(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硫黄化合物を吸着する脱硫触媒が収容されて、供給される原燃料ガスを脱硫処理する脱硫部と、その脱硫部を脱硫処理が可能な温度に加熱する脱硫部加熱手段と、前記脱硫部により脱硫処理された後の原燃料ガスを改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する改質部と、その改質部で改質処理された改質ガスの一部をリサイクルガスとして前記脱硫部に供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整手段と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する通常運転を実行する制御手段とが設けられた水素含有ガス生成装置であって、
前記脱硫部へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路における前記リサイクルガス路からのリサイクルガスの合流部よりも下流側の部分に、水分を吸着する水分吸着剤が収容されて、通流する気体に含まれる水分を除去する水分除去部が設けられ、
前記リサイクルガス路におけるリサイクルガスの通流を断つ遮断状態に切り換え可能なリサイクルガス遮断手段が設けられ、
前記制御手段が、水分除去タイミングになったと判定すると、前記リサイクルガス遮断手段を前記遮断状態に切り換えると共に、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が前記通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する水分除去運転を実行する水素含有ガス生成装置。
前記制御手段が、前記通常運転の累積実行時間が所定の設定時間に達することに基づいて、前記水分除去タイミングになったと判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素含有ガス生成装置。
前記制御手段が、前記通常運転における前記脱硫部への原燃料ガスの累積流量が所定の設定流量に達することに基づいて、前記水分除去タイミングになったと判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素含有ガス生成装置。
硫黄化合物を吸着する脱硫触媒が収容されて、供給される原燃料ガスを脱硫処理する脱硫部と、その脱硫部を脱硫処理が可能な温度に加熱する脱硫部加熱手段と、前記脱硫部により脱硫処理された後の原燃料ガスを改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する改質部と、その改質部で改質処理された改質ガスの一部をリサイクルガスとして前記脱硫部に供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整手段とが設けられ、
前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する通常運転を実行する水素含有ガス生成装置の運転方法であって、
前記脱硫部へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路における前記リサイクルガス路からのリサイクルガスの合流部よりも下流側の部分に、水分を吸着する水分吸着剤が収容されて、通流する気体に含まれる水分を除去する水分除去部を設け、
前記リサイクルガス路におけるリサイクルガスの通流を断つ遮断状態に切り換え可能なリサイクルガス遮断手段を設け、
水分除去タイミングになったと判定すると、前記リサイクルガス遮断手段を前記遮断状態に切り換えると共に、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が前記通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する水分除去運転を実行する水素含有ガス生成装置の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の水素含有ガス生成装置では、脱硫部に原燃料ガスと共に水蒸気が供給されるのを防止して、脱硫触媒の耐久性を向上するために、水蒸気分離器に加えて、その水蒸気分離器を回転駆動するためのモータ、リサイクルガス路の外部に位置する水蒸気分離器の円筒状容器に対して空気を通風する送風機、及び、その送風機により通風される空気を加熱するヒータ等が必要となる。従って、水蒸気分離器に関連する装置構成が大型化すると共に複雑化し、それに伴って、水素含有ガス生成装置が大型化すると共に、価格が上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱硫触媒の耐久性を向上しながら、小型化並びに低廉化を図り得る水素含有ガス生成装置及び水素含有ガス生成装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る水素含有ガス生成装置は、硫黄化合物を吸着する脱硫触媒が収容されて、供給される原燃料ガスを脱硫処理する脱硫部と、その脱硫部を脱硫処理が可能な温度に加熱する脱硫部加熱手段と、前記脱硫部により脱硫処理された後の原燃料ガスを改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する改質部と、その改質部で改質処理された改質ガスの一部をリサイクルガスとして前記脱硫部に供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整手段と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する通常運転を実行する制御手段とが設けられた水素含有ガス生成装置であって、その特徴構成は、
前記脱硫部へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路における前記リサイクルガス路からのリサイクルガスの合流部よりも下流側の部分に、水分を吸着する水分吸着剤が収容されて、通流する気体に含まれる水分を除去する水分除去部が設けられ、
前記リサイクルガス路におけるリサイクルガスの通流を断つ遮断状態に切り換え可能なリサイクルガス遮断手段が設けられ、
