(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本実施の形態では、在室時間管理システムを説明する。
本実施の形態に係る在室時間管理システムは、イベントを累積した通行履歴を用いて、在室時間を管理する。
そして、在室時間管理システムは、イベントの内容が入室であった場合に、当該イベントに記録されるカードID情報と同じカードIDを持つ入室時刻のイベントを検索し、当該カードIDと同じ退室時刻を持つイベントを生成し、通行履歴に記録する。
また、在室時間管理システムは、エリアの分類とカードID所有者の職務を管理し、APBを有するエリアの分類とカードID所有者の職務から平均在室時間を求め、通行履歴を検索し、入場時刻と平均在室時間から退室時刻を算出し、通行履歴に記録する。
更に、在室時間管理システムは、エリアの分類とカードID所有者の個々の在室時間を管理し、カードID所有者間の日々の在室時間の変動を比較し、相関係数を算出し、あるカードID所有者の通行履歴上の退室時刻を算出する際に、最大の相関係数を持つカードID所有者の在室時間から、当該退室時刻を求める。
また、在室時間管理システムは、平均在室時間を求める際に、最小の在室時間、最大の在室時間を除いて平均在室時間を求める。
【0010】
なお、以下では、企業のビルの部屋についての入退室管理を例にして説明を行うため、部屋に入場することを「入室」といい、部屋から退場することを「退室」という。
また、部屋に滞在することを「在室」という。
しかし、本実施の形態に係る在室時間管理システムは、部屋に限定されないエリアへの入退場に適用可能である。
このため、「入室」は「入場」の一例であり、「退室」は「退場」の一例であり、「在室」は「滞在」の一例である。
同様に、「入室イベント」、「退室イベント」、「在室時間」等は、「入場イベント」、「退場イベント」、「滞在時間」等の一例である。
【0011】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。
在室時間管理システム00は、ビル1及びビル2の入退室管理を行う。
ビル1は、APBを非使用である。
つまり、ビル1には入室側にのみカードリーダが設けられている。
ビル2は、APBを使用している。
つまり、ビル2には入室側と退室側の両方にカードリーダが設けられている。
在室時間管理システム00は、情報処理装置の例に相当する。
【0012】
図2は、在室時間管理システム00の機能構成例を示す。
【0013】
入室イベント連携退室時刻補完部01は、カードリーダから入室イベント情報を受信し、入室イベントに基づいて退室時刻を補完する。
入室イベント連携退室時刻補完部01の動作の詳細は後述する。
なお、入室イベント連携退室時刻補完部01は、入場イベント情報受信部及び退場イベント情報生成部の例に相当する。
【0014】
入室イベント情報及び退室イベント情報を総称してイベント情報という。
図14は、イベント情報の例を示す。
図14において、入退室分類は、イベントの種類を表し、入室は入室イベントを示し、退室は退室イベントを示す。
つまり、入退室分類に入室が記述されたイベント情報が入室イベント情報であり、入退室分類に退室が記述されたイベント情報が退室イベント情報である。
時刻は、入室イベント又は退室イベントが発生した時刻(ユーザが入室又は退室した時刻)である。
ビル名は、入室イベント又は退室イベントが発生したビル(ユーザが入室又は退室したビル)の名称(識別子)である。
エリア名は、入室イベント又は退室イベントが発生したエリア(ユーザが入室又は退室した部屋)の名称(識別子)である。
個人名は、入室イベント又は退室イベントを発生させたユーザ(入室又は退室を行ったユーザ)の名称(識別子)である。
なお、入室イベント情報は、入場イベント情報の例である。
【0015】
エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02は、エリアと職務の分類ごとに平均在室時間を算出し、退室時刻を補完する。
エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02の詳細は後述する。
【0016】
在室時間相関算出部03は、個人毎の在室時間を算出する。
在室時間相関算出部03の動作の詳細は後述する。
なお、在室時間相関算出部03は、相関係数算出部、平均滞在時間取得部、退場イベント情報生成部、滞在時間算出部の例に相当する。
【0017】
部分平均算出部04は、エリア・職務分類毎平均時間を算出する際に、最小および最大の在室時間を除いて平均時間を算出する。
部分平均算出部04の動作の詳細は後述する。
なお、部分平均算出部04は、平均滞在時間取得部、退場イベント情報生成部、滞在時間算出部の例に相当する。
【0018】
在室時間表示部05は、在室時間管理テーブルをエリア毎、個人毎にソートして表示する。
在室時間表示部05の動作の詳細は後述する。
