】
従って、
図10に示したように、この軸固定部である固定ホルダ161が、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164aの中心部分に位置することになる、
【0037】
このため、
図10の矢印P、
図11の矢印Qで示したように、吸込側継手部材132から吸い込まれた流体が流体導入流路174から、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164aを通過して、回転部収容空間S2に導入される際に、軸固定部である固定ホルダ161に衝突することになる。
【0038】
これにより、流体の流れに損失が生じて、回転部収容空間S2に円滑に導入されず、ポンプ効率が低下することになる。また、このような軸固定部である固定ホルダ161への衝突によって、異音などの騒音の発生要因ともなり、また、耐久性が劣ることにもなる。
【0039】
このため、特許文献1(特開平9−209981号公報)では、揚水の流れの乱れによるポンプ動作音を抑制するための循環式ポンプの構造が提案されている。
【0040】
すなわち、特許文献1の循環式ポンプ300では、
図12の部分拡大断面図に示したように、軸受302を、カバー304の軸受保持部306に固定するためのスラスト受け部材308を備えている。そして、このスラスト受け部材308に、
図12の矢印Jで示したように、軸受保持部306の外周面から稜線を削り取るような形状の勾配面310を設けている。
【0041】
このように構成することによって、揚水の流れの乱れを防止して、流体をポンプ室312に円滑に導入することによって、揚水の乱れに起因するポンプ動作時の騒音を抑制することが提案されている。
【0042】
しかしながら、この特許文献1の循環式ポンプ300では、前述した
図10、
図11の従来の遠心ポンプ100と同様に、導入流路314から導入された流体が、軸受保持部306に衝突することは避けられず、流体の流れに損失が生じて、ポンプ効率が低下するとともに、異音などの騒音の発生の要因ともなり、また、耐久性に劣ることにもなる。
【0043】
本発明は、このような現状に鑑み、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の遠心ポンプは、
羽根車部材と羽根車部材に設けられたロータマグネットとから構成される回転羽根部材と、
前記回転羽根部材を収容する本体ケースと、
前記ロータマグネットの周囲に位置するように配置され、回転羽根部材を回転させるコイル部と、
前記本体ケースに設けられ、回転羽根部材がその周囲を回転するように軸支される軸部材と、
前記羽根車部材に設けられ、羽根車部材とともに回転するように構成された軸受け部と、
を備えた遠心ポンプであって、
前記軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部で、ロータマグネットを収容するロータマグネット収容部の下方に形成され、ロータマグネット収容部よりも縮径した有底筒状の下側軸受部材収容部に固定されるとともに、
前記軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部と反対側では固定されず、
前記本体ケースが、
軸部材に対し垂直方向の流体導入流路を形成するとともに、回転羽根部材を収容する羽根ケースを備え、
前記羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根ケースの内周側開口部から、流体導入流路側に露出するように突設されていることを特徴とする。
【0045】
本発明の遠心ポンプでは、軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部で、
ロータマグネットを収容するロータマグネット収容部の下方に形成され、ロータマグネット収容部よりも縮径した有底筒状の下側軸受部材収容部に固定されるとともに、
軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部と反対側では固定されていない、いわゆる「片持ち形式」となっている。
【0046】
従って、軸部材が傾いて固定される場合がないので、ポンプの作動効率が低下することがなく、組み立てに細心の注意が不要で、精密性が要求されることもない。
【0047】
また、羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根ケースの内周側開口部から、流体導入流路側に露出するように突設されている、いわゆる「片持ち形式」であるので、従来のいわゆる「両持ち形式」のように、羽根ケースの内周側開口部に軸固定部が存在しない。
【0048】
従って、従来のように、流体の軸固定部への衝突に起因する流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0049】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材の軸受け部が、羽根車部材とともに回転するように構成されていることを特徴とする。
【0050】
このように構成することによって、羽根ケースの内周側開口部から、流体導入流路側に露出する羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根車部材とともに回転する。
【0051】
このため、流体が流体導入流路から羽根ケースの内周側開口部を通過して、回転部収容空間に導入される際に、この羽根車部材とともに回転する軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が回転し、この回転により回転流(整流)となって、回転部収容空間に円滑に導入されることになる。