前記制御手段が、水分除去タイミングになったと判定すると、前記リサイクルガス遮断手段を前記遮断状態に切り換えると共に、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が前記通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する水分除去運転を実行する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、制御手段により通常運転が実行されている間は、流量が通常運転用流量に調整されると共に、リサイクルガス路を通してリサイクルガスが混合された状態で、原燃料ガスが脱硫部に供給されることになるが、原燃料ガスが脱硫部に流入する前に、水分除去部を通過して、含有されている水分が水分吸着剤に吸着されて除去されるので、脱硫触媒に水分が吸着されるのが防止される。
そして、制御手段により、水分除去タイミングになったと判定されると、水分除去運転が実行される。
その水分除去運転では、リサイクルガス遮断手段が遮断状態に切り換えられて、原燃料ガスへのリサイクルガスの混合が停止されると共に、脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように原燃料ガス流量調整手段が制御されるので、リサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスが、通常運転よりも少ない流量で水分除去部を通過して脱硫部に供給される。
【0011】
すると、水分除去部の水分吸着剤に吸着されている水分がリサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスにより脱離され、その脱離水分を含有する原燃料ガスが脱硫部を通過することになるが、原燃料ガスの通過流量が通常運転よりも少ないため、脱硫部加熱手段により加熱されている脱硫部の脱硫触媒(特に入り口付近)の温度低下が抑制されるので、原燃料ガスが脱硫部を通過する際に、含有されている水分が脱硫触媒に吸着されるのが防止される。
【0012】
つまり、水分除去運転では、水分吸着剤を再生するためのドライな原燃料ガスを、水分除去部から脱硫部を通過させて通流させることになるが、水分吸着剤から脱離した水分を脱硫触媒に再吸着させることなく脱硫部外に排出させることができる。
そして、次に実行される通常運転では、水分除去部の水分吸着剤が再生されているので、リサイクルガスが混合された原燃料ガスが脱硫部に供給される前に、含有されている水分が水分除去部にて水分吸着剤に吸着されることになり、脱硫部の脱硫触媒に水分が吸着されるのが防止される。
【0013】
しかも、脱硫触媒への水分の吸着を防止するための構成は、水分吸着剤を収容した水分除去部を原燃料ガス供給経路に設け、リサイクルガス遮断手段が既設されていない場合はそれを追加するだけの構成であり、従来の如きモータ、ヒータ及び通風装置等が不要な小型で簡素な構成とすることができる。
従って、脱硫触媒の耐久性を向上しながら、小型化並びに低廉化を図り得る水素含有ガス生成装置を提供することができる。
【0014】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、ガス流入口とガス流出口とを備えた容器内が、通気自在な仕切り体にて前記ガス流入口側の水分除去用空間と前記ガス流出口側の脱硫用空間とに区画され、
前記水分吸着剤が前記水分除去用空間に収容され且つ前記脱硫触媒が前記脱硫用空間に収容されると共に、前記容器に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給路が前記ガス流入口に接続され、且つ、脱硫処理後の原燃料ガスが前記ガス流出口から流出するように構成されて、
前記脱硫部が前記水分除去部を一体的に備えるように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、水分除去部が脱硫部に一体的に備えられているので、脱硫触媒への水分の吸着を防止するための構成を、一層小型化することができる。
しかも、本来脱硫部を構成するための容器内を、通気自在な仕切り体にて水分除去用空間と脱硫用空間とに区画するだけの簡素な構成で、脱硫部と水分除去部とを一体化することができるので、構成の簡素化をより一層図ることができる。
従って、水素含有ガス生成装置の小型化並びに低廉化をより一層図ることができる。
【0016】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、前記容器が、扁平状に構成され、扁平状の前記容器内が、前記仕切り体にて厚さ方向に直交する方向に前記水分除去用空間と前記脱硫用空間とに区画され、
扁平状の前記容器が、前記水分除去用空間及び前記脱硫用空間が上下方向に並ぶ立ち姿勢で設けられる点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、水分除去用空間及び脱硫用空間が厚さ方向に直交する方向に並ぶ扁平状の容器が、水分除去用空間及び脱硫用空間が上下方向に並ぶ立ち姿勢で設けられていることから、水分除去運転では、流量が通常運転よりも少なくても、リサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスを水分除去部の全域にわたって万遍なく通流させることができる。しかも、脱硫部加熱手段により、脱硫用空間の脱硫触媒共に、水分除去用空間の水分吸着剤も加熱されているので、水分吸着剤に吸着されている水分がドライな原燃料ガスにより良好に脱離される。これらのことにより、水分除去部全域にわたって水分吸着剤を適切に再生することができる。
従って、通常運転での脱硫触媒への水分の吸着をより一層的確に防止することができるので、脱硫触媒の耐久性をより一層向上することができる。
【0018】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記通常運転の累積実行時間が所定の設定時間に達することに基づいて、前記水分除去タイミングになったと判定する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、通常運転の累積実行時間が所定の設定時間に達することに基づいて、制御手段により水分除去タイミングになったと判定される。
