(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381539
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】異なる幅のガラスリボンを製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/09 20060101AFI20180820BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
C03B33/09
B28D5/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-545161(P2015-545161)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-501817(P2016-501817A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013071777
(87)【国際公開番号】WO2014085357
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年11月11日
(31)【優先権主張番号】61/731,164
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】アブラモフ,アナトリ アナトリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ビゲロウ,ドナルド オリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェスター ハン フエイ
【審査官】
飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−116611(JP,A)
【文献】
特開2011−144093(JP,A)
【文献】
特開2006−082176(JP,A)
【文献】
特開2012−211074(JP,A)
【文献】
特開2011−168403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
C03B 40/00−40/04
C03B 17/00−07/06
B28D 1/00− 7/04
B65H 23/18−23/198
B65H 23/00−36/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ及び前記長さに対して横断する幅を有するガラスウエブを供給源から供給するステップ;
前記供給源から送り先に搬送方向へ前記ガラスウエブの前記長さに沿って前記ガラスウエブを連続的に移動するステップ;及び
前記ガラスウエブが前記供給源から前記送り先へ移動されるときに、切断領域にある前記ガラスウエブを少なくとも第1と第2のガラスリボンへ切断するステップ;
第1の力を印加して前記第1のガラスリボンを第1の張力に置くステップ;及び
第2の力を印加して前記第2のガラスリボンを第2の張力に置くステップ、
を有してなる方法であって、
前記第1のガラスリボンは第1の幅を有し且つ前記第2のガラスリボンは第2の幅を有し、前記第1と第2の幅は等しくなく、
前記第1と第2の力は等しくなく、
前記第1の力の前記第1の幅に対する比率は、前記第2の力の前記第2の幅に対する比率と等しく、それによってエッジおよび/またはエッジコーナー欠陥を抑制する、方法。
【請求項2】
前記ガラスウエブを、比較的薄いガラスウエブの供給源スプールから供給し、
前記送り先が、前記第1のガラスリボンを受容しかつ巻く第1スプールと、前記第2のガラスリボンを受容しかつ巻く第2スプールとを含み、
前記第1の張力および前記第2の張力の各々を与えるために、前記第1スプールと前記第2スプールの各々に、独立して可変回転トルクを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスウエブを、比較的薄いガラスウエブの供給源スプールから供給し、
前記送り先が、前記第1のガラスリボンを受容しかつ巻く第1スプールと、前記第2のガラスリボンを受容しかつ巻く第2スプールとを含み、
前記切断領域と前記第1スプールとの間の搬送路に設けられた第1張力調整装置および前記切断領域と前記第2スプールとの間の搬送路に設けられた第2張力調整装置の各々を用いて、前記第1の張力および前記第2の張力の各々を独立して変化させ、
