【文献】
Journal of Clinical Oncology, 2012.01.20, Vol.30, No.3, p.282-290
【文献】
ACS Medicinal Chemistry Letters, 2011.10.13, Vol.2, No.10, p.774-779
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、式(I)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI−3キナーゼ)阻害剤化合物またはそれの薬学的に許容される塩の投与レジメンに関する。より具体的には、本発明は、増殖性疾患、例えば、癌などに罹患している患者の治療のための式(I)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI−3キナーゼ)阻害剤化合物またはそれの薬学的に許容される塩の投与レジメンに関する。
【0002】
発明の背景
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI−3キナーゼまたはPI3K)は、多くの場合細胞膜において、イノシトール脂質のD−3’の位置へのホスフェートの移動に触媒作用をして、プレクストリン相同ドメイン、FYVE、Phoxおよびその他のリン脂質結合ドメインを含むタンパク質を、さまざまなシグナル伝達複合体中にドッキングすることによってシグナル伝達カスケードにおける二次メッセンジャーとして順次作用するホスホイノシトール−3−ホスフェート(PIP)、ホスホイノシトール−3,4−ジホスフェート(PIP2)およびホスホイノシトール−3,4,5−トリホスフェート(PIP3)を生成する脂質およびセリン/トレオニンキナーゼのファミリーを含む(Vanhaesebroeck et al., Annu. Rev. Biochem 70:535 (2001); Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615 (2001))。クラス1のPI3Ks、クラス1AのPI3Ksの2つについては、p85α、p55α、p50α、p85αまたはp55γであり得る調節サブユニットと構成的に結合した触媒のp110サブユニット(α、β、δイソ型)からなるヘテロダイマーである。クラス1Bサブクラスは、1つのファミリーメンバー、2つの調節サブユニットp101またはp84の1つと結合している触媒のp110γサブユニットからなるヘテロダイマーを有する(Fruman et al., Annu Rev. Biochem. 67:481 (1998); Suire et al., Curr. Biol. 15:566 (2005))。p85/55/50サブユニットのモジュラードメインは、活性化受容体上の特定配列構成内のリン酸化チロシン残基と細胞質チロシンキナーゼを結合するSrc相同(SH2)ドメインを含み、クラス1AのPI3Ksの活性化および局在化をもたらす。クラス1BのPI3Kは、ペプチドの多種多様なレパートリーと非ペプチドリガンドを結合するGタンパク質共役型受容体により直接活性化される(Stephens et al., Cell 89:105 (1997)); Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615-675 (2001))。このため、得られたクラス1のPI3Kのリン脂質生成物は、上流の受容体を、増殖、生存、走化作用、細胞輸送、運動性、代謝、炎症性およびアレルギー性反応、転写ならびに翻訳を含めた下流の細胞活性と連結する(Cantley et al., Cell 64:281 (1991); Escobedo and Williams, Nature 335:85 (1988); Fantl et al., Cell 69:413 (1992))。
【0003】
PI−3キナーゼ阻害剤は、ヒトにおけるさまざまな状態の治療のための有用な治療化合物である。Akt活性化を通してしばしば生存期間を延長させるPI3Kの異常調節は、ヒトの癌における最もよく見られる事象の1つであり、複数のレベルで起こることが示されている。イノシトール環の3’位でホスホイノシチドを脱リン酸化し、その際PI3K活性を拮抗させる腫瘍抑制遺伝子PTENは、さまざまな腫瘍において機能的に削除される。その他の腫瘍において、P110αイソ型、PIK3CA、およびAktに対する遺伝子は増幅され、それらの遺伝子生成物の増加したタンパク質発現は、いくつかのヒトの癌において実証されている。さらに、p85−p110複合体を上方制御させる役目を果たすp85αの変異および転位置が、少数のヒトの癌において記述されている。最後に、下流のシグナル伝達経路を活性化するPIK3CAにおける体細胞ミスセンス変異が、多様性に幅のあるヒトの癌においてかなりの頻度で記述されている(Kang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:802 (2005); Samuels et al., Science 304:554 (2004); Samuels et al., Cancer Cell 7:561-573(2005))。これらの所見は、ホスホイノシトール−3キナーゼおよびこのシグナル伝達経路の上流および下流成分の調節解除がヒトの癌および増殖性疾患と関係がある最も一般的な調節解除の1つであることを示している(Parsons et al., Nature 436:792(2005); Hennessey at el., Nature Rev. Drug Dis. 4:988-1004 (2005))。
【0004】
PI−3キナーゼ阻害剤化合物5−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン(BKM120としても知られる)の固形腫瘍の治療における有効性はヒトにおいて実証されている。Bendell et al., J. Clin. Oncology (2012 Jan. 20), 30(3): 282-90。
【0005】
PI−3キナーゼ阻害剤は、治療用量において、気分の変容、高血糖症、発疹、下痢、食欲不振、悪心、疲労、掻痒および粘膜炎が含まれるがこれらに限定されないマイナスの副作用を生じ得る。それを必要としているヒト患者への100mgのBKM120の連日投与は、Bendell et al., J. Clin. Oncology (2012 Jan. 20), 30(3): 282-90に記載されているように、上記のようなマイナスの副作用を誘発させ得る。
【0006】
PI3K阻害剤である薬物に関しては、薬物の何らかの既知の副作用、ならびに何らかの未知の副作用を最小限に抑えるために、その薬物を最少の有効量で患者に投与する必要性が、一般に薬物で存在するのと同様に存在する。
【0007】
発明の概要
本発明は、増殖性疾患の治療を必要としているヒト患者における増殖性疾患の治療方法であって、前記患者に、1日当たり約60から約120mgの治療有効量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を任意の7日間の内で連続した5日間投与することを含む方法に関する。
【0008】
さらなる実施形態において、本発明は、増殖性疾患を治療する方法であって、第一に、1日当たり約60から約120mgの治療有効量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩をそれを必要としているヒト患者に投与するステップ、第二に、前記ヒト患者に1日当たり約60mgから約120mgの投与後に、前記患者が、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与後の、好中球減少症、血小板減少症、血清クレアチン、ビリルビン増加、無症候性アミラーゼおよび/またはリパーゼ上昇、気分の変容、神経毒性、高血糖症、発疹、下痢、食欲不振、悪心、疲労、間質性肺炎、掻痒および粘膜炎から選択される状態を有することを判定するステップ、および第三に、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与量を、1日当たり約60mgから約120mgを任意の7日間の内で連続した5日間に引き下げるステップを含む方法に関する。
【0009】
増殖性疾患の治療で使用するための医薬の調製における式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、約60から約120mgの式(I)の化合物を含む医薬が、それを必要としているヒト患者に任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与される使用。
【0010】
増殖性疾患の治療で使用するための式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、約60から約120mgの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与することを含む使用。
【0011】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、約60から約120mgの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与することを含み、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて投与される治療レジメン。
【0012】
増殖性疾患の治療でそれを必要としているヒト患者において使用するための医薬組成物であって、約60から約120mgの治療有効量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に含み、任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与される医薬組成物。
【0013】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を1つまたは複数の薬学的に許容される薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物を、前記組成物を式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の約60から約120mgの量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与する使用説明書と組み合わせて含むパッケージ。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、増殖性疾患の治療を必要としているヒト患者における増殖性疾患の治療方法であって、患者に、1日当たり約60から約120mgの治療有効量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を任意の7日間の内で連続した5日間投与することを含む方法に関する。
【0015】
本明細書で使用される一般用語は、特に指定のない限り、以下の意味により定義される:
【0016】
本明細書で使用される用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、別段の断りのない限りそれらのオープンエンドな非限定の意味で使用される。
【0017】
本発明を記載している文脈における(特に後の特許請求の範囲の文脈において)用語「1つの(a)」および「1つの(an)」と「その(the)」ならびに同様の言及は、本明細書で別段の断りがないか文脈によってはっきりと否定されない限り、単数と複数の両方に及ぶものと解釈されるべきである。化合物、塩など対して複数形が使用される場合、これは、単数の化合物、塩などを意味するものと解釈される。
【0018】
用語「ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤」または「PI3K阻害剤」は、PI3−キナーゼを標的にする、減少させるまたは阻害する化合物を指すと本明細書では定義される。PI3−キナーゼ活性は、インスリン、血小板由来増殖因子、インスリン様増殖因子、上皮細胞増殖因子、コロニー刺激因子、および肝細胞増殖因子を含めたいくつかのホルモンおよび増殖因子刺激に応えて増加することが示されており、細胞の増殖および形質転換と関係するプロセスにかかわっている。
【0019】
「アルキル」とは、ヘテロ原子を含有しないアルキル基を指す。従って、この語句は、直鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどを含む。この語句は、また、直鎖のアルキル基の分枝鎖の異性体も含み、例として提供される以下のもの:−CH(CH
