(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微細加工ろ過デバイスが、前記ろ過デバイスの前記膜部分と流体連通する第1のチャンネルと、前記ろ過デバイスの前記支持体部分と流体連通する第2のチャンネルとを更に含む、請求項8に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
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図1】本技術の実施態様により作製されたフィルタの断面図である。
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図2A】本技術の実施態様による支持体構造に配置されうるような膜のアレイの上面図である。
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図2B】本技術の実施態様により作製されたフィルタの
図2Aの線A−Aに沿った断面図である。
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図3A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図3B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図3C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図3D】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図3E】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図3F】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図4】2つの流体間で拡散輸送を可能にする本技術の実施態様によるフィルタの例示的な使い方である。
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図5】本技術の実施態様によるフィルタを作製する方法の流れ図である。
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図6】本技術の実施態様によるフィルタを使用する方法の流れ図である。
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図7】フィルタ構造に関連づけられた拡散抵抗のグラフである。
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図8】本技術の実施態様により作製されたフィルタの裏面に沿った流体のモデル化された流れのグラフである。
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図9A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図9B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図9C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図10A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図10B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図10C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図11A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図11B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図11C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図12A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図12B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図12C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図12D】本技術の実施態様により生成された例示的な構造のSEM像である。
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図13A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図13B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図13C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図13D】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図14A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図14B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図14C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図14D】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図15A】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図15B】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図15C】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図15D】本技術の実施態様によるフィルタを作る方法のある工程中のフィルタの断面図である。
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図16】本技術の実施態様により生成された例示的な構造のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図では、同様の構成要素及び/又は特徴部分は、同じ数字の参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後に同様の構成要素及び/又は特徴部分を識別する文字が続くことによって識別されうる。本明細書において第1の数字の参照ラベルのみが用いられている場合は、その記述は、文字の接尾語に関係なく同じ第1の数字の参照ラベルを有する同様の構成要素及び/又は特徴部分の何れにも当てはまる。
【0012】
本技術は、微細加工ろ過デバイス、そうしたデバイスを作る方法、及び微細加工ろ過デバイスの使い方を提供する。一例において、本ろ過デバイスによって、従来のろ過デバイスと比べて、2つの流体間で輸送抵抗特性が改善された拡散を行わせることができる。デバイスは、支持体構造の上に重なる膜を含む複合構造を含むことができる。支持体構造は、修正された第1の流体の対流が、膜を通る第1の流体と第2の流体間の拡散輸送を改善することができるよう形成されたキャビティ及び複数の凹部を画成することができる。
【0013】
図1は、本技術の実施態様により作製された、微細加工フィルタ100の断面図を示す。フィルタ100は、基板部分105の上に重なる膜部分115を含む。フィルタは、様々な構成において膜部分115と基板部分105との間に追加の層110(一又は複数)を含むことができる。例えば、作製中のエッチング停止層、保護被膜、さらなる剛性又は柔軟性を与える構造部材などとして働く追加の層110が含まれてもよい。追加の層は、膜又は基板層と同じ若しくは異なる材料であってもよい。
【0014】
膜115に対する支持体部分として働くことができる基板部分105は、微細加工で従来用いられているようなシリコンウェーハであってもよく、例えば、ミラー指数によって列挙されるような[100]面配向を含む様々な結晶方位を有するシリコンウェーハであってもよい。基板は、厚さが400μmを有する100mm径のシリコンウェーハであってもよいが、約76mm以下、又は約150mm、約200mm、約300mm、約450mmなどの、あるいはさらに大きな寸法を含む、より大きな若しくはより小さな径であってもよい。さらに、ウェーハの厚さは、ウェーハの径に対する慣例に基づいてもよいが、約400μm未満、約600μm、約700μm、約900μmなどでもよく、又はさらに大きくてもよい。さらに、基板は、ゲルマニウム、周期表のIV族元素、ガリウム砒素を含むIII−V化合物、亜鉛テルルを含むII−IV化合物、p及びnドープされた化合物などであってもよい。
【0015】
