(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381487
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】通気システム
(51)【国際特許分類】
E03F 7/00 20060101AFI20180820BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
E03F7/00
E04B1/92
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-113222(P2015-113222)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-223247(P2016-223247A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】村田 和也
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−017892(JP,U)
【文献】
特開平10−266329(JP,A)
【文献】
特開2004−016854(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0319539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/00
E04B 1/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の地下ピットに設けられた排水槽と、
前記地下ピットに設けられ、一部が前記排水槽と連通する通気空間と、
前記通気空間と前記地下ピット外とを連通する通気管と、を備え、
前記通気空間は、前記排水槽と連通する第1の通気空間、及び、前記通気管により前記地下ピット外と連通する第2の通気空間を有し、
前記第1の通気空間と前記第2の通気空間との間は、互いの容積を可変とすると共に互いに気体を出入りさせない仕切り手段により仕切られている、通気システム。
【請求項2】
前記仕切り手段は、周縁部が前記通気空間の内面に固定された可撓性を有するシートである、請求項1記載の通気システム。
【請求項3】
前記シートは、前記通気空間の天井側の内面から床側の内面に亘って固定されており、
前記床側の固定位置が、前記天井側の固定位置よりも前記第2の通気空間寄りに位置している、請求項2記載の通気システム。
【請求項4】
前記シートは、天井側の内面にのみ固定されている、請求項2記載の通気システム。
【請求項5】
前記第2の通気空間の容積を増大させると共に前記第1の通気空間の容積を減少させるように前記仕切り手段を機能させるための補助手段を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項記載の通気システム。
【請求項6】
前記補助手段は、前記通気空間外から前記第2の通気空間内へ気体を供給する給気手段である、請求項5記載の通気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内で生じる生活排水や汚水等の排水を処理するために、地下ピットを利用する場合がある。すなわち、地下ピットの一部を排水槽とし、排水を流入させて貯留し、その後、時機をみてポンプによって建物外へ排水する。ここで、排水槽に排水が出入りする際の気圧調整のために、排水槽には通気管が設けられる。
【0003】
通気管の開放端からは排水の臭気が漏れるため、例えば屋上のように、周辺環境への影響を小さく抑えられる場所へ開放端を導くのが通常である。排水槽が複数ある場合には、気圧の相互干渉を防ぐために排水槽ごとに通気管を設ける必要があり、且つ、それぞれ独立して建物内を立ち上げて開放端を屋外へ導く必要がある(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】空気調和・衛生工学会、『SHASE−S206 給排水衛生設備規準・同解説』、2009年、111〜112頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の態様では、地下ピットから所定の高さにまで立ち上げられた通気管が排水槽ごとに必要となるため、通気管の配管工事費用が嵩むほか、通気管が占有する体積分に基づく経済的損失が大きくなる。また、臭気漏れの影響を考慮して通気管の開放端の設置場所(例えば屋上)を選択した場合であっても、風向きや建物の形状等によっては周辺環境に臭気害をもたらすことがある。
【0006】
そこで本発明は、地下ピットを利用する通気システムとして、周辺環境に臭気害をもたらすことなく、配管工事費用や経済的損失を低減することができる通気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物の地下ピットに設けられた排水槽と、地下ピットに設けられ、一部が排水槽と連通する通気空間と、通気空間と地下ピット外とを連通する通気管と、を備え、通気空間は、排水槽と連通する第1の通気空間、及び、通気管により地下ピット外と連通する第2の通気空間を有し、第1の通気空間と第2の通気空間との間は、互いの容積を可変とすると共に互いに気体を出入りさせない仕切り手段により仕切られている、通気システムを提供する。
【0008】
