特許第6381488号(P6381488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6381488-回路基板 図000002
  • 特許6381488-回路基板 図000003
  • 特許6381488-回路基板 図000004
  • 特許6381488-回路基板 図000005
  • 特許6381488-回路基板 図000006
  • 特許6381488-回路基板 図000007
  • 特許6381488-回路基板 図000008
  • 特許6381488-回路基板 図000009
  • 特許6381488-回路基板 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381488
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20180820BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H05K1/02 F
   H05K1/02 C
   H05K3/46 U
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-120488(P2015-120488)
(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公開番号】特開2016-127256(P2016-127256A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-263912(P2014-263912)
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】笠島 正人
(72)【発明者】
【氏名】小林 知善
(72)【発明者】
【氏名】笹木 哲
(72)【発明者】
【氏名】幾島 好広
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−228052(JP,A)
【文献】 特開2009−21468(JP,A)
【文献】 特開2014−99544(JP,A)
【文献】 特開2014−157949(JP,A)
【文献】 特開2014−36033(JP,A)
【文献】 特開2012−9801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 − 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に電子部品の実装領域と配線パターンが設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の下面において少なくとも前記実装領域と上下に重なるように設けられた伝熱体と、
前記第1絶縁層の下面でかつ前記伝熱体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備えた回路基板において、
前記第2絶縁層は積層構造を有し、
前記第2絶縁層の内層と、前記第2絶縁層の下面とに、それぞれ配線パターンが設けられ、
前記伝熱体の下面は、前記第2絶縁層から露出し、
前記第1絶縁層と前記伝熱体の熱伝導率は、前記第2絶縁層の熱伝導率より高く、
前記第1絶縁層の硬度は、前記第2絶縁層の硬度より高く、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層のそれぞれに設けられた前記配線パターンを貫通するスルーホールをさらに備え
前記スルーホールにより、前記第1絶縁層の上面に設けられた配線パターン、前記第2絶縁層の内層に設けられた配線パターン、および前記第2絶縁層の下面に設けられた配線パターン同士が接続されている、ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板において、
前記第1絶縁層の厚みは前記第2絶縁層の厚みより薄い、ことを特徴とする回路基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回路基板において、
前記伝熱体の熱伝導率は、前記第1絶縁層の熱伝導率より高い、ことを特徴とする回路基板。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回路基板において、
前記伝熱体は、前記第1絶縁層の上面に設けられた複数の前記実装領域と重なるように広範囲に設けられている、ことを特徴とする回路基板。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の回路基板において、
前記第2絶縁層の内層は、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の間にある第1内層と、前記第2絶縁層の内部にある第2内層とからなり、
前記第1内層および前記第2内層に、それぞれ配線パターンが設けられている、ことを特徴とする回路基板。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の回路基板において、
前記第2絶縁層の下面に、電子部品の実装領域と配線パターンが設けられている、ことを特徴とする回路基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の回路基板と、