膜部分100は、基板105又は中間層110上にミクロン又はナノ厚スケールで堆積若しくは成長させることができる任意の数の材料で形成されてもよい。例えば、膜の材料は、シリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、ウルトラナノ結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド類似炭素、二酸化シリコン、PMMA、SU−8、PTFE、チタン、シリカ、窒化シリコン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリスチレン、シリコン、又は様々な他の材料で作られてもよい。追加の層(複数可)110は、例えば窒化シリコンを含む、窒化物又は酸化物層などの誘電体材料、並びにエラストマー、あるいは金属、セラミック及びポリマーを含むフィルタ構造に強度並びに/又は剛性を与える材料を含む可撓性材料を含むことができる。
【0016】
作製の最終段階には、孔120の生成又は形成が含まれてもよく、これらの孔120は、例えば、平坦な膜を含むことができる膜部分115から犠牲材料を除去することによって生成されてもよい。孔は、直線、正方形、円形、卵形、楕円形、又は他の形状を含む様々な形状であってもよい。一部の実施態様において、複数の超微細加工された孔は、100nm未満、例えば、約50nm、20nm、15nm、10nm、7nm、5nm、3nm以下などの、又はさらに小さな幅を有する。一部の実施態様において、距離、例えば、複数の超微細加工された孔それぞれの間の平均の距離は、約500nm未満であってもよく、約50nm、100nm、150nm、200nm、250nm以下などであっても、又はさらに大きくてもよい。一部の実施態様において、超微細加工された孔の長さは、約200μm未満であってもよく、100μm、50μm、40μm、30μm、10μm未満などであっても、又はさらに小さくてもよい。一部の実施態様において、複数の超微細加工された孔は、スリット形状を有する。一部の実施態様において、膜115は、1を超える孔を備え、各孔が単一の形状又は形状の任意の組合せを含む。一部の実施態様において、膜は、1を超える孔を備え、各孔のサイズがどの寸法も約10から約100μmの範囲にあり、その寸法は、何れの特定の孔の形状においても同じである必要はなく、それぞれの孔は、単一のサイズ又はサイズの任意の組合せを含むことができる。さらに、それぞれの孔は、膜と膜との間で整列していてもよく、又は膜両端間で若しくは膜の内部で、様々なやり方で互いにオフセットされていてもよい。形成される孔のサイズは、ろ過デバイスが利用されうるプロセスによって規定されてもよい。例えば、デバイスが透析プロセスにおける拡散に使用される場合、孔は、イオン及び栄養素の拡散を行わせることが可能であってもよいが、アルブミン及び細胞物質が膜を通り抜けるのを実質的に阻止することができる。
【0017】
フィルタの作製中に、孔120、並びに孔と通じる複数の凹部130、及びキャビティ125(一又は複数)を含むことができる開口を形成することができる。開口は、フィルタの裏面から、すなわち基板105を通って、膜構造へのアクセスを提供するように形成されてもよく、以下でより詳細に説明するように、機能膜のアレイ115を生成するように形成されてもよい。開口は、流体を輸送することができるキャビティ125を含むことができる。キャビティ125は、基板105の一部分によって形成されてもよく、キャビティの下方部を画成するより厚い支持体部分と比べて基板の薄い部分であってもよい分割部135によって分離された複数の凹部130、並びに基板105上方に位置する任意の中間の又は追加の層110へのアクセスを提供する。基板は、基板の裏面により近くに位置するより厚い部分、並びに基板の表面により近く位置するより薄い部分を含むことができる。より厚い部分は、基板全体にわたってキャビティ125を画成することができ、より薄い部分は、キャビティ125を画成する厚い部分と膜115との間に位置する複数の凹部130を画成することができる。流体がキャビティ125を通り抜けるとき、ろ過デバイスは、孔115及び凹部130を通り抜ける膜部分115両端間の拡散輸送を行わせることができる。キャビティ125は、図示するように、拡散凹部に向かって傾斜する壁を有することができる。そうした傾斜は、この構造を横切るように強いられた流体のより多くの層流を提供することによって、流動特性の改善をもたらすことができるが、他の実施態様では、この構造は、より直角に近い壁又は形状を有してもよい。キャビティを設けることによって、拡散凹部を貫く抵抗を低減させること、及び凹部を横切ってリフレッシュされた流体をより頻繁に提供することができることを含むいくつかの恩恵を提供することができる。例えば、ろ過デバイスは、拡散及び/又は限外ろ過を伴うことがある血液透析を含む流体ろ過プロセス中に使用されてもよい。拡散抵抗を低減させることによって、以下で説明するように、必要な膜表面がより少なくすることができる。さらに、基板全体にわたる流体の流れを改善することによって、使用される流体のリフレッシュ速度を改善することができる。
【0018】
図2Aは、本技術の実施態様による支持体構造上に配置することができる膜205のアレイ200の上面図を示す。アレイは、分割部210によって分離された様々な構成の膜205を含むことができる。分割部210は、膜を横切って位置する孔を固定すること、並びに膜205に全体として構造的な支持を与えることを含むいくつかの利点を提供することができる。膜構造205は、数ミクロンほどの小さい、又は数ミリメートルほどの大きい長さを含むことができる基板の領域全体にわたってパターニングされてもよい。一部の実施態様において、基板の全表面が膜構造でパターニングされてもよく、あるいは全表面の一部が、例えば、厚さ又は構成の均一性を改善するためにパターニングされてもよい。
【0019】
図2Bは、本技術の実施態様により作製されたフィルタの
図2Aの線A−Aに沿った断面図を示す。この断面図は、必ずしも縮尺通りではなく、必ずしも基板の周辺に沿った位置であるわけでもない。一部の実施態様において、例えば、エッチング停止層を含む、より多い又はより少ない数の層が組み込まれてもよい。この図は、本明細書で開示した技術の範囲を限定することなくろ過デバイスの実施態様の構造を概念化する上で当業者を手助けするように意図されている。断面図は、膜部分205を貫いて形成された開口215の位置を示す。実際上、開口は、膜表面を貫いてアクセスが行われるように、基板の下側にパターン又はアレイとして形成されてもよい。開口215は、任意の形状又はサイズであってもよく、基板に沿って特定の間隔で形成され、デバイス全体にわたって確固としたろ過領域を提供するように特定の位置に利用可能な膜を生成することができる。開口は、膜を貫く孔(一又は複数)、拡散凹部、及びキャビティを含む部分として形成されてもよい。例示的な凹部は、約500μm以下の径を有することができ、径は、実際の形状には無関係に任意の図形の端から端に引いた直線を指す。例えば、それぞれ500μm未満の長さを有する矩形の凹部が形成されてもよい。凹部は、正方形、矩形、円形、楕円形など、又は他の幾何学的図形を含む任意の形状又は寸法であってもよく、基板寸法の限界値まで達することができる。例示的な凹部は、矩形であってもよく、約400μm、300μm、200μm、100μm、75μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm以下などの、又はさらに小さな辺の長さを備えることができる。一実施態様において、凹部は矩形であり、約120μm×60μmの長さ×幅の寸法を有する。代替の凹部は、100μm×50μm以下の寸法を有してもよく、当業者には理解されるように、他の組合せを含むことができる。凹部の寸法は、膜、膜部分に用いられる材料などに、又はそれらの両端間に加えられる可能性がある圧力を含むいくつかの変数に依存してもよい。本技術の実施態様によるろ過デバイス内に形成される凹部は、本デバイスの構造によってもたらすことができる浸透性の向上により、一部の従来の凹部がなし得るよりも小さくすることができる。この特徴について、以下でさらにより詳細に説明する。
【0020】
この断面図に示すような例示的な支持体構造210は、構造全体にわたって形成された残りの支持体構造210の下に位置する、拡散凹部230へのアクセスを提供するキャビティを示していない。凹部230は、基板の一部分を含む分割部235によって分離されてもよい。分割部235は、膜205に構造的な支持を与え、一方で輸送を行うことができる拡散凹部230も規定する。
図2からわかるように、ろ過デバイスの全表面は、膜部分205によって構造化されてもよいが、膜の機能的な部分は、凹部が下に形成される領域によって規定されてもよい。膜の下に凹部を形成するプロセスによって、輸送を行うことができる経路又は開口が提供される。開口を形成するプロセスについて、
図3A−3Fに関連して以下で説明する。
【0021】
図3A−3Fは、本技術の実施態様によるフィルタを作るための方法のある工程中のフィルタの断面図を示す。前述したように、及び
図3Aに示すように、膜が形成される基板305を用意することができる。一例において、基板は、約100mmの径、約400μmの厚さを有するシリコン基板であるが、等価な効果がある異なる材料及び寸法の基板を使用することができる。保護酸化物又は窒化物層310を基板上に堆積させることができる。層310は、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、炭化シリコン、又は他の誘電体材料を含む他の何らかの材料の層、及び組合せを含むことができる。例えば、複数層の酸化物、酸化物と窒化物の複合層などが層310を形成することができる。さらに、層310に対して複数層を組み合わせて成長又は堆積させることができる。保護層310の厚さは、一例において約5μmであってもよい。
