(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一辺と前記第三辺とがなす角部と前記第二辺と前記第三辺とがなす角部とには、前記第一主面と前記第二主面とが対向している前記方向から見てそれぞれの前記角部に沿うように延びている窪みが形成されている、請求項1に記載の光検出装置。
前記半導体基板の前記第一主面側に配置されていると共に前記半導体基板と電気的に接続されている第三電極と、前記搭載基板の前記第三主面側に配置されている第四電極とが、前記第一主面と前記第二主面とが対向している前記方向から見て前記第三辺を跨るように延びている第二ワイヤを介して接続されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光検出装置。
前記半導体基板は、前記第一主面と前記第二主面とが対向している前記方向から見て、他方の前記第一辺と他方の前記第二辺とを接続し、かつ、前記他方の第一辺と前記他方の第二辺とに交差する一方向に延びている第四辺を更に有する多角形状を呈し、
前記半導体基板の前記第一主面側に配置されていると共に前記半導体基板と電気的に接続されている第三電極と、前記搭載基板の前記第三主面側に配置されている第四電極とが、前記第一主面と前記第二主面とが対向している前記方向から見て前記第四辺を跨るように延びている第二ワイヤを介して接続されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光検出装置。
前記第一辺と前記第四辺とがなす角部と前記第二辺と前記第四辺とがなす角部とには、前記第一主面と前記第二主面とが対向している前記方向から見てそれぞれの前記角部に沿うように延びている窪みが形成されている、請求項6に記載の光検出装置。
前記フォトダイオードアレイは、ガイガーモードで動作すると共に前記半導体基板内に形成された複数のアバランシェフォトダイオードと、それぞれの前記アバランシェフォトダイオードに対して直列に接続されると共に前記半導体基板の第一主面側に配置されたクエンチング抵抗と、前記クエンチング抵抗が並列に接続されると共に前記半導体基板の前記第一主面側に配置された信号線と、を含み、
前記信号線は、前記第一電極に接続されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
図1〜
図6を参照して、本実施形態に係る光検出装置1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る光検出装置を示す概略斜視図である。
図2は、半導体光検出素子の配列を説明するための図である。
図3は、本実施形態に係る光検出装置の断面構成を説明するための図である。
図4は、半導体光検出素子の概略平面図である。
図5は、第三辺周辺における半導体光検出素子の構成を示す図である。
図6は、光検出装置の回路図である。
【0025】
光検出装置1は、
図1〜
図3に示されるように、複数の半導体光検出素子10、搭載基板20、及び複数のシンチレータ30を備えている。複数の半導体光検出素子10は、搭載基板20に対向配置されている。複数の半導体光検出素子10は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂など)11によりモールドされている。本実施形態では、光検出装置1は、「16」の半導体光検出素子10と、「16」のシンチレータ30とを備えている。
【0026】
各半導体光検出素子10は、一つのフォトダイオードアレイPDAを有している。半導体光検出素子10は、平面視で矩形状を呈する半導体基板1Nを有している。半導体基板1Nは、互いに対向する主面1Naと主面1Nbとを含んでいる。半導体基板1Nは、Siからなる、N型(第一導電型)の半導体基板である。
【0027】
半導体基板1Nは、対向方向から見て、多角形状を呈している。本実施形態では、半導体基板1Nは、対向方向から見て、五角形状を呈している。すなわち、半導体基板1Nは、対向方向から見たときの外縁として、
図4に示されるように、一対の第一辺1N1と、一対の第二辺1N2と、一つの第三辺1N3とを有している。
【0028】
一対の第一辺1N1は、互いに対向しており、平行である。一対の第二辺1N2は、互いに対向しており、平行である。第三辺1N3は、一方の第一辺1N1と一方の第二辺1N2とを接続し、かつ、一方の第一辺1N1と一方の第二辺1N2とに交差する一方向に延びている。すなわち、第三辺1N3は、一方の第一辺1N1と一方の第二辺1N2との間に位置している。
【0029】
一方の第一辺1N1の一端と第三辺1N3の一端とが接続されている。第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角は、たとえば135°である。一方の第二辺1N2の一端と第三辺1N3の他端とが接続されている。第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角は、たとえば135°である。一方の第一辺1N1の他端と他方の第二辺1N2の一端とが接続されている。一方の第二辺1N2の他端と他方の第一辺1N1の一端とが接続されている。他方の第一辺1N1の他端と他方の第二辺1N2の他端とが接続されている。本実施形態では、第一辺1N1と第二辺1N2とは、直交している。
【0030】
第三辺1N3の長さは、第一辺1N1及び第二辺1N2の各長さよりも短い。一方の第一辺1N1の長さは、他方の第一辺1N1の長さよりも短い。一方の第二辺1N2の長さは、他方の第二辺1N2の長さよりも短い。本実施形態では、一方の第一辺1N1の長さと一方の第二辺1N2の長さとは同等であり、他方の第一辺1N1の長さと他方の第二辺1N2の長さとは同等である。
【0031】
フォトダイオードアレイPDAは、半導体基板1Nに形成された複数のアバランシェフォトダイオードAPDを含んでいる。一つのアバランシェフォトダイオードAPDは、フォトダイオードアレイPDAにおける一つの画素を構成している。複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、主面1Naと主面1Nbとが対向している方向(以下、単に「対向方向」と称する)から見て、二次元状に配列されている。
【0032】
半導体基板1Nは、
図4にも示されるように、第一領域RS1と第二領域RS2とを有している。第一領域RS1には、複数のアバランシェフォトダイオードAPDが配置されている。第二領域RS2は、対向方向から見て、第一領域RS1の外側で、かつ、第三辺1N3の近傍に位置している。第二領域RS2は、たとえば、平面視で三角形状を呈している。
図4では、対向方向がZ軸方向と一致している。
【0033】
各アバランシェフォトダイオードAPDには、
図5にも示されるように、クエンチング抵抗R1が直列に接続されている。各アバランシェフォトダイオードAPDは、それぞれクエンチング抵抗R1と直列に接続された態様で、全て並列に接続されており、電源から逆バイアス電圧が印加される。アバランシェフォトダイオードAPDからの出力電流は、後述する信号処理部SPによって検出される。
【0034】