前記回路基板に設けられた実装領域に実装された発熱する電子部品と、
前記回路基板に設けられた伝熱体の下面に接触するように設けられた放熱体と、を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子装置において、
前記放熱体は、前記回路基板に設けられた第2絶縁層の下面に実装された電子部品または導体から離間している、ことを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子装置において、
前記回路基板に設けられた第1絶縁層と対向する前記伝熱体および前記放熱体の各面の面積は、前記第1絶縁層に設けられた実装領域の面積より大きく、
前記第1絶縁層において前記実装領域および前記配線パターンと重ならない非重畳位置に、前記第1絶縁層と前記伝熱体を貫通する貫通孔を設けるとともに、該貫通孔と連通するように前記放熱体に螺合孔を設け、
前記第1絶縁層の上方から前記螺合部材を前記貫通孔へ貫通させて前記螺合孔に螺合することにより、前記伝熱体の下面に前記放熱体を固定する、ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装した回路基板において、電子部品で発生した熱を放熱する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁層の上面に電子部品が実装され配線パターンが形成された回路基板において、電子部品からの発熱を放熱する構造が種々提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1〜8の回路基板では、銅などの金属からなる伝熱体が絶縁層に埋設されていて、その伝熱体の上方に発熱する電子部品が実装されている。
【0004】
特許文献1、6では、伝熱体の上面にランドやはんだなどの導体が設けられ、該導体上に電子部品が実装されている。特許文献2、3、7、8では、伝熱体の上面に絶縁層が設けられ、該絶縁層の上面に導体を介して電子部品が実装されている。特許文献2、3、7において、伝熱体の上面にある絶縁層の材質と、伝熱体の周囲(側方)にある絶縁層の材質とは、同じである。また、特許文献2、3では、その絶縁層は高い熱伝導性を有している。特許文献8では、伝熱体の上面にある絶縁層の材質として、高い熱伝導性を有する添加物(酸化亜鉛、酸化アルミニュウム、窒化アルミニュウム等)が混入されたガラス繊維あるいはポリマー繊維補強材などを用いて、絶縁層の熱伝導率や強度を増大させている。特許文献4、5では、伝熱体の上面に、伝熱部材を介して電子部品の本体部(半導体のパッケージ部分)が搭載されている。また、特許文献5の伝熱部材は絶縁性を有している。
【0005】
また、特許文献1では、伝熱体の下面に絶縁層が設けられ、該絶縁層の下面に放熱体が取り付けられている。特許文献2、3、4、8では、伝熱体の下面が絶縁層から露出している。また、特許文献2には、伝熱体の下面と伝熱体の周囲にある絶縁層の下面とに、導体が設けられたり高い熱伝導性を有する絶縁層が設けられたりする例も開示されている。特許文献4には、伝熱体の下面に放熱体をねじ止めする例も開示されている。
【0006】
特許文献5では、伝熱体の周囲にある絶縁層の下面に銅層が設けられ、銅層と伝熱体が接続され、伝熱体の下面が銅層から露出している。また、特許文献5には、伝熱体の下面や銅層の下面に、高い熱伝導性を有する絶縁層を介して放熱体が設けられる例も開示されている。特許文献6、7では、伝熱体の下面と伝熱体の周囲にある絶縁層の下面とに、絶縁層が設けられ、該絶縁層の下面に放熱用の金属層が設けられている。また、特許文献6では、その金属層と接する絶縁層は、高い熱伝導性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−36050号公報
【特許文献2】特開2014−179416号公報
【特許文献3】特開2014−179415号公報
【特許文献4】特開2012−119607号公報
【特許文献5】特開2006−49887号公報
【特許文献6】特開2008−251671号公報
【特許文献7】特開2014−157949号公報
【特許文献8】特開平6−244303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、回路基板の絶縁層に伝熱体を埋設し、伝熱体の上面に電子部品を実装した場合、電子部品で発生した熱は、伝熱体に直接伝わって、伝熱体の下方へ放熱される。しかし、電子部品と伝熱体とが導通するため、これらの近傍に他の電子部品が実装し難くなる。そして、回路基板に電気回路を形成するのが難くなったり、回路基板の実装密度が低下したりするという問題がある。
【0009】
一方、伝熱体の上面に絶縁層を介して電子部品を実装した場合は、電子部品で発生した熱が伝熱体に伝わり難くなって、伝熱体の下方へ放熱する効率が悪くなる。
【0010】
また、高い熱伝導性を有する添加物を混入した材料を用いて絶縁層を形成すると、絶縁層の熱伝導率が増大するが、添加物の混入によって、絶縁層の硬度も増大してしまう。このため、たとえば、絶縁層の上下表面や内部に配線パターンを設けた多層の回路基板において、回路構成の自由度を高くするなどの理由により、異なる層にある複数の配線パターンを接続するスルーホールを設けようとしても、硬い絶縁層を貫通するようにスルーホールを形成するのが困難となる。