つまり、通常運転における所定の単位時間当たりに水分除去部の水分吸着剤に吸着される水分量が実験等により分かるので、通常運転の累積実行時間に基づいて、水分吸着剤の水分吸着量が飽和状態近くになって、水分吸着剤の再生を行うべきタイミング、即ち、水分除去タイミングになったことを、早過ぎることなく且つ遅過ぎることなく的確に判定することができる。
従って、水分除去運転を早過ぎることない且つ遅過ぎることのない適切なタイミングで実行することができるので、通常運転の実行を妨げるのを一層抑制しながら、脱硫触媒の耐久性を的確に向上することができる。
【0020】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記通常運転における前記脱硫部への原燃料ガスの累積流量が所定の設定流量に達することに基づいて、前記水分除去タイミングになったと判定する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、通常運転における脱硫部への原燃料ガスの累積流量が所定の流量に達することに基づいて、制御手段により水分除去タイミングになったと判定される。
つまり、通常運転において脱硫部を通流する原燃料ガスの所定の単位流量当たりで、水分除去部の水分吸着剤に吸着される水分量が実験等により分かるので、通常運転における脱硫部への原燃料ガスの累積流量に基づいて、水分吸着剤の水分吸着量が飽和状態近くになって、水分吸着剤の再生を行うべきタイミング、即ち、水分除去タイミングになったことを、早過ぎることなく且つ遅過ぎることなく的確に判定することができる。
従って、水分除去運転を早過ぎることない且つ遅過ぎることのない適切なタイミングで実行することができるので、通常運転の実行を妨げるのを一層抑制しながら、脱硫触媒の耐久性を的確に向上することができる。
【0022】
上記目的を達成するための本発明に係る水素含有ガス生成装置の運転方法は、硫黄化合物を吸着する脱硫触媒が収容されて、供給される原燃料ガスを脱硫処理する脱硫部と、その脱硫部を脱硫処理が可能な温度に加熱する脱硫部加熱手段と、前記脱硫部により脱硫処理された後の原燃料ガスを改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する改質部と、その改質部で改質処理された改質ガスの一部をリサイクルガスとして前記脱硫部に供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路と、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整手段とが設けられ、
前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する通常運転を実行する水素含有ガス生成装置の運転方法であって、その特徴構成は、
前記脱硫部へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路における前記リサイクルガス路からのリサイクルガスの合流部よりも下流側の部分に、水分を吸着する水分吸着剤が収容されて、通流する気体に含まれる水分を除去する水分除去部を設け、
前記リサイクルガス路におけるリサイクルガスの通流を断つ遮断状態に切り換え可能なリサイクルガス遮断手段を設け、
水分除去タイミングになったと判定すると、前記リサイクルガス遮断手段を前記遮断状態に切り換えると共に、前記脱硫部に供給される原燃料ガスの流量が前記通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように前記原燃料ガス流量調整手段を制御する水分除去運転を実行する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、通常運転を実行している間は、流量が通常運転用流量に調整されると共に、リサイクルガス路を通してリサイクルガスが混合された状態で、原燃料ガスが脱硫部に供給されることになるが、原燃料ガスが脱硫部に流入する前に、水分除去部を通過して、含有されている水分が水分吸着剤に吸着されて除去されるので、脱硫部の脱硫触媒に水分が吸着されるのが防止される。
そして、水分除去タイミングになったと判定すると、水分除去運転を実行する。
その水分除去運転では、リサイクルガス遮断手段を遮断状態に切り換えて、原燃料ガスへのリサイクルガスの混合を停止すると共に、脱硫部に供給される原燃料ガスの流量を通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように原燃料ガス流量調整手段を制御するので、リサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスが、通常運転よりも少ない流量で水分除去部を通過して脱硫部に供給される。
【0024】
すると、水分除去部の水分吸着剤に吸着されている水分がリサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスにより脱離され、その脱離水分を含有する原燃料ガスが脱硫部を通過することになるが、原燃料ガスの通過流量が通常運転よりも少ないため、脱硫部加熱手段により加熱されている脱硫部の脱硫触媒(特に入り口付近)の温度低下が抑制されるので、原燃料ガスが脱硫部を通過する際に、含有されている水分が脱硫触媒に吸着されるのが防止される。
つまり、水分除去運転では、水分吸着剤を再生するためのドライな原燃料ガスを、水分除去部から脱硫部を通過させて通流させることになるが、水分吸着剤から脱離した水分を脱硫触媒に再吸着させることなく脱硫部外に排出させることができる。
そして、次に実行する通常運転では、水分除去部の水分吸着剤が再生されているので、リサイクルガスが混合された原燃料ガスが脱硫部に供給される前に、含有されている水分が水分除去部にて水分吸着剤に吸着されることになり、脱硫部の脱硫触媒に水分が吸着されるのが防止される。
【0025】
しかも、脱硫触媒への水分の吸着を防止するための構成は、先に説明したように、小型で簡素な構成とすることができる。
従って、脱硫触媒の耐久性を向上しながら、小型化並びに低廉化を図り得る水素含有ガス生成装置の運転方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明を燃料電池用の水素含有ガス生成装置に適用した場合の実施形態を説明する。
