特許第6381512号(P6381512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381512
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ワイヤーソーの付着物除去装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20180820BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20180820BHJP
   B28D 1/08 20060101ALI20180820BHJP
   B28D 1/22 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B28D7/02
   B24B27/06 Z
   B28D1/08
   B28D1/22
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-241933(P2015-241933)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-105105(P2017-105105A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】399101337
【氏名又は名称】株式会社ジェイテック
(73)【特許権者】
【識別番号】515322611
【氏名又は名称】株式会社アクティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100104363
【弁理士】
【氏名又は名称】端山 博孝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雅春
(72)【発明者】
【氏名】桑原 清
(72)【発明者】
【氏名】平田 誠之
(72)【発明者】
【氏名】荒井 春美
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−010297(JP,A)
【文献】 特開2001−300848(JP,A)
【文献】 特開平07−304028(JP,A)
【文献】 特開2005−329506(JP,A)
【文献】 特開2001−348295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/02
B24B 27/06
B28D 1/08
B28D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物に巻き付けられて、走行回転することにより前記被切断物を切断する無端状ワイヤーソーに付着した付着物を除去する装置であって、
前記ワイヤーソーの走行経路に設けられ、前記ワイヤーソーの外周を包囲する環状のものであって、周方向の一部が開放したヘッダーと、
このヘッダーに圧縮気体を供給する送気管と、
前記ヘッダーに周方向に間隔を置いて取り付けられ、走行中の前記ワイヤーソーに向けて前記圧縮気体を吹き付ける多数のノズルと
を備えてなることを特徴とするワイヤーソーの付着物除去装置。
【請求項2】
前記ワイヤーソーはワイヤーロープの外周に、筒状の台金とその表面に設けられたチップ層とからなるビーズを一定間隔で多数個取り付けたものであって、各ビーズごとに環状の段差部が形成され、
前記ノズルは、各ビーズが前記ヘッダーに到達する所定距離手前の位置で前記段差部に向けて圧縮気体を吹き付けるように、前記ヘッダーに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のワイヤーソーの付着物除去装置。
【請求項3】
前記段差部は前記台金と前記チップ層との間に形成される第1段差部と、前記台金と前記ワイヤーロープとの間に形成される第2段差部とからなり、前記ノズルは前記第1段差部及び第2段差部のそれぞれに向けて圧縮気体を吹き付ける2つのノズル群からなることを特徴とする請求項2記載のワイヤーソーの付着物除去装置。
【請求項4】
前記ヘッダーは、前記ワイヤーソーの走行方向前後に前記ワイヤーソーを通過させるための開口を有する遮蔽ボックスに収容され、
この遮蔽ボックスには除去された付着物を吸引排出するための吸引管が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のワイヤーソーの付着物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーソーの付着物除去装置に関し、より詳細には、コンクリート等の被切断物を切断した結果ワイヤーソーに付着した付着物を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等を切断する装置として、ワイヤーソー切断装置が知られている。ワイヤーソーは、台金の表面にダイヤモンドチップ層を設けたビーズ(ダイヤモンドビーズ)をワイヤーロープの外周に一定間隔で多数個取付けて無端状にしたものであり、このワイヤーソーを被切断物に巻き付け、高速で走行回転させることにより被切断物が切断される。芯材となるワイヤーロープは、通常、外周がゴムや樹脂等の被覆材で保護され、さらに補強のための鋼線がコイル状に巻かれている。
【0003】
被切断物の切断時には、ダイヤモンドチップ層がワイヤーソーに付与される張力により被切断物に押し付けられ、ワイヤーソーが高速で走行回転することにより被切断物は削り取られるように切断される。その際、被切断物は多数のダイヤモンドチップ層で切断(切削)されるため、ダイヤモンドチップ層1個当たりの仕事量(切削量)は小さく、切断によって発生した切粉は、非常に小さな粉状となる。この切り粉がダイヤモンドチップ層の表面や、ダイヤモンドチップ層と台金との間の段差部、台金とワイヤーロープとの間の段差部に付着する。このような切粉の付着は、ワイヤーソーの切削機能の低下や、ワイヤーソーの切断時に生じる発熱の高温化、ワイヤーソー自体の破損・切断の原因となる。