【0022】
あるいは、保護層は、約10μm、7μm、4μm、3μm、2μm、1μm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、10nm以下などであっても、又はさらに小さくてもよい。LPCVD及びPECVDを含むCVD、又は何らかの他の堆積手段によって保護層310を堆積させることができる。例えば、保護層を、熱プロセスによって成長させることができる。この保護層上に、一例において、ポリシリコンなどの第1の膜材料層315を堆積させることができる。同じ又は異なる堆積手段によって第1の膜材料を堆積させることができ、一例においてLPCVDを含むことができる。第1の膜材料層の厚さは、一例において約5μmであってもよい。あるいは、第1の膜材料層315は、約10μm、7μm、4μm、3μm、2μm、1μm、750nm、500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、50nm、25nm、10nm以下などであっても、又はさらに小さくてもよい。さらに別の実施態様では、使用する基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)であってもよく、基板の既存の材料上に保護層を追加的に堆積させなくてもよい。
【0023】
図3Bは、膜材料層内の孔構造の形成を示す。孔構造は、膜材料を貫く孔を形成するために後で除去することができる犠牲材料を用いて形成されてもよい。孔構造320は、エッチングプロセス、又は他のリソグラフィプロセスによって形成されてもよい。第1の膜材料層315は、本明細書に記載されるような構造を生成するためのパターニングを形成することができる電子ビーム、遠紫外リソグラフィ、又は別のパターニング技法によって行うことができるフォトレジストを用いてパターニングされうる。レジストパターンは、反応性イオンエッチ又はウェットエッチプロセスによって第1の膜材料層315上に転写されてもよい。パターニングに続いて、犠牲層の材料が、パターニングされた第1の膜材料層315上に、又はその材料層内部に形成されてもよい。犠牲層は、20nm未満の厚さであってもよい熱酸化によって成長させた酸化物であってもよい。あるいは、この層は、約15nm、10nm、7nm、5nm、3nm、1nm、5オングストローム以下などの、又はさらに小さな厚さを有してもよい。材料層は、成長させたとき、共形であってもよく、したがって、薄膜は、HDPCVDを含むより共形性の強いプロセス、又は他の何らかの共形性の堆積処理によって形成されてもよい。層は、酸化シリコン、又は孔を生成するために後で膜部分から除去することができる任意の他の材料であってもよい。
【0024】
犠牲材料の層は、後のフォトレジスト・パターニング及びエッチングを用いてある一定の領域が選択的に除去されてもよい。これによって、後の堆積中に第2の膜材料層を第1の膜材料層に固定するための領域を設けることができる。フォトレジストを除去した後に、第2の膜材料を堆積させて、固定キャビティ、並びに第1の膜材料内に形成されたトレンチ内及びトレンチ周囲の犠牲層のまわりの領域を埋めることができる。この材料は、前述したものと同じ又は異なる膜材料であてもよい。例えば、第2の膜材料もポリシリコンであってもよい。第2の膜材料層は、一例において約5μmであってもよい。あるいは、保護層は、約4μm、3μm、2μm、1μm、750nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、10nm以下などであっても、又はさらに小さくてもよい。第2の膜材料層は、少なくとも犠牲材料を露出するレベルまで平坦化され、それによって孔構造320を形成することができる。平坦化は、任意の研磨又はエッチング技法を用いて行われ、一例において反応性イオンエッチを含むことができる。さらに別の例において、固定部は、第2の膜材料を堆積させて平坦化を行った後に、形成され、埋められてもよい。あるいは、このプロセスは、さらなるリソグラフィ工程を行い、続いて、反応性イオンエッチなどの直接エッチングを行った後に、固定材料のための専用の堆積を行うことによって行われてもよい。
【0025】
また、孔は、一連のパターニング及び堆積プロセスを行うことによってより高密度にパターニングされてもよい。例えば、膜材料の最初の堆積に続いて、上記したものと同様の第2のパターニング工程が行われてもよい。一旦第2のパターニングが行われると、追加の保護層を前述したような仕方で堆積することができる。追加の保護層の形成に続いて、膜材料の後の層は、必要な孔間隔の度合が実現されるように形成されてもよい。繰り返し処理によって、ライン・アンド・スペース・パターンを20%以上低減させることができる。あるいは、繰り返し処理によって、ライン・アンド・スペース・パターンを約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%以上など、又はさらに低減させることができる。一例において、後の一連のパターニング及び形成を行うことによって、最初の450nmのライン/スペース・パターンのパターニングプロセスを150nm以下に低減させることができる。作製中に孔内部の保護材料を維持することによって、最終的なリリースが行われるまで、孔の完全性を維持することができる。
【0026】
図3Cは、裏面プロセスに先立って、第2の保護層322が膜材料315上に施されることを示す。第2の保護層は、続いて行われるエッチング技法に応じて、酸化物、窒化物、又は別の化合物を含むことができる。例えば、水酸化カリウムエッチが行われる場合は、窒化物層を堆積させることができ、後のエッチングが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの窒素に対し選択性のある化学物質を含んでいる場合は、酸化物層を堆積させることができる。
【0027】
図3Dは、ろ過デバイスの裏面上で行うことができる第1のエッチング液プロセスを示す。キャビティ325は、第1の保護層310のレベルまでは材料が除去されなくてもよい基板305を貫いてエッチングされてもよい。第1のエッチング液は、ウェットエッチング液であってもよく、このエッチング液は、例えば、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウム、バッファード・フッ化水素酸、EDPなどであってもよい。エッチングプロセスをいつ停止すべきかの判定は、残る基板の所望の厚さに基づいてもよい。第1のウェットエッチは、等方性、又は配向選択性、すなわち、異方性であってもよい。
図3Dに示すように、例示的な第1のエッチングプロセスでは、KOHを使用して対流キャビティのための基板305の傾斜側面を生成する。KOH、EDP、及びTMAHを含むある一定のエッチング液が[111]配向に比べて[100]配向に対して選択的なエッチング速度を示すため、対流キャビティを画成する傾斜壁を生成することができる。他の実施態様では、より異方性が強く、キャビティ壁の傾斜をほとんど又は全く生成しないエッチング液を使用することができる。さらに、反応性イオンエッチは、第1のエッチング液プロセスに対して行われてもよい。さらに、複数のキャビティを基板の底部全体にわたって形成することができる。一部の例において、キャビティは、基板全体にわたって非対称にエッチングされる。エッチングされた複数のキャビティは、同じ又は異なる寸法を有してもよい。一例において、一辺当たり約1mm以上であってもよい比較的正方形のキャビティがエッチングされてもよい。あるいは、キャビティは、一辺当たり約2mm、約3mm、約5mm、約7mm、約10mm、約12mm、約15mm、約17mm、約20mmなどであっても、又はさらに大きくてもよい。本明細書に記載されるような一辺当たりの寸法の何れかを有する代替の幾何学形状も基板のキャビティとしてエッチングされてもよい。
【0028】
キャビティ325の形成に続いて、
図3Eに示すような所望の凹部330を形成するために、基板の裏面にパターニングを形成することができる。パターニングは、キャビティ325の頂部の残っている露出した基板上に形成されてもよい。パターニングによって、前述したような何れかの形状及び寸法の窓を生成することができ、この窓を介して凹部のエッチングを行うことができる。拡散凹部を形成するため、例えば、100μm×50μmの窓が、基板の底部全体にわたって様々なパターンで形成されてもよい。代替例において、窓は、250μm×50μmであってもよい。基板のサイズに応じて、多くのそうした窓が、窓と窓との間に残される材料の寸法及び幅に応じて形成されてもよい。例えば、100mm径の基板上に、およそ100μm×50μmの20,000を超える又はそれより多くの窓をパターニングすることができる。露出したときに膜に構造的な支持を与えるために、ある量の基板が各窓間に設けられてもよい。各窓間に残される基板の量は、各側面で約100μm以下であってもよい。あるいは、各窓間に残される基板の量は、約80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、17μm、15μm、12μm、10μm、7μm、5μm、3μm、1μm、500nm以下などであっても、又はそれよりも小さくてもよい。また、窓は、形成されるキャビティの寸法に基づいて他のパターンで形成されてもよい。例えば、10mmの正方形領域内部で記載されたプロセスによってキャビティがエッチングされ、窓が、例えば、約250μm×50μmの寸法を有する場合、この領域は、一例において1000未満の窓を提供することができる。あるいは、この領域は、約1000、約1200、約1300、約1500、約1700、約2000、約2300、約2500、約2700、約3000、約3500を超えるなどの、又はさらに多くの窓を提供することができる。
