特許第6381458号(P6381458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381458
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ガス処理装置用の細分化触媒除去方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20180820BHJP
   B01J 38/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C01B3/38
   B01J38/00 301Z
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-35371(P2015-35371)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-155718(P2016-155718A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−166105(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/040146(WO,A1)
【文献】 特開2012−250873(JP,A)
【文献】 実開昭53−158737(JP,U)
【文献】 特開2009−023859(JP,A)
【文献】 特開昭51−067258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00− 6/34
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒収容空間に粒状の触媒が収容されて、当該触媒を所定の処理温度に昇温させた状態で、前記触媒収容空間に供給される処理対象ガスに対して所定の処理を施す処理部が設けられたガス処理装置用の細分化触媒除去方法であって、
前記触媒収容空間を、前記触媒が細かく分かれた細分化触媒の通過が可能な多孔状の仕切り体により、前記触媒が収容される上方の触媒収容部分と下方の細分化触媒収容部分とに区画し、且つ、前記触媒収容空間の前記触媒を振動させる加振手段を備えた細分化触媒除去構造を設け、
前記触媒収容空間の前記触媒収容部分から前記細分化触媒を除去する細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、前記触媒収容空間への処理対象ガスの供給を停止した状態で、前記加振手段を作動させる細分化触媒除去運転を実行するガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項2】
前記触媒収容空間に供給される処理対象ガスの圧力が所定の設定圧力以上になると、前記細分化触媒除去タイミングになったと判定する請求項1に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項3】
前記処理部として、
前記触媒収容空間に改質処理用の触媒が収容されて、当該改質処理用の触媒を所定の改質処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記触媒収容空間に供給される原燃料ガスに対して、水素ガスを主成分とする改質ガスに改質する改質処理を施す改質処理用の処理部と、
前記触媒収容空間に変成処理用の触媒が収容されて、当該変成処理用の触媒を所定の変成処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記改質処理用の処理部で改質処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成する変成処理を施す変成処理用の処理部とが設けられ、
前記改質処理用の処理部及び前記変成処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、前記細分化触媒除去構造を設ける請求項1又は2に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項4】
前記処理部として、
前記触媒収容空間に脱硫処理用の触媒が収容されて、当該脱硫処理用の触媒を所定の脱硫処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記改質処理用の処理部に供給される前の原燃料ガスに対して脱硫処理を施す脱硫処理用の処理部と、
前記触媒収容空間に選択除去処理用の触媒が収容されて、当該選択除去処理用の触媒を所定の選択除去処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記変成処理用の処理部で変成処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを選択除去する選択除去処理を施す選択除去処理用の処理部とが設けられ、
前記脱硫処理用の処理部及び前記選択除去処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、前記細分化触媒除去構造を設ける請求項3に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項5】
原動機を備えた補機を、前記細分化触媒除去構造を設けた前記処理部の触媒を振動させることが可能に設けて、
前記補機を前記加振手段として用いる請求項3又は4に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項6】
前記改質処理用の触媒を前記改質処理用の処理温度に加熱する改質用バーナが設けられ、
前記改質用バーナに燃焼用空気を供給する送風手段が前記補機として設けられ、
前記送風手段を前記加振手段として用いる請求項5に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項7】
各処理部の前記触媒収容空間が扁平状の各別の容器内に形成され、
各処理部の前記触媒収容空間を夫々形成する複数の前記容器が、容器厚さ方向を水平方向に向けた立ち姿勢にて前記容器厚さ方向に積層状態に並べられた状態で一体的に組み付けられて、容器積層体が構成され、
前記細分化触媒除去構造を設けた前記処理部の触媒の温度を前記処理温度よりも低い所定の設定温度以下にした状態で、前記細分化触媒除去運転を実行する請求項3〜6のいずれか1項に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【請求項8】
前記加振手段を、前記容器積層体を振動させるように設ける請求項7に記載のガス処理装置用の細分化触媒除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒収容空間に粒状の触媒が収容されて、当該触媒を所定の処理温度に昇温させた状態で、触媒収容空間に供給される処理対象ガスに対して所定の処理を施す処理部が設けられたガス処理装置用の細分化触媒除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガス処理装置は、触媒収容空間に供給される処理対象ガスに対して、粒状の触媒により所定の処理を施すものであり、例えば、触媒収容空間に供給される原燃料ガスに対して、改質処理用の触媒により、水素ガスを主成分とする改質ガスに改質する改質処理を施す水素含有ガス生成用のガス処理装置がある。
【0003】
このようなガス処理装置では、装置の起動及び停止の繰り返しによる触媒収容空間を形成する部材の膨張収縮により、触媒収容空間に収容されている粒状の触媒に対して圧縮応力が繰り返し加わるので、粒状の触媒が圧壊して細分化する。そして、触媒が細分化した細分化触媒が触媒収容空間に収容されている粒状の触媒間の隙間に溜まると、処理対象ガスの通流が妨げられて、触媒収容空間を通流する処理対象ガスに偏流が生じることになるので、触媒収容空間において処理対象ガスに対して処理が施される領域が狭められて、処理対象ガスに所定の処理を施す処理能力が低下する。
