(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象物の計量メータから発信されるパルス信号に基づき、前記対象物の使用量の累積値の単位時間当たりの増加量及び直前の単位時間内における増加量に対する増加量の比率を前記対象物の使用量の時系列変化を表す特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段により算出された特徴量の時系列変化及びその特徴量と閾値との大小関係に基づいて前記計量メータの状態変化を検出する検出手段と、
を有し、
前記検出手段は、閾値として、1+α(αは正の値)の第1閾値と1−αの第2閾値とが設定されている場合において前記比率が第1閾値以上または第2閾値以下となったときを前記計量メータの状態変化の検出候補とするものの、前記比率が第1閾値以上となったときから過去または未来の所定期間内に前記比率が第2閾値以下のときがある場合には前記計量メータの状態変化として検出しないことを特徴とする計量メータの状態変化検出装置。
前記検出手段は、前記比率と前記閾値との関係から前記計量メータの状態変化を検出したものの、当該検出をしたときから過去の所定期間内に前記増加量が0のときがある場合には前記計量メータの状態変化として検出しないことを特徴とする請求項1に記載の計量メータの状態変化検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
元々、計量メータのパルス信号の数は、対象物を使用している設備の運転状況に依存する。例えば、設備が停止する、あるいは設備が増加するなどにより、計量メータからBASに送信されるパルス信号の数は変化する。したがって、パルス信号の数の増減、すなわち対象物の使用量の時系列変化から計量メータの断線、交換を検出しようとすると、盆、正月、ゴールデンウィークなどの設備の一時的な運休などを、計量メータの断線、交換を誤検出することがある。
【0007】
こうした誤検出を低減するため、使用量の一定期間の平均値を利用することがある。平均値の時系列変化は、使用量の時系列変化よりも、変化が緩慢であるため、平均値を利用することで、一時的な使用量の変化によるメータの状態変化の誤検出を低減することができる。しかしながら、変化が緩慢になることで、本来検出すべき状態変化の検出にも時間を要することになるため、必要以上に長期間における平均値を利用することはできない。その結果、誤検出低減効果に限度が生じるため、別の方法が期待されている。
【0008】
特許文献1では、計量メータの瞬間的なノイズと、瞬間的な使用量を区別するための装置が示されている。ノイズで誤計測される使用量が、本来、計測したい使用量と比較して、十分に小さいことを利用して、使用量が規定の閾値以上を示した場合に、ノイズと区別している。しかしながら、計量メータの断線時と、設備の運休時は、どちらも使用量がほぼ0になるため、使用量の大小で区別することは難しい。
【0009】
また、特許文献2では、水道メータの上流に設置された流量制御弁の異常を検出するシステムが示されている。しかしながら、異常の誤検出の低減については言及されていない。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、対象物の使用量の時系列変化を参照して従来よりも計量メータの状態変化の誤検出を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る計量メータの状態変化検出装置は、対象物の計量メータから発信されるパルス信号に基づき、前記対象物の使用量の累積値の単位時間当たりの増加量及び直前の単位時間内における増加量に対する増加量の比率を前記対象物の使用量の時系列変化を表す特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段により算出された特徴量の時系列変化及びその特徴量と閾値との大小関係に基づいて前記計量メータの状態変化を検出する検出手段と、を有し、前記検出手段は、閾値として、1+α(αは正の値)の第1閾値と1−αの第2閾値とが設定されている場合において前記比率が第1閾値以上または第2閾値以下となったときを前記計量メータの状態変化の検出候補とするものの、前記比率が第1閾値以上となったときから過去または未来の所定期間内に前記比率が第2閾値以下のときがある場合には前記計量メータの状態変化として検出しないものである。
【0012】
また、前記検出手段は、前記比率と前記閾値との関係から前記計量メータの状態変化を検出したものの、当該検出をしたときから過去の所定期間内に前記増加量が0のときがある場合には前記計量メータの状態変化として検出しないものである。
【0013】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、対象物の計量メータから発信されるパルス信号に基づき、前記対象物の使用量の累積値の単位時間当たりの増加量及び直前の単位時間内における増加量に対する増加量の比率を前記対象物の使用量の時系列変化を表す特徴量として算出する特徴量算出手段、前記特徴量算出手段により算出された特徴量の時系列変化及びその特徴量と閾値との大小関係に基づいて前記計量メータの状態変化を検出する検出手段、として機能させ、前記検出手段は、閾値として、1+α(αは正の値)の第1閾値と1−αの第2閾値とが設定されている場合において前記比率が第1閾値以上または第2閾値以下となったときを前記計量メータの状態変化の検出候補とするものの、前記比率が第1閾値以上となったときから過去または未来の所定期間内に前記比率が第2閾値以下のときがある場合には前記計量メータの状態変化として検出しないものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の使用量の時系列変化を参照して従来よりも計量メータの状態変化の誤検出を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
実施の形態1.