在室時間表示部05は、滞在時間表示部の例に相当する。
【0019】
イベントID管理配列11は、イベントを識別する番号であるイベントIDを管理するカウンタである。
イベントID管理配列11には、現在のイベントIDが示される。
図15は、イベントID管理配列11の例を示す。
図15では、ビル1とビル2で個別にイベントIDを管理している。
【0020】
DB06は、通行履歴管理テーブル10、エリア・カードリーダ管理テーブル12、職務管理テーブル13、在室時間管理テーブル14、APB設定エリア平均在室時間テーブル15、相関係数テーブル16を記憶する情報記憶領域である。
DB06は、イベント情報記憶部及び平均滞在時間情報記憶部の例に相当する。
【0021】
通行履歴管理テーブル10は、ビル1及びビル2に備えられる入室イベント情報あるいは退室イベント情報の内容とイベントIDとを記録する。
図3は、通行履歴管理テーブル10の例を示す。
図3において、ビル名、時刻、エリア名、個人名、入退室分類は、
図14のイベント情報に記述されている内容である。
イベントIDは、
図15のイベントID管理配列11で管理されているイベントIDをインクリメントして得られる値である。
入退室分類に「入室」が記述されているレコードを入室レコードといい、入退室分類に「退室」が記述されているレコードを退室レコードという。
【0022】
エリア・カードリーダ管理テーブル12は、ビル毎にエリアを設定するとともに、エリアの分類と、エリアで使用されているカードリーダを定義する。
図4は、エリア・カードリーダ管理テーブル12の例を示す。
図4に示すように、ビル1には、エリアX、Y、Zが存在し、エリアXは居室(オフィス)であり、エリアYは実験室であり、エリアZはビル敷地である。
つまり、エリアZはビル1の敷地全体に相当し、エリアX、Yは、それぞれビル1の内部の部屋である。
また、エリアXには入室カードリーダX1が設置されており、エリアYには入室カードリーダY1が設置されており、エリアZには入室カードリーダZ1が設置されている。
ユーザは、ビル1の敷地に入るために入室カードリーダZ1でカード認証を受ける。
そして、エリアXに入るために入室カードリーダX1でカード認証を受け、エリアYに入るために入室カードリーダY1でカード認証を受ける。
ビル2についても同様である。
但し、ビル2はAPBを使用しているため、退室カードリーダXX2、YY2、ZZ2と備えている。
【0023】
職務管理テーブル13は、ユーザ個人毎に職務を管理する。
図5は、職務管理テーブル13の例を示す。
図5に示すように、職務管理テーブル13には、ユーザ毎に、利用するビルの名称と、ユーザの職務とが示される。
【0024】
在室時間管理テーブル14は、個人の日毎の在室時間を履歴として管理する。
図6は、在室時間管理テーブル14の例を示す。
図6に示すように、在室時間管理テーブル14には、ユーザ個人及び日付毎に、ユーザが滞在したエリア(部屋)と、在室時間とが示される。
【0025】
APB設定エリア平均在室時間テーブル15は、APBが設定されているAPB設定エリアでの平均在室時間が示される。
図7は、APB設定エリア平均在室時間テーブル15の例を示す。
図7に示すように、APB設定エリア平均在室時間テーブル15には、エリア分類と職務の組合せごとに、平均在室時間が示される。
APB設定エリア平均在室時間テーブル15は、平均滞在時間情報の例に相当する。
【0026】
相関係数テーブル16は、個人間の日毎の在室時間の相関を管理する。
図8は、相関係数テーブル16の例を示す。
図8に示すように、相関係数テーブル16には、APB非設定エリアを利用する個人とAPB設定エリアを利用する個人との間の相関が示される。
APB非設定エリアはAPBが設定されていないエリアであり、本実施の形態ではビル1である。
APB設定エリアはAPBが設定されているエリアであり、本実施の形態ではビル2である。
【0027】
***動作の説明***
まず、在室時間管理システム00の動作を概説し、次に、入室イベント連携退室時刻補完部01、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02、在室時間相関算出部03、部分平均算出部04、在室時間表示部05の動作の詳細を説明する。
なお、以下に示す手順は、本願の情報処理方法及び情報処理プログラムの例に相当する。
【0028】
在室時間管理システム00は、ビル1に備えられたカードリーダからイベント情報101を受け取ると、入室イベント連携退室時刻補完部01において、当該イベント情報101の内容とイベントIDが含まれるレコードを生成し、通行履歴管理テーブル10に追加する。
在室時間管理システム00は、オペレータにより、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02を起動された場合、在室時間相関算出部03を呼び出す。