【0004】
そこで、従来のガス処理装置では、触媒収容空間の上部に処理対象ガス流入口を設けると共に、下部に処理対象ガス流出口を設けて、処理対象ガスを触媒収容空間内を下方に向けて流動させるように構成されると共に、処理対象ガス流出口の下方に、細分化触媒を処理対象ガス流路外に排出するための排出口及び細分化触媒を排出口に導くガイド部を備えた端板が備えられ、並びに、処理対象ガス流路が、処理対象ガスを端板に向けて通流させた後、向きを上方に転回させて処理部の側方を通流させるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
つまり、粒状の触媒間の隙間に溜まっている細分化触媒を処理対象ガスの流れに載せて触媒収容空間外に流動させて、端板の排出口を通過させることにより、細分化触媒を触媒収容空間から排出する構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−250873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のガス処理装置では、以下に説明するように、触媒収容空間に溜まっている細分化触媒を十分に触媒収容空間から除去することができないために、運転時間の経過に伴う処理能力の低下が大きいという問題があった。
即ち、微小な細分化触媒は重量が軽いので処理対象ガスに載せて下流側に流動させ易いが、比較的大きい細分化触媒は、重量が比較的重いので、処理対象ガスに載せて下流側に流動させ難い。
又、処理対象ガスに水分が含まれている場合は、細分化触媒が周囲の触媒に付着し易いので、処理対象ガスに載せて下流側に流動させ難い。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制し得るガス処理装置用の細分化触媒除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法は、触媒収容空間に粒状の触媒が収容されて、当該触媒を所定の処理温度に昇温させた状態で、前記触媒収容空間に供給される処理対象ガスに対して所定の処理を施す処理部が設けられたガス処理装置用の細分化触媒除去方法であって、その特徴構成は、
前記触媒収容空間を、前記触媒が細かく分かれた細分化触媒の通過が可能な多孔状の仕切り体により、前記触媒が収容される上方の触媒収容部分と下方の細分化触媒収容部分とに区画し、且つ、前記触媒収容空間の前記触媒を振動させる加振手段を備えた細分化触媒除去構造を設け、
前記触媒収容空間の前記触媒収容部分から前記細分化触媒を除去する細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、前記触媒収容空間への処理対象ガスの供給を停止した状態で、前記加振手段を作動させる細分化触媒除去運転を実行する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、細分化触媒除去運転を実行する。
その細分化触媒除去運転では、触媒収容空間への処理対象ガスの供給を停止した状態で、加振手段を作動させて触媒収容空間の触媒を振動させるので、細分化触媒が処理対象ガスに載って処理部よりも下流の工程に流動するのが防止される状態で、粒状の触媒間の隙間に溜まっている細分化触媒を仕切り体を通過させて細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
つまり、触媒収容空間の触媒を振動させるので、粒状の触媒間の隙間に溜まっている微小な細分化触媒は勿論のこと、比較的大きな細分化触媒も仕切り体を通過させて細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
又、処理対象ガスに水分が含まれていて、細分化触媒が周囲の触媒に付着し易い場合でも、触媒収容空間の触媒を振動させることにより、周囲の触媒に付着し易い細分化触媒を仕切り体を通過させて細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
このことにより、触媒収容空間を通流する処理対象ガスに偏流が生じるのを十分に抑制することができる。
従って、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制し得るガス処理装置用の細分化触媒除去方法を提供することができる。
【0011】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、前記触媒収容空間に供給される処理対象ガスの圧力が所定の設定圧力以上になると、前記細分化触媒除去タイミングになったと判定する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、触媒収容空間に供給される処理対象ガスの圧力が所定の設定圧力以上になると、細分化触媒除去タイミングになったと判定する。
つまり、粒状の触媒の細分化が進行するほど、触媒収容部分において細分化触媒が溜まる領域が拡がるので、触媒収容空間に供給される処理対象ガスの圧力が上昇する。そこで、触媒収容空間に供給される処理対象ガスの圧力に基づいて、細分化触媒除去運転を実行すべきタイミング、即ち、細分化触媒除去タイミングになったことを、早過ぎることなく且つ遅過ぎることなく的確に判定することができる。
従って、細分化触媒除去運転を早過ぎることない且つ遅過ぎることのない適切なタイミングで実行することができるので、通常の運転の実行を妨げるのを一層抑制しながら、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を的確に抑制することができる。
【0013】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、前記処理部として、
前記触媒収容空間に改質処理用の触媒が収容されて、当該改質処理用の触媒を所定の改質処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記触媒収容空間に供給される原燃料ガスに対して、水素ガスを主成分とする改質ガスに改質する改質処理を施す改質処理用の処理部と、
前記触媒収容空間に変成処理用の触媒が収容されて、当該変成処理用の触媒を所定の変成処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記改質処理用の処理部で改質処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成する変成処理を施す変成処理用の処理部とが設けられ、
前記改質処理用の処理部及び前記変成処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、前記細分化触媒除去構造を設ける点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、改質処理用の処理部において、原燃料ガスに対して、水素ガスを主成分とする改質ガスに改質する改質処理が施され、変成処理用の処理部において、改質処理用の処理部で改質処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成する変成処理が施されるので、一酸化炭素ガス濃度の低い水素リッチな水素含有ガスが生成される。