前記第1および前記第2張力調整装置による張力の変化は、ダンサまたは真空ボックスのいずれか、またはダンサおよび真空ボックスの両方を用いて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切断領域にある前記ガラスウェブを切断するステップは、光送出装置を使用して前記ガラスウエブの細長い領域を加熱し、続いて、前記ガラスウエブの前記加熱された部分を冷却して前記搬送方向へ割れ目を伝搬し、それによって、前記第1と前記第2のリボンを製造するステップを含む、請求項1から3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記切断領域にある前記ガラスウエブを湾曲するステップを更に含み、そのような湾曲は凸状及び凹状の一方である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
長さと前記長さに対して横断する幅を有するガラスウエブを供給するように動作する供給源装置;
前記供給源装置から送り先に搬送方向へ前記ガラスウエブの前記長さに沿って前記ガラスウエブを連続的に移動するための搬送機構;
前記ガラスウエブが前記供給源から前記送り先へ移動されるときに、切断領域にある前記ガラスウエブを少なくとも第1と第2のガラスリボンへ切断するように動作する切断機構;および
(i)第1の力を前記第1のガラスリボンに印加して前記第1のガラスリボンを第1の張力に置き;且つ(ii)第2の力を前記第2のガラスリボンに印加して前記第2のガラスリボンを第2の張力に置くように動作する張力付与機構、
を備える装置であって、
前記第1のガラスリボンは第1の幅を有し且つ前記第2のガラスリボンは第2の幅を有し、前記第1と第2の幅は等しくなく、
前記第1と第2の力は等しくなく、
前記第1の力の前記第1の幅に対する比率は、前記第2の力の前記第2の幅に対する比率と等しく、それによってエッジおよび/またはエッジコーナー欠陥を抑制するよう構成されている、装置。
【請求項7】
前記供給源装置が、比較的薄いガラスウエブの供給源スプールであり、
前記送り先が、前記第1のガラスリボンを受容しかつ巻く第1スプールと、前記第2のガラスリボンを受容しかつ巻く第2スプールとを含み、
前記張力付与機構が、前記第1の張力および前記第2の張力の各々を与えるために、前記第1スプールと前記第2スプールの各々に、独立して可変回転トルクを与えるよう作動するスプール駆動機構を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記供給源装置が、比較的薄いガラスウエブの供給源スプールであり、
前記送り先が、前記第1のガラスリボンを受容しかつ巻く第1スプールと、前記第2のガラスリボンを受容しかつ巻く第2スプールとを含み、
前記切断領域と前記第1スプールとの間の搬送路に設けられた第1張力調整装置および前記切断領域と前記第2スプールとの間の搬送路に設けられた第2張力調整装置をさらに備え、
前記第1張力調整装置および前記第2張力調整装置の各々が、前記第1の張力および前記第2の張力の各々を独立して変化するよう作動し、
前記第1および前記第2張力調整器が、ダンサまたは真空ボックスのいずれか、またはダンサおよび真空ボックスの両方を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記張力付与機構は、前記切断領域における応力と歪みが前記第1と第2のリボンに対して対称的であるように前記第1の力と前記第2の力を独立して変化するように動作する、請求項6から8いずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記張力付与機構は、
前記第1の張力と前記第2の張力を監視し;
前記第1の張力と前記第2の張力が夫々規定の制限内にあるか否かを決定し;且つ
前記第1の張力と前記第2の張力が前記夫々規定の制限内にあることを保証するために前記決定に基づいて前記第1の力及び前記第2の力の少なくとも一方を変化するように動作する、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2012年11月29日に出願された米国仮特許出願第61/731164号明細書の米国特許法第119条に基づく優先権を主張し、本出願は当該特許の内容に依拠し、当該特許の内容は、その全体が参照によって本書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガラス材料のウエブから種々の幅のガラスリボンを製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