図1に示すように、水素含有ガス生成装置Pは、原燃料ガス供給路20を通して供給される炭化水素系の原燃料ガス(例えば、13A等の天然ガスベースの都市ガス)を脱硫処理する脱硫部1、その脱硫部1を脱硫処理が可能な温度に加熱する脱硫部加熱手段H、改質用水供給路21を通して供給される原料水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部J、改質用バーナ3を備えた燃焼部4にて加熱されて、脱硫部1から供給される脱硫処理後の原燃料ガスを水蒸気生成部Jで生成された水蒸気を用いて改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する改質部2、及び、改質部2で改質処理された改質ガス(この実施形態では、後述する変成部5で変成処理された改質ガス)の一部をリサイクルガスとして原燃料ガス供給路20を通して供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路22、及び、水素含有ガス生成装置の運転を制御する制御部C等を備えて構成されている。
【0028】
更に、水素含有ガス生成装置Pには、改質用バーナ3を備えて、改質部2を改質処理が可能に加熱する燃焼部4、改質部2から供給される改質ガスに対して一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成する変成処理を施す変成部5、及び、その変成部5で変成処理された改質ガス中の一酸化炭素ガスを選択酸化処理する選択酸化部6が設けられ、一酸化炭素ガス濃度の低い(例えば10ppm以下)水素リッチな水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0029】
そして、水素含有ガス生成装置Pにて生成された水素含有ガスは燃料ガスとして、燃料ガス供給路23を通じて燃料電池Gに供給される。
脱硫部1に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給路20には、燃料電池Gの出力電力を調整すべく、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整弁7(原燃料ガス流量調整手段の一例)が設けられている。
【0030】
この実施形態では、脱硫部1へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路Rにおけるリサイクルガス路22からのリサイクルガスの合流部Rcよりも下流側の部分に、水分を吸着する水分吸着剤51が収容されて、通流する気体に含まれる水分を除去する水分除去部50が設けられ、リサイクルガス路22におけるリサイクルガスの通流を断つ遮断状態に切り換え可能なリサイクルガス遮断弁19(リサイクルガス遮断手段の一例)が設けられている。
【0031】
次に、水素含有ガス生成装置Pの各部について、説明を加える。
燃料電池Gは、周知であるので詳細な説明及び図示を省略して簡単に説明すると、例えば、固体高分子膜を電解質層とするセルを複数積層状態に設けた固体高分子型に構成され、各セルの燃料極に水素含有ガス生成装置Pから燃料ガス供給路23を通して燃料ガスを供給し、各セルの酸素極に反応用空気ブロア31により空気を供給して、水素と酸素との電気化学反応により発電を行うように構成されている。又、冷却水ポンプ32により燃料電池Gに冷却水を通流させて、各セルから発生する熱を回収するように構成されている。
【0032】
脱硫部1は、内部に硫黄化合物を吸着する粒状の脱硫触媒1cを収容して構成され、その脱硫部1では、脱硫触媒1cを所定の脱硫処理温度(例えば200〜270℃の範囲)に昇温させた状態で、リサイクルガス路22を通して混合されるリサイクルガス中の水素ガスにより原燃料ガス中の硫黄化合物を水素化すると共に、その水素化物を吸着して脱硫する。脱硫触媒1cは、触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、脱硫部1における脱硫反応は発熱反応である。
【0033】
改質部2は、内部に粒状の改質触媒2cを収容して構成され、その改質部2では、メタンガスを主成分とする天然ガスが原燃料ガスである場合、改質触媒2cを所定の改質処理温度(例えば600〜700℃の範囲)に昇温させた状態で、下記の反応式にてメタンガスを水蒸気と反応させて、水素ガスと一酸化炭素ガスとを含む改質ガスに改質処理する。改質触媒2cは、ルテニウム、ニッケル、白金等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、改質部2における改質反応は吸熱反応である。
【0035】
変成部5は、内部に粒状の変成触媒5cを収容して構成され、その変成部5では、変成触媒5cを所定の変成処理温度(例えば150〜250℃の範囲)に昇温させた状態で、下記の反応式にて改質ガス中の一酸化炭素ガスを水蒸気と反応させて、二酸化炭素ガスに変成させる。変成触媒5cは、白金、ルテニウム、ロジウム等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、変成部5における変成反応は発熱反応である。
【0037】
選択酸化部6は、内部に粒状の選択酸化触媒6cを収容して構成され、その選択酸化部6では、選択酸化触媒6cを所定の選択酸化用の処理温度(例えば80〜100℃の範囲)に昇温させた状態で、変成処理後の改質ガス中に残っている一酸化炭素ガスを選択酸化させる。選択触媒6cは、白金、ルテニウム、ロジウム等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、選択酸化部6における酸化反応は発熱反応である。
【0038】
燃焼部4には、その内部の燃焼空間でガス燃料を燃焼させるように改質用バーナ3が備えられ、その改質用バーナ3の燃焼量を調整することにより、改質部2を改質処理可能なように加熱するように構成されている。
改質用バーナ3には、燃料電池Gの燃料極から水素が残存した状態で排出されるオフガスがオフガス路24を通してガス燃料として供給され、並びに、燃焼用空気ブロア33により燃焼用空気供給路25を通して燃焼用空気が供給される。又、改質部2を改質処理可能なように加熱するに当たって、オフガスだけでは不足する不足分として、都市ガス(13A等)がガス燃料供給路26を通して改質用バーナ3に供給される。ガス燃料供給路26には、都市ガスの流量を調整するガス燃料流量調整弁38が設けられ、そのガス燃料流量調整弁38を制御して都市ガスの流量を調整することにより、改質用バーナ3の燃焼量を調整する。