そして、改質処理用の処理部及び変成処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、細分化触媒除去構造を設けて、細分化触媒除去運転を実行するので、改質処理用の触媒の細分化触媒及び変成処理用の触媒の細分化触媒のうちの少なくとも一方を、触媒収容部分から仕切り体を通過させて細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
従って、改質処理及び変成処理のうちの少なくとも一方の運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制することができるので、一酸化炭素ガス濃度の低い水素含有ガスを生成するためのガス処理装置において、運転時間の経過に伴う水素含有ガス生成能力の低下を抑制することができる。
【0015】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、前記処理部として、
前記触媒収容空間に脱硫処理用の触媒が収容されて、当該脱硫処理用の触媒を所定の脱硫処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記改質処理用の処理部に供給される前の原燃料ガスに対して脱硫処理を施す脱硫処理用の処理部と、
前記触媒収容空間に選択除去処理用の触媒が収容されて、当該選択除去処理用の触媒を所定の選択除去処理用の処理温度に昇温させた状態で、前記変成処理用の処理部で変成処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを選択除去する選択除去処理を施す選択除去処理用の処理部とが設けられ、
前記脱硫処理用の処理部及び前記選択除去処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、前記細分化触媒除去構造を設ける点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、脱硫処理用の処理部において、改質処理用の処理部に供給される前の原燃料ガスに対して脱硫処理が施されるので、後工程の処理部(改質処理用、変成処理用及び選択除去処理用等の各処理部)の触媒の被毒を防止することができる。
又、選択除去処理用の処理部において、変成処理用の処理部で変成処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを選択除去する選択除去処理が施されるので、一酸化炭素ガス濃度が一層低い水素リッチな水素含有ガスを生成することができる。
そして、脱硫処理用の処理部及び選択除去処理用の処理部のうちの少なくとも一つに対して、細分化触媒除去構造を設けて、細分化触媒除去運転を実行するので、脱硫処理用の触媒の細分化触媒及び選択除去処理用の触媒の細分化触媒のうちの少なくとも一方を、触媒収容部分から仕切り体を通過させて細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
従って、脱硫処理及び選択除去処理のうちの少なくとも一方の運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制することができるので、一酸化炭素ガス濃度が更に低い水素含有ガスを生成するためのガス処理装置において、運転時間の経過に伴う水素含有ガス生成能力の低下を抑制することができる。
【0017】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、原動機を備えた補機を、前記細分化触媒除去構造を設けた前記処理部の触媒を振動させることが可能に設けて、
前記補機を前記加振手段として用いる点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、原動機を備えた補機を作動させると、細分化触媒除去構造を設けた処理部の触媒を振動させることができて、粒状の触媒間の隙間に溜まっている細分化触媒を触媒収容部分から細分化触媒収容部分にふるい落とすことができる。
つまり、ガス処理装置には、元々、原動機を備えた補機が備えられている。
そこで、その補機を加振手段として用いることにより、専用の加振手段を設けずに済むので、ガス処理装置の小型化及び低廉化を図りながら、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制することができる。
【0019】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、前記改質処理用の触媒を前記改質処理用の処理温度に加熱する改質用バーナが設けられ、
前記改質用バーナに燃焼用空気を供給する送風手段が前記補機として設けられ、
前記送風手段を前記加振手段として用いる点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、改質用バーナに燃焼用空気を供給する送風手段を、細分化触媒除去構造を設けた処理部の触媒を振動させるように設けると、その送風手段を加振手段として用いることができる。
つまり、改質処理における改質反応は吸熱反応であるので、改質処理用の触媒を改質処理用の処理温度に昇温させるために、元々、改質用バーナ、及び、その改質用バーナに燃焼用空気を供給する送風手段が設けられている。
そして、ガス処理装置の停止中に、送風手段を作動させても、その送風手段により送風される空気は触媒収容空間に供給されることがない。そこで、送風手段を加振手段として用いることにより、ガス処理装置の運転停止中に、細分化触媒除去運転を実行して加振手段として用いる送風手段を作動させても、処理対象ガスに対して施す処理に悪影響を与えることがないので、処理能力の低下を的確に抑制することができる。
従って、ガス処理装置の小型化及び低廉化を図りながら、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を的確に抑制することができる。
【0021】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、各処理部の前記触媒収容空間が扁平状の各別の容器内に形成され、
各処理部の前記触媒収容空間を夫々形成する複数の前記容器が、容器厚さ方向を水平方向に向けた立ち姿勢にて前記容器厚さ方向に積層状態に並べられた状態で一体的に組み付けられて、容器積層体が構成され、
前記細分化触媒除去構造を設けた前記処理部の触媒の温度を前記処理温度よりも低い所定の設定温度以下にした状態で、前記細分化触媒除去運転を実行する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、容器積層体に組み付けられた複数の容器内の触媒を夫々に対応する処理温度に昇温させた状態では、隣接する容器間の伝熱により、各容器全体が昇温して膨張することにより、各容器の容積が増加するので、各容器内の触媒は沈下する。
一方、各容器内の触媒を夫々に対応する処理温度に昇温させる状態を停止すると、各容器全体が降温して収縮することにより、各容器内の容積が減少するので、各容器内の触媒は持ち上げられる。
【0023】
そして、各容器内の触媒が沈下した状態で振動を加えると、触媒の圧壊が促進され易い。そこで、細分化触媒除去構造を設けた処理部の容器内の触媒の温度を処理温度よりも低い設定温度に低下させた状態で、細分化触媒除去運転を実行すると、触媒の圧壊の進行を十分に防止しながら、細分化触媒を触媒収容部分から細分化触媒収容部分へふるい落とすことができる。
従って、細分化触媒除去運転中の触媒の圧壊の促進を十分に防止して、触媒の耐久性を向上することができるので、運転時間の経過に伴う処理能力の低下をより一層抑制することができる。
【0024】
本発明に係るガス処理装置用の細分化触媒除去方法の更なる特徴構成は、前記加振手段を、前記容器積層体を振動させるように設ける点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、加振手段を作動させると、容器積層体全体を振動させることができるので、容器積層体を構成する複数の容器全ての内部の触媒を振動させることができる。