約0.3mm未満の寸法であるガラスウエブのような極薄ガラスウエブの連続処理は、比較的新しい分野であり、多くの製造上の困難がある。そのようなウエブを製造するための従来の処理は、ロールツーロール技術を使用することを含み、ガラスウエブは、供給ロールと巻き取りロールとの間に連続搬送部へ搬送される。フラットパネルディスプレイや他の製品用のガラスなどの最終製品を製造するために、ガラスウエブは、適切なサイズの幅と長さに切断されなければならない。しかしながら、そのガラスウエブを切断するための従来のアプローチは、連続搬送システムにおいて任意の幅を切断する能力を提供していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ガラス材料のウエブから種々の幅のガラスリボンを製造するための新たな方法及び装置のための技術の必要性がある。
【0005】
本開示は、連続搬送中に複数のウエブ(又はリボン)幅に極薄ガラスウエブを分離することに関する。レーザ切断技術は、搬送中にガラスウエブに切り込みを入れてウエブ融解ビード(即ち、ガラスウエブの周囲エッジに見られるビード)を除去するために使用されることができる。実際に、顧客に引き渡される最終のピース部品は、しばしば最小のエッジ欠陥及び/又はエッジコーナー欠陥を有する非常に微細で、粒子の無いエッジを示すことを必要とする。ビードの除去後、残りのガラスウエブは、なお非常に幅が広く、客先に対する最終ピース部品の引き渡し幅よりもかなり幅広である。加えて、顧客は、しばしば異なるリボン幅を要求し、従って、ガラスウエブは、より狭い幅に再び切断されなければならない。
【0006】
(i)処理中の高いガラス利用度、(ii)連続搬送処理の効率的使用(即ち、複数のパスを排除すること)、及び(iii)種々のリボン幅を製造する性能を含む多数の望ましい機能を同時に達成することは困難である。実際に、上記機能を満たすことによって顕著な製造コスト低減と結果としての市場シェアの増加が得られ、実際にこれらの機能を達成するために必要な技術は、従来のシステムでは利用できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本書の一つ以上の実施形態に従って、異なる幅の少なくとも二つのリボンが、非対称分離技術を使用して連続搬送処理中に同時に切断されることができる新たな方法及び装置が開発された。特に、ガラスウエブの非対称幅の二つのリボンへの分離は、切断要素の近くの(即ち、レーザの近くの)領域(単数又は複数)において等しくない荷重及び/又は微細な運動(例えば、振動)に起因して応力及び歪み変動の可能性を導入することになる。しかしながら、ガラスウエブは、その高弾性、切欠き感度及び脆性の特性に起因して、切断後に適切なエッジ特性(最小の強度減少傷)を表すために、分離(切断チップ)の近傍に極めて一貫性があり且つ対称的な応力場と歪み場を必要とする。従って、ガラスウエブを互いに等しくない幅の複数のリボンに分離するために、連続搬送支持システムは、レーザ分離のエリア(単数又は複数)に一貫性があり且つ対称的な応力場と歪み場を提供しなければならない。本書の一つ以上の実施形態に従って、一貫性があり且つ対称的な応力場及び歪み場を達成するために、張力付与がリボンの各々において注意深く且つ独立して制御される。このアプローチによって、エッジ及び/又はエッジコーナー欠陥を最小にする非常に微細で、粒子の無いエッジが得られる。
【0008】
本書の一つ以上の実施形態の利点と利益は、以下のいずれかを含む:搬送及び切断中のガラスウェブの振動が減衰されること;切断エリアに発生される十字形引っ張りが減衰されること;非常に微細で粒子の無いエッジ品質が達成されると共にエッジ及び/又はエッジコーナー欠陥を最小にすること;変わり易い顧客の品質及び寸法要求が達成されること。
【0009】
一つ以上の実施形態に従って、方法と装置は、長さと長さに対して横断する幅を有するガラスウエブを供給すること;前記ガラスウエブの前記長さに沿って搬送方向へ前記供給源から送り先に前記ガラスウエブを連続的に移動すること;及び前記ガラスウエブが前記供給源から前記送り先に移動されるときに、切断領域にある前記ガラスウエブを少なくとも第1と第2のガラスリボンへ切断することを備え、前記第1のガラスリボンは第1の幅を有し且つ前記第2のガラスリボンは第2の幅を有し、前記第1と第2の幅は等しくない。
【0010】
本方法及び装置は、更に、前記第1のガラスリボンを第1の張力に置くように第1の力を印加すること;及び前記第2のガラスリボンを第2の張力に置くように第2の力を印加することを備えることができ、前記第1と第2の力は等しくない。例えば、前記第1の力の前記第1の幅に対する比率は、前記第2の力の前記第2の幅への比率と略等しい。本方法及び装置は、更に、前記切断領域における応力と歪みが前記第1と第2のリボンに対して対称的であるように前記第1の力と前記第2の力を独立して変化させることを備えることができる。
【0011】