3)
2、−CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH(CH
2CH
3)
2、−C(CH
3)
3、−C(CH
2CH
3)
3、−CH
2CH(CH
3)
2、−CH
2CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH(CH
2CH
3)
2、−CH
2C(CH
3)
3、−CH
2C(CH
2CH
3)
3、−CH(CH
3)−CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH
2CH(CH
3)
2、−CH
2CH
2CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH
2CH(CH
2CH
3)
2、−CH
2CH
2C(CH
3)
3、−CH
2CH
2C(CH
2CH
3)
3、−CH(CH
3)CH
2.CH(CH
3)
2、−CH(CH
3)CH(CH
3)CH(CH
3)
2、−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)CH(CH
3)(CH
2CH
3)などが挙げられるがこれらに限定されない。従って、語句の「アルキル基」は、一級アルキル基、二級アルキル基、および三級アルキル基を含む。好ましいアルキル基としては、1〜12個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基が挙げられる。
【0020】
「アルキレン」は、「アルキル」について上で述べられたのと同様の残基を指すが、2つの結合点を有する。典型的なアルキレン基としては、エチレン(−CH
2CH
2−)、プロピレン(−CH
2CH
2CH
2−)、ジメチルプロピレン(−CH
2C(CH
3)
2CH
2−)、およびシクロヘキシルプロピレン(−CH
2CH
2CH(C
6H
13)−)が挙げられる。
【0021】
「アルケニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する以外は上で定義されたアルキル基に関して記載されているもののような2個から約20個までの炭素原子の直鎖基、分枝基、または環状基を指す。例としては、ビニル、−CH=C(H)(CH
3)、−CH=C(CH
3)
2、−C(CH
3)=C(H)
2、−C(CH
3)=C(H)(CH3)、−C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、およびヘキサジエニルが特に挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアルケニル基としては、2〜12個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルケニル基ならびに環状アルケニル基が挙げられる。
【0022】
「アルキニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する以外は上で定義されたアルキル基に関して記載されているもの等の2個から約20個までの炭素原子の直鎖基、分枝基、または環状基を指す。例としては、−C≡C(H)、−C≡C(CH
3)、−C≡C(CH
2CH
3)、−C(H
2)C≡C(H)、−C(H)
2C≡C(CH
3)、および−C(H)
2C≡C(CH
2CH
3)が特に挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアルキニル基としては、2〜12個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルキニル基が挙げられる。
【0023】
アルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、置換されていてもよい。「置換されたアルキル」とは、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)に対する1つまたは複数の結合が、非水素および非炭素原子、例えば以下に限定されないが、F、Cl、Br、およびI等のハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびエステル基等の基の中の酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基等の基の中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミン等の基の中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基等の基の中のケイ素原子;ならびにさまざまなその他の基の中の他のヘテロ原子に対する結合によって置き換えられている上で定義されているアルキル基を指す。置換アルキル基としては、また、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、より高次の結合(例えば二重結合または三重結合)によってヘテロ原子、例えば、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基の中の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリル等の基の中の窒素に置き換えられている基も挙げられる。置換アルキル基としては、さらに、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル基に対する結合によって置き換えられているアルキル基が挙げられる。好ましい置換アルキル基としては、とりわけ、炭素または水素原子に対する1つまたは複数の結合が、フルオロ、クロロ、またはブロモ基に対する1つまたは複数の結合によって置き換えられているアルキル基が挙げられる。別の好ましい置換アルキル基は、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基を含有するその他のアルキル基である。その他の好ましい置換アルキル基としては、炭素または水素原子に対する1つまたは複数の結合が酸素原子に対する結合によって置き換えられ、その結果、置換されたアルキル基がヒドロキシル、アルコキシ、またはアリールオキシ基を含有するものが挙げられる。その他の好ましい置換アルキル基としては、アミン、または置換もしくは非置換のアルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、(アルキル)(アリール)アミン、ジアリールアミン、ヘテロシクリルアミン、ジヘテロシクリルアミン、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン、または(アリール)(ヘテロシクリル)アミン基を有するアルキル基が挙げられる。さらにその他の好ましい置換アルキル基としては、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル基に対する結合によって置き換えられているものが挙げられる。置換アルキルの例は、(CH
2)
3NH
2、−(CH
2)
3NH(CH
3)、−(CH
2)
3NH(CH
3)
2−CH
2C(=CH
2)CH
2NH
2、−CH
2C(=O)CH
2NH
2、−CH
2S(=O)
2CH
3、−CH
2OCH
2NH
2、−CO
2Hである。置換アルキルの置換基の例は、−CH
3、−CH
2H
5、−CH
2OH、−OH、−OCH
3、−OC
2H
5、−OCF
3、−OC(=O)CH
3、−OC(=O)NH
2)−OC(=O)N(CH
3)
2、−CN、−NO
2、−C(=O)CH
3、−CO
2H、−CO
2CH
3、−CONH
2、−NH
2、−N(CH
3)
2、−NHSO
2CH
3、−NHCOCH
3、−NHC(=O)OCH
3、−NHSO−
2CH
3、−SO
2CH
3、−SO
2NH
2、ハロである。
【0024】
「置換アルケニル」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じアルケニル基についての意味を有する。置換アルケニル基としては、非炭素原子または非水素原子が、別の炭素に二重結合している炭素に結合しているアルケニル基および非炭素原子または非水素原子の1つが、別の炭素への二重結合に関与していない炭素に結合しているものが挙げられる。
【0025】
「置換アルキニル」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じアルキニル基についての意味を有する。置換アルキニル基としては、非炭素原子または非水素原子が、別の炭素に三重結合している炭素に結合しているアルキニル基および非炭素原子または非水素原子が、別の炭素への三重結合に関与していない炭素に結合しているものが挙げられる。
【0026】
「アルコキシ」とは、RがアルキルであるRO−を指す。アルコキシ基の代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0027】
「ハロゲン」または「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、およびヨード基を指す。用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されているアルキル基を指す。用語「ハロアルコキシ」は、1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基を指す。
【0028】
「アミノ」は、本明細書では基−NH
2を指す。用語「アルキルアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアルキルであり、R’が水素またはアルキルである基を指す。用語「アリールアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアリールであり、R’が水素、アルキル、またはアリールである基を指す。用語「アラルキルアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアラルキルであり、R’が水素、アルキル、アリール、またはアラルキルである基を指す。
【0029】
「アルコキシアルキル」は、基−alk
1−O−alk
2を指し、ここで、alk
1はアルキルまたはアルケニルであり、alk
2は、アルキルまたはアルケニルである。用語「アリールオキシアルキル」は、基−アルキルO−アリールを指す。用語「アラルコキシアルキル」は、基−アルキレニル−O−アラルキルを指す。
【0030】
「アルコキシアルキルアミノ」は、本明細書では、基−NR−(アルコキシアルキル)を指し、ここで、Rは、一般的には、水素、アラルキル、またはアルキルである。
【0031】
「アミノカルボニル」は、本明細書では、基−C(O)−NH
2を指す。「置換アミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR’であって、RがアルキルでありR’が水素またはアルキルである基を指す。用語「アリールアミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR’であって、RがアリールでありR’が水素、アルキル、またはアリールである基を指す。「アラルキルアミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR’であって、Rがアラルキルであり、R’が水素、アルキル、アリール、またはアラルキルである基を指す。
【0032】
「アミノスルホニル」は、本明細書では、基−S(O)
2−NH
2を指す。「置換アミノスルホニル」は、本明細書では、−S(O)
2−NRR’であって、Rがアルキルであり、R’が水素またはアルキルである基を指す。用語「アラルキルアミノスルホニルアリール」は、本明細書では、基−アリール−S(O)
2−NH−アラルキルを指す。
【0033】
「カルボニル」は、二価の基−C(O)−を指す。
【0034】