この通気システムにおいて、排水槽へ排水が移送されると、臭気を含んだ排水槽内の空気が押しのけられて、排水槽と連通している第1の通気空間へ移動する。このとき、仕切り手段の働きによって第1の通気空間の容積が増大して当該空気の受入れを許容すると共に、第2の通気空間の容積が減少する。第2の通気空間の容積の減少によって押しのけられた第2の通気空間内の空気は、通気管を通じて地下ピット外へ移動する。一方、排水槽に貯留された排水を建物外へ排水する際は、排水槽内の排水の体積が減少するに伴って排水槽内が陰圧となるため、臭気を含んだ第1の通気空間内の空気が排水槽内へ移動する。このとき、仕切り手段の働きによって第1の通気空間の容積が減少すると共に、第2の通気空間の容積が増大する。第2の通気空間の容積の増大によって第2の通気空間内が陰圧となるため、通気管を通じて地下ピット外から空気が移動する。これらの作用機構において、仕切り手段は第1の通気空間と第2の通気空間との間で気体を出入りさせない構成とされているので、第1の通気空間に充満する臭気が、地下ピット外と連通している第2の通気空間に入り込むことがない。このため、通気管を通じて臭気が周辺環境に漏れ出すことがなく、通気管の開放端を地下ピット外の任意の場所に導くことができるため、通気管の長さを短くすることが可能となる。従って、地下ピットを利用する本発明の通気システムによれば、周辺環境に臭気害をもたらすことなく、配管工事費用を低減することができ、通気管が占有する体積分に基づく経済的損失も低減することができる。
【0009】
ここで、仕切り手段は、周縁部が通気空間の内面に固定された可撓性を有するシートであることが好ましい。これによれば、第1の通気空間と第2の通気空間との間で互いの容積を変化させることが容易となる。
【0010】
そして、当該シートは、通気空間の天井側の内面から床側の内面に亘って固定されており、床側の固定位置が、天井側の固定位置よりも第2の通気空間寄りに位置していることが好ましい。これによれば、第2の通気空間の容積が増大し第1の通気空間の容積が減少する場面において、シートの働きが重力によって助けられることになる。
【0011】
また、当該シートは、天井側の内面にのみ固定されていることが好ましい。これによれば、第2の通気空間の容積が増大し第1の通気空間の容積が減少する場面において、シートの働きが重力によって大幅に助けられることになる。
【0012】
また、本発明の通気システムは、第2の通気空間の容積を増大させると共に第1の通気空間の容積を減少させるように仕切り手段を機能させるための補助手段を更に備えることが好ましい。これによれば、当該場面における仕切り手段の働きが助けられる。
【0013】
その補助手段としては、通気空間外から第2の通気空間内へ気体を供給する給気手段であることが好ましい。これによれば、給気手段の稼働によって第2の通気空間に気体が供給されて第2の通気空間が陽圧となり、仕切り手段の働きが助けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地下ピットを利用する通気システムとして、周辺環境に臭気害をもたらすことなく、配管工事費用や経済的損失を低減することができる通気システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の通気システムの概要を示す図である。
【
図3】本発明の他の実施形態の通気システムの概要を示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態の通気システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1に示されたとおり、本実施形態の通気システム1Aは、建物の躯体である地下ピット2を利用して設けられたものであり、建物内から移送された排水を貯留する排水槽3と、第1の通気槽4と、第2の通気槽5とがこの順に横並びで連続している。地下ピット2全体はコンクリートで形成されている。
【0018】
排水槽3は、四方を壁に囲まれた構造をしており、生活排水や汚水等の排水Wが貯留される。排水槽3の天井からは流入管6が突き出て開口しており、流入管6から排水Wが排水槽3内に流入する。排水槽3の底部にはポンプ7が設置されており、ポンプ7からは流出管8が上方へ向けて延び、排水槽3の天井を突き出て地下ピット2外へ開放されている。
【0019】
本実施形態において排水槽3の容積は比較的大きいほうが適しており、例えば1m
3〜100m
3が好ましく、20m
3〜80m
3がより好ましい。
【0020】
排水槽3の四方の壁のうち、第1の通気槽4との間の壁の上部には孔が設けられており、これに連通管9が挿通されることで、排水槽3と第1の通気槽4とが連通している。
【0021】
第2の通気槽5の天井には通気管10が突き出て開口しており、反対側の端部は地下ピット2外へ連通している。通気管10の地下ピット2外での開放端を設置する場所としては、建物の内外のどのような場所であってもよい。例えば、地下の機械室であってもよく、低層階の外壁であってもよい。
【0022】
第1の通気槽4と第2の通気槽5とから構成される通気空間(符号41,51)においては、第1の通気槽4と第2の通気槽5との間に仕切りの壁が設けられておらず、
図1及び
図2に示されたとおり、第1の通気槽4と第2の通気槽5が並ぶ方向に垂直な面において天井、床、及び天井と床との間の側壁からそれぞれ内側に突出すると共に周方向に連設されて互いに一体とされた張出し部11が設けられている。
【0023】