各アバランシェフォトダイオードAPDは、P型(第二導電型)の第一半導体領域1PAと、P型(第二導電型)の第二半導体領域1PBと、を有している。第一半導体領域1PAは、半導体基板1Nの主面1Na側に形成されている。第二半導体領域1PBは、第一半導体領域1PA内に形成され且つ第一半導体領域1PAよりも不純物濃度が高い。第二半導体領域1PBの平面形状は、たとえば多角形(本実施形態では、四角形)である。第一半導体領域1PAの深さは、第二半導体領域1PBよりも深い。
【0035】
半導体基板1Nは、N型(第一導電型)の半導体領域1PCを有している。半導体領域1PCは、半導体基板1Nの主面1Na側に形成されている。半導体領域1PCは、N型の半導体基板1NとP型の第一半導体領域1PAとの間に形成されるPN接合が半導体基板1Nの端に露出するのを防ぐ。半導体領域1PCは、半導体基板1Nの端に対応する位置に形成されている。
【0036】
アバランシェフォトダイオードAPDは、
図5に示されるように、半導体基板1Nの主面1Na側にそれぞれ配置された、電極E1を有している。電極E1は、第二半導体領域1PBに電気的に接続されている。アバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板1Nの主面1Nb側に配置された電極E2を有している。電極E2は、半導体基板1Nに電気的に接続されている。第一半導体領域1PAは、第二半導体領域1PBを介して電極E1に電気的に接続されている。
【0037】
フォトダイオードアレイPDAは、
図5に示されるように、第二半導体領域1PBの外側の半導体基板1N上に、絶縁層L1を介して形成された信号線TLと電極E3とを有している。信号線TLと電極E3とは、半導体基板1Nの主面1Na側に配置されている。電極E3は、第二領域RS2に位置している。信号線TLは、電極E3に接続されている。
【0038】
信号線TLは、複数の信号線TL1と複数の信号線TL2とを含んでいる。各信号線TL1は、平面視で、X軸方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間をY軸方向に延びている。各信号線TL2は、Y軸方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間をX軸方向に延びて、複数の信号線TL1同士を電気的に接続する。本実施形態では、信号線TL1と信号線TL2とが、電極E3に接続されている。信号線TL1と信号線TL2とのうちいずれか一方が、電極E3に接続されていてもよい。
【0039】
フォトダイオードアレイPDAは、アバランシェフォトダイオードAPDごとに、絶縁層L1を介して形成されたクエンチング抵抗R1を有している。すなわち、クエンチング抵抗R1は、半導体基板1Nの主面1Na側に配置されている。クエンチング抵抗R1は、その一方端が電極E1に接続され、その他方端が信号線TL1接続されている。クエンチング抵抗R1は、たとえば、第二半導体領域1PBの外側の半導体基板1N上に位置している。
図5では、構造の明確化のため、
図3に示されている絶縁層L1,L3の記載を省略している。
【0040】
アバランシェフォトダイオードAPD(第一半導体領域1PAの直下の領域)それぞれは、電極E1とクエンチング抵抗R1とを介して、信号線TL1に接続されている。1つの信号線TL1には、複数のアバランシェフォトダイオードAPDが、それぞれ電極E1とクエンチング抵抗R1とを介して接続されている。クエンチング抵抗R1は、信号線TLを介して、電極E3に電気的に接続されている。すなわち、各アバランシェフォトダイオードAPD(各画素)は、電極E3に電気的に接続されている。
【0041】
半導体基板1Nの主面1Na側には、絶縁層L3が配置されている。絶縁層L3は、電極E1,E3、クエンチング抵抗R1、及び信号線TLを覆うように形成されている。
【0042】
クエンチング抵抗R1は、クエンチング抵抗R1が接続される電極E1よりも抵抗率が高い。クエンチング抵抗R1は、たとえばポリシリコンからなる。クエンチング抵抗R1の形成方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。
【0043】
電極E1,E2,E3及び信号線TLは、Alなどの金属からなる。半導体基板がSiからなる場合には、電極材料としては、Alの他に、AuGe/Niなどもよく用いられる。電極E1,E2,E3及び信号線TLの形成方法としては、スパッタ法を用いることができる。
【0044】
Siを用いた場合におけるP型不純物としてはBなどの3族元素が用いられ、N型不純物としては、N、P又はAsなどの5族元素が用いられる。半導体の導電型であるN型とP型は、互いに置換して素子を構成しても、当該素子を機能させることができる。これらの不純物の添加方法としては、拡散法やイオン注入法を用いることができる。
【0045】
絶縁層L1,L3の材料としては、SiO
2又はSiNを用いることができる。絶縁層L1,L3の形成方法としては、絶縁層L1,L3がSiO
2からなる場合には、熱酸化法又はスパッタ法を用いることができる。
【0046】
上述の構造の場合、N型の半導体基板1NとP型の第一半導体領域1PAとの間に、PN接合が構成されることで、アバランシェフォトダイオードAPDが形成されている。半導体基板1Nは、半導体基板1Nの主面1Nbに形成された電極E2に電気的に接続され、第一半導体領域1PAは、第二半導体領域1PBを介して、電極E1に接続されている。クエンチング抵抗R1はアバランシェフォトダイオードAPDに対して直列に接続されている(
図6参照)。
【0047】
フォトダイオードアレイPDAにおいては、個々のアバランシェフォトダイオードAPDをガイガーモードで動作させる。ガイガーモードでは、アバランシェフォトダイオードAPDのブレークダウン電圧よりも大きな逆方向電圧(逆バイアス電圧)をアバランシェフォトダイオードAPDのアノード/カソード間に印加する。すなわち、アノードには(−)電位V1を、カソードには(+)電位V2を印加する。これらの電位の極性は相対的なものであり、一方の電位をグランド電位とすることも可能である。
【0048】
アノードはP型の第一半導体領域1PAであり、カソードはN型の半導体基板1Nである。アバランシェフォトダイオードAPDに光(フォトン)が入射すると、基板内部で光電変換が行われて光電子が発生する。第一半導体領域1PAのPN接合界面の近傍領域において、アバランシェ増倍が行われ、増幅された電子群は電極E2に向けて流れる。すなわち、フォトダイオードアレイPDAのいずれかの画素(アバランシェフォトダイオードAPD)に光(フォトン)が入射すると、増倍されて、信号として電極E3から取り出される。
【0049】
各アバランシェフォトダイオードAPDに接続されたクエンチング抵抗R1の他方端は、半導体基板1Nの主面1Naに沿って共通の信号線TLに電気的に接続されている。各アバランシェフォトダイオードAPDは、ガイガーモードで動作しており、共通の信号線TLに接続されている。このため、複数のアバランシェフォトダイオードAPDに同時にフォトンが入射した場合、複数のアバランシェフォトダイオードAPDの出力は全て共通の信号線TLに入力され、全体としては入射フォトン数に応じた高強度の信号として計測される。そして、各半導体光検出素子10(各フォトダイオードアレイPDA)では、電極E3を通して信号が出力される。