【0017】
図1は、本発明に係る計量メータの状態変化検出装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。
図1には、計量メータの状態変化検出装置(以下、単に「状態変化検出装置」)10と計量メータ2とが示されている。前述したように、対象物として電気、ガス、水道、熱量などがある。本実施の形態における状態変化検出装置10は、計量メータ2と電気的に接続し、計量メータ2から発信されたパルス信号に基づき当該計量メータ2の状態変化を検出する装置である。なお、
図1には、2台の計量メータ2を図示しているが、状態変化検出装置10は、それ以外の台数の計量メータ2の状態変化を検出してもよい。
【0018】
図2は、本実施の形態における状態変化検出装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において状態変化検出装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0019】
図1に戻り、本実施の形態における状態変化検出装置10は、パルス信号受信部11、使用量算出部12、特徴量算出部13、異常検出部14、出力部15、閾値設定部16、メータ情報記憶部17及び比率蓄積部18を有している。なお、
図1には、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、
図1から省略している。パルス信号受信部11は、計量メータ2から発信されたパルス信号を受信する。
【0020】
使用量算出部12は、パルス信号受信部11が受信したパルス信号を受け取り、対象物の使用量を算出する。例えば、パルス単位が1pulse/kWh電気メータから1パルスを受信した場合、1kWhが消費されたものとして算出する。また、使用量算出部12は、対象物の累積値を演算により算出し、メータ情報記憶部17に記録する。例えば、パルス単位1pulse/kWhの電気メータから過去に10パルス受信しており、累積値として、10kWhが記録されていたものとする。この状態で、新たに1パルスを受信した場合、累積値を11kWhに更新する。また、使用量算出部12は、累積値の時系列変化をメータ情報記憶部17に記録してもよい。例えば、累積値を1時間毎に記録することとし、12時時点における累積値をメータ情報記憶部17に記録しており、現在時刻が13時になった場合、使用量算出部12は、13時時点における累積値として、現累積値をメータ情報記憶部17に記録する。現在時刻は、図示していない計時手段より取得する。ここでは時系列変化の記録間隔を1時間として述べたが、任意の間隔でよい。記録間隔は、使用量算出部12に予め設定されているものとする。
【0021】
特徴量算出部13は、パルス信号受信部11が受信したパルス信号に基づき使用量算出部12により算出された累積値の時系列変化から、対象物の使用量の時系列変化を表す特徴量を算出する。異常検出部14は、特徴量算出部13により算出された特徴量の時系列変化及びその特徴量と閾値との大小関係に基づいて計量メータ2の状態変化を検出する。
【0022】
なお、本実施の形態では、上記のように計量メータの交換および断線を「状態変化」と定義した。ただ、正しい計量メータへの交換の場合は何の問題も発生させないので、この場合は状態変化に該当しないものとする。一方、計量メータ2とBAS等の監視装置との間の断線は、計量メータ2自体の異常ではないかもしれないが、計量メータ2から発信されるパルス信号を受信できないという問題を発生させるため、計量メータ2の状態変化として取り扱うようにした。すなわち、本実施の形態における状態変化検出装置10が検出し、検出結果の出力対象とする計量メータ2の「状態変化」というのは、「異常検出」と同義である。
【0023】