【0029】
拡散凹部を形成するためのエッチングは、ドライエッチプロセスであってもよく、反応性イオンエッチング、又はボッシュ、あるいは他の深堀りエッチングプロセスを含むことができる。エッチングは、基板305表面上に初めに堆積させた第1の保護層310のレベルまで行われてもよく、それによってこの材料をエッチング停止層として使用する。エッチングが完了した後、拡散凹部の高さは、約100μm未満であってもよい。あるいは、拡散凹部の高さは、約90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm以下などであっても、又はさらに小さくてもよい。あるいは、さらに、拡散凹部の高さは、約1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm以上などであっても、又はさらに大きくてもよい。さらに別の代替形態では、拡散凹部の高さは、約0μmと400μm、0μmと300μm、0μmと200μm、0μmと100μm、10μmと80μm、10μmと60μm、20μmと60μm、20μmと50μm、30μmと50μmの間などであってもよい。拡散凹部330の高さを、約20μmを超えて、又はさらに大きく維持することによって、ろ過デバイス膜の作製中及び利用中の両方で、膜の完全性に影響することがある、改善された構造的な完全性をもたらすことができる。
【0030】
図3Fは、第3のエッチングプロセスが行われた後の例示的な結果として得られたフィルタを示す。拡散凹部が形成された後、チップダイシングを含む機械的プロセスを行うことができる。ダイシングされたチップは、いかなる寸法であってもよく、基板に形成された各キャビティの寸法及び連続するキャビティ間のスペースの合計に基づいてもよい。例えば、各チップは、10mm角であってもよい。この寸法に調整されたチップは、10mm角未満のキャビティ、及び複数の窓を含む。次いで、所定のサイズにされた基板を第3のエッチング液を用いてエッチングし、第2の保護層322、並びに凹部を形成する第2のエッチングプロセスの結果として露出した第1の保護層310の部分を除去することができる。さらに、第3のエッチング液は、除去しようとする特定の材料に対して最適化された複数のエッチング液を含むことができる。例えば、窒化物と酸化物層の両方を除去しようとする場合は、リン酸洗浄に続いてフッ化水素酸洗浄を行うことができる。一旦これらの層が除去されると、第3のエッチング液は、孔327を露出するために孔構造320の犠牲材料も除去することができ、これによって開口が完成する。次いで、結果として得られたろ過デバイスをろ過のために利用することができる。第3のエッチング液は、例えば、ウェットエッチング液であってもよく、保護層及び犠牲層のそれぞれを溶かすことができるエッチング液であってもよい。一例において、フッ化水素酸が使用されてもよい。
【0031】
チップがダイシングされ、孔が露出した後、膜チップ(一又は複数)を用いてフィルタを構築することができる。例えば、フィルタは、単一のチップから構成されてもよい。あるいは、利用可能なより大きな表面積の膜を有するフィルタを生成するために、数多くのチップが様々に組み合わせられてもよい。チップは、様々な形態で横方向に又は垂直方向に組み合わせられてもよい。一例において、一連のチップが2つの膜の間にチャネルを生成するように交互に対向する形態で積み重ねられてもよい。一連の平行なチャネルがこのように形成されてもよく、フィルタは、複数のこれらのチャネルから構成されてもよい。チャネルの間隔は、2つの膜の間隔によって規定されてもよい。一実施態様において、間隔は、2つの膜間が約1000μmであってもよく、同等の幅のチャネルを形成する。あるいは、形成されるチャネルは、幅が1000μmを超えてもよい。さらなる代替例において、間隔は、幅が約1000μm未満であってもよく、約800μm、約600μm、500μm、400μm、300μm、250μm、200μm、150μm、100μm、50μm、10μm、1μm、800nm、600nm、500nm、400nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、50nm未満などであっても、さらに小さくてもよい。
【0032】
横方向に積み重ねられるチップの数、及び垂直方向に生成されるチャネルの数は、特定のフィルタに必要なアクティブな膜表面積の合計に応じて変わってもよい。例えば、フィルタに含まれるチップの数に基づいてより多くの又はより少ない実効的な表面積を有するフィルタが形成されてもよい。フィルタに用いられるチップの数は、フィルタの必要な寸法によって、又はフィルタの必要な実効的な表面積によって決定されてもよい。一例示的なフィルタにおいて、単一のチップの長さを有するチャネルが形成される。チャネルは、すべての2つの膜が互いに向き合い、間に挟まれるチップが膜に関して互いに反対方向を向き、すなわち、チップの裏面が向き合うように、交互に対向する配向を含むことができる。例えば、2つのそうした一次チャネルを有するフィルタは、4つのチップを含むことができる。第1の流体用の一次チャネルは、チップの膜側の間隔によって形成されてもよく、第2の流体用の二次チャネルは、2つのチップの裏面間の間隔によって形成されてもよい。例示的な4つのチップに関して、1つの二次チャネルによって分割された2つの一次チャネルを形成することができる。他のフィルタは、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、50、75、100、150、200などよりも多くの、又は少ない、あるいはさらに多くのチャネルを含むことができる。さらに、チップの数は、ろ過のために必要な表面積に基づいてもよい。例えば、およそ0.1平方メートルのろ過膜面積が必要な場合、これは、横方向に及び/又は垂直方向に配列された数個又は数十個のチップから構築されうる。あるいは、膜材料の同じ実効的な表面積は、横方向にチップの数を増加させることによって与えられてもよい。例えば、一次チャネルは、2つのチップが横方向に配置され、別の横方向に配置された2つのチップに面する、4つのチップを用いて生成されてもよい。チップ/チャネルの他の多くの組合せを形成することができ、当業者は、上記に基づいてほとんどいかなるサイズ、形状、実効的な膜表面積、又はチャネル数のフィルタを構築するために、事実上無限の組のチャネル/チップの組合せを作ることができることを認識することができる。
【0033】
図4は、一例示的なろ過使用法を示し、2つの流体間で拡散輸送を行わせることが可能な本技術の実施態様によるフィルタの使用法を示す。ろ過デバイス400は、例えば、第2の流体を利用して流体をろ過するために、前述したように形成されたろ過部材を利用する。一例示的な事例は、血液透析を含む。そうしたプロセスでは、血液又は血漿であってもよい第1の流体450は、ろ過部材の膜部分415を横切って流れる。透析液であってもよい第2の流体460は、ろ過部材の下を流れ、基板405によって画成されたキャビティ425通って上方に流れることができる。各流体は、反対方向に流れてもよいだけでなく、並行して流れてもよい。1つ又は両方の流体は、例えば、第1の流体450に組み込まれたヘパリンを含む抗凝血剤などの追加の材料を流れに組み込んでもよい。流体は、自然に流れてもよく、又は追加のポンピング機構(図示せず)を用いてチャネルを通って送り込まれてもよい。2つの流体が流れるとき、2つの流体は、流体間の圧力勾配によって、又は圧力勾配なしで流れることができる。例えば、第2の流体460の静水圧は、第1の流体450から限外ろ過、すなわち自由水除去を行うため下げられてもよい。ろ過デバイス400は、体外にあってもよく、又は生体内で使用するために生体適合性があってもよい。ろ過デバイスは、圧力、流量、温度、様々な化合物の濃度などを求めるためのセンサ(図示せず)をさらに含むことができる。流体がろ過部材を横切って流れるとき、溶質が膜415を横切り、孔420及び拡散凹部430を通り抜けて何れかの方向に拡散するように濃度勾配が存在してもよい。そうした濃度勾配によって、第1の流体が老廃物を放出する、又は第2の流体から栄養素を受け取ることが可能であってもよい。第2の流体460は、基板405に流れ込んでキャビティ425に流入し、このキャビティ425によって拡散を行わなければならない距離を低減させることができ、この領域内でより容易に第2の流体460をさらにリフレッシュすることができる。拡散交換が行われた後、第1の流体は、ろ過された流体として、第1の流体が作り出された場所、例えば患者などに戻されてもよい。
【0034】