【0050】
搭載基板20は、
図3にも示されるように、互いに対向する主面20aと主面20bとを有している。搭載基板20は、平面視で矩形形状を呈している。主面20aは、半導体基板1Nの主面1Nbと対向している。各半導体光検出素子10は、半導体基板1Nの主面1Nbと主面20aとが対向するように、搭載基板20に配置されている。各半導体光検出素子10は、搭載基板20上で、二次元状に配置されている。
【0051】
搭載基板20は、それぞれ複数の電極E5と電極E7とを含んでいる。電極E5と電極E7とは、各半導体光検出素子10(各フォトダイオードアレイPDA)に対応する位置に配置されている。電極E5と電極E7とは、主面20a側に配置されている。
【0052】
電極E5は、
図3に示されるように、対向方向から見て、半導体基板1Nの外側で、かつ、第三辺1N3の近傍に配置されている。すなわち、電極E5は、主面20aにおける、第三辺1N3の近傍に位置する領域上に形成されている。電極E5は、対向方向から見て、半導体基板1Nから露出している。上記対向方向は、主面20aと主面20bとが対向している方向と一致している。
【0053】
電極E7は、
図3に示されるように、電極E2に対応する位置に配置されている。すなわち、電極E7は、主面20aにおける、電極E2に対向する各領域上に形成されている。
【0054】
搭載基板20は、それぞれ複数の電極E6と電極E8とを含んでいる。電極E6と電極E8とは、主面20b側に配置されている。電極E6は、対応する電極E5と電気的に接続されている。電極E8は、対応する電極E7と電気的に接続されている。電極E5,E6,E7,E8も、電極E1,E2,E3と同じく、Alなどの金属からなる。電極材料としては、Alの他に、AuGe/Niなどを用いてもよい。
【0055】
電極E3と電極E5とは、ボンディングワイヤW1により接続されている。これにより、電極E3は、ボンディングワイヤW1を介して、電極E5に電気的に接続されている。ボンディングワイヤW1は、対向方向から見て第三辺1N3を跨るように延びている。ボンディングワイヤW1は、たとえば、Al、Cu、又はAuなどからなる。クエンチング抵抗R1は、信号線TL、電極E3、及びボンディングワイヤW1を介して、電極E5に電気的に接続されている。
【0056】
電極E2と電極E7とは、たとえば、導電性樹脂21により接続されている。これにより、電極E2は、導電性樹脂21を介して、電極E7に電気的に接続されている。導電性樹脂21は、導電性フィラーと樹脂とを含んでいる。導電性フィラーには、たとえばAg粉などが用いられる。
【0057】
信号処理部SPは、たとえば、搭載基板20の主面20b側に配置される。信号処理部SPは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を構成している。各電極E6は、搭載基板20に形成されている配線及びボンデングワイヤ(いずれも図示省略)などを介して信号処理部SPと電気的に接続されている。信号処理部SPには、各半導体光検出素子10(各フォトダイオードアレイPDA)からの出力信号が入力され、信号処理部SPは、各半導体光検出素子10からの出力信号を処理する。信号処理部SPは、各半導体光検出素子10からの出力信号をデジタルパルスに変換するCMOS回路を含んでいる。信号処理部SPは、搭載基板20とは異なる基板に配置されていてもよい。
【0058】
各シンチレータ30は、光学接着剤31により、樹脂11に光学的に接続される。シンチレータ30は、各半導体光検出素子10(各フォトダイオードアレイPDA)に対応する位置に配置されている。シンチレータからのシンチレーション光は、光学接着剤31及び樹脂11を通り、半導体光検出素子10に入射する。シンチレータ30の数は、半導体光検出素子10の数と同じであり、シンチレータ30と半導体光検出素子10とが一対一で対応している。
【0059】
以上のように、本実施形態では、電極E3と電極E5とを接続しているボンディングワイヤW1は、対向方向から見て第三辺1N3を跨るように延びている。これにより、フォトダイオードアレイPDAの信号が、半導体基板1Nの主面1Na側から取り出され、搭載基板20の主面20a側に送られる。すなわち、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW1により実現されている。
【0060】
第三辺1N3は、一方の第一辺1N1と一方の第二辺1N2とを接続し、かつ、一方の第一辺1N1と一方の第二辺1N2とに交差する一方向に延びている。したがって、半導体基板1Nには、特許文献1に記載された光検出装置において半導体基板に形成されているような切り欠きは形成されておらず、半導体基板1Nの機械的強度の低下が抑制されている。
【0061】
第三辺1N3の長さは、第一辺1N1及び第二辺1N2の各長さよりも短い。これにより、複数の画素(複数のアバランシェフォトダイオードAPD)が位置する領域(有効領域)である第一領域RS1の面積の低下を抑制することができる。
【0062】
本実施形態では、光検出装置1は、複数の半導体光検出素子10を備えている。各半導体光検出素子10は、半導体基板1Nの主面1Nbと搭載基板20の主面20aとが対向するように、搭載基板20に配置されている。半導体光検出素子10ごとに、電極E3と電極E5とがボンディングワイヤW1を介して接続されている。光検出装置1が複数の半導体光検出素子10を備えているので、光検出装置1の受光領域の大面積化が図られる。
【0063】
各フォトダイオードアレイPDAでは、画素を構成するアバランシェフォトダイオードAPDがフォトンを検出してガイガー放電したとき、アバランシェフォトダイオードAPDに接続されたクエンチング抵抗R1の働きにより、パルス状の信号を得る。それぞれのアバランシェフォトダイオードAPDが、各々フォトンをカウントする。このため、同じタイミングで複数個のフォトンが入射した時においても、総出力パルスの出力電荷量あるいは信号強度に応じて、入射したフォトン数が判明する。
【0064】
本実施形態では、半導体光検出素子10とシンチレータ30とが一対一で結合されている態様で、搭載基板20にタイリングされている。X軸方向で隣り合う半導体光検出素子10同士は、第一辺1N1が対向するようにタイリングされている。Y軸方向で隣り合う半導体光検出素子10同士は、第二辺1N2が対向するようにタイリングされている。
【0065】
次に、
図7を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の構成を説明する。
図7は、第三辺周辺における半導体光検出素子の概略斜視図である。
図7では、半導体光検出素子10(半導体基板1N)が概略的に図示されている。
【0066】
図7に示された変形例では、半導体基板1Nの主面1Na側には、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部に窪み3が形成されていると共に、第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部に窪み5が形成されている。すなわち、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部には、窪み3により段差が形成され、第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部には、窪み5により段差が形成されている。窪み3,5は、後述するスリット45により構成される。