つまり、複数の処理部に細分化触媒除去構造を設けるにしても、加振手段としては、複数の処理部夫々の細分化触媒除去構造で共有する状態で1台設けるだけでよい。
従って、複数の処理部を有するガス処理装置において、低廉化を図りながら、複数の処理部について運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】水素含有ガス生成装置の縦断正面図
図2】水素含有ガス生成装置の正面図
図3】水素含有ガス生成装置の右側面図
図4】改質部を構成する容器の斜視図
図5】改質部を構成する容器の縦断右側面図
図6】改質部を構成する容器の縦断正面図
図7】別実施形態に係る水素含有ガス生成装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明を水素含有ガス生成用のガス処理装置に適用した場合の実施形態を説明する。
図1図5及び図6に示すように、水素含有ガス生成用のガス処理装置P(以下、水素含有ガス生成装置と記載する場合がある)は、触媒収容空間Rに粒状の触媒2c(1c,5c,6c)が収容されて、当該触媒を所定の処理温度に昇温させた状態で、触媒処理空間Rに供給される処理対象ガスに対して所定の処理を施す処理部Dが設けられている。
【0028】
図1に示すように、この実施形態では、処理部Dとして、原燃料ガス供給路20を通して供給される炭化水素系の原燃料ガス(例えば、13A等の天然ガスベースの都市ガス)に対して脱硫処理を施す脱硫処理用の処理部(以下、脱硫部と記載する場合がある)1と、脱硫部1から供給される脱硫処理後の原燃料ガス(以下、脱硫原燃料ガスと記載する場合がある)に対して、水素ガスを主成分とする改質ガスに改質する改質処理を施す改質処理用の処理部(以下、改質部と記載する場合がある)2と、改質部2で改質処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成する変成処理を施す変成処理用の処理部(以下、変成部と記載する場合がある)5と、変成部5で変成処理された改質ガスに対して、一酸化炭素ガスを選択酸化する選択酸化処理(選択除去処理の一例)を施す選択酸化処理用の処理部(選択除去処理用の処理部の一例であり、以下、選択酸化部と記載する場合がある)6とが設けられて、一酸化炭素ガス濃度の低い(例えば10ppm以下)水素リッチな水素含有ガスを生成するように構成されている。
【0029】
更に、水素含有ガス生成装置Pには、改質用水供給路21を通して供給される改質用水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部J、改質部2の改質触媒2cを改質処理温度に加熱する改質用バーナ3を備えた燃焼部4、改質部2で改質処理された改質ガス(この実施形態では、変成部5で変成処理された改質ガス)の一部をリサイクルガスとして原燃料ガス供給路20を通して供給される原燃料ガスに混合するリサイクルガス路22、及び、水素含有ガス生成装置の運転を制御する制御部C等が設けられている。
【0030】
そして、水素含有ガス生成装置Pにて生成された水素含有ガスは燃料ガスとして、燃料ガス供給路23を通じて燃料電池Gに供給される。
水素含有ガス生成装置Pの脱硫部1に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給路20には、燃料電池Gの出力電力を調整すべく、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量を調整する原燃料ガス流量調整弁7、及び、原燃料ガス供給路20を通して供給される原燃料ガスの圧力を検出する原燃料ガス供給圧検出器19が設けられている。
【0031】
この実施形態では、触媒収容空間Rを、触媒が細かく分かれた細分化触媒の通過が可能な多孔状の仕切り網46(仕切り体の一例)により、触媒が収容される上方の触媒収容部分Raと下方の細分化触媒収容部分Rbとに区画し、且つ、触媒収容空間Rの触媒を振動させるバイブレータ50(加振手段の一例)を備えた細分化触媒除去構造Mが設けられている。この細分化触媒除去構造Mは、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6の各処理部Dに設けられている。
【0032】
次に、図1に基づいて、水素含有ガス生成装置Pの各部について、説明を加える。
燃料電池Gは、周知であるので詳細な説明及び図示を省略して簡単に説明すると、例えば、固体高分子膜を電解質層とするセルを複数積層状態に設けた固体高分子型に構成され、各セルの燃料極に水素含有ガス生成装置Pから燃料ガス供給路23を通して燃料ガスを供給し、各セルの酸素極に反応用空気ブロア31により空気を供給して、水素と酸素との電気化学反応により発電を行うように構成されている。又、冷却水ポンプ32により燃料電池Gに冷却水を通流させて、各セルから発生する熱を回収するように構成されている。
【0033】
脱硫部1の触媒収容空間Rに、脱硫処理用の触媒(以下、脱硫触媒と記載する場合がある)1cが収容されている。
そして、脱硫部1は、脱硫触媒1cを所定の脱硫処理用の処理温度(例えば200〜270℃の範囲で、以下、脱硫処理温度と記載する場合がある)に昇温させた状態で、リサイクル路22を通して混合されるリサイクルガス中の水素ガスにより原燃料ガス中の硫黄化合物が水素化すると共に、その水素化物を吸着して脱硫する。脱硫触媒1cは、触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、脱硫部1における脱硫反応は発熱反応である。
【0034】
改質部2の触媒収容空間Rに、改質処理用の触媒(以下、改質触媒と記載する場合がある)2cが収容され、その改質部2の触媒収容空間Rには、水蒸気生成部Jで生成された水蒸気が混合された状態で、脱硫原燃料ガスが供給される。
そして、改質部2は、改質触媒2cを所定の改質処理用の処理温度(例えば600〜700℃の範囲で、以下、改質処理温度と記載する場合がある)に昇温させた状態で、原燃料ガスがメタンガスを主成分とする天然ガスである場合、下記の反応式にてメタンガスを水蒸気と反応させて、水素ガスと一酸化炭素ガスとを含む改質ガスに改質処理する。改質触媒2cは、ルテニウム、ニッケル、白金等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、改質部2における改質反応は吸熱反応である。
【0035】
CH4+H2O→CO+3H2
【0036】
変成部5の触媒収容空間Rに、変成処理用の触媒(以下、変成触媒と記載する場合がある)5cが収容されている。
そして、変成部5は、変成触媒5cを所定の変成処理用の処理温度(例えば150〜250℃の範囲で、以下、変成処理温度と記載する場合がある)に昇温させた状態で、下記の反応式にて改質ガス中の一酸化炭素ガスを水蒸気と反応させて、二酸化炭素ガスに変成させる。変成触媒5cは、白金、ルテニウム、ロジウム等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、変成部5における変成反応は発熱反応である。
【0037】
CO+H2O→CO2+H2
【0038】
選択酸化部6の触媒収容空間Rに、選択酸化処理用の触媒(以下、選択酸化触媒と記載する場合がある)6cが収容されている。
そして、選択酸化部6では、選択酸化触媒6cを所定の選択酸化処理用の処理温度(例えば、80〜100℃の範囲で、以下、選択酸化処理温度と記載する場合がある)に昇温させた状態で、変成処理後の改質ガス中に残っている一酸化炭素ガスを選択酸化させる。選択酸化触媒6cは、白金、ルテニウム、ロジウム等の触媒作用させる物質をセラミック製等の多孔質粒状体に担持させて構成される。ちなみに、選択酸化部6における酸化反応は発熱反応である。