在室時間相関算出部03において、個人毎の日々の在室時間の相関を算出した結果、強い相関のある関係が求められなかった場合、部分平均算出部04を呼び出す。
部分平均算出部04は、在室時間管理テーブル14を参照する。
この際、エリア毎、職務毎に、最小の在室時間のデータと最大の在室時間のデータを除き、算術平均を求めることにより、APB設定エリア平均在室時間テーブル15を作成する。
在室時間管理システム00は、通行履歴管理テーブル10を参照し、エリア毎、個人毎に、対応する退室レコードのない入室レコードを抽出し、APB設定エリア平均在室時間テーブル15を参照し、入室時刻+平均在室時間から退室時刻を算出し、退室レコードを通行履歴管理テーブル10に記録する。
部分平均算出部04は、エリア毎、個人毎に(退室時刻)−(入室時刻)により在室時間を算出し、在室時間管理テーブル14に記録する。
在室時間相関算出部03は、在室時間管理テーブル14を参照し、APB非設定エリアを利用するエリアの個人毎に、APB設定エリアを利用する個人の在室時間との相関係数を求め、相関係数テーブル16を作成する。
在室時間相関算出部03は、通行履歴管理テーブル10を参照し、エリア毎、個人毎に、対応する退室レコードのない入室レコードを抽出する。
在室時間相関算出部03は、相関係数テーブル16を参照し、APB非設定エリアを利用する個人と、APB設定エリアを利用する個人の内で、最も相関の強い個人を抽出し、そのエリア毎の平均在室時間から、APB非設定エリアを利用する個人の退室時刻を算出し、在室時間管理テーブル14に記録する。
在室時間管理システム00は、オペレータにより、在室時間表示部05を起動することができる。
在室時間表示部05は、在室時間管理テーブル14を参照し、オペレータにエリア毎、個人毎の在室時間を示す。
【0029】
入室イベント連携退室時刻補完部01の動作例
入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベント情報101を受信する。
ビル1には、入室カードリーダのみが配置されているので、入室イベント連携退室時刻補完部01は、入室イベント情報のみを受信する(入場イベント情報受信ステップ)。
ビル2には、入室カードリーダと退室カードリーダが配置されているので、入室イベント連携退室時刻補完部01は、入室イベント情報と退室イベント情報を受信する。
入室イベント連携退室時刻補完部01は、ビル1のカードリーダから入室イベント情報を受信した場合に、DB06の通行履歴管理テーブル10から、受信した入室イベント情報に記述されている個人名と共通する個人名が記述されている入室レコードのうち、最後に通行履歴管理テーブル10に追加された入室レコードを抽出する(退場イベント情報生成ステップ)。
また、入室イベント連携退室時刻補完部01は、抽出した入室レコードに記述されている個人名とエリア名と受信した入室イベント情報に記述されている時刻とを用いて、当該個人名で識別されるユーザが当該エリア名で識別されるエリアから当該時刻に退場した旨が示される退室レコード(退室イベント情報)を生成する(退場イベント情報生成ステップ)。
また、入室イベント連携退室時刻補完部01は、受信したイベント情報101の内容とイベントIDが含まれる入室レコードを生成し、退室レコードとともに通行履歴管理テーブル10に追加する(イベント情報格納ステップ)。
【0030】
図9は、入室イベント連携退室時刻補完部01の動作例を示すフローチャート図である。
なお、入室イベント連携退室時刻補完部01はビル2から退室イベント情報を受信し、退室イベント情報を通行履歴管理テーブル10に登録する動作も行うが、
図9では、ビル1から入室イベント情報を受信した場合の動作に絞ったフローが記述されている。
【0031】
図9において、入室イベント連携退室時刻補完部01は、ビル1に備えられたカードリーダからイベント情報101を取得した場合、当該イベント情報101を保持する(S001)。
ここでは、
図14の内容が記述されるイベント情報101を取得したとする。
【0032】
次に、入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベント情報101の入退室分類を参照し、入室あるいは退室イベントを判定する(S002)。
この場合は、「入室」であるため、入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベント情報101の個人名を参照し、「A」を取得する。
なお、「退室」である場合は、入室イベント連携退室時刻補完部01は、退室イベント情報を通行履歴管理テーブル10に登録する。
なお、前述のように、
図9では、入退室分類が「退室」の場合の処理は図示を省略している。
【0033】
次に、入室イベント連携退室時刻補完部01は、通行履歴管理テーブル10を検索し、個人名の欄に「A」が記述されているレコードの内、最後に通行履歴管理テーブル10に追加されたレコード(イベントID:100002のレコード)を取得する(S003)。