出力部15は、異常検出部14が計量メータ2の状態変化を検出したときに、計量メータ2の状態変化が検出されたことと、状態変化の発生した推定時刻を、規定の方法で出力する。本実施の形態における特徴量算出部13は、特徴量として、対象物の使用量の累積値の単位時間当たりの増加量及び直前の増加量に対する増加量の比率を算出するが、比率蓄積部18には、特徴量算出部13により算出された比率が蓄積される。閾値設定部16は、この蓄積された比率に基づいて、計量メータ2の状態変化の検出の際に用いられる閾値を計算により設定する。
【0024】
図3は、本実施の形態におけるメータ情報記憶部17の記憶されるメータ情報のデータ構成の一例を示した図である。メータ情報には、計量メータ2毎に以下の情報が対応付けられている。連番とは、計量メータ2の識別子であり、任意の数値とする。対象とは、計量メータ2の計測対象とする対象物を特定する情報であり、電気、ガス、水道、熱量などが該当する。なお、電気、ガス、水道、熱量と記録するのではなく、A,Bなどの該当する記号で記録してもよい。単位とは、計測対象の単位であり、例えば、電気であればkWh、kWsなど、ガスであればm
3など、水道であればm
3など、熱量であればJ,MJが記録される。パルス単位とは、単位使用量あたりのパルス数を表し、数値で記録される。消費設備名称とは、計量メータ2の計測対象を消費している設備の名称であり、空調冷熱機器、照明などが記録される。なお、空調冷熱、照明と記録するのではなく、A,Bなどの該当する記号で記録してもよい。以上の項目値は、本実施の形態の動作前に予め設定されている必要がある。
【0025】
累積値を格納するフィールドのうち、現累積値には、最新の対象物の使用量の累積値が設定される。累積値(i=1,2,3,・・・)には、各日時における対象物の使用量の累積値が設定される。使用量算出部12は、計量メータ2の使用量の累積値を算出する度にメータ情報記憶部17に書き込む。現累積値は最新の累積値によって更新されるが、過去における累積値も削除せずに記録しておく。
【0026】
状態変化検出装置10における各構成要素11〜15は、状態変化検出装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶手段17,18は、状態変化検出装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0028】
次に、本実施の形態における状態変化検出装置10が行う状態変化検出処理について
図4に示したフローチャートを用いて説明する。
【0029】
ステップ101において、パルス信号受信部11は、計量メータ2からパルス信号を受信する。なお、本実施の形態では、各計量メータ2からパルス信号に対して対象物の異同に関係なく以下の説明する処理を同等に実施するので、ここでは1つの計量メータ2からのパルス信号に着目して説明する。
【0030】
パルス信号が受信されると、ステップ102において、使用量算出部12は、パルスを発信した計量メータ2のパルス単位と単位をメータ情報記憶部17から取得し、使用量を演算する。例えば、パルス単位が10で、単位がkWhである場合、パルスを受信したことで10kWhの電力量が使用されたものとして演算する。演算した使用量を、メータ情報記憶部17に保存されている現累積値に加算し、現累積値を更新する。
【0031】
ステップ103において、直前の現累積値の更新から所定の時間が経過し、規定の時刻になった場合、保存されている現累積値は、過去の履歴として保存される。例えば、1月1日の10時であり、当該時刻が予め規定した時刻であった場合、現累積値は、1月1日10時の累積値としてメータ情報に残しておく。なお、この処理は、図示しないメータ情報管理部等により行うようにしてもよい。
【0032】
ステップ104において、特徴量算出部13は、メータ情報記憶部17に保存されている累積値の時系列変化から、状態変化を検出するための特徴量を演算する。例えば、累積値の増加量の比率yを演算する。
図5(a)に示すように、ある時刻iでの累積値の値をf(i)とする。iからN(N≠0)個過去の累積値の値をf(i−N)とする。この場合、
図5(b)に示すように、累積値の増加量g(i)は、g(i)=f(i)−f(i−N)として演算できる。この場合、