【0039】
水蒸気生成部Jは、燃焼部4から排出された改質用バーナ3の燃焼ガスを通流させる加熱用排ガス通流部8と、改質水ポンプ34により改質用水供給路21を通して供給される改質用水を加熱用排ガス通流部8による加熱にて蒸発させる蒸発処理部9とを備えて構成されている。
【0040】
又、水素含有ガス生成装置Pには、改質部2から排出された高温の改質ガスを通流させて、改質部2を保温する保温用通流部10、改質部2から排出された高温の改質ガスにより脱硫部1にて脱硫された脱硫後の原燃料ガスを加熱する脱硫後原燃料用熱交換器Ea、その脱硫後原燃料用熱交換器Eaにて熱交換後の改質ガスにより脱硫部1にて脱硫処理する原燃料ガスを加熱する脱硫前原燃料用熱交換器Eb、及び、加熱用排ガス通流部8から排出された燃焼ガスを通流させてその燃焼ガスにより変成部5を冷却する冷却用排ガス通流部11が設けられている。
【0041】
脱硫後原燃料用熱交換器Eaは、保温用通流部10から排出された改質ガスを通流させる上流側改質ガス通流部12と、改質部2に供給する脱硫処理後の原燃料ガスを通流させる脱硫後原燃料通流部13とを熱交換自在に設けて構成され、脱硫前原燃料用熱交換器Ebは、上流側改質ガス通流部12から排出された改質ガスを通流させる下流側改質ガス通流部14と、脱硫部1に供給する原燃料ガスを通流させる脱硫前原燃料通流部15とを熱交換自在に設けて構成されている。
【0042】
更に、水素含有ガス生成装置Pには、起動時に、脱硫部1を脱硫処理温度に加熱する脱硫部用ヒータ35、変成部5を変成処理温度に加熱する2個の変成部用ヒータ36、選択酸化部6を冷却する冷却用ファン37、及び、変成部5から排出された改質ガスと水蒸気生成部Jの蒸発処理部9へ供給される改質用水とを熱交換させて、改質用水を予熱する原料水予熱用熱交換器16が設けられている。ちなみに、脱硫部用ヒータ35、変成部用ヒータ36は電気ヒータにより構成されている。
【0043】
図1に示すように、水素含有ガス生成装置Pを構成する各部は、内部に内部空間Sを形成する扁平状の複数の容器Bを用いて構成されている。
そして、水素含有ガス生成装置Pは、複数の容器Bを、容器厚さ方向を水平方向に向けた立ち姿勢にて容器厚さ方向に積層状態に並べて、それら複数の容器Bを容器並び方向両側から押し付け手段(図示省略)にて押し付けることにより構成されている。
各容器Bは、ステンレス等の伝熱性を有する耐熱金属製であり、容器Bには、内部空間Sを1つ形成するものや、内部空間Sを二つ形成するものがある。ちなみに、内部空間Sを二つ形成する容器Bは、
図2に示すように、一対の皿形状容器形成部材41の間に平板状の区画部材42を位置させた状態で、周辺部が溶接接続されて、内部に二つの偏平な内部空間Sが区画形成され、図示を省略するが、内部空間Sを一つ形成する容器Bは、皿形状容器形成部材と平板状容器形成部材とが周辺部を溶接接続されて、内部に一つの偏平な内部空間Sが区画形成されている。
【0044】
各容器Bには、必要に応じて、ノズル状のガス流入口43や、ガス流出口44が取り付けられ、又、内部空間Sを二つ有する容器Bの区画部材42には、必要に応じて、両側の内部空間Sを連通する連通口45(
図3及び
図4参照)が設けられている。
【0045】
この実施形態では、水素含有ガス生成装置Pは、9個の容器Bを用いて構成されている。尚、9個の容器Bの区別が明確になるように、便宜上、容器を示す符合Bの後に、
図1において左からの並び順を示す符合1,2,3……………9を付す。ちなみに、左から3個目の容器B3は、内部空間Sを一つ区画形成するものであり、それ以外の8個の容器Bは、内部空間Sを二つ区画形成するものである。
尚、
図2は、左から5個目の容器B5を示すものであり、この容器B5は、詳細は後述するが、脱硫部1と脱硫前原燃料通流部15を構成するものである。
【0046】
図1に示すように、左端の容器B1における左側の内部空間Sを有する部分にて加熱用排ガス通流部8が構成され、右側の内部空間Sを有する部分にて蒸発処理部9が構成されている。つまり、この左端の容器B1により、水蒸気生成部Jが構成されている。
【0047】
左から2個目の容器B2における左側の内部空間Sを燃焼空間として、左側の内部空間Sを有する部分にて燃焼部4が構成され、右側の内部空間Sに改質触媒2cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により改質部2が構成されている。
【0048】
左から3個目の容器B3により、保温用通流部10が構成されている。
左から4個目の容器B4における左側の内部空間Sを有する部分により、上流側改質ガス通流部12が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、脱硫後原燃料通流部13が構成されている。つまり、この左から4個目の容器B4にて、脱硫後原燃料用熱交換器Eaが構成されている。
【0049】
左から5個目の容器B5における左側の内部空間Sに脱硫触媒1cを収容して、左側の内部空間Sを有する部分により脱硫部1が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、脱硫前原燃料通流部15が構成されている。
この左から5個目の容器B5における左側、即ち、脱硫部1側の側面に当て付けた状態で、脱硫部用ヒータ35が設けられている。
【0050】
左から6個目の容器B6における左側の内部空間Sを有する部分により、下流側改質ガス通流部14が構成され、右側の内部空間Sに変成触媒5cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により変成部5が構成されている。
左から7個目の容器B7における左側の内部空間Sに変成触媒5cを収容して、左側の内部空間Sを有する部分により変成部5が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、冷却用排ガス通流部11が構成されている。
【0051】
左から8個目の容器B8における左右の内部空間Sのいずれにも変成触媒5cを収容して、左から8個目の容器B8により変成部5が構成されている。