【0052】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材の軸受け部が、羽根車部材と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0053】
羽根車部材の軸受け部を、例えば、羽根車部材と同一の部材から構成するか、または、例えば、金属を樹脂に一体成形するなどによって、一体的に形成すれば良い。このように構成することによって、羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根車部材とともに回転することになる。
【0054】
これにより、羽根ケースの内周側開口部から、流体導入流路側に露出する羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根車部材とともに回転する。
このため、流体が流体導入流路から羽根ケースの内周側開口部を通過して、回転部収容空間に導入される際に、この羽根車部材とともに回転する軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が回転し、この回転により回転流(整流)となって、回転部収容空間に円滑に導入されることになる。
【0055】
また、本発明の遠心ポンプは、
前記羽根車部材の軸受け部の
羽根ケースの内周側開口部から流体導入流路側
へ突出した端部に、
流体導入流路から導入された流体を、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと案内する外径側から内径側に傾斜するテーパ案内面が形成されていることを特徴とする。
【0056】
このように構成することによって、羽根車部材の軸受け部の
羽根ケースの内周側開口部から流体導入流路側
へ突出した端部に、外径側から内径側に傾斜するテーパ案内面が形成されているので、流体導入流路から導入された流体が、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと円滑に案内されることになる。
【0057】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部の外周に、外径方向に突設する突設部が形成されていることを特徴とする。
【0058】
これにより、流体導入流路側に露出する羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、この突設部とともに回転することによって、流体が流体導入流路から羽根ケースの内周側開口部を通過して、回転部収容空間に導入される際に、この突設部の回転により回転流となって、回転部収容空間により円滑に導入されることになる。
【0059】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、軸部材を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0060】
このように羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、軸部材を覆うように形成されていれば、軸部材が露出していないので、流体が流体導入流路から羽根ケースの内周側開口部を通過して、回転部収容空間に導入される際に、この軸部材が露出していない部分の回転も加わって、回転部収容空間により円滑に導入されることになる。
【0061】
さらに、羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、軸部材を覆うように形成されているので、流体の抵抗を低減でき、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもない。
【0062】
羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、軸部材を覆うように形成されているので、流体中の異物が、軸部材と羽根車部材の軸受け部の隙間に侵入することがなく、円滑に羽根車部材が回転し、ポンプ効率が低下することがない。
【0063】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根ケースの内周側開口部の開口縁に、流体導入流路から導入された流体を、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと案内する、回転部収容空間側へ突設する案内突設部が形成されていることを特徴とする。
【0064】
このように、羽根ケースの内周側開口部の開口縁に、回転部収容空間側へ突設する案内突設部が形成されているので、流体導入流路から導入された流体が、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと円滑に案内導入されることになる。
また、回転部収容空間側へ突設する案内突設部
によって、流体導入流路から導入された流体が、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと円滑に導入される。
【0067】
また、本発明の遠心ポンプは、前記軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部に直接固定されていることを特徴とする。
【0068】
このように、軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部に直接固定されているので、軸部材が傾く(振れる)ことがなく、前述した回転流(整流)が確実に発生することになり、流体導入流路から導入された流体が、羽根ケースの内周側開口部から、回転羽根部材を収容する回転部収容空間へと円滑に案内導入されることになる。
【0069】
また、本発明の遠心ポンプは、
前記羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部と、本体ケースとの間の軸方向の距離H1と、
前記羽根車部材の羽根部の軸方向の流体導入流路側の端部と、羽根ケースとの間の軸方向の距離H2とが、