加えて又は或いは、本方法及び装置は、更に、前記第1の張力と前記第2の張力を監視すること;前記第1の張力と前記第2の張力が夫々の規定制限内にあるか否かを決定すること;及び前記第1の張力と前記第2の張力が前記夫々の規定制限内にあることを保証するために前記決定に基づいて前記第1の力と前記第2の力の少なくとも一方を変化させることを備えることができる。
【0012】
本方法及び装置は、更に、前記切断領域にある前記ガラスウエブを切断することは、光送出装置を使用して前記ガラスウエブの細長い領域を加熱し、次に、前記ガラスウエブの前記加熱部分を冷却して前記搬送方向へ割れ目を伝搬し、それによって前記第1と第2のリボンを製造することを備える。
【0013】
本方法及び装置は、更に、前記切断領域において前記ガラスウエブを湾曲することを備え、そのような曲げは、凸状及び凹状の一方である。
【0014】
他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて本書の記述から当業者には明瞭となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例証のために、現在好適である図面に示される形態があるが、本書で開示及び記述される実施形態は、示された正確な配置及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【
図1】
図1は、ガラスウエブを少なくとも二つのガラスリボンに切断するための装置の概略平面図であり、各リボンの夫々の幅が実質的に等しくない。
【
図2】
図2は、装置100の更なる細部を示す側面の概略立面図である。
【
図3A】
図3Aは、ダンサーの図である張力調整装置の概略図である。
【
図3B】
図3Bは、真空ボックスの図である張力調整装置の概略図である。
【
図4】
図4は、光送出装置と冷却流体供給源がガラスウエブの割れ目を伝搬して少なくとも二つのガラスリボンを製造する切断機構イオンの概略図である。
【
図5A】
図5Aは、向上された特性を達成するために、切断領域でガラスウエブを処理する他の技術の側面の断面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、向上された特性を達成するために、切断領域でガラスウエブを処理する他の技術の側面の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
類似の番号が類似の要素を指す図面を参照すると、
図1には、ガラスウエブ103を(図示の破線に沿って)少なくとも二つのガラスリボン103A、103Bに切断するための装置100の概略平面図を示しており、そこでは、各リボンの夫々の幅は、実質的に同じではない。
図2は、装置100の更なる細部を示す側面から見た概略立面図である。一般的に、装置100は、ガラスウエブ103を供給し、供給源102から送り先領域に搬送方向へガラスウエブ103の長さに沿って(矢印で示される)連続的にガラスウエブ103を移動する。供給源102から送り先領域へのガラスウエブ103の搬送中に、ガラスウエブ103は、切断領域147で少なくとも第1と第2のガラスリボン103A、103Bへ切断される。ガラスウエブ103は、(搬送方向における)長さと長さに対して横断する幅を有し、第1と第2のガラスリボン103A、103Bの夫々の幅は、ガラスウエブ103の全幅内に明確に制限される。また、特に、第1と第2のガラスリボン103A、103Bの幅は、等しくない。
【0017】
ガラスウエブ103は、しばしば、顧客の仕様を満たすために必要とされる幅よりもかなり幅広であるので、且つ多数の顧客は、異なる幅の材料を求めるので、装置100は、ガラスリボン103A、103Bをそのような異なる幅に切断することに適応するように動作可能である。更に、ガラスリボン103A、103Bの指定の幅は、バッチ毎に調整されることができ、それによって、同じ基本装置100を使用して異なる顧客に対して材料を生産することができる。従って、本書で更に展開されるように、装置100は、(i)処理中の高ガラス利用化性、(ii)連続搬送装置100(例えば、複数のパスを除去すること)の効率的使用、及び(iii)リボン幅の変動性を含む、多くの望ましい特徴を同時に達成できる。
【0018】
ガラスウエブ103は、形成ウエッジを有するトラフが、溶融ガラスがそのトラフをオーバーフローして形成ウエッジの両側を流下することを許容し、夫々の流れが形成ウエッジから離れるように引っ張られると、それらの流れが引き続いて一体に融合するするダウンドローガラス形成装置(図示せず)のような広範囲の供給源によって提供されることができる。この溶融ダウンドローンプロセスが、ガラスウエブ103を形成し、このガラスウエブ103が、切断のために装置100の搬送機構内へ導入される。
【0019】