【0067】
窪み3は、対向方向から見て第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部に沿うように延びている。すなわち、窪み3は、対向方向から見て、第一辺1N1に沿う方向に延びている領域と、第三辺1N3に沿う方向に延びている領域とを有している。窪み5は、対向方向から見て第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部に沿うように延びている。すなわち、窪み5は、対向方向から見て、第二辺1N2に沿う方向に延びている領域と、第三辺1N3に沿う方向に延びている領域とを有している。
【0068】
本変形例では、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部に窪み3が形成されているので、当該角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部に窪み5が形成されているので、当該角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。
【0069】
次に、
図8を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の構成を説明する。
図8は、第三辺周辺における半導体光検出素子の概略斜視図である。
図8では、半導体光検出素子10(半導体基板1N)が概略的に図示されている。
【0070】
図8に示された変形例では、半導体基板1Nの主面1Na側には、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部に金属膜7が形成されていると共に、第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部に金属膜9が形成されている。金属膜7は、対向方向から見て、第一辺1N1に沿う方向に延びている辺と、第三辺1N3に沿う方向に延びている辺とを有している。金属膜9は、対向方向から見て、第二辺1N2に沿う方向に延びている辺と、第三辺1N3に沿う方向に延びている辺とを有している。本実施形態では、各金属膜7,9は、平面視で、五角形状を呈している。金属膜7,9は、たとえば、Al、Au、又はCuなどからなる。金属膜7,9は、後述する金属膜47により構成される。
【0071】
本変形例では、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部に金属膜7が形成されているので、当該角部の機械的強度が向上する。これにより、第一辺1N1と第三辺1N3とがなす角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部に金属膜9が形成されているので、当該角部の機械的強度が向上する。これにより、第二辺1N2と第三辺1N3とがなす角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。
【0072】
次に、
図9〜
図12を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の構成を説明する。
図9は、本変形例に係る半導体光検出素子の配列を説明するための図である。
図10は、本変形例に係る光検出装置の断面構成を説明するための図である。
図11は、半導体光検出素子の概略平面図である。
図12は、第三辺周辺における半導体光検出素子の構成を示す模式図である。
【0073】
半導体光検出素子10は、
図10に示されるように、半導体基板1Nの主面1Na側に配置されている電極E9を有している。電極E9は、絶縁層L1に形成されているビアを通して、N型の半導体領域1PCに接続されている。電極E9は、半導体領域1PCを介して半導体基板1Nに電気的に接続されている。電極E9は、第二領域RS2に位置している。電極E9と電極E3とは、対向方向から見て、第三辺1N3に沿って並んでいる。電極E3を含む断面構成は、上述した実施形態と同様であり(
図3参照)、図示を省略する。
【0074】
電極E7は、パッド部E7pを有している。パッド部E7pは、
図11及び
図12に示されるように、対向方向から見て、半導体基板1Nの外側で、かつ、第三辺1N3の近傍に配置されている。すなわち、パッド部E7pは、主面20aにおける、第三辺1N3の近傍に位置する領域上に形成されている。パッド部E7pは、対向方向から見て、半導体基板1Nから露出している。パッド部E7pと電極E5とは、対向方向から見て、第三辺1N3に沿って並んでいる。
【0075】
電極E9とパッド部E7p(電極E7)とは、ボンディングワイヤW2により接続されている。これにより、電極E9は、ボンディングワイヤW2を介して、電極E7に電気的に接続されている。半導体基板1Nは、半導体領域1PC、電極E9、及びボンディングワイヤW2を介して、電極E7に電気的に接続されている。ボンディングワイヤW2は、ボンディングワイヤW1と同様に、対向方向から見て第三辺1N3を跨るように延びている。ボンディングワイヤW1とボンディングワイヤW2とは、対向方向から見て、第三辺1N3に交差する方向で並んでいる。ボンディングワイヤW2は、ボンディングワイヤW1と同じく、たとえば、Al、Cu、又はAuなどからなる。
【0076】
本変形例においても、上述した実施形態と同様に、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW1により実現されている。半導体基板1Nの機械的強度の低下が抑制されている。
【0077】
本変形例では、電極E9と電極E7とが、ボンディングワイヤW2を介して接続されている。この場合、ボンディングワイヤW2及び電極E9を通して、半導体基板1Nにカソード電位を適切に与えることが可能となる。すなわち、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW2によって実現されている。
【0078】
半導体基板1Nの主面1Nb側には、電極E2が配置されていなくてもよい。すなわち、半導体基板1Nの主面1Nbが、導電性樹脂21により電極E7に直接接続されていてもよい。この場合、半導体基板1Nにカソード電位を与えるための電極を半導体基板1Nの主面1Nb側に配置する必要がなく、半導体光検出素子10の製造コストを低減することができる。半導体基板1Nは、導電性樹脂21を介して、電極E7に電気的に接続される。
【0079】
次に、
図13〜
図16を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の構成を説明する。
図13は、本変形例に係る半導体光検出素子の配列を説明するための図である。
図14は、本変形例に係る光検出装置の断面構成を説明するための図である。
図15は、半導体光検出素子の概略平面図である。