【0011】
本発明の課題は、回路基板への電子部品の実装を容易にし、該電子部品で発生した熱を効率よく放熱し、かつ回路基板にスルーホールを形成し易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による回路基板は、上面に電子部品の実装領域と配線パターンが設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の下面において少なくとも実装領域と上下に重なるように設けられた伝熱体と、第1絶縁層の下面でかつ伝熱体の周囲に設けられた第2絶縁層とを備えている。そして、第2絶縁層は積層構造を有し、第2絶縁層の内層と、第2絶縁層の下面とに、それぞれ配線パターンが設けられている。伝熱体の下面は、第2絶縁層から露出し、第1絶縁層と伝熱体の熱伝導率は、第2絶縁層の熱伝導率より高く、第1絶縁層の硬度は、第2絶縁層の硬度より高く、第1絶縁層と第2絶縁層とを貫通するスルーホールをさらに備えている。このスルーホールにより、第1絶縁層の上面に設けられた配線パターン、第2絶縁層の内層に設けられた配線パターン、および第2絶縁層の下面に設けられた配線パターン同士が接続されている。
【0013】
本発明によると、伝熱体と第2絶縁層の上面に第1絶縁層が設けられているので、伝熱体と絶縁した状態で、伝熱体の上方に1つ以上の電子部品を容易に実装することができる。また、配線パターンも伝熱体と絶縁した状態で、伝熱体の上方に容易に形成することができる。このため、回路基板の上面に電気回路を容易に形成して、回路基板の実装密度を高めることが可能となる。また、第1絶縁層と伝熱体の熱伝導率は第2絶縁層の熱伝導率より高いので、伝熱体の上方に実装された電子部品で発生した熱を、第1絶縁層を介して伝熱体に伝え易くして、第2絶縁層から露出する伝熱体の下面から外部に効率よく放熱することができる。さらに、第1絶縁層の熱伝導率を第2絶縁層の熱伝導率より高くしたことで、第1絶縁層の硬度が第2絶縁層の硬度より高くなっても、回路基板の厚み方向の全部ではなく、最も上にある第1絶縁層だけが硬くなる。このため、第1絶縁層と第2絶縁層とを貫通するように、回路基板にスルーホールを形成し易くすることができる。そして、回路基板の異なる層にある複数の配線パターンをスルーホールにより接続したり、電子部品のリード端子をスルーホールに挿入してはんだ付けしたりして、多層の回路基板の回路構成の自由度を高くすることが可能となる。また、回路基板を所定の大きさ(外形)に切断し易くすることもできる。
【0014】
本発明では、上記回路基板において、第1絶縁層の厚みは第2絶縁層の厚みより薄いことが好ましい。
【0015】
また、本発明では、上記回路基板において、伝熱体の熱伝導率は、第1絶縁層の熱伝導率より高いことが好ましい。
【0016】
また、本発明では、上記回路基板において、伝熱体は、第1絶縁層の上面に設けられた複数の実装領域と重なるように広範囲に設けられていてもよい。
【0017】
また、本発明では、上記回路基板において、第2絶縁層の内層は、第1絶縁層と第2絶縁層の間にある第1内層と、第2絶縁層の内部にある第2内層とからなり、第1内層および第2内層に、それぞれ配線パターンが設けられていてもよい。
【0018】
また、本発明では、上記回路基板において、第2絶縁層の下面に、電子部品の実装領域と配線パターンが設けられていてもよい。
【0019】
また、本発明による電子装置は、上述した回路基板と、回路基板に設けられた実装領域に実装された発熱する電子部品と、回路基板に設けられた伝熱体の下面に接触するように設けられた放熱体とを備えている。
【0020】
本発明では、上記電子装置において、放熱体は、回路基板に設けられた第2絶縁層の下面に実装された電子部品または導体から離間しているのが好ましい。
【0021】
本発明では、上記電子装置において、回路基板に設けられた第1絶縁層と対向する伝熱体および放熱体の各面の面積は、第1絶縁層に設けられた実装領域の面積より大きくてもよい。そして、第1絶縁層において実装領域および配線パターンと重ならない非重畳位置に、第1絶縁層と伝熱体を貫通する貫通孔を設けるとともに、該貫通孔と連通するように放熱体に螺合孔を設け、第1絶縁層の上方から螺合部材を貫通孔へ貫通させて螺合孔に螺合することにより、伝熱体の下面に放熱体を固定してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回路基板への電子部品の実装を容易にし、該電子部品で発生した熱を効率よく放熱し、かつ回路基板にスルーホールを形成し易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態の回路基板の上面にある上表層を示した図である。
図2図1のA−A断面を示した図である。
図3図1の回路基板の内部にある内層を示した図である。
図4図1の回路基板の下面にある下表層を示した図である。
図5A図1の回路基板の製造工程を示した図である。
図5B図5Aの製造工程の続きを示した図である。
図6図5Aの製造工程の一部を示した図である。
図7】本発明の第2実施形態の回路基板の上面にある上表層を示した図である。