図5(c)に示すように、累積値の増加量の比率yは、y(i)=g(i)/g(i−N)として演算できる。例えば、N=1とすると、直前の時間(i−1)における累積値の増加量はg(i−1)=f(i−1)−f(i−2)と、現在時刻iにおける累積値の増加量はg(i)=f(i)−f(i−1)と、それぞれ演算できるが、現在時刻iの時点で算出できる累積値の増加量の比率yは、y(i)=g(i)/g(i−1)、すなわち直前の時間(i−1)における累積値の増加量g(i−1)に対する現在時刻iにおける累積値の増加量g(i)として演算できる。
【0033】
直近の累積値の増加量g(i)と、過去の累積値の増加量g(i−N)の値が近い場合、比率y(i)は1に近い値を示す。逆に、直近の累積値の増加量g(i)と、過去の累積値の増加量g(i−N)の値が大きく異なる場合、比率y(i)は相対的に1から遠い値を示す。例えば、断線した場合、比率y(i)は0になる。また、3線式の計量メータ2で1線だけが断線した場合、計量メータから受信するパルス数が半分になるため、比率y(i)は0.5以下の値になる可能性が高い。また、計量メータ2のパルス単位は、多くの場合、整数倍、例えば1や10などの数値で規定される。そのため、パルス単位の異なる別の計量メータ2に変更された場合、状態変化検出装置10が受信するパルス数は、整数倍、例えば、10倍以上になったり、1/10以下になったりする。この場合、比率y(i)は、10以上、あるいは0.1以下など、1から相対的に遠い値になる可能性が高い。したがって、比率y(i)が1から相対的に遠い値を示したことにより、計量メータ2の状態変化を検出することが可能になる。
【0034】
ステップ105において、異常検出部14は、特徴量算出部13が算出した特徴量を利用して、計量メータ2の状態変化を次のようにして検出する。
【0035】
まず、異常検出部14は、特徴量算出部13が算出した比率y(i)と、規定の閾値(1+α),(1−α)を比較し、
(y(i))
を満たす場合を計量メータ2の状態変化の検出候補1とする。なお、αは正の値である。
【0036】
また、対象物の増加量が
図6(a)に示すように短期間(T)の間に一時的に増加した場合、比率yは
図6(b)に示すようにプラス方向の閾値(1+α)(以後、「第1の閾値」)以上となった後、マイナス方向の閾値(1−α)(以後、「第2の閾値」)以下となる。計量メータ2の状態変化が生じた場合、対象物の増加量が増加した後に元の値と同水準の値まで増加量が戻ってくる可能性は低いため、比率yがこのような時系列変化を示す可能性も低い。したがって、比率yが、期間Tの間に、第1の閾値以上の値と第2の閾値以下の値の両方を含む時系列変化を示した場合、計量メータ2の状態変化として検出しない。すなわち、異常として検出しない。
【0037】
同様に、対象物の増加量が、
図7(a)に示すように、短期間(T)の間に一時的に減少した場合、比率yは
図7(b)に示すように第2の閾値以下となった後、第1の閾値以上となる。計量メータ2の状態変化が生じた場合、対象物の増加量が減少した後に元の値と同水準の値まで増加量が戻ってくる可能性は低いため、比率yがこのような時系列変化を示す可能性も低い。したがって、比率yが、期間Tの間に、第2の閾値以下の値と第1の閾値以上の値の両方を含む時系列変化を示した場合、計量メータ2の状態変化、つまり異常として検出しない。
【0038】
すなわち、x[i−T,i+T]について、
y(x)>1−α
若しくは
y(x)<1+α
を満たすとき、計量メータ2の状態変化の検出候補2とする。
【0039】
また、対象物の増加量が、
図8(a)に示すように0から増えた場合、比率yが、
図8(b)に示すように計量メータ2の状態変化とは関係なく第1の閾値以上となる。したがって、所定の期間Sの間に増加量が0を示していた場合、計量メータ2の状態変化として検出しない。もしくは、比率yは、y(i)=g(i)/g(i−N)として演算するため、過去の増加量g(i−N)が0を示すと比率yを演算できない。したがって、期間Sの間に比率yが演算できないことがあった場合、計量メータ2の状態変化、つまり異常として検出しない。