つまり、左から6個目の容器B6にて構成される変成部5、左から7個目の容器B7にて構成される変成部5、左から8個目の容器B8にて構成される変成部5を、夫々、1段目、2段目、3段目として、順に改質ガスを通流させるように構成されて、変成部5が3段に設けられている。
【0052】
2個の変成部用ヒータ36のうちの1個は、左から6個目の容器B6と7個目の容器B7との間に設けられ、残りの1個は、左から8個目の容器B8における右側の側面に当て付けた状態で設けられている。
【0053】
左から9個目、即ち右端の容器B9における左側の内部空間Sを有する部分は、何にも用いずに伝熱調整用とされ、右側の内部空間Sに選択酸化触媒6cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により選択酸化部6が構成されている。
【0054】
そして、9個の容器Bが、左端の容器B1と左から2個目の容器B2との間、左から3個目の容器B3と左から4個目の容器B4の間、及び、左から4個目の容器B4と左から5個目の容器B5との間の夫々に断熱材18が配置された状態で、押し付け手段により容器並び方向両側から押し付けられて、密接状態に並べて設けられ、更に、選択酸化部6を構成する右端の容器B9の側方に、その容器B9に向けて通風するように冷却用ファン37が設けられている。
【0055】
上述のような配置形態で9個の容器Bを配置するに当たっては、改質部2を改質処理温度に維持するように、改質用バーナ3の燃焼量を調整し、且つ、選択酸化部6を選択酸化処理温度に維持するように、冷却用ファン37の通風量を調節して冷却能力を調節することにより、脱硫部1及び変成部5がそれぞれの処理温度になるように、隣接するもの同士の伝熱状態が予め設定されている。
尚、水素含有ガス生成装置Pの起動時には、脱硫部用ヒータ35を加熱作動させて、脱硫部1を脱硫処理温度に加熱し、並びに、2個の変成部用ヒータ36を加熱作動させて、変成部5を変成処理温度に加熱するように構成されている。
つまり、改質用バーナ3や脱硫部用ヒータ35が、脱硫部加熱手段Hとして機能する。
【0056】
図示を省略するが、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6夫々には、夫々の触媒の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0057】
次に、
図1に基づいて、各容器Bに流体を供給したり、各容器Bから流体を排出するための、各容器Bに対する流路の接続形態について説明する。尚、各容器B内の内部空間Sにおいては、流体を上部から供給して下方側に向けて通流させて下部から排出する、あるいは、流体を下部から供給して上方側に向けて通流させて上部から排出するように、流体を上下方向に通流させるので、各流路は、各容器Bの内部空間Sの上端部又は下端部に接続される。
【0058】
原燃料ガス供給路20が脱硫前原燃料通流部15に接続され、脱硫部1と脱硫後原燃料通流部13とが、その脱硫後原燃料通流部13と改質部2とが、その改質部2と保温用通流部10とが、その保温用通流部10と上流側改質ガス通流部12とが、その上流側改質ガス通流部12と下流側改質ガス通流部14とが、1段目の変成部5と2段目の変成部5とが、2段目の変成部5と3段目の変成部5とが、3段目の変成部5と選択酸化部6とが、夫々、ガス処理流路27にて接続され、更に、その選択酸化部6と燃料電池Gの燃料ガス供給部とが燃料ガス供給路23にて接続されている。
【0059】
3段目の変成部5と選択酸化部6とを接続するガス処理流路27と改質用水供給路21とにわたって、原料水予熱用熱交換器16が設けられている。
又、脱硫部1と脱硫後原燃料通流部13とを接続するガス処理流路27には、脱硫後の原燃料ガスに水蒸気を混合させるためのエジェクタ17が設けられている。
【0060】
更に、3段目の変成部5と選択酸化部6を接続するガス処理流路27には、燃焼用空気ブロア33から選択酸化用空気が供給される選択酸化用空気供給路28が接続されて、変成部54にて変成処理された改質ガスに選択酸化用空気を混合させて選択酸化部6に供給するように構成されている。
【0061】
燃焼部4と加熱用排ガス通流部8とが、その加熱用排ガス通流部8と冷却用排ガス通流部11が、夫々、燃焼ガス流路29にて接続されて、燃焼部4から排出される燃焼ガスを、加熱用排ガス通流部8、冷却用排ガス通流部11の順に通流させて排出するように構成されている。
【0062】
前述の改質用水供給路21が、蒸発処理部9の下端に接続され、加熱用排ガス通流部8による加熱により蒸発処理部9にて生成された水蒸気を導く水蒸気流路30がエジェクタ17に接続されている。
【0063】
つまり、原燃料ガス供給路20を通して供給される原燃料ガスを脱硫部1にて脱硫処理し、その脱硫処理した原燃料ガスに、蒸発処理部9にて生成されて水蒸気路30を通して供給される水蒸気をエジェクタ17にて混合させ、その水蒸気を混合させた原燃料ガスを改質部2にて改質処理し、その改質ガスを1段目、2段目、3段目の変成部5にて変成処理し、その変成処理した改質ガスを選択酸化部6にて選択酸化処理して、一酸化炭素濃度の低い水素含有ガスを生成し、その水素含有ガスを燃料ガスとして燃料ガス供給路23を通じて燃料電池Gに供給するように構成されている。
【0064】
次に、
図2〜
図4に基づいて、脱硫部1について説明を加える。
尚、
図3は、左から5個目の容器B5(以下、単に容器B5と略記する場合がある)における脱硫部1を構成する部分の縦断左側面図であり、
図4は、容器B5の縦断正面図である。
容器B5については、右側の皿形状容器形成部材41の下端部分に、右側の内部空間Sの下端部分に連通する状態で、ガス流入口43が取り付けられ、左側の皿形状容器形成部材41の下端部分に、左側の内部空間Sの下端部分に連通する状態で、ガス流出口44が取り付けられている。尚、
図3では、容器厚さ方向及び上下方向に直交する方向において、一端側にガス流入口43を取り付け、他端側にガス流出口44を取り付けた構成を示しているが、これは作図の便宜上のものであり、実際には、
図4に示すように、ガス流入口43とガス流出口44とは両方とも、当該方向における一端側又は他端側に取付けられている。
又、区画部材42の上端部に、左右の内部空間Sを連通する連通口45が設けられている。
【0065】