H1<H2の関係になるように設定されていることを特徴とする。
【0070】
このように構成することによって、万一、羽根車部材が軸方向に移動して、羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、本体ケースに当接したとしても、羽根車部材の羽根部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根ケースに当接することがない。
【0071】
これにより、羽根車部材の摩耗、破損・損傷が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れる。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部で、
ロータマグネットを収容するロータマグネット収容部の下方に形成され、ロータマグネット収容部よりも縮径した有底筒状の下側軸受部材収容部に固定されるとともに、
軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部と反対側では固定されていない、いわゆる「片持ち形式」となっている。
【0073】
従って、軸部材が傾いて固定されることがないので、ポンプの作動効率が低下することがなく、組み立てに細心の注意が不要で、精密性が要求されることもない。
【0074】
また、羽根車部材の軸受け部の軸方向の流体導入流路側の端部が、羽根ケースの内周側開口部から、流体導入流路側に露出するように突設されている、いわゆる「片持ち形式」であるので、従来のいわゆる「両持ち形式」のように、羽根ケースの内周側開口部に軸固定部が存在しない。
【0075】
従って、従来のように、流体の軸固定部への衝突に起因する流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0078】
図1は、本発明の遠心ポンプの縦断面図、
図2は、
図1の部分拡大断面図、
図3は、本発明の遠心ポンプの流体の流れを示す
図1のI−I線での部分拡大断面図である。
【0079】
図1においては、符号10は、全体で本発明の遠心ポンプを示している。
【0080】
なお、
図1の本発明の遠心ポンプ10では、説明の便宜上、
図10に示した従来の遠心ポンプ100で説明したロータマグネット122の周囲に位置するように、下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に配置され、回転羽根部材102を回転させるコイル部204などの構成部材を省略して図示している。
【0081】
図1に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、回転羽根部材12を備えている。この回転羽根部材12は、円管状の軸受け部14の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材16を備えている。
【0082】
なお、この羽根車部材16の枚数は、遠心ポンプ10の用途、必要とするポンプ能力に応じて選択すれば良く、特に限定されるものではない。
【0083】
図1に示したように、羽根車部材16は、軸受け部14の外周方向に延設された基端部分18と、この基端部分18から上方に外周方向に拡径した拡径部20と、この拡径部20から外周方向に延設された外側羽根部22とから構成されている。
【0084】
羽根車部材16の形状をこのような形状とすることで、羽根車部材16の回転による外側羽根部22の作用によって、吐出能力が向上することができる。
【0085】
また、回転羽根部材12には、軸受け部14の下部に、外周方向に延設されたロータマグネット収容部分24が形成されている。
【0086】
そして、ロータマグネット収容部分24に、環状の永久磁石からなるロータマグネット32が嵌着されている。そして、このロータマグネット32は、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、ネジ部材26によって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう構造となっており、羽根車部材16がロータマグネット32とともに、軸部材64の周りを回転するように構成されている。
【0087】
なお、この実施例では、ロータマグネット32と羽根車部材16との間を、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、ネジ部材26によって固定したが、固定方法は限定されるものではない。
【0088】
また、本発明の遠心ポンプ10は、
図1に示したように、回転羽根部材12を収容する本体ケース34を備えている。本体ケース34は、上側本体ケース36を備えており、上側本体ケース36は、頂壁38と、頂壁38の外周から下方に延設された側周壁40とから構成されている。
【0089】
そして、
図1に示したように、上側本体ケース36の側周壁40には、吸込側継手部材42を固定するための開口部が形成されている。
図1に示したように、この開口部に、吸込側継手部材42が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吸込側継手部材42が連通するように構成されている。
【0090】
上側本体ケース36の側周壁40には、吐出側継手部材46を固定するための開口部が形成されている。
【0091】
図1に示したように、この開口部に、吐出側継手部材46が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吐出側継手部材46が連通するように構成されている。
【0092】
また、