図16は、第四辺周辺における半導体光検出素子の構成を示す模式図である。本変形例においても、電極E3を含む断面構成は、上述した実施形態と同様であり(
図3参照)、図示を省略する。
【0080】
本変形例では、半導体基板1Nは、対向方向から見て、六角形状を呈している。すなわち、半導体基板1Nは、対向方向から見たときの外縁として、一対の第一辺1N1と、一対の第二辺1N2と、一つの第三辺1N3と、一つの第四辺1N4とを有している。一対の第一辺1N1は、互いに対向しており、平行である。一対の第二辺1N2は、互いに対向しており、平行である。
【0081】
第三辺1N3と第四辺1N4とは、互いに対向しており、平行である。第四辺1N4は、他方の第一辺1N1と他方の第二辺1N2とを接続し、かつ、他方の第一辺1N1と他方の第二辺1N2とに交差する一方向に延びている。すなわち、第四辺1N4は、他方の第一辺1N1と他方の第二辺1N2との間に位置している。他方の第一辺1N1の他端と第四辺1N4の一端とが接続されている。第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角は、たとえば135°である。他方の第二辺1N2の他端と第四辺1N4の他端とが接続されている。第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角は、たとえば135°である。
【0082】
第三辺1N3の長さだけでなく、第四辺1N4の長さも、第一辺1N1及び第二辺1N2の各長さよりも短い。本変形例では、第三辺1N3の長さと第四辺1N4の長さとは、同等である。第三辺1N3の長さと第四辺1N4の長さとは、同等でなくてもよく、異なっていてもよい。
【0083】
半導体基板1Nは、
図15にも示されるように、第一領域RS1と第二領域RS2と第三領域RS3を有している。第三領域RS3は、対向方向から見て、第一領域RS1の外側で、かつ、第四辺1N4の近傍に位置している。すなわち、第三領域RS3は、対向方向から見て、第一領域RS1を挟んで第二領域RS2と対向するように位置している。第三領域RS3は、たとえば、平面視で三角形状を呈している。
図15では、対向方向がZ軸方向と一致している。
【0084】
本変形例では、電極E9は、第三領域RS3に位置している。電極E7のパッド部E7pは、
図15に示されるように、対向方向から見て、半導体基板1Nの外側で、かつ、第四辺1N4の近傍に配置されている。すなわち、パッド部E7pは、主面20aにおける、第四辺1N4の近傍に位置する領域上に形成されている。ボンディングワイヤW2は、対向方向から見て第四辺1N4を跨るように延びている。
【0085】
本変形例においても、
図9〜
図12に示された変形例と同様に、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW1,W2により実現されている。半導体基板1Nの機械的強度の低下が抑制されている。
図9〜
図12に示された変形例と同様に、半導体基板1Nの主面1Nb側には、電極E2が配置されていなくてもよい。この場合、半導体光検出素子10の製造コストを低減することができる。
【0086】
第四辺1N4の長さは、第一辺1N1及び第二辺1N2の各長さよりも短い。これにより、複数の画素(複数のアバランシェフォトダイオードAPD)が位置する領域(有効領域)である第一領域RS1の面積の低下を抑制することができる。
【0087】
次に、
図17を参照して、
図13〜
図16に示された光検出装置1の変形例の構成を説明する。
図17は、第四辺周辺における半導体光検出素子の概略斜視図である。
図17では、半導体光検出素子10(半導体基板1N)が概略的に図示されている。
【0088】
図17に示された変形例では、半導体基板1Nの主面1Na側には、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部に窪み13が形成されていると共に、第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部に窪み15が形成されている。すなわち、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部には、窪み13により段差が形成され、第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部には、窪み15により段差が形成されている。図示は省略するが、半導体基板1Nには、上述した窪み3,5が形成されていてもよい。
【0089】
窪み13は、対向方向から見て第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部に沿うように延びている。すなわち、窪み13は、対向方向から見て、第一辺1N1に沿う方向に延びている領域と、第四辺1N4に沿う方向に延びている領域とを有している。窪み15は、対向方向から見て第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部に沿うように延びている。すなわち、窪み15は、対向方向から見て、第二辺1N2に沿う方向に延びている領域と、第四辺1N4に沿う方向に延びている領域とを有している。
【0090】
本変形例では、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部に窪み13が形成されているので、当該角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部に窪み15が形成されているので、当該角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。
【0091】
次に、
図18を参照して、
図13〜
図16に示された光検出装置1の変形例の構成を説明する。
図18は、第四辺周辺における半導体光検出素子の概略斜視図である。
図18では、半導体光検出素子10(半導体基板1N)が概略的に図示されている。
【0092】
図8に示された変形例では、半導体基板1Nの主面1Na側には、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部に金属膜17が形成されていると共に、第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部に金属膜19が形成されている。図示は省略するが、半導体基板1Nには、上述した金属膜7,9が形成されていてもよい。
【0093】
金属膜17は、対向方向から見て、第一辺1N1に沿う方向に延びている辺と、第四辺1N4に沿う方向に延びている辺とを有している。金属膜19は、対向方向から見て、第二辺1N2に沿う方向に延びている辺と、第四辺1N4に沿う方向に延びている辺とを有している。本変形例では、各金属膜17,19は、平面視で、五角形状を呈している。金属膜17,19は、金属膜7,9と同様に、たとえば、Al、Au、又はCuなどからなる。
【0094】