図8図7のB−B断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分および対応する部分には同一符号を付している。
【0025】
まず、第1実施形態の回路基板10および電子装置100の構造を、図1図4を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、第1実施形態の回路基板10の上面にある上表層L1を示した図である。図2は、図1のA−A断面を示した図である。図3は、回路基板10の内部にある内層L2、L3、L4を示した図である。図4は、回路基板10の下面にある下表層L5を示した図である。なお、図1図3は、回路基板10の上方から見た状態を示し、図4は、回路基板10の下方から見た状態を示している。また、各図では、便宜上、回路基板10および電子装置100の一部のみ図示している。
【0027】
電子装置100は、たとえば電気自動車またはハイブリッドカーに搭載されるDC−DCコンバータから成る。電子装置100は、回路基板10、電子部品9a〜9j、およびヒートシンク4から構成されている。
【0028】
図2に示すように、回路基板10は、上面と下面にそれぞれ表層L1、L5が設けられ、内部に複数の内層L2、L3、L4が設けられた多層基板である。回路基板10には、第1絶縁層1、第2絶縁層2、メタルコア3、ヒートシンク4、配線パターン5a〜5w(図4も参照)、およびスルーホール6a〜6eなどが備わっている。
【0029】
第1絶縁層1は、高熱伝導性のプリプレグから構成されている。高熱伝導性のプリプレグは、たとえば、アルミナをエポキシに混ぜ込むなどして生成された、高熱伝導性と絶縁性を有するプリプレグである。第1絶縁層1は、所定の厚み(100μm程度)を有する平板状に形成されている。外部に露出する第1絶縁層1の上面には、上表層L1が設けられている。図1に示すように、上表層L1には、電子部品9a〜9gの実装領域Ra〜Rgと配線パターン5a〜5iが設けられている。
【0030】
配線パターン5a〜5iは、導電性と熱伝導性を有する銅箔から成る。配線パターン5a〜5iの一部は、電子部品9a〜9gをはんだ付けするランドとして機能する。
【0031】
実装領域Ra、Rbには、FET(電界効果トランジスタ)9a、9bがそれぞれ実装される。実装領域Rcには、ディスクリート部品9cが実装される。実装領域Rd〜Rgには、チップコンデンサ9d〜9gがそれぞれ実装される。
【0032】
FET9a、9bは、発熱量の多い表面実装型の電子部品である。FET9aのソース端子s1は、配線パターン5a上にはんだ付けされる。FET9aのゲート端子g1は、配線パターン5b上にはんだ付けされる。FET9aのドレイン端子d1は、配線パターン5c上にはんだ付けされる。FET9bのソース端子s2は、配線パターン5c上にはんだ付けされる。FET9bのゲート端子g2は、配線パターン5d上にはんだ付けされる。FET9bのドレイン端子d2は、配線パターン5eにはんだ付けされる。
【0033】
ディスクリート部品9cは、図2に示すように、回路基板10を貫通するリード端子t1、t2(図1)を備えた電子部品である。ディスクリート部品9cの本体部は、第1絶縁層1の上面に搭載される。ディスクリート部品9cの各リード端子t1、t2は、それぞれスルーホール6c、6dに挿入された後、はんだ付けされる。
【0034】
チップコンデンサ9d〜9gは、表面実装型の電子部品である。図1に示すように、チップコンデンサ9dは、配線パターン5b、5h上にはんだ付けされる。チップコンデンサ9eは、配線パターン5e、5f上にはんだ付けされる。チップコンデンサ9fは、配線パターン5d、5i上にはんだ付けされる。チップコンデンサ9gは、配線パターン5e、5g上にはんだ付けされる。
【0035】
図2に示すように、第1絶縁層1の下面において、少なくともFET9a、9bの実装領域Ra、Rbと上下に重なるように、メタルコア3が設けられている。詳しくは、図1に示すように、回路基板10の上方から見て、メタルコア3は、第1絶縁層1の上面に設けられた複数の実装領域Ra、Rb、Rd、Rfや複数の配線パターン5a〜5e、5h、5iと面方向において全部または一部重なるように、広範囲に設けられている。
【0036】
メタルコア3は、導電性と熱伝導性を有する銅などの金属板から成る。メタルコア3は、図1および図4に示すように上方または下方から見ると矩形状であり、回路基板10より小さく形成されている。図2に示すように、メタルコア3の上面は、第1絶縁層1で覆われている。メタルコア3は、本発明の「伝熱体」の一例である。
【0037】
第1絶縁層1の下面でかつメタルコア3の周囲(全側方)には、第2絶縁層2が設けられている。メタルコア3の下面は、第2絶縁層2から露出している。
【0038】
第2絶縁層2は、合成樹脂を含浸させた通常のプリプレグ2bの上下両面に、銅張積層板2aをそれぞれ接着することにより構成されている。通常のプリプレグ2bは、一般的なプリント基板の材料となるプリプレグのことである。銅張積層板2aは、ガラス繊維を含んだエポキシなどの合成樹脂から成る板材の上下両面に、銅箔を貼り付けたものである。このため、第2絶縁層2は、第1絶縁層1より厚みが厚い平板状に形成されていて、積層構造を有している。
【0039】