図1に示したように、本体ケース34は、下側本体ケース48を備えている。そして、上側本体ケース36の側周壁40の下端51の内壁に、下側本体ケース48の外周フランジ52を、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、上側本体ケース36と下側本体ケース48で囲まれた内部空間S1が形成されている。
【0093】
この下側本体ケース48は、
図1に示したように、下側本体ケース48の外周フランジ52から、内周側に略水平に延びた羽根収容部54と、この羽根収容部54から下方に延びたロータマグネット収容部56とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部56の下方に、
ロータマグネット収容部56よりも縮径した有底筒状の下側軸受部材収容部58が形成されている。
【0094】
そして、下側軸受部材収容部58に、下側軸受部材60が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材60に形成された軸穴62に、軸部材64の下端部66が、例えば、圧入などによって軸支されるように固定されている。
【0095】
なお、この場合、
図1に示したように、下側軸受部材60に形成された軸穴62の深さL(すなわち、固定長さ)は、下側軸受部材60の外径Rに対して、R<Lとするのが望ましい。
【0096】
このように軸穴62の深さL(すなわち、固定長さ)を設定することによって、強度が確保されるとともに、軸部材64の同心が確保され、軸部材64が傾く(振れる)ことがない。
【0097】
その結果、前述した回転流(整流)が確実に発生することになり、流体導入流路84から導入された流体が、羽根ケース68の内周側開口部76から、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へと円滑に案内導入されることになる。
【0098】
また、この回転羽根部材12の軸受け部14内に、回転羽根部材12が回転できるように軸部材64が挿通されている。
【0099】
さらに、
図1に示したように、本体ケース34は、羽根ケース68を備えている。この羽根ケース68の外周フランジ70が、上側本体ケース36の下端51と、下側本体ケース48の外周フランジ52との間に挟着状態で、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0100】
また、羽根ケース68は、外周フランジ70から上方に延びた側周壁72と、側周壁72から、羽根車部材16の外側羽根部22に沿うような形状で水平方向内側に延設された延設部74を備えている。
【0101】
このような形状とすることで、羽根ケース68と下側本体ケース48の羽根収容部54との間に、羽根車部材16を収容することができるようになっている。
【0102】
また、
図1に示したように、羽根ケース68の側周壁72の径は、上側本体ケース36の側周壁40の径より小さく形成されているとともに、羽根ケース68の側周壁72の高さは、上側本体ケース36の側周壁40の高さより小さく形成されている。
【0103】
これにより、羽根ケース68によって、上側本体ケース36と下側本体ケース48とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路84が形成されるとともに、下方に回転羽根部材12を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
【0104】
このように構成される本発明の遠心ポンプ10は、以下のように作動される。
【0105】
先ず、コイル部204のコイル210に電流を流すことによって、コイル210が励磁され、これにより、回転羽根部材12のロータマグネット32に作用して、回転羽根部材12が軸受け部14に挿通された軸部材64の周りで回転できるようになっている。
【0106】
これにより、回転羽根部材12が回転して、
図1の矢印Aで示したように、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76を通過する。
【0107】
そして、内周側開口部76を通過した流体は、羽根ケース68と下側本体ケース48によって形成された回転部収容空間S2に導入される。
【0108】
また、回転羽根部材12の羽根車部材16の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、
図1の矢印Bで示したように、本体ケース34の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材46を介して吐出されるようになっている。
【0109】
ところで、従来の遠心ポンプ100では、
図10、
図11に示したように、下側軸受部材150に形成された軸穴152に、軸部材154の下端部156が、軸支されるように固定されている。また、上側軸受部材168に形成された軸穴170に軸部材154の上端部172が、軸支されるように固定されている。すなわち、従来の遠心ポンプ100では、いわゆる「両持ち形式」となっている。
【0110】
従って、このような「両持ち形式」では、軸部材154の両端部(下端部156と上端部172)を、例えば、圧入によって、軸受部材(下側軸受部材150と上側軸受部材168)に固定する際に、軸受け部材同士の同心が出ない場合がある。
【0111】
これにより、軸部材154が傾いて固定される場合があり、ポンプの作動効率が低下するとともに、組み立てに細心の注意が必要で、精密性が要求されることになる。
【0112】
このため、本発明の遠心ポンプ10では、従来の遠心ポンプ100
のような上側軸受部材168が設けられておらず、
図1、
図2に示したように、軸部材64の上端部が軸支
されていない。すなわち、軸部材64が、本体ケース34における軸部材64の軸方向のロータマグネット32側の端部と反対側では固定されていない。
また、軸部材64が、本体ケース34の下側軸受部材収容部58に、下側軸受部材60を介して固定されている。すなわち、軸部材64が、軸部材64の軸方向のロータマグネット32側の端部で固定されているいわゆる「片持ち形式」となっている。