【0039】
燃焼部4には、その内部の燃焼空間でガス燃料を燃焼させるように改質用バーナ3が備えられ、その改質用バーナ3の燃焼量を調整することにより、改質部2の改質触媒2cを改質処理温度に加熱するように構成されている。
改質用バーナ3には、燃料電池Gの燃料極から水素が残存した状態で排出されるオフガスがオフガス路24を通してガス燃料として供給され、並びに、燃焼用空気ブロア33により燃焼用空気供給路25を通して燃焼用空気が供給される。又、改質部2の改質触媒2cを改質処理温度に加熱するに当たって、オフガスだけでは不足する不足分として、都市ガス(13A等)がガス燃料供給路26を通して改質用バーナ3に供給される。ガス燃料供給路26には、都市ガスの流量を調整するガス燃料流量調整弁38が設けられ、そのガス燃料流量調整弁38を制御して都市ガスの流量を調整することにより、改質用バーナ3の燃焼量を調整する。
【0040】
水蒸気生成部Jは、燃焼部4から排出された改質用バーナ3の燃焼ガスを通流させる加熱用排ガス通流部8と、改質水ポンプ34により改質用水供給路21を通して供給される改質用水を加熱用排ガス通流部8による加熱にて蒸発させる蒸発処理部9とを備えて構成されている。
【0041】
又、水素含有ガス生成装置Pには、改質部2から排出された高温の改質ガスを通流させて、改質部2を保温する保温用通流部10、改質部2から排出された高温の改質ガスにより脱硫部1にて脱硫された脱硫原燃料ガスを加熱する脱硫後原燃料用熱交換器Ea、その脱硫後原燃料用熱交換器Eaにて熱交換後の改質ガスにより脱硫部1にて脱硫処理する原燃料ガスを加熱する脱硫前原燃料用熱交換器Eb、及び、加熱用排ガス通流部8から排出された燃焼ガスを通流させてその燃焼ガスにより変成部5を冷却する冷却用排ガス通流部11が設けられている。
【0042】
脱硫後原燃料用熱交換器Eaは、保温用通流部10から排出された改質ガスを通流させる上流側改質ガス通流部12と、改質部2に供給する脱硫原燃料ガスを通流させる脱硫後原燃料通流部13とを熱交換自在に設けて構成され、脱硫前原燃料用熱交換器Ebは、上流側改質ガス通流部12から排出された改質ガスを通流させる下流側改質ガス通流部14と、脱硫部1に供給する原燃料ガスを通流させる脱硫前原燃料通流部15とを熱交換自在に設けて構成されている。
【0043】
更に、水素含有ガス生成装置Pには、起動時に、脱硫部1を脱硫処理温度に加熱する脱硫部用ヒータ35、変成部5を変成処理温度に加熱する2個の変成部用ヒータ36、選択酸化部6を冷却する冷却用ファン37、及び、変成部5から排出された改質ガスと水蒸気生成部Jの蒸発処理部9へ供給される改質用水とを熱交換させて、改質用水を予熱する原料水予熱用熱交換器16が設けられている。ちなみに、脱硫部用ヒータ35、変成部用ヒータ36は電気ヒータにより構成されている。
【0044】
図1図3に示すように、水素含有ガス生成装置Pを構成する各部は、内部に内部空間Sを形成する扁平状の複数の容器Bを用いて構成されている。
そして、複数の容器Bが、容器厚さ方向を水平方向に向けた立ち姿勢にて容器厚さ方向に積層状態に並べられた状態で、容器並び方向両側から押し付け機構K(図2及び図3参照)にて押し付けられることにより一体的に組み付けられて、容器積層体Aが構成されている。
【0045】
各容器Bは、ステンレス等の伝熱性を有する耐熱金属製であり、容器Bには、内部空間Sを1つ形成するものや、内部空間Sを二つ形成するものがある。ちなみに、内部空間Sを二つ形成する容器Bは、図4に示すように、一対の皿形状容器形成部材41の間に平板状の区画部材42を位置させた状態で、周辺部が溶接接続されて、内部に二つの偏平な内部空間Sが区画形成され、図示を省略するが、内部空間Sを一つ形成する容器Bは、皿形状容器形成部材と平板状容器形成部材とが周辺部を溶接接続されて、内部に一つの偏平な内部空間Sが区画形成されている。
【0046】
各容器Bには、必要に応じて、ノズル状のガス流入口43や、ガス流出口44が取り付けられ、又、内部空間Sを二つ有する容器Bの区画部材42には、必要に応じて、両側の空間を連通する連通口45が設けられている。
【0047】
この実施形態では、水素含有ガス生成装置Pは、9個の容器Bを用いて構成されている。尚、9個の容器Bの区別が明確になるように、便宜上、容器を示す符合Bの後に、図1及び図2において左からの並び順を示す符合1,2,3……………9を付す。ちなみに、左から3個目の容器B3は、内部空間Sを一つ区画形成するものであり、それ以外の8個の容器Bは、内部空間Sを二つ区画形成するものである。
尚、図4は、左から2個目の容器B2を示すものであり、この容器B2は、詳細は後述するが、燃焼部4と改質部2を構成するものである。
【0048】
図1に示すように、左端の容器B1における左側の内部空間Sを有する部分にて加熱用排ガス通流部8が構成され、右側の内部空間Sを有する部分にて蒸発処理部9が構成されている。つまり、この左端の容器B1により、水蒸気生成部Jが構成されている。
【0049】
左から2個目の容器B2における左側の内部空間Sを燃焼空間として、左側の内部空間Sを有する部分にて燃焼部4が構成され、右側の内部空間Sを触媒収容空間Rとして改質触媒2cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により改質部2が構成されている。
【0050】
左から3個目の容器B3により、保温用通流部10が構成されている。
左から4個目の容器B4における左側の内部空間Sを有する部分により、上流側改質ガス通流部12が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、脱硫後原燃料通流部13が構成されている。つまり、この左から4個目の容器B4にて、脱硫後原燃料用熱交換器Eaが構成されている。
【0051】
左から5個目の容器B5における左側の内部空間Sを触媒収容空間Rとして脱硫触媒1cを収容して、左側の内部空間Sを有する部分により脱硫部1が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、脱硫前原燃料通流部15が構成されている。
この左から5個目の容器B5における左側、即ち、脱硫部1側の側面に当て付けた状態で、脱硫部用ヒータ35が設けられている。
【0052】
左から6個目の容器B6における左側の内部空間Sを有する部分により、下流側改質ガス通流部14が構成され、右側の内部空間Sを触媒収容空間Rとして変成触媒5cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により変成部5が構成されている。
左から7個目の容器B7における左側の内部空間Sを触媒収容空間Rとして変成触媒5cを収容して、左側の内部空間Sを有する部分により変成部5が構成され、右側の内部空間Sを有する部分により、冷却用排ガス通流部11が構成されている。
【0053】
左から8個目の容器B8における左右の内部空間Sをいずれも触媒収容空間Rとして変成触媒5cを収容して、左から8個目の容器B8により変成部5が構成されている。
つまり、左から6個目の容器B6にて構成される変成部5、左から7個目の容器B7にて構成される変成部5、左から8個目の容器B8にて構成される変成部5を、夫々、1段目、2段目、3段目として、順に改質ガスを通流させるように構成されて、変成部5が3段に設けられている。
【0054】
2個の変成部用ヒータ36のうちの1個は、左から6個目の容器B6と7個目の容器B7との間に設けられ、残りの1個は、左から8個目の容器B8における右側の側面に当て付けた状態で設けられている。
【0055】