また、第2絶縁層2には、通常のプリプレグ2bと銅張積層板2aのコア(合成樹脂製)2cという、2種類の絶縁部分がある。これら絶縁部分2b、2cの材質は異なっていて、各絶縁部分2b、2cの厚みは第1絶縁層1の厚みと同等になっている。
【0040】
第1絶縁層1とメタルコア3の熱伝導率は、第2絶縁層2の熱伝導率より高くなっている。また、メタルコア3の熱伝導率は、第1絶縁層1の熱伝導率より高くなっている。具体的には、たとえば、第2絶縁層2の熱伝導率が0.3〜0.5W/mK(mK:メートル・ケルビン)であるのに対して、第1絶縁層1の熱伝導率は3〜5W/mKである。また、メタルコア3を銅製にした場合、メタルコア3の熱伝導率は約400W/mKである。
【0041】
第1絶縁層1をアルミナ等が混入された高熱伝導性のプリプレグから構成し、第2絶縁層2を通常のプリプレグ2bと銅張積層板2aとから構成したことで、第1絶縁層1の硬度は第2絶縁層2の硬度より高くなっている。
【0042】
第2絶縁層2の各銅張積層板2aの銅箔部分を用いて、第1絶縁層1と第2絶縁層2の間に内層L2が設けられ、第2絶縁層2内に内層L3、L4が設けられ、第2絶縁層2の下面に下表層L5が設けられている。
【0043】
図3に示すように、内層L2〜L4には、配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”が設けられている。各配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”は、導電性と熱伝導性を有する銅箔から成る。
【0044】
本例では、内層L2の配線パターン5j、5k、5l、5m、5nと、内層L3の配線パターン5j’、5k’、5l’、5m’、5n’と、内層L4の配線パターン5j”、5k”、5l”、5m”、5n”とは、それぞれ同形状になっている。他の例として、各内層L2、L3、L4の配線パターンの形状を異ならせてもよい。
【0045】
各内層L2〜L4において、配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”とメタルコア3の間には、第2絶縁層2のプリプレグが介在している。メタルコア3と配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”とは、絶縁されている。内層L2は、本発明の「第1内層」の一例であり、内層L3、L4は、本発明の「第2内層」の一例である。
【0046】
図4に示すように、下表層L5には、電子部品9h〜9jの実装領域Rh〜Rjと配線パターン5o〜5wが設けられている。配線パターン5o〜5wは、導電性と熱伝導性を有する銅箔から成る。配線パターン5p、5q、5s、5t、5v、5wの一部は、電子部品9h〜9jをはんだ付けするランドとして機能する。
【0047】
電子部品9h〜9jは、表面実装型のチップコンデンサである。チップコンデンサ9hは、配線パターン5p、5q上にはんだ付けされる。チップコンデンサ9iは、配線パターン5t、5s上にはんだ付けされる。チップコンデンサ9jは、配線パターン5v、5w上にはんだ付けされる。メタルコア3の近傍にある配線パターン5o、5p、5r、5s、5uとメタルコア3の間には、第2絶縁層2のプリプレグが介在している。メタルコア3と各配線パターン5o〜5wとは、絶縁されている。
【0048】
貫通導体であるスルーホール6a〜6eは、第1絶縁層1と第2絶縁層2と該両絶縁層1、2にある配線パターンを貫通している(図2)。各スルーホール6a〜6eの内面には、銅やはんだのめっきが施されている。スルーホール6a〜6eは、異なる層L1〜L5にある配線パターン同士を接続している。
【0049】
詳しくは、スルーホール6aは、絶縁層1、2と上表層L1の配線パターン5aと内層L2〜L4の配線パターン5j、5j’、5j”と下表層L5の配線パターン5oを貫通するように複数設けられている。各スルーホール6aは、それら配線パターン5a、5j、5j’、5j”、5oを接続している。
【0050】
スルーホール6bは、絶縁層1、2と上表層L1の配線パターン5eと内層L2〜L4の配線パターン5m、5m’、5m”と下表層L5の配線パターン5sを貫通するように複数設けられている。各スルーホール6bは、それら配線パターン5e、5m、5m’、5m”、5sを接続している。
【0051】
スルーホール6cは、絶縁層1、2と上表層L1の配線パターン5eと内層L2〜L4の配線パターン5m、5m’、5m”と下表層L5の配線パターン5sを貫通するように設けられている。スルーホール6cには、ディスクリート部品9cの一方のリード端子t1がはんだ付けされ、該リード端子t1と配線パターン5e、5m、5m’、5m”、5sを接続している。
【0052】
スルーホール6dは、絶縁層1、2と上表層L1の配線パターン5fと内層L2〜L4の配線パターン5n、5n’、5n”と下表層L5の配線パターン5rを貫通するように設けられている。スルーホール6dには、ディスクリート部品9cの他方のリード端子t2がはんだ付けされ、該リード端子t2と配線パターン5f、5n、5n’、5n”、5rを接続している。
【0053】
スルーホール6eは、絶縁層1、2と上表層L1の配線パターン5hと内層L2〜L4の配線パターン5k、5k’、5k”と下表層L5の配線パターン5pを貫通するように設けられている。スルーホール6eは、それら配線パターン5h、5k、5k’、5k”、5pを接続している。