【0113】
従って、軸部材64が傾いて固定される場合がないので、ポンプの作動効率が低下することがなく、組み立てに細心の注意が不要で、精密性が要求されることもない。
【0114】
また、この実施例の遠心ポンプ10では、
図2の部分拡大断面図に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76から上方に、流体導入流路84に露出するように突設されている。
従って、いわゆる「片持ち形式」であるので、従来のいわゆる「両持ち形式」のように、羽根ケースの内周側開口部に軸固定部が存在しない。
【0115】
これにより、従来のように、流体の軸固定部への衝突に起因する流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0116】
また、このように構成することによって、
図3の矢印Cに示したように、回転羽根部材12が回転して、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76を通過する。
この際に、流体が羽根車部材16の上端部14aの回転運動(例えば、
図3の矢印Kの方向の回転)に沿って、この回転により回転流(整流)となる(
図3の矢印C参照)。
【0117】
これによって、流入孔である内周側開口部76を介して、内部空間S1、回転部収容空間S2に円滑に流入しやすくなり、その結果、圧力損失を低減することができるように構成されている。
【0118】
従って、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0119】
なお、この場合、前述したように、羽根車部材16の軸受け部14が、羽根車部材16とともに回転するように構成されている。
【0120】
このように構成することに
よって、羽根ケース68の内周側開口部76から、流体導入流路84側に露出する羽根車部材16の
軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、羽根車部材
16とともに回転する。
【0121】
このため、流体が流体導入流路84から羽根ケース68の内周側開口部76を通過して、回転部収容空間S2に導入される際に、この羽根車部材16とともに回転する軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、回転し、この回転により回転流(整流)となって、回転部収容空間S2に円滑に導入されることになる。
【0122】
また、この場合、羽根車部材16の軸受け部14が、羽根車部材16と一体的に形成されているのが望ましい。
【0123】
羽根車部材16の軸受け部14を、例えば、羽根車部材16と同一の部材から構成するか、または、例えば、金属を樹脂に一体成形するなどによって、一体的に形成すれば良い。もちろん、軸受け部14と羽根車部材16が一部品でもよい。このように構成することによって、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、羽根車部材16とともに回転することになる。
【0124】
また、この実施例では、羽根車部材16と軸受け部14を、樹脂によって一体成形で形成しているが、これに何ら限定されるものではなく、軸部材64に対して、摺動性の良い材料を適宜選択して、羽根車部材16の軸受け部14を、羽根車部材16と一体的に形成すれば良い。
【0125】
これにより、羽根ケース68の内周側開口部76から、流体導入流路84側に露出する羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、羽根車部材
16とともに回転する。
【0126】
このため、流体が流体導入流路84から羽根ケース68の内周側開口部76を通過して、回転部収容空間S2に導入される際に、この羽根車部材16とともに回転する軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、回転し、この回転により回転流(整流)となって、回転部収容空間S2に円滑に導入されることになる。
【0127】
さらに、この実施例の遠心ポンプ10では、
図2に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部14bと、本体ケース34との間の軸方向の距離H1と、
羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の流体導入流路84側の端部22aと、羽根ケース68との間の軸方向の距離H2とが、
H1<H2の関係になるように設定されている。
【0128】
このように構成することによって、万一、羽根車部材16が軸方向に移動して、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部14bが、本体ケース34に当接したとしても、根車部材16の外側羽根部22の軸方向の流体導入流路84側の端部22aが、羽根ケース68に当接することがない。
【0129】
これにより、羽根車部材16(外側羽根部22)の摩耗、破損・損傷が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れる。
(実施例2)
【0130】
図4は、本発明の遠心ポンプの実施例2を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0131】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0132】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図4に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の