【0004】
特に、発熱高温化したワイヤーソーが、走行回転のために設けられている駆動プーリーや多数の従動プーリーを通過する際に、ワイヤーソーの熱がそれらのプーリーに伝達されるので、プーリーがゴム製のものである場合などには、ゴムが解けて摩耗しやすくなり耐久性が低下することとなる。
【0005】
このようなことから、従来、ワイヤーソーに水をかけて冷却することが行われている。しかしながら、水による冷却は大量の冷却水を必要とし、さらには冷却後の水は切粉と混合して濁水となり、その水処理が必要となる。また、水による冷却は、ワイヤーソーに付着した切粉をある程度洗浄することができるが、水が切粉に粘着力を発生させるため、付着力が大きくなって積層し、完全に除去できない状態となる。これらの除去されない付着物は、発熱したワイヤーソーに対する冷却効果を著しく低下させることとなる。
【0006】
水による冷却は上記のような問題があることから、ワイヤーソーに冷却気体を吹き付けることも行われている(例えば特許文献1,2参照)。しかしながら、この従来方法は冷却気体をワイヤーソーに向けて一方向からのみ吹き付けるものであるため、ワイヤーソーの外周特に上述の段差部に環状に付着した付着物全体を除去することができない。
【0007】
また、0度C〜マイナス40度Cで急速にワイヤーソーを冷却するため、局所的に冷たい部分と被切断物切断後の温かい部分とが交互に発生し、ワイヤーソーに張力が作用したまま温度応力が繰り返し作用するため、鋼材で構成されるワイヤーソーにとって疲労強度や、全体の強度の低下等を招く。これらの強度低下はワイヤーソーの寿命を縮めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−276418号公報
【特許文献2】特開2005−329506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、被切断物の切断によって付着した付着物を確実に除去して、ワイヤーソーの温度上昇を抑制することができ、その寿命を延ばすことができる、ワイヤーソーの付着物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、被切断物に巻き付けられて、走行回転することにより前記被切断物を切断する無端状ワイヤーソーに付着した付着物を除去する装置であって、
前記ワイヤーソーの走行経路に設けられ、前記ワイヤーソーの外周を包囲する環状のものであって、周方向の一部が開放したヘッダーと、
このヘッダーに圧縮気体を供給する送気管と、
前記ヘッダーに周方向に間隔を置いて取り付けられ、走行中の前記ワイヤーソーに向けて前記圧縮気体を吹き付ける多数のノズルと
を備えてなることを特徴とするワイヤーソーの付着物除去装置にある。
【0011】
より具体的には、前記ワイヤーソーはワイヤーロープの外周に、筒状の台金とその表面に設けられたチップ層とからなるビーズを一定間隔で多数個取り付けたものであって、各ビーズごとに環状の段差部が形成され、
前記ノズルは、各ビーズが前記ヘッダーに到達する所定距離手前の位置で前記段差部に向けて圧縮気体を吹き付けるように、前記ヘッダーに取り付けられている構成を採用することができる。
【0012】
また、前記段差部は前記台金と前記チップ層との間に形成される第1段差部と、前記台金と前記ワイヤーロープとの間に形成される第2段差部とからなり、前記ノズルは前記第1段差部及び第2段差部のそれぞれに向けて圧縮気体を吹き付ける2つのノズル群からなる構成を採用することができる。
【0014】
また、前記ヘッダーは、前記ワイヤーソーの走行方向前後に前記ワイヤーソーを通過させるための開口を有する遮蔽ボックスに収容され、
この遮蔽ボックスには除去された付着物を吸引排出するための吸引管が設けられている構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、被切断物の切断によって付着した付着物を確実に除去することができるので、ワイヤーソーの温度上昇を抑制することができ、その寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明によるワイヤーソーの付着物除去装置の実施形態を示す斜視図である。
図2】同実施形態の鉛直方向断面図である。
図3図2のA−A線矢視断面図である。
図4図2のa部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明によるワイヤーソーの付着物除去装置の実施形態を示す斜視図、図2は同実施形態の鉛直方向断面図、図3図2のA−A線矢視断面図、図4図2のa部の拡大図である。
【0018】
ワイヤーソー30は周知のものであるが、まず、その構造を概略説明する。ワイヤーソー30は、多数のワイヤーを撚ったワイヤーロープ31の外周に一定間隔でダイヤモンドビーズ32を取り付け、無端状としたものである。
【0019】
ワイヤーロープ31は、通常、ダイヤモンドビーズ32,32間の外周に、ワイヤーロープ31を保護するためのゴムや樹脂等の被覆材(符号は示さず)が設けられ、さらに被覆材の補強のために補強鋼線33がコイル状に巻かれている。
【0020】
ダイヤモンドビーズ32は、円筒形の台金34とその外周に設けられたダイヤモンドチップ層35とからなり、台金34がワイヤーロープ31に嵌合固定されることによりワイヤーロープ31に取り付けられる。このようにして構成されるワイヤーソー30は、図示しない切断装置本体に設けられた駆動プーリー及び多数の従動プーリーに巻き掛けられて走行回転し、コンクリート構造物等の被切断物に巻き付けられて被切断物を切断する。