【0054】
図2に示すように、第2絶縁層2とメタルコア3の下方には、ヒートシンク4が設けられている。ヒートシンク4は、アルミニウムなどの金属製であり、回路基板10で生じた熱を外部に放出して、回路基板10を冷却する。ヒートシンク4は、本発明の「放熱体」の一例である。
【0055】
ヒートシンク4の上面には、上方へ突出した凸部4a、4bが形成されている。凸部4a、4bの上面は、回路基板10の板面と平行になっている。
【0056】
ヒートシンク4の凸部4bには、回路基板10の厚み方向(図2で上下方向)と平行に、螺合孔4hが形成されている。各絶縁層1、2において、実装領域Ra〜Rjおよび配線パターン5a〜5wと重ならない非重畳位置Pには、貫通孔7が設けられている。この貫通孔7は、ヒートシンク4の螺合孔4hと連通する。
【0057】
第1絶縁層1の上方からねじ8を貫通孔7へ貫通させて、ヒートシンク4の螺合孔4hに螺合することにより、図2に示すように、第2絶縁層2の下面にヒートシンク4の凸部4bが固定される。このようなねじ止め箇所を複数設けることにより、回路基板10の下方にヒートシンク4が取り付けられる。ねじ8は、本発明の「螺合部材」の一例である。
【0058】
第2絶縁層2の下面にヒートシンク4の凸部4bを固定した状態で、メタルコア3の下面とヒートシンク4の凸部4aの上面とが接触する。本例では、下表層L5の配線パターン5o、5p、5r、5s、5uとメタルコア3の間に、所定の絶縁距離を確保するなどの理由により、ヒートシンク4の凸部4aの上面の面積を、メタルコア3の下面の面積より若干狭くしている。
【0059】
他の例として、下表層L5の配線パターンや電子部品の配置を考慮して、ヒートシンク4の凸部4aの上面の面積を、メタルコア3の下面の面積に対して、同一にしたり若干広くしたりしてもよい。
【0060】
ヒートシンク4の凸部4aの上面には、高熱伝導性を有するサーマルグリス(図示省略)が塗布されている。これにより、凸部4aの上面とメタルコア3の下面との密着性が高められ、かつメタルコア3からヒートシンク4への熱伝導性が高められる。
【0061】
次に、回路基板10の製造方法を、図5A図5B、および図6を参照しながら説明する。
【0062】
図5Aおよび図5Bは、回路基板10の製造工程を示した図である。図6は、図5Aの製造工程の一部を示した図である。なお、図5A図6では、便宜上、回路基板10の各部を簡略化して示している。
【0063】
図5Aにおいて、2枚の銅張積層板2aのうち、一方の銅張積層板2aの上下両面にある銅箔をエッチング処理などして、内層L2、L3の配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’(図5Aおよび図5Bでは符号省略)を形成する。また、他方の銅張積層板2aの上面にある銅箔をエッチング処理などして、内層L4の配線パターン5j”〜5n”(図5Aおよび図5Bでは符号省略)を形成する(図5Aの(1))。
【0064】
次に、各銅張積層板2aにメタルコア3を嵌入させるための矩形孔2hを形成する(図5Aの(2))。また、通常のプリプレグ2bにも、メタルコア3を嵌入させるための矩形孔2h’を形成する(図5Aの(3))。
【0065】
なお、銅張積層板2aや通常のプリプレグ2bに矩形孔2h、2h’を形成する際は、図6に示すように、矩形孔2h、2h’の内側面に内側に向かって突出する複数の桟部2sを所定の間隔で形成してもよい。この場合、各桟部2sの長さは、矩形孔2h、2h’にメタルコア3を嵌入させた状態で、メタルコア3の外側面にほぼ達するような長さにする。これにより、メタルコア3と矩形孔2h、2h’の側壁との接触面積が小さくなり、メタルコア3を矩形孔2h、2h’に嵌入させることが容易になる。
【0066】
また、所定の厚みを有する高熱伝導性のプリプレグ1aと、該プリプレグ1aの上面に貼り付けるための所定の厚みを有する銅箔5を準備する(図5Aの(4))。さらに、銅などの金属板を加工して、所定の形状のメタルコア3を形成する(図5Aの(5))。
【0067】
そして、下から、一方の銅張積層板2aと通常のプリプレグ2bと他方の銅張積層板2aを順に積み重ねて、これらの矩形孔2h、2h’にメタルコア3を嵌入させる。さらに、それらの上に、高熱伝導性のプリプレグ1aと銅箔5を順に積み重ねた後、熱を加えながら上下方向(各部材の厚み方向)に圧着する(図5Bの(6))。これにより、各プリプレグ2b、1aの合成樹脂が溶融して、部材間の隙間に入り込み、各部材が接着され、第2絶縁層2と第1絶縁層1と内層L2〜L4が構成される(図5Bの(6’))。
【0068】
次に、所定の箇所にドリルなどで孔をあけて、該孔の内面にめっきを施して、スルーホール6a〜6e(図5Bでは符号6の部分)を形成する(図5Bの(7))。次に、最上部にある銅箔5をエッチング処理などして、第1絶縁層1の上面に上表層L1の配線パターン5a〜5i(図5Bでは符号省略)を形成する。また、最下部にある銅箔をエッチング処理などして、第2絶縁層2の下面に下表層L5の配線パターン5o〜5w(図5Bでは符号省略)を形成する。(図5Bの(8))。このとき、両表層L1、L5に、電子部品の実装領域Ra〜Rj(図1図4)も設ける。
【0069】