【0040】
すなわち、を実数とすると、x[i−S,i]について、
y(x)/0
を満たすとき、計量メータ2の状態変化の検出候補3とする。
【0041】
異常検出部14は、状態変化の検出候補1,2,3の全部、もしくは一部に該当するy(i)を検出したとき、計量メータ2の状態変化として検出する。また、このときのiを状態変化が発生した推定時刻とする。
【0042】
ビル内での営みによって追加設備を一時的に稼働することがある。これにより、対象物の増加量は、計量メータ2の交換や断線とは無関係に、
図6のような時系列変化を示すことがある。また、暦が正月、盆、ゴールデンウィークなどの休日期間になると、ビル内の各設備が運休する。休日期間終了後、各設備は再稼働するため、対象物の増加量は、計量メータ2の交換や断線とは無関係に、
図7,8に示すような時系列変化を示すことがある。本実施の形態における異常検出部14は、特徴量の時系列変化が、所定の条件を満たさないときには、計量メータ2の状態変化として検出しないようにするので、計量メータ2の交換、断線の誤検出を低減することができる。
【0043】
ステップ106において、閾値設定部16は、異常検出部14が利用する閾値に含まれる変数αを更新する。
図9のように、特徴量算出部13が算出する比率y(i)は、平均値1を中心にポアソン分布する。この場合、比率y(i)の標準偏差σは、
【数1】
として演算できる。ここで、数1におけるMはy(i)の総サンプル数である。閾値設定部16は、比率y(i)を比率蓄積部18から読み出し取得する。
【0044】
ポアソン分布は、正規分布の優れた近似であることが知られている。正規分布の場合、平均値±σの範囲に全体の約68%、平均値±2σの範囲に全体の約95%、平均値±3σの範囲に全体の約99%が含まれることが知られている。したがって、閾値設定部16が変数αをα=3σと更新することで、異常検出部14は、通常のポアソン分布の約99%に収まらない比率y(i)を、計量メータ2の状態変化として適切に検出することが可能になる。なお、変数αは、必ずしも3σである必要はなくσの定数倍であればよい。
【0045】
ステップ107において、出力部15は、異常検出部14が計量メータ2の状態変化を検出したとき、状態変化の検出を規定の方法で出力する。例えば、ディスプレイ27に状態変化検出を表示する。具体的には、状態変化が検出された計量メータ2の連番を表示する。状態変化検出装置10が状態変化を検出し、ディスプレイ27に検出結果を表示していることを、状態変化検出装置10の管理者に気付かせるため、図示していないスピーカなどから音・アナウンスを出力してもよい。あるいは、ネットワークコントローラ29が公衆回線網と接続されている場合、出力部15は、予め設定された送信先へ、状態変化の検出結果を送信してもよい。また、出力部15は、計量メータ2の状態が変化したと推定される時刻を、同時に出力してもよい。計量メータ2の状態が変化したと推定される時刻は、異常検出部14が状態変化を検出した時刻とする。
【0046】
なお、
図4では、ステップ107の終了後、一連の状態変化検出処理を終了するよう図示したが、ステップ101に戻り、次のパルス信号を受信して、前述した処理を繰り返し実行してもよい。
【0047】
本実施の形態によれば、対象物の使用量の時系列変化に着目し、計量メータ2の状態変化を検出した場合でも、使用量の時系列変化の内容から一定の規則が導き出せたときには状態変化とみなさないようにしたので、計量メータ2の異常の誤検出を減少させることができる。
【0048】
なお、本実施の形態1においては、
図1に示すように状態変化検出装置10を構成したが、
図1に示した全ての構成要素を状態変化検出装置10に持たせる必要はない。例えば、計量メータ2は、BASに接続され、BASによって累積値が保持管理されている場合がある。この場合、パルス信号受信部11、使用量算出部12及びメータ情報記憶部17は、BAS等の状態変化検出装置10の外部に設けてもよい。そして、状態変化検出装置10は、前述した処理の必要な情報をその外部から取得すればよい。