本変形例では、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部に金属膜7が形成されているので、当該角部の機械的強度が向上する。これにより、第一辺1N1と第四辺1N4とがなす角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部に金属膜9が形成されているので、当該角部の機械的強度が向上する。これにより、第二辺1N2と第四辺1N4とがなす角部にチッピングが生じるのを抑制することができる。
【0095】
次に、
図19〜
図22を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の構成を説明する。
図19は、本実施形態の変形例に係る光検出装置を示す概略斜視図である。
図20〜
図22は、半導体光検出素子の概略平面図である。
【0096】
図19及び
図20に示された変形例では、光検出装置1は、一つの半導体光検出素子10、一つの搭載基板20、及び一つのシンチレータ30を備えている。本変形例においても、上述した実施形態と同様に、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW1により実現されている。半導体基板1Nの機械的強度の低下が抑制されている。
【0097】
図21及び
図22に示された変形例でも、光検出装置1は、一つの半導体光検出素子10、一つの搭載基板20、及び一つのシンチレータ30を備えている。本変形例においても、半導体基板1Nと搭載基板20との電気的な接続がボンディングワイヤW1,W2により実現されている。半導体基板1Nの機械的強度の低下が抑制されている。
【0098】
次に、
図23〜
図29を参照して、本実施形態に係る半導体光検出素子10の製造過程について説明する。
図23〜
図29は、本実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を説明するための図である。
【0099】
まず、半導体基板(半導体ウェハ)40が準備される(
図23参照)。半導体基板40は、複数の素子形成領域42を含んでいる。複数の素子形成領域42は、第一方向D1と、第一方向D1と交差する第二方向D2と、に隣り合うように位置している。本実施形態では、第一方向D1と第二方向D2とは直交している。素子形成領域42は、平面視で、五角形状を呈している。
図23では、説明のため、隣り合う素子形成領域42の境界となる位置が実線で示されている。
【0100】
素子形成領域42は、
図3に示された半導体光検出素子10に対応する構成を備えている。すなわち、素子形成領域42には、
図23での図示は省略するが、複数のアバランシェフォトダイオードAPD(第一半導体領域1PA及び第二半導体領域1PB)、クエンチング抵抗R1、半導体領域1PC、信号線TL、電極E2,E3、及び絶縁層L1,L3などが、それぞれ対応する位置に形成されている。半導体基板40は、個片化されることにより、半導体基板1Nを構成する。アバランシェフォトダイオードAPD、クエンチング抵抗R1、半導体領域1PC、信号線TL、電極E2,E3、及び絶縁層L1,L3などの形成過程は、当該技術分野では既知であり、詳細な説明を省略する。
【0101】
次に、半導体基板40が複数の素子形成領域42毎に個片化される(
図30参照)。これにより、半導体光検出素子10が得られる。
【0102】
本実施形態では、ステルスダイシング技術を用いることにより、半導体基板40が個片化される。ステルスダイシング技術は、半導体基板(半導体ウエハ)の内部にレーザ光を照射して任意の位置に改質領域を形成し、この改質領域を起点として半導体基板を切断するダイシング技術である(たとえば、特開2009−135342号公報を参照)。ステルスダイシング技術に用いられるレーザ加工装置は、いわゆるSDE(ステルスダイシングエンジン:登録商標)と称される。このSDEは、たとえば、レーザ光をパルス発振するレーザ光源と、レーザ光の光軸(光路)の向きを変えるように配置されたダイクロイックミラーと、レーザ光を集光するための集光用レンズ(集光光学系)と、を備えている。
【0103】
本過程では、レーザ光Lが主面40a側から照射され、半導体基板40の内部に集光点Pが形成される(
図24参照)。この状態で、レーザ光Lが、複数の素子形成領域42のうち隣り合う素子形成領域42同士の境界に位置する切断予定ライン(
図24において、実線に沿ったライン)に沿って相対的に移動される。これにより、切断予定ラインに沿って、切断の起点となる改質領域MRが半導体基板40の内部に形成される(
図25及び
図26参照)。そして、形成された改質領域MRを起点として半導体基板40を切断して個片化する。
図24〜
図26では、半導体基板40(半導体ウエハ)を概略的に図示し、アバランシェフォトダイオードAPD、クエンチング抵抗R1、半導体領域1PC、信号線TL、電極E2,E3、及び絶縁層L1,L3などの図示を省略している。
【0104】
集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所である。改質領域MRは、連続的に形成される場合もあるし、断続的に形成される場合もある。改質領域MRは列状でも点状でもよく、改質領域MRは少なくとも半導体基板40の内部に形成されていればよい。改質領域MRを起点に亀裂が形成される場合があり、亀裂及び改質領域MRは、半導体基板40の外表面(表面、裏面、若しくは外周面)に露出していてもよい。
【0105】
レーザ光Lが、半導体基板40を透過すると共に半導体基板40の内部の集光点近傍にて特に吸収されることにより、半導体基板40に改質領域MRが形成される(すなわち、内部吸収型レーザ加工)。したがって、半導体基板40の主面40aではレーザ光Lが殆ど吸収されないので、半導体基板40の主面40aが溶融することはない。
【0106】
本実施形態において形成される改質領域は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域である。改質領域としては、たとえば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、又は屈折率変化領域などがあり、これらが混在した領域もある。改質領域としては、半導体基板40において改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、及び、格子欠陥が形成された領域がある(これらをまとめて高密転移領域ともいう)。
【0107】
ここで、
図27を参照して、切断予定ラインについて詳しく説明する。
【0108】
各素子形成領域42の五辺には、第二方向D2で平行な一対の切断予定ライン51と、第一方向D1で平行な一対の切断予定ライン52と、切断予定ライン53が設定されている。一方の切断予定ライン51と切断予定ライン53とが接続されている。一方の切断予定ライン52と切断予定ライン53とが接続されている。各素子形成領域42において、切断予定ライン53の長さは、切断予定ライン51及び切断予定ライン52の各長さよりも短い。
【0109】
本実施形態では、四つの素子形成領域42が一つの配置単位として扱われている。四つの素子形成領域42は、各素子形成領域42の切断予定ライン53により矩形が形成されるように配置されている。切断予定ライン53によって囲まれる矩形状の領域は、素子として使用しない非有効領域である。半導体基板40は、複数の上記配置単位を含んでいる。複数の配置単位は、第一方向D1と、第二方向D2と、に隣り合うように並んでいる。