この後、露出している第1絶縁層1の上面、配線パターン5a〜5i、第2絶縁層2の下面、および配線パターン5o〜5wなどに対して、レジストやシルクなどの表面処理を施す(図5Bの(9))。そして、各絶縁層1、2の余分な端部を切断するなどして、外形を加工する(図5Bの(10))。以上により、回路基板10が形成される。
【0070】
上記第1実施形態によると、メタルコア3と第2絶縁層2の上面に、第1絶縁層1が設けられているので、メタルコア3と絶縁した状態で、メタルコア3の上方に1つ以上の電子部品9a、9b、9d、9fを容易に実装することができる。また、配線パターン5a〜5e、5h、5iもメタルコア3と絶縁した状態で、メタルコア3の上方に容易に形成することができる。このため、回路基板10の上面に電気回路を容易に形成して、回路基板10の実装密度を高めることが可能となる。
【0071】
また、第1絶縁層1の熱伝導率は第2絶縁層2の熱伝導率より高く、メタルコア3の熱伝導率は第1絶縁層1の熱伝導率より高くなっている。このため、メタルコア3の上方に実装された電子部品9a、9b、9d、9fで発生した熱を、第1絶縁層1を介してメタルコア3に伝え易くすることができる。そして、第2絶縁層2から露出するメタルコア3の下面から、接触するヒートシンク4に熱を伝えて、ヒートシンク4から外部へ効率よく放熱することができる。
【0072】
さらに、第1絶縁層1と第2絶縁層2の材質を異ならせて、第1絶縁層1の熱伝導率を第2絶縁層2の熱伝導率より高くしたことで、第1絶縁層1の硬度が第2絶縁層2の硬度より高くなっても、回路基板10の厚み方向の全部ではなく、最も上にある第1絶縁層1だけが硬くなる。このため、第1絶縁層1と第2絶縁層2とを貫通するように、回路基板10にスルーホール6a〜6eを形成し易くすることができる。そして、回路基板10の異なる層L1〜L5にある複数の配線パターンをスルーホール6a〜6eにより接続したり、ディスクリート部品9cのリード端子t1、t2をスルーホール6c、6dに挿入してはんだ付けしたりして、多層の回路基板10の回路構成の自由度を高くすることが可能となる。また、回路基板10を所定の大きさ(外形)に切断し易くすることもできる。
【0073】
また、上記第1実施形態では、絶縁層1、2のうち、硬い方の第1絶縁層1の厚みを、柔らかい方の第2絶縁層2の厚みより薄くしている。このため、第1絶縁層1と第2絶縁層2を貫通するように、ドリルなどで孔を容易に形成して、スルーホール6a〜6eをより形成し易くすることができる。
【0074】
また、上記第1実施形態では、第1絶縁層1の上面に設けられた複数の実装領域Ra、Rb、Rd、Rfと重なるように、メタルコア3が広範囲に設けられている。このため、メタルコア3と絶縁した状態でメタルコア3の上方に、複数の電子部品9a、9b、9d、9fを容易に実装し、かつ複数の配線パターン5a〜5e、5h、5iを容易に形成することができる。また、メタルコア3の上方に実装された複数の電子部品9a、9b、9d、9fで発生した熱を、第1絶縁層1とメタルコア3を介してヒートシンク4に伝えて、一括して効率よく放熱することができる。
【0075】
また、上記第1実施形態では、第1絶縁層1と第2絶縁層2の間にある内層L2と、第2絶縁層2の内部にある内層L3、L4とに、それぞれ配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”が形成されている。このため、第1絶縁層1の上面に実装された電子部品9a〜9gで発生した熱を、第1絶縁層1やメタルコア3に伝えた後、内層L2〜L4の配線パターン5j〜5n、5j’〜5n’、5j”〜5n”によって、回路基板10全体に拡散することができる。
【0076】
また、上記第1実施形態では、第2絶縁層2の下面に、電子部品9h〜9jの実装領域Rh〜Rjと配線パターン5o〜5wが設けられている。このため、上面の電子部品9a〜9gで発生して回路基板10全体に拡散した熱や、下面の電子部品9h〜9jで発生した熱を、回路基板10の下方へ放散することができる。また、回路基板10の下面にも電気回路を容易に形成して、回路基板10の実装密度を一層高めることができる。
【0077】
また、上記第1実施形態では、第1絶縁層1の上面と第2絶縁層2の内部や下面に設けられた配線パターン5a、5e、5f、5h、5j、5k、5m、5n、5j’、5k’、5m’、5n’、5j”、5k”、5m”、5n”、5o、5p、5r、5sを、スルーホール6a〜6eにより接続している。このため、回路基板10の上面において、電子部品9a〜9gで発生して配線パターン5a、5e、5f、5hに伝わった熱を、スルーホール6a〜6eを介して内部の配線パターン5j、5k、5m、5n、5j’、5k’、5m’、5n’、5j”、5k”、5m”、5n” に伝えて、回路基板10全体に拡散することができる。また、下面の配線パターン5o、5p、5r、5sにも熱を伝えて、下方へ放熱したり、メタルコア3とヒートシンク4を介して放熱したりすることができる。
【0078】
さらに、上記第1実施形態では、第2絶縁層2の下面に実装された電子部品9h〜9jや配線パターン5o〜5wから、ヒートシンク4を離間させている。このため、回路基板10に実装した電子部品9a〜9jや配線パターン5a〜5wが、ヒートシンク4により意図せず導通するのを防止することができ、電気回路を確実に形成することが可能となる。
【0079】
次に、第2実施形態の回路基板10’および電子装置100の構造を、図7図8を参照しながら説明する。