「カルボニルオキシ」は、一般に、基−C(O)−Oを指す。かかる基としては、−C(O)−O−Rであって、Rが、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであるエステルが挙げられる。用語「カルボニルオキシシクロアルキル」は、一般に本明細書では、「カルボニルオキシカルボシクロアルキル」および「カルボニルオキシヘテロシクロアルキル」、すなわち、Rが、それぞれ、カルボシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである両方を指す。用語「アリールカルボニルオキシ」は、本明細書では、−C(O)−O−アリールであって、アリールが、単環式または多環式、カルボシクロアリールまたはヘテロシクロアリールである基を指す。用語「アラルキルカルボニルオキシ」は、本明細書では、基−C(O)−O−アラルキルを指す。
【0035】
「スルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−を指す。「アルキルスルホニル」は、−SO
2R−であって、Rがアルキルである構造の置換スルホニルを指す。本発明の化合物において使用されるアルキルスルホニル基は、一般的にはその骨格構造中に1個から6個までの炭素原子を有するアルキルスルホニル基である。従って、本発明の化合物中で使用される典型的なアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル(すなわち、Rがメチルである)、エチルスルホニル(すなわち、Rがエチルである)、プロピルスルホニル(すなわち、Rがプロピルである)などが挙げられる。用語「アリールスルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−アリールを指す。用語「アラルキルスルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−アラルキルを指す。用語「スルホンアミド」は、本明細書では、−SO
2NH
2を指す。
【0036】
「カルボニルアミノ」は、−NH−C(O)−であって、このカルボニルアミノ基のアミド窒素の水素原子が置き換えられたアルキル、アリール、またはアラルキル基であり得る二価の基を指す。かかる基としては、Rが直鎖または分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、またはアリールもしくはアラルキルであるカルバメートエステル(−NH−C(O)−O−R)およびアミド−NH−C(O)−R等の部分が挙げられる。用語「アルキルカルボニルアミノ」は、Rが1個から約6個までの炭素原子をその主鎖構造中に有するアルキルであるアルキルカルボニルアミノを指す。用語「アリールカルボニルアミノ」は、Rがアリールである基−NH−C(O)−Rを指す。同様に、用語「アラルキルカルボニルアミノ」は、Rがアラルキルであるカルボニルアミノを指す。
【0037】
「シクロアルキル」は、単環式または多環式の複素環または炭素環アルキル置換基を指す。代表的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルならびに上で定義した直鎖および分枝鎖アルキル基によって置換されている上記環が挙げられる。典型的なシクロアルキル置換基は、それぞれの主鎖原子が炭素またはヘテロ原子のいずれかである3個から8個までの主鎖(すなわち、環)原子を有する。用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書では、1個から5個まで、より一般的には、1個から4個までのヘテロ原子を環構造中に有するシクロアルキル置換基を指す。本発明の化合物に使用される適切なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。代表的なヘテロシクロアルキル部分としては、例えば、モルホリノ、ピペラジニル(piperazinyl)、ピペラジニル(piperadinyl)などが挙げられる。カルボシクロアルキル基は、全ての環原子が炭素であるシクロアルキル基である。シクロアルキル置換基に関連して使用されるとき、用語「多環式」は、本明細書では縮合および非縮合アルキル環構造を指す。
【0038】
本明細書で使用される「置換複素環」、「複素環基」、「複素環」、または「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有する3員環もしくは4員環または窒素、酸素、もしくは硫黄からなる群から選択される1個から3個までのヘテロ原子を含有する5員環もしくは6員環を指し、この5員環は、0〜2個の二重結合を有しており、6員環は、0〜3個の二重結合を有しており、この窒素および硫黄原子は場合によって酸化されていてもよく、この窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によって四級化されていてもよく、任意の上記の複素環がベンゼン環またはその他の上で定義されている5員もしくは6員の複素環にそれぞれに縮合されている任意の二環式の基を含める。ヘテロシクリル基の例としては:1〜4個の窒素原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、ピロリル、ジヒドロピリジル、ピリミジル、ピラジニル、テトラゾリル、(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル)など;1〜4個の窒素原子を含有する縮合された不飽和複素環基、例えば、以下に限定されないが、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、キノリル、インダゾリルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、モルホリニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合複素環基、例えば、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサジニル(例えば、2H−1,4−ベンズオキサジニル);1〜3個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,−チアジアゾリル)など;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、チアゾロジニルなど;1〜2個の硫黄原子を含有する飽和および不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、ジヒドロジチエニル、ジヒドロジチオニル、テトラヒドロチオフェン、テトラ−ヒドロチオピランなど;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、以下に限定されないが、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアジニル(例えば、2H−1,4−ベンゾチアジニル)、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば、2H−3,4−ジヒドロベンゾチアジニル)、酸素原子を含有する不飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、フリルなど;1〜2個の酸素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、ベンゾジオキソイル(例えば、1,3−ベンゾジオキソイル)など;酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、限定はされないが、ジヒドロオキサチエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、1,4−オキサチアンなど;1〜2個の硫黄原子を含有する不飽和縮合環、例えば、ベンゾジチエニルなど;ならびに酸素原子および1〜2個の酸素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、ベンズオキサチエニルなど、が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい複素環としては、例えば、ジアザピニル、ピリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾイル(imidazoyl)、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、アゼチジニル、N−メチルアゼチジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル、およびベンゾチエニルが挙げられる。ヘテロシクリル基としては、環中の1つまたは複数のS原子が1つまたは2つの酸素原子に二重結合している、上記に記載したもの(スルホキシドおよびスルホン)もまた挙げられる。例えば、ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェンオキシド、およびテトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基は、5個または6個の環の員数を含有する。より好ましいヘテロシクリル基としては、ピペラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、チオモルホリン、ホモピペラジン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、キヌクリジン、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0039】
複素環部分は、非置換のものか、またはヒドロキシ、ハロ、オキソ(C=O)、アルキルイミノ(RN=であってRはアルキルまたはアルコキシ基である)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、シクロアルキルまたはハロアルキルから独立して選択されるさまざまな置換基によって一置換もしくは二置換されたものであり得る。「非置換のヘテロシクリル」にはベンズイミダゾリル等の縮合複素環を含めるが、2−メチルベンズイミダゾリル等の化合物のような環員の1つに結合しているアルキルまたはハロ基等のその他の基を有するヘテロシクリル基は置換ヘテロシクリル基であるので含めない。
【0040】
この複素環基は、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術における技能を有する者には明らかなように、さまざまな位置に結合させることができる。
【0041】
【化1】
式中、Rは、Hまたは本明細書に記載されている複素環置換基である。
代表的な複素環としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニル、アゼチジニル、チアゾリル、フラニル、トリアゾリルベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、インドリル、ナフトピリジニル、インダゾリル、およびキノリジニルがある。
【0042】
「アリール」は、場合によって置換されている3個から14個までの主鎖の炭素またはヘテロ原子を有する単環式または多環式芳香族基を指し、炭素環アリール基および複素環アリール基の両方が挙げられる。この用語は、例としては、フェニル、ビフェニル、アントラセニル、ナフテニル等の基を指すがこれらに限定されない。炭素環アリール基は、芳香環中の全ての環原子が炭素であるアリール基である。用語「ヘテロアリール」は、本明細書では、芳香環中の環原子として1個から4個までのヘテロ原子を有しており、環原子の残りが炭素原子であるアリール基を指す。
【0043】
「非置換アリール」としては、ナフタレン等の縮合環を含有する基が挙げられる。それは環員の1つに結合したアルキルまたはハロ基等のその他の基を有するアリール基は含めず、何故なら、トリル等のアリール基は、以下で記載されるように、置換アリール基であると本明細書では見なされるためである。好ましい非置換のアリール基はフェニルである。非置換アリール基は、しかしながら、親化合物中の1つまたは複数の炭素原子、酸素原子、窒素原子、および/または硫黄原子には結合されていてもよい。
【0044】