左から9個目、即ち右端の容器B9における左側の内部空間Sを有する部分は、何にも用いずに伝熱調整用とされ、右側の内部空間Sを触媒収容空間Rとして選択酸化触媒6cを収容して、右側の内部空間Sを有する部分により選択酸化部6が構成されている。
【0056】
そして、9個の容器Bが、左端の容器B1と左から2個目の容器B2との間、左から3個目の容器B3と左から4個目の容器B4の間、及び、左から4個目の容器B4と左から5個目の容器B5との間の夫々に断熱材18が配置された状態で、押し付け機構Kにより容器並び方向両側から押し付けられて、密接状態に並べて設けられ、更に、選択酸化部6を構成する右端の容器B9の側方に、その容器B9に向けて通風するように冷却用ファン37が設けられている。
【0057】
図2及び図3に示すように、押し付け機構Kは、容器積層体Aにおける容器並び方向両端の容器Bに各別に当て付けて配置される一対の保持板51と、それら一対の保持板51を連結する6組のネジ式連結手段とを備えて構成されている。
ネジ式連結手段は、ボルト52、一対のナット53及び一対のスプリングワッシャ54から成る。
一対の保持板51夫々はL字状に形成され、それら一対の保持板51が正面視で線対称形態で配置される。
そして、ボルト52の両端夫々が、保持板51に挿通された状態で、両側からスプリングワッシャ54を介してナット53にて締め付けられることにより、複数の容器Bが容器並び方向に直交する方向での相対移動が許容される状態で容器並び方向両側から押し付けられる構成とされている。又、スプリングワッシャ54の伸縮作用により、各容器Bの容器並び方向での膨張収縮も許容される構成とされている。
【0058】
上述のような配置形態で9個の容器Bを配置するに当たっては、改質部2を改質処理温度に維持するように、改質用バーナ3の燃焼量を調整し、且つ、選択酸化部6を選択酸化処理温度に維持するように、冷却用ファン37の通風量を調節して冷却能力を調節することにより、脱硫部1及び変成部5がそれぞれの処理温度になるように、隣接するもの同士の伝熱状態が予め設定されている。
尚、水素含有ガス生成装置Pの起動時には、脱硫部用ヒータ35を加熱作動させて、脱硫部1を脱硫処理温度に加熱し、並びに、2個の変成部用ヒータ36を加熱作動させて、変成部5を変成処理温度に加熱するように構成されている。
【0059】
図示を省略するが、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6夫々には、夫々の触媒の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0060】
図2及び図3に示すように、一対の保持板51を設置面(図示省略)上に設置すると、容器積層体Aは、一対の保持板51により設置面から離間した状態で保持される。
【0061】
次に、図1に基づいて、各容器Bに流体を供給したり、各容器Bから流体を排出するための、各容器Bに対する流路の接続形態について説明する。尚、各容器B内の内部空間Sにおいては、流体を上部から供給して下方側に向けて通流させて下部から排出する、あるいは、流体を下部から供給して上方側に向けて通流させて上部から排出するように、流体を上下方向に通流させるので、各流路は、各容器Bの内部空間Sの上端部又は下端部に接続される。
【0062】
原燃料ガス供給路20が脱硫前原燃料通流部15に接続され、脱硫部1と脱硫後原燃料通流部13とが、その脱硫後原燃料通流部13と改質部2とが、その改質部2と保温用通流部10とが、その保温用通流部10と上流側改質ガス通流部12とが、その上流側改質ガス通流部12と下流側改質ガス通流部14とが、1段目の変成部5と2段目の変成部5とが、2段目の変成部5と3段目の変成部5とが、3段目の変成部5と選択酸化部6とが、夫々、ガス処理流路27にて接続され、更に、その選択酸化部6と燃料電池Gの燃料ガス供給部とが燃料ガス供給路23にて接続されている。
【0063】
3段目の変成部5と選択酸化部6とを接続するガス処理流路27と改質用水供給路21とにわたって、原料水予熱用熱交換器16が設けられている。
又、脱硫部1と脱硫後原燃料通流部13とを接続するガス処理流路27には、脱硫原燃料ガスに水蒸気を混合させるためのエジェクタ17が設けられている。
【0064】
更に、3段目の変成部5と選択酸化部6を接続するガス処理流路27には、燃焼用空気ブロア33から選択酸化用空気が供給される選択酸化用空気供給路28が接続されて、変成部54にて変成処理された改質ガスに選択酸化用空気を混合させて選択酸化部6に供給するように構成されている。
【0065】
燃焼部4と加熱用排ガス通流部8とが、その加熱用排ガス通流部8と冷却用排ガス通流部11が、夫々、燃焼ガス流路29にて接続されて、燃焼部4から排出される燃焼ガスを、加熱用排ガス通流部8、冷却用排ガス通流部11の順に通流させて排出するように構成されている。
【0066】
前述の改質用水供給路21が、蒸発処理部9の下端に接続され、加熱用排ガス通流部8による加熱により蒸発処理部9にて生成された水蒸気を導く水蒸気流路30がエジェクタ17に接続されている。
【0067】
つまり、原燃料ガス供給路20を通して供給される原燃料ガスを脱硫部1にて脱硫処理し、その脱硫原燃料ガスに、蒸発処理部9にて生成されて水蒸気路30を通して供給される水蒸気をエジェクタ17にて混合させ、その水蒸気を混合させた脱硫原燃料ガスを改質部2にて改質処理し、その改質ガスを1段目、2段目、3段目の変成部5にて変成処理し、その変成処理した改質ガスを選択酸化部6にて選択酸化処理して、一酸化炭素濃度の低い水素含有ガスを生成し、その水素含有ガスを燃料ガスとして燃料ガス供給路23を通じて燃料電池Gに供給するように構成されている。
【0068】
次に、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6の夫々に対して設けられた細分化触媒除去構造Mについて説明を加える。
尚、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6夫々に設けられた細分化触媒除去構造Mは、同様の構成であるので、図5及び図6に、改質部2に設けられた細分化触媒除去構造Mを図示して、以下では、図5及び図6に基づいて、改質部2に設けられた細分化触媒除去構造Mを対象にして説明する。尚、図5は、左から2個目の容器B2(以下、単に容器B2と略記する場合がある)における改質部2を構成する部分の縦断右側面図であり、図6は、容器B2の縦断正面図である。
【0069】
図4にも示すように、容器B2については、左側の皿形状容器形成部材41の上端部分に、左側の内部空間S(燃焼部4の燃焼空間となる)の上端部分に連通する状態で、ガス流出口44が取り付けられ、右側の皿形状容器形成部材41の上端部分に、右側の内部空間S(改質部2の触媒収容空間Rとなる)の上端部分に連通する状態で、ガス流入口43が取り付けられ、右側の皿形状容器形成部材41の下端部分に、右側の内部空間Sの下端部分に連通する状態で、ガス流出口44が取り付けられている。
【0070】
脱硫後原燃料通流部13から送出された脱硫原燃料ガスを改質部2に受け入れるガス処理流路27が、容器B2における右側の皿形状容器形成部材41の上端部分のガス流入口43に接続され、改質部2で改質処理された改質ガスを保温用通流部10に送出するガス処理流路27が、容器B2における右側の皿形状容器形成部材41の下端部分のガス流出口44に接続される。
又、改質用バーナ3の燃焼ガスを燃焼部4から加熱用排ガス通流部8に送出する燃焼ガス流路29が、容器B2における左側の皿形状容器形成部材41の上端部分のガス流出口44に接続される。
【0071】
容器B2の右側の内部空間Sにて構成される改質部2用の触媒収容空間Rにおける上下方向の中間部の下方寄りで且つガス流出口44の接続部よりも上方の箇所に、仕切り網46が触媒収容空間Rを上下に区画するように設けられて、触媒収容空間Rが、上方側の触媒収容部分Raと下方側の細分化触媒収容部分Rbとに区画される。