ガラスウエブ103は、典型的には、一対の両エッジ部201、203とそれらの両エッジ部201、203の間を繋ぐ中央部205を含むことが特徴である。ダウンドローフュージョンプロセスに起因して、ガラスリボンのエッジ部201、203は、典型的にはガラスウエブ103の中央部205の厚みよりも大きな厚みの対応するビードを有する。これらのビードは、本書で開示される切断技術又は他のより一般的なアプローチを使用して除去されることができる。
【0020】
加えて又は或いは、ガラスウエブ103の供給源は、巻かれたスプール102を含むことができ、そこでは、ガラスウエブ103は、例えば、フュージョンダウンドロープロセスに続いて、スプール102に最初に巻かれる。典型的には、巻かれたスプール102は、比較的に大きな直径を備えて、比較的に低い曲げ応力を提供してガラスウエブ103の特性に適応する。一旦巻き取られると、ガラスウエブ103は、巻き取られたスプール102からほどかれて装置100の搬送機構に導入されることができる。
【0021】
この装置の送り先領域は、夫々のガラスリボン103A、103Bを溜めるための任意の適切な機構を含むことができる。
図2に示される例では、送り先領域は、第1と第2のスプール104A、104Bを含み、各スプールは、ガラスリボン103A、103Bの一方を受容し且つ巻き付ける。また、スプール104A、104Bは、夫々のガラスリボン103A、103Bの特性に適応するために、適切な曲げ半径を提供する比較的に大きな直径を備えるべきである。
【0022】
装置100は、供給源102から送り先スプール104に搬送方向へガラスウエブ103を連続的に移動するように協働する多数の個別の要素を有する搬送機構を含む。この搬送機能は、エッジ部201、203、切断動作から生成されたエッジ、或いはガラスウエブ103の中央部205の各(元の)側部の望ましい特性を悪化することなく達成されることができる。要するに、この搬送機能は、個々のガラスリボン103A、103Bの望ましい特性を悪化することなく達成される。
【0023】
特に、装置100は、複数の非接触支持部材106、108、ローラ等を含み、システムを介してガラスウエブ103及びガラスリボン103A、103Bを供給源102から送り先スプール104に案内することができる。非接触支持部材106、108は、夫々のワークピースの望ましい方向への搬送を達成するために、平らであってもよい及び/又は湾曲していてもよい。非接触支持部材106、108の各々は、ガラスウエブ103及びガラスリボン103A、103Bが損傷又は汚染されることなくシステムを介して適切に搬送されることを保証するために、流体バー及び/又は低摩擦表面を含むことができる。所与の非接触支持部材106、108が流体バーを含む場合、そのような要素は、そのような非接触支持のためのエアクッションを生成するために、ガラスウエブ103及び/又はガラスリボン103A、103Bの関連する表面に対して正の流体圧流(空気のような)を提供するように構成される複数の通路とポート(開口部)、及び/又は負の流体圧流を提供するように構成される複数の通路とポートを含む。正及び負の流体圧流の組合せは、システムを介する搬送中にガラスウエブ103及びガラスリボン103A、103Bを安定化することができる。
【0024】
任意ではあるが、多数の横ガイド(図示せず)は、搬送方向に対して望ましい横方向位置にガラスウエブ103を向けることを助けるためにガラスウエブ103及び/又はガラスリボン103A、103Bのエッジ部201、203に近接して使用されることができる。例えば、横ガイドは、ガラスウエブ103の両エッジ部201、203の対応するエッジ部及び/又はガラスリボン103A、103Bの一つ以上のエッジ部と係合するように構成されるローラを使用して実施されることができる。対応する横ガイドによってエッジ部201、203に印加される対応する力は、ガラスウエブ103が装置を介して搬送される場合に、適切な横向きにガラスウエブ103をシフトし整合できる。
【0025】
本装置100は、更に、ガラスウエブ103が、例えば、非接触支持部材108上を通過する時に、切断領域147においてガラスウエブ103を切断する又は切るように動作する切断機構120を含む。本書において後で詳細に記述されるように、切断機構120は、単一の切断又は複数の同時切断を行うことができるが、切断処理の著しい特徴は、結果としての第1と第2のガラスリボン103A、103B(及び/又は更に多くのリボン)が異なる幅、即ち、非対称分離を示すことである。
【0026】