張出し部11のうち、第2の通気槽5側の面(以下「取付け面11a」と呼ぶ。)には、可撓性を有する仕切りシート12が取り付けられている。仕切りシート12は、矩形又は袋状の布に樹脂を含浸させたものであり、気体を通過させないように構成されている。仕切りシート12は、その面積が、取付け面11aで囲われる領域の面積よりも大きくされている。そして、
図1に示されたとおり、仕切りシート12は、その中央部を撓ませて袋状にした状態にて、その周縁部が取付け面11aに接着剤や固定材等で気体を通過させないように密着及び固定されている。なお、
図2では、取付け面11aが見えるように仕切りシート12の図示を省略している。
【0024】
ここで、仕切りシート12は通気空間の天井側の内面から床側の内面に亘って連続的に接着されているため、第1の通気槽4と第2の通気槽5とが仕切りシート12によって物理的に仕切られることとなり、これに伴い、専ら第1の通気槽4内の空間からなる第1の通気空間41と、専ら第2の通気槽5内の空間からなる第2の通気空間51とが画成されることとなる。すなわち、仕切りシート12の中央が撓んで袋状となった部分は、
図1に示されたように第2の通気槽5側に垂れて存在することもでき、反対に第1の通気槽4側に垂れて存在することもできるところ、前者の場合には袋状の内部は第1の通気空間41の一部となるとともに第2の通気空間51の容積がその分減少しており、後者の場合には袋状の内部は第2の通気空間51の一部となるとともに第1の通気空間41の容積がその分減少している。このように、第1の通気空間41と第2の通気空間51は、仕切りシート12によって互いの容積が可変とされている。
【0025】
この通気システム1Aにおいて、流入管6を通じて建物内から排水槽3へ排水Wが流入すると、臭気を含んだ排水槽3内の空気が押しのけられて、連通管9を通って第1の通気空間41へ移動する。このとき、仕切りシート12は可撓性を有するため中央の袋状の部分が膨らみ、第1の通気空間41の容積が増大して当該空気の受入れを許容すると共に、第2の通気空間51の容積が減少する。第2の通気空間51の容積の減少によって押しのけられた第2の通気空間51内の空気は、通気管10を通じて地下ピット2外へ流出する。
【0026】
反対に、排水槽3に貯留された排水Wが、ポンプ7の稼働によって流出管8を通じて建物外へ排水される場面では、排水槽3内の排水Wの体積が減少するに伴って排水槽3内が陰圧となるため、臭気を含んだ第1の通気空間41内の空気が連通管9を通って排水槽3内へ移動する。このとき、仕切りシート12の形状が復元され、すなわち空気で膨らんでいた部分がしぼみ(場合によっては更に、仕切りシート12の袋状の部分が第1の通気空間41側へ移動し)、第1の通気空間41の容積が減少すると共に、第2の通気空間51の容積が増大する。第2の通気空間51の容積の増大によって第2の通気空間51内が陰圧となるため、通気管10を通じて地下ピット2外から空気が流入してくる。
【0027】
上記の作用機構において、仕切りシート12は可撓性を有するため、第1の通気空間41と第2の通気空間51との間で互いの容積を変化させることが容易である。また、仕切りシート12は第1の通気空間41と第2の通気空間51との間で気体を出入りさせない構成とされているので、第1の通気空間41に充満する臭気が、地下ピット2外と連通している第2の通気空間51に入り込むことがない。このため、通気管10を通じて臭気が周辺環境に漏れ出すことがなく、通気管10の開放端を地下ピット2外の任意の場所(例えば、上記のように地下の機械室や低層階の外壁。)に導くことができるため、通気管10の長さを短くすることが可能となる。従って、地下ピット2を利用した通気システム1Aによれば、周辺環境に臭気害をもたらすことなく、配管工事費用を低減することができ、通気管が占有する体積分に基づく経済的損失も低減することができる。
【0028】
また、通気システム1Aは、建物の躯体である地下ピット2を利用して設けられたものであるため、通気システム1Aの構築にあたって新たな空間を容易する必要がなく、既存の遊休資源の活用法として有効である。
【0029】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の通気システムについて説明する。
図3に示されたとおり、第2の実施形態の通気システム1Bが第1の実施形態の通気システム1Aと異なるのは、取付け面11aの態様である。
【0030】
通気システム1Bにおいて、床側の張出し部11は、天井側の張出し部11よりも第2の通気空間51寄りに位置している。すなわち、張出し部11は、第1の通気槽4と第2の通気槽5が並ぶ方向に垂直な面において延在しているのではなく、当該方向に対して、天井側且つ排水槽3側から床側且つ第2の通気槽5側へ向けて傾いた面に沿って延在している。これに伴い、仕切りシート12の床側の固定位置(取付け面11aの位置)についても天井側の固定位置よりも第2の通気空間51寄りに位置している。
【0031】
通気システム1Bでは、第2の通気空間51の容積が増大し第1の通気空間41の容積が減少する場面(排水の場面)において、床側の張出し部11と天井側の張出し部11との水平方向の隔たりの部分において、仕切りシート12が自重によって下方向へ撓むことが可能となるため、仕切りシート12の働きが重力によって助けられることになる。
【0032】