羽根ケース34、すなわち、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76から流体導入流路84側
へ突出した端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aに、外径側から内径側に傾斜するテーパ案内面86が形成されている。
【0133】
なお、このテーパ案内面86は、軸受け部14の上端部14aの全周にわたって形成しても良く、また、部分的に形成しても良い。
【0134】
このテーパ案内面86によって、
図4の矢印Dで示したように、流体導入流路84から導入された流体が、羽根ケース68の内周側開口部76から、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へと円滑に案内されることになる。
【0135】
従って、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れる。
【0136】
なお、この場合、
図4に示したように、テーパ案内面86の傾斜角度αは、このような案内効果を考慮すれば、10〜80°、好ましくは、45°とするのが望ましい。
(実施例3)
【0137】
図5は、本発明の遠心ポンプの実施例3を示す
図3と同様な部分拡大断面図である。
【0138】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0139】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図5に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aの外周に、外径方向に突設する突設部88が形成されている。この場合、この実施例では、回転方向に一定間隔で離間して(中心角度90°離間して)、外径方向に突設する4個の突設部88が形成されている。
【0140】
このように構成することによって、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、この突設部88とともに回転する。
【0141】
これにより、流体が流体導入流路84から羽根ケース68の内周側開口部76を通過して、回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)に導入される際に、
図5の矢印Eで示したように、この突設部88の回転により回転流となって、回転部収容空間により円滑に導入されることになる。
【0142】
なお、この場合、この実施例では、回転方向に一定間隔で離間して外径方向に突設する4個の突設部88を形成したが、その数は1個以上あれば良く、特に限定されるものではない。
(実施例4)
【0143】
図6は、本発明の遠心ポンプの実施例4を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0144】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0145】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図6に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、軸部材64の上端部64aを覆う、被覆部90を備えるように形成されている。
【0146】
このように構成することによって、軸受け部14の上端部14aの被覆部90によって、軸部材64の上端部64aが露出していない。
【0147】
これにより、流体が流体導入流路84から羽根ケース68の内周側開口部76を通過して、回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)に導入される際に、
図6の矢印Fで示したように、この軸部材64が露出していない被覆部90の回転も加わって、回転部収容空間により円滑に導入されることになる。
【0148】
また、軸受け部14の上端部14aの被覆部90によって、軸部材64の上端部64aが覆れているので、流体の抵抗を低減でき、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもない。
【0149】
また、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、軸部材64の上端部64aを覆う、被覆部90が形成されているので、流体中の異物が、軸部材64と羽根車部材16の軸受け部14の隙間に侵入することがなく、円滑に羽根車部材16が回転し、ポンプ効率が低下することがない。
【0150】
なお、図示しないが、この実施例の遠心ポンプ10においても、
図4の実施例2に示したように、テーパ案内面86を形成することも、
図5の実施例3に示したように、外径方向に突設する突設部88を形成することも可能である。
(実施例5)
【0151】
図7は、本発明の遠心ポンプの実施例5を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0152】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0153】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図7に示したように、羽根ケース68の内周側開口部76の開口縁76aに、回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へ突設する案内突設部92が形成されている。
なお、この案内突設部92は、羽根ケース68の内周側開口部76の開口縁76aの全周にわたって形成しても良いが、内周側開口部76の開口縁76aに部分的に形成しても良い。
【0154】
このように構成することによって、流体導入流路84から導入された流体が、羽根ケース68の内周側開口部76から、