図5は、本技術の実施態様によるフィルタを作製する方法500の流れ図を示す。本方法は、薄層化中のエッチング停止層を生成するため、基板上に誘電体層を堆積させること510を含むことができる。誘電体層は、下流のプロセスから基板を保護することができる酸化物、窒化物、若しくは他の何らかの材料、及び/又は上流のプロセスにより誘電体層上に堆積させた材料であってもよい。誘電体層上に多孔質膜の少なくとも一部になる第1の膜材料層が形成されてもよい(515)。第1の膜材料は、ポリシリコンを含むシリコンを主成分としてもよく、あるいはある程度の柔軟性又は剛性を含むことができる特性のために選ばれる金属、セラミック、及びポリマーを含む他の何らかの材料であってもよい。
【0035】
第1の膜材料は、孔構造を構築することができるパターンを形成するために、リソグラフィ・パターニングプロセスを含むことができる反応性イオンエッチ又は他の何らかのエッチングプロセスによってエッチングされてもよい(520)。犠牲誘電体層は、パターニングされた第1の膜材料上に形成され、後で形成されるような孔構造を生成することができる(525)。犠牲層は、第1の膜材料上に熱的に成長させた酸化物若しくは窒化物、又は他の材料であってもよい。犠牲層は、例えば、約10nm、7nm、5nm、3nm、1nmなどであっても、又はさらに小さくてもよい最小の厚さの実質的に共形の膜を生成することができる他の何らかの堆積方法によって成長させられてもよい。第1の膜材料及び犠牲誘電体層上に第2の膜材料を形成することができる(530)。第2の膜材料は、第1の膜材料と同様の又は異なる材料であってもよく、一例において、ポリシリコン、又は他の何らかの金属、セラミック、又はポリマー材料であってもよい。さらに、第2の膜材料は、相対的な柔軟性、剛性、耐腐食性などを含む、材料の特定の性質又は特性に基づいて選ばれてもよい。
【0036】
ろ過デバイスのエッチング又はさらなる処理に先立って、膜材料上に保護層を形成することができる(535)。保護層は、後の処理工程で使用される可能性があるエッチング液に対して耐性があるように選択されてもよく、後のエッチングプロセス中に除去されない酸化物、窒化物又は他の何らかの材料であってもよい。基板の裏面からキャビティ(一又は複数)を生成するように、第1のエッチング液によってろ過デバイスをエッチングすることができる(540)。一実施態様において、単一のキャビティが基板全体の端から端まで形成されてもよい。キャビティは、基板を一部分のみ貫いて延在するように形成されてもよく、基板上に初めに堆積させた保護誘電体材料のレベルまで達しなくてもよい。キャビティは、基板のある一定の割合の距離を貫いて延在してもよく、この割合は、約100%未満であり、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%未満などであっても、又はさらに小さくてもよい。あるいは、保護層は、保護層の下に残る基板の一部分によって分離される1を超えるキャビティを形成することができるように、基板の裏面上で選択的にさらにパターニングされてもよい。第1のエッチング液は、ウェット又はドライエッチング液であってもよく、一例においてKOH又はTMAHであってもよいウェットエッチング液であり、別の実施態様では、反応性イオンエッチを含むドライエッチング液である。
【0037】
残りの基板材料を貫いて凹部を画成するように第2のエッチングを行うことができる(545)。第2のエッチングは、残る基板全体を貫いて、基板上に以前形成された誘電体材料の層まで行われてもよい。第2のエッチングは、第2のエッチングを行うことができる窓を画成するための事前のパターニングを含むことができる。窓は、様々な幾何学形状であってもよく、結果として得られる凹部が膜層へのアクセスを提供することができる。第2のエッチングは、ウェット又はドライエッチであってもよく、基板上に堆積させた誘電体層のレベルまで、又はそのレベルを通りすぎて延在する深堀り反応性イオンエッチプロセスを含む、反応性イオンエッチによって行われる実質的に異方性のエッチングであってもよい。
【0038】
保護層及び露出した誘電体層を除去するために第3のエッチングを行うことができる(550)。また、このエッチングは、材料の犠牲層を除去し、それによって膜材料層を貫く孔を露出させることができる。第3のエッチングは、ウェット又はドライエッチングであってもよく、一例において、フッ化水素酸エッチであってもよい。孔を露出させた後、第1、第2、及び第3のエッチングプロセスによって形成された少なくとも1つの孔、関連づけられた拡散凹部、及びキャビティを含む複数の開口が存在することがきる。
【0039】
図6は、本技術の実施態様によるフィルタを使用する方法600の流れ図を示す。本方法は、第1の流体をろ過デバイスへ供出すること(610)を含むことができる。ろ過デバイスは、第1及び第2の流体のためのチャネル、並びにこのチャネル内で流体をろ過することを可能にするろ過部材を含むことができる。第1の流体は、数多くの孔が内部に形成された膜を有することができるろ過部材の前面を横切って導かれ、流され、又は送り出される(615)。孔は、いかなる形状及びサイズであってもよく、膜部分を貫いて形成されたスライス又はスリットであってもよい。第2の流体は、ろ過部材の裏面を横切って流れてもよく(620)、ろ過部材支持体構造の裏面に形成されたキャビティ内に、及び膜部分、及び孔へのアクセスを提供する複数の凹部を横切って流入することができてもよい。第1及び第2の流体がろ過部材を横切って流れるとき、流体間の拡散輸送が何れかの又は両方の方向で行われうる。この輸送は、流体間の溶質の濃度勾配に基づくことができる。拡散輸送が輸送の唯一の利用可能なメカニズムとなるように、流体は、流体間に正味ゼロの圧力勾配を有してもよい。あるいは、一部の実施態様では、流体間の誘起された圧力勾配により、水が膜を横切って第1の流体から第2の流体に移送されてもよい。拡散プロセスによって、結果としてろ過された第1の流体を得ることができ、次いでこの第1の流体がろ過デバイスから移送されてもよい(625)。
【0040】
図6によって記載された方法に対する代替の実施態様は、上記のように製造された、いくつかの膜チップを含む生体内の血液透析デバイス向けである。このデバイスは、血液ろ過又は限外ろ過を行うこともできる。ろ過デバイスは、前述した複数の1cm角チップの構造を用いて構築されてもよい。チップをろ過デバイス内部で配向させ、前述したようなチャネルを生成することができ、その結果、第1の流体を2つのチップの前面によって形成されるチャネル間を、又は膜を横切って流すことができ、第2の流体を2つのチップの裏面によって形成されたチャネル間を、又は基板内に形成されたキャビティを通って膜裏面を横切って流すことができる。2つの流体は、移送が膜を横切ってのみ行われうるようにチップによって互いに流体の状態で分離されていてもよい。形成されたフィルタは、生体適合性のあるハウジング内に収容され、体内に埋め込まれてもよい。動脈接続部を介してろ過デバイスに血液を供出し、静脈接続部に血液を戻すために、接続部が内部に作られてもよい。あるいは、移植、フィステル、カニューレ又は他の何らかの接続部を使用して内部接続部の数を減らすことができる。第2の流体は、外部源からろ過デバイスに供出されてもよく、内部にアクセスを提供するポート、カテーテル、又は他の何らかのデバイスを介して体を通ってデバイスに供出されてもよい。一旦デバイスを通過すると、第2の流体は、同じポート又はカテーテルを介して、又は副次的なポート又はカテーテルを通って戻されてもよい。第2の流体は、連続的なループでデバイス中を流れてもよく、又は使用のためにある期間注入され、その後排液処理されてもよい。ポンプを含む追加のデバイスが、体内、又は体外に同様に配置されてもよく、ろ過デバイスに直接組み込まれてもよい。同様に、血糖値を含む追加の数量的データとともに任意の数の生物学的統計をモニタリングするために、デバイス内部に、又はデバイス外部にセンサが配置されてもよい。
【0041】
図6で説明したように、血液であってもよい第1の流体は、体内の内部接続部を介してろ過デバイスへ供出される(610)。第1の流体は、膜前面上を、デバイスを通って流れる(615)。この流れ(615)は、第1の流体を前述したような一連のチャネルを通過させるデバイスを通り抜ける循環路をさらに含むことができる。あるいは、この流れを、単一の出口に戻す前に数多くのチャネル全体にわたって分散させる。第2の流体は、膜の裏面を横切って流れ(620)、第1の流体を膜の裏面上の一連のチャネルを通過させるデバイスを通り抜ける循環路を介してさらに流れることができる。第2の流体を、第1の流体と同様に単一の出口に戻す前に数多くのチャネル全体にわたって分散させてもよい。第1及び第2の流体は、流体間の移送が膜を通って行われうるように循環路によって流体の状態で分離されていてもよい。第1及び第2の流体は、ろ過デバイスの膜部分両端で等しい圧力を維持するようにろ過デバイスを通って送り出されてもよい。第1の流体は、ろ過デバイスから流れ出て(625)、又は送り出されて、体の静脈系に戻ることができる。
【0042】