適切な補償無しで、ガラスウエブ103を非対称の幅の二つのガラスリボン103A、103Bへ分離することは、切断領域147において等しくない荷重及び/又は微細運動(例えば、振動)の可能性に起因して応力及び歪みの変動の可能性を導入する。しかしながら、その高弾性、切欠き感度及び脆性に起因して、ガラスウエブ103は、切断の後に、適切なエッジ特性(最小割れ目)を示すために切断領域147において極めて一貫性があり且つ対称的な応力と歪み場を必要とする。従って、ガラスウエブを等しくない幅の複数のリボンに分離するために、本装置100は、切断領域147において一貫性があり且つ対称的応力場と歪み場を提供するように動作する張力付与機構を含む。本書の一つ以上の実施形態に従って、張力付与は、一貫性があり且つ対称的な応力場及び歪み場を達成するためにガラスリボン103A、103Bの各々に対して注意深く且つ独立して制御される。このアプローチによって、エッジ及び/又はエッジコーナー欠陥を最小にする非常に微細で粒子の無いエッジが得られる。
【0027】
以下に詳細に展開されるように、張力付与機構は、(i)第1の力F1を第1のガラスリボン103Aに印加してそのリボンを第1の張力に置き;且つ(ii)第2の力F2を第2のガラスリボン103Bに印加してそのリボンを第2の張力に置くように動作する。特に、第1の力F1と第2の力F2は、等しくない。実際、一つ以上の実施形態において、第1の力F1の第1のガラスリボン103Aの第1の幅に対する比率は、第2の力F2の第2のガラスリボン103Bの第2の幅の比率と略等しい。夫々の幅が等しくない限り、上記比率への支持は、異なる力F1、F2に印加を必要とする。更に、張力付与機構は、切断領域147における応力と歪みが対称であるように第1の力F1と第2の力F2を独立して変化するように動作する。
【0028】
張力付与機構によって提供される機能性を十分に理解するために、張力は、典型的には、PLI(一インチ当たりのポンド(長さ当りの重量))で測定されることに注意すべきである。所与のガラスウエブ103におけるPLIを知り、且つガラスウエブ103に印加される全張力を演算することを望む場合、PLI(重量)にインチ(長さ)でのガラスウエブ103の幅を掛ける。逆に、ガラスウエブ103に印加される張力の全ポンドを知り且つPLIを演算することを望む場合、次に、ガラスウエブ103を横切る張力の全ポンド(重量)をインチ(長さ)でのウエブの幅によって割る。
【0029】
上述の張力付与機能性を達成するために、一つ以上の実施形態は、第1と第2の張力付与機構130、140を提供し、各機構は、(i)第1の張力と第2の張力の一方を監視し;(ii)第1の張力と第2の張力が夫々規定の制限内にあるか否かを決定する;及び (iii)第1の張力と第2の張力が夫々規定の制限内にあることを保証するために前記決定に基づいて第1の力F1と第2の力F2の少なくとも一方を変化するように動作する。破線を介して
図2に概略的に図示されているように、第1と第2の張力付与機構130、140の各々は、夫々のガラスリボン103A、103Bにおける張力を感知するための一つ以上の手段及びそのような張力が規定範囲外にある場合、そのような張力を変化するための手段を含む。
【0030】
多数の特定の機構のいずれかは、間接張力監視及び/又は直接張力監視のような、ガラスリボン103A、103Bにおける張力を監視するために使用されることができる。間接張力監視の例は、圧力タップセンサにおいて圧力を測定することによって、張力のレベルを計算することを備え、そこでは、そのセンサは、関連するガラスリボン103A、103Bより下に設けられるエアクッションで圧力を受け取る。直接張力監視の例は、非接触支持部材106、108の1つ以上、支持ローラの支持シャフト等のような装置100の1つ以上の支持構造体への負荷を測定することを備える。そのような負荷は、市場で入手可能な荷重セルを使用して測定されることができる。直接張力監視の他の例は、供給源スプール102と送り先スプール104の夫々の駆動スピンドルへのトルクの一つ以上を測定すること及びそれからの張力を演算することを備える。任意の数の他の電子センサは、各ガラスリボン103A、103Bにおける張力を演算するために、単独で使用される又は前述の要素と組み合わせて使用されることができる。
【0031】
前述のセンサから受け取った任意の数の入力に基づいてのガラスリボン103A、103Bの各々における夫々の張力の演算は、検出された量を必要な張力へ変換するための適切なアルゴリズムのソフトウエアプログラムを実行する適切な演算機器(図示せず)を使用して達成されることができる。そのような演算機器は、市場で入手可能な又はカスタムデジタル回路類のような既知のテクノロジーに任意の適切なハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアプログラムを実行するように動作できる既知のプロセッサの任意の物、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、プログラマブルアレイ論理デバイス(PAL)等のような一つ以上のプログラマブルデジタルデバイス又はシステムを利用して実行されることができる。更に、本書における種々の実施形態は、可搬性及び/又は頒布のために適切な記憶媒体又はメディア(フロッピー(登録商標)ディスク(単数又は複数)、メモリチップ(単数又は複数)等)に記憶されることができるソフトウェア及び/又はファームウェアプログラム(単数又は複数)によって実行されることができる。