原燃料ガス供給路20は、容器B5のガス流入口43に接続され、脱硫処理後の原燃料ガスを脱硫部1から流出させて脱硫後原燃料通流部13に送るガス処理流路27は、容器B5のガス流出口44に接続される。
【0066】
容器B5の左側の内部空間Sにおける上下方向の中間部の上方寄りの箇所に、通気自在な仕切り板46(仕切り体の一例)が内部空間Sを上下に区画するように設けられて、容器B5の左側の内部空間Sが、上方側(ガス流入口43側の一例)の水分除去用空間Saと下方側(ガス流出口44側の一例)の脱硫用空間Sbとに区画される。
又、その仕切り体46よりも上方で且つ連通口45よりも下方の箇所に、通気自在なカバー板47が内部空間Sを上下に区画するように設けられ、更に、内部空間Sの下端部分で且つガス流出口44の接続部よりも上方の箇所に、通気自在な底板48が内部空間Sを上下に区画するように設けられている。
【0067】
そして、容器B5の左側の内部空間Sにおける底板48と仕切り体46との間の脱硫用空間Sbに、脱硫触媒1cが収容され、容器B5の左側の内部空間Sにおける仕切り体46とカバー板47との間の水分除去用空間Saに、水分吸着剤51が収容される。ちなみに、水分吸着剤51としては、原燃料ガスに対して不活性で、水分を吸着できる特性を有することが条件で種々のものが用いられ、例えば、多孔質粒状のアルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライト等が用いられる。
つまり、容器B5の左側の内部空間Sにおける脱硫用空間Sbが存在する存在する部分に、脱硫部1が構成され、水分除去用空間Saが存在する部分に水分除去部50が構成されることになる。
【0068】
原燃料ガス供給路20におけるリサイクルガス路22の接続部が、リサイクルガス路22からのリサイクルガスの合流部Rcとなる。そして、この合流部Rcでリサイクルガスが混合された原燃料ガスが、ガス流入口43から容器B5の右側の内部空間Sにて構成される脱硫前原燃料通流部15を上方に通流して、連通口45から左側の内部空間Sの上方に構成される水分除去部50に流入し、その水分除去部50を下方に通流する間に水分が除去されて、左側の内部空間Sの下方に構成される脱硫部1に流入し、その脱硫部1を下方に通流する間に脱硫処理されて、ガス流出口44から流出する。
【0069】
つまり、原燃料ガス供給路20、容器B5のガス流入口43、容器B5の右側の内部空間S、連通口45を経由して、容器B5の左側の内部空間S内における仕切り板46に至るまでの経路が、脱硫部1へ原燃料ガスが供給される原燃料ガス供給経路Rとなる。
【0070】
この実施形態では、ガス流入口43とガス流出口44とを備えた容器B5内が、通気自在な仕切り板46にてガス流入口43側の水分除去用空間Saとガス流出口44側の脱硫用空間Sbとに区画され、水分吸着剤51が水分除去用空間Saに収容され且つ脱硫触媒1cが脱硫用空間Sbに収容されると共に、脱硫部1に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給路20がガス流入口43に接続され、且つ、脱硫処理後の原燃料ガスがガス流出口44から流出するように構成されて、脱硫部1が水分除去部50を一体的に備えるように構成されていることになる。
【0071】
又、容器B5が扁平状に構成され、その扁平状の容器B内が、仕切り板46にて厚さ方向に直交する方向に水分除去用空間Saと脱硫用空間Sbとに区画され、その扁平状の容器B5が、水分除去用空間Sa及び脱硫用空間Sbが上下方向に並ぶ立ち姿勢で設けられることになる。
【0072】
次に、水素含有ガス生成装置Pの運転方法について説明する。
通常時は、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量になるように原燃料ガス流量調整弁7を制御する通常運転を実行する。
ちなみに、燃料電池Gの出力電力を所定の出力電力調整範囲で調整するための原燃料ガスの流量の調整範囲が、通常流量調整範囲として設定され、通常運転用流量は通常流量調整範囲内の流量である。
そして、水分除去タイミングになったと判定すると、リサイクルガス遮断弁19を閉じると共に、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量が通常運転用流量よりも少ない水分除去運転用流量になるように原燃料ガス流量調整弁7を制御する水分除去運転を実行する。
ちなみに、水分除去運転用流量は、通常流量調整範囲の下限流量よりも少なく、しかも、脱硫部1における上流側端部付近(仕切り体46近傍部分)の脱硫触媒1cの温度低下を極力抑制可能な所定の流量に設定される。
【0073】
又、通常運転の累積実行時間が所定の水分除去運転開始用の設定時間に達することに基づいて、水分除去タイミングになったと判定する。
つまり、リサイクルガスが混合された原燃料ガスが通流することにより、水分除去部50内の水分吸着剤51の水分吸着量が徐々に増加するが、その水分吸着量が飽和状態に近づくと、水分吸着剤51に水分が吸着され難くなる。
一方、通常運転における所定の単位時間当たりに水分除去部50の水分吸着剤51に吸着される水分量は、実験等により分かる。
そこで、水分除去運転開始用の設定時間としては、例えば、水分除去部50の水分吸着量が飽和状態に近い状態となる通常運転の累積時間に設定される。
【0074】
この実施形態では、制御部Cが水素含有ガス生成装置Pの運転方法を自動的に実行するように構成され、以下、その制御部Cの制御動作について説明する。
制御部Cは、運転開始が指令されると、改質用バーナ3を燃焼させると共に、脱硫部用ヒータ35及び変成部用ヒータ36を作動させる起動処理を実行し、脱硫部1が脱硫処理温度に達すると脱硫部用ヒータ35の作動を停止し、変成部5が変成処理温度に達すると変成部用ヒータ36の作動を停止して起動処理を終了する。
以降、制御部Cは、改質部2を改質処理温度に維持するように、改質用バーナ3の燃焼量を調整すべくガス燃料流量調整弁38を制御すると共に、選択酸化部6を選択酸化処理温度に維持するように、冷却用ファン37の通風量を調節しながら、電力負荷に追従して燃料電池Cの出力電力を出力電力調整範囲で調整すべく、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量を通常流量調整範囲内で調整するように、原燃料ガス流量調整弁7を制御する通常運転を実行し、運転停止が指令されると通常運転を終了する。