【0110】
切断予定ライン53によって囲まれる上記領域内では、切断予定ライン51と切断予定ライン52とは交差していない。切断予定ライン53によって囲まれる上記領域以外では、切断予定ライン51と切断予定ライン52とが交差している。
【0111】
切断予定ライン53によって囲まれる上記領域内では、切断予定ライン51は、第一方向D1で離間している。すなわち、第一方向D1で隣り合う二つの素子形成領域42において、切断予定ライン53に接続される上記一方の切断予定ライン51は、第一方向D1で離間している。切断予定ライン53によって囲まれる上記領域内では、切断予定ライン52は、第二方向D2で離間している。すなわち、第二方向D2で隣り合う二つの素子形成領域42において、切断予定ライン53に接続される上記一方の切断予定ライン52は、第二方向D2で離間している。
【0112】
半導体基板40は、不図示のエキスパンドテープ(ダイシングテープ)に貼り付けられている。この状態で、半導体基板40には、切断予定ライン51に沿ってレーザ光Lが上述したように照射される。これにより、半導体基板40には、切断予定ライン51に沿って、改質領域61が形成される(
図28参照)。切断予定ライン53によって囲まれる上記領域内では、改質領域61は、第一方向D1で離間している。
【0113】
半導体基板40には、切断予定ライン52に沿ってレーザ光Lが上述したように照射される。これにより、半導体基板40には、切断予定ライン52に沿って、改質領域62が形成される(
図28参照)。切断予定ライン53によって囲まれる上記領域内では、改質領域62は、第二方向D2で離間している。切断予定ライン53によって囲まれる上記領域以外では、改質領域61と改質領域62とが交差している。
【0114】
半導体基板40には、切断予定ライン53に沿ってレーザ光Lが上述したように照射される。これにより、半導体基板40には、切断予定ライン53に沿って、改質領域63が形成される(
図28参照)。改質領域63は、改質領域61,62に接続されておらず、改質領域63は、改質領域61,62から離間している。すなわち、改質領域63は、切断予定ライン53の両端部分53aを除く、中間部分53bに形成されている。各端部分53aの長さは、改質領域63から発生した亀裂が切断予定ライン51,52に向かって伸展する距離に設定される。各端部分53aの長さは、たとえば10μmに設定される。
【0115】
半導体基板40に、改質領域61,62,63が形成された後、エキスパンドテープが拡張される。これにより、改質領域61,62,63から発生した亀裂が半導体基板40の主面40a,40bに到達し、切断予定ライン51,52,53に沿って半導体基板40が切断される。このとき、改質領域63から発生した亀裂は改質領域61,62に到達する。したがって、半導体基板40から複数の素子形成領域42が切り出されて、
図29に示されるように、
図3に示された構成を備えている複数の半導体光検出素子10が得られる。
【0116】
半導体基板40が切断予定ライン51で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第一辺1N1を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン52で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第二辺1N2を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン53で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第三辺1N3を構成する側面が形成される。
【0117】
上述した製造過程では、素子として使用しない非有効領域内に、切断予定ライン51,52が延びている。このため、切断予定ライン51,52に沿って改質領域61,62を形成する際に、レーザ光Lの照射がON/OFFされる位置が、上記非有効領域内に位置する。レーザ光Lの照射のON/OFF精度に応じて改質領域61,62の位置がずれた場合でも、半導体基板40を適切に切断することができる。切断予定ライン51,52の非有効領域内に位置する部分の長さは、レーザ光Lの照射のON/OFF精度を考慮して設定される。切断予定ライン51,52の非有効領域内に位置する部分の長さは、たとえば10μmに設定される。
【0118】
切断予定ライン53に沿って形成される改質領域63は、改質領域61,62から離間している。レーザ光Lの照射のON/OFF精度に応じて改質領域63の位置がずれた場合でも、素子形成領域42内に改質領域63が形成されることはない。したがって、各端部分53aの長さは、レーザ光Lの照射のON/OFF精度も考慮して設定される必要がある。この場合でも、各端部分53aの長さは、たとえば10μmに設定される。
【0119】
複数の素子形成領域42が、第一方向D1と第二方向D2とで隣り合うように位置しており、切断予定ライン51,52が複雑化しない。したがって、半導体基板40をステルスダイシング技術により切断する際のタクトタイムが短い。
【0120】
次に、
図30を参照して、本実施形態に係る半導体光検出素子10の製造過程の変形例を説明する。
図30は、半導体光検出素子10の製造過程の変形例を説明するための図である。
【0121】
本変形例では、
図30中の(a)に示されるように、半導体基板40に、スリット45が形成されている。スリット45は、切断予定ライン51,52と切断予定ライン53との接続点(交差点)から、切断予定ライン51,52と切断予定ライン53とにそれぞれ沿って延びている。素子として使用しない非有効領域内には、切断予定ライン51,52が設定されていない。もちろん、
図27に示されるように、上記非有効領域内に、切断予定ライン51,52が設定されていてもよい。スリット45の切断予定ライン51,52,53に沿った上記接続点からの各長さは、レーザ光Lの照射のON/OFF精度も考慮して設定される。スリット45の上記接続点からの長さは、たとえば10μmに設定される。
【0122】
改質領域61,62,63は、
図30中の(b)に示されるように、スリット45に至るように形成される。この場合、エキスパンドテープが拡張される際に、スリット45に沿って、改質領域61,62,63から発生した亀裂が伸展する。したがって、切断予定ライン51,52,53のうち3つの切断予定ラインが交差する位置においても、半導体基板40を適切に切断することができる。半導体基板40に形成されたスリット45は、個片化された半導体光検出素子10には、窪み3,5として残る。
【0123】
次に、
図31を参照して、本実施形態に係る半導体光検出素子10の製造過程の変形例を説明する。
図31は、半導体光検出素子10の製造過程の変形例を説明するための図である。
【0124】
本変形例では、