【0032】
一つ以上の実施形態では、張力付与機構130、140は、夫々の第1と第2の張力を印加するために、可変回転トルクを夫々の第1と第2のスプール104A、104Bへ独立して印加するように動作する各スプール駆動機構を含むことができる。これに関して、各ガラスリボン103A、103Bにおける感知された張力は、そのような張力が許容値の範囲内にあるか否かを決定するために1つ以上の閾値と比較される。張力の一つ以上が許容値の範囲内に無い場合、次に、張力付与機構130、140は、その張力を範囲内に移動するために関連するスプール104A、104Bの一つ以上に対する駆動トルクを増加又は減少する。これに関して、あるレベルの張力をガラスリボン103A、103Bの所与のものに提供することを必要とするトルクは、所与のリボンを横切って測定される全張力掛ける送り先スプール104のロール半径であることが留意される。このように、送り先スプール104のシャフトを駆動するトルクは、ロールが張力を一定に保つために送り先スプール104のサイズに関して増加すると、ロール直径に対する長さ比率が減少しなければならない。加えて、ガラスウエブ103が供給源スプール102からほどかれている事実は、各ガラスリボン103A、103Bにおける張力に影響を及ぼす。
【0033】
一つ以上の実施形態では、第1と第2の張力付与機構130、140は、加えて又は或いは、ガラスリボン103A、103Bの所与の一つ以上において張力を増加又は減少するように動作する一つ以上の張力調整装置を含むことができる。例として、第1の張力付与機構130は、切断領域147と第1のスプール104Aとの間の各搬送路に配置された第1の張力調整装置を含むことができる。加えて又は或いは、第2の張力付与機構140は、切断領域147と第2のスプール104Bとの間の各搬送路に配置された第2の張力調整装置を含むことができる。各張力調整装置は、夫々の第1と第2の張力を独立して変化するように動作する。
【0034】
図3Aと
図3Bを参照すると、第1と第2の張力調整装置は、例えば、ダンサー及び/又は真空ボックスを使用して、従来の技術で既知の任意の適切な技術によって実施されることができる。ダンサーアセンブリ250の図示の例は、一対のローラ252、254、重み付きダンサーローラ256、及びセンサ258を含む。センサ258は、重み付きダンサーローラ256の位置(この場合は、垂直位置)を監視し、制御システム(例えば、演算デバイス等)は、適切な張力を示す制限内にその位置があるか否かを決定する。その位置が制限内に無い場合、次に、制御システムは、重み付きダンサーローラ256の位置を制限内に移動するためにスプール104に対する駆動トルクの増加又は減少を命令する。重み付きダンサーローラ256は、ガラスウエブの表面品質を保持するためにエアベアリングのような非接触デバイスであるのが好ましい。
【0035】
真空ボックス260の図示の例は、一対のローラ252、254、アクチュエータ262、及び真空制御装置266を含む。真空制御装置266は、荷重セルローラ等のようなセンサ(図示せず)を介して張力の指示を受信し、真空制御装置266は、張力が制限内か否かを決定する。張力が制限内に無い場合、次に、真空制御装置266はボックス264内の真空の増加又は減少を命令し、これにより、アクチュエータ262が張力を増加又は減少させてそれを制限内に移動させる。
【0036】
図4を参照すると、一つ以上の実施形態では、切断機構120は、ガラスウエブ103の細長い領域を加熱するための光送出装置と、冷却材をガラスウエブ103の加熱された部分に適用して搬送方向へ割れ目を伝搬し、それによって第1と第2のガラスリボン103A、103Bを製造するように動作する冷却流体供給源を含むことができる。光送出装置は、レーザのような放射源を含むことができるが、他の放射源が使用されてもよい。光送出装置は、更に、一つ以上の偏光板、ビーム拡大器、ビーム整形装置等の光ビーム169を整形し、光ビーム169の方向を調節し及び/又は光ビーム169の強度を調整するための他の要素を含むことができる。光送出装置は、レーザビーム169が入射する位置でガラスウェブ103を加熱するのに適する波長、出力、形状を有するレーザビーム169を生成することが好ましい。
【0037】
非常に細長い形状のレーザビーム169が良好に働くことが分かった。レーザビーム169の楕円形フットプリントの境界は、ビーム強度がそのピーク値の1/e