【0034】
当該レコードの入退室分類を参照し、「入室」あるか「退室」であるかを判定し、「入室」である場合は、エリア名で特定されるエリアがビル敷地以外であるかを判定する(S004)。
【0035】
イベントID:100002のレコードは、入退室分類が「入室」であり、また、エリア名が「X」であるため、ビル敷地以外である。
このため、入室イベント連携退室時刻補完部01は、退室レコードを補完して、通行履歴管理テーブル10に記録する(S005)。
具体的には、入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベントID:100002のレコードをコピーし、コピーしたイベントID:100002のレコード内の時刻の値を新たに受信したイベント情報101の時刻の値に変更する。
また、コピーしたイベントID:100002のレコード内の入退室分類を退室に変更する。
更に、入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベントID管理配列11からイベントID:10002を取得し、インクリメントし、イベントID:100003を得て、イベントID管理配列11にセットする。
また、コピーしたイベント:ID100002のイベントIDをイベントID:10003に置換する。
この結果、「ビル1、100003、2014/10/13 13:00、X、A、退室」という退室イベントを示す退室レコードが生成される。
入室イベント連携退室時刻補完部01は、この退室レコードを通行履歴管理テーブル10に追加する。
【0036】
更に、入室イベント連携退室時刻補完部01は、保持していたイベント情報101(新たなイベント情報101)に対応する入室レコードを、通行履歴管理テーブル10に追加する(S006)。
具体的には、入室イベント連携退室時刻補完部01は、S001で保持したイベント情報101に対して、イベントID管理配列11からイベントID:10003を取得し、インクリメントし、イベントID:10004を得て、イベントID管理配列11にセットする。
また、入室イベント連携退室時刻補完部01は、イベント情報101とイベントID:10004とを用いて、新たな入室レコードを生成する。
ここで生成される入室レコードには、「ビル1、100004、2014/10/13 13:00、Y、A、入室」が記述される。
そして、入室イベント連携退室時刻補完部01は、この入室レコードを通行履歴管理テーブル10に追加する。
【0037】
エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02の動作
図10は、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02の動作例を示すフローチャート図である。
図10のフローは、例えば、就業日ごとに、就業時間後に行われる。
図10において、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02は、在室時間相関算出部03を呼び出す(S101)。
呼び出した結果、正常終了であるかを判定する(S102)。
呼び出した結果、異常終了である場合は、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02は、部分平均算出部04を呼び出す(S103)。
なお、正常終了とは、入室イベント情報に記述されている個人(APB設定エリアを利用する個人)とAPB設定エリアを利用する個人との間の相関係数が閾値よりも大きい場合である。
一方、異常終了とは、入室イベント情報に記述されている個人(APB設定エリアを利用する個人)とAPB設定エリアを利用する個人との間の相関係数が閾値よりも大きくない場合である。
【0038】
在室時間相関算出部03の動作
在室時間相関算出部03は、APB非設定エリアであるビル1及びビル1内の部屋への入退室を行うユーザ(非設定エリアユーザともいう)と、APB設定エリアであるビル2及びビル2内の部屋への入退室を行うユーザ(設定エリアユーザともいう)との間の、在室時間に関する相関係数を算出する。
また、在室時間相関算出部03は、通行履歴管理テーブル10から、個人名及びエリア名が共通する退室レコードが生成されていない入室レコードを抽出する。
そして、抽出した入室レコードに記述されている個人名で識別される非設定エリアユーザとの相関係数が閾値以上である設定エリアユーザのAPB設定エリアでの平均在室時間(平均滞在時間)を取得する。
また、在室時間相関算出部03は、抽出した入室レコードに記述されている時刻に、取得した平均在室時間を加算する。
更に、在室時間相関算出部03は、加算後の時刻と、抽出した入室レコードに記述されている個人名とエリア名とを用いて、当該個人名で識別される非設定エリアユーザが当該エリア名で識別されるAPB非設定エリアから加算後の時刻に退室した旨が示される退室レコード(退場イベント情報)を生成する。