図7は、フィルタ構造に関連づけられた拡散抵抗のグラフを示す。評価は例示的なろ過デバイスを貫く相対抵抗を求めるために行われた。評価したデバイスには、一辺が1cmの横寸法を有する6つのチップが含まれていた。各チップは、400μm厚の基板上に0.5μm厚の膜を有していた。図の左側に示すように、例示的なフィルタ構造は、基板705上に膜715を備える。図示するように、距離は、基板の底部から膜構造の底部までの距離に対してAからBとして表される。また、距離は、膜構造の底部から膜構造の頂部までの距離に対してBからCとして表される。したがって、距離AからCは、拡散が例示的なろ過デバイスに対して進むことができる距離を示す。関連づけられたチャートは、X軸の左端によって表されるように、点Aから、X軸の右端によって表されるように、点Cまでの濃度勾配を示す。屈曲点717は、点B、すなわち膜と基板との界面を表す。図に示すように、濃度勾配の5%のみが点BとCの間で、又は膜両端間で生じる。濃度勾配の95%、したがって、輸送抵抗の95%は、基板によって生じる。チャネルを通り抜ける化学種の拡散抵抗は、化学種に対する拡散係数とチャネルの断面積の積で割ったチャネルの長さの関数としてモデル化することができる。したがって、長さが増加するとともに、又は面積が減少するとともに、抵抗は比例して増加する。したがって、拡散チャネルの長さを低減させることによって、拡散抵抗が比例して減少することを予期することができる。言い換えれば、システムが同一レベルの抵抗を許容することができる場合、拡散輸送の長さを低減させることによって、同程度の機能を提供するために、面積の低減を活用することができる。
【0043】
図8は、本技術の実施態様により作製されたフィルタの裏面に沿った流体のモデル化された流れのグラフを示す。流体は、ろ過デバイスの裏面に形成されたキャビティに流れ込み、流体を拡散凹部830に供出する。多孔質膜815とともに拡散凹部830によって、この流体と、膜815の頂部側全体にわたって流れることができる追加の流体との間で拡散輸送が可能となる。流体を供出することができるキャビティを設けることによって、拡散凹部830の近くで流体移送のリフレッシュ速度を改善することができる。さらに、拡散が生じる距離が低減されるため拡散輸送を改善することができ、距離の低減に付随してシステムの輸送抵抗の低減を行うことができる。
【0044】
図9に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するようなプロセスに組み込まれてもよい。
図9Aは、前面の処理が行われた後のフィルタ構造の一部分を示す。基板905は、上を覆う保護酸化物910、並びに画成された孔を含む高分子材料915を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料915の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、図示するように、裏面保護層920を形成し、パターニングすることができる。保護層920は、前述したような材料の何れをも含むことができ、層910と同様の又は異なる酸化物層を含むことができる。裏面層920のパターニングは、前述したようにフィルタ膜へのアクセスを実現することができる凹部領域を画成するように行われてもよく、凹部領域の形成に先立って、又は形成中に形成されることになるキャビティ構造を特に画成してもよい。凹部は、前述したような寸法又は幾何学形状の何れであってもよく、例えば、約10mm×10mm以下であってもよく、例えば、8mm×8mm、6mm×6mm、4mm×4mm、2mm×2mmなどであっても、又はさらに小さくてもよい。
【0045】
裏面層920がパターニングされた後、追加の材料層925を裏面構造上に形成することができる。材料925は、前述した材料の何れであってもよく、例えば、レジスト層であってもよい。材料層925は、最終的なフィルタの凹部又は窓層を画成するために、裏面層920のパターニングによって画成されたキャビティ領域上に、及びキャビティ領域内部に形成されてもよい。窓の所望の寸法決めに応じて、材料層925の位置決めをそれに応じて調整することができる。画成される窓は、前述したような寸法の何れであってもよく、最終的なフィルタにおいて役立ちうるような様々な幾何学形状であってもよい。例えば、窓は、第2の寸法よりも長い第1の寸法を有する矩形として画成されてもよい。第1の寸法及び第2の寸法の何れか又は両方は、開示した実施態様において約500μmよりも大きくても、又は小さくてもよい。あるいは、第1の寸法及び第2の寸法の何れか又は両方は、約400μm、300μm、250μm、200μm、150μm、100μm、50μm、25μm、15μm、10μm、5μm以下などであっても、又はさらに小さくてもよい。例えば、第1の寸法は、約300μm以下であってもよく、第2の寸法は、約100μm以下であってもよい。
【0046】
図9Bに示すように、パターニングされた酸化物層920上に、並びに画成された凹部領域内部にレジスト925を堆積させることができる。基板層905の裏面をエッチングするためにエッチングプロセスを行うことができる。エッチングは、前述したようなプロセスの何れかによって行うことができ、例えば、DRIEエッチであってもよい。DRIEエッチは、窓部分間で必要とされる最終的な支持体構造の長さを画成するためにある深さまで行われてもよい。例えば、最初のエッチングが深く行われるほど、残る支持体構造はより厚くなる。このエッチングは、約5μmよりも大きい又は小さい深さまで行われてもよく、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、75μm、90μm、100μm、125μm、150μm、200μm以上などで、又はさらに大きく行われてもよい。必要なエッチング深さに達した後、エッチングプロセスを停止することができ、材料層925を剥離することができる。露出した基板905は、基板905の領域がエッチングプロセスに曝されるのを防ぐ材料層925のために凹部領域内部に階段状の構造を含むことができる。前のエッチングプロセスと同様の又は異なる第2のエッチングプロセスを行うことができる。例えば、第2のDRIEエッチを酸化物910の層まで行うことができる。このエッチングプロセスは、基板905の表面全体にわたって均一でありうるので、階段状の構造を酸化物層910のレベルまで維持することができる。したがって、材料層905によって初めに保護されていた階段は、エッチングプロセスの完了時に唯一残っている材料であってもよい。次いで、最終的な仕上げが行われ、酸化物層910の露出領域を除去することができ、次いで、残る基板部分907によってさらに保護し、支持することができるフィルタ領域を露出させることができる。
【0047】
図10に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するようなプロセスに組み込まれてもよい。基板1005は、上に重なる保護酸化物1010、並びに画成された孔を含む高分子材料1015を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料1015の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、図示するように、裏面保護層1020を形成し、パターニングすることができる。保護層1020は、前述したような材料の何れをも含むことができ、層1010と同様の又は異なる酸化物層を含むことができる。保護層1020は、
図10Aに示すような大きな及び小さな開口の両方を含むようにパターニングされてもよい。小さな開口は、開示した実施態様において、材料1020の各部分間に約1μm以下から約100μm以上の間隔を含むことができる。間隔は、約5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μmなどよりも小さくても大きくてもよく、又はさらに大きくてもよい。
【0048】
エッチングプロセスを行い、基板1005の露出した領域を除去することができる。エッチングプロセスに対するエッチング停止として酸化物層1010を使用することができる。前述したエッチングプロセスの何れをも行うことができ、前述したようにDRIEエッチが行われてもよい。大きい及び小さい開口の両方を形成する保護層1020のパターニングを使用して、アスペクト比依存エッチング速度、又はARDEとして知られている自然現象を活用することができる。この現象によって、より小さい面積の凹部をより大きな領域よりもゆっくりとエッチングすることができる。したがって、より大きな領域が層1010までエッチングされたとき、領域1007などの、層1020内のより小さな開口間の領域は、酸化物層1010の層までエッチングされないことがある。DRIEエッチは、異方性エッチであってもよく、保護層1020の下の領域にエッジが食い込む影響を受けずにすむ。続いて等方性エッチを行い、領域1007周囲の残っている柱状構造をアンダーカットして、露出したフィルタ部分間に支持体領域1007を残すことができる。等方性エッチは、先に論じたような任意のウェット又はドライエッチであってもよく、例えば、SF6処理であってもよい。等方性エッチは、
図10Cに示すように、支持柱1008をさらにアンダーカットする可能性がある。したがって、各チップに対してキャビティのまわりに十分な支持体構造を確かなものとするために、このアンダーカットを最初のマスキングプロセスで相殺することができる。そうしたプロセスの恩恵は、1つの裏面マスクのみが必要とされてもよく、それによって待機時間を低減することができるということである。
【0049】