仕切り網46は、細分化していない正常な粒状の触媒(改質部2の場合は改質触媒2c)は通過させず、細分化触媒(改質部2の場合は改質触媒2cの細分化触媒2s)を通過可能なものが用いられ、例えば、目開き(線と線の間の隙間の大きさ)0.4mmのSUS製の網が用いられる。
【0072】
そして、容器B2の左側の内部空間Sにて構成される触媒収容空間Rの触媒収容部分Raに、改質触媒2cが仕切り網46により受けられる状態で収容される。
【0073】
詳細な説明及び図示を省略するが、図1に示すように、左から5個目の容器B5の左側の内部空間Sにて構成される脱硫部1用の触媒収容空間R、左から6個目の容器B6の右側の内部空間S、左から7個目の容器B7の左側の内部空間S及び左から8個目の容器B7の左右の内部空間Sの夫々にて構成される変成部5用の触媒収容空間R、並びに、右端の容器B9の左側の内部空間Sにて構成される選択酸化部6用の触媒収容空間Rの夫々にも、同様に、仕切り網46が設けられて、各触媒収容空間Rが、上方側の触媒収容部分Raと下方側の細分化触媒収容部分Rbとに区画される。
【0074】
そして、脱硫部1用、変成部5用、選択酸化部6用の各触媒収容空間Rの触媒収容部分Raに、夫々、脱硫触媒1c、変成触媒5c、選択酸化触媒6cが仕切り網46により受けられる状態で収容される。
【0075】
図2にも示すように、バイブレータ50は、設置面から離間し且つ容器積層体Aの下端面に当て付けられた状態で、容器積層体Aに保持されることにより、容器積層体Aを振動させるように設けられる。
バイブレータ50は、周知であるので、詳細な説明および図示を省略して、簡単に説明すると、モーターの回転軸に重心を偏らせた状態で重りを取り付けて、回転軸を回転させることにより、振動を生じさせる構成である。
【0076】
そして、バイブレータ50を作動させると、容器積層体Aに加振されて容器積層体A全体が振動することになり、脱硫部1の触媒収容空間Rの脱硫触媒1c、改質部2の触媒収容空間Rの改質触媒2c、変成部5の触媒収容空間Rの変成触媒5c、及び、選択酸化部6の触媒収容空間Rの選択酸化触媒6cを振動させることができる。
【0077】
つまり、この実施形態では、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6の夫々に対して、細分化触媒除去構造Mがバイブレータ50を共有する状態で設けられることになる。
【0078】
次に、制御部Cの制御動作について説明する。
制御部Cは、運転開始が指令されると、改質部2を改質処理温度に維持するように、改質用バーナ3の燃焼量を調整すべくガス燃料流量調整弁38を制御すると共に、選択酸化部6を選択酸化処理温度に維持するように、冷却用ファン37の通風量を調節し、並びに、電力負荷に追従して燃料電池Cの出力電力を出力電力調整範囲で調整すべく、脱硫部1に供給される原燃料ガスの流量を通常流量調整範囲内で調整するように、原燃料ガス流量調整弁7を制御する通常運転を実行する。
制御部Cは、運転停止が指令されると、改質用バーナ3を消火させ、冷却用ファン37を停止させ、並びに、原燃料ガス流量調整弁7を閉じて、原燃料ガス供給路20からの原燃料ガスの供給を停止することにより、通常運転を終了する。
【0079】
次に、水素含有ガス生成装置の細分化触媒除去方法について説明する。
触媒収容空間Rの触媒収容部分Raから細分化触媒を除去する細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、原燃料ガス流量調整弁7を閉じて触媒収容空間Rへの処理対象ガスの供給を停止した状態で、バイブレータ50を作動させる細分化触媒除去運転を実行する。
通常運転が終了して、原燃料ガス流量調整弁7を閉じられると、脱硫部1の触媒収容空間Rへの処理対象ガスとしての原燃料ガスの供給が停止され、改質部2の触媒収容空間Rへの処理対象ガスとしての脱硫原燃料ガスの供給が停止され、変成部5の触媒収容空間Rへの処理対象ガスとしての改質ガスの供給が停止され、並びに、選択酸化部6の触媒収容空間Rへの処理対象ガスとしての変成処理後の改質ガスの供給が停止される。
そこで、細分化触媒除去運転は、通常運転の停止時に実行する。
【0080】
この実施形態では、触媒収容空間Rに供給される処理対象ガスの圧力が通常よりも高い所定の設定圧力以上になり、その状態がタイミング判定用の設定時間継続すると、細分化触媒除去タイミングになったと判定する。ちなみに、設定圧力としては、例えば、予め設定した通常時の圧力よりも30%程度高い圧力に設定される。
つまり、原燃料ガス供給圧検出器19により検出される原燃料ガスの圧力が設定圧力以上になり、その状態がタイミング判定用の設定時間継続すると、細分化触媒除去タイミングになったと判定する。
【0081】
この実施形態では、細分化触媒除去運転(細分化触媒除去方法)を制御部Cにより実行させるように構成され、以下、その制御動作を説明する。
制御部Cは、通常運転の実行中は、原燃料ガス供給圧検出器19により検出され原燃料ガスの圧力を監視し、その検出圧力が設定圧力以上になり、その状態がタイミング判定用の設定時間継続すると、次に、運転停止の指令に基づいて通常運転を終了したときに、改質部2の温度が細分化触媒除去運転開始用の設定温度(例えば、60℃)にまで低下するのを待って、バイブレータ50を作動させて細分化触媒除去運転を開始し、開始後、細分化触媒除去運転用の設定時間が経過すると、バイブレータ50を停止させて細分化触媒除去運転を終了する。ちなみに、細分化触媒除去運転用の設定時間としては、細分化触媒除去運転を実行することにより、触媒収容部分Raから細分化触媒を十分に除去することができる時間に設定する。
【0082】
細分化触媒除去運転が実行されると、図5(b)及び図6(b)に示すように、改質部2の触媒収容空間Rにおける触媒収容部分Raの改質触媒2cが振動させられるので、その改質触媒2c中に混ざっている改質触媒2cの細分化触媒2sが、仕切り網46を通過して細分化触媒収容部分Rbにふるい落とされる。
【0083】
図示を省略するが、脱硫部1の触媒収容空間Rにおける触媒収容部分Raの脱硫触媒1cも振動させられるので、その脱硫触媒1c中に混ざっている脱硫触媒1cの細分化触媒1sも、仕切り網46を通過して細分化触媒収容部分Rbにふるい落とされる。
又、変成部5の触媒収容空間Rにおける触媒収容部分Raの変成触媒5cも振動させられるので、その変成触媒5c中に混ざっている変成触媒5cの細分化触媒5sも、仕切り網46を通過して細分化触媒収容部分Rbにふるい落とされる。
又、選択酸化部6の触媒収容空間Rにおける触媒収容部分Raの選択酸化触媒6cも振動させられるので、その選択酸化触媒6c中に混ざっている選択酸化触媒6cの細分化触媒6sも、仕切り網46を通過して細分化触媒収容部分Rbにふるい落とされる。
【0084】
従って、脱硫部1の触媒収容空間Rを通流する原燃料ガスに偏流が生じるのを防止することができるので、時間経過に伴う脱硫処理能力の低下を抑制することができる。
又、改質部2の触媒収容空間Rを通流する脱硫原燃料ガスに偏流が生じるのを防止することができるので、時間経過に伴う改質処理能力の低下を抑制することができる。
又、変成部5の触媒収容空間Rを通流する改質ガスの偏流を抑制することができるので、時間経過に伴う変成処理能力の低下を抑制することができる。
更に、選択酸化部6の触媒収容空間Rを通流する変成処理後の改質ガスの偏流を抑制することができるので、時間経過に伴う選択酸化処理能力の低下を抑制することができる。
要するに、一酸化炭素ガス濃度が低い水素リッチな水素含有ガスを生成する水素含有ガス生成装置Pにおいて、時間経過に伴う水素含有ガス生成能力の低下を抑制することができる。
【0085】