「置換アリール基」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じ非置換アリール基についての意味を有する。しかしながら、置換アリール基は、また、芳香族炭素の1つが、上記の非炭素または非水素原子の1つに結合しているアリール基も含み、また、アリール基の1つまたは複数の芳香族炭素が本明細書で定義されている置換および/または非置換のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基に結合しているアリール基も含む。これは、アリール基の2つの炭素原子がアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の2つの原子に結合して縮合環系(例えば、ジヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)の範囲を決める結合配置を含む。従って、語句「置換アリール」は、とりわけトリルおよびヒドロキシフェニルを含むが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される「置換ヘテロアリール」は、本明細書で定義されているヘテロアリール基上の1つ、2つまたは3つの水素原子が、Cl、Br、F、I、−OH、−CN、C
1〜C
3−アルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、アリールにより置換されているC
1〜C
6−アルコキシ、ハロアルキル、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、ニトロ、カルボキサルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドによる独立した交換によって置換されているヘテロアリール基を指す。加えて、任意の1つの置換基は、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル基であり得る。
【0046】
アリール置換基との関連で使用されるとき、用語「多環式アリール」は、本明細書では、少なくとも1つの環状構造が、例えば、ベンゾジオキソール(これはフェニル基に縮合した複素環構造を有する、すなわち、
【0047】
【化2】
)、ナフチルなどのような芳香族である縮合したおよび非縮合の環状構造を指す。本発明の化合物における置換基として使用される典型的なアリールまたはヘテロアリール部分としては、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジルおよびベンズイミダゾリルなどが挙げられる。
【0048】
「アラルキル」もしくは「アリールアルキル」は、アリール基により置換されているアルキル基を指す。一般的に、本発明の化合物に使用されるアラルキル基は、そのアラルキル基のアルキル部分に組み込まれている1個から6個の炭素原子を有する。本発明の化合物に使用される適切なアラルキル基としては、例えば、ベンジル、ピコリルなどが挙げられる。
【0049】
代表的なヘテロアリール基としては、例えば下に示されているものが挙げられる。これらのヘテロアリール基は、さらに置換されることが可能であり、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、さまざまな位置に結合させることができる。
【0050】
【化3】
代表的なヘテロアリールとしては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、チアゾリル、トリアゾリルベンズイミダゾリル、およびベンゾチアゾリルがある。
【0051】
「ビアリール」は、互いに縮合していない2つのアリール基が結合している基または置換基を指す。典型的なビアリール化合物としては、例えば、フェニルベンゼン、ジフェニルジアゼン、4−メチルチオ−1−フェニルベンゼン、フェノキシベンゼン、(2−フェニルエチニル)ベンゼン、ジフェニルケトン、(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)ベンゼン、フェニルベンジルアミン、(フェニルメトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。場合によって置換されている好ましいビアリール基としては、2−(フェニルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]アセトアミド、1,4−ジフェニルベンゼン、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−[ベンジル−アミノ]−アセトアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]アセトアミド、2−(シクロプロピルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−[(2−メチル−プロピル)アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、5−フェニル−2H−ベンゾ−[d]1,3−ジオキソレン、2−クロロ−1−メトキシ−4−フェニルベンゼン、2−[(イミダゾリーネチル)−アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−フェノキシベンゼン、N−(2−アミノ−エチル)−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−カルボキサミド、2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−アミノ}−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−{[(4−メチルフェニル)メチル]アミノ}−N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−(トリフルオロメチル)−ベンゼン、1−ブチル−4−フェニル−ベンゼン、2−(シクロヘキシルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチル−メチル−アミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−アセトアミド、2−(ブチルアミノ)−N−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−2−(4−ピリジルアミノ)−アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−(キヌクリジン−3−イルアミノ)−アセトアミド、N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]ピロリジン−2−イルカルボキサミド、2−アミノ−3−メチル−N−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]ブタンアミド、4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニルアミン、2−(ジメチル−アミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)−フェニル]アセトアミド、4−エチル−1−フェニルベンゼン、1−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]エタン−1−オン、N−(1−カルバモイル−2−ヒドロキシプロピル)[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)−フェニル]−カルボキサミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、4−メトキシ−フェニルフェニルケトン、フェニル−N−ベンズアミド、(tert−ブトキシ)−N−[(4−フェニルフェニイ)−メチル]−カルボキサミド、2−(3−フェニル−フェノキシ)エタンヒドロキサム酸、3−フェニルフェニルプロパノエート、1−(4−エトキシフェニル)−4−メトキシベンゼン、および[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]ピロールが挙げられる。
【0052】
「ヘテロアリールアリール」は、アリール基の1つがヘテロアリール基であるビアリール基を指す。例示的なヘテロアリールアリール基としては、例えば、2−フェニルピリジン、フェニルピロール、3−(2−フェニルエチニル)ピリジン、フェニルピラゾール、5−(2−フェニル−エチニル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン、4−フェニル−1,2,3−チアジアゾール、2−(2−フェニルエチニル)ピラジン、2−フェニルチオフェン、フェニルイミダゾール、3−(2−ピペラジニル−フェニル)−フラン、3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピロールなどが挙げられる。好ましい場合によって置換されているヘテロアリールアリール基としては、5−(2−フェニルエチニル)ピリミジン−2−イルアミン、1−メトキシ−4−(2−チエニル)ベンゼン、1−メトキシ−3−(2−チエニル)ベンゼン、5−メチル−2−フェニル−ピリジン、5−メチル−3−フェニルイソオキサゾール、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]フラン、3−フルオロ−5−(2−フリル)−2−メトキシ−1−プロパ−2−エニルベンゼン、(ヒドロキシイミノ)(5−フェニル(2−チエニル))−メタン、5−[(4−メチルピペラジニル)メチル]−2−フェニルチオフェン、2−(4−エチルフェニル)−チオ−フェン、4−メチル−チオ−1−(2−チエニル)ベンゼン、2−(3−ニトロフェニル)チオフェン、(tert−ブトキシ)−N−[(5−フェニル−(3−ピリジル))メチル]カルボキサミド、ヒドロキシ−N−[(5−フェニル(3−ピリジル))メチル]−アミド、2−(フェニル−メチルチオ)ピリジン、およびベンジルイミダゾールが挙げられる。
【0053】
「ヘテロアリールヘテロアリール」は、アリール基の両方がヘテロアリール基であるビアリール基を指す。例示的なヘテロアリールヘテロアリール基としては、例えば、3−ピリジルイミダゾール、2−イミダゾリルピラジンなどが挙げられる。好ましい場合によって置換されているヘテロアリールヘテロアリール基としては、2−(4−ピペラジニル−3−ピリジル)フラン、ジエチル−(3−ピラジン−2−イル(4−ピリジル))アミン、およびジメチル{2−[2−(5−メチルピラジン−2−イル)エチニル](4−ピリジル)}アミンが挙げられる。
【0054】
「場合によって置換されている」または「置換されている」とは、1つまたは複数の一価または二価の基による水素の交換を指す。適切な置換基としては、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、スルホニル、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキサミジノ、メトキサミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルキアミノ、ハロアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−アルキル、アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アリール−カルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキル−カルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル、アリール、ベンジル、ピリジル、ピラゾリル、ピロール、チオフェン、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0055】
該置換基はそれ自体が置換され得る。その置換基上で置換される基は、カルボキシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノカルボニル、−SR、チオアミド、−SO
3H、−SO
2R、またはシクロアルキルであり得、ここで、Rは、一般的には、水素、ヒドロキシルまたはアルキルである。
【0056】
置換される置換基が直鎖基を含有するとき、その置換は、鎖内で(例えば、2−ヒドロキシプロピル、2−アミノブチルなど)または鎖の末端で(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−シアノプロピルなど)のいずれかで起こり得る。置換された置換基は、共有結合した炭素またはヘテロ原子の直鎖、分枝または環状の配列であり得る。
【0057】