【0021】
ダイヤモンドチップ層35は、通常、台金34よりも軸方向長さが小さくされ、したがってワイヤーロープ31にダイヤモンドビーズ32を取り付けることにより、台金34とダイヤモンドチップ層35との間に第1段差部36が、またワイヤーロープ31と台金34との間に第2段差部37がそれぞれ形成される。これらの段差部36,37は、言うまでもなく環状のものである。
【0022】
図2に矢印Bで示す方向がワイヤーソー30の走行方向であり、段差部はダイヤモンドビーズ32におけるワイヤーソー30の走行方向前後に形成されるが、被切断物の切断によって発生する切粉等の付着物はワイヤーソー30の走行方向前側の段差部36,37に付着する。
【0023】
付着物の除去装置10は、ワイヤーソー30が被切断物を切断して切断装置本体に戻る走行経路に設置される。除去装置10は遮蔽ボックス11と、遮蔽ボックス11内に収容配置されたヘッダー12と、ヘッダー12に空気などの圧縮気体を供給する送気管13と、ヘッダー12に取り付けられた多数のノズル14,15とを備える。
【0024】
遮蔽ボックス11にはワイヤーソー30の走行方向前後にワイヤーソー30を通過させるための開口16が設けられている。ヘッダー12に圧縮気体を供給する送気管13は遮蔽ボックス11に支持され、その端部が遮蔽ボックス11内でヘッダー12に連結されている。この送気管13の他端部は図示しない圧縮気体供給源に連結されている。また、遮蔽ボックス11には除去された付着物を吸引排出するための吸引管17が開口し、この吸引管17は図示しないバキューム装置に連結されている。
【0025】
ヘッダー12はワイヤーソー30を包囲する形状、この実施形態では円環状のものであり、ワイヤーソー30の走行経路を垂直に横切るように送気管13に連結されている。ヘッダー12には、その内方にワイヤーソー30を入れ易くするために周方向の一部に開放部17が設けられている。
【0026】
前後の開口16,16を通して遮蔽ボックス11内を走行するように配置されたワイヤーソー30は、実施形態では下向きとなっている開放部17を介してヘッダー12の内方に、すなわちヘッダー12に包囲されるように配置される。そして、ワイヤーソー30に張力を与えることにより、ワイヤーソー30はその軸線とヘッダー12の中心とがほぼ一致するように位置決めされる。
【0027】
多数のノズル14,15は、図4に示すように、ワイヤーソー30の各ビーズ32がヘッダー12に到達する所定距離L手前の位置で、段差部36,37に向けて圧縮気体を吹き付けるように傾斜してヘッダー12に取り付けられている。具体的には、ノズル14群は第1段差部36に、またノズル15群は第2段差部37にそれぞれ圧縮気体を吹き付けるようにヘッダー12に取り付けられている。これらのノズル14,15は、交互配置となるようにヘッダー12に周方向に間隔を置いて取り付けられている。
【0028】
圧縮気体の吹き付け角度、すなわち第1段差部36については台金34の吹き付け位置を通る母線と圧縮気体流とのなす角度、また第2段差部37についてはワイヤーロープ31の吹き付け位置を通る母線と圧縮気体流とのなす角度、これらの角度が小さいと距離Lが長くなって圧縮気体のエネルギーが減衰してしまうので、吹き付け角度は20度〜40度とすることが望ましい。
【0029】
以上のように構成された除去装置10により、ワイヤーソー30は被切断物を切断(切削)して切断装置本体に戻る前に、遮蔽ボックス11内を通過する。この遮蔽ボックス11内において、ワイヤーソー30にはノズル14,15からの圧縮気体が吹き付けられ、特にダイヤモンドビーズ32の取付けによって形成される第1段差部36及び第2段差部37には、ヘッダー12に到達する所定距離L手前の位置で圧縮気体が吹き付けられる。
【0030】
そして、圧縮気体はワイヤーソー30を包囲するノズル14,15から環状の第1段差部36及び第2段差部37のほぼ全周にわたって吹き付けられるので、段差部36,37に付着した切粉等の付着物は確実に除去される。これにより、ワイヤーソー30には切粉等の付着物が積層して付着することがなく、ワイヤーソー30の温度上昇を抑制することができる。したがって、切断効率を向上させることができ、またワイヤーソーの寿命を延ばすことができる。
【0031】
また、ヘッダー12の周囲は遮蔽ボックス11によって遮蔽され、除去された付着物は吸引管17から排出されるので、切断作業現場付近に付着物が飛散することがなく、作業環境を良好に保つことができる。
【0032】
上記実施形態は例示にすぎず、この発明は種々の態様を採ることができる。上記実施形態では、ワイヤーロープ31にダイヤモンドビーズ32を取り付けることによって2つの環状段差部36,37ができるワイヤーソー30を示したが、ワイヤーソーには台金をその外周とワイヤーロープの外周とが面一になるように取付け、環状段差部が1つだけ形成されるものもあり、この形式のワイヤーソーを使用する場合にもこの発明の除去装置を適用することができる。
【0033】
また、ヘッダー12及びそれに付随する部材をワイヤーソー30の走行経路に間隔を置いて複数設置し、ワイヤーソー30に複数箇所で圧縮気体を吹き付けるようにしてもよい。また、ヘッダー12としては周方向の一部を開放した環状のものを示したが、ヘッダーは一部開放することなく閉じた環状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
10:除去装置
11:遮蔽ボックス
12:ヘッダー
13:送気管
14,15:ノズル
16:開口
17:吸引管
30:ワイヤーソー
31:ワイヤーロープ
32:ダイヤモンドビーズ
34:台金
35:ダイヤモンドチップ層
36:第1段差部
37:第2段差部
図1
図2
図3
図4