そして、在室時間相関算出部03は、生成した退室レコードを通行履歴管理テーブル10に追加する。
【0039】
図11は、在室時間相関算出部03の動作例を示すフローチャート図である。
【0040】
図11において、在室時間相関算出部03は、職務管理テーブル13とエリア・カードリーダ管理テーブル12を結合し、個人がAPB非設定エリアを利用しているかどうかを判定する(S201)。
なお、APB非設定エリアかどうかは、エリア・カードリーダ管理テーブル12上のカードリーダ列において、退室カードリーダが登録されているかどうかにより判定する。
【0041】
次に、在室時間相関算出部03は、APB非設定エリアを利用する個人(A、B)と、APB設定エリアを利用する個人(C、D、E、F、G)について、在室時間管理テーブル14を参照し、日毎のエリア分類=ビル敷地の在室時間の推移に関して相関係数を計算し、相関係数テーブル16を作成する(S202)。
相関係数の計算方法は問わない。
【0042】
次に、在室時間相関算出部03は、通行履歴管理テーブル10を参照し、エリア毎、個人毎に退室レコードのない入室レコードを抽出する(S203)。
図3の例では、イベントID:10001の入室レコードを抽出する。
【0043】
次に、在室時間相関算出部03は、S203で抽出した入室レコードから個人名を抽出し、相関係数テーブル16を参照し、抽出された個人名と最も相関が強く、APB設定エリアを利用する個人を抽出する(S204)。
つまり、在室時間相関算出部03は、イベントID:10001の入室レコードの個人名を参照し、「A」を抽出する。
また、相関係数テーブル16(
図8)を参照し、「A」との相関が強く、APB設定エリアを利用する個人「C」を抽出する。
【0044】
次に、在室時間相関算出部03は、相関係数が強い相関を示すかどうかを判定する(S205)。
つまり、個人「A」と個人「C」との間の相関係数0.5が閾値(0.7)よりも大きいか否かを判定する。
相関係数が閾値よりも大きい場合(強い相関を示す場合)は、S206の処理が行われる。
一方、相関係数が閾値よりも大きくない場合は、異常終了となる。
ここでは、強い相関を示さないため、異常終了となり、在室時間相関算出部03の処理は終了する。
【0045】
強い相関を示す場合には、S204で抽出した個人の平均在室時間を求め、通行履歴管理テーブル10上で、(入室時刻)+(平均在室時間)から退室時刻を算出し、通行履歴管理テーブル10に加える(S206)。
つまり、在室時間管理テーブル14を参照し、個人「C」及びエリア「ZZZ」の組合せについて、最小の在室時間のデータと最大の在室時間のデータを除き、算術平均を求めて、平均在室時間とする。
そして、算出した平均在室時間を、
図1のイベントID:10001の入室レコードに記述される時刻に加算して退室時刻を求める。
そして、算出した退室時刻を用いて、
図1のイベントID:10001の入室レコードに対応する退室レコードを生成し、生成した退室レコードを通行履歴管理テーブル10に追加する。
【0046】
次に、在室時間相関算出部03は、通行履歴管理テーブル10から、エリア毎、個人毎に(退室時刻)−(入室時刻)により在室時間を算出し、在室時間管理テーブル14に記録(S207)し、正常終了する。
つまり、在室時間相関算出部03は、入室レコードに記述されている時刻と、当該入室レコードと共通する個人名とエリア名とが記述されている退室レコードに記述されている時刻との差を、在室時間として算出する。
そして、在室時間管理テーブル14内の対応するレコードに在室時間を追加する。
具体的には、入室レコードの時刻の日付と同じ日付に対応し、入室レコードに記述されている個人名及びエリア名に対応するレコードに在室時間を追加する。
【0047】
部分平均算出部04の動作
部分平均算出部04は、在室時間管理テーブル14を参照し、APB設定エリア平均在室時間テーブル15を生成する。
APB設定エリア平均在室時間テーブル15には、
図7に示すように、APB設定エリアでのユーザの平均在室時間が、APB設定エリアのエリア属性であるエリア分類(居室、実験室、ビル敷地)とユーザ属性である職務(研究職、事務職)との組合せごとに記述される。
【0048】
部分平均算出部04は、通行履歴管理テーブル10から、個人名及びエリア名が共通する退室レコードが生成されていない入室レコードを抽出する。
そして、抽出した入室レコードに記述されている個人名で識別される非設定エリアユーザのユーザ属性と、抽出した入室レコードに記述されているエリア名で識別されるAPB非設定エリアのエリア属性とを判定する。
更に、判定したユーザ属性とエリア属性との組合せと同じ組合せに対する平均在室時間をAPB設定エリア平均在室時間テーブル15から取得する。
【0049】
部分平均算出部04は、通行履歴管理テーブル10から抽出した入室レコードに記述されている時刻に、APB設定エリア平均在室時間テーブル15から抽出した平均在室時間を加算する。