代表的な置換アミノカルボニル基としては、例えば、下に示されているものが挙げられる。これらは、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基によってさらに置換され得る。好ましいアミノカルボニル基としては、N−(2−シアノエチル)カルボキサミド、N−(3−メトキシプロピル)カルボキサミド、N−シクロプロピルカルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)カルボキサミド、メチル2−カルボニルアミノ−3−ヒドロキシプロパノアート、N−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)カルボキサミド、N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]カルボキサミド、N−(2−カルボニルアミノエチル)アセトアミド、N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルボキサミド、N−(2−ピリジルメチル)カルボキサミド、N−(オキソラン−2−イルメチル)−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシピロリジン−2−イル)カルボキサミド、N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルボキサミド、N−[2−(2−オキソ−4−イミダゾリニル)エチル]−カルボキサミド、N−カルボニルアミノメチチアセトアミド、N−(3−ピロリジニルプロピル)カルボキサミド、N−[1−(カルボニルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]−アセトアミド、N−(2−モルホリン−4−イルエチル)カルボキサミド、N−[3−(2−オキソピロリジニル)プロピル]カルボキサミド、4−メチル−2−オキソピペラジン−カルバルデヒド、N−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジニルプロピル)カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−3−モルホリン−4−イルプロピル)カルボキサミド、N−{2−[(5−シアノ−2−ピリジル)アミノ]エチル}カルボキサミド、3−(ジメチルアミノ)−ピロリジンカルバルデヒド、N−[(5−メチルピラジン−2−イル)メチル]カルボキサミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(1−ホルミルピロリジン−3−イル)アセトアミド、および
【0058】
【化4】
が挙げられる。
【0059】
代表的な置換アルコキシカルボニル基としては、例えば、以下に示されているものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、さらに置換され得る。
【0060】
代表的な置換アルコキシカルボニル基としては、例えば、以下に示されているものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、さらに置換され得る。
【0061】
【化5】
【0062】
ヒドロキシル基、アミン基、およびスルフヒドリル基に関する用語の「保護された」とは、Protective Groups in Organic Synthesis、Greene, T.W.;Wuts, P. G. M.、John Wiley & Sons、New York、NY(3rd Edition、1999)に明らかにされており、そこに示されている手順を用いて添加または除去することができるもの等の当業者には周知の保護基によって望ましくない反応から保護されているこれらの官能基性の形態を指す。保護されたヒドロキシル基の例としては、シリルエーテル類、例えば、ヒドロキシル基の、以下に限定されないが、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等の試薬との反応によって得られたものなど;置換メチルおよびエチルエーテル類、例えば、以下に限定されないが、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルなど;エステル類、例えば、以下に限定されないが、ベンゾイルホルメート、ホルメート、アセテート、トリクロロアセテート、およびトリフルオロアセテートなどが挙げられるがこれらに限定されない。保護されたアミン基の例としては、アミド類、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミドなど;イミド類、例えば、フタルイミド、およびジチオスクシンイミドなど;その他が挙げられるがこれらに限定されない。保護されたスルフヒドリル基の例としては、チオエーテル類、例えば、S−ベンジルチオエーテル、およびS−4−ピコリルチオエーテルなど;置換S−メチル誘導体類、例えば、ヘミチオ、ジチオおよびアミノチオアセタールなど;その他が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
「カルボキシ保護基」は、化合物の他の機能部位と関係する反応は行なわれるが、カルボン酸機能をブロックまたは保護するために採用される普通に使用されるカルボン酸保護エステル基の1つによりエステル化されているカルボニル基を指す。その上、カルボキシ保護基は、固体支持体に結合させることができ、それによってその化合物は加水分解を起こす方法によって開裂されて対応する遊離酸を放出するまで、カルボン酸エステルとしてその固体支持体に結合したまま留まる。代表的なカルボキシ保護基としては、例えば、アルキルエステル、第二級アミドなどが挙げられる。
【0064】
用語「医薬組成物」は、ヒト患者に影響を及ぼしている特定の疾患または状態を予防または治療するためにそのヒト患者に投与される少なくとも1つの治療剤を含む混合物または溶液を指すと本明細書では定義される。
【0065】
用語「薬学的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、妥当な利点/リスク比が釣り合っており、過剰な毒性、刺激アレルギー反応およびその他の問題の面倒な事態がなくヒト患者の組織と接触するのに適するそのような化合物、材料、組成物および/または剤形を指すと本明細書では定義される。
【0066】
本明細書で使用される用語「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、ヒト患者における少なくとも1つの症状を軽減する、減少させるまたは緩和する、あるいは疾患の進行の遅延をもたらす治療を含む。例えば、治療は、癌等の障害の1つまたはいくつかの症状の減少あるいは障害の完全な根絶であり得る。本発明の意図において、用語「治療する(treat)」は、また、疾患を停止する、疾患の発症(即ち疾患の臨床症状発現前の期間)を遅らせる、および/または疾患の発生または悪化させるリスクを減らすことを意味する。用語「保護する」は、対象における疾患の発生または持続または悪化を予防、遅延または治療、あるいは必要に応じてその全てを行うことを意味するために本明細書では使用される。
【0067】
本明細書で使用される用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」または「予防(prevention)」は、予防される状態、疾患または障害と関連するまたはそれらによって引き起こされる少なくとも1つの症状の予防を含む。
【0068】
治療剤の組合せの用語「薬学的に有効な量」または「臨床的に有効な量」は、その組合せにより治療される障害の臨床的に観察できる徴候および症状のベースラインを超えて観察できる改善を提供する十分な量である。
【0069】
本明細書で使用される語句「そのような治療を必要としているヒト患者」とは、確認されている増殖性疾患と診断されているまたはそれに罹患しているヒト患者を指す。
【0070】
用語「約(about)」または「およそ(approximately)」は、所与の値または範囲の10%以内、より好ましくは5%以内の意味を有するものとする。
【0071】
WO07/084786は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)の活性を阻害することが見い出されているピリミジン誘導体について記載している。本発明に適している具体的なホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、それらの調製およびそれを含む適切な医薬製剤は、WO07/084786に記載されており、式(I):
【0072】
【化6】
(式中、WがCR
wまたはNであり、
R
wは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)メチル、
(5)トリフルオロメチル、
(6)スルホンアミド、
からなる群から選択され、
R
1が、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換および非置換アルキル、
(6)置換および非置換アルケニル、
(7)置換および非置換アルキニル、
(8)置換および非置換アリール、
(9)置換および非置換ヘテロアリール、
(10)置換および非置換ヘテロシクリル、
(11)置換および非置換シクロアルキル、
(12)−COR
1a、
(13)−CO
2R
1a、
(14)−CONR
1aR
1b、
(15)−NR
1aR
1b、
(16)−NR
1aCOR
1b、
(17)−NR
1aSO
2R
1b、
(18)−OCOR
1a、
(19)−OR
1a、
(20)−SR
1a、
(21)−SOR
1a、
(23)−SO
2NR
laR
1b、
からなる群から選択され、
R
1aおよびR
1bは、
(a)水素、
(b)置換または非置換のアルキル、
(c)置換および非置換のアリール、
(d)置換および非置換のヘテロアリール、
(e)置換および非置換のヘテロシクリル、および
(f)置換および非置換のシクロアルキル、
からなる群から独立して選択され、
R
2が、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)ヒドロキシ、
(6)アミノ、
(7)置換および非置換のアルキル、
(8)−COR
2a、および
(9)−NR
2aCOR
2b、
からなる群から選択され、
R
2aおよびR
2bは、
(a)水素、および
(b)置換または非置換のアルキル、
からなる群から独立して選択され、
R
3が、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換および非置換アルキル、
(6)置換および非置換アルケニル、
(7)置換および非置換アルキニル、
(8)置換および非置換アリール、
(9)置換および非置換ヘテロアリール、
(10)置換および非置換ヘテロシクリル、
(11)置換および非置換シクロアルキル、
(12)−COR
3a、
(14)−NR
3aR
3b、
(13)−NR
3aCOR
3b、
(15)−NR
3aSO
2R
3b、
(16)−OR
3a、
(17)−SR
3a、
(18)−SOR
3a、
(19)−SO
2R
3a、
からなる群から選択され、
R
3aおよびR
3bは、
(a)水素、
(b)置換または非置換のアルキル、
(c)置換および非置換のアリール、
(d)置換および非置換のヘテロアリール、
(e)置換および非置換のヘテロシクリル、および
(f)置換および非置換のシクロアルキル、
からなる群から独立して選択され、および
R
4が、
(1)水素、および
(2)ハロゲン
からなる群から選択される。)
の化合物を含む。
【0073】
式(I)の化合物の定義で使用されている基および記号は、その公開がこれによって参照により本出願中に組み込まれているWO07/084786に開示されている意味を有する。
【0074】