〔別実施形態〕
(A)上述の水素含有ガス生成装置Pでは、原動機(電動モータ等)を備えた補機Hとして、反応用空気ブロア31、冷却水ポンプ32、燃焼用空気ブロア33、改質水ポンプ34等が設けられる。そして、これらのうち、水素含有ガス生成装置Pの停止中に作動させても、水素含有ガス生成装置Pに悪影響を与えないものを、容器積層体Aを振動させることが可能に設けて、その補機Hを加振手段として用いることができる。
例えば、改質用バーナ3に燃焼用空気を供給する燃焼用空気ブロア33(送風手段の一例)や、冷却水ポンプ32は、水素含有ガス生成装置Pの停止中に作動させても水素含有ガス生成装置Pに悪影響を与えない補機Hである。
そこで、図7に示すように、バイブレータ50に代えて、燃焼用空気ブロア33を、設置面から離間し且つ容器積層体Aの下端面に当て付けた状態で、容器積層体Aに保持することにより、容器積層体Aを振動させることが可能に設けると、燃焼用空気ブロア33を加振手段として用いることができる。
又、図示を省略するが、冷却水ポンプ32を、燃焼用空気ブロア33の場合と同様に容器積層体Aを振動させることが可能に設けると、冷却水ポンプ32を加振手段として用いることができる。
【0086】
(B)上記の実施形態では、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6夫々を各別の扁平状の容器Bを用いて構成すると共に、それら複数の容器Bを上述のように一体的に組み付けて、容器積層体Aを構成した。そして、加振手段(上記の実施形態ではバイブレータ50)を容器積層体Aを振動させるよう設けて、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6の全てに対して、細分化触媒除去構造Mを設ける場合について例示した。
これに代えて、加振手段を容器積層体Aを振動させるよう設ける場合でも、仕切り網46を脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6のうちの一部に設けることにより、細分化触媒除去構造Mを脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6のうちの一部に設けても良い。
【0087】
又、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6を夫々別体に設けて、それらの全て、あるいは、一部に細分化触媒除去構造Mを設けても良い。
【0088】
(C)改質部2及びその改質部2を加熱する燃焼部4の具体的な構成としては、上記の実施形態の如く、各別の扁平状の容器Bを用いて構成する場合に限定されるものではない。
例えば、外筒の内部に内筒を設けて、内筒内を燃焼空間として内筒を用いて燃焼部を形成し、内筒と外筒との間の空間を触媒収容空間Rとして、内筒と外筒とを用いて改質部2を形成する構成でも良い。
この場合は、改質用バーナ3を燃焼させて、触媒収容空間Rの改質触媒2cを改質処理温度に昇温させた状態では、外筒に比べて内筒が大きく膨張するので、触媒収容空間Rの容積が少なくなって、触媒収容空間Rの改質触媒2は持ち上げられる。
逆に、改質用バーナ3を消火させて、触媒収容空間Rの改質触媒2cを改質処理温度に昇温させる状態を停止すると、外筒に比べて内筒が大きく収縮するので、触媒収容空間Rの容積が増加して、触媒収容空間Rの改質触媒2は沈下する。
従って、この場合は、細分化触媒除去運転を、改質用バーナ3を燃焼させて、触媒収容空間Rの改質触媒2cを改質処理温度に昇温させた状態で実行するのが好ましい。
【0089】
(D)上記の実施形態では、通常運転の実行中に細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、次に運転停止の指令に基づいて通常運転を終了したときに、細分化触媒除去運転を実行したが、通常運転の実行中に細分化触媒除去タイミングになったと判定すると、通常運転を強制的に終了させて、細分化触媒除去運転を実行しても良い。
又、上記の実施形態では、細分化触媒除去運転を制御部Cに自動的に実行させるように構成したが、細分化触媒除去運転を手動操作により実行するように構成しても良い。
【0090】
(E)細分化触媒除去タイミングであると判定するための条件は、上記の実施形態で例示した条件、即ち、触媒収容空間Rに供給される処理対象ガスの圧力が設定圧力以上になって、しかも、その状態がタイミング判定用の設定時間継続する条件に限定されるものではない。
例えば、触媒収容空間Rに供給される処理対象ガスの圧力が設定圧力以上になる条件、通常運転の累積実行時間が所定の設定時間に達する条件、通常運転における脱硫部1への原燃料ガスの累積流量が所定の設定流量に達する条件、燃料電池Gの累積発電量が所定の設定発電量に達する条件等、種々の条件を適用することができる。
【0091】
(F)細分化触媒除去構造Mを設けた処理部D(上記の実施形態では、脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6)に対する処理対象ガスの給排形態は、上記の実施形態で例示した給排形態に限定されるものではない。
例えば、改質部2に対する処理対象ガスである脱硫原燃料ガスの給排形態は、上記の実施形態では、上方から供給して下方から排出させる形態としたが、逆に、下方から供給して上方から排出させる形態としても良いし、左右両側方の一方側から供給して他方側から排出させる形態としても良い。
【0092】
(G)選択除去処理用の処理部の具体的な例として、上記の実施形態では、改質ガス中の一酸化炭素ガスを選択酸化して除去する選択酸化部6(即ち、選択酸化処理用の処理部)を設けたが、これに代えて、触媒収容空間Rに選択メタン化触媒を収容して、改質ガス中の一酸化炭素ガスを選択的にメタン化して除去する選択メタン化処理用の処理部を設けても良い。
【0093】
(H)本発明に係る細分化触媒除去方法を適用可能なガス処理装置は、上記の実施形態で例示した水素含有ガス生成用のガス処理装置に限定されるものではない。
例えば、水素含有ガス生成用のガス処理装置に適用する場合でも、上記の実施形態のように脱硫部1、改質部2、変成部5及び選択酸化部6の全てを設けたものに限定されるものではなく、少なくとも改質部2を設けたものに適用することができる。
又、水素含有ガス生成用のガス処理装置の用途としては、上記の実施形態で例示した燃料電池用に限定されるものではなく、水素精製(濃縮)装置用等、種々の用途の水素含有ガス生成用のガス処理装置に適用することができる。
又、燃焼排ガスの処理用、臭気性排ガスの脱臭処理用等、種々の用途で用いるガス処理装置に適用することができる。
【0094】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、運転時間の経過に伴う処理能力の低下を抑制し得るガス処理装置用の細分化触媒除去方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 脱硫部(脱硫処理用の処理部)
1c 脱硫触媒(脱硫処理用の触媒)
1s 細分化触媒
2 改質部(改質処理用の処理部)
2c 改質触媒(改質処理用の触媒)
2s 細分化触媒
3 改質用バーナ
5 変成部(変成処理用の処理部)
5c 変成触媒(変成処理用の触媒)
5s 細分化触媒
6 選択酸化部(選択除去処理用の処理部)
6c 選択酸化触媒(選択除去処理用の触媒)
6s 細分化触媒
33 燃焼用空気ブロア(送風手段)
46 仕切り網(仕切り体)
50 バイブレータ(加振手段)
A 容器積層体
B 容器
D 処理部
H 補機
M 細分化触媒除去構造
R 触媒収容空間
Ra 触媒収容部分
Rb 細分化触媒収容部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7