図11に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するようなプロセスに組み込まれてもよい。基板1105は、上に重なる保護酸化物1110、並びに画成された孔を含む高分子材料1115を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料1115の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、裏面保護層1120は、図示するように形成され、パターニングされてもよい。保護層1120は、前述したような材料の何れをも含むことができ、層1110と同様の又は異なる酸化物層を含むことができる。保護層1120は、
図11Aに示すような大きな及び小さな開口の両方を含むようにパターニングされてもよく、これらの開口は、先に論じたような寸法の何れをも含むことができる。保護層1120は、プロセス中に生じる可能性のある予期される除去を相殺するように形成されてもよい。層1120は、例えば、約1μm以上の厚さに形成された低温酸化物であってもよく、約2μm、5μm、7μm、10μm以上の厚さなどであっても、又はさらに大きくてもよい。この材料は、行われるエッチングプロセスに基づいて、シリコン基板などの基板1105に対して既知の選択性を有することができる。例えば、低温酸化物は、DRIEエッチプロセスなどのエッチングプロセスに対してシリコンと比較して約100:1の選択性を有することができる。
【0050】
パターニングされた保護層1120上に、並びに露出した凹部領域内部に追加の層1125を形成することができる。図示するように、例えば、材料1125の部分間のより大きな、又はより小さな領域を形成することができる。層1125は、前述した層の何れであってもよく、例えば、レジスト層であってもよい。最初のエッチングは、第1の深さまで行われてもよく、この深さは最終的な支持体構造に対する所望の厚さに基づいてもよい。第1のエッチングは、実質的に異方性エッチであってもよく、例えば、DRIEエッチであってもよい。第1のエッチングは、基板1105を貫いて第1の深さまで行われてもよく、第1の深さは、開示した実施態様において、約1μm以上であってもよく、約2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、50μm以上などであってもよく、又はさらに大きくてもよい。第1の深さに達した後、エッチングプロセスを停止することができ、レジスト層1125を基板及び上に重なる保護層1120から剥離することができる。次いで、エッチングプロセスを保護層1110のレベルまで再開することができ、この保護層が再びエッチングプロセスに対するエッチング停止として働くことができる。記載された他のプロセスに関して先に説明したように、基板1105の露出した凹部領域全体にわたって形成された階段状の構造は、層1110のレベルまでエッチングプロセス全体を通して維持されうる。行われるエッチングプロセスに応じて、エッチングは、保護層1120にさらに影響を及ぼすことがあるが、例えば、シリコンと比較した酸化物に対する選択性、並びに堆積させた最初の保護層1120の量に基づいて、保護層1120は、キャビティ構造を保護、又は維持するように、処理中に完全には除去されることはない。以前の手法と同様に、このプロセスは、行われる可能性のあるエッチングの数及びタイプを低減させることができ、デバイス作製中の全体的な待機時間を同様に低減させることができる。
【0051】
代替の実施態様では、保護層1120の形成に先立って、又は代わりに、レジスト層1125を形成し、大きい及び小さい分割領域に関してパターニングすることができる。最初のエッチングは、基板1105内部の第1の深さまで前述したようにレジスト層1125全面にわたって行われてもよい。次いで、エッチング層1125を剥離することができる。凹部領域内部に以前形成された階段状の構造を露出させたままで、凹部領域間の支持体構造上に追加のレジスト層を形成することができる。開示した実施態様では、追加のレジストは、後のエッチングプロセスのオーバ露光が可能となるように完全には支持体構造をカバーしなくてもよい。次いで、後のエッチングは、例えば、基板1105の階段状の構造内の形成されたキャビティ内部に残ることがある溜まったレジストを除去することができてもよい。例えば、UV露光を使用して階段状の構造内部に残る望ましくないレジストを除去することができる。次いで、
図11Cに示すように、基板1105の露出した階段状の構造を保護層1110のレベルまで除去するために、DRIEエッチなどのエッチングプロセスを行うことができる。次いで、仕上げプロセスを行う前に、すべての残るレジストを最終のフィルタ構造から剥離することができる。追加の酸化物層が必要でない可能性があるため、そうしたプロセスが有利となる場合がある。そうした層は、形成するのに追加の又は実質的な時間を必要とするため、そうした層をプロセスから除去することによって待機時間をさらに改善することができる。
【0052】
図12に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するようなプロセスに組み込まれてもよい。基板1205は、上に重なる保護酸化物1210、並びに画成された孔を含む高分子材料1215を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料1215の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、図示するように、裏面保護層1220を形成し、パターニングすることができる。保護層1220は、前述したような材料の何れをも含むことができ、層1210と同様の又は異なる酸化物層を含むことができる。保護層1220は、基板1205を貫く複数のアクセス領域を提供するようにパターニングされてもよく、このアクセス領域が前に列記したような寸法の何れをも有することができる。保護層1220は、前述したような様々な厚さであってもよく、開示した実施態様において約10Å以上であってもよく、さらに、約25Å、50Å、75Å、1μm、2μm、5μm以上などでもよく、又はさらに大きくてもよい。後のエッチングプロセスからこれらの領域を保護するために、レジスト層1225、すなわち追加の保護層をエッジ支持体上に形成することができる。レジスト層1225は、レジスト層1225が置かれる保護層1220の対応する部分と同様の寸法であってもよく、例えば、露出した凹部のエッジ領域の除去ができるようにわずかに小さくてもよい。
【0053】
前述したようなエッチングプロセスが、例えば、露出した構造に対して行われてもよい。
図12Bに示すように、保護層1220並びに基板1205の両方を、異なる速度ではあるが、エッチングするエッチングプロセスを行うことができる。例えば、保護層1220は、例えば、シリコンなどの基板1205の材料よりも遅くエッチングされる酸化物層であってもよい。保護層1220の材料、層の厚さ、並びに行われるエッチングプロセスはすべて、所望の構造を生成するように調整されてもよい。例えば、保護層1220は、シリコンと比較して、特定のエッチングプロセスに対して既知の選択性を有する材料から作られてもよい。例えば、選択された材料は、シリコンと比較して約50:1以上の選択性を有することができ、あるいは約75:1、100:1、120:1、150:1など以上であっても、又はさらに大きくてもよい。選択性が高いほど、この材料は、シリコンと比べて遅くエッチングされ、残る部分1207がより厚くなる。支持体部分1207をカバーする保護層1220の部分は、プロセス中に完全にエッチングされても、エッチングされなくてもよく、このプロセスによって下にある領域1207をエッチングできても、エッチングできなくてもよい。
図12Dに示すように、そうしたプロセスは、基板全体にわたってかなり均一の構造を提供することができ、ウェーハ上の異なる領域の酸化物の厚さを調整することによって、ウェーハ内の非均一性を相殺することができる。例えば、酸化物層1220は、除去されることになる領域のエッジ領域に向かってより厚く形成されてもよい。さらに、一旦エッチングプロセスが開始すると、このプロセスは、ディープ・ピット・リソグラフィ(deep−pit lithography)又は再パターニングを必要とせず、したがって、そうした作製プロセスを、フィルタ膜の層、又は下にある保護酸化物層1210まで単一のエッチングを用いて行うことができる。さらに、シリコンと比較してより高い選択比を有する材料を利用することによって、このプロセスに対して堆積させるのに必要な材料がより少なくてもよく、これによって待機時間をさらに低減させることができる。
【0054】
図13に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の製作を行うためのさらなるプロセスを示す。理解されるように、開示される図は、例えば、
図2に示したような、より大きなフィルタ構造の一部のみ示すことがある。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するプロセスに組み込まれてもよい。例えば