式(I)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤化合物は、遊離の塩基または薬学的に許容されるその塩の形態の組合せで存在し得る。そのような塩は、化合物の最後の単離または精製の間にそのままの状態で、あるいは、塩基または酸の官能基を適切な有機または無機の酸または塩基とそれぞれ別々に反応させることによって調製することができる。式(I)の化合物の適切な塩としては、下記:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2 ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2 ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3 フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。同様に、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化アルキル類、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物など;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルのような硫酸ジアルキル類;長鎖ハロゲン化物、例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など、ベンジルおよびフェネチルの臭化物のようなアラルキルハロゲン化物、およびその他のような物質により四級化され得る。
【0075】
薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例としては、無機酸、例えば、塩酸、ヒドロホウ酸、硝酸、硫酸およびリン酸など、ならびに有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸、クエン酸、ならびにアスパラギン酸およびグルタミン酸のような酸性アミノ酸などが挙げられる。
【0076】
薬学的に許容される塩としては、アルカリおよびアルカリ土類金属に基づくカチオン、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩など、ならびに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない毒性の無いアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオン、が挙げられるがこれらに限定されない。塩基付加塩の形成のために有用なその他の代表的な有機アミンとしては、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミンなど、ならびにアルギニン、リシンおよびオルニチン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0077】
本発明の組合せにおいて使用するための式(I)の好ましい化合物は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤5−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン(以後「化合物A」)またはその塩酸塩である。化合物Aの合成は、その内容が参照により本明細書に組み込まれているWO2007/084786に実施例10として記載されている。
【0078】
本発明によれば、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、単独でまたは1つのさらなる治療剤と組み合わせて、増殖性疾患、特に癌の治療のために使用され得る。用語「癌」とは、例えば、肺および気管支;前立腺;乳房;膵臓;結腸および直腸;甲状腺;肝臓および肝内胆管;肝細胞;胃;神経膠腫/神経膠芽腫;子宮内膜;黒色腫;腎臓および腎盂;膀胱;子宮体部;子宮頸部;卵巣;頭頸部;多発性骨髄腫;食道;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ性白血病;骨髄性白血病;脳;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;黒色腫;および結腸絨毛腺腫を含めたPI3Kの阻害によって有利に治療され得る癌疾患を指す。
【0079】
本発明の化合物は、PI3Kの阻害が示されるヒトまたは家畜への使用のための医薬組成物において、例えば、PI3Kによって媒介される腫瘍および/または癌性細胞増殖などの増殖性疾患の治療において有用である。特に、これら化合物は、例えば、肺および気管支;前立腺;乳房;膵臓;結腸および直腸;甲状腺;肝臓および肝内胆管;肝細胞;胃;神経膠腫/神経膠芽腫;子宮内膜;黒色腫;腎臓および腎盂;膀胱;子宮体部;子宮頸部;卵巣;頭部および頸部;多発性骨髄腫;食道;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ性白血病;骨髄性白血病;脳;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;黒色腫;ならびに結腸絨毛腺腫を含めたヒト癌の治療において有用である。
【0080】
好ましい実施形態において、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、肺および気管支、前立腺、乳房、膵臓、結腸および直腸、肝臓および肝内胆管、肝細胞、胃、神経膠腫/神経膠芽腫、子宮内膜から選択される癌の治療のために使用され得る。
【0081】
本発明の目的のために、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、それを必要としているヒト患者に1日当たり約60から約120mgの投与量で投与され得る。その合計の1日量は、ヒト患者に単回投与または分割投与で投与され得る。用量単位組成物は、1日量を構成する上記量のその約数を含有することができる。一般に、本発明による治療計画は、かかる治療が必要な患者に単回投与または分割投与で1日当たり約60mgから約120mgの本発明の化合物(1つまたは複数)を投与することを含む。本発明によれば、式(I)の化合物は、それを必要としているヒト患者に1日当たり約60から約120mgの投与量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与される。好ましい実施形態において、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、1日当たり約100mgの投与量で任意の7日間の内で連続して5日間にわたって投与される。
【0082】
語句「任意の7日間の内で連続した5日間」は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の1日投与量が任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与されることを指すことが意図されている。従って、いずれの周期においても、ヒト患者は、約60から約120mgの量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を連続した5日間にわたるそれぞれの日に(毎日)投与され、その後式(I)の化合物の任意のさらなる投与を受ける前に2日連続していかなる前記式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩も投与されない。
【0083】
好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、1日当たり約100mgの投与量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって経口投与される5−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン(以後「化合物A」)または薬学的に許容されるその塩である。
【0084】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の1日当たり(即ち週当たり7日)約60から約120mgまでから任意の7日間の内で連続した5日間にわたる1日当たり約60から約120mgまでへの毎週の投薬の減少は、マイナスの副作用を軽減し、減少させまたは緩和しながら、それを必要としているヒト患者における増殖性障害を治療するのに効果的であることが見い出されている。そのようなマイナスの副作用の例としては、好中球減少、血小板減少、血清クレアチン(例えば、ULN(正常値上限)の2〜3倍、またはUNLの>3.0〜6.0倍あるいはULNの>6.0倍)、ビリルビン増加、無症候性アミラーゼおよび/またはリパーゼ上昇(例えば、CTCAEグレード3(ULNの>2.0〜5.0倍)またはグレード4(ULNの>5.0倍))、気分の変容(例えば、CTCAEグレード2、3、または4)、神経毒性(例えば、1以上のCTCAEグレードレベルに上昇)、高血糖症、発疹、下痢(例えば、CTCAEグレード2、3、または4)、食欲不振、悪心、疲労(例えば、CTCAEグレード3または4)、間質性肺炎(例えば、CTCAEグレード2、3、または4)、掻痒および粘膜炎が挙げられる。増殖性疾患に罹患している患者におけるそのようなマイナスの副作用をどのように判定するかは、例えば、それ全体として参照により本明細書に組み込まれる国立癌研究所の有害作用共通毒性基準(NCI Common Toxicity Criteria for Adverse Effects)、3版(http://ctep.cancer.gov/forms/CTCAEv3.pdf)を用いてそのような患者を判定することが当業者には理解されている。
【0085】
従って、1つの態様において、本発明は、それを必要としている患者における増殖性疾患を治療する方法であって、第一に、1日当たり約60から約120mgの治療有効量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩をそれを必要としているそのようなヒト患者に投与するステップ、第二に、前記ヒト患者に1日当たり約60mgから約120mgの投与後に、前記患者が、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与後の、好中球減少症、血小板減少症、血清クレアチン、ビリルビン増加、無症候性アミラーゼおよび/またはリパーゼ上昇、気分の変容、神経毒性、高血糖症、発疹、下痢、食欲不振、悪心、疲労、間質性肺炎、掻痒および粘膜炎から選択される状態を有することを判定するステップ、および第三に、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与量を、1日当たり約60mgから約120mgを任意の7日間の内で連続して5日間に引き下げるステップを含む方法に関する。
【0086】
好ましい実施形態において、ヒト患者は、1日当たり約100mgの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、任意の7日間の内で連続して5日間にわたって投与される。
【0087】
さらなる実施形態において、本発明は、それを必要としている患者における増殖性疾患を治療する方法であって、第一に、1日当たり約60から約120mgの量で式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩をそれを必要としているヒト患者に投与するステップ、第二に、前記ヒト患者に1日当たり約60mgから約120mgの投与後に、前記患者が、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与後の、好中球減少症、血小板減少症、血清クレアチン、ビリルビン増加、無症候性アミラーゼおよび/またはリパーゼ上昇、気分の変容、神経毒性、高血糖症、発疹、下痢、食欲不振、悪心、疲労、間質性肺炎、掻痒および粘膜炎から選択される状態を有することを判定するステップ、および第三に、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与量を、1日当たり約60mgから約120mgを任意の7日間の内で連続して5日間に引き下げるステップを含み、好中球減少症、血小板減少症、血清クレアチン、ビリルビン増加、無症候性アミラーゼおよび/またはリパーゼ上昇、気分の変容、神経毒性、高血糖症、発疹、下痢、食欲不振、悪心、疲労、間質性肺炎、掻痒および粘膜炎から選択される状態が、軽減または治療される方法に関する。
【0088】
増殖性疾患の治療で使用するための医薬の調製における式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、約60から約120mgの式(I)の化合物の治療有効量を含む医薬が、それを必要としているヒト患者に任意の7日間の内で連続して5日間にわたって投与される使用。
【0089】
増殖性疾患の治療で使用するための式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を約60から約120mgの治療有効量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与することを含む使用。