そして、加算後の時刻と、抽出した入室レコードに記述されている個人名とエリア名とを用いて、退室レコードを生成する。
この退室レコードには、非設定エリアユーザがAPB非設定エリアから、加算後の時刻に退場した旨が示される。
そして、部分平均算出部04は、生成した退室レコードを通行履歴管理テーブル10に追加する。
【0050】
図12は、部分平均算出部04の動作例を示すフローチャート図である。
【0051】
図12において、部分平均算出部04は、在室時間管理テーブル14を参照し、エリア毎、職務毎に、最小の在室時間(最短滞在時間)のデータと最大の在室時間(最長滞在時間)のデータを除き、算術平均を求め、APB設定エリア平均在室時間テーブル15を作成する(S301)。
つまり、部分平均算出部04は、在室時間管理テーブル14に示されている個人ごとに、職務管理テーブル13(
図5)に基づき職務を判断し、また、在室時間管理テーブル14に示されているエリアごとに、エリア・カードリーダ管理テーブル12(
図4)に基づきエリア分類を判断する。
そして、職務及びエリア分類の組合せ毎に、最小の在室時間のデータと最大の在室時間のデータを除き、算術平均を求め、
図7のAPB設定エリア平均在室時間テーブル15を作成する。
【0052】
次に、部分平均算出部04は、通行履歴管理テーブル10を参照し、エリア毎、個人毎に退室レコードのない入室レコードを抽出し、APB設定エリア平均在室時間テーブル15を参照し、入室時刻+平均在室時間から退室時刻を算出し、退室レコードを通行履歴管理テーブル10に記録する(S302)。
ここで、
図3の通行履歴管理テーブル10に、S006で生成されたイベントID:10004の入室レコードが記録されており、この入室レコードには対応する退室レコードが存在しないとする。
例えば、ユーザAがエリアYからエリアXに入室することなく、ビル1敷地から退出した場合には、イベントID:10004の入室レコードには退室レコードが生成されない。
また、また、ビル1には敷地の退出口にも退室カードリーダが存在しないので、イベントID:10001の入室レコードにも対応する退室レコードは生成されない。
部分平均算出部04は、通行履歴管理テーブル10から、イベントID:10001の入室レコードとイベントID:10004の入室レコードを抽出する。
そして、より新しいレコードであるイベントID:10004の入室レコードに対応して、イベントID管理配列11からイベントID:10004を取得し、インクリメントし、イベントID:10005を得て、イベントID管理配列11にセットする。
更に、部分平均算出部04は、イベントID:10004の入室レコードの個人「A」の職務「研究職」を、職務管理テーブル13(
図5)から判断し、エリア「Y」のエリア分類「実験室」を、エリア・カードリーダ管理テーブル12(
図4)から判断する。
そして、職務「研究職」とエリア分類「実験室」との組み合わせに対する平均在室時間をAPB設定エリア平均在室時間テーブル15から抽出する。
ここでは、「5時間」という平均在室時間を抽出する。
そして、部分平均算出部04は、抽出した平均在室時間を、イベントID:10004の入室レコードの時刻に加算し、加算後の時刻と個人「A」とエリア「Y」と、イベントID「10005」が記述される退室レコードを生成し、生成した退室レコードを通行履歴管理テーブル10に記録する。
ここでは、「ビル1、10005、2014/10/13 18:00、Y、A、退室」という退室レコードが生成、記録される。
また、部分平均算出部04は、イベントID:10001に対応して、イベントID管理配列11からイベントID10005を取得し、インクリメントし、イベントID10006を得て、イベントID管理配列11にセットする。
イベントID:10004の入室レコードと同様の手順にて、イベントID:10001の入室レコードに対して平均在室時間を抽出する。
ここでは、「9時間」という平均在室時間を抽出する。
そして、抽出した平均在室時間を、イベントID:10001の入室レコードの時刻に加算し、加算後の時刻と個人「A」とエリア「Z」と、イベントID「10006」が記述される退室レコードを生成し、生成した退室レコードを通行履歴管理テーブル10に記録する。
ここでは、「ビル1、10006、2014/10/13 17:30、Z、A、退室」という退室レコードが生成、記録される。
【0053】
次に、部分平均算出部04は、通行履歴管理テーブル10から、エリア毎、個人毎に(退室時刻)−(入室時刻)により在室時間を算出し、在室時間管理テーブル14に記録する(S303)。
【0054】
なお、以上の説明では、部分平均算出部04が利用するエリア属性がエリア分類(居室、実験室、ビル敷地)であり、ユーザ属性が職務(研究職、事務職)である例を示した。