【0080】
図7は、第2実施形態の回路基板10’の上面にある上表層L1を示した図である。図8は、図7のB−B断面を示した図である。各図では、便宜上、回路基板10’および電子装置100の一部のみ図示している。なお、回路基板10’の内層L2〜L4や下表層L5は、図3および図4と同様である。
【0081】
第2実施形態の回路基板10’では、図7および図8に示すように、ねじ8をメタルコア3へ貫通させて、ヒートシンク4に螺合することにより、メタルコア3とヒートシンク4を固定している。
【0082】
詳しくは、メタルコア3およびヒートシンク4の凸部4aの、第1絶縁層1と対向する各面の面積は、第1絶縁層1の上面に設けられた実装領域Ra、Rb、Rd、Rfの合計面積より大きくなっている。
【0083】
図7に示すように、第1絶縁層1において、上表層L1の実装領域Ra〜Rgおよび配線パターン5a〜5iと重ならない非重畳位置P1、P2、P3、P4には、第1絶縁層1とメタルコア3を貫通するように、貫通孔7h’、3h’(図8)がそれぞれ設けられている。非重畳位置P1、P2、P3、P4および各貫通孔7h’、3h’は、他の層L2〜L5の配線パターン5j〜5wおよび実装領域Rh〜Rjと重ならないようにも設けられている。各貫通孔7h’、3h’と連通するように、ヒートシンク4の凸部4aには、螺合孔4h’がそれぞれ設けられている。
【0084】
第1絶縁層1の上方から4つのねじ8を各貫通孔7h’、3h’へ貫通させて、ヒートシンク4の各螺合孔4h’に螺合する。これにより、図8に示すように、メタルコア3の下面にヒートシンク4の凸部4aが固定される。
【0085】
このようにすることで、電子部品9a〜9jや配線パターン5a〜5wと干渉することなく、ねじ8を上方から回路基板10’へ貫通させてヒートシンク4に螺合し、メタルコア3とヒートシンク4を密接させることができる。そして、メタルコア3の上方に実装された電子部品9a、9b、9d、9fで発生した熱を、第1絶縁層1とメタルコア3を介してヒートシンク4に効率よく伝えて、ヒートシンク4から効率よく放熱することができる。
【0086】
本発明では、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、回路基板10、10’の第1絶縁層1の上面と第2絶縁層2の内部や下面にある配線パターンを導通させるために、スルーホール9a〜9eを設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、銅製の端子やピンなどの導体を回路基板を貫通するように設けて、異なる層の配線パターン同士を接続してもよい。また、本発明のスルーホールには、電気的配線を構成するスルーホールだけでなく、伝熱経路を構成するスルーホール(いわゆるサーマルビア)なども含まれる。
【0087】
また、以上の実施形態では、メタルコア3とヒートシンク4との間にサーマルグリースを介在させた例を示したが、これに代えて、絶縁性と熱伝導性を有するシートなどを用いてもよい。
【0088】
また、以上の実施形態では、上方から見たときのメタルコア3の形状を矩形状にした例を示したが、これに限らず、発熱する電子部品の配置位置や形状に合わせて、上方から見たときのメタルコアの形状は、任意の形にすることができる。
【0089】
また、以上の実施形態では、放熱体として、ヒートシンク4を用いた例を示したが、これに代えて、空冷式や水冷式の放熱器、または冷媒を用いた放熱器などを用いてもよい。また、金属製の放熱体だけでなく、熱伝導性の高い樹脂で形成された放熱体を用いてもよい。
【0090】
また、以上の実施形態では、螺合部材としてねじ8を用いた例を示したが、これに代えて、ビスやボルトなどを用いてもよい。また、他の固定具により回路基板の下方に放熱体を取り付けてもよい。
【0091】
また、以上の実施形態では、2つ表層L1、L5と3つの内層L2〜L4が設けられた回路基板10、10’に本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、上面にだけ配線パターンなどの導体が設けられた単層の回路基板や、2層以上に導体が設けられた回路基板にも適用することができる。
【0092】
さらに、以上の実施形態では、電子装置100として、電気自動車やハイブリッドカーに搭載されるDC−DCコンバータを例に挙げたが、本発明は、回路基板と、発熱する電子部品と、放熱体とを備えた、他の電子装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 第1絶縁層
2 第2絶縁層
3 メタルコア(伝熱体)
3h’ 貫通孔
4 ヒートシンク(放熱体)
4h’ 螺合孔
5a〜5i 上表層の配線パターン
5j〜5n、5j’〜5n ’、5j”〜5n” 内層の配線パターン
5o〜5w 下表層の配線パターン
6a〜6e スルーホール
7h’ 貫通孔
8 ねじ(螺合部材)
9a、9b FET(電子部品)
9c ディスクリート部品(電子部品)
9d〜9j チップコンデンサ(電子部品)
10、10’ 回路基板
100 電子装置
L2 内層(第1内層)
L3、L4 内層(第2内層)
P1〜P4 非重畳位置
Ra〜Rj 実装領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8