【0090】
上で記載した任意の方法で使用するための式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0091】
式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩が、約60から約120mgの治療有効量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与される、増殖性疾患の治療で使用するための式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0092】
上で記載した任意の方法で使用するための式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0093】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、約60から約120mgの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量で任意の7日間の内で連続して5日間にわたって投与することを含み、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて投与される治療レジメン。
【0094】
本発明で使用するための抗癌剤としては、以下に記載されている1つまたは複数の下記のものが挙げられるが、それらに限定されない:
【0095】
A.キナーゼ阻害剤:本発明の組成物との関連で抗癌剤として使用するためのキナーゼ阻害剤としては、上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、例えばゲフィチニブ(米国特許第5,457,105号、米国特許第5,616,582号、および米国特許第5,770,599号)、ZD−6474(WO01/32651)、エルロチニブ(Tarceva(登録商標)、米国特許第5,747,498号およびWO96/30347)、およびラパチニブ(米国特許第6,727,256号およびWO02/02552)等の小分子キナゾリン類;SU−11248(WO01/60814)、SU5416(米国特許第5,883,113号およびWO99/61422)、SU6668(米国特許第5,883,113号およびWO99/61422)、CHIR−258(米国特許第6,605,617号および米国特許第6,774,237号)、バタラニブまたはPTK−787(米国特許第6,258,812号)、VEGFトラップ(WO02/57423)、B43ゲニステイン(WO096/06116)、フェンレチニド(レチノイン酸p−ヒドロキシフェニルアミン)(米国特許第4,323,581号)、IM−862(WO02/62826)、ベバシズマブまたはアバスチン(登録商標)(WO94/10202)、KRN−951、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、AG−13736およびAG−13925、ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン、ZK−304709、Veglin(登録商標)、VMDA−3601、EG−004、CEP−701(米国特許第5,621,100号)、Cand5(WO04/09769)を含めた血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)キナーゼ阻害剤;Erb2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ペルツズマブ(WO01/00245)、トラスツズマブ、およびリツキシマブなど;Aktタンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、RX−0201など;タンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤、例えば、LY−317615(WO95/17182)、およびペリフォシン(米国特許出願公開第2003/171303号)など;WO03/82272に開示されているソラフェニブ(BAY43−9006)、ARQ−350RP、LErafAON、BMS−354825、AMG−548、およびその他を含めたRaf/Map/MEK/Rasキナーゼ阻害剤;線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤;CYC−202またはロスコビチンを含めた細胞依存性キナーゼ(CDK)阻害剤(WO97/20842およびWO99/02162);血小板由来増殖因子受容体(PGFR)キナーゼ阻害剤、例えば、CHIR−258、3G3mAb、AG−13736、SU−11248およびSU6668など;Bcr−Ablキナーゼ阻害剤および融合タンパク質、例えばSTI−571またはグリーベック(登録商標)(イマチニブ)など;mTORキナーゼ阻害剤、例えば、エベロリムスなどが挙げられる。
【0096】
B.抗エストロゲン剤:本発明の組成物と一緒に抗癌療法において使用するためのエストロゲン標的薬剤としては、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェンを含めた選択的エストロゲン受容体調節薬(SERMs);アリミデックス(登録商標)またはアナストロゾールを含めたアロマターゼ阻害剤;レトロゾール;フェソロデックス(登録商標)またはフルベストラントを含めたエストロゲン受容体ダウンレギュレータ(ERDs)が挙げられる。
【0097】
C.抗アンドロゲン薬:本発明の組成物と一緒に抗癌療法において使用するための抗アントロゲン薬剤としては、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテタミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾール、およびコルチコステロイドが挙げられる。
【0098】
D.その他の阻害剤:本発明の組成物と一緒に抗癌剤として使用するためのその他の阻害剤としては、ティピファニブまたはR−115777(米国特許出願公開第2003/134846号およびWO97/21701)、BMS−214662、AZD−3409、およびFTI−277を含めたタンパク質ファルネシル基転移酵素阻害剤;メルバロンおよびジフロモテカン(BN−80915)を含めたトポイソメラーゼ阻害剤;SB−743921およびMKI−833を含めた分裂期キネシン紡錘タンパク質(KSP);プロテアーゼ修飾因子、例えば、ボルテゾミブまたはベルケイド(登録商標)(米国特許第5,780,454号)、XL−784など;ならびに非ステロイド系抗炎症薬I(NSAIDs)を含めたシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤、が挙げられる。
【0099】
E.癌化学療法薬:本発明の組成物と一緒に抗癌剤として使用するための特定の癌化学療法剤としては、アナストロゾール(アリミデックス(登録商標))、ビカルタミド(カソデックス(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(ブレノキサン(登録商標))、ブスルファン(ミレラン(登録商標))、ブスルファン注射薬(ブスルフェクス(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カプロプラチン(パラプラチン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(登録商標))、シスプラチン(プラチノール(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar−U(登録商標))、シトラビンリポソーム注射薬(デポサイト(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメガン(Cosmegan))、ダウノルビシンヒドロクロリド(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射薬(DaunoXome(登録商標))、デキサメサゾン、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、米国特許公開広報第2004/073044号)、ドキソルビシンヒドロクロリド(アドリアマイシン(登録商標)、ルベックス(登録商標))、エトポシド(ベプシド(登録商標))、フルダラビンホスフェート(フルダラ(登録商標))、5−フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(ハイドレア(登録商標))、イダルビシン(イダマイシン(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(アルケラン(登録商標))、6−メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、ミロタルグ、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、フェニックス(イットリウム90/MX−DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロサン20(グリアデル(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))、およびビノレルビン(ナベルビン(登録商標))、が挙げられる。
【0100】
F.アルキル化剤:本発明の組成物と一緒に抗癌療法に向けて使用するためのアルキル化剤としては、VNP−40101Mまたはクロレチジン、オキサリプラチン(米国特許第4,169,846号、WO03/24978およびWO03/04505)、グルフォスファミド、マフォスファミド、エトポフォス(米国特許第5,041,424号)、プレドニムスチン;トレオスルファン;ブスルファン;イロフルベン(アシルフルベン);ペンクロメジン;ピラゾロアクリジン(PD−115934);O6−ベンジルグアニン;デシタビン(5−アザ−2−デオキシシチジン);ブロスタリシン;マイトマイシンC(MitoExtra);TLK−286(Telcyta(登録商標));テモゾロミド;トラバクテジン(米国特許第5,478,932号);AP−5280(シスプラチンのプラチネート製剤);ポルフィロマイシン;およびクレアラジド(メクロエタミン)が挙げられる。
【0101】
G.キレート化剤:本発明の組成物と一緒に抗癌療法に向けて使用するためのキレート化剤としては、テトラチオモリブデート(WO01/60814);RP−697;キメラT84.66(cT84.66);ガドフォスベセット(バソビスト(登録商標));デフェロキサミン;および場合により電気穿孔法(EPT)と組み合わせたブレオマイシンが挙げられる。
【0102】
H.生体応答修飾物質:本発明の組成物と一緒に抗癌療法に向けて使用するための免疫調節剤等の生体応答修飾物質としては、スタウロスポリンおよびUCN−01、CEP−701およびミドスタウリンを含めたそれらの大環状の類似体(WO02/30941、WO97/07081、WO89/07105、米国特許第5,621,100号、WO93/07153、WO01/04125、WO02/30941、WO93/08809、WO94/06799、WO00/27422、WO96/13506およびWO88/07045参照);スクアラミン(WO01/79255);DA−9601(WO98/04541および米国特許第6,025,387号);アレムツズマブ;インターフェロン類(例えばIFNN−a、IFN−bなど);インターロイキン類、特にIL−2またはアラデスロイキンならびにIL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、および天然ヒト配列の70%を超えるアミノ酸配列を有するその活性生物学的変異体;アルトレタミン(Hexalen(登録商標));SU101またはレフルノミド(WO04/06834および米国特許第6,331,555号);イミダゾキノリン類、例えばレスキモドおよびイミキモド(米国特許第4,689,338号、第5,389,640号、第5,268,376号、第4,929,624号、第5,266,575号、第5,352,784号、第5,494,916号、第5,482,936号、第5,346,905号、第5,395,937号、第5,238,944号、および5,525,612号);およびベンズアゾール類、アントラキノン類、チオセミカルバゾン類、ならびにトリプタンスリン類(WO04/87153、WO04/64759、およびWO04/60308)を含めたSMIPsが挙げられる。