図13Aに示すような階段状の構造を生成するために、酸化物などの保護層1320を基板1305上に形成し、パターニングすることができる。この保護層1320は、基板1305の裏面となるものの上に形成されてもよい。次いで、基板1305は、ひっくり返され、次のウェーハに貼り合わされてもよい。次いで、基板1305は、最終的なフィルタ支持体の所望の厚さにまで平坦化されてもよく、前面の処理が前述したように行われてもよく、この処理には図示するように保護層1310及びフィルタ層1315を形成することが含まれてもよい。基板1305の平坦化によって、基板1305の厚さを約1mm未満に低減させることができ、基板の厚さを約750μm、500μm、250μm、100μm、75μm、50μm、25μm、15μm、10μm、5μm未満などに低減させ、又はさらに薄くすることができる。
【0055】
図13Cに示すように、貼り合わされたウェーハを貫いてエッチングを行い、階段状の層1320を露出させることができる。次のエッチング又は貼り合わされたウェーハを貫く同じエッチングが、保護層1320及び基板1305を貫いて保護層1310のレベルまで行われてもよい。層1320の階段状の構造は、支持体1307がこれらの領域の上に重なる層1320のより厚い部分により、前述したのと同様の選択性原理に基づいて維持されるようにすることができる。
図13Dに示すように、層1320のより厚い部分は、プロセス中に完全にエッチングされても、エッチングされなくてもよく、例えば部分1322で示すように層1320の一部を維持してもよい。
【0056】
図14に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するプロセスに組み込まれてもよい。基板1405は、上に重なる保護酸化物1410、並びに画成された孔を含む高分子材料1415を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料1415の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、基板1405の支持体構造領域上に裏面保護層1420を形成することができる。基板1405内に傾斜壁を生成するエッチング、例えば、前述したようなKOHエッチが、ほとんど保護層1410まで、例えば、約10μm、5μm、1μm、800nm、600nm、500nm、400nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、50nmなどの範囲まで、又はさらに小さい範囲まで行われてもよい。レジスト層1421が基板構造上に形成されてもよく、
図14Bに示すように、基板1405内の形成された凹部内部に溜まってもよい。UV露光を利用するリソグラフィプロセスが、コンタクトマスク・フィーチャ1424を用いて行われてもよい。そうしたプロセスは、露光されたレジストを除去することができ、一方で画成されたコンタクトマスク領域下に存在する部分を維持することができる。残るレジスト材料1421を剥離する前に露出した基板1405の部分を貫いて次のエッチングを保護層1410の層まで行うことができる。そうしたプロセスは、最初に行われたウェットエッチに基づいて、より均一なウェーハ内の深さ制御を行うことができる。さらに、本明細書全体を通して記載されるような、ウェットエッチングプロセスを行うことによって、一度に多くのウェーハをバッチ処理することが可能となる場合があり、これによって待機時間をさらに低減させることができる。
【0057】
図15に目を向けると、本技術の実施態様による例示的なフィルタ構造の断面図が示されている。図は、フィルタ構造の裏面エッチングを行うためのさらなるプロセスを示す。他の構造に関して前述したような工程の一部又はすべてが図示するようなプロセスに組み込まれてもよい。基板1505は、上に重なる保護酸化物1510、並びに画成された孔を含む高分子材料1515を含むことができる。材料は、他の構造に関して前述したような材料の何れをも含むことができる。さらに、高分子材料1515の孔は、前述したような構造又は寸法の何れをも含むことができる。前面の処理が完了した後、図示するように、裏面保護層1520を形成し、パターニングすることができる。保護層1520は、前述したような材料の何れをも含むことができ、層1510と同様の又は異なる酸化物層を含むことができる。保護層1520は、基板1505の領域を露出する複数のギャップを提供するようにパターニングされてもよい。エッチングプロセスは、基板1505を貫いて第1の深さまで行われてもよい。第1の深さは、フィルタ領域間に維持することができる支持体構造の所望の最終的な厚さに基づいてもよい。例えば、第1の深さは、約5μm以上であってもよく、約10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、75μm、100μm、150μm以上などであっても、又はさらに大きくてもよい。そうしたプロセスは、基板1505内部に一連の浅いトレンチを生成することができる。
【0058】
裏面保護層1520を基板1505から除去することができ、アニール又は次のプロセスを行い、一連の浅いトレンチを基板1505の表面内部のキャビティ1506(一又は複数)に合体させることができる。浅いトレンチの数及びパターニングに応じて、キャビティ1506は、基板1505内部にボイド、パイプ、プレート、又は他の幾何学形状を形成することができる。酸化物又はレジストなどの追加の材料層1523を、例えば、前述したようなキャビティなどの、最終的なフィルタ部分間の支持体構造に対応する基板1505の領域上に堆積させ、パターニングすることができる。次いで、露出した基板を貫いてエッチングプロセスを行うことができる。基板構造内部のキャビティ1506のために、キャビティ1506と合致する基板1505の領域は、まだそのままの基板1505の領域よりも速い速度でエッチングされうる。エッチングプロセスは、保護層1510のレベルまで行われてもよく、キャビティ1506の位置に基づいて、フィルタ領域を露出することができる窓領域間に支持体構造1507を維持することができる。
図16に目を向けると、基板内部の一連の狭いトレンチを上記したような基板表面下のボイドに変換するために使用されたアニーリングプロセスのSEM像が示されている。
【0059】
前述の説明では、説明を目的として、本技術の様々な実施態様についての理解を提供するために数多くの詳細について述べた。いくつかの実施態様を開示したが、様々な変更、代替構造、及び均等物が、開示した実施態様の精神から逸脱せずに使用されてもよいことは、当業者には認識されるであろう。さらに、数多くのよく知られたプロセス及び要素については、不必要に本技術を不明瞭にしないようにするため記載されていない。しかし、ある実施態様がこれらの詳細の一部なしに、又はさらなる詳細によって実行されてもよいことは当業者には明らかであろう。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定しているとして捉えられるべきではない。
【0060】
個々の実施態様は、フローチャート、流れ図、又はブロック図として表されるプロセスとして記載されてもよいことに留意されたい。フローチャートは、逐次プロセスとして方法を説明することがあるが、動作の多くは、並列に又は同時に行われてもよい。加えて、動作の順番は、再構成されてもよい。プロセスは、その動作が完了すると、終了してもよいが、論じていない、又は図には含まれていないさらなる工程を有することができる。さらに、特に記載された何れのプロセスにおいてもすべての動作がすべての実施態様において行われなくてもよい。プロセスは、方法、機能、手順、プロセス、サブプロセスなどに対応することがある。
【0061】
値の範囲が提供される場合、文脈で明白にそうではないと述べない限り、その範囲の上限と下限との間に挟まれた値それぞれも、下限の単位の最も小さな分数にいたるまで、明確に開示されていると理解される。任意の定められた値又は定められた範囲の間にある値と任意の他の定められた値又はその定められた範囲の間にある値との間のより小さな範囲それぞれが包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、この範囲内に別々に含まれても、又はこの範囲から除外されてもよく、より小さな範囲において、限界の何れかが含まれる、又は何れも含まれない、あるいは両方が含まれるそれぞれの範囲がまた本技術の範囲に包含され、定められた範囲内の明確に除外された何れかの限界に従う。定められた範囲が限界の1つ又は両方を含む場合、これらの含まれる限界の何れか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0062】
本明細書で、及び添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で明白にそうでないと述べない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「誘電体材料」への言及は、複数のそうした材料を含み、「材料層」への言及は、材料層(一又は複数)及び当業者に知られている均等物への言及を含むなどである。
【0063】
また、用語「備える」、「備えている」、「含む」「含んでいる」、及び「含む」、「含有する」、「含有している」などは、本明細書及び次の特許請求の範囲で使用される場合、述べた特徴、整数、構成要素又は工程の存在を明示することが意図されているが、これらの用語は、他の特徴、整数、構成要素、工程、行為、若しくはグループ(一又は複数)の存在あるいは追加を排除しない。