2まで減少された点として決定されることができる。楕円形フットプリントは、短軸よりも実質的に長い長軸によって画定されることができる。幾つかの実施形態では、例えば、長軸は、短軸よりも少なくとも約10倍長い。しかしながら、細長い放射加熱された領域227の長さと幅は、望ましい切り込み速度、望ましい初期裂け目サイズ、ガラスリボンの厚み、レーザの出力等に依存し、且つ放射領域の長さと幅は、必要に応じて変化され得る。
【0038】
冷却流体供給源181は、冷却流体、好ましくは、ノズル等を通過するような、流体のジェットの適用によってガラスウエブ103の加熱された部分を冷却するように動作する。ノズル等の幾何学形状は、特定の処理条件に対して必要に応じて変化し得る。冷却流体は、水を含むことができるが、ガラスウエブ103を傷付けない任意の他の適切な冷却流体又は混合物が使用されることができる。冷却流体は、冷却領域319を形成するためにガラスウエブ103の表面に送出されることが好ましく、この冷却領域319は、割れ目(誘導された裂け目で開始される)を伝搬するために細長い放射領域227の後についていく。加熱と冷却の組合せは、効果的にガラスウエブ103を切り夫々のガラスリボン103A、103Bを生成し、一方、切断によって生成されるエッジ(単数又は複数)における望ましくない残留応力、微細裂け目又は他の不規則さを最小にする又は排除する。
【0039】
一つ以上の実施形態では、切断機構120は、複数の同時切断を行うためにガラスウエブ103を横切るように配置された複数の加熱/冷却装置を含むことができる。夫々の加熱/冷却装置の位置は、ガラスリボンの幅に関して特定の顧客の要求を満足するために調整されることができる。しかしながら、幅のそのような調整と共に、張力付与機構は、夫々の切断領域において望ましくない応力及び/又は歪みが無いように、適切な張力を各ガラスリボンに印加するように同様に調整されることができる。
【0040】
ここで、改良された特性を達成するために切断領域でガラスウェブ103を処理する他の技術の側面の断面図を図示する
図5A及び
図5Bが参照される。特に、装置100は、凸状に又は凹状にガラスウエブ103を湾曲するように働く、切断領域147における湾曲支持部材149又は湾曲支持部材401を含むことができる。切断領域147内でガラスウエブ103を湾曲することは、切断手順中にガラスウエブ103を安定化するのを助けることができる。そのような安定化は、切断手順中にガラスウエブ103のプロファイルを曲げる又は乱すことを防止するのを助ける。切断領域147においてガラスウエブ103の湾曲されたターゲットセクションを設けることは、また切断領域147を通過するウエブの剛性を増加できる。
【0041】
もし設けられるならば、切断支持部材149、401のいずれかは、ガラスウエブ103の両面に触れることなくガラスウエブ103を支持する前述の非接触切断支持テクノロジーを含むことができる。特に、切断支持部材149、401が使用されるどちらも、そのような非接触支持のためのエアクッション307を生成するために、ガラスウエブ103及び/又はガラスリボン103A、103Bの関連する表面に対して、正の流体圧流(空気のような)を提供するように構成された通路とポート303及び/又は負の流体圧流を提供するように構成された複数の通路とポート309を含む複数の導管301を含むことができる。正と負の流体圧流の組合せは、システムを通る搬送中にガラスウエブ103及びガラスリボン103A、103Bを安定化できる。
【0042】
本書の開示は、特定の実施形態を参照して記述されたが、これらの実施形態は、本書の実施形態の原理と用途を例証しているに過ぎないことが理解されるべきである。従って、多くの変更が例示の実施形態に対して行われることができ、且つ他の配置が本出願の精神と範囲から逸脱することなく考案されることができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 装置
102 供給源 (巻かれたスプール)
103 ガラスウエブ
103A、103B ガラスリボン
104 送り先スプール
104A 第1のスプール
104B 第2のスプール
106、108 非接触支持部材
120 切断機構
130 第1の張力付与機構
140 第2の張力付与機構
147 切断領域
149 切断支持部材
169 レーザビーム
181 冷却流体供給源
201、203 エッジ部分
205 中央部分
227 長い放射領域(長い放射被加熱領域)
250 ダンサーアセンブリ
252、254 ローラ
256 重み付きダンサーローラ
258 センサ
260 真空ボックス
262 アクチュエータ
266 真空制御装置
301 導管
303、309 ポート
319 冷却領域
401 湾曲支持部材