【0075】
制御部Cは、通常運転の実行中は、その通常運転の累積実行時間を算出し、その累積実行時間が設定時間に達すると、リサイクルガス遮断弁19を閉じると共に、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量が水分除去運転用流量になるように原燃料ガス流量調整弁7を制御する水分除去運転を予め設定された水分除去運転用の設定時間実行する。
尚、実験により、水分除去部50の水分吸着剤51に吸着されている水分を十分に除去可能な時間が求められ、その求められた時間が、水分除去運転用の設定時間に設定される。
【0076】
水分除去運転を実行すると、脱硫部加熱手段H(改質用バーナ3)により、水分除去部50の水分吸着剤51及び脱硫部1の脱硫触媒1cが脱硫処理温度に加熱されている状態で、リサイクルガスが混合されていないドライな原燃料ガスが水分除去部50、脱硫部1を順に通過する。
すると、脱硫部1を構成する扁平状の容器B5が、水分除去用空間Sa及び脱硫用空間Sbが上下方向に並ぶ立ち姿勢で設けられていることから、流量が通常運転よりも少なくても、ドライな原燃料ガスを水分除去部50の全域にわたって万遍なく通流させることができる。しかも、水分除去部50の水分吸着剤51が脱硫部加熱手段H(改質用バーナ3)により加熱されているので、水分吸着剤51に吸着されている水分がドライな原燃料ガスにより良好に脱離される。これらのことにより、水分除去部50全域にわたって水分吸着剤51を適切に再生することができる。
【0077】
そして、脱離水分を含有する原燃料ガスが脱硫部1を通過することになるが、原燃料ガスの通過流量が通常運転よりも少ないため、脱硫部加熱手段H(改質用バーナ3)により加熱されている脱硫部1の脱硫触媒1c(特に入り口付近)の温度低下が抑制されるので、原燃料ガスが脱硫部1を通過する際に、含有されている水分が脱硫触媒1cに吸着されるのが防止される。
つまり、水分除去運転では、水分吸着剤51を再生するためのドライな原燃料ガスを、水分除去部50から脱硫部1を通過させて通流させることになるが、水分吸着剤51から脱離した水分を脱硫触媒1cに再吸着させることなく脱硫部1外に排出させることができる。
【0078】
そして、次に実行される通常運転では、水分除去部50の水分吸着剤51が再生されているので、リサイクルガスが混合された原燃料ガスが脱硫部1に供給される前に、含有されている水分が水分除去部50にて水分吸着剤51に吸着されることになり、脱硫部1の脱硫触媒1cに水分が吸着されるのが防止される。
【0079】
〔別実施形態〕
(A)上記の実施形態のように、水分除去部50を一体的に備えるように脱硫部1を構成する場合、脱硫部1と水分除去部50との配置形態は、上記の実施形態で例示した配置形態、即ち、水分除去部50が上方になる状態で、脱硫部1と水分除去部50とを上下方向に並べて配置する形態に限定されるものではなく、脱硫部1に対するガス流入口43及びガス流出口部44の配置形態に応じて、種々に変更可能である。
例えば、ガス流入口43が脱硫部1の下端部に配置され、ガス流出口部44が脱硫部1の上端部に配置される場合は、水分除去部50が下方になる状態で、脱硫部1と水分除去部50とを上下方向に並べて配置する。
又、ガス流入口43及びガス流出口部44が脱硫部1の左右両側方に振り分けて配置される場合は、脱硫部1と水分除去部50とを横方向に並べて配置する。
【0080】
(B)上記の実施形態では、脱硫部1が水分除去部50を一体的に備えるように構成したが、水分除去部50を脱硫部1と別体で構成しても良い。この場合は、原燃料ガス供給路20におけるリサイクルガス路22の接続部(リサイクルガスの合流部Rc)よりも下流側の部分の途中に、内部に水分吸着剤51を収容した容器を設けて、当該容器を用いて水分除去部50を構成することができる。この場合は、脱硫部加熱手段Hとは別に、水分除去部50を加熱する水分除去部加熱手段を設けて、水分除去運転の際には、その水分除去部加熱手段を作動させて、水分吸着剤51に吸着されている水分が良好に脱離されるように水分除去部50を加熱する構成とするのが好ましい。
【0081】
(C)水分除去タイミングであると判定するための条件は、上記の実施形態で例示した条件、即ち、通常運転の累積実行時間が所定の水分除去運転開始用の設定時間に達する条件に限定されるものではない。例えば、通常運転における脱硫部1への原燃料ガスの累積流量が所定の設定流量に達する条件、燃料電池Gの累積発電量が所定の設定発電量に達する条件等、種々の条件を適用することができる。
【0082】
(D)水分除去運転を終了するタイミングは、上記の実施形態で例示したタイミング、即ち、水分除去運転の実行時間が水分除去運転用の設定時間に達するタイミングに限定されるものではない。例えば、水分除去部50から流出する原燃料ガスの湿度を検出する湿度検出器を設けて、その湿度検出器にて検出される原燃料ガスの湿度が所定の湿度にまで低下したタイミングでも良い。
【0083】
(E)上記の実施形態では、通常運転の実行中に水分除去タイミングになったと判定すると、強制的に通常運転を終了させて、水分除去運転を実行するように構成したが、通常運転の実行中に水分除去タイミングになったと判定すると、その通常運転を停止するタイミングになって(例えば、操作盤により通常運転の停止が指令されたとき)、通常運転を終了した後に、水分除去運転を実行するように構成しても良い。
又、上記の実施形態では、水分除去運転を制御部Cに自動的に実行させるように構成したが、水分除去運転を手動操作により実行するように構成しても良い。
【0084】
(F)改質部2及びその改質部2を加熱する燃焼部4の具体的な構成としては、上記の実施形態の如く、各別の容器Bを用いて構成する場合に限定されるものではない。
例えば、外筒の内部に内筒を設けて、内筒内を燃焼空間として内筒を用いて燃焼部を形成し、内筒と外筒との間の空間を触媒収容空間Rとして、内筒と外筒とを用いて改質部2を形成する構成でも良い。
【0085】
(G)本発明を適用可能な水素含有ガス生成装置は、上記の実施形態で例示した燃料電池用に限定されるものではなく、水素精製(濃縮)装置用等、種々の用途の水素含有ガス生成装置に適用することができる。
【0086】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。