なお、この実施形態では、第1の実施形態の通気システム1Bに対して仕切りシート12の固定位置を変更した態様を示したが、固定位置としては他の場所としてもよい。例えば、仕切りシート12が通気空間の天井側の内面にのみ固定される態様としてもよく、この場合、第2の通気空間51の容積が増大し第1の通気空間41の容積が減少する場面において、仕切りシート12の働きが重力によって大幅に助けられることになる。
【0033】
なお上記「天井側」とは、第1の通気槽4及び第2の通気槽5内において、床−天井間の長さ(高さ)の半分の位置よりも上方の空間又は方向を指している。反対に「床側」とは床−天井間の長さ(高さ)の半分の位置よりも下方の空間又は方向を指している。従って、仕切りシート12を固定する位置としては、天井若しくは床そのもの、又は天井若しくは床から突出した張出し部11を選択するほか、側壁を選択してもよい。例えば、この実施形態においては、張出し部11が設けられていない場合において、天井側の最上端部の固定位置としては第1の通気槽4内の連通管9の上方の側壁を選択し、床側の最下端部の固定位置としては第2の通気槽5内の側壁を選択してもよい。
【0034】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の通気システムについて説明する。
図4に示されたとおり、第3の実施形態の通気システム1Cが第1の実施形態の通気システム1Aと異なる点は、通気管10に給気ファン13が取り付けられている点、及び、第1の通気槽4に気圧計16が設置されている点である。
【0035】
通気システム1Cにおいては、通気管10に、給気ファン(補助手段,給気手段)13が取り付けられた給気管14が連通して接続されている。そして、通気管10の地下ピット2外へ延びる側には、モータダンパ15が取り付けられている。給気ファン13は、通気空間外から第2の通気空間51へ気体を供給する。
【0036】
第1の通気槽4の天井には気圧計16が設置されており、気圧計16からは第1の通気槽4外へ配線17が延びて、給気ファン13に接続している。気圧計16は第1の通気空間41内の圧力に応じて給気ファン13の運転の開始と停止を制御する。
【0037】
通気システム1Cは、排水Wの流入時は、モータダンパ15を開いておくことで第1の実施形態と同様に作用する。一方、排水Wの流出時は、第1の通気空間41が陰圧になると気圧計16がこれを検出し、モータダンパ15を閉じて給気ファン13を駆動させる。すると、通気空間外から第2の通気空間51内へ空気が供給され、第2の通気空間51の容積が増大しながら第1の通気空間41の容積が減少するように、仕切りシート12の中央の袋状の部分がしぼんでいく(更には、仕切りシート12が第1の通気槽4のほうへ移動する)。
【0038】
給気ファン13による給気によれば、上記のとおり仕切りシート12が機能することが補助される。具体的には、第2の通気空間に空気が供給されて第2の通気空間51が陽圧となることで、仕切りシート12の働きが助けられる。
【0039】
なお、この実施形態では、仕切りシート12の機能を補助する補助手段として給気ファン13が設けられた態様を示したが、他の補助手段としては他の態様を採用することもできる。例えば、仕切りシート12に形状記憶機能をもたせれば、排水Wの流出時の仕切りシートの働きを補助することができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では仕切りシートが可撓性を有するものである例を示したが、可撓性に加えて伸縮性を備えていてもよい。また、上記実施形態では仕切り手段がシート状である態様を示したが、仕切り手段は可動式の壁状であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、張出し部11のうち、第2の通気槽5側の取付け面11aに仕切りシート12が取り付けられている例を示したが、仕切りシート12は、第1の通気槽4側の取付け面に取り付けられていてもよい。
【0042】
また、通気槽内において仕切りシート12を固定する位置に関し、上記実施形態ではいずれも仕切りシート12の最上端部の固定位置が天井側にあり、最下端部の固定位置が床側にある例を示したが、これらの位置はそれぞれ天井側、床側に分かれていなくてもよく、例えば最上端部と最下端部の両方の固定位置がいずれも天井側にあってもよく、いずれも床側にあってもよい。また、仕切りシート12の固定位置は異なる高さに亘って延在していなくてもよく、全て同じ高さに(水平に)延在していてもよい。いずれの態様にしても、仕切りシート12の設置によって画される第1の通気空間41及び第2の通気空間51内に、それぞれ連通管9及び通気管10が開口しているように、仕切りシート12が設置されればよい。なお、連通管9及び通気管10を設ける位置は適宜変更することができる。
【0043】
上記例において、仕切りシート12の最上端部の固定位置を最下端部の固定位置よりも第1の通気空間41寄りに位置させることで、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、仕切りシート12の固定位置を水平に延在させ、且つ下側の空間を第1の通気空間41とする(すなわち下側の空間に連通管9が開口している)ことでも、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B,1C…通気システム、2…地下ピット、3…排水槽、10…通気管、12…仕切りシート(仕切り手段)、13…給気ファン(補助手段,給気手段)、41…第1の通気空間、51…第2の通気空間、W…排水。