エリア属性は、このようなエリア分類に限らず、例えば、1F、2Fといった階数でもよいし、営業部が管轄するエリア、開発部が管轄するエリアといった部署単位の分類でもよい。
また、ユーザ属性は、担当者、課長、部長といった役職でもよいし、20代、30代、40代といった年齢層でもよい。
また、複数のエリア属性、複数のユーザ属性を組み合わせてもよい。
【0055】
在室時間表示部05の動作
在室時間表示部05は、在室時間相関算出部03又は部分平均算出部04により算出された在室時間を、個人名及びエリア名の組合せ毎にソートし、ソート結果を表示する。
【0056】
図13は、在室時間表示部05の動作例を示すフローチャート図である。
【0057】
図13において、在室時間表示部05は、在室時間管理テーブル14を読み込み、メモリに展開する(S401)。
メモリ上で、エリア毎、個人毎にソートし、在室時間を表示する(S402)。
【0058】
***効果の説明***
以上、本実施の形態によれば、通行履歴から退室時刻を補完することができ、APBを使用せずに、在室時間管理を行うことができる。
【0059】
***ハードウェア構成の説明。
最後に、在室時間管理システム00のハードウェア構成例を
図16を参照して説明する。
在室時間管理システム00はコンピュータである。
在室時間管理システム00は、プロセッサ901、補助記憶装置902、メモリ903、通信装置904、入力インタフェース905、ディスプレイインタフェース906といったハードウェアを備える。
プロセッサ901は、信号線910を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
入力インタフェース905は、入力装置907に接続されている。
ディスプレイインタフェース906は、ディスプレイ908に接続されている。
【0060】
プロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
補助記憶装置902は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)である。
メモリ903は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
通信装置904は、データを受信するレシーバー9041及びデータを送信するトランスミッター9042を含む。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
入力インタフェース905は、入力装置907のケーブル911が接続されるポートである。
入力インタフェース905は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子である。
ディスプレイインタフェース906は、ディスプレイ908のケーブル912が接続されるポートである。
ディスプレイインタフェース906は、例えば、USB端子又はHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。
入力装置907は、例えば、マウス、キーボード又はタッチパネルである。
ディスプレイ908は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0061】
補助記憶装置902には、
図2に示す入室イベント連携退室時刻補完部01、エリア・職務分類毎平均時刻算出連携退室時刻補完部02、在室時間相関算出部03、部分平均算出部04、在室時間表示部05(これらをまとめて「部」と表記する)の機能を実現するプログラムが記憶されている。
このプログラムは、メモリ903にロードされ、プロセッサ901に読み込まれ、プロセッサ901によって実行される。
更に、補助記憶装置902には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がメモリ903にロードされ、プロセッサ901はOSを実行しながら、「部」の機能を実現するプログラムを実行する。
図16では、1つのプロセッサ901が図示されているが、在室時間管理システム00が複数のプロセッサ901を備えていてもよい。
そして、複数のプロセッサ901が「部」の機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
また、「部」の処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値が、メモリ903、補助記憶装置902、又は、プロセッサ901内のレジスタ又はキャッシュメモリに記憶される。
【0062】
また、「部」を「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」に読み替えてもよい。
「回路」は、プロセッサ901だけでなく、ロジックIC又はGA(Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)といった他の種類の処理回路をも包含する概念である。