図31中の(a)に示されるように、複数の金属膜47が形成されている。複数の金属膜47は、切断予定ライン51,52と切断予定ライン53との接続点近傍に配置されている。各金属膜47は、平面視で多角形状を呈している。本変形例では、金属膜47は、五角形状を呈している。金属膜47は、平面視で、切断予定ライン51,52,53に沿う辺を有している。複数の金属膜47は、切断予定ライン51,52,53に沿う各辺が、平面視で、切断予定ライン51,52,53を挟んで対向するように配置されている。金属膜47は、たとえば、Al、Au、又はCuなどからなる。
【0125】
改質領域61,62,63は、
図31中の(b)に示されるように、切断予定ライン51,52と切断予定ライン53との接続点で交差するように形成される。このとき、レーザ光Lの照射のON/OFF精度に応じてレーザ光Lの照射位置が素子形成領域42内に入る場合でも、金属膜47によって、レーザ光Lが半導体基板40内に照射されるのを防ぐことができる。これにより、素子形成領域42内に改質領域63が形成されることはない。したがって、切断予定ライン51,52,53のうち3つの切断予定ラインが交差する位置においても、半導体基板40を適切に切断することができる。半導体基板40に形成された金属膜47は、個片化された半導体光検出素子10には、金属膜7,9として残る。
【0126】
次に、
図32〜
図35を参照して、本実施形態の変形例に係る半導体光検出素子10の製造過程について説明する。
図32〜
図35は、本実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の製造過程を説明するための図である。
【0127】
本変形例では、準備された半導体基板40に含まれる複数の素子形成領域42は、
図14に示された半導体光検出素子10に対応する構成を備えている。素子形成領域42は、平面視で、六角形状を呈している。
図32及び
図34では、説明のため、隣り合う素子形成領域42の境界となる位置(切断予定ライン51,52,53)が実線で示されている。
【0128】
図32に示された変形例では、素子形成領域42の六辺には、第二方向D2で平行な一対の切断予定ライン51と、第一方向D1で平行な一対の切断予定ライン52と、第一及び第二方向D1,D2と交差する方向で平行な一対の切断予定ライン53が設定されている。本変形例でも、四つの素子形成領域42が一つの配置単位として扱われている。四つの素子形成領域42は、各素子形成領域42の切断予定ライン53により矩形が形成されるように配置されている。半導体基板40は、複数の上記配置単位を含んでいる。複数の配置単位は、第一方向D1と、第二方向D2と、に隣り合うように並んでいる。
【0129】
半導体基板40が複数の素子形成領域42毎に個片化されることにより、
図33に示されるように、
図14に示された構成を備えている複数の半導体光検出素子10が得られる。半導体基板40を個片化する過程は、
図3に示された構成を備えている複数の半導体光検出素子10を得るための上述した個片化の過程と同様である。すなわち、半導体基板40が切断予定ライン51で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第一辺1N1を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン52で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第二辺1N2を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン53で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第三辺1N3を構成する側面又は第四辺1N4を構成する側面が形成される。
【0130】
本変形例でも、
図30中の(a)に示されるように、半導体基板40に、スリット45が形成されていてもよい。この場合、半導体基板40に形成されたスリット45は、個片化された半導体光検出素子10には、窪み3,5,13,15として残る。
図31中の(a)に示されるように、複数の金属膜47が形成されていてもよい。この場合、半導体基板40に形成された金属膜47は、個片化された半導体光検出素子10には、金属膜7,9,17,19として残る。
【0131】
図34に示された変形例では、素子形成領域42の六辺には、第一及び第二方向D1,D2と交差する方向で平行な一対の切断予定ライン51と、第一及び第二方向D1,D2と交差する方向で平行な一対の切断予定ライン52と、第二方向D2で平行な一対の切断予定ライン53が設定されている。素子形成領域42は、第一及び第二方向D1,D2と交差する上記方向で並んでいる。すなわち、本変形例では、複数の素子形成領域42がハニカム状に配置されている。各切断予定ライン51,52,53は、複数の素子形成領域42がハニカム状に配置されるように設定されている。
【0132】
半導体基板40が複数の素子形成領域42毎に個片化されることにより、
図35に示されるように、
図14に示された構成を備えている複数の半導体光検出素子10が得られる。半導体基板40を個片化する過程は、
図3に示された構成を備えている複数の半導体光検出素子10を得るための上述した個片化の過程と同様である。したがって、本変形例でも、半導体基板40が切断予定ライン51で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第一辺1N1を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン52で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第二辺1N2を構成する側面が形成される。半導体基板40が切断予定ライン53で切断されることにより、半導体光検出素子10を対向方向から見たときに第三辺1N3を構成する側面又は第四辺1N4を構成する側面が形成される。
【0133】
図34及び
図35に示された変形例では、半導体基板40を切断する際に、素子として使用しない非有効領域が生じ難い。したがって、半導体基板40を適切に切断することができると共に、半導体基板40を有効活用できる。
【0134】
本変形例でも、
図30中の(a)に示されるように、半導体基板40に、スリット45が形成されていてもよい。この場合、半導体基板40に形成されたスリット45は、個片化された半導体光検出素子10には、窪み3,5,13,15として残る。この場合、本変形例では、第一辺1N1と第二辺1N2とがなす角部にも窪みが形成される。
図31中の(a)に示されるように、複数の金属膜47が形成されていてもよい。この場合、半導体基板40に形成された金属膜47は、個片化された半導体光検出素子10には、金属膜7,9,17,19として残る。この場合、本変形例では、第一辺1N1と第二辺1N2とがなす角部にも、金属膜が形成される。
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0136】
第一及び第二半導体領域1PA,1PBの形状は、上述した形状に限られることなく、他の形状(たとえば、円形状など)であってもよい。アバランシェフォトダイオードAPD(第二半導体領域1PB)の数(行数及び列数)及び配列は、図示された数及び配列に限られない。また、フォトダイオードアレイPDA(チャンネル)の数及び配列も、図示された数及び配列に限られない。