図7の矢印Gで示したように、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へと円滑に案内導入されることになる。
また、回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)側へ突設する案内突設部92
によって、流体導入流路84
から導入された流体が、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間へと円滑に導入される。
【0155】
これにより、流体の抵抗を低減でき、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもない。
【0156】
なお、図示しないが、この実施例の遠心ポンプ10においても、
図4の実施例2に示したように、テーパ案内面86を形成することも、
図5の実施例3に示したように、外径方向に突設する突設部88を形成することも、さらに、
図6の実施例4に示したように、被覆部90を形成する
ことも可能である。
【0157】
図8は、
遠心ポンプの参考例を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0158】
この
参考例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0159】
この
参考例の遠心ポンプ10では、
図8に示したように、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、本体ケース34に当接するように延設されており、回転摺動部94を形成するように構成されている。
【0160】
これにより、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、回転摺動部94で支持されていることになるので、軸部材64が傾く(振れる)ことがなく、
図8の矢印Mで示したように、前述した回転流(整流)が確実に発生することになり、流体導入流路84から導入された流体が、羽根ケース68の内周側開口部76から、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へと円滑に案内導入されることになる。
【0161】
これにより、流体の抵抗を低減でき、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもない。
【0162】
なお、図示しないが、この
参考例の遠心ポンプ10においても、
図4の実施例2に示したように、テーパ案内面86を形成することも、
図5の実施例3に示したように、外径方向に突設する突設部88を形成することも可能である。
【0163】
さらに、
図6の実施例4に示したように、被覆部90を形成することも、また、
図7の実施例5に示したように、案内突設部92形成することも可能である。
(実施例6)
【0164】
図9は、本発明の遠心ポンプの
実施例6を示す
図1と同様な縦断面図である。
【0165】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0166】
図1〜
図3に示した実施例1の遠心ポンプ10では、下側本体ケース48の下側軸受部材収容部58に、下側軸受部材60が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材60に形成された軸穴62に、軸部材64の下端部66が、例えば、圧入などによって軸支されるように固定されている。
【0167】
これに対して、この実施例の遠心ポンプ10では、
図9に示したように、軸部材64が、本体ケース34の軸部材64の軸方向のロータマグネット32側の端部、すなわち、下側本体ケース48の下側軸受部材収容部58に、軸部材64の下端部66の拡径部66bで直接固定されている。
【0168】
このように構成することによって、軸部材64が傾く(振れる)ことがなく、前述した回転流(整流)が確実に発生することになり、羽根ケース68の内周側開口部76から、回転羽根部材12を収容する回転部収容空間(内部空間S1、回転部収容空間S2)へと円滑に案内導入されることになる。
【0169】
これにより、流体の抵抗を低減でき、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもない。
また、この実施例の遠心ポンプ10では、下側軸受部材60をなくすことができるので、部品点数を減らすことができ、組み立ても容易で、コストも低減することができる。
【0170】
なお、図示しないが、この実施例の遠心ポンプ10においても、
図4の実施例2に示したように、テーパ案内面86を形成することも、
図5の実施例3に示したように、外径方向に突設する突設部88を形成することも可能である。
【0171】
さらに、
図6の実施例4に示したように、被覆部90を形成することも、また、
図7の実施例5に示したように、案内突設部92形成することも、さらには、
図8の実施例6に示したように、回転摺動部94を形成することも可能である。
【0172】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、本体ケース34、上側本体ケース36、下側本体ケース48、羽根ケース68などの材質は、金属製であっても樹脂製であっても良く、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0173】
さらに、上記実施例では、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数をそれぞれ1個としたが、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数を複数個設けることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。