【0103】
I.癌ワクチン:本発明の組成物と一緒に使用するための抗癌ワクチンとしては、Avicine(登録商標)(Tetrahedron Lett. 26: 2269-70(1974));またはエゴボマブ(OvaRex(登録商標));Theratope(登録商標)(STn−KLH);黒色腫ワクチン;Rasタンパク質の5種の変異を指向するGI−4000シリーズ(GI−4014、GI−4015およびGI−4016);GlioVax−1;MelaVax;Advexin(登録商標)またはINGN−201(WO95/12660);HPV−16 E7をコードするSig/E7/LAMP−1;MAGE−3ワクチンまたはM3TK(WO94/05304);HER−2VAX;腫瘍に特異的T細胞を刺激するACTIVE;GM−CSF癌ワクチン;およびリステリア(Listeria)菌ベースのワクチン、が挙げられる。
【0104】
J.アンチセンス療法:本発明の組成物と一緒に使用するための抗癌剤としては、アンチセンス組成物、例えばAEG−35156(GEM−640);AP−12009およびAP−11014(TGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド類);AVI−4126;AVI−4557;AVI−4472;オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標));JFS2;アプリノカルセン(WO97/29780);GTI−2040(R2リボヌクレオチドレダクターゼmRNAアンチセンスオリゴ)(WO98/05769);GTI−2501(WO98/05769);リポソーム封入c−Rafアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(LErafAON)(WO98/43095);およびSirna−027(VEGFR−1 mRNAを標的とするRNAiベースの治療剤)が挙げられる。
【0105】
コード番号、一般名または商標名によって同定される薬物物質の構造は、インターネット、標準的概論「The Merck Index」の現版から、またはデータベース、例えば、Patents International、例えば、IMS World Publications、または上記および下記の出版物から見つけることができる。それらの対応する内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0106】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩および少なくとも1つのさらなる治療剤との組合せにより治療され得る増殖性疾患の例としては、上記のものが挙げられるがそれらに限定されない。本発明の組合せにおいて、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、約60mgから約120mgまで、好ましくは100mgの投与量で、任意の7日間の連続した5日間にわたって毎日投与される。
【0107】
前記組合せの投与は、本発明の組合せにおいて使用される薬学的に活性な成分の1つだけを適用する単独療法と比較して有益な効果、例えば、いずれかの単独療法と比較して、治療効果、例えば、症状の軽減をする、進行を遅延するまたは阻止することに関して、例えば、相乗治療効果だけでなく、さらなる驚くべき有益な効果、例えば、より少ない副作用、改善された生活の質、または減少した病的状態をもたらすことができる。
【0108】
さらなる利益は、より少ない用量の前記組合せの活性成分が使用され得ること、例えば、必要な投薬量が多くの場合より少ないだけでなく、より少ない頻度で適用される、または組合せのパートナーの1つの単独で見られる副作用の発生を減らすために使用され得ることである。これは、治療される患者の要望および必要条件と一致する。
【0109】
本発明の組合せが、本明細書で前に記載されている有益な効果をもたらすことは、確立されたテストモデルによって示すことができる。当業者であれば、そのような有益な効果を証明するための関係するテストモデルを選択することが十分に可能である。本発明の組合せの薬理学的活性は、例えば、臨床試験においてまたは原則的に下文に記載されている試験手順において実証され得る。
【0110】
適切な臨床試験は、特に、例えば、腫瘍疾患、例えば乳癌を含めた増殖性疾患による患者における例えばオープンラベルの用量増加試験である。そのような試験は、特に本発明の組合せの治療剤の相乗効果を立証する。増殖性疾患に対する有益な効果は、当業者にはそのようなものとして知られているこれらの試験の結果により直接断定され得る。そのような試験は、特に、治療剤を使用する単独療法および本発明の組合せの効果を比較するのに適切であり得る。1つの実施形態において、式(I)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤化合物、例えば化合物Aの用量は、最大許容投与量に到達するまで段階的に増加され、組合せのパートナーは、固定用量で投与される。別法では、式(I)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤化合物、例えば化合物Aは固定用量で投与されることができ、組合せパートナーの用量が段階的に増加され得る。各患者は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤の用量を毎日または間欠的のいずれかで受けることができる。その治療の効力は、例えば、12週、18週または24週後の6週毎の症状のスコアの評価によるそのような試験において判定され得る。
【0111】
増殖性疾患の治療でそれを必要としているヒト患者において使用するための医薬組成物であって、治療有効量の約60から約120mgの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に含み、任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与される医薬組成物。
【0112】
腸内または非経口投与のための式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、単独または少なくとも1つのさらなる治療剤(即ち、組合せパートナー)と組み合わせて含む医薬組成物は、例えば、単位剤形、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤もしくは座薬、またはアンプル剤などである。別段の断りのない限り、これらは、それ自体知られているやり方、例えば、さまざまな従来型の混合、粉砕、顆粒化、糖衣、溶解、凍結乾燥プロセス、または当業者には容易にわかる製作技術によって調製される。
【0113】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を単独でまたは少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて含む単位剤形は、カプセルの内側に入れられた微小錠剤の形態をした例えばゼラチンカプセルであり得る。このため、医薬製剤で使用されるときのゼラチンカプセルは、Pfizerから入手できるCAPSUGELとして知られる硬ゼラチンカプセルのように使用され得る。
【0114】
本発明の医薬組成物は、医薬品のために使用される付加的な従来型のキャリアまたは賦形剤を場合によってさらに含むことができる。そのようなキャリアの例としては、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、安定剤、ならびに充填剤、希釈剤、着色剤、香料、および保存料が挙げられるがこれらに限定されない。当業者であれば、剤形の特定の望ましい特性に関して、定型の実験によりおよび何らの過度な負担なしで1つまたは複数の上記のキャリアを選択することができる。使用される各キャリアの量は、当技術分野では通常の範囲内で変動し得る。全て参照により本明細書に組み込まれている以下の参考文献は、経口剤形を製剤化するために使用される技術および賦形剤を開示している。医薬品賦形剤便覧(Pharmaceutical Excipients)、第4版、Roweら編、American Pharmaceuticals Association (2003);およびRemington:薬学の化学および実践(Science and Practice of Pharmacy)、第20版、Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins (2003)を参照。
【0115】
これらの任意の追加的な従来型のキャリアは、1つまたは複数の従来型のキャリアを溶融造粒の前にまたは途中で最初の混合物中に組み込むことによるかまたは1つまたは複数の従来型のキャリアを顆粒と経口剤形中で組み合わせることによるかの何れかによって経口剤形中に組み込まれ得る。後の実施形態において、組み合わされた混合物は、例えばVブレンダーによりさらにブレンドされ、その後、錠剤、例えばモノリシック錠剤に圧縮または成型され、カプセルによって封入され、または小袋中に充填される。
【0116】
薬学的に許容される崩壊剤の例としては、デンプン;粘土;セルロース;アルギン酸塩;ガム;架橋ポリマー、例えば架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン、例えばInternational Specialty Products(ウェーン、ニュージャージー州)からのPOLYPLASDONE XL;架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム、例えばFMCからのAC−DI−SOL;および架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム;大豆多糖類;ならびにグアーガムが挙げられるがこれらに限定されない。この崩壊剤は、組成物の重量で約0%から約10%までの量で存在することができる。1つの実施形態において、この崩壊剤は、組成物の重量で約0.1%から約5%までの量で存在する。
【0117】
薬学的に許容される結合剤の例としては、デンプン;セルロースおよびそれらの誘導体、例えば、微結晶性セルロース、例えばFMC(フィラデルフィア、ペンシルベニア州)からのAVICEL PH、Dow Chemical Corp.(ミッドランド、ミシガン州)からのヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースMETHOCEL;スクロース;デキストロース;コーンシロップ;多糖類;ならびにゼラチンが挙げられるがこれらに限定されない。この結合剤は、組成物の重量で約0%から約50%、例えば2〜20%の量で存在することができる。
【0118】
薬学的に許容される潤滑剤および薬学的に許容される流動促進剤の例としては、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末セルロースおよび微結晶性セルロースが挙げられるがこれらに限定されない。この潤滑剤は、組成物の重量で約0%から約10%までの量で存在することができる。1つの実施形態において、この潤滑剤は、組成物の重量で約0.1%から約1.5%までの量で存在することができる。流動促進剤は、重量で約0.1%から約10%までの量で存在することができる。
【0119】
薬学的に許容される充填剤および薬学的に許容される希釈剤の例としては、精製粉末砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクが挙げられるがこれらに限定されない。充填剤および/または希釈剤は、例えば、組成物の重量で約0%から約80%までの量で存在することができる。
【0120】
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を1つまたは複数の薬学的に許容される薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物を、前記組成物を約60から約120mgの治療有効量で任意の7日間の内で連続した5日間にわたって投与する使用説明書と組み合わせて含むパッケージ。
【0121】
本発明の式(I)の化合物の投与レジメンの有用性は、生体外で、動物試験法でならびにクリニック調査において実証され得る。例えば、本発明による式(I)の化合物の有用性は、下文に記載されている